JPH10131022A - 拭き布及びその製造方法 - Google Patents

拭き布及びその製造方法

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JPH10131022A
JPH10131022A JP8289422A JP28942296A JPH10131022A JP H10131022 A JPH10131022 A JP H10131022A JP 8289422 A JP8289422 A JP 8289422A JP 28942296 A JP28942296 A JP 28942296A JP H10131022 A JPH10131022 A JP H10131022A
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Tomoji Miyoshi
智次 三好
Yosuke Kudo
洋輔 工藤
Migaku Suzuki
磨 鈴木
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NIPPON KYUSHUTAI GIJUTSU KENKY
Japan Absorbent Technology Institute
New Oji Paper Co Ltd
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NIPPON KYUSHUTAI GIJUTSU KENKY
Japan Absorbent Technology Institute
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紙粉等の発生が少なく、優れた吸液性能と耐
溶剤性を併せて有し、工業用ワイパーとして好適に用い
られる拭き布及びその製造方法の提供。 【解決手段】 融点が異なる二成分の熱可塑性重合体か
らなる複合型長繊維不織布とパルプ繊維からなる紙シー
トが高圧水ジェット流により水交絡され、更に加熱ロー
ルにより、加熱と加圧が施された複合不織布からなる拭
き布及びその製造方法であって、該複合型長繊維は、熱
可塑性重合体の第一成分がポリオレフィン系重合体で、
第二成分が前記第一成分の融点より30℃以上高い融点
を有する熱可塑性重合体からなり、該第一成分の融点以
上で、且つ、第二成分の融点よりも15℃以上低い温度
で、加熱と加圧処理され、第一成分のポリオレフィン系
重合体のみが溶融し、パルプ繊維を接着固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱落繊維が少な
く、吸液性能と耐溶剤性に優れた工業用ワイパー、ウェ
ス等に用いられる拭き布及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、工業用ワイパー、ウェス等に
用いられる拭き布は、パルプ繊維を集積した後、合成高
分子の樹脂の水性エマルジョンを接着剤として含有せし
めて乾燥させた乾式パルプシートやレーヨン繊維を集積
した後、レーヨン繊維相互間をゴム系接着剤で結合した
不織布シート等が基材として使用されている。一般的に
工業用ワイパーを用いて、溶剤に可溶なインキや油によ
る汚れを拭き取る作業の場合、アセトン、酢酸エチル等
の溶剤をワイパーに含ませてから対象物を拭き取るとい
う作業を行う。これは、最初に拭き取りにより除去すべ
き対象物に溶剤を転移させ、汚れを溶解、希釈すること
により、汚れ落ち性を向上させるために行うのである。
【0003】しかしながら、乾式パルプシートやレーヨ
ン不織布シートを用いた工業用ワイパーは、繊維脱落防
止のために合成高分子の樹脂やゴム系接着剤を用いてい
るため耐溶剤性が極めて悪いという問題がある。即ち、
乾式パルプシートやレーヨン不織シートに溶剤を含ませ
た場合、溶剤が繊維の脱落防止のために用いた接着剤に
浸透して、接着剤の膨潤が生じ、接着剤の固着強度が低
下してしまい、その結果、拭き取り作業の際に、ワイパ
ー表面の繊維が擦られると、繊維の脱落が生じるので、
このようなものは工業用ワイパーとして不適である。一
方、ポリプロピレン重合体を溶融し、ノズルから押し出
すと同時に、ノズル近傍で高温、高速の空気で得られた
溶融樹脂を細化し、捕集、集積した後、熱エンボスのよ
うな熱処理によって固定化したメルトブロー不織布も工
業用ワイパーの基材として用いられる。このメルトブロ
ー不織布の場合、ポリオレフィン重合体を溶融紡糸して
おり、繊維自体が耐溶剤性を有しているのに加えて、エ
ンボス熱処理によって繊維間の固定を行っているため、
不織布自体も十分な耐溶剤性を有している。
【0004】ところが、ポリオレフィン重合体は、それ
自身が疎水性であり、従って、メルトブロー不織布も疎
水性である。そのために、水系の汚れをメルトブロー不
織布で拭き取ろうとしても、はじきが生じてしまい拭き
取りができない。これを改善するために、通常、メルト
ブロー不織布に親水性の界面活性剤を含有させ、親水化
して使用している。このため、逆にメルトブロー不織布
の本来備わっている親油性が低下し、結果的に、油系の
汚れに対する拭き取り性が低下するという新たな欠点が
生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は、
かかる背景に鑑み、紙粉等の発生が少なく、十分な吸液
性能と耐溶剤性を併せて有し、工業用ワイパーとして好
適に用いることができるシート状のものについて種々の
検討を行った。その結果、低融点成分としてのポリオレ
フィン系重合体と、この重合体の融点より特定の範囲だ
け融点の高い熱可塑性重合体とから構成される、融点の
異なる二成分の熱可塑性重合体からなる複合型長繊維を
支持体上に捕集、堆積してウェブを形成し、次いでこの
ウェブに規則的で断続的な自己融着部を設けた、いわゆ
る複合型長繊維のスパンボンド不織布とし、この上に、
木材パルプを原料とした紙シートを積層し、次いで紙シ
ートの上から前記不織布に貫通するように高圧水ジェッ
ト流を噴射して、パルプ繊維と複合型長繊維を水交絡さ
せ、複合不織布シートとした後、この複合不織布シート
を、高融点の熱可塑性重合体の融点より特定の範囲だけ
低くした温度の熱ロールにおいて加熱と加圧の処理を行
い、複合型長繊維の低融点成分の重合体のみを溶融させ
てパルプ繊維と固着させたものは、パルプ繊維の優れた
吸水性能を維持し、接着剤を使用しなくても、ポリオレ
フィン樹脂によるパルプ繊維の固定が十分なされている
ので耐溶剤性に優れ、パルプ繊維の脱落による紙粉発生
の少ない拭き布が得られることを見出し本発明を完成す
るに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、融点が
異なる二成分の熱可塑性重合体からなる複合型長繊維不
織布とパルプ繊維からなる紙シートが高圧水ジェット流
により水交絡され、更に加熱ロールにより、加熱と加圧
が施された複合不織布からなる拭き布において、該複合
型長繊維は、熱可塑性重合体の第一成分がポリオレフィ
ン系重合体で、第二成分が前記第一成分の融点より30
℃以上高い融点を有する熱可塑性重合体からなり、該第
一成分の融点以上で、且つ、第二成分の融点よりも15
℃以上低い温度で加熱と加圧処理され、第一成分のポリ
オレフィン系重合体のみが溶融し、パルプ繊維と接着固
定されていることを特徴とする拭き布である。本発明の
第二は、融点が異なる二成分の熱可塑性重合体からなる
複合型長繊維不織布とパルプ繊維からなる紙シートを高
圧水ジェット流により交絡一体化して複合不織布とし、
次いで該不織布を加熱ロール間に通し、加熱と加圧を施
した複合不織布からなる拭き布の製造方法において、該
複合型長繊維は、熱可塑性重合体の第一成分がポリオレ
フィン系重合体で、第二成分が前記第一成分の融点より
30℃以上高い融点を有する熱可塑性重合体からなり、
該第一成分の融点以上で、且つ、第二成分の融点よりも
15℃以上低い温度に設定した熱ロール間に前記複合不
織布を導入して加熱と加圧処理することにより、第一成
分のポリオレフィン系重合体のみを溶融させてパルプ繊
維と接着固定することを特徴とする拭き布の製造方法で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の複合型長繊維に使用され
る第一成分のポリオレフィン系重合体としては、直鎖状
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン等いわゆるポリエチレン重合体、ポリプロピレ
ン重合体等を挙げることができ、これらの中から適宜選
択して用いられる。又、第二成分の重合体としては第一
成分の重合体の融点よりも30℃以上高い融点を有し、
一般的に、長繊維紡糸用として市販されている公知の熱
可塑性重合体であれば、特に限定されないが、ポリプロ
ピレン重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重
合体等を挙げることができ、これらの中から適宜選択し
て用いられる。複合型長繊維を溶融紡糸して得るに際し
ては、前記の第一成分と第二成分の熱可塑性樹脂へ、潤
滑剤、顔料、安定剤、難燃剤、抗菌剤等を添加しても良
い。本発明に用いられる複合型長繊維は、公知の複合紡
糸装置を用いて製造することができ、サイドバイサイド
(バイメタル)型、芯鞘型、及び海島型のいずれであっ
ても良く、更に、このような複合型長繊維の断面形状
は、円形のみでなく、三角形、四角形等の異形断面形状
であっても良い。しかしながら、本発明では、芯鞘型で
近似的に同心円構造を有するものが操業上の容易さと良
好な繊維物性面から好適である。
【0008】更に、前記複合型長繊維の繊維軸に直交す
る繊維断面に占める第一成分の樹脂の比率は、全繊維重
量当り40〜80重量%の範囲である。第一成分の樹脂
の比率が40重量%未満では、複合型長繊維不織布と紙
シートを構成するパルプ繊維とを高圧水ジェット流によ
って水交絡させた後に加熱処理を行っても、パルプ繊維
に対して低融点の第一成分が少な過ぎて、十分な接着力
が得られず、パルプ繊維を十分固定することができな
い。逆に、第一成分の樹脂の比率が80重量%を超えて
大きくなると、熱溶融しない第二成分の樹脂が少ないた
めに、加熱と加圧の処理を行う時に複合型長繊維の糸切
れが発生し、拭き布としての繊維強度も弱くなり適さな
い。本発明に用いられる複合型長繊維は、公知の複合型
繊維用の紡糸機より溶融押出し紡糸し、その紡出された
フィラメント群をエアサッカーからの高速エアーで引き
取って、延伸、解繊して1〜10デニールの範囲の繊度
に調整される。複合型長繊維の繊度が1デニール未満で
は、複合型長繊維の製造条件が厳密になって、複合型長
繊維、ひいては複合型長繊維不織布を高速で製造し難く
なる。逆に、複合型長繊維の繊度が10デニールを越え
て大きくなると、得られる複合型長繊維不織布が硬くな
り、結果的に、拭き布の柔軟性や風合いも低下し拭き布
として適さない。
【0009】前記した複合型長繊維は、移動する金網製
ベルトのような支持体上に捕集、堆積してウェブが形成
される。この場合の複合型長繊維ウェブの坪量は、JI
SP 8124による方法で測定し、10〜40g/m
2の範囲である。坪量が10g/m2未満では、複合型長
繊維不織布の形態安定性が低下し、拭き布としての湿潤
強度が低下する。その上、パルプ繊維と溶融接着する低
融点の第一成分(ポリオレフィン系重合体)が少なくな
るため、接着力が弱くなり、パルプ繊維を十分固定する
ことができず、結果的に紙粉の発生が多い拭き布となり
工業用ワイパーとして用いるには適さない。逆に、坪量
が40g/m2を超えて大きくなると、長繊維不織布に
紙シートを積層して、紙シート側から長繊維不織布側に
向けて高圧水ジェット流を噴射して水交絡を施す際に、
積層シートを支持する金網製の支持体の下に設けられて
いるサクションノズルによって長繊維不織布を通して、
積層シートの表面に滞留する水を吸引除去する能力が低
下するので、高圧水ジェット流を施そうとしても、該積
層シートの表面に水溜まりが存在するために、十分な水
交絡が得られず、複合不織布の地合も悪くなるので適さ
ない。
【0010】金網製の支持体上に形成された複合型長繊
維ウェブは、シートの形態保持とシート強度を付与する
目的で、規則的な間隔で断続的に長繊維同士の自己融着
を設けるため、いわゆるエンボス処理を行う。前記のよ
うにして準備した長繊維不織布の上に、セルロースパル
プ繊維を原料として湿式抄紙機で抄紙されて得られた紙
シートを積層する。この紙シートとしては、以下に述べ
る抄紙機で抄紙し、乾燥した後のシートを使用すること
ができる。紙シートの坪量は、JIS P 8124に
よる方法で測定し、10〜40g/m2の範囲である。
坪量が10g/m2未満では、パルプ繊維の絶対量が少
ないため、得られる拭き布には十分な吸液性能が付与さ
れない。逆に、坪量が40g/m2を超えて大きくなる
と、パルプ繊維に対して複合型長繊維の低融点の第一成
分が少な過ぎて、接着力が弱くパルプ繊維を十分固定す
ることができず、結果的に紙粉の発生が多い拭き布とな
り工業用ワイパーとして用いるには適さない。
【0011】紙シートを構成するセルロースパルプ繊維
としては、針葉樹又は広葉樹木材をクラフト法、サルフ
ァイト法、ソーダ法、ポリサルファイト法等の公知の蒸
解法で蒸解して得られる未晒パルプ繊維又は必要に応じ
て未晒パルプ繊維を漂白して得られる晒パルプ繊維、或
いは前記針葉樹木材からのグランドパルプ繊維、サーモ
メカニカルパルプ繊維等の機械パルプ繊維を、単独で、
又は混合して使用することができる。この場合の針葉樹
パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、針葉樹
パルプ繊維:広葉樹パルプ繊維が100:0〜20:8
0、好ましくは100:0〜40:60の範囲である。
広葉樹パルプ繊維が全パルプ繊維の80重量%を超える
と、高圧水ジェット流による水交洛処理を施した際に、
水ジェット流によるパルプ繊維の脱落が容易に生じ、パ
ルプの消失量が増加するばかりでなく、水交洛後のシー
トの柔軟性が低下する。
【0012】本発明に用いられる前記紙シートのJIS
P 8118による密度は、0.65g/cm3以下で
ある。紙シートの密度が0.65g/cm3を超えると、
紙シートの上から高圧水ジェット流を噴射した場合に、
パルプ繊維が水ジェット流で離解し難くなり、繊維の運
動が抑制されるので、不織布の長繊維とパルプ繊維の水
交絡が不十分になり、複合不織布の柔軟性が低下する。
しかしながら、紙シートの密度を小さくしようとしても
限度があり、その下限はティッシュペーパーのように柔
らかい状態の0.20g/cm3程度である。紙シート
は、通常前記パルプ繊維を含有するスラリーを用いて公
知の湿式抄紙機において抄紙してドライヤーで乾燥した
後得られるが、抄紙の際、例えば、ポリアミド・エピク
ロルヒドリン樹脂又はその変成物、ポリアミン・エピク
ロルヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の湿潤紙
力増強剤をスラリー中に添加しても良い。
【0013】この紙シートは、予め準備した長繊維不織
布の上片面に積層されるが、この時にJIS P812
4による長繊維不織布の坪量と紙シートの坪量の絶乾重
量比は、長繊維不織布:紙シートが1:1〜2:1とな
るように調整する。長繊維不織布:紙シートが2:1を
超えて紙シートの比が減少すると、長繊維の量に対し
て、相対的にパルプ繊維の量が少なくなり、拭き布とし
ての吸液性能が低下するので適さない。又、高価な複合
型長繊維に対して、廉価なパルプ繊維の量が少なくなる
ことによって、拭き布自体の製造コストが高くなる。逆
に、長繊維不織布:紙シートが1:1を超えて、紙シー
トの比が増加すると、紙シートを構成するパルプ繊維に
対して複合型長繊維の低融点の第一成分が少なくなり、
それによって接着力が弱くなり、パルプ繊維を十分固定
することができず、結果的に紙粉の発生が多い拭き布と
なり適さない。
【0014】長繊維不織布の上片面に紙シートを積層
し、積層体とした後、紙シートの表面から長繊維不織布
側に向けて高圧水ジェット流を噴射する際には、積層体
の紙シート側から長繊維不織布側へ高圧水ジェット流が
貫通するようにして、高圧水ジェット流を噴射するので
ある。この高圧水ジェット流は、微細な孔径、例えば直
径が0.01〜0.3mmのノズル孔を通して高い水
圧、例えば、20〜180Kg/cm2の圧力で水を噴
出させて得られるものである。この高圧水ジェット流を
前記積層体に施すと、高圧水ジェット流は、まず紙シー
トに衝突して紙シートを長繊維不織布上に密着させ、次
いでこの密着した状態で、紙シートの部分的な破壊が生
じ、その部分の紙シートを構成するパルプ繊維を単離さ
せ、パルプ繊維に曲げ、捩れ等の変形を起こさせると共
に、パルプ繊維に運動エネルギーを十分に与え、ランダ
ムな運動を生じさせる。その結果、これらの複合作用に
よって、パルプ繊維と長繊維不織布中の長繊維とが絡み
合い、更に、長繊維同士も交絡することになるのであ
る。
【0015】以上のようにして、パルプ繊維と複合型長
繊維を交絡させた複合不織布シートを、複合型長繊維の
第一成分のポリオレフィン系重合体の融点以上で、か
つ、第二成分の重合体樹脂の融点よりも15℃以上低い
温度に設定した熱ロール間に導入し、加熱と加圧の処理
するが、この処理は本発明の必須条件である。複合不織
布シートを前記のように処理することにより、複合型長
繊維の第一成分(ポリオレフィン系重合体)のみを溶融
させ、それと同時に、加圧処理を行うことにより、複合
型長繊維と交絡しているパルプ繊維に、溶融した該第一
成分の重合体が拡散してパルプ繊維の一部を被覆し、結
果的にパルプ繊維を固定することになる。熱ロールの温
度が複合型長繊維の第二成分の融点より15℃未満の低
い温度に設定されていると、第一成分(ポリオレフィン
系重合体)が溶融している上、第二成分の重合体も加圧
下においては容易に軟化し又は溶融するので加熱と加圧
の処理の間に複合不織布シートの強度が極めて弱くな
り、破れや切断が生じるので適さない。
【0016】又、前記第二成分に重合体の融点より15
℃以上低い温度であっても、第一成分(ポリオレフィン
系重合体)の融点より低い温度では、第一成分の溶融が
生じないので適さない。複合不織布シートの加熱と加圧
処理を行う熱ロールとしてはヒートプレスロールであれ
ばいずれのものを用いてもよく、例えば、スーパーカレ
ンダーが好適に用いられる。又、使用するロールも特に
限定するものではなく、弾性ロール、金属ロール、及び
弾性ロールと金属ロールを複数組み合わせたもののいず
れを用いても良い。熱ロールにおける処理に際し、複合
不織布シートの通過時間、回数、ロール間の線圧等の条
件は、複合型長繊維の第一成分であるポリオレフィン系
重合体の融点と熱ロールにおける設定温度との温度差、
複合不織布シートの複合型長繊維とパルプ繊維の比率等
によって、吸液性能、耐溶剤性、紙粉発生量等をみなが
ら適宜選択して決定される。
【0017】以上説明したように、本発明によれば、複
合型合成長繊維とパルプ繊維が水交絡し、前記複合型長
繊維の一部(低融点の第一成分)がパルプ繊維と溶融、
接着して構成される複合不織布シートからなる拭き布が
得られ、このような拭き布にはパルプ繊維の有する優れ
た吸液性能と合成繊維の有する優れた耐溶剤性が同時に
付与されており、更に、合成高分子系接着剤やゴム系接
着剤を全く使用せずに、ポリオレフィン系重合体による
パルプ繊維の固定が強固になされているので、優れた吸
液性能と耐溶剤性を備え、紙粉発生の少ない拭き布を安
価に製造することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものでは
ない。尚、以下の実施例において、%は、特に断らない
限り絶乾ベースの重量%である。
【0019】実施例1 融点が131.5℃の高密度ポリエチレンを第一成分と
し、融点が163℃のポリプロピレンを第二成分に選定
した後、第一成分を鞘成分とし、第二成分を芯成分とす
る複合芯鞘型長繊維を公知の押出し紡糸機において芯鞘
複合紡糸用口金を用い、第一成分と第二成分が250℃
になるように加熱して溶融させ、多数の微細孔から押し
出し、紡糸した後、紡出されたフィラメント群をエアー
サッカーの高速エアーで引き取り、延伸して繊度が3.
0デニールの長繊維を形成し、移動するワイヤー製支持
体上に捕集、堆積させ、ウェブを形成させた。この複合
芯鞘型長繊維のウェブを120℃に加熱した凹凸ロール
と平滑ロールの間に導入し、凹凸ロールの凸部に対応す
る部分を融着することによりJISP 8124による
坪量20g/m2の長繊維不織布を得た。この長繊維不
織布の表面に、針葉樹晒クラフトパルプ繊維を用いて公
知の湿式抄紙機で抄紙して得られた乾燥紙シートを積層
した。この紙シートのJIS P8124による坪量は
20g/m2、JIS P 8118による密度は0.
48g/cm3であった。この場合の長繊維不織布と紙
シートの絶乾重量比は1:1であった。
【0020】次いで、紙シートが上に位置し、長繊維不
織布が下に位置するようにして、支持体としての金網製
の移送コンベア上に載置し、この積載物を20m/分の
速度で移送させながら、孔径0.12mmのノズル孔が
1mm間隔で並んで設けてある高圧水ジェット流の噴出
装置を用いて、40Kg/cm2の水圧で水ジェット流
を噴出させ、紙シートの表面から長繊維不織布側に向け
て前記水ジェット流を通過させた後、加熱乾燥して、紙
シートを構成しているパルプ繊維と、長繊維不織布を構
成している複合型長繊維とが水交絡して、両者が一体化
された複合不織布シートを得た。この複合不織布シート
を、温度が140℃に加熱され、二軸で線圧20kg/
cmで加圧したプレスロール間へ導入、通過させて加熱
と加圧処理を行い、複合不織布シートからなる拭き布を
得た。得られた拭き布を下記の試験法により試験し、そ
の品質を評価した。
【0021】試験法 (1)柔軟性 拭き布の柔軟性を手触りによる官能で評価した。官能評
価は、次の5段階評価で行った。 5・・・極めて柔軟であった。 4・・・柔軟であった。 3・・・柔軟性は普通であった。 2・・・柔軟性にやや劣っていた。 1・・・柔軟性に劣っていた。 (2)吸水性 吸水性は、JIS L 1096の6.26.1滴下法
に示された方法で測定した吸水速度で評価した。吸水性
は、吸水速度が15秒以下であれば実用的に問題なく、
優れていると評価した。
【0022】(3)紙粉発生状況 紙粉発生状況は、拭き布をA4サイズの大きさに断裁
し、これを書道用墨汁(黒墨、呉竹精昇堂社製)に浸漬
後、絞らずに温度120℃の乾燥器内で5分間乾燥し、
黒色に染色した拭き布を試料として準備した。次に、試
料の紙粉の発生を試験し、紙シート側が表になる様にA
4サイズの長い辺の中心で二つ折りにして短い辺の両端
を両手で掴み、無風状態の室内に水平に置いた白紙の1
5cm上方で10往復手揉みした。白紙上に落ちた黒色
の紙粉を目視による官能で評価した。試験は、紙シート
を表にした場合3枚と長繊維不織布を表にした場合3枚
についてそれぞれ行い、官能評価は、次の5段階で行っ
た。得られた結果を小数転移か四捨五入した平均値で示
した。 5・・・紙粉の発生量が極めて少ない。 4・・・紙粉の発生量が少ない。 3・・・紙粉の発生量が普通である。 2・・・紙粉の発生量がやや多い。 1・・・紙粉の発生量が著しく多い。
【0023】(4)耐溶剤性 耐溶剤性は、拭き布を10cm×10cmの大きさに断
裁した後、これを十分な量のアセトンに6時間浸漬した
後、拭き布を取り出し、軽く拭き布を絞って、アセトン
の垂れが生じないようにした後、拭き布を紙シート側を
表に二つ折りにし、試験片を用意した。次いで、ガラス
板を準備し、その表面をアセトンに浸漬した拭き布で1
0往復擦り、ガラス板に付着した紙粉を目視による官能
で評価し、官能評価は、次の5段階で行った。得られた
結果を四捨五入した平均値で示した。5・・・紙粉の発
生量が極めて少ない。 4・・・紙粉の発生量が少ない。 3・・・紙粉の発生量が普通である。 2・・・紙粉の発生量がやや多い。 1・・・紙粉の発生量が著しく多い。
【0024】実施例2 融点が132℃の高密度ポリエチレンを第一成分とし、
融点が267℃のポリエチレンテレフタレートを第二成
分に選定した後、サイドバイサイド構造の複合型長繊維
をサイドバイサイド複合紡糸用口金を用い、第一成分と
第二成分が290℃になるように加熱して溶融させ、多
数の微細孔から押し出し、紡糸した後、紡出されたフィ
ラメント群をエジェクターにて引き取り、延伸して繊度
2.8デニールの長繊維を形成し、移動するワイヤー製
支持体上に捕集、堆積させ、ウェブを形成させた。この
複合サイドバイサイド型長繊維のウェブを120℃に加
熱した凹凸ロールと平滑ロールの間に導入し、凹凸ロー
ルの凸部に対応する部分を融着することにより坪量30
g/cm2の長繊維不織布を得た。この長繊維不織布の
上に坪量が18g/m2で、密度が0.48g/cm3
紙シートを積層し、長繊維不織布と紙シートの絶乾重量
比が1.7:1としたこと以外は、実施例1と同様にし
て複合不織布シートからなる拭き布を得た。得られた拭
き布を前記の試験法により試験し、その品質を評価し
た。
【0025】比較例1 融点が127.2℃の直鎖状低密度ポリエチレンを第一
成分とし、融点が140℃のポリエチレンとポリプロピ
レンの共重合体を第二成分に選定し、第一成分を鞘成分
とし、第二成分を芯成分として複合芯鞘型不織布を作製
し、これを用いたこと以外は実施例1と同様にして複合
不織布シートからなる拭き布を作製しようとしたが、プ
レスロールによる加熱と加圧の処理を行う際に、プレス
ロールにてシートの切断が発生し、拭き布を作製するこ
とができなかった。
【0026】比較例2 プレスロールの加熱温度を160℃に設定したこと以外
は、実施例1と同様にして複合不織布シートからなる拭
き布を作製しようとしたが、プレスロールによる加熱と
加圧の処理を行う際に、プレスロールにてシート切断が
発生し、拭き布を作製することができなかった。
【0027】比較例3 プレスロールの加熱温度を120℃に設定したこと以外
は、実施例2と同様にして複合不織布からなる拭き布を
作製した。得られた拭き布を前記の試験法で試験し、そ
の品質を評価した。
【0028】比較例4 実施例2において得られた複合サイドバイサイド型長繊
維不織布と紙シートとの高圧水ジェット流によって水交
絡させ、加熱乾燥した複合不織布シートに、アクリルエ
マルジョン(商品番号:AE−948、日本合成ゴム社
製)を含浸し、乾燥させて複合不織布シートからなる拭
き布を作製した。この拭き布へのアクリルの固形分とし
ての含有量は絶乾ベースで6g/m2であった。得られ
た拭き布を前記の試験法で試験し、その品質を評価し
た。
【0029】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示した。
【0030】
【表1】
【0031】表1から明らかなように、本発明により得
られる複合シートからなる拭き布は、柔軟性、吸水性、
紙粉発生量、耐溶剤性等の性能が優れている(実施例1
〜2)。 これに対し、複合型長繊維の第一成分と第二
成分の融点差が30℃未満である場合(比較例1)や、
複合型長繊維の第二成分の融点よりも15℃未満の低い
温度にプレスロールの温度を設定した場合(比較例
2)、加熱と加圧の処理を行うプレスロールにおいて複
合不織布シートの切断が発生し、拭き布を作製すること
ができなかった。又、プレスロールの設定温度が複合型
長繊維の第一成分の融点よりも低い場合は、プレスロー
ルにより加熱と加圧の処理を施しても、第一成分が溶融
しないので第一成分の重合体によりパルプ繊維を固定す
ることができず、このような複合不織布シートを拭き布
として使用すると、紙粉発生量が多く、拭き布としては
適していない(比較例3)。 一方、パルプ繊維の固定
方法としてアクリルエマルジョンを接着剤として用いた
場合は、柔軟性、吸水性、紙粉発生量等は良好である
が、耐溶剤性が極めて劣り溶剤系のインキや油による汚
れを溶剤を用いて除去するための拭き布としては使用で
きない(比較例4)。
【0032】
【発明の効果】本発明は、ポリオレフィン系重合体を溶
融させてパルプ繊維を接着固定したことを特徴とし、吸
液性能と耐溶剤性が極めて優れ、紙粉発生の少ない拭き
布及びその製造方法を提供するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 磨 東京都中央区日本橋浜町2丁目26番5号 滝沢ビル3F 株式会社日本吸収体技術研 究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が異なる二成分の熱可塑性重合体か
    らなる複合型長繊維不織布とパルプ繊維からなる紙シー
    トが高圧水ジェット流により水交絡され、更に加熱ロー
    ルにより、加熱と加圧が施された複合不織布からなる拭
    き布において、該複合型長繊維は、熱可塑性重合体の第
    一成分がポリオレフィン系重合体で、第二成分が前記第
    一成分の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性
    重合体からなり、該第一成分の融点以上で、且つ、第二
    成分の融点よりも15℃以上低い温度で加熱と加圧処理
    され、第一成分のポリオレフィン系重合体のみが溶融
    し、パルプ繊維と接着固定されていることを特徴とする
    拭き布。
  2. 【請求項2】 融点が異なる二成分の熱可塑性重合体か
    らなる複合型長繊維不織布とパルプ繊維からなる紙シー
    トを高圧水ジェット流により交絡一体化して複合不織布
    とし、次いで該不織布を加熱ロール間に通し、加熱と加
    圧を施した複合不織布からなる拭き布の製造方法におい
    て、該複合型長繊維は、熱可塑性重合体の第一成分がポ
    リオレフィン系重合体で、第二成分が前記第一成分の融
    点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性重合体から
    なり、該第一成分の融点以上で、且つ、第二成分の融点
    よりも15℃以上低い温度に設定した熱ロール間に前記
    複合不織布を導入して加熱と加圧処理することにより、
    第一成分のポリオレフィン系重合体のみを溶融させてパ
    ルプ繊維と接着固定することを特徴とする拭き布の製造
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003103740A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Nippon Kyushutai Gijutsu Kenkyusho:Kk ペーパー層と繊維ウェブ層の複合体シート及びその製造方法、多機能トップシート、吸収体製品及びその製造方法、吸収性複合体シート及びその製造方法
JP2015059275A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 ユニチカ株式会社 複合不織布
EP3088966A4 (en) * 2013-12-27 2017-07-05 Toray Industries, Inc. Toner cleaning sheet and method for manufacturing same
JP2019173195A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 新和産業株式会社 複合構造体製造装置

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