JP2002263043A - ワイピング用不織布 - Google Patents

ワイピング用不織布

Info

Publication number
JP2002263043A
JP2002263043A JP2001065148A JP2001065148A JP2002263043A JP 2002263043 A JP2002263043 A JP 2002263043A JP 2001065148 A JP2001065148 A JP 2001065148A JP 2001065148 A JP2001065148 A JP 2001065148A JP 2002263043 A JP2002263043 A JP 2002263043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
wiping
fiber
fibers
load
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001065148A
Other languages
English (en)
Inventor
Akihiko Kawanaka
彰彦 川中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Daiwabo Polytec Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Daiwabo Polytec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa Boseki KK, Daiwabo Co Ltd, Daiwabo Polytec Co Ltd filed Critical Daiwa Boseki KK
Priority to JP2001065148A priority Critical patent/JP2002263043A/ja
Publication of JP2002263043A publication Critical patent/JP2002263043A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 拭き取り対象面に付着した頑固な水垢、油汚
れ、固化した物質、炭化物など硬質な汚れの掻き取り性
に優れ、屈曲、湾曲、角など狭い部分を有する対象面に
おけるフィット性を具備したワイピング用不織布を提供
することを目的とする。 【解決手段】 表層部に熱可塑性繊維を含有するカード
ウェブに、三次元交絡処理を施した後、表層部の前記熱
可塑性繊維が軟化または溶融する温度でエンボス処理を
施すことにより、図2に示す突き刺し抵抗荷重−伸長曲
線(2)から得られる不織布の凸部における突き刺し抵
抗荷重および初期突き刺し抵抗度が所望の範囲を満たす
熱可塑性繊維が軟化または溶融された凸部と熱圧着され
た凹部とを不織布の表層部に備えたワイピング用不織布
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拭き取り対象面に
付着した頑固な水垢、油汚れ、固化した物質、炭化物な
ど硬質な汚れの掻き取り性に優れ、屈曲、湾曲、角など
狭い部分を有する対象面においてもフィットし、拭き取
りしやすい適度な硬さを有するワイピング用不織布に関
する。特に、洗面台、キッチンシンク、風呂場、トイレ
など水周り用に好適なワイピング不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ワイピング用不織布として様
々な不織布が提案されている。不織布表面に凹凸を有す
る不織布であれば、例えば、特開平4−166123号
公報には、ポリエステル系複合繊維を熱プレス処理した
後、バフィング処理あるいはブラッシング処理を施し、
熱圧着された部分的な凹部と繊維立毛された凸部とを有
するワイピングクロスが提案され、特開平2−2292
53号公報には、ポリエステルスパンボンドを高圧水流
で交絡処理した後、溶融圧着処理を施し、溶融圧着部分
と三次元的交絡した非溶融圧着部とを有する不織布が提
案され、特公平2−38708号公報には、熱接着性繊
維20〜70重量%と非熱接着性繊維80〜30重量%
とからなるそれぞれの単繊維伸度の差が25%以内であ
る繊維ウェブを熱風処理あるいはカレンダー、エンボス
等の熱圧処理した高引張強力を有する不織布が提案され
ている。
【0003】また、頑固な汚れなどの硬質な汚れに対す
る掻き取り性を高めたワイピング不織布としては、例え
ば、特開昭59−129046号公報では、化学繊維に
より形成する不織布の構成繊維表面に、研磨剤粒子を含
有する熱可塑性樹脂を固着することにより研磨剤粒子を
担持したワイピングクロスが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の技術にはいくつかの問題点がある。例え
ば、特開平4−166123号公報では、凸部を立毛さ
せることによって塵、埃などの細かなゴミや低粘度の液
体などの拭き取り性には優れるものの、凸部が繊維の自
由度が大きすぎるため、水垢やスケールなど硬質な汚れ
に対する掻き取り性に劣り、硬質な汚れを取ることがで
きない。特開平2−229253号公報では、凸部の繊
維が三次元交絡されているので、不織布の表面耐摩擦性
の改良を試みているが、凸部において繊維同士が十分に
接着がなされていないために繊維の自由度は大きく、硬
質な汚れを取ることができない。さらに、特公平2−3
8708号公報では、不織布の引張強力を高めるために
構成繊維の伸度差を小さくしているものの、引張強力が
大きいだけでは水垢やスケールなど硬質な汚れに対して
十分な掻き取り性を有しているとはいえず、また屈曲、
湾曲、角など狭い部分を有する対象面においては、不織
布の引張強力が大きすぎると対象面にフィットし難く、
拭き取り作業性に劣る。
【0005】さらに、特開昭59−129046号公報
では、不織布に研磨剤粒子を担持させることによって掻
き取り性を向上させているが、研磨剤粒子の量や大きさ
によっては拭き取り対象面に傷を付けたり、研磨剤の付
与などの製造工程が複雑化されるので生産効率やコスト
上でも好ましくない。かかることを鑑み、本発明は、拭
き取り対象面に付着した頑固な水垢、油汚れ、固化した
物質、炭化物など硬質な汚れの掻き取り性に優れ、屈
曲、湾曲、角など狭い部分を有する対象面においてもフ
ィットし、拭き取りしやすい適度な硬さを有するワイピ
ング用不織布を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、不織布の表層部に凹凸を形成させるとともに凸部の
構成繊維の交点を強固に熱融着させて所望の範囲の硬さ
を持たせることにより、凸部に形成された硬質面と、凸
部と凹部とで形成される壁面部とで従来の不織布にない
掻き取り作用を有するという知見を得て本発明に至っ
た。すなわち、本発明のワイピング用不織布は、熱可塑
性繊維を60mass%以上含有し、前記熱可塑性繊維が軟
化または溶融された凸部と熱圧着された凹部とを不織布
の表層部に備えた不織布であって、前記不織布の凸部に
おける突き刺し抵抗荷重が800cN以上、2700cN以
下であり、かつ初期突き刺し抵抗度が500cN/mm以
上、1250cN/mm以下であることを特徴とするもので
ある。突き刺し抵抗荷重および初期突き刺し抵抗度は、
不織布の表面硬さを示す代用特性であり、前記範囲を有
することにより、硬質な汚れの掻き取り性に優れ、屈
曲、湾曲、角など狭い部分を有する対象面においてもフ
ィットし、拭き取りしやすい適度な硬さを有するワイピ
ング用不織布が得られる。
【0007】また、本発明のワイピング不織布におい
て、JIS−L−1096 6.19.1 剛軟性A法
(45°カンチレバー法)における不織布の剛軟度は、
不織布のタテ方向(長手方向)で100mm以上、190m
m以下であり、不織布のヨコ方向(幅方向)で40mm以
上、90mm以下であることが好ましい。かかる範囲を採
ることにより、屈曲、湾曲、角など狭い部分を有する対
象面においてもフィットし、拭き取り作業性に優れたワ
イピング不織布が得られる。
【0008】前記不織布における凸部の突き刺し抵抗荷
重と、凹部の突き刺し抵抗荷重との比(凸部/凹部)
は、1以上、4.5以下であることが好ましい。
【0009】前記熱可塑性繊維は、芯成分をポリエステ
ル系樹脂とし、鞘成分を芯成分よりも100℃以上低い
温度で軟化または溶融する共重合ポリエステル系樹脂と
する熱接着性複合繊維であると、所望の突き刺し抵抗荷
重および初期突き刺し抵抗度が得られ、掻き取り性に優
れたものとなる。
【0010】また、前記不織布は、凸部と凹部とを備え
た表層部が熱可塑性繊維を60mass%以上含有する熱可
塑性繊維層とし、内部および裏層部のうち少なくとも1
部が親水性繊維を30mass%以上含有する親水性繊維層
とした積層不織布であると、ウェット状で使用する際
に、液保持性および液放出性に優れるとともに柔軟性に
も優れ、好ましい。
【0011】前記不織布は、構成する繊維同士を三次元
的に交絡させた交絡不織布であると、凸部をより緻密な
不織布構造とすることができ、硬質な汚れの掻き取り時
に毛羽立ちを抑制することができ、好ましい。以下、本
発明の内容について説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する熱可塑性繊維と
しては、熱により軟化または溶融可能な繊維であり、特
に、他の繊維として天然繊維、再生繊維などの親水性繊
維とを併用する場合であれば、それらが分解しない温度
範囲で軟化または溶融可能な繊維が用いられる。例え
ば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピ
レン−ブテン−1三元共重合体等を用いたポリオレフィ
ン系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、あるいは共重合ポリエステルなどを用
いたポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、
ナイロン12等のポリアミド系繊維等の単一あるいは複
合形態であり、断面形状が円形、異形、中空などの繊維
を挙げることができる。前記熱可塑性繊維のうち、単一
繊維は後述するエンボス処理の際に繊維形成部分が残存
せずフィルム化しやすい傾向にあるので、1成分が繊維
形成部分として残存しやすい複合繊維形態のものを採用
するのが好ましい。
【0013】前記複合繊維としては、芯鞘型、分割型、
並列型等を挙げることができるが、所望の掻き取り性を
得るには同心芯鞘型あるいは偏心芯鞘型の形態であるこ
とが好ましく、特に同心芯鞘型が強固な熱融着交点を得
ることができ、好ましい。上記を満たす複合繊維として
は、一方の成分(芯鞘型であれば鞘成分)を他方の成分
(芯鞘型であれば芯成分)よりも20℃以上低い温度で
軟化または溶融する熱可塑性樹脂とする熱融着性複合繊
維であることが好ましく、その組み合わせとしては、ポ
リエチレン/ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体/ポリプロピレン、低融点ポリエステル/高融点
ポリエステル(以下、ポリエステル系複合繊維とい
う)、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン/ナイロン6等が挙げられる。このうち、ポ
リエステル系複合繊維が強固な熱融着交点を得る点で特
に好ましく、高融点ポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレートが用いられ、低融点ポリエ
ステルとしては結晶性共重合ポリエステル、非晶性共重
合ポリエステルが用いられる。特に、芯成分をポリエス
テル系樹脂とし、鞘成分を芯成分よりも100℃以上低
い温度で軟化または溶融する共重合ポリエステル系樹脂
とする熱融着性複合繊維であると好ましく、JIS−K
−7210(DSC法)で測定したとき、実質的に融解
ピーク(融点)を有しない低融点ポリエステルである
と、熱による凹凸の形成性、および適度な硬質形成性に
優れ、好ましい。具体的には、ユニチカ(株)製、商品名
「メルテイ」、東洋紡績(株)製、商品名「EE7」など
が挙げられる。
【0014】本発明の熱可塑性繊維の繊度は、1dtex以
上、7dtex以下であることが好ましい。繊度が1dtex未
満であると、繊維自体が柔軟となるので不織布の硬さが
不十分となり、掻き取り性に劣るだけでなく、表層部の
繊維間空隙が小さくなりすぎて、掻き取った汚れによる
目詰まりが早く、繰り返し使用性に劣る。繊度が7dtex
を超えると、繊維自体の剛性が大きくなりすぎるので不
織布が硬くなりすぎ、対象面へのフィット性に劣る。ま
た、繊維長は特に限定されず、得ようとする繊維ウェブ
の形態によって適宜設定され、繊維ウェブの形態が湿式
抄紙法、エアレイ法であれば2mm以上、25mm以下の短
繊維、カード法であれば30mm以上、70mm以下のステ
ープル繊維、スパンボンド法であれば実質的に連続繊維
となる長繊維が挙げられる。
【0015】そして前記熱可塑性繊維は、不織布表層部
に60mass%以上含有される。より好ましい熱可塑性繊
維の含有量は、80mass%以上である。さらに好ましい
熱可塑性繊維の含有量は、100mass%である。熱可塑
性繊維の含有量が60mass%未満であると、不織布表層
部に形成された凹凸面において適度な硬さが得られず、
ワイパー用不織布としての掻き取り性が損なわれるから
である。上記範囲を満たしていれば、他の繊維を混合し
てもよい。例えば、コットン、シルク、ウールなどの天
然繊維、レーヨン、リヨセルなどの再生繊維、ポリエス
テル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの合
成繊維が挙げられ、その形態も単一、複合(芯鞘型、並
列型、分割型、海島型など)、中空、異形などいずれで
あってもよい。なかでも、レーヨン等の親水性繊維を含
有させると、吸水性が向上し、ワイピング不織布をウェ
ット状で使用する際に優位となる。また、アクリル繊維
や異形断面繊維を含有させると、掻き取り性がより向上
し、好ましい。また、表層部の目付は、熱可塑性繊維を
含む単独の繊維ウェブで形成する場合であれば、20g/
m2以上、100g/m2以下であることが好ましい。より好
ましい目付の下限は30g/m2以上である。より好ましい
目付の上限は60g/m2以下である。不織布の目付が大き
くなると、後述する突き刺し抵抗荷重、あるいは初期突
き刺し抵抗度は大きくなる傾向であるが、使用者の取り
扱い性やコスト面で上記範囲とすることが好ましい。
【0016】本発明のワイピング用不織布において、前
記熱可塑性繊維を不織布の表層部に所望の範囲含有して
いれば、他の繊維ウェブ、不織布、網状物、織編物、フ
ィルムなどを内部および裏層部のうち少なくとも1部と
して用いてもよい。このような積層体であれば、表層部
の目付は10g/m2以上、50g/m2以下であることが好ま
しい。より好ましい目付の下限は20g/m2以上である。
より好ましい目付の上限は40g/m2以下である。このう
ち、本発明の不織布が、内部および裏層部のうち少なく
とも1部に親水性繊維を30mass%以上含有する親水性
繊維層とした積層不織布であると、不織布自体の剛性が
大きくなり過ぎるのを抑制して、屈曲、湾曲、角など狭
い部分を有する対象面においてもフィットし、拭き取り
しやすくするとともに、ウェット状のワイピング不織布
として使用した際の薬液などの液保持性や液放出性を維
持することができ、好ましい。親水性繊維層におけるよ
り好ましい親水性繊維の含有量は、50mass%以上であ
る。前記親水性繊維としては、例えば、コットン、シル
ク、ウール、パルプなどの天然繊維、レーヨン、リヨセ
ルなどの再生繊維、ポリエステル、アクリル、ポリアミ
ド、ポリオレフィンなどの合成繊維に親水性能を付与し
た親水性合成繊維などが挙げられる。親水性繊維の繊度
は1dtex以上、8dtex以下であることが好ましい。繊度
が1dtex未満であると、得られる繊維間空隙が小さくな
り、ウェット状で使用したときの液放出性が不十分とな
る恐れがあり、繊度が8dtexを超えると、逆に繊維間空
隙が大きくなりすぎて、ウェット状で使用したときの液
保持性が不十分となる恐れがある。繊維長は、特に限定
されず、得ようとする繊維ウェブの形態によって適宜設
定すればよい。
【0017】また、前記親水性繊維層において、親水性
能を阻害しない範囲であれば他の繊維を混合してもよ
く、例えば、疎水性繊維として、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重
合体等を用いたポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、あるいは
共重合ポリエステルなどを用いたポリエステル系繊維等
が挙げられるが、なかでも不織布の表層部を形成する前
記熱可塑性繊維を10mass%以上、70mass%以下で混
合すると、表層部である熱可塑性繊維層と内部あるいは
裏層部との接合性に優れるとともに、例えば、不織布の
裏面もワイピング材として用いた場合、裏層部自体も掻
き取り性能を有しており、より経済的であり、好まし
い。より好ましい熱可塑性繊維の含有量の下限は15ma
ss%以上である。より好ましい熱可塑性繊維の含有量の
上限は50mass%以下である。より好ましい親水性繊維
層の含有量の下限は50mass%である。より好ましい親
水性繊維層の含有量の上限は85mass%である。また、
表層部を形成する熱可塑性繊維層と、内部あるいは裏層
部を形成する親水性繊維層との含有比(熱可塑性繊維層
/親水性繊維層)は、8/2〜2/8の範囲であること
が好ましい。熱可塑性繊維層/親水性繊維層が8/2よ
り大きいと、ワイピング用不織布をウェット状で使用す
る際の吸液性、液保持性に劣り、2/8より小さいと、
表層部の不織布全体に占める割合が少なく、掻き取り性
が不十分となるからである。
【0018】本発明のワイピング用不織布は、前記熱可
塑性繊維を主体とした構成繊維で以下の方法で製造する
ことができる。まず、熱可塑性繊維を主体とする表層部
の繊維ウェブ形態として、ステープル繊維を用いたパラ
レルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、ク
ロスレイウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェ
ブ、長繊維を用いたスパンボンドウェブ、短繊維を用い
た湿式抄造ウェブ、エアレイウェブなどの形態が挙げら
れる。なかでも、不織布の適度な剛軟性を得る点、表層
部の適度な硬さを得る点、および繊維ウェブの嵩高性に
よる深い凹凸形状を得る点、あるいは他の繊維との混綿
など不織布製造工程性の点などから、ステープル繊維か
らなるカードウェブ形態とすることが好ましい。
【0019】次いで、前記繊維ウェブには必要に応じて
繊維ウェブの構成繊維同士を三次元的交絡処理を施して
もよい。三次元交絡処理としては、ニードルパンチ処理
や水流交絡処理などが挙げられ、上記処理を施すことに
より、表層部の拭き取り時の毛羽立ちの抑制など耐久摩
耗性を付与することができ、さらに他の素材を積層させ
た場合であれば、各層の接合性を向上させることができ
る。特に、他の素材として前記親水性繊維層を用いた場
合、三次元的交絡処理により内部あるいは裏層部の親水
性繊維の一部が表層部に移動されるので、内部あるいは
裏層部に保持していた液体を表層部に放出することを助
長することができる。なかでも、水流交絡処理が交絡性
の点で優れ、好ましい。水流交絡処理の条件としては、
例えば、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.3
〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧3〜1
0MPaの柱状水流を繊維ウェブの表裏面側からそれぞれ
1〜4回ずつ噴射するとよい。
【0020】前記水流交絡処理によって得られた交絡不
織布は乾燥されるが、乾燥温度は前記熱可塑性繊維が軟
化または溶融しない温度範囲で処理することが望ましい
が、場合によっては、乾燥時に熱可塑性繊維が予備的に
軟化する温度で擬似融着させておいてもよい。擬似融着
させておくと、交絡不織布をエンボス処理する際に生じ
るテンションなどによる不織布の伸びを抑制することが
できるからである。ただし、完全に溶融させると、不織
布の剛軟性が大きくなってしまい、拭き取り時の取り扱
い性に劣る恐れがある。
【0021】次いで、得られた繊維ウェブあるいは交絡
不織布に少なくとも一方の面がエンボスロールからなる
エンボス処理機を用いてエンボス処理が施され、不織布
の表層部に凹凸部を設ける。この際に前記熱可塑性繊維
を含有する面にエンボス面が当接するように処理するこ
とが好ましく、他方の面はエンボスロール、フラットロ
ールのいずれであってもよい。エンボス処理に用いられ
るエンボスロールのパターンとしては、円形、長方形、
菱形などの独立凸形、あるいは格子状、チェック状、亀
甲状などの連続凸形のいずれであってもよいが、硬質な
汚れの掻き取り性の観点から独立凸形であることが好ま
しい。前記エンボスロールが独立凸部であると、得られ
る不織布の表層部には独立した凹部と連続した凸部とが
形成され、エンボスロールが連続凸部であると、得られ
る不織布の表層部には連続した凹部と独立した凸部とが
形成される。また、エンボス処理により得られた凸部の
形成密度は60%以上、90%以下であることが好まし
い。より好ましい凸部の形成密度の下限は、70%以上
である。形成密度が90%を超えると、凹部と凸部とで
形成される壁面部が少なくなって、十分な掻き取り効果
が得られなくなり、形成密度が60%未満であると、不
織布表層部における凹部の占める割合が大きくなり、掻
き取り性に寄与する部分が少なくなるだけでなく、不織
布自体が硬くなるためにワイピング材としての使い勝手
が悪くなるからである。
【0022】また、前記エンボス処理におけるエンボス
ロール温度は、表層部の熱可塑性繊維が軟化または溶融
する温度で処理するとよい。例えば、熱可塑性繊維とし
て、実質的に融解ピーク(融点)を有しない低融点ポリ
エステルを用いたポリエステル系複合繊維である場合、
顕微鏡で雰囲気温度を上昇させながら繊維の溶融状態を
観察し、樹脂が流れ出したときの温度を溶融温度とし、
溶融温度より10℃低い温度以上、溶融温度より20℃
高い温度以下の範囲で処理するとよい。
【0023】このようにして得られたワイピング用不織
布において、下記の方法で測定される前記不織布の凸部
における突き刺し抵抗荷重は、800cN以上、2700
cN以下である。より好ましい突き刺し抵抗荷重の下限
は、1000cN以上である。さらに好ましい突き刺し抵
抗荷重の下限は、1400cN以上である。より好ましい
突き刺し抵抗荷重の上限は2000cN以下である。従来
から不織布の表面硬さを示す有効な指標がないため、不
織布の表面硬さを示す代用特性として突き刺し抵抗荷重
および後述する初期突き刺し抵抗度を採用した。不織布
の表面硬さを示す代用特性である突き刺し抵抗荷重は、
荷重値が大きいほど、繊維形態を維持しつつ強固に溶融
接着されていることを示しており、荷重値が小さいほ
ど、強固に溶融接着されていないか、あるいは繊維形態
が維持することができずフィルムに近い形態となってい
ることがいえる。凸部における突き刺し抵抗荷重が80
0cN未満であると、構成繊維同士が強固に溶融接着され
ていないため、繊維の自由度が大きすぎて、拭き取り時
に負荷を受けたり、毛羽立ちなど耐摩耗性に劣り、破断
するなどを引き起こす可能性があり、あるいはフィルム
に近い形態となっているため、拭き取り面に対する負荷
がなくなってしまい、掻き取り性に劣るだけでなく、掻
き取った汚れの捕集性にも劣る可能性がある。突き刺し
抵抗荷重が2700cNを超えると、不織布自体が硬くな
りすぎ、拭き取り対象面に対するフィット性に劣る。
【0024】一方、不織布凹部における突き刺し抵抗荷
重は、凸部よりもエンボス処理による熱圧着の作用が大
きく、よりフィルム状に近い形態をなすため、凸部の突
き刺し抵抗荷重に比べ総じて小さくなる傾向にあり、凹
部の突き刺し抵抗荷重が小さいほど。フィルム化の度合
いが大きい傾向にある。また、凸部と凹部とで形成され
る壁面部については、実質的に測定は不可能であるが、
凸部の突き刺し抵抗荷重および凹部の突き刺し抵抗荷重
の間の値を示すと推定され、この両方の荷重値を調整す
ることによって壁面部の硬さを調整することが可能であ
る。上記のことから、凸部の突き刺し抵抗荷重が大き
く、凹部の突き刺し抵抗荷重が小さいと、熱圧着による
熱溶融が効率的に行われたこととなり、掻き取り性に優
れた壁面部の硬さを得られることとなる。すなわち、凸
部の突き刺し抵抗荷重と、凹部の突き刺し抵抗荷重との
比(凸部/凹部)が1以上、4.5以下であることが好
ましい。より好ましい凸部/凹部の下限は1.5以上で
ある。さらに好ましい凸部/凹部の下限は2以上であ
る。より好ましい凸部/凹部の上限は4以下である。凸
部/凹部が大きくなりすぎると、凹部のフィルム化され
すぎて、使用時に凹部が容易に破れたり、ピンホールを
生じたりする可能性がある。凸部/凹部が小さすぎる
と、掻き取り性が不十分となる。
【0025】また、本発明のワイピング用不織布におい
て、下記の方法で測定される前記不織布の凸部における
初期突き刺し抵抗度が500cN/mm以上、1250cN/mm
以下に調整される。より好ましい初期突き刺し抵抗度の
下限は750cN/mm以上である。より好ましい初期突き
刺し抵抗度の上限は1000cN/mm以下である。初期突
き刺し抵抗度も同様に不織布の表面硬さを示す代用特性
であり、抵抗度が大きいほど繊維同士が強固に融着して
おり、不織布表面が適度に硬く、不織布の伸びも小さい
傾向であり、抵抗度が小さいほど繊維同士の融着が弱い
か、あるいはフィルムの状態に近くなる傾向である。初
期突き刺し抵抗度が500cN/mm未満であると、不織布
の柔軟になりすぎ、ワイピング材として十分な掻き取り
性が得られなかったり、あるいはフィルム状となって拭
き取り対象面との引っ掛かり抵抗がなく、十分な掻き取
り性が得られない。抵抗度が1250cN/mmを超える
と、不織布が硬くなりすぎ、ワイピング材としての使い
勝手が悪いものとなるからである。
【0026】さらに、本発明のワイピング用不織布にお
いて、JIS−L−1096 6.19.1 剛軟性A
法(45°カンチレバー法)による不織布剛軟度は、不
織布のタテ方向(長手方向)で100mm以上、190mm
以下であり、不織布のヨコ方向(幅方向)で40mm以
上、90mm以下であることが好ましい。より好ましい不
織布剛軟度のタテ方向(長手方向)の下限は120mm以
上である。より好ましい不織布剛軟度のタテ方向(長手
方向)の上限は160mm以下ある。より好ましい不織布
剛軟度のヨコ方向(幅方向)の下限は50mm以上であ
る。より好ましい不織布剛軟度のヨコ方向(幅方向)の
上限は70mm以下である。不織布剛軟度がタテ方向で1
00mm未満、あるいはヨコ方向で40mm未満であると、
硬質な汚れを掻き取る際に汚れに対して引っ掛かりが生
じて不織布が変形してしまい、効率的に汚れを掻き取る
ことができず、タテ方向で190mmを超える、あるいは
ヨコ方向で90mmを超えると、掻き取り対象面に対する
フィット性に劣り、作業効率が悪くなるからである。
【0027】本発明のワイピング用不織布の目付は、3
0g/m2以上、100g/m2以下であることが好ましい。よ
り好ましい目付の下限は50g/m2以上である。より好ま
しい目付の上限は80g/m2以下である。不織布の目付が
大きくなると、後述する突き刺し抵抗荷重、あるいは初
期突き刺し抵抗度は大きくなる傾向であるが、使用者の
取り扱い性やコスト面で上記範囲とすることが好まし
い。
【0028】このようにして得られたワイピング用不織
布は、必要に応じて薬剤その他の物質を付着させてワイ
ピング材として使用することができ、その形態はドライ
状、ウェット状のいずれであってもよい。
【0029】
【実施例】以下、実施例にしたがって本発明をさらに詳
しく説明する。なお、不織布の厚み、引張強力、破断伸
度、突き刺し抵抗荷重、初期突き刺し抵抗度、剛軟度、
およびワイピング性は、下記のようにして測定した。
【0030】[厚み]厚み測定機(商品名:THICKNESS
GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所
製)を使用し、試料1cm2あたり29.4mNの荷重を加
えた状態で測定した。
【0031】[引張強力、破断伸度]JIS−L−10
96に準じ、幅5cm、長さ15cmの試験片をつかみ間隔
10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を使用して引張
速度20cm/分で伸長し、切断時の荷重値および伸長率
をそれぞれ引張強力、破断伸度とした。
【0032】[突き刺し抵抗荷重]カトーテック(株)
製ハンディ圧縮試験機(KES−G5)を用い、不織布
を試料台に載置、両端を固定し、図1に示す直径0.5m
mの球状先端部を有する針を、針荷重49N、針速度2m
m/secで不織布の凸部または凹部に当たるように移動さ
せて、針が試料を貫通するまでの針にかかる抵抗荷重−
伸長曲線(図2に示す)を描いたときの最大抵抗荷重を
凸部または凹部における突き刺し抵抗荷重(cN)とし
た。測定回数を3回とし、その平均値で表した。
【0033】[初期突き刺し抵抗度]図2に示す突き刺
し抵抗荷重−伸長曲線から原点の近くで伸長変化に対す
る荷重変化の最大点A(切線角の最大点)を求め、下記
式(1)により初期突き刺し抵抗度を算出した。 測定
回数を3回とし、その平均値で表した。 初期突き刺し抵抗度(cN/mm)=P/(H−T) ・・・(1) ここで、P:切線角の最大点Aにおける荷重(cN) H:最大点Aの垂線の足(mm) T:切線と横軸との交点(mm)
【0034】[剛軟度]JIS−L−1096 6.1
9.1 剛軟性A法(45゜カンチレバー法)に準じ、
幅2cm、長さ15cmの試料片をタテ方向(長手方向)お
よびヨコ方向(幅方向)にそれぞれ5枚採取し、カンチ
レバー型測定機を用い、試料片が移動した長さを測定
し、タテ方向およびヨコ方向それぞれの平均値を求め
た。
【0035】[ワイピング性]ガラス板上に、0.3g
の洗濯糊(シルバー化成工業所(有)製)を3cm四方の
範囲に均一に塗布した後、このガラス板を70℃の乾燥
機に10分間放置して洗濯糊を固化させた。そして、タ
テ方向10cm×ヨコ方向10cmの大きさに裁断した試料
に水分が約200%付着するように含浸、脱水して調整
した後に、表層部(エンボス面)が拭き取り面となるよ
うに試料を四つ折にし、試料に20Nの一定荷重をかけ
てガラス板上を5往復させ、固化付着した洗濯糊を払拭
し、払拭後のガラス板の状態を目視して下記の三段階で
評価した。 ◎:ガラス板上の洗濯糊がきれいに落ちていた。 ○:ガラス板上の洗濯糊がほとんど落ちていた。 △:ガラス板上の洗濯糊が少し残っていた。 ×:ガラス板上の洗濯糊がほとんど落ちていなかった。
【0036】[実施例1〜3]表層部を形成する熱可塑
性繊維として、高融点ポリエステル系樹脂を芯成分と
し、低融点ポリエステル系樹脂を鞘成分とした繊度2.
2dtex、繊維長51mmのポリエステル系芯鞘型複合繊維
(東洋紡績(株)製、商品名:EE−7)を準備した。
前記ポリエステル系芯鞘型複合繊維についてDSC法で
測定したところ、高融点成分のポリエステル系樹脂の融
解ピーク(融点253℃)は確認できたが、低融点ポリ
エステル系樹脂の融解ピークは実質的に確認できなかっ
た。そこで、顕微鏡で雰囲気温度を上昇させながら繊維
の溶融状態を観察し、樹脂が流れ出したときの温度を確
認したところ、約110℃が溶融温度であった。次い
で、ポリエステル系芯鞘型複合繊維100mass%を用
い、セミランダムカードで目付20g/m2の繊維ウェブ
(熱可塑性繊維層)を作製した。
【0037】次に、裏層部を形成する熱可塑性繊維とし
て前記ポリエステル系芯鞘型複合繊維20mass%、およ
び親水性繊維として繊度5.6dtex、繊維長51mmのレ
ーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製、商品名:コ
ロナ)80mass%を準備し、セミランダムカードで目付
20g/m2の繊維ウェブを作製して繊維ウェブ(親水性繊
維層)とした。
【0038】得られた積層ウェブに、孔径0.12mmの
オリフィスが1mm間隔で配されたノズルを用いて、積層
ウェブの親水性繊維層側に水圧5MPaの水流を1回、次
いで熱可塑性繊維層側に水圧5MPaの水流を1回噴射し
て、積層ウェブの構成繊維を三次元的に交絡させ、熱風
貫通型乾燥機を用い乾燥温度100℃で乾燥と同時に予
備的に擬似融着させて絡合不織布を得た。
【0039】そして、得られた絡合不織布に、頂面が直
径1mmの円形形状からなりエンボス面積19.7%のエ
ンボスロールと、フラットロールとが1対になったエン
ボス処理機を用い、線圧を50kg/cm、表1に示す加工
温度(エンボス/フラット)で表層部がエンボス面とな
るように通過させてエンボス処理を施し、ワイピング用
不織布を得た。
【0040】[実施例4]実施例1のポリエステル系芯
鞘型複合繊維70mass%と、レーヨン繊維30mass%と
を混綿し、セミランダムカードで目付80g/m2の混綿ウ
ェブを作製した以外は、実施例1と同様の方法で、ワイ
ピング用不織布を得た。
【0041】[比較例1]熱可塑性繊維として、第一成
分をポリエチレンとし、第二成分をポリエチレンテレフ
タレートを配した菊花型の8分割型複合繊維(大和紡績
(株)製、商品名:DFS(SH))を用いて、エンボ
ス加工温度(エンボス/フラット)を125℃/125
℃とした以外は、実施例1と同様の方法でワイピング用
不織布を得た。
【0042】[比較例2]熱可塑性繊維として、芯成分
をポリプロピレンとし、鞘成分をポリメチルペンテンと
した芯鞘型複合繊維(大和紡績(株)製、商品名:NB
F(PT))を用いて、エンボス加工温度(エンボス/
フラット)を170℃/170℃とし、熱可塑性繊維層
単独とした以外は、実施例1と同様の方法でワイピング
用不織布を得た。
【0043】[比較例3]熱可塑性繊維として、芯成分
をポリプロピレンとし、鞘成分を高密度ポリエチレンと
した芯鞘型複合繊維(大和紡績(株)製、商品名:NB
F(H))を用いて、エンボス加工温度(エンボス/フ
ラット)を135℃/135℃とした以外は、実施例1
と同様の方法でワイピング用不織布を得た。実施例1〜
4および比較例1〜3の物性を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例1〜4のワイピング用不織布は、い
ずれも表層部において凸部、凹部、それらによって形成
された壁面部を適度な硬さとすることにより、洗濯糊の
固化したこびりついた汚れをきれいに掻き取ることがで
きた。また、実施例1〜4のワイピング用不織布は、洗
面台やキッチンの水周りなどの湾曲部、屈曲部にもフィ
ットし、使い勝手のよいものであった。一方、比較例1
〜3の不織布は、表層部において所望の範囲の突き刺し
抵抗荷重および初期突き刺し抵抗度が得られおらず、剛
軟度も小さいため、掻き取り性に劣っていた。
【0046】
【発明の効果】本発明のワイピング用不織布は、不織布
の表層部において、熱可塑性繊維を主体とし、前記熱可
塑性繊維が軟化または溶融された凸部と熱圧着された凹
部とを備えるとともに、不織布の凸部において所望の範
囲の突き刺し抵抗荷重および初期突き刺し抵抗度に調整
することにより、凸部に形成された硬質面と、凸部と凹
部とで形成される壁面部とを得ることができ、従来の不
織布では拭き取り時に毛羽立ったりして十分に掻き取り
できなかった対象面に付着した頑固な水垢、油汚れ、固
化した物質、炭化物など硬質な汚れを掻き取ることがで
きる。
【0047】また、不織布剛軟度を所望の範囲に調整す
ることにより、屈曲、湾曲、角など狭い部分を有する対
象面においてもフィットし、拭き取り作業性に優れたワ
イピング不織布を得ることができる。さらに、前記熱可
塑性繊維として、芯成分をポリエステル系樹脂とし、鞘
成分を芯成分よりも100℃以上低い温度で軟化または
溶融する共重合ポリエステル系樹脂とする熱接着性複合
繊維を用いると、所望の突き刺し抵抗荷重および初期突
き刺し抵抗度が得られ、掻き取り性に優れたものとな
る。
【0048】さらに、不織布の形態として、凸部と凹部
とを備えた表層部が熱可塑性繊維を60mass%以上含有
する熱可塑性繊維層とし、内部および裏層部のうちいず
れか1部が親水性繊維を30mass%以上含有する親水性
繊維層とした積層不織布とすることにより、ウェット状
で使用する際に、液保持性および液放出性に優れるとと
もに柔軟性にも優れたワイピング不織布を得ることがで
きる。本発明のワイピング用不織布は、特に、洗面台、
キッチンシンク、風呂場、トイレなど水周り用に好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 突き刺し抵抗荷重および初期突き刺し抵抗度
を算出するのに用いる針の斜視図。
【図2】 突き刺し抵抗荷重および初期突き刺し抵抗度
を算出するのに用いる突き刺し抵抗荷重−伸長曲線。
【符号の説明】
1.針 2.突き刺し抵抗荷重−伸長曲線 3.荷重変化の最大点A(切線角の最大点) 4.切線角の最大点Aにおける荷重P 5.最大点Aの垂線の足H 6.切線と横軸との交点T

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性繊維を60mass%以上含有し、
    前記熱可塑性繊維が軟化または溶融された凸部と熱圧着
    された凹部とを不織布の表層部に備えた不織布であっ
    て、下記の方法で測定される前記不織布の凸部における
    突き刺し抵抗荷重が800cN以上、2700cN以下であ
    り、かつ初期突き刺し抵抗度が500cN/mm以上、12
    50cN/mm以下であることを特徴とするワイピング用不
    織布。 [突き刺し抵抗荷重]カトーテック(株)製ハンディ圧
    縮試験機(KES−G5)を用い、不織布を試料台に載
    置、両端を固定し、直径0.5mmの球状先端部を有する
    針を、針荷重49N、針速度2mm/secで不織布の凸部に
    当たるように移動させて、針が試料を貫通するまでの針
    にかかる抵抗荷重−伸長曲線を描いたときの最大抵抗荷
    重を突き刺し抵抗荷重(cN)とする。測定回数を3回と
    し、その平均値で表す。 [初期突き刺し抵抗度]前記抵抗荷重−伸長曲線から原
    点の近くで伸長変化に対する荷重変化の最大点A(切線
    角の最大点)を求め、下記式(1)により初期突き刺し
    抵抗度を算出する。測定回数を3回とし、その平均値で
    表す。 初期突き刺し抵抗度(cN/mm)=P/(H−T) ・・・(1) ここで、P:切線角の最大点Aにおける荷重(cN) H:最大点Aの垂線の足(mm) T:切線と横軸との交点(mm)
  2. 【請求項2】 JIS−L−1096 6.19.1
    剛軟性A法(45°カンチレバー法)における不織布の
    剛軟度が、不織布のタテ方向(長手方向)で100mm以
    上、190mm以下であり、不織布のヨコ方向(幅方向)
    で40mm以上、90mm以下である請求項1記載のワイピ
    ング用不織布。
  3. 【請求項3】 不織布における凸部の突き刺し抵抗荷重
    と、凹部の突き刺し抵抗荷重との比(凸部/凹部)が1
    以上、4.5以下である請求項1または2に記載のワイ
    ピング用不織布。
  4. 【請求項4】 熱可塑性繊維が、芯成分をポリエステル
    系樹脂とし、鞘成分を芯成分よりも100℃以上低い温
    度で軟化または溶融する共重合ポリエステル系樹脂とす
    る熱融着性複合繊維である請求項1〜3のいずれかに記
    載のワイピング用不織布。
  5. 【請求項5】 不織布における凸部と凹部とを備えた表
    層部が、熱可塑性繊維を60mass%以上含有する熱可塑
    性繊維層とし、内部および裏層部のうち少なくとも1部
    が親水性繊維を30mass%以上含有する親水性繊維層と
    した積層不織布である請求項1〜4のいずれかに記載の
    ワイピング用不織布。
  6. 【請求項6】 不織布が、構成する繊維同士を三次元的
    に交絡させた交絡不織布である請求項1〜5のいずれか
    に記載のワイピング用不織布。
JP2001065148A 2001-03-08 2001-03-08 ワイピング用不織布 Pending JP2002263043A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001065148A JP2002263043A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 ワイピング用不織布

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001065148A JP2002263043A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 ワイピング用不織布

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002263043A true JP2002263043A (ja) 2002-09-17

Family

ID=18923853

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001065148A Pending JP2002263043A (ja) 2001-03-08 2001-03-08 ワイピング用不織布

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002263043A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008073357A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Uni Charm Corp ワイプ材、シート部材およびその製造方法
JP2010069109A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Daio Paper Corp 産業用ワイプ
JP2015067936A (ja) * 2013-10-01 2015-04-13 ユニチカ株式会社 不織布
CN110148337A (zh) * 2019-04-29 2019-08-20 东华大学 线圈循环原理纬编针织织物电极电阻理论模型构建方法
JPWO2019065807A1 (ja) * 2017-09-29 2020-11-05 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 不織布、これを用いたフィルター及び不織布の製造方法
CN114554924A (zh) * 2019-10-08 2022-05-27 尼托母斯股份有限公司 清扫用片、清扫用片的层叠体、清扫工具和清扫用片的制造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10262883A (ja) * 1997-03-21 1998-10-06 Uni Charm Corp 拭き取りシート
JP2000154470A (ja) * 1998-11-16 2000-06-06 Teijin Ltd 防護材料
JP2000314065A (ja) * 1999-04-28 2000-11-14 Daiwabo Co Ltd 清掃用不織布およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10262883A (ja) * 1997-03-21 1998-10-06 Uni Charm Corp 拭き取りシート
JP2000154470A (ja) * 1998-11-16 2000-06-06 Teijin Ltd 防護材料
JP2000314065A (ja) * 1999-04-28 2000-11-14 Daiwabo Co Ltd 清掃用不織布およびその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008073357A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Uni Charm Corp ワイプ材、シート部材およびその製造方法
JP2010069109A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Daio Paper Corp 産業用ワイプ
JP2015067936A (ja) * 2013-10-01 2015-04-13 ユニチカ株式会社 不織布
JPWO2019065807A1 (ja) * 2017-09-29 2020-11-05 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 不織布、これを用いたフィルター及び不織布の製造方法
JP7229165B2 (ja) 2017-09-29 2023-02-27 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 フィルター及びフィルターの製造方法
CN110148337A (zh) * 2019-04-29 2019-08-20 东华大学 线圈循环原理纬编针织织物电极电阻理论模型构建方法
CN114554924A (zh) * 2019-10-08 2022-05-27 尼托母斯股份有限公司 清扫用片、清扫用片的层叠体、清扫工具和清扫用片的制造方法
CN114554924B (zh) * 2019-10-08 2024-03-08 尼托母斯股份有限公司 清扫用片、清扫用片的层叠体、清扫工具和清扫用片的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2534534C2 (ru) Ламинированный нетканый материал с высоким содержанием целлюлозы
JP3559533B2 (ja) 絡合不織布とこれを用いた清拭シートおよび湿潤性シート
JP4521274B2 (ja) 多層不織布
JP6080319B2 (ja) 不織布およびその製造方法、並びに拭き取り材
JP6423578B2 (ja) 積層不織布、その製造方法及びこれを用いた不織布製品
JP6726422B2 (ja) ウェットワイピングシート用不織布および対人用ウェットワイピングシート
KR101410112B1 (ko) 부직포 및 그 제조 방법, 및 닦음재
JP4852659B2 (ja) 不織布及びその製造方法、並びに拭き取り材
MXPA05005832A (es) Producto para fregar soplado con fusion.
CA2511644A1 (en) An absorbent personal care and/or cleansing product for cosmetic and/or dermatological applications comprising at least one absorbent sheet
JP3358356B2 (ja) 開孔模様を有する複合不織布および複合不織布の製造方法
JP2006193881A (ja) 積層シートおよびその製造方法
JP4836562B2 (ja) 清掃用ウエットシート
JP2011224385A (ja) 清掃用ウエットシート
JP4721788B2 (ja) 積層不織布およびその製造方法
JP3668184B2 (ja) 皮膚湿潤シートおよびその製造方法
JP2002069819A (ja) かさ高の不織布
JP4446579B2 (ja) 開孔不織布及びその製造方法
JP2007284838A (ja) 水流交絡不織布およびワイパー
JP2002263043A (ja) ワイピング用不織布
JP3699332B2 (ja) 湿潤シート
JP4094996B2 (ja) ワイパー用不織布および洗浄用ワイパー
JP3851894B2 (ja) メルトブローン不織布、積層メルトブローン不織布、およびワイパー
JP3967848B2 (ja) 清掃用不織布およびその製造方法
JP2011021310A (ja) 不織布およびその製造方法、並びに拭き取り材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20080131

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100402

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101019