JP3520568B2 - 拭き布及び拭き布の製造方法 - Google Patents

拭き布及び拭き布の製造方法

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JP3520568B2
JP3520568B2 JP14671694A JP14671694A JP3520568B2 JP 3520568 B2 JP3520568 B2 JP 3520568B2 JP 14671694 A JP14671694 A JP 14671694A JP 14671694 A JP14671694 A JP 14671694A JP 3520568 B2 JP3520568 B2 JP 3520568B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用ワイパー、ウェ
ス、カウンタークロス、布巾、雑巾等のための洗濯して
繰り返し再使用可能な拭き布及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、繰り返し使用可能な拭き布と
して、セルロールパルプ繊維を嵩高に集積した後、合成
高分子の樹脂の水溶性エマルジョンを接着剤として塗布
或いは含浸させて含有せしめて乾燥させた乾式パルプシ
ートが使用されている。しかしながら、この乾式パルプ
シートの拭き取り性は良好であるが、使用されているセ
ルロースパルプ繊維が短繊維であるため湿潤強度が低
く、濡れた状態で使用する際や、洗濯時に破れ易いとい
う欠点がある。これを改善するためには、前記高分子の
樹脂からなる接着剤を多量に含有させる必要があるが、
短繊維のみで構成されているため、たとえそのような接
着剤で処理しても強度は十分に発現しない。更に、接着
剤の含有量が多いと、拭き布としての重要な特性である
吸水性や保水性が低下するとともに、柔軟性が悪化する
という欠点が新たに生じる。
【0003】一方、親水性繊維であるレーヨン繊維を集
積してウェブとした後、レーヨン繊維相互間を絡合させ
るため、並びに拭き取り性を向上させる目的で開孔を設
けるためにウェブに水柱流を施す方法も知られている。
しかしながら、水柱流によって絡合及び開孔させるため
には、レーヨン繊維の集積量が多くなければならない。
即ち、レーヨン繊維の集積量の少ないウェブは、もとも
とレーヨン繊維相互間に比較的大きな間隙が形成されて
おり、水柱流を施しても、その水柱流はレーヨン繊維に
衝突せず通過してしまい、その結果水柱流によってレー
ヨン繊維同士の絡合は勿論、ウェブへの開孔も施すこと
ができない。
【0004】従って、レーヨン繊維を用いる拭き布の場
合、レーヨン繊維の集積量を多くする必要があるが、そ
うすると拭き布としては過剰品質になり、製造コストも
高いものになるという欠点がある。又、レーヨン繊維は
親水性に優れているため、水を良く吸収して膨潤し、そ
の剛性が極端に低下し、洗濯時に繊維がほぐれ易くなる
ため、繊維同士を固着するための高分子の樹脂からなる
接着剤を用いる必要があるが、レーヨン繊維の集積量が
多い場合は接着剤の含有量も多くする必要がある。しか
しながら、前記接着剤の含有量を多くすると、拭き布と
しての保水性が低下するとともに、柔軟性が悪化すると
いう新たな欠点が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、上記欠点を解決しようとして種々研究を行
った。その結果、本発明者等が提案した以下に示すよう
な方法で得られる複合シートによって、上記欠点を、基
本的には解決することが可能であることに着目した。即
ち、その方法とは、本発明者等は疎水性の連続長繊維よ
りなる長繊維ウェブとパルプ繊維よりなる紙シートとを
積層した後、紙シート側から長繊維ウェブ側に向けて高
圧水柱流を施すことにより、長繊維とパルプ繊維とを絡
合させて拭き布を得るということから構成されている
(特開平5ー253160号公報、特開平5ー2770
53号公報、特開平5ー285083号公報、特開平5
ー286100号公報、特開平6ー17365号公報
等)。この複合シートは、水を吸収し難い疎水性長繊維
が主体となって形態を保持しているため、湿潤強度が高
く、濡れた状態での使用時や、洗濯時に破れ易い欠点を
解消し得るのである。又、前記複合シートは、疎水性長
繊維にパルプ繊維が絡合しているとともに、複合シート
には開孔が生じているため、水の吸水力も低下せず、十
分な拭き取り性を有し、拭き布として好適に使用し得る
のである。
【0006】しかしながら、前記の方法で得られた複合
シートには、それを洗濯して繰り返し使用する場合に
は、その製造方法に由来する欠点が存在する。この複合
シートは、高圧水柱流によって疎水性長繊維とパルプ繊
維間やパルプ繊維相互間で複雑に絡合し、一体化してい
るので、濡らした状態での使用や流水下での手による揉
み洗い等軽度の洗濯では問題を生じないが、洗濯機にお
いて大量の水を使用して洗濯行うとパルプ繊維が脱落す
るという問題を生じる。即ち、これは、パルプ繊維の平
均長さが1〜5mmと非常に短く、更に親水性に優れて
いるため、機械的な撹拌力のもとで洗濯を行った場合、
水を吸収することによって膨潤し、その剛性が極端に低
下し、更に、洗濯機の高回転撹拌によって大きな剪断力
がパルプ繊維に加えられることによって、長繊維やパル
プ繊維相互間での絡合が解かれ、パルプ繊維部分の脱落
が発生するからであり、その結果として、徐々に拭き布
の吸水性や保水性の機能が低下してついには使用できな
くなるのである。
【0007】本発明者等は、前記問題点を解決すべく鋭
意研究を重ね、前記複合シートに少量の特定のガラス転
移温度の接着機能を有する自己架橋型の合成高分子から
なる樹脂を含有させると拭き布としての吸水性、保水
性、柔軟性、拭き取り性等の性能を損なうことなく短い
パルプ繊維の脱落を防止することができ前記欠点が解決
できること、及び前記複合シートが高圧水柱流を施して
乾燥する前の湿潤状態にある間に前記自己架橋型の合成
高分子からなる樹脂をスプレー方式で紙シート側のみか
ら塗布することにより、効率的に均一に前記複合シート
に樹脂を含有させることが出来ることを見出し本発明を
完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明の目的は、前記のようにして
得られる複合シートに特定の接着機能を有する自己架橋
型の合成高分子からなる樹脂を少量含有させることによ
って該複合シートの吸水性、保水性、柔軟性、拭き取り
性等の拭き布としての必須性能を低下させないで、更に
耐洗濯性を付与し、繰り返し再使用が可能な拭き布を提
供すること及び前記拭き布を効率よく製造できる製造方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、疎水性
で、且つ熱可塑性の連続長繊維が集積されてなる長繊維
ウェブの片面に、多数のパルプ繊維よりなる紙シートを
積層した後、該シート側から該長繊維ウェブ側に向けて
高圧水柱流を施すことにより、該パルプ繊維と該長繊維
とを絡合させてなる複合シートから構成された拭き布に
おいて、該複合シートに水不溶性で、ガラス転移温度
−50〜+20℃であり、合成高分子からなる自己架橋
型樹脂を、複合シートを構成する紙シートの絶乾重量当
り2〜17重量%含有することを特徴とする拭き布であ
る。本発明の第二は、疎水性で、且つ熱可塑性の連続長
繊維が集積されてなる長繊維ウェブの片面に、多数のパ
ルプ繊維よりなる紙シートを積層した後、該シート側か
ら該長繊維ウェブに向けて高圧水柱流を施すことによ
り、該パルプ繊維と該長繊維とを絡合させてなる複合シ
ートから拭き布を製造する方法において、該高圧水柱流
を施した後、該複合シートのJIS P 8127によ
る水分が15〜75%の湿潤状態で、合成高分子からな
りガラス転移温度が−50〜+20℃の自己架橋型樹脂
を、スプレー方式で前記複合シートを構成する紙シート
の面側から該紙シートの絶乾重量当り2〜17重量%塗
布し、乾燥することを特徴とする拭き布の製造方法であ
る。
【0010】本発明においては、疎水性で、且つ熱可塑
性の連続長繊維が集積されてなる長繊維ウェブを準備す
る。例えば、この様な長繊維ウェブは、疎水性で、且つ
熱可塑性の樹脂を溶融紡糸して長繊維を得、この長繊維
を捕集コンベア上に堆積することによって得ることがで
きる。ここで、長繊維としては、例えばポリオレフィン
系長繊維、ポリエステル系長繊維、ポリアミド系長繊
維、ポリアクリル酸エステル系長繊維等を挙げることが
でき、適宜これらの中から選択して使用することができ
る。
【0011】本発明において、長繊維を使用する理由
は、長繊維よりなる長繊維ウェブは、短繊維よりなる短
繊維ウェブよりも、繊維間が絡合している場合、引張強
度や形態安定性に優れているからである。更に、長繊維
の場合、高圧水柱流を施しても、水柱流と共に繊維が流
出し難いからである。又、長繊維の繊度は、1〜7デニ
ール、好ましくは1〜4デニールである。長繊維の繊度
が7デニールを超えると、長繊維ウェブの柔軟性が低下
し、拭き布として使用した場合の使用感が低下する。逆
に、長繊維の繊度が1デニール未満になると、長繊維の
製造条件が厳密になって、長繊維、ひいては長繊維ウェ
ブを高速度で製造し難くなる。
【0012】長繊維として疎水性で、且つ熱可塑性を有
する繊維を用いる理由は、長繊維として疎水性のものを
使用すると、親水性のものを使用した場合に比べて、水
を吸収して膨潤し難く、長繊維の湿潤強度が低下し難い
からである。長繊維の湿潤強度が低下し難いと、長繊維
を含有する拭き布も湿潤強度が低下し難く、濡れた状態
での使用の際や、洗濯時に破れ易いという欠点を防止し
うるからである。
【0013】前記長繊維ウェブの坪量は、5〜30g/
2、好ましくは、5〜20g/m2である。長繊維ウェ
ブの坪量が30g/m2を超えると、長繊維ウェブの片
面にパルプ繊維からなる紙シートを積層して、該紙シー
トから長繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施しても、
紙シートを構成するパルプ繊維が、長繊維ウェブの裏面
(紙シートと当接していない面)に殆ど移動し難くなり、
厚み方向における吸水性に差が出てくるようになる。逆
に、長繊維ウェブの坪量が5g/m2未満になると、長
繊維ウェブの形態安定性が低下し、得られる拭き布の湿
潤強度が低下する。更に、長繊維相互間の間隙が大きく
なって、高圧水柱流を施した時に、その間隙からパルプ
繊維が流失し、無駄になる上、使用済みの排水を回収し
た場合、その中にパルプ繊維が大量に混入するので、そ
の処理にも困るようになる。
【0014】本発明において使用する長繊維ウェブは、
長繊維相互間が自己融着した、いわゆる長繊維不織布で
あっても良いし、また長繊維相互間が結合していないフ
リース状の長繊維フリースであっても良い。とりわけ、
前者の長繊維不織布のうちでも、長繊維相互間が自己融
着した点融着部が、散点状に多数配置されたものを使用
するのが好ましい。この理由は、長繊維相互間が自己融
着している点融着部を持つ長繊維不織布は、形態安定性
に優れると共に、点融着部以外の部分においては長繊維
相互間が自己融着されておらず、自由な状態で集積され
ているため、優れた柔軟性が得られ、且つパルプ繊維と
良好に絡合し易いからである。
【0015】前記のようにして準備した長繊維ウェブの
片面に、多数のパルプ繊維よりなる紙シートを積層す
る。この紙シートとしては、従来公知の種々の任意のも
のを使用することができる。紙シートの坪量も、任意に
決定しうる事項であるが、特にJIS P 8124に
よる方法で測定した坪量が10〜200g/m2である
紙シートが好適に用いられる。紙シートの坪量が10g
/m2未満では、パルプ繊維の絶対量が少なくなり、得
られる拭き布に十分な吸水性や保水性を与え難くなる。
逆に、紙シートの坪量が200g/m2を超えると、得
られる拭き布の全体の坪量が大きくなりすぎて、拭き布
の柔軟性が低下する。
【0016】紙シートを構成するパルプ繊維としては、
針葉樹及び広葉樹木材をクラフト法、サルファイト法、
ソーダ法、ポリサルファイト法等で蒸解して、必要に応
じて得られる未晒パルプ繊維或いは晒パルプ繊維、また
は前記針葉樹木材からのグランドパルプ繊維、サーモメ
カニカルパルプ繊維等の機械パルプ繊維を、単独で、ま
たは混合して使用することができる。針葉樹パルプ繊維
と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、針葉樹パルプ繊
維:広葉樹パルプ繊維=100〜20:0〜80、好ま
しくは100〜40:0〜60の範囲である。広葉樹パ
ルプ繊維が全パルプ繊維の80%を超えると、高圧水柱
流を複合シートに施した際に、パルプの消失量が増加す
るばかりでなく、絡合後のシートの柔軟性が低下する。
【0017】本発明に用いられる前記紙シートのJIS
P 8118の方法による密度は、0.65g/cm
3以下である。紙シートの密度が0.65g/cm3を超
えると、紙シートの上から高圧水柱流を施した場合に、
パルプ繊維の運動が抑制されるので、長繊維とパルプ繊
維の絡合が不十分になり、絡合後のシートの柔軟性が低
下する。しかしながら、紙シートの密度を小さくしよう
としても限度があり、その下限はティッシュペーパーの
ように柔らかい状態の0.20g/cm3程度である。
【0018】前記紙シートは、通常前記パルプ繊維を含
有するスラリーを用いて公知の湿式抄紙機において抄紙
して、ドライヤーで乾燥した後得られるが、抄紙の際、
例えば、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂或いはそ
の変成物、ポリアミン・エピクロルヒドリン樹脂、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂等の湿潤紙力増強剤をスラリー中に
添加しても良い。
【0019】この紙シートは、予め準備した長繊維ウェ
ブの片面に積層されるが、この時にJIS P 812
4の方法による長繊維ウェブの坪量と紙シートの絶乾坪
量比は、長繊維ウェブ/紙シート=1/1〜1/30と
なるように調整する。長繊維ウェブ/紙シートが1/1
を超えて紙シートの比が減少すると、長繊維の量に対し
て、相対的にパルプ繊維の量が少なくなり、得られる拭
き布の吸水性や保水性が低下する。又、長繊維に対し
て、廉価なパルプ繊維の量が少なくなることによって、
得られる拭き布自体の製造コストが高くなるので適さな
い。逆に、長繊維ウェブ/紙シートが1/30を超え
て、紙シートの比が増加すると、紙シートを構成するパ
ルプ繊維の全てが強固に絡合し難くなり、その結果得ら
れる拭き布を水に湿潤させて使用した場合に、パルプ繊
維が脱落し易くなるので適さない。
【0020】長繊維ウェブの片面に紙シートを積層した
後、紙シートの表面から長繊維ウェブ側に向けて高圧水
柱流を施す際には、積層物の紙シート側から長繊維ウェ
ブ側へ高圧水柱流が貫通するようにして、高圧水柱流を
施すのである。この高圧水柱流は、微細な孔径、例えば
直径が0.01〜0.3mmのノズル孔を通して高い水
圧、例えば、20〜180kg/cm2の圧力で水を噴
出させて得られるものである。この高圧水柱流を前記積
層物に施すと、高圧水柱流は、まず紙シートに衝突して
紙シートが長繊維ウェブ上に密着させ、次いでこの密着
した状態で、紙シートの部分的な破壊が生じ、その部分
の紙シートを構成するパルプ繊維を単離させ、パルプ繊
維に曲げや捩れ等の変形を起こさせると共に、パルプ繊
維に運動エネルギーを十分に与え、ランダムな運動を生
じさせる。その結果、これらの複合作用によって、パル
プ繊維と長繊維ウェブ中の長繊維とが絡み合い、更に、
このパルプ繊維によって長繊維同士も絡合することにな
るのである。
【0021】本発明の拭き布は、前記複合シートに耐洗
濯性を付与するために接着機能を有する合成高分子から
なる樹脂を含有している。本発明に用いられる樹脂とし
ては水不溶性で、且つ、自己架橋型である必要がある。
樹脂が水に可溶性である場合、洗濯時に樹脂が溶出して
パルプ繊維の脱落が生じ、結果的に、拭き布の吸水性や
保水性を低下させる。又、樹脂が自己架橋型でない場
合、何回も繰り返し洗濯を行うと徐々に樹脂の強度低下
が生じ、パルプ繊維が脱落するようになるため、拭き布
の吸水性や保水性の低下が生じる。前記樹脂のガラス転
移温度は、−50〜+20℃、好ましくは−45〜+1
0℃である。前記樹脂のガラス転移温度が+20℃を超
えて高くなると、樹脂の剛性が高くなるため、結果的
に、樹脂を塗布した複合シートの柔軟性が減少するので
好ましくない。逆に、前記樹脂のガラス転移温度が−5
0℃未満であると、樹脂の粘着性が高くなり、樹脂を塗
布した複合シート表面のべとつきが生じるので適さな
い。
【0022】使用される樹脂としては顔料塗工、各種の
貼合せに接着剤として用いられている合成高分子からな
る樹脂の水系エマルジョン、或いはラテックス等の従来
公知のものが使用でき、特に限定するものではないが、
例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エ
ステル、エチレン−酢酸ビニル共重合物、スチレン−ブ
タジエン共重合物、ニトリル−ブタジエン共重合物、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の水系エマルジョ
ン或いはラテックス類を挙げることができる。これらの
樹脂は単独で使用しても良いし、二種類以上の樹脂を混
合して使用しても良く、更に、必要に応じて架橋剤、触
媒等の助剤を添加して使用しても良い。樹脂の使用に際
しての形態は前記したごとく水、溶剤等の溶媒にエマル
ジョンの形で存在していても良いし、溶解した形態で存
在しても良いが、複合シートに塗布した後に加熱乾燥す
ると自己架橋するとともに水不溶性となるものである。
【0023】前記の接着機能を有する樹脂をパルプ繊維
と長繊維が絡合した複合シートに含有させる手段として
は、従来公知の任意の手段を使用することができる。具
体的には含浸方式、サイズプレスによる塗布方式、ロー
ルコーター、コンマコーター、スリットダイコーター等
による塗工方式を挙げることができ、更にグラビアコー
ター、ロータリースクリーン等による印刷方式で複合シ
ートの全体に含有させることができる。これらの方式に
よって前記樹脂を含有させる方法の場合、複合シート
は、高圧水柱流による繊維の絡合が完了させられた後
に、公知のスルードライヤーのような乾燥機において加
熱乾燥によりJIS P 8127による水分が8%以
下まで乾燥させられた後、オフマシンで前記樹脂を含有
させるための処理が施される。樹脂を含有させる処理が
完了した複合シートは、再び公知のスルードライヤで風
乾水分(JIS法で8重量%以下)まで乾燥される。
【0024】しかしながら、本発明の拭き布は、前記高
圧水柱流を施した複合シートを乾燥することなく、該複
合シートの水分を公知のロールプレスのような絞り機で
JIS P 8127による水分で15〜75%、好ま
しくは30〜70%の範囲に調整した後、該複合シート
の紙シート側からのみ、水不溶性で接着機能を有する合
成高分子からなる樹脂をスプレー方式にて塗布すると、
前記樹脂のシート内部への迅速な浸透が生じ、拭き布の
紙シート側は勿論、長繊維側にも均一に樹脂を含有させ
ることができるので、吸水性、保水性、柔軟性、拭き取
り性等の性能を損なうことなく、十分な耐洗濯性を付与
することができる。この方法において、前記複合シート
の水分が75%を超えると、複合シートの内部に水分が
過剰に存在するため合成高分子の樹脂が紙シート側より
浸透して長繊維ウェッブ側まで到達する時間が長くな
り、逆に、前記複合シートの水分が15%未満の場合、
スプレーにて塗布した樹脂のシート内部への浸透が困難
となり、長繊維ウェブ側まで樹脂が到達しないので、洗
濯時に長繊維側からのパルプ繊維の脱落を防止するため
には樹脂の塗布量を増やすか、複合シートの両面に樹脂
をスプレー塗布しなければならなくなり、結果的に拭き
布の柔軟性、吸水性、保水性が低下するので好ましくな
い。この方法では、高圧水柱流を施した後の複合シート
は樹脂を含有させるために加熱乾燥をする必要がなく、
しかもオンラインで樹脂を含有させるための処理ができ
るので熱効率と操業効率が極めて優れる。
【0025】本発明で用いられる接着機能を有する樹脂
の含有量は、複合シートを構成する紙シートの絶乾重量
当り2〜17重量%、好ましくは2.5〜15重量%で
ある。樹脂の含有量が17重量%を超えると、紙シート
を構成するパルプ繊維の表面全体に樹脂皮膜が形成され
るので、紙シートの剛性が高くなり、結果的に、拭き布
の柔軟性が低下し、更に、樹脂は疎水性であるため、パ
ルプ繊維の親水性を低下させ、拭き布の吸水性や保水性
を低下させるので適さない。この吸水性は、本発明で
は、JIS L 1096による吸水速度が15秒以内
で示される範囲内であれば実用的に問題は生じない。一
方、樹脂の含有量が2重量%未満では、パルプ繊維量に
対して樹脂量が不足するため、パルプ繊維を固定するこ
とができず、洗濯時にパルプ繊維の脱落が生じてしま
い、拭き布として必要な吸水性や保水性を低下させるの
で、繰り返し再使用ができないから適さない。
【0026】以上説明したように高圧水柱流を施して、
パルプ繊維と長繊維を絡合させた複合シートに樹脂を塗
布或いは含浸により含有させ、その後乾燥工程で加熱処
理された複合シートは拭き布として優れた保水性と吸水
性を有し、かつ洗濯することによって繰り返し再使用す
ることが可能である。とりわけ、高圧水柱流処理を施し
た複合シートを加熱乾燥することなく、機械的に絞って
脱水して水分を調整し、紙シート側からのみ樹脂をスプ
レー塗布して含有させると、オンラインで前記複合シー
ト内で樹脂を迅速に浸透させて長繊維側まで均一に含有
させることができるので、前記の拭き布としての優れた
特性を付与させると同時に、乾燥熱効率と操業効率を顕
著に改善することができる。そして、このようにして得
られた拭き布は、そのままで、或いは所望に応じて、水
やプロピレングリコール等の湿潤剤、アルコール類やパ
ラ安息香酸エステル等の抗菌剤、防かび剤、香料等の薬
剤等が付与されて、工業用ワイパー、ウェス、カウンタ
ークロス、ふきん、雑巾等として好適に用いられる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0028】実施例1 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維の相互間が自己融着区域を多数もつ長
繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を構成する長
繊維の繊度は、2.3デニールであり、長繊維不織布の
坪量は、14g/m2であった。この長繊維不織布の表
面に、フリーネスが600mlCSFの針葉樹晒クラフ
トパルプ繊維を用いて公知の湿式抄紙機で抄紙して得ら
れた紙シートを積層した。この紙シートは、JIS P
8124による坪量が35g/m2であり、JIS
P 8118による密度が0.52g/cm3であっ
た。長繊維/紙シートの絶乾重量比は、1/2.5であ
った。
【0029】次いで、紙シートが上に位置し、長繊維が
下に位置するようにして、金網で形成された移送コンベ
ア上に載置し、この積層物を20m/分の速度で移送さ
せながら、孔径0.12mmのノズル孔が0.64mm
間隔で千鳥状に並んで設けてある高圧水柱流の噴出装置
を用いて40kg/cm2の水圧で水柱流を噴出させ、
紙シートの表面から長繊維側に向けて前記水柱流を通過
させ、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不
織布を構成している長繊維とが絡合して、両者が一体化
され、1個当りの平均面積が0.5mm2で100個/
cm2の開孔を有する複合シートを得た。この複合シー
トを120℃の温度に維持されたスルードライヤーに1
分間通して加熱乾燥し、JIS法による水分で0.04
%の乾燥複合シートを得た。
【0030】次ぎに、接着機能を有する自己架橋型の合
成高分子の樹脂としてアクリルのエマルジョン(商品番
号:AE−948、樹脂のガラス転移温度:−47℃、
日本合成ゴム社製)を用いて固形分濃度1.6重量%の
希釈液を準備した。前記乾燥複合シートをこの希釈液に
含浸した後、絞り機で余分な液を絞り出し、その後12
0℃に維持されたスルードライヤーに1分間通して加熱
乾燥して、JIS法による水分で0.04%の複合シー
トからなる拭き布を得た。この拭き布へのアクリルの固
形分としての含有量は絶乾ベースで1g/m2(紙シー
トの重量当り2.9重量%)であった。
【0031】実施例2 接着機能を有する自己架橋型合成高分子の樹脂としてエ
チレン・酢酸ビニル・アクリル共重合体のエマルジョン
(商品番号:S−900、樹脂のガラス転移温度:−2
0℃、住友化学社製)を用い、固形分濃度18重量%の
希釈液を準備し、含有量が絶乾ベースで5g/m2(紙
シートの重量当り14.3重量%)になるように調整し
たこと以外は、実施例1と同様にして含浸により複合シ
ートからなる拭き布を得た。
【0032】実施例3 実施例2で用いたのと同じ複合シート及び合成高分子樹
脂のエマルジョン(エチレン・酢酸ビニル・アクリル共
重合体)を用い、該樹脂にウレタン系架橋剤(商品番
号:アデカポンタイターHUX−XW、旭電化工業社
製)を樹脂との使用比率が重量比で樹脂:架橋剤=1
0:1のように配合し、希釈液の固形分濃度が4.5重
量%になるように調整し、この希釈液を用いてグラビア
塗工方式にて片面に絶乾ベースで2.8g/m2づつ、
複合シートの両面(紙シートの重量当り14.5重量
%)に塗工した後、実施例1と同様にして複合シートか
らなる拭き布を得た。
【0033】実施例4 ポリエチレンテレフタレート長繊維が集積されてなり、
且つこのポリエチレンテレフタレートの長繊維相互間が
自己融着された点融着区域を多数もつ長繊維不織布を準
備した。この長繊維不織布を構成する長繊維の繊度は、
2.0デニールであり、長繊維不織布の坪量は12g/
2であった。この長繊維不織布の表面に、針葉樹晒ク
ラフトパルプ繊維を用いて湿式抄紙して得られた紙シー
トを積層した。この紙シートの坪量は68g/m2、密
度は0.48g/cm3、長繊維/パルプ繊維の絶乾ベ
ースの重量比は1/5.7であった。
【0034】次いで、紙シートが上に位置し、長繊維不
織布が下に位置するようにして、金網で形成された移送
コンベア上に載置し、この積層物を30m/分の速度で
移送させながら、孔径0.15mmのノズル孔が1mm
間隔で並んで設けてある高圧水柱流の噴出装置を用い
て、100kg/cm2の水圧で水柱流を噴出させ、紙
シートの表面から長繊維側へ水柱流を通過させ、実施例
1と同様にして複合シートを加熱乾燥した。得られた複
合シートは、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長
繊維不織布を構成している長繊維とが絡合して、両者が
一体化され、1個当りの平均面積が1.6mm2で20
個/cm2の開孔を有するものであった。
【0035】前記複合シート及び実施例2で用いたのと
同じ合成高分子樹脂のエマルジョン(エチレン・酢酸ビ
ニル・アクリル共重合体)を用いて、樹脂の固形分濃度
6.5%の希釈液を準備し、サイズプレス方式にて樹脂
の含有量が絶乾ベースで4.5g/m2(紙シート重量
当り6.6重量%)となるように塗布し、実施例1と同
様にして複合シートからなる拭き布を得た。
【0036】実施例5 ポリプロピレン長繊維が集積されてなり、且つこのポリ
プロピレン長繊維相互間が自己融着された点融着区域を
多数もつ長繊維不織布を準備した。この長繊維不織布を
構成する長繊維の繊度は、2.3デニールであり、長繊
維不織布の坪量は、14g/m2であった。この長繊維
不織布の表面に、針葉樹晒クラフトパルプ繊維を用いて
湿式抄紙して得られた紙シートを積層した。この紙シー
トの坪量は35g/m2、密度は0.52g/cm3、長
繊維/パルプ繊維の絶乾ベースの重量比は1/2.5で
あった。
【0037】次いで、紙シートが上に位置し、長繊維不
織布が下に位置するようにして、金網で形成された移送
コンベア上に載置し、この積層物を20m/分の速度で
移送させながら、孔径0.12mmのノズル孔が0.6
4mm間隔で千鳥状に並んで設けてある高圧水柱流の噴
出装置を用いて、40kg/cm2の水圧で水柱流を噴
出させ、紙シートの表面から長繊維側へ水柱流を通過さ
せ、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織
布を構成している長繊維とが絡合して、両者が一体化さ
れた複合シートを得た。この複合シートを加熱乾燥する
ことなく、二軸で加圧ニップをかけることが可能なプレ
スロールへ導入、通過させ脱水した。得られた複合シー
トのJIS P 8127による水分は28.6%であ
った。
【0038】次に、接着機能を有する合成高分子の樹脂
として自己架橋型アクリルのエマルジョン(商品番号:
AE−948、樹脂のガラス転移温度:−47℃、日本
合成ゴム社製)を用いて固形分濃度10重量%の希釈液
を準備した。フラットタイプのスプレーノズル(チップ
番号:600011、スプレーイングシステムスジャパ
ン社製)が複合シートの流れ方向と直角の方向(クロス
方向)に35cm間隔で並んで設けてあるスプレー塗布
装置で、前記ノズルと複合シートの表面の間(高さ)を
50cmに調整して固定したものを2系列準備し、それ
ぞれの系列のノズルが互いに千鳥状になるように配置し
た。
【0039】次いで、前記水分が28.6%の湿潤状態
にある複合シートをオンラインで前記スプレー塗布装置
に20m/分で移送させながら、5kg/cm2の圧力
で前記希釈液を複合シートの紙シートの表面のみに噴霧
し、その後120℃の温度に維持された公知のスルード
ライヤーに1分間通し、JIS法による水分が0.04
%の乾燥複合シートからなる拭き布を得た。複合シート
におけるアクリル樹脂の含有量は、絶乾ベースで0.8
g/m2(紙シートの重量当り2.3%)であった。
【0040】実施例6 実施例2で用いた樹脂(自己架橋型エチレン・酢酸ビニ
ル・アクリル共重合体のエマルジョン、商品番号:S−
900、ガラス転移温度:−20℃)を、固形分濃度4
0重量%の希釈液を3kg/cm2で噴霧して、樹脂の
含有量が絶乾ベースで5.5g/m2(紙シートの重量
当り15.7%)に調整したこと以外は、実施例5と同
様にして複合シートの拭き布を得た。
【0041】実施例7 実施例4で用いたポリエチレンテレフタレート長繊維か
らなる不織布の表面に、針葉樹晒クラフトパルプを湿式
抄紙して得られた坪量が100g/m2、密度が0.4
8g/cm3の紙シートを積層した。長繊維/パルプ繊
維の絶乾ベースの重量比は1/8.3であった。次い
で、紙シートが上に位置し、長繊維不織布が下に位置す
るようにして、金網で形成された移送コンベア上に載置
し、この積層物を30m/分の速度で移送させながら、
孔径0.15mmのノズル孔が1mm間隔で並んでいる
高圧水柱流噴出装置を用いて、100kg/cm2の水
圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧水柱
流を施し、紙シートを構成しているパルプ繊維と、長繊
維不織布を構成している長繊維とが絡合して、両者が一
体化された複合シートを得た。この複合シートを実施例
5と同様にして二軸で加圧ニップが可能なプレスロール
へ導入、通過させて、JIS法による水分が73.7%
の湿潤状態にある複合シートを得た。続いて、接着機能
を有する合成高分子の樹脂として自己架橋型エチレン・
酢酸ビニル共重合体のエマルジョン(商品番号:S−8
30、ガラス転移温度:+20℃、住友化学社製)を用
いて固形分濃度25重量%の希釈液を準備した。その
後、前記水分が73.7%の湿潤状態にある複合シート
の紙シート表面側のみに、実施例5と同様にしてスプレ
ー装置で前記希釈液を5kg/cm2で噴霧、塗布し、
乾燥して複合シートからなる拭き布を得た。複合シート
における共重合体樹脂の絶乾ベースの含有量は、3g/
2(紙シートの重量当り3%)であった。
【0042】実施例8 ウレタン系架橋剤(商品番号:アデカボンタイターHU
X−XW、旭電化工業社製)を、合成高分子の樹脂との
使用比率が重量比で樹脂:架橋剤=10:1のように配
合し、噴霧塗布のための希釈液の固形分濃度を35重量
%に調整して15kg/cm2で噴霧、塗布し、更に樹
脂の含有量が絶乾ベースで15g/m2(紙シートの重
量当り15%)としたこと以外、実施例7と同様にして
複合シートからなる拭き布を得た。
【0043】比較例1 合成高分子樹脂のエマルジョンの希釈液の固形分を0.
8重量%とし、複合シートへの樹脂の含有量を絶乾ベー
スで0.5g/m2(紙シートの重量当り1.4%)に
したこと以外は実施例1と同様にし、含浸により複合シ
ートからなる拭き布を得た。
【0044】比較例2 実施例2で用いた合成高分子の樹脂(エチレン・酢酸ビ
ニル・アクリル共重合体)のエマルジョンの固形分濃度
を36重量%とし、複合シート経の含有量を絶乾ベース
で6.5g/m2(紙シート重量当り18.6%)にし
たこと以外は、実施例1と同様にして含浸により複合シ
ートからなる拭き布を得た。
【0045】比較例3 接着機能を有する合成高分子の樹脂としてエチレン・塩
化ビニル共重合体エマルジョン(商品番号:SE−13
10、樹脂のガラス転移温度:+30℃、住友化学社
製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして含浸に
より複合シートからなる拭き布を得た。樹脂の紙シート
重量当りの含有量は2.9%であった。
【0046】比較例4 接着機能を有する合成高分子の樹脂として水溶性アクリ
ル溶液(商品番号:125ー4441、樹脂のガラス転
移温度:−46℃、カネボウ・エヌエスシー社製)を固
形分濃度18重量%の希釈液を用いたこと及びグラビア
塗工方式にて片面当り絶乾ベースで2.5g/m2
つ、両面塗工したこと以外は、実施例1と同様にして塗
工により複合シートからなる拭き布を得た。樹脂の紙シ
ート重量当りの含有量は14.3%であった。
【0047】比較例5 高圧水柱流を施した後に得られる複合シートを、加圧ニ
ップをかけることが可能なプレスロールへ導入し、通過
させてJIS法による複合シートの水分を13.0%と
したこと及び合成高分子の樹脂の希釈液を40重量%と
し、3kg/cm2で噴霧、塗布し、樹脂の含有量を絶
乾ベースで5.6g/m2(紙シートの重量当り16.
0%)としたこと以外は、実施例5と同様にして複合シ
ートからなる拭き布を得た。
【0048】比較例6 高圧水柱流を施した後に得られる複合シートを、加圧ニ
ップをかけることが可能なプレスロールへ導入し、通過
させてJIS法による複合シートの水分を80.0%と
したこと及び合成高分子の樹脂の希釈液を35重量%と
し、15kg/cm2で噴霧、塗布し、樹脂の含有量を
絶乾ベースで15.0g/m2(紙シートの重量当り1
5.0%)としたこと以外は、実施例7と同様にして複
合シートからなる拭き布を得た。
【0049】比較例7 高圧水柱流を施した後に得られる複合シートを、加圧ニ
ップをかけることが可能なプレスロールへ導入し、通過
させてJIS法による複合シートの水分を66.7%と
したこと及び合成高分子の樹脂の希釈液を10重量%と
し、5kg/cm2で噴霧、塗布し、樹脂の含有量を絶
乾ベースで0.5g/m2(紙シートの重量当り1.4
%)としたこと以外は、実施例5と同様にして複合シー
トからなる拭き布を得た。
【0050】比較例8 合成高分子の樹脂の希釈液を45重量%とし、15kg
/cm2で噴霧、塗布し、複合シートへの樹脂の含有量
を絶乾ベースで20.0g/m2(紙シートの重量当り
20.0%)とした以外は、実施例7と同様にして複合
シートからなる拭き布を得た。
【0051】比較例9 接着機能を有する合成高分子の樹脂として自己架橋型エ
チレン・塩化ビニル共重合体のエマルジョン(商品番
号:SE−1310、樹脂のガラス転移温度:+30
℃、住友化学社製)を用いたこと以外は、実施例6と同
様にして複合シートからなる拭き布を得た。
【0052】比較例10 接着機能を有する合成高分子の樹脂として自己架橋型で
ない酢酸ビニル・エチレン・塩化ビニル共重合体のエマ
ルジョン(商品番号:S−840、樹脂のガラス転移温
度:+3℃、住友化学社製)を用いたこと以外は、実施
例7と同様にして複合シートからなる拭き布を得た。
【0053】実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた
拭き布を次に示される試験法1により試験し、その品質
を評価した。
【0054】試験法1 (1)柔軟性 拭き布の柔軟性を手触りによる官能で評価した。官能評
価は、次の5段階で行った。 5・・・極めて柔軟であった。 4・・・柔軟であった。 3・・・柔軟性は普通であった。 2・・・柔軟性にやや劣っていた。 1・・・柔軟性に劣っていた。
【0055】(2)吸水性 吸水性は、JIS L 1096の6.26.1滴下法
に示された方法で測定した吸水速度にて評価した。吸水
性は、吸水速度が15秒以下であれば実用的に問題な
い。(3)保水性 保水性は、拭き布を10cm×10cmの大きさに断裁
して、その4枚を試料として用い、JIS P 812
4に従ってその質量(W0)を測定し、その後6リット
ルの蒸留水が入れてある10リットル容量の容器内に室
温で試料を1分間浸漬し、次いで試料を水中から取り出
し1分間水を滴り落した後、その試料の質量(W1)を
測定し、保水率={(W1−W0)/W0}×100
(%)を求め、数値の高いものを良好とした。保水率が
400〜600%であれば実用的に適している。
【0056】(4)拭き取り性 拭き布を水に浸漬した後、軽く絞った状態で拭き布を準
備する。白い机の上に市販のトンカツソースを2ml滴
下する。拭き布の紙シート面側で机に付着しているトン
カツソース拭き取り、目視による官能で拭き取り性を評
価した。官能評価は、次の5段階で行った。 5・・・拭き取り性が極めて優れている。 4・・・拭き取り性が優れている。 3・・・拭き取り性が普通である。 2・・・拭き取り性がやや不良である。 1・・・拭き取り性が不良である。
【0057】(5)耐洗濯性 耐洗濯性は、拭き布を10cm×10cmの大きさに断
裁して、その10枚を試料として用い、JIS P 8
124に従って試料の絶乾質量(W0)を測定し、次に
洗濯機(電気洗濯機SW−56型、三洋電機社製)に3
0リットルの水を入れ、標準洗いにて10分間撹拌を行
って洗濯を行い、その後取り出して手絞りで脱水した後
実験室用熱風循環式乾燥器で105℃で60分間乾燥
し、JISP 8124に従って試料の絶乾質量(W1
0)を測定し、重量変化率={(W0−W10)/W
0}×100(%)を求め、数値の低いものを良好とし
た。重量変化率が3%未満では実用的に問題は生じな
い。
【0058】実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた
拭き布に関する結果を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】次に、実施例5〜8及び比較例5〜10で
得られた拭き布を前記の試験法1により柔軟性、吸水
性、保水性及び拭き取り性を試験し、次に示される試験
法2により繰り返し耐洗濯性と紙紛発生状況を試験し、
拭き布の品質を評価した。
【0061】試験法2 (1)繰り返し耐洗濯性 繰り返し耐洗濯性は、拭き布を10cm×10cmの大
きさに断裁して、その10枚を試料として用い、JIS
P 8124に従って試料の絶乾質量(W0)を測定
し、次に洗濯機(電気洗濯機SW−56型、三洋電機社
製)に30リットル蚤図を入れ、標準洗いにて10分間
撹拌を行って洗濯を行い、その後取り出して手絞りで脱
水した後実験室用熱風循環式乾燥器で105℃で10分
間乾燥し、この洗濯と乾燥を5回繰り返し、その後JI
S P 8124に従って試料の絶乾質量(W50)を
測定し、重量変化率={(W0−W50)/W0}×1
00(%)を求めて、数値の低いものを良好とした。
【0062】(2)紙紛発生状況 紙粉発生状況は、拭き布をA4サイズの大きさに断裁
し、これを書道用墨汁(黒墨、呉竹精昇堂社製)に浸漬
後、絞らずに120℃の乾燥器内で5分間乾燥し、黒色
に染色した拭き布を試料として準備した。次に、試料の
評価する側、即ち紙シート側或いは不織布ウェブ側が表
になる様にA4サイズの長い辺の中心で二つ折りにして
短い辺の両端を両手で掴み、無風状態の室内に水平に置
いた白紙の15cm上方で40往復手揉みした。白紙上
に落ちた黒色の紙粉を目視による官能で評価した。試験
は、紙シートを表にした場合と長繊維を表にした場合に
ついて行った。官能評価は、次の5段階で行った。 5・・・紙粉の発生が極めて少ない。 4・・・紙粉の発生量が少ない。 3・・・紙粉の発生量が普通である。 2・・・紙粉の発生量がやや多い。 1・・・紙粉の発生量が著しく多い。
【0063】実施例5〜8及び比較例5〜10で得られ
た拭き布に関する結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】表1及び2から分かるように、本発明によ
り得られる複合シートからなる拭き布は、柔軟性、吸水
性、保水性、拭き取り性等の性能が優れ、洗濯による重
量変化率が少なく耐洗濯性(実施例1〜4)及び繰り返
し耐洗濯性(実施例5〜8)に優れている。これに対
し、接着機能を有する合成高分子の樹脂含有量が少ない
場合(比較例1及び7)、拭き布としての他の性能は優
れるが、洗濯によってパルプ繊維が大量に脱落するの
で、繰り返し使用ができない。逆に、前記樹脂の含有量
が多すぎる場合(比較例2及び8)、耐洗濯性は優れ、
拭き取り性は普通であるが、柔軟性、吸水性及び保水性
が顕著に劣るので実用に適さない。又、樹脂のガラス転
移温度が高すぎると(比較例3及び9)、拭き布の柔軟
性が極端に悪くなり、保水性も劣るので適さない。水溶
性の樹脂を含有させた場合(比較例4及び10)、洗濯
時に樹脂が溶出してしまい、パルプ繊維の脱落が生じる
ので実用に適さない。スプレー噴霧による塗布を行う場
合に、複合シートの水分が低すぎても(比較例5)、水
分が高すぎても(比較例6)、樹脂のシート内での均一
な分配ができないので、塗布面はパルプ繊維が脱落しな
いが、その反対面(長繊維側)でのパルプ繊維の脱落が
生じ、樹脂の含有量が多いと柔軟性も悪くなり実用に適
さない。
【0066】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明は、疎水性
で且つ熱可塑性で連続の長繊維が集積されてなる長繊維
ウェブの片面に、多数のパルプ繊維よりなる紙シートを
積層した後、その紙シート側から長繊維ウェブ側に向け
て高圧水柱流を施し、パルプ繊維と長繊維を絡合させた
複合シートを乾燥させた後に、水不溶性で樹脂のガラス
転移温度が−50〜+20℃の合成高分子の樹脂を絶乾
でベースで紙シート重量当り2〜17重量%含有させた
複合シートからなる拭き布であって、柔軟性、吸水性、
保水性、拭き取り性等の性能を低下させることなく、優
れた耐洗濯性が付与されているので、拭き布として洗濯
して繰り返し再使用が可能で、工業用ワイパーや布巾と
して好適な拭き布を提供できるという効果を奏する。
【0067】更に、本発明は、高圧水柱流を施して繊維
間の絡合を行わせた前記複合シートを乾燥させることな
くJIS法による水分を15〜75%の範囲に調整した
湿潤状態で紙シート側のみからスプレー方式によって、
水不溶性のガラス転移温度が−50〜+20℃の合成高
分子の樹脂を絶乾でベースで紙シート重量当り2〜17
重量%含有させ、乾燥することにより、前記拭き布性能
を損なうことなく、耐洗濯性を顕著に改善でき、しかも
製造工程をオンラインで操業でき、前乾燥を省略できる
ので、熱効率と操業効率を顕著に改善しながら優れた性
能を有する拭き布の製造方法を提供するという効果を奏
する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47L 13/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性で、且つ熱可塑性の連続長繊維が
    集積されてなる長繊維ウェブの片面に、多数のパルプ繊
    維よりなる紙シートを積層した後、該シート側から該長
    繊維ウェブ側に向けて高圧水柱流を施すことにより、該
    パルプ繊維と該長繊維とを絡合させてなる複合シートか
    ら構成された拭き布において、該複合シートに水不溶性
    、ガラス転移温度が−50〜+20℃であり、合成高
    分子からなる自己架橋型樹脂を、該複合シートを構成す
    る紙シートの絶乾重量当り2〜17重量%含有すること
    を特徴とする拭き布。
  2. 【請求項2】 疎水性で、且つ熱可塑性の連続長繊維が
    集積されてなる長繊維ウェブの片面に、多数のパルプ繊
    維よりなる紙シートを積層した後、該シート側から該長
    繊維ウェブに向けて高圧水柱流を施すことにより、該パ
    ルプ繊維と該長繊維とを絡合させてなる複合シートから
    拭き布を製造する方法において、該高圧水柱流を施した
    後、該複合シートのJIS P 8127による水分が
    15〜75%の湿潤状態で、合成高分子からなりガラス
    転移温度が−50〜+20℃の自己架橋型樹脂を、スプ
    レー方式で前記複合シートを構成する紙シートの面側か
    ら該紙シートの絶乾重量当り2〜17重量%塗布し、乾
    燥することを特徴とする拭き布の製造方法。
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