JP2621742B2 - 拭き布の製造方法 - Google Patents

拭き布の製造方法

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JP2621742B2 JP4194761A JP19476192A JP2621742B2 JP 2621742 B2 JP2621742 B2 JP 2621742B2 JP 4194761 A JP4194761 A JP 4194761A JP 19476192 A JP19476192 A JP 19476192A JP 2621742 B2 JP2621742 B2 JP 2621742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨て手拭き,ウェ
ットティシュー,ワイパー,使い捨て雑巾等の拭き布の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、使い捨て手拭き等の拭き布と
して、パルプ繊維を嵩高に集積してなる乾式パルプシー
トに、水や薬剤等をしみこませたものが使用されてい
る。しかし、乾式パルプシートは、水や薬剤等をしみこ
ませた後の濡れ強度が低く、使用中に破れやすいという
欠点があった。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積した後、レーヨン繊維相互間をゴム系結合剤で結合し
た不織布に、水等をしみこませたものも使用されてい
る。この拭き布は、レーヨン繊維相互間が結合されてい
るので、高い濡れ強度を示すものである。しかし、拭き
布にゴム系結合剤が含有されているため、異臭がすると
いう欠点があった。また、ゴム系結合剤のざらざらとし
た手触りのため、拭き布の使用感が悪いという欠点もあ
った。このため、ゴム系結合剤を使用せずに、レーヨン
繊維相互間を絡合させた不織布を使用するという試みも
行なわれている。レーヨン繊維相互間の絡合には、レー
ヨン繊維が集積されたウェブに水柱流を施すことが考え
られる。しかしながら、水柱流による絡合を十分に付与
するためには、レーヨン繊維の集積量が多くなければな
らないということがあった。即ち、レーヨン繊維の集積
量の少ないウェブは、レーヨン繊維相互間に比較的大き
な間隙が形成されており、水柱流を施しても、その水柱
流はレーヨン繊維に衝突せずに、その間隙を通して容易
にウェブをすりぬけるのである。即ち、レーヨン繊維に
運動エネルギーを十分に与えないため、レーヨン繊維が
十分に運動せず、その結果レーヨン繊維相互間が絡合し
ないのである。従って、レーヨン繊維相互間を十分に絡
合させようとすると、レーヨン繊維の集積量を多くし
て、レーヨン繊維相互間に形成される繊維間隙を小さく
する必要があるのである。しかし、レーヨン繊維の集積
量を多くすると、得られる拭き布の厚みが厚くなり、使
い捨て手拭き等として使用するには、過剰品質になると
いう欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このため、本件出願人
はレーヨン繊維等の集積量が少なくとも、水柱流による
絡合が可能となる技術を検討した。その結果、レーヨン
繊維等が集積されてなるウェブにおいて、レーヨン繊維
相互間の比較的大きな間隙を塞いでおくことが有効であ
ることに想い到り、特開平5−214654号公報記載
に係る発明を提案した。この発明は、レーヨン長繊維等
の長繊維が集積されてなるウェブの表面に薄葉紙を積層
して、高圧水柱流を施すことを特徴とする拭き布の製造
方法に関するものである。この方法によって、薄葉紙を
構成するパルプ繊維と長繊維とが良く絡合し、更にパル
プ繊維を介して長繊維相互間も良く絡合し、吸水性が良
好で、且つ湿潤強度の高い拭き布が得られるのである。
【0005】しかしながら、この方法によって、拭き布
を製造した場合、製造中に各種のトラブルが発生した。
例えば、薄葉紙に高圧水柱流を施したときに、薄葉紙が
著しく破壊され、パルプ繊維が空中に飛散するというこ
とがあった。このトラブルにより、薄葉紙を構成するパ
ルプ繊維が、長繊維と均一に絡合せず、パルプ繊維が存
在しない箇所を持つ、不均一な拭き布しか得られないと
いう欠点が発生した。また、空中にパルプ繊維が飛散す
るため、得られる拭き布中における、パルプ繊維の量が
少なくなり、吸水性が低下するということもあった。更
に、使用後の高圧水柱流は回収されて、フィルター材で
瀘過され、その水を高圧水柱流として再使用するわけで
あるが、薄葉紙が著しく破壊されたり或いは空中にパル
プ繊維が飛散すると、高圧水柱流を回収する際に、その
中にパルプ繊維が混入し、フィルター材の目詰まりが激
しく、長期間に亙る連続操業が行なえなくなるという欠
点があった。また、高圧水柱流を回収しないで、そのま
ま廃液として排出する場合にも、パルプ繊維が混入して
いると、廃液による環境破壊を惹起するという恐れもあ
る。なお、このような欠点は、レーヨン等のステープル
繊維にパルプを配合した後、カード法によってステープ
ル繊維を開繊すると共にその内部にパルプを含有した繊
維ウェブを形成し、その後高圧水柱流を施して、ステー
プル繊維相互間の絡合をパルプ繊維の作用によって緊密
にする方法によっても生じるものである。何故なら、パ
ルプ繊維はその繊維長が短いために、カード法によって
開繊する際に、パルプ繊維が飛散することがあり、ま
た、繊維ウェブ内部に大量の自由に運動しやすいパルプ
繊維を含有させると、高圧水柱流で処理する際に、パル
プ繊維が繊維ウェブ中から流失するからである。
【0006】本発明者等は、上記の欠点を解決しようと
して種々研究を行なった。その結果、使用する薄葉紙と
して、湿潤引張強さが0.04〜0.6kgfである紙
シートを採用すれば、上記の欠点を解決しうることを見
出し、特開平5−253160号公報記載に係る発明を
提案した。この発明によれば、紙シートと長繊維ウェブ
とを積層して高圧水柱流を施しても、紙シートが著しく
破壊されたり、或いは紙シートを構成するパルプ繊維が
飛散したりすることを抑制し、もってパルプ繊維と長繊
維とが比較的均一に絡合されると共に、使用した紙シー
ト中のパルプ繊維が有効に長繊維と絡合された拭き布を
得ることができるのである。更に、拭き布の製造工程に
おいて用いる高圧水柱流を回収する際に、その中にパル
プ繊維が混入する割合を減少させることによって、拭き
布の製造を長期間に亙って連続操業しうるのである。
【0007】その後、本発明者等は、湿潤引張強さのよ
り高い紙シートを使用して、パルプ繊維と長繊維とが良
好に絡合された拭き布を得ることを試みた。湿潤引張強
さのより高い紙シートは、拭き布の製造工程中におい
て、切断したり皺が入ったりしにくいため、使用するの
に有利であると考えられる。しかしながら、湿潤引張強
さのより高い紙シートを使用すると、紙シートに高圧水
柱流を施した場合、紙シートを構成するパルプ繊維が単
離しにくく、パルプ繊維と長繊維とが良好に絡合しない
という欠点があった。また、高圧水柱流が紙シートを貫
通しにくくなり、紙シート上に高圧水柱流による水がプ
ール状に滞留するという欠点があった。この滞留した水
は、高圧水柱流と衝突することによって、周囲に水を飛
び散らせ、高圧水柱流処理を終えた拭き布の表面に高濃
度のパルプを含む水が付着して、拭き布の表面を乱れさ
せるという欠点があった。
【0008】そこで、本発明は、紙シートを構成するパ
ルプ繊維としてある特定の性質を持つもの、即ち叩解の
程度が少ないパルプを用い湿式抄紙して得られた紙シー
トを採用すれば、仮に紙シートの湿潤引張強さがより高
くとも、特開平5−253160号公報記載に係る発明
と同様に、高圧水柱流によってパルプ繊維が良好に単離
し、そして長繊維と良好に絡合し、物性的にも満足のゆ
く拭き布が得られることを見出し、本発明に到達したの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、多数の
長繊維が集積されてなる長繊維ウェブの表面に、JIS
P8121に示された方法で測定したカナダ標準フリ
ーネスが600ml以上のパルプを湿式抄紙した後、乾
燥して得られた実質的にパルプ繊維で構成された紙シー
トを積層した後、該紙シートの表面から該長繊維ウェブ
側に向けて高圧水柱流を施すことにより、該紙シートを
構成するパルプ繊維と該長繊維とを絡合させることを
特徴とする拭き布の製造方法に関するものである。
【0010】まず、本発明においては、多数の長繊維が
集積されてなる長繊維ウェブを準備する。ここで、長繊
維としては、従来公知の長繊維を使用することができ、
例えばレーヨン長繊維,ポリオレフィン系長繊維,ポリ
エステル系長繊維、ポリアミド系長繊維,ポリアクリル
酸エステル系長繊維等を使用することができる。本発明
において、長繊維を使用する理由は、長繊維よりなる長
繊維ウェブは、短繊維よりなる短繊維ウェブよりも、繊
維間が絡合している場合、引張強度や形態安定性に優れ
ているからである。また、長繊維の繊度は、1〜4デニー
ルであるのが好ましい。長繊維の繊度が4デニールを超
えると、長繊維ウェブの柔軟性が低下し、拭き布として
使用した場合の使用感が低下する傾向が生じる。逆に、
長繊維の繊度が1デニール未満になると、長繊維の製造
条件等が厳密になって、長繊維、ひいては長繊維ウェブ
を高速度で製造しにくくなる傾向が生じる。また、長繊
維ウェブの坪量は、5〜30g/m2であるのが好ましい。
長繊維ウェブの坪量が30g/m2を超えると、紙シート
と長繊維ウェブとの積層物に、紙シートから長繊維ウェ
ブ側に向けて高圧水柱流を施しても、紙シートを構成す
るパルプ繊維が、長繊維ウェブの裏面(紙シートと当接
していない面)に移動しにくくなり、得られる拭き布の
片面にのみパルプ繊維が偏在した状態となって、パルプ
繊維の少ない面における吸水性が低下する傾向が生じ
る。逆に、長繊維ウェブの坪量が5g/m2未満になる
と、長繊維ウェブの形態安定性が低下し、得られる拭き
布の湿潤強度が低下する傾向が生じる。更に、長繊維相
互間の間隙が大きくなって、高圧水柱流を施したとき
に、その間隙からパルプ繊維が流出してしまい、使用後
の高圧水柱流を回収した場合、その中にパルプ繊維が大
量に混入する恐れが生じる。なお、本発明において使用
する長繊維ウェブは、長繊維相互間が自己融着した、い
わゆる長繊維不織布であってもよいし、また長繊維相互
間が結合していないフリース状の長繊維フリースであっ
てもよい。特に、前者の長繊維不織布のうちでも、長繊
維相互間が自己融着した点融着区域が、散点状に多数配
置されたものを使用するのが好ましい。この理由は、長
繊維相互間が自己融着している点融着区域を持つため、
形態安定性に優れると共に、点融着区域以外の区域にお
いては長繊維相互間が自己融着されておらず、自由な状
態で集積されているため、柔軟性に優れ、且つパルプ繊
維と良好に絡合しやすいからである。
【0011】以上のようにして準備した長繊維ウェブの
表面に、紙シートを積層する。本発明で重要なことは、
この紙シートとして、ある特定の性質を有するパルプ繊
維で構成されたものを使用する点にある。即ち、紙シー
トとして、JIS P 8121に示された方法で測定
したカナダ標準フリーネスが600ml以上のパルプを
湿式抄紙した後、乾燥して得られる紙シートを使用する
必要がある。ここで、カナダ標準フリーネスは、パルプ
の叩解度と相関関係にあるもので、その値が大きいほ
ど、叩解度が小さいことを示すものである。カナダ標準
フリーネスが600ml未満のパルプを使用して得られ
た紙シートに、高圧水柱流を施すと、紙シートを構成す
るパルプ繊維が単離しにくく、長繊維とパルプ繊維との
絡合が不十分になると共に得られる拭き布の柔軟性が低
下するので、好ましくない。また、高圧水柱流を施した
ときに、紙シート上に水がプール状に滞留し、この滞留
した水に高圧水柱流が衝突して、周囲に水が飛び散り、
高圧水柱流処理を終えた拭き布に高濃度のパルプを含む
水が付着し、表面が乱れて地合いが不均一になるので、
好ましくない。このような問題が生じる理由は、以下の
とおりである。即ち、カナダ標準フリーネスが600m
l未満のパルプは、叩解が進んで、パルプ繊維のフィブ
リル化が進んでいると共にパルプ繊維の捩れも大きく、
従ってパルプ繊維同士が緊密に絡み合っている。従っ
て、このようなパルプ繊維で構成された紙シートは、高
圧水柱流を施しても、パルプ繊維が単離しにくく、紙シ
ートの破壊が進まないからである。なお、本発明で使用
する紙シートは、カナダ標準フリーネスが600ml以
上のパルプを用いて得られたものであるから、実質的に
パルプ繊維で構成されており、紡織用ステープル繊維等
の他の構成繊維が混入していないものであることは言う
までもない。
【0012】本発明において使用するパルプは、カナダ
標準フリーネスが600ml以上であれば良く、従って未叩
解のパルプも好適に使用しうる。未叩解の木材パルプ
は、パルプ繊維のフィブリル化の程度は少なく、且つパ
ルプ繊維の捩れも小さい。従って、未叩解のパルプを使
用して得られた紙シートに、高圧水柱流を施すと、パル
プ繊維が単離しやすく、そして長繊維と均一に絡合し、
地合いが良好で且つ柔軟性に富む拭き布が得られるので
ある。なお、未叩解のパルプのカナダ標準フリーネス
は、パルプの種類や生産地によって大きく異なるが、例
示すれば以下のとおりである。例えば、針葉樹晒クラフ
トパルプ100重量%のカナダ標準フリーネスは、一般的
には730ml程度であり、広葉樹晒クラフトパルプ100重量
%のカナダ標準フリーネスは、一般的には650ml程度で
ある。
【0013】本発明において使用するパルプとしては、
一定のカナダ標準フリーネスを有するものであれば、ど
のようなものでも採用しうる。例えば、針葉樹及び広葉
樹木材をクラフト法,サルファイト法,ソーダ法,ポリ
サルファイド法等で蒸解した化学パルプ、又はグランド
パルプ,サーモメカニカルパルプ等の機械パルプを、晒
若しくは未晒の状態で、単独で又は混合して使用するこ
とができる。針葉樹パルプと広葉樹パルプの重量配合比
は、好ましくは、針葉樹パルプ/広葉樹パルプ=100〜2
0/0〜80、最も好ましくは100〜40/0〜60の範囲であ
る。広葉樹パルプが80重量%を超えると、高圧水柱流に
よるパルプの消失量が増加するばかりでなく、絡合後の
シートの柔軟性が低下する傾向となる。以上のとおり、
本発明においては、カナダ標準フリーネスが600ml以上
であるパルプを使用し湿式抄紙して紙シートを得るので
ある。このようなパルプを湿式抄紙する際、必要に応じ
て、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、その変性
物、ポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、メラミン樹
脂、尿素樹脂等の湿潤紙力増強剤を添加してもよい。
【0014】本発明において、使用する紙シートの坪量
は、任意に決定しうる事項であるが、特にJIS P 8124に
示された方法で測定した坪量が10〜100g/m2である紙
シートを使用するのが好ましい。紙シートの坪量が10g
/m2未満であると、パルプ繊維の絶対量が少なく、得
られる拭き布に十分な吸水性や保水性を与えにくくなる
という傾向が生じる。逆に、紙シートの坪量が100g/
2を超えると、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、紙シ
ートに高圧水柱流を施しても、一本一本のパルプ繊維に
長繊維と絡合しうる程度の運動量を与えにくくなる傾向
が生じる。更に、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、得ら
れる拭き布の柔軟性が低下する傾向が生じる。また、本
発明に使用される紙シートの密度(JIS P 8118に示され
た方法で測定)は、0.6g/cm3以下であるのが好まし
い。紙シートの密度が0.6g/cm3を超えると、紙シート
の上から高圧水柱流を施した場合に、パルプ繊維の運動
が抑制され、長繊維とパルプ繊維との絡合が十分でなく
なるばかりでなく、得られる拭き布の柔軟性が低下する
傾向が生じる。
【0015】この紙シートは、予め準備した長繊維ウェ
ブ表面に積層される。この際、長繊維ウェブの坪量と紙
シートの坪量の比は、以下のようにするのが好ましい。
即ち、長繊維ウェブの坪量と、JIS P 8124に示された方
法で測定した紙シートの坪量の比が、長繊維ウェブ/紙
シート=1/1〜19となるようにするのが、好ましい。長
繊維ウェブ/紙シート=1/1未満となると、長繊維の量
に対して、相対的にパルプ繊維の量が少なくなり、得ら
れる拭き布の吸水性や保水性が低下する傾向が生じる。
また、長繊維に対して、廉価なパルプ繊維の量が少なく
なることによって、得られる拭き布自体が高価になると
いう傾向が生じる。逆に、長繊維ウェブ/紙シート=1
/19を超えて、紙シートの坪量が重くなると、紙シート
を構成するパルプ繊維の全てが強固に長繊維と絡合しに
くくなり、得られる拭き布を湿潤させて使用した場合
に、パルプ繊維が脱落しやすくなる傾向が生じる。
【0016】長繊維ウェブの表面に紙シートを積層した
後、紙シートの表面から長繊維ウェブ側に向けて高圧水
柱流を施す。即ち、積層物の紙シート側から長繊維ウェ
ブ側へ高圧水柱流が貫通するようにして、高圧水柱流を
施すのである。この高圧水柱流は、微細な直径のノズル
孔を通して、高圧で水を噴出させて得られるものであ
る。例えば、孔径0.01〜3mm程度のノズル孔を通して、2
0〜150kg/cm2程度の圧力で水を噴出させて得られるも
のである。この水柱流を積層物に施すと、高圧水柱流は
紙シートに衝突する。そして、紙シートはまず長繊維ウ
ェブ上に密着し、次いでこの密着した状態で、紙シート
の破壊が生じ、紙シートを構成するパルプ繊維を単離さ
せ、パルプ繊維に曲げや捩れ等の変形を起こさせると共
に、パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与え、このパ
ルプ繊維にランダムな運動を生じさせる。その結果、こ
れらの複合作用によって、パルプ繊維と長繊維ウェブ中
の長繊維とが絡み合い、更に、このパルプ繊維によって
長繊維同士も絡合することになるのである。
【0017】以上のようにして得られた拭き布は、パル
プ繊維と長繊維が絡合されて一体化したものである。そ
して、この拭き布には、所望に応じて、水やプロピレン
グリコール等の湿潤剤,アルコール類やパラ安息香酸エ
ステル等の抗菌剤,防黴剤,香料等の薬剤等が付与され
て、使い捨て手拭き,ウェットティシュー,ワイパー,
使い捨て雑巾等として使用されるのである。
【0018】
【実施例】
実施例1 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を
構成する長繊維の繊度は、2.2デニールであり、長繊維
不織布の坪量は、15g/m2であった。この長繊維不織
布の表面に、針葉樹晒クラフトパルプを湿式抄紙して得
られた紙シートを積層した。ここで、使用した針葉樹晒
クラフトパルプは、JIS P 8121に示された方法で測定し
たカナダ標準フリーネスが620mlであった。また、紙シ
ートは、JIS P 8124に示された方法で測定した坪量が60
g/m2であった。そして、紙シートが上に位置し、長
繊維不織布が下に位置するようにして、金網で形成され
た移送コンベア上に載置した。次いで、この積層物を20
m/分の速度で移送させながら、孔径0.12mmのノズル孔
が0.64mmの間隔で千鳥状に並んでいる高圧水柱流噴出装
置を用いて、70kg/cm2の水圧で高圧水柱流を噴出さ
せ、紙シートの表面に高圧水柱流を施した。なお、この
拭き布の製造中において、紙シート上に高圧水柱流によ
る水がプール状に滞留することはなかった。以上のよう
にして、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維
不織布を構成している長繊維とが絡合して、一体化され
た拭き布を得た。
【0019】実施例2 ポリエチレンテレフタレート長繊維が集積されてなり、
且つこのポリエチレンテレフタレート長繊維相互間が自
己融着された点融着区域を多数持つ長繊維不織布を準備
した。この長繊維不織布を構成する長繊維の繊度は、2.
3デニールであり、長繊維不織布の坪量は、15g/m2
あった。この長繊維不織布の表面に、針葉樹晒クラフト
パルプ80重量%と広葉樹晒クラフトパルプ20重量%の混
合物を用いて湿式抄紙した紙シートを積層した。ここ
で、使用した針葉樹晒クラフトパルプは、JIS P 8121に
示された方法で測定したカナダ標準フリーネスが660ml
であり、使用した広葉樹晒クラフトパルプは、JIS P 81
21に示された方法で測定したカナダ標準フリーネスが63
0mlであった。また、この紙シートは、JIS P 8124に示
された方法で測定した坪量が40g/m2であった。そし
て、紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下に位置す
るようにして、金網で形成された移送コンベア上に載置
した。次いで、この積層物を20m/分の速度で移送させ
ながら、孔径0.12mmのノズル孔が0.64mmの間隔で千鳥状
に並んでいる高圧水柱流噴出装置を用いて、50kg/cm2
の水圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧
水柱流を施した。なお、この拭き布の製造中において
も、実施例1の場合と同様に、紙シート上に高圧水柱流
による水がプール状に滞留することはなかった。以上の
ようにして、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長
繊維不織布を構成している長繊維とが絡合して、一体化
された拭き布を得た。
【0020】実施例3 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数持つ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を
構成する長繊維の繊度は、2.2デニールであり、長繊維
不織布の坪量は、10g/m2であった。この長繊維不織
布の表面に、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプを湿式抄
紙して得られた紙シートを積層した。なお、未叩解の針
葉樹晒クラフトパルプは、JIS P 8121に示された方法で
測定したカナダ標準フリーネスが690mlであった。ま
た、この紙シートは、JIS P 8124に示された方法で測定
した坪量が50g/m2であった。そして、紙シートが上
に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにして、金
網で形成された移送コンベア上に載置した。次いで、こ
の積層物を20m/分の速度で移送させながら、孔径0.15
mmのノズル孔が1mm間隔で並んでいる高圧水柱流噴出装
置を用いて、60kg/cm2の水圧で高圧水柱流を噴出さ
せ、紙シートの表面に高圧水柱流を施した。なお、この
拭き布の製造中においても、実施例1の場合と同様に、
紙シート上に高圧水柱流による水がプール状に滞留する
こことはなかった。以上のようにして、紙シートを構成
しているパルプ繊維と、長繊維不織布を構成している長
繊維とが絡合して、一体化された拭き布を得た。
【0021】比較例1 針葉樹晒クラフトパルプとして、JIS P 8121に示された
方法で測定したカナダ標準フリーネスが550mlのものを
使用した以外は、実施例1と同様の方法で拭き布を得
た。この拭き布の製造中において、高圧水柱流処理を受
ける紙シート上に、高圧水柱流による水がプール状に滞
留した。そして、高圧水柱流がこの滞留した水に衝突し
て、周囲に水を飛び散らせた。
【0022】比較例2 針葉樹晒クラフトパルプとして、JIS P 8121に示された
方法で測定したカナダ標準フリーネスが510mlのものを
使用し、且つJIS P 8124に示された方法で測定した坪量
が40g/m2である紙シートを用いる以外は、実施例1
と同様の方法で拭き布を得た。この拭き布の製造中にお
いても、比較例1と同様に、高圧水柱流が紙シート上に
滞留した水を周囲に飛び散らせた。
【0023】比較例3 実施例1で使用した長繊維不織布をそのまま拭き布とし
た。
【0024】比較例4 実施例1で使用した紙シートをそのまま拭き布とした。
【0025】実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた
拭き布を下記のテストに供し、その品質を評価した。こ
の結果を表1に示した。
【表1】 記 1)吸水性:拭き布の吸水性を目視による官能評価によっ
て判定した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…
極めて速やかに水を吸水した。4…速やかに水を吸水し
た。3…吸水性は普通であった。2…ややゆっくりと水
を吸水した。1…ゆっくりと水を吸水した。 2)拭き取り性:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞った状
態で机を擦り、拭き取り性を目視による官能で評価し
た。官能評価は、次の5段階で行なった。5…拭き取り
性が極めて優れている。4…拭き取り性が優れている。
3…拭き取り性が普通である。2…拭き取り性がやや不
良である。1…拭き取り性が不良である。 3)柔軟性:拭き布の柔軟性を手指による官能で評価し
た。官能評価は次の5段階で行なった。5…極めて柔軟
である。4…柔軟である。3…柔軟性は普通である。2
…柔軟性がやや劣っている。1…柔軟性が劣っている。 4)繰り返し使用性:拭き布を水に浸漬した後、軽く絞
り、次いで手で揉むという操作を繰り返して、手指によ
る官能で評価した。官能評価は、次の5段階で行なっ
た。5…拭き布の強度は殆ど低下せず、十分に繰り返し
使用可能であった。4…拭き布の強度は若干低下したも
のの、繰り返し使用可能であった。3…拭き布の強度が
低下したが、数回程度の繰り返し使用には耐えられた。
2…拭き布の強度が低下し、繰り返し使用可能とは言え
なかった。1…拭き布の強度低下が激しく、繰り返し使
用は不可能であった。 5)地合い(均一性):拭き布の地合いを目視による官能
で評価した。官能評価は、次の5段階で行なった。5…
極めて均一である。4…良好である。3…普通である。
2…やや不均一で地合いが劣っている。1…極めて不均
一で地合いが劣っている。
【0026】実施例1〜3で得られた拭き布と、比較例
1〜4で得られた拭き布とを比較すれば、明かなよう
に、比較例1及び2に係る方法においては、紙シートを
湿式抄紙して得る際のパルプとしてカナダ標準フリーネ
スが低いパルプを使用したので、紙シートを構成するパ
ルプ繊維同士が強固に絡まり合っており、高圧水柱流を
施しても、パルプ繊維が単離して長繊維と良好に絡合せ
ず、実施例1〜3で得られた拭き布と比較して、吸水
性、柔軟性及び繰り返し使用性に劣るものであった。ま
た、比較例1及び2に係る方法においては、高圧水柱流
による水が紙シート上にプール状に滞留し、この滞留し
た水を高圧水柱流が周囲に飛び散らせるので、高圧水柱
流処理後の拭き布に飛び散った高濃度のパルプを含む水
が付着し、拭き布の表面が不均一になって、地合いの悪
い拭き布しか得られなかった。比較例3及び4で得られ
た拭き布は、長繊維とパルプ繊維とが絡合したものでな
いため、長繊維不織布よりなる比較例3に係る拭き布に
おいては、吸水性や拭き取り性に劣るものであり、紙シ
ートよりなる比較例4に係る拭き布においては、引張強
度が極めて低く、繰り返し使用性に劣り、また柔軟性に
も劣るものであった。
【0027】
【作用及び発明の効果】以上説明したように、本発明に
係る拭き布の製造方法は、長繊維ウェブの表面に、ある
特定値以上のカナダ標準フリーネスを有するパルプを湿
式抄紙して得られる紙シートを積層して、高圧水柱流を
施すものであるため、紙シートを構成するパルプ繊維が
良好に単離すると共に、紙シート上に高圧水柱流による
水がプール状に滞留するのを防止しうる。従って、パル
プ繊維と長繊維とが均一に絡合し、吸水性、柔軟性、拭
き取り性及び繰り返し使用性に優れた拭き布が得られる
という効果を奏する。更に、紙シート上に水がプール状
に滞留するのを防止しうるため、滞留した水が高圧水柱
流によって周囲に飛び散るのを防止でき、高圧水柱流処
理後の拭き布の表面に高濃度のパルプを含む水が付着し
にくい。従って、得られる拭き布の表面が不均一になる
ことを防止でき、地合いの良好な拭き布が得られるとい
う効果を奏する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の長繊維が集積されてなる長繊維ウ
    ェブの表面に、JISP8121に示された方法で測定
    したカナダ標準フリーネスが600ml以上のパルプを
    湿式抄紙した後、乾燥して得られた実質的にパルプ繊維
    で構成された紙シートを積層した後、該紙シートの表面
    から長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すことに
    より、該紙シートを構成するパルプ繊維と該長繊維と
    を絡合させることを特徴とする拭き布の製造方法。
  2. 【請求項2】 紙シートとして、未叩解の木材パルプを
    湿式抄紙した後、乾燥して得られた実質的にパルプ繊維
    で構成された紙シートを使用する請求項1記載の拭き布
    の製造方法。
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