JP3967848B2 - 清掃用不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形物や粘着物のような付着物を清掃対象面に傷つけることなく、容易に拭き取りことができる清掃用不織布およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、不織布を用いた清掃材としては、特開平4−33686号公報のような分割型複合繊維など極細繊維を用いた不織布で細かい汚れを拭き取るタイプ、特開平5−192285号公報のような繊維の交絡により毛髪などのゴミを絡め取るタイプ、特開平7−3598号公報のような不織布表面に凹凸を持たせて、物理的にゴミなどを取り込むタイプ、あるいは研磨剤等を付着させて対象物の表面を磨き取るタイプに大別される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記清掃材には以下の問題点がある。極細繊維を用いた不織布であると、細かい汚れや油のような粘着物を拭き取ることができるが、すぐに繊維空隙にごみが詰まってしまい、詰まった拭き取り面を使用し続けると、かえって汚れが広がってしまう。繊維の交絡によりゴミを絡め取るタイプや不織布表面に凹凸を持たせたタイプであると、毛髪などの適度に小さい固体物は絡め取ることができるが、対象物に頑固に付着した汚れや粘着物に対して、不織布表面の強度が弱く、十分に掻き取ることができない。研磨剤等を付着させたタイプは、対象物に頑固に付着した汚れや粘着物には有効であるが、それ以外のごみに対しては、対象物の表面に傷を付けてしまうばかりで捕集効果が不十分である。
したがって、本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、固形物や粘着物のような付着物を清掃対象面に傷つけることなく、容易に拭き取りことができ、あらゆるごみに対して優れた捕集能を有する清掃用不織布およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の清掃用不織布は、熱収縮性繊維を含有する第1繊維層の少なくとも片面に、非熱収縮性繊維を含有する第2繊維層が積層されて三次元的に交絡されてなる不織布であって、前記不織布は部分的熱圧着により繊維同士が熱圧着されてなる熱圧着部が形成されており、前記不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3とし、隣り合う熱圧着部の間で形成される平均熱圧着部間距離をDとしたとき、非熱圧着部の隆起比(H3/D)が0.4以上であることを特徴とする。かかる構成を採ることにより、あらゆるごみや付着物に対して、清掃対象面に傷つけることなく、容易に拭き取りことができ、優れた捕集能を有する清掃用不織布が得られる。
【0005】
本発明の清掃用不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3とし、20g/cm2荷重時の厚みをH20としたとき、厚み比(H20/H3)が0.80以上であることが望ましい。
【0006】
本発明において、前記第2繊維層の非熱収縮性繊維は、吸水性および/または吸油性繊維であることが望ましい。
【0007】
本発明において、前記第1繊維層は、熱収縮性繊維20〜80重量%と第2繊維層の非熱収縮性繊維80〜20重量%とが混綿されてなることが望ましい。
【0008】
また、前記第2繊維層の非熱収縮性繊維は、鞘芯型複合繊維からなり、鞘成分の熱可塑性樹脂が、第1繊維層の熱収縮性繊維を形成する樹脂と同一種類からなる樹脂であることが望ましい。
【0009】
本発明の清掃用不織布は、熱収縮性繊維を含有する第1繊維層の少なくとも片面に、非熱収縮性繊維を含有する第2繊維層を積層し、これに高圧流体流を第2繊維層側から噴射し、繊維同士を交絡させた不織布とした後、加熱エンボスロールを用いて加熱加圧処理を施して、両繊維層を部分的に熱圧着させるとともに、熱収縮性繊維を熱収縮させて、繊維同士が熱接着されてなる熱圧着部を形成させることにより、製造することができる。また、前記加熱エンボスロールによる加熱加圧処理は、エンボスロールとフラットロールの間で、エンボスロール側に第1繊維層が当接するように処理されることが望ましい。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の清掃用不織布における第1繊維層には、収縮挙動を示す繊維が含有していれば特に制限されないが、加工性、汎用性から熱により収縮挙動を示す熱収縮性繊維、あるいは見かけ上収縮する潜在捲縮性複合繊維が好ましい。例えば、ポリエステル/共重合ポリエステル、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体などの組み合わせからなる見かけ上熱収縮するサイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、あるいは共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる潜在熱収縮性繊維が挙げられる。これらの繊維は、第1繊維層において少なくとも20重量%含有することが好ましい。
【0011】
特に、第1繊維層において、加熱による最大収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維を少なくとも20重量%含有することが好ましい。より好ましくは、熱による最大収縮率が少なくとも80%である熱収縮性繊維を少なくとも30重量%である。ここでいう最大収縮率とは、加熱された繊維が繊維形状を保ったままの収縮状態での最高の収縮率をいう。熱収縮性繊維の収縮率が50%未満であると、収縮が不十分で山谷の鮮明な不織布が得られない。また、80%程度の収縮率を持つ収縮性繊維であっても、他の繊維を70%以上混綿すると所望の不織布が得られないからである。
【0012】
上記を満たす熱収縮性繊維としては、例えば融点Tm(℃)が130<Tm<145のエチレン−プロピレンランダム共重合体を少なくとも70重量%以上含むポリマーからなる繊維が好適である。上記融点とはポリマーの示差熱熱量測定(DSC)をおこなうときのDSC曲線が最高値を示すときの温度をいう。融点が130℃未満であるとポリマーがゴム的弾性を示すようになり、繊維のカード通過性が悪くなる。逆に145℃を超えると、繊維の熱収縮性が通常のポリプロピレン程度となってしまうために好ましくない。また、エチレン−プロピレンランダムコポリマーの占める割合が70重量%未満となると、得られる繊維の最大収縮率が50%未満となり、好ましくない。エチレン−プロピレンランダムコポリマーと混合するポリマーとしては、エチレン−プロピレン−ブテン-1三元共重合体や、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマーを用いることが好ましい。
【0013】
第1繊維層において、熱収縮性繊維と混綿される他の繊維としては、例えば、コットン、シルク、ウール、パルプ等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。例えば、熱収縮性繊維の融点近傍である熱接着性繊維を用いると、繊維ウェブを熱処理した際に熱接着されるので好ましい。このような熱接着性繊維としては、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸メチル共重合体/ポリプロピレンなどの鞘芯型複合繊維が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
また、熱収縮性繊維と混綿される他の繊維として、第2繊維層の非熱収縮性繊維と同一の繊維を用いると、第1繊維層にも非熱収縮性繊維の機能を有するだけでなく、後述する高圧流体流処理における交絡性が向上する点において好ましく、その混綿比は、熱収縮性繊維20〜80重量%と第2繊維層の非熱収縮性繊維80〜20重量%であると都合がよい。
【0015】
さらに、熱収縮性繊維と混綿される他の繊維として、吸水性繊維を用いると、本発明の清掃用不織布を湿潤性清掃材として使用する場合、薬液の吸液性および保持性に優れる点において好ましい。吸水性繊維としては、例えば、コットン、シルク、ウール、パルプ、レーヨンなどの繊維が挙げられる。なかでも、レーヨン繊維が取り扱い性、汎用性の観点から好ましい。
【0016】
第1繊維層の形態としては、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、連続フィラメントからなる長繊維ウェブ、短繊維を湿式抄紙したウェブ、あるいはメルトブロー不織布等など何れであってもよいが、なかでも、後述する三次元的交絡処理により第2繊維層との交絡を強固にするためには、ステープル繊維からなる繊維ウェブを用いることが好ましい。また第1繊維層は、繊維ウェブのままで第2繊維層と積層してもよいが、繊維同士を予め軽く交絡あるいは接合させた不織布状物としておいても何ら差し支えない。そして、第1繊維層の好ましい目付は、5〜50g/m2であり、より好ましくは、10〜40g/m2である。目付が5g/m2未満であると、熱収縮性に斑が生じ、目付が50g/m2を超えると、得られる製品の目付自体が大きくなるからである。
【0017】
次に、第2繊維層について説明する。第2繊維層を構成する繊維は、繊維集合物を形成することができ、第1繊維層が熱収縮する温度において実質的に収縮しない非熱収縮性繊維を含有していれば、素材等は特に限定されない。そして、前記第2繊維層の非熱収縮性繊維は、吸水性および/または吸油性繊維であることが好ましく、例えば、吸水性繊維としては、コットン、シルク、ウール、パルプなどの天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維などが挙げられ、吸油性繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維などが挙げられる。また、両方の機能を有する繊維としては、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、あるいは前記吸油性繊維を親水化処理したものなどが挙げられる。そして、本発明においては、これらのから任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。また、繊維形状等も特に限定されず、単一繊維、鞘芯型複合繊維、分割型複合繊維、または異形断面を有する繊維等を任意に使用することができる。
【0018】
例えば、台所や工場など水や油を頻繁に使用するところであれば、前記の両方の機能を有する繊維を選択的に使用するのが好ましく、特に、異形断面を有するアクリル系繊維が、吸水性/吸油性、拭き取り性の観点から最も有効である。その繊度は、0.5〜2.5dtexであることが好ましい。
【0019】
また、対象物にこびりついた鳥の糞などの固形物に使用するのであれば、鞘芯型複合繊維を用いるのが好ましく、第2繊維層中に少なくとも50重量%含有することが好ましい。より好ましくは、70重量%以上である。第2繊維層中の含有量が50重量%未満であると、第2繊維層の繊維同士の熱接着強力が弱く、固形物に繊維が引っかかり、不織布自体が毛羽立ったり、繊維が切断され脱落する恐れがあるからである。複合繊維の組合せとしては、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。中でも、鞘成分の熱可塑性樹脂の融点Ts(℃)が、第1繊維層の熱収縮性繊維の融点Tm(℃)としたとき、Tm−20≦Ts≦Tm+10であることが好ましい。Tsが、Tm−20未満であると、熱収縮性繊維が十分に収縮しない恐れがあるため、加工温度の上昇させる必要が生じ、それによって溶融しすぎて、風合いが硬くなり過ぎるだけでなく、加工性も悪くなる。Tm+10を超えると、非熱圧着部を硬く仕上げることができず、固形物に対してのワイピング性に劣るからである。特に好ましくは、鞘成分の熱可塑性樹脂が、第1繊維層の熱収縮性繊維を形成する樹脂と同一種類からなる樹脂である。同一種類からなる樹脂を用いることにより、適度な加工性と非熱圧着部の表面硬さの点で優れるからである。
【0020】
第2繊維層の形態も特に限定されず、ステープル繊維からなるパラレルウェブやクロスウェブ、セミランダムウェブ、連続フィラメントからなる長繊維ウェブ、短繊維を湿式抄紙したウェブ、あるいはメルトブロー不織布等を任意に使用することができる。第1繊維層との交絡を強固にするためには、ステープル繊維からなるウェブを用いることが好ましい。第2繊維層は、繊維ウェブのままで第1繊維層と積層してもよいし、繊維同士を予め軽く交絡あるいは接合させた不織布状物としておいても何ら差し支えない。そして、第2繊維層の好ましい目付は、10〜100g/m2であり、より好ましくは、15〜50g/m2である。目付が10g/m2未満であると、拭き取り性が不十分であり、目付が100g/m2を超えると、得られる製品の目付自体が大きくなるからである。
【0021】
そして、第1繊維層と第2繊維層は積層され、後述の三次元的交絡処理により一体化される。三次元的交絡処理は、高圧流体流処理、あるいはニードルパンチ処理によって施されるが、本発明においては、高圧流体流処理が交絡度合いが大きい点で好ましい。ここでいう「流体」は、繊維同士を交絡させ得るものであれば限定されないが、工程管理上、特に水を用いることが好ましい。噴射する流体流の圧力は、処理するウェブの目付や交絡度合いに応じて設定すればよい。例えば、20〜100g/m2のウェブを処理する場合、流体流の圧力は1〜10MPaであることが好ましい。1MPa未満では、流体流のエネルギーが弱く、繊維同士を十分に交絡できない。10MPaを超えると、ウェブの地合が乱れ、均一な不織布が得られないからである。
【0022】
得られた交絡不織布は、加熱エンボスロールを用いて加熱加圧処理が施され、両繊維層を部分的に熱圧着させると同時に、第1繊維層側の熱収縮性繊維を熱収縮させて、繊維同士が熱接着されてなる熱圧着部が形成される。加熱エンボスロールによる加熱加圧処理は、第1繊維層内の熱収縮性繊維が収縮する温度で行えばよいが、特に、拭き取り面を硬く仕上げる場合であれば、第2繊維層を形成する鞘芯型複合繊維の鞘成分の熱可塑性樹脂が溶融する温度以上で処理することが好ましい。上記加熱加圧処理を施すことにより、非熱圧着部において、厚みが増大し、構成繊維が図1に示すループ状に隆起したかのような形態、例えば、きのこ型、フック型などの形態となり、清掃用不織布として使用した場合、この深い山谷で形成された周縁部により鳥の糞や虫の死骸のような頑固な付着物や油汚れなどの粘着物を掻き取ることができる。図1における1は清掃用不織布、2は熱圧着部、3は非熱圧着部を示す。さらに、構成繊維が厚み方向に配向する割合が多いので、不織布厚み方向に対して適度な厚み変化(へたり性)を有しており、対象物表面を傷つけることなく、掻き取った汚れを非熱圧着部内に取り込むことができる。さらに、第1繊維層の熱収縮により、第2繊維層表面に形成される熱圧着部は、エンボスロールの小突起の形状をそのまま反映しておらず、図2に示すような様々な方向や大きさに変形し、不均一な形態となして形成されたものとなり、明らかに図3および図4に示す従来の熱圧着不織布とは異なった形態となす。
【0023】
加熱加圧処理は、加熱エンボスロールと加熱フラットロール間に三次元的交絡処理を施した積層体を通過させることにより行われる。エンボスロールとしては、頂面が円形あるいは多角形の小突起がロール表面に多数配設されたもの、ロール表面に円形あるいは多角形の陥没を有するもの、ロールの幅方向に規則的に凹凸が形成された歯車形状を有するものなどが使用できる。このとき、エンボスロール側に第1繊維層を当節するように処理すると、不織布表面が硬く仕上がって、付着物の掻き取り性が向上する点で好ましい。そして、不織布において繊維同士が熱接着されてなる熱圧着部の占める個数は、8個/cm2以上であることが好ましい。より好ましくは30〜60個/cm2である。熱圧着部の占める割合が8個/cm2未満であると、十分な不織布強力が得られず、固形物などの掻き取り性も不十分であるからである。
【0024】
加熱加圧処理による不織布の面積収縮率は、30%以上であることが好ましい。より好ましくは、40〜80%である。面積収縮率が30%未満であると、非熱圧着部の隆起が十分とはいえないからである。そして、本発明の清掃用不織布のの好ましい目付は、30〜200g/m2であり、より好ましくは、40〜100g/m2である。目付が30g/m2未満であると、拭き取り性が不十分であり、目付が200g/m2を超えると、取り扱い難くなるだけでなく、コストが高くなるからである。
【0025】
このようにして得られた清掃用不織布は、隣り合う熱圧着部の間で形成される平均熱圧着部間距離をDとしたとき、非熱圧着部の隆起比(H3/D)が0.4以上とすることによって、あらゆるごみや付着物に対して、清掃対象面に傷つけることなく、容易に拭き取りことができ、優れた捕集能を有する不織布となる。より好ましくは、0.55以上である。ここでいう熱圧着部間距離とは、図3に示すとおり、不織布の長手方向(タテ方向)に対して、隣り合う熱圧着部の中心付近を通るように直線を結び、各々の熱圧着部に近い方の端部と端部の距離のことをいう。また、非熱圧着部の隆起比(H3/D)とは、非熱圧着部の高さに対する幅の比であり、非熱圧着部の形状を表す指標とすることができる。この比率が大きいほど、山が高くそびえ立つ様な断面形状を有する非熱圧着部となり、逆にこの比率が小さいほど、山が低くなだらかな断面形状を有する非熱圧着部となる。非熱圧着部の隆起比(H3/D)が0.4未満であると、非熱圧着部と熱圧着部により形成された山谷に付着物や粘着物などが十分に引っかからず、掻き取り性に劣る。
【0026】
さらに、清掃用不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3としたとき、H3は、1mm以上であることが好ましい。より好ましくは、1.2mm以上である。H3が1mm未満であると、十分な清掃力が得られないからである。また、清掃用不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3とし、20g/cm2荷重時の厚みをH20としたとき、厚み比(H20/H3)は、0.80〜0.95であることが好ましい。より好ましくは、0.85〜0.95である。厚み比(H20/H3)とは、山谷で形成された周縁部の高さ、および不織布厚み方向におけるへたり性を表す指標であり、この比率が大きいほど、周縁部の高さが大きく、またへたり性も小さく、頑固な付着物や粘着物を掻き取ったり、ごみを拭き取ったりするのに適した山谷形態が得られたことになる。厚み比(H20/H3)が0.80未満であると、へたりが大きすぎるとともに掻き取り性も不十分である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて具体的に説明する。
なお、得られた不織布の平均熱圧着部間距離、厚み、引張強力、破断伸度、およびワイピング性能は、以下のとおり測定した。
【0028】
[平均熱圧着部間距離]
幅2.5cm、長さ(長手方向)2.5cmの試料片を3枚準備し、不織布の長手方向(タテ方向)に対して、隣り合う熱圧着部の中心付近を通るように直線で結び、各々の熱圧着部に近い方の端部と端部の距離をそれぞれ測定し、平均した。
【0029】
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2 あたり3gおよび20gの荷重を加えた状態で測定し、それぞれH3、H20とした。
【0030】
[引張強力、破断伸度]
JIS L 1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度30cm/分で伸長し、切断時の荷重値および伸長率をそれぞれ引張強力、破断伸度とした。
【0031】
[ワイピング性能]
(1)固形物に対するワイピング性能
対象物をガラス面として、0.3gの洗濯糊(シルバー化成工業所(有)製)を3cm×3cmの範囲に均一に塗布したガラス面を70℃の乾燥機に10分間放置し、洗濯糊を乾燥固化させた。そして、10cm×10cmの大きさに裁断した試料に水分を約200%含浸させ、固く絞って水分率約100%に調整したあと、第2繊維層面が拭き取り面となるように4つ折りにして、ガラス面上を2kgの一定荷重で5往復させ、ワイピング性を目視で下記のとおり評価した。
【0032】
(2)粘着物に対するワイピング性能
ガラス面上に耐熱性潤滑ペースト(ダウ・コーニング・アジア社製 商品名モリコート)を1gまんべんなく塗布し、そして、10cm×10cmの大きさに裁断した試料に水分を約200%含浸させ、固く絞って水分率約100%に調整したあと、第2繊維層面が拭き取り面となるように4つ折りにして、ガラス面上を2kgの一定荷重で5往復させ、ワイピング性を目視で下記のとおり評価した。
◎・・・大変よく拭き取れた
○・・・大体拭き取れた
△・・・少し拭き残しがあった
×・・・拭き残しが多かった
【0033】
[実施例1〜3]
第1繊維層として、融点Tmが138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる繊度2.2dtex、繊維長51mmの熱収縮性繊維(大和紡績(株)製)からなる目付10g/m2のパラレルウェブを作製した。なお、この繊維は、150℃の雰囲気下に1分間置いたとき92%の乾熱収縮率(最大熱収縮率)を示した。乾熱収縮率は、繊維を50本束ねて、黒い綿糸で所定間隔に印をつけ、温度150℃の雰囲気下に30秒程度曝した後、印をつけた間隔を測定して算出した。ここでは融点より高い温度で測定しているが、処理時間が短いので繊維形状を保ったまま収縮させることができる。
【0034】
第2繊維層として、鞘成分に融点Tsが138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体、芯成分に融点が265℃のポリエチレンテレフタレートとした繊度4.4dtex、繊維長51mmの鞘芯型熱接着性複合繊維(大和紡績(株)製)からなる目付25g/m2のパラレルウェブを作製した。
【0035】
次いでこれらのウェブを積層し、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で穿孔されたノズルから水圧3MPaの高圧柱状水流を表裏それぞれ2回ずつ噴射し、繊維同士を三次元的交絡させて交絡不織布とした。得られた交絡不織布をそれぞれ125℃(実施例1)、130℃(実施例2)、および135℃(実施例3)に加熱されたエンボスロール(頂面面積0.785mm2 の円錐台型小突起パターン、25個/cm2)とフラットロールの間にロール間のクリアランス0mmで第1繊維層がエンボスロールに当接するように線圧50kg/cmで熱圧着を施し、第1繊維層を熱収縮させて第2繊維層に深い山谷を形成させた。
【0036】
[実施例4]
第1繊維層として、実施例1の熱収縮性繊維を50重量%と繊度0.9dtex、繊維長51mmのアクリル繊維(日本エクスラン(株)製、商品名K−615)を50重量%とを混綿してなる目付10g/m2のパラレルウェブを作製した。第2繊維層として、上記アクリル繊維からなる目付25g/m2のパラレルウェブを作製した。次いで、第1繊維層の両面に第2繊維層を積層して三層構造とし、実施例1と同様の条件で高圧水流処理を施して交絡不織布とした。得られた交絡不織布を140℃、線圧50kg/cmで熱圧着を施し、第1繊維層を熱収縮させて第2繊維層に深い山谷を形成させた。
【0037】
[比較例1]
鞘成分に融点が138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体、芯成分に融点が163℃のポリプロピレンとした繊度2.2dtex、繊維長51mmの鞘芯型複合繊維(大和紡績(株)製)からなる目付40g/m2のパラレルウェブを作製し、135℃に加熱されたエンボスロール(頂面面積0.785mm2 の円錐台型小突起パターン、25個/cm2)とフラットロールの間にロール間のクリアランス0mm、線圧50kg/cmで熱圧着を施して、熱圧着不織布となした。
実施例1〜4、および比較例1の物性を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜3においては、厚み比が大きくなるとともに固形物に対する拭き取り性が向上した。また、粘着物に対しては、適度なへたりを生じた方が効果的であった。実施例4は、アクリル繊維を用いたため、不織布表面も柔かく、特に粘着物に対して有効であった。一方、比較例1においては、拭き残しが多く、清掃用不織布としては不十分であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の清掃用不織布は、非熱圧着部の隆起比(H3/D)を所定の範囲とすることにより、あらゆるごみや付着物、特に頑固な固形物や粘着物に対して、清掃対象面に傷つけることなく、容易に拭き取りことができ、優れた捕集能を有するものである。さらに、厚み比を所定の範囲とすることにより、適度なへたり性を有するので、対象物表面を傷つけることなく、掻き取った汚れを取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の清掃用不織布における断面の一例を示す。
【図2】本発明の清掃用不織布における表面の一例を示す。
【図3】従来の熱圧着不織布における断面の一例を示す。
【図4】従来の熱圧着不織布における表面の一例を示す。
【符号の説明】
1.清掃用不織布
2.熱圧着部
3.非熱圧着部
4.熱圧着部間距離
Claims (7)
- 熱収縮性繊維を含有する第1繊維層の少なくとも片面に、非熱収縮性繊維を含有する第2繊維層が積層され、三次元的に交絡されてなる不織布であって、該不織布は部分的熱圧着により繊維同士が接着されてなる熱圧着部が形成されており、該不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3とし、隣り合う熱圧着部の間で形成される平均熱圧着部間距離をDとしたとき、非熱圧着部の隆起比(H3/D)が0.4以上であることを特徴とする清掃用不織布。
- 不織布の3g/cm2荷重時の厚みをH3とし、20g/cm2荷重時の厚みをH20としたとき、厚み比(H20/H3)が0.80以上であることを特徴とする請求項1記載の清掃用不織布。
- 第2繊維層の非熱収縮性繊維が、吸水性および/または吸油性繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の清掃用不織布。
- 第1繊維層が、熱収縮性繊維20〜80重量%と第2繊維層の非熱収縮性繊維80〜20重量%とが混綿されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の清掃用不織布。
- 第2繊維層の非熱収縮性繊維が、鞘芯型複合繊維からなり、鞘成分の熱可塑性樹脂が、第1繊維層の熱収縮性繊維を形成する樹脂と同一種類からなる樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の清掃用不織布。
- 熱収縮性繊維を含有する第1繊維層の少なくとも片面に、非熱収縮性繊維を含有する第2繊維層を積層し、これに高圧流体流を第2繊維層側から噴射し、繊維同士を交絡させた不織布とした後、加熱エンボスロールを用いて加熱加圧処理を施して、両繊維層を部分的に熱圧着させるとともに、熱収縮性繊維を熱収縮させて、繊維同士が熱接着されてなる熱圧着部を形成させることを特徴とする清掃用不織布の製造方法。
- 加熱エンボスロールによる加熱加圧処理が、エンボスロールとフラットロールの間で、エンボスロール側に第1繊維層が当接するように処理されることを特徴とする請求項5記載の清掃用不織布の製造方法。
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