JP4320078B2 - 嵩高性不織布、その製造方法およびこれを用いた清拭材 - Google Patents

嵩高性不織布、その製造方法およびこれを用いた清拭材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に多数の畝状物を有する意匠性や機能性に優れた嵩高性不織布に関するものであり、乾式ワイパー、湿式ワイパー、台所や浴室などの水まわりの洗浄ワイパーなどの清拭材、包装材、面ファスナー雌材などに有用であり、特に嵩高性不織布を利用した清拭材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱収縮率の異なる二つ以上の繊維層を積層し、一方の繊維層を熱収縮させて、もう一方の繊維層に凹凸を形成させた嵩高性不織布が種々提案されている。例えば、特開昭60−17164号公報には長繊維不織布と熱収縮性の大きな不織布を積層し、長繊維不織布の表面に畝を形成させた不織布が、また、特開昭63−309657号公報には、感熱収縮性繊維と非収縮性繊維とよりなり、感熱収縮性繊維の収縮発現により非収縮性繊維に撓みが生じて不織布表面に多数の畝が形成された不織布が開示されている。また、本出願人においても、特開平9−158022号公報のような筋状の交絡部と交絡部以外の部分に畝状の凸部を多数形成させた不織布を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの不織布には以下の問題点がある。特開昭60−17164号公報や特開昭63−309657号公報の不織布は、いずれも二つの繊維層をニードルパンチングや高圧柱状水流による交絡処理によって繊維層間を一体化させた後、一方の繊維層の熱収縮応力を利用してもう一方の繊維層を「盛り上がらせる」ようにしたものであり、繊維層の盛り上がりにより形成された畝状物は、不織布全体にランダムに形成されている。これらを清拭材として使用した場合、細かい塵や埃などは畝状物、あるいは畝と畝の間の空間に捕集されるが、パン屑等の比較的大きなごみについては、十分に捕集することができず、拭き取る対象物に傷を与えたりする。
【0004】
また、特開平9−158022号公報の不織布は、筋状の交絡部と交絡部以外の部分に畝状の凸部を形成させているので、筋状の交絡部に比較的大きなごみを捕集できるが、筋状の交絡部は高密度領域が形成されているため、ごみが筋状の交絡部に詰まり易く、清拭材としての寿命が短い。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、様々な用途に対応可能な表面に多数の畝状物を有する意匠性や機能性に優れた嵩高性不織布を提供することを目的とし、さらには安価で、対象物に付着した様々な汚れを高度に拭き取る清拭材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の嵩高性不織布は、熱により熱収縮する性質を有する繊維層である第1繊維層と、第1繊維層の熱収縮する温度では実質的に熱収縮しない繊維層である第2繊維層とが繊維同士の交絡により一体化されてなる不織布において、前記不織布は、筋状の低密度領域を有しており、前記筋状の低密度領域は、高圧水流による開孔部が形成されて、幅1〜3mmの筋状の低密度領域が2〜15mm間隔で長手方向に延びており、前記第1繊維層が熱収縮しており、第2繊維層の筋状間に畝状物が存在することを特徴とする。かかる構成を採ることにより、様々な用途に対応が可能な意匠性および機能性に優れた不織布となる。
【0006】
本発明の嵩高性不織布の第2繊維層の筋状間における畝状物は、長手方向1cmあたり3個以上存在することが望ましい。
【0007】
本発明の嵩高性不織布における筋状の低密度領域は、開孔部によって形成されていることが望ましい。
【0008】
本発明の嵩高性不織布における第1繊維層は、最大熱収縮率が少なくとも50%の熱収縮性繊維が熱収縮した繊維を30重量%以上含む繊維層であると、第2繊維層に多数の畝状物が得られる点で望ましい。また、第2繊維層は、第1繊維層の熱収縮する温度では実質的に熱収縮しない繊維層であると、畝状物が容易に得られる点で望ましい。
【0009】
本発明の嵩高性不織布は、熱により熱収縮する性質を有する第1繊維層の少なくとも片面に、第1繊維層が熱収縮する温度では実質的に熱収縮しない第2繊維層を積層し、これに高圧水流を1.5mm以下の間隔で噴射して予備的に交絡させた予備交絡ウェブを開孔形成用支持体上に載置し、長手方向と直交する方向に2〜15mm間隔で高圧水流を筋状に噴射して、筋状の整列された幅1〜3mmの低密度領域である開孔部を形成させた後、加熱処理を施すことにより、第1繊維層を熱収縮させ、筋状間の第2繊維層に畝状物を形成させることにより製造することができる。
【0010】
そして、本発明の嵩高性不織布は、清拭材として使用するすることにより、安価で、対象物に付着した様々な汚れを高度に拭き取ることができる。
以下、本発明の内容を説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の嵩高性不織布は、第1繊維層と第2繊維層とが繊維同士の交絡により一体化されてなる不織布において、幅3mm以下の筋状の低密度領域が2〜15mm間隔で長手方向に延びており、かつ第2繊維層の筋状間に畝状物が存在する構造である。本発明の嵩高性不織布の形態の一例を図1に示す。ここでいう幅3mm以下の筋状の低密度領域とは、第2繊維層に形成される畝状物に比べ、明らかに構成繊維本数の少ない列のことをいう。また長手方向とは、不織布製造工程における機械の配列方向のことをいう。これを図2および図3に示す従来の表面に多数の畝状物を有する不織布と比較すると、図2の不織布は、畝状物が不織布全体をランダムに形成し、図3の不織布は、筋状の交絡部が高密度領域を形成しており、本発明の嵩高性不織布とは明らかに意匠性の異なった不織布となる。
【0012】
本発明の嵩高性不織布において、筋状の低密度領域の幅は、3mm以下が好ましく、より好ましくは、1〜2mmである。低密度領域の幅が3mmを超えると、筋の占める割合が多くなりすぎ、畝状物の効果が十分に発揮されないからである。また、筋状の低密度領域の間隔は、2〜15mm間隔が好ましい。より好ましくは、3〜7mm間隔である。間隔が2mm未満であると、畝状物の占める表面積が小さすぎ、15mmを超えると、不織布全体に畝状物を形成させた従来の不織布と大差がないからである。
【0013】
そして、筋状間における畝状物は、長手方向1cmあたり3個以上存在することが好ましい。より好ましくは、長手方向1cmあたり5〜8個である。畝状物が3個未満であると、清拭材に使用した場合、細かいダストを畝状物によって十分に捕集できないからである。
【0014】
本発明の第1繊維層を構成する繊維の好ましい例として、熱によって収縮する熱収縮性繊維を挙げることができる。本発明では、最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維を使用することが好ましい。ここで最大熱収縮率とは、加熱された繊維が繊維の形状を保ったままで示す熱収縮率のうちで最大のものをいう。最大熱収縮率が50%未満では、第1繊維層の熱収縮が不十分で第2繊維層に形成される畝状物の数が少なくなり、嵩高性に乏しいものとなる。
【0015】
本発明では、最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維として、融解ピーク温度Tm(℃)が、130<Tm<145の範囲内にあるエチレン−プロピレンランダム共重合体を70重量%以上含む樹脂からなる繊維を使用することが好ましい。ここで融解ピーク温度とは、示差走査熱量計(DSC)により樹脂の融解熱測定を行ったときにDSC曲線が最高値を示すときの温度をいう。融解ピーク温度が130℃未満であると樹脂がゴム的弾性を示すようになり、繊維のカード通過性が悪くなる。逆に145℃を超えると、繊維の熱収縮性が通常のポリプロピレン程度となってしまうために好ましくない。
【0016】
また、熱によって見かけの繊維長が短くなる繊維として、熱収縮性繊維のほか、熱によって立体捲縮を発現する潜在捲縮性繊維を使用することもできる。本発明では、加熱により25mmあたり25個以上の立体捲縮を発現するような繊維を使用することが好ましい。25個未満では、繊維層全体を十分に収縮させることができないからである。好ましくは、30〜60個である。かかる潜在捲縮性繊維を用いた場合、熱収縮した後の第1繊維層は伸縮性を有するものとなるため、最終的に得られる不織布には伸縮性が付与されることとなる。
【0017】
熱収縮性繊維あるいは潜在捲縮性繊維は、第1繊維層中に30重量%以上含まれていることが好ましい。30重量%未満では、第1繊維層の収縮が不十分となるからである。これらの繊維が30重量%以上含まれていれば、第1繊維層にその他の繊維を混合することができる。混合する繊維は特に限定されず、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。特に、前述のエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる繊維のように疎水性の繊維を使用する場合には、親水性繊維であるレーヨン繊維と混合して第1繊維層を構成すると、高圧水流の衝撃による地合い不良が抑制され、高圧水流による繊維同士の交絡が強固なものとなるので好ましい。勿論、第1繊維層は熱収縮性繊維あるいは潜在捲縮性繊維のみから構成されていてもよい。
【0018】
第1繊維層の形態は、ステープル繊維からなるパラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブなどのカードウェブ、あるいは繊維長25mm以下の短繊維からなる湿式抄紙ウェブやエアレイウェブ、長繊維からなるスパンボンド不織布、メルトブロー不織布など何れであってもよいが、加工性を考慮すると、第1繊維層はステープル繊維からなるカードウェブであることが好ましい。そして、第1繊維層の目付は10〜30g/m2であることが好ましい。10g/m2未満であると、均一な繊維ウェブを形成し難く、30g/m2を超えても、収縮率は変わらないからである。
【0019】
次に、第2繊維層について説明する。第2繊維層は第1繊維層の熱収縮により、多数の畝状物を形成するものである。したがって、第2繊維層を構成する繊維は、第1繊維層が熱収縮する温度において実質的に収縮しないものであれば、素材等は特に限定されない。例えば、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。繊維形状等も特に限定されず、複合繊維や異形断面を有する繊維等を任意に使用することができる。
【0020】
本発明の嵩高性不織布を例えばウェットティッシュあるいはタオル等の湿式ワイパーとして使用する場合は、第2繊維層を親水性繊維主体で構成すればよい。この中でもレーヨン繊維は吸水性に富み、一定長のステープル繊維の入手が容易であることから、その使用が好ましい。また、台所や浴室等の水まわりの洗浄ワイパーとして使用する場合は、第2繊維層を親水性繊維やアクリル系繊維20重量%以上で構成するのが好ましい。さらに、乾式ワイパーとして使用する場合は、ポリエステルなど疎水性繊維の割合を適宜変更するとよい。
【0021】
第2繊維層の形態も特に限定されず、例えばステープル繊維からなるパラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブなどのカードウェブ、あるいは繊維長25mm以下の短繊維からなる湿式抄紙ウェブやエアレイウェブ、長繊維からなるスパンボンド不織布、メルトブロー不織布など何れであってもよい。そして、第2繊維層の目付は、用途に応じて適宜決定すればよいが、後述する高圧水流噴射法での交絡性を考慮すると、10〜60g/m2であることが好ましい。
【0022】
第1繊維層と第2繊維層は、繊維同士の交絡により一体化される。交絡により一体化する方法としては、ニードルパンチ法、あるいは高圧水流噴射法などが挙げられる。本発明においては、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが長手方向と直交する方向に一定の間隔をおいて穿設されたノズルから高圧水流を噴射する方法が好ましい。このとき繊維同士の交絡強度を向上させるために、高圧水流を1.5mm以下の間隔で噴射して予備的に交絡させて予備交絡ウェブを形成させるとよい。このときの水圧は、1〜6MPa であることが好ましい。水圧が1MPa 未満であると、繊維同士の交絡が十分とはいえず、不織布表面に毛羽立ちが多くなる。水圧が6MPa を超えると、繊維同士の交絡が大きく、緻密な不織布となり、清拭材に使用した場合、ダストを捕集する空間が十分に得られないからである。
【0023】
次いで、上記予備交絡ウェブを開孔形成用支持体上に載置し、長手方向と直交する方向に2〜15mm間隔で高圧水流を筋状に噴射して、筋状に整列された開孔部を形成させる。本発明において、筋状の低密度領域の間隔は、オリフィスの間隔および熱収縮処理時の幅方向への収縮率により、所定の間隔に調整される。またこのときの水圧は、3〜6MPa であることが好ましい。水圧が3MPa 未満であると、鮮明な開孔が得られず、低密度領域が形成され難い。また水圧が6MPa を超えると、地合が乱れ易く、低密度領域における繊維の構成本数が少なくなりすぎ、不織布強力が著しく低下するからである。
【0024】
開孔形成用支持体としては、例えば、モノフィラメントや金属線を織成して形成したパターンネットや、突起物を設けたロール等が挙げられる。得られる開孔形状は特に限定されず、円状、楕円状、菱形、長方形等いずれであってもよい。開孔パターンは、開孔が長手方向に1列、2列、あるいはそれらが混在して千鳥状、格子状等で形成される。また開孔部は、孔径0.5〜3mmであればよい。孔径が3mmを超えると、清拭材に使用したときの捕集効果が不十分であり、0.5mm未満であると、熱処理後に孔が消失してしまい、低密度領域が形成されないからである。
【0025】
続いて、この一体化された積層不織布に第1繊維層における熱収縮性繊維が収縮する温度で加熱処理を施して、第1繊維層を収縮させ、筋状間の第2繊維層に畝状物を形成させる。一方、長手方向に配列された開孔部は、収縮作用により、ランダムな方向に変形し、その幅も収縮に応じて狭くなりながら筋状の低密度領域を形成する。加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、熱風貫通型乾燥機、ピンテンター等を用いて、不織布をオーバーフィードさせながら処理するとよい。このとき不織布の長手方向1cmあたりの畝状物の個数は、オーバーフィード率(加工機の入口速度×100/加工機の出口速度)により容易に調整することができる。例えばオーバーフィード率を大きくすると、得られる畝状物は多くなり、オーバーフィード率は80%以上が好ましく、より好ましくは、100〜140%である。また筋状の低密度領域の幅は、ピンテンター等による幅規制や熱処理温度、熱処理速度等により容易に調整することができる。
【0026】
このようにして得られた嵩高性不織布は、特に乾式ワイパー、湿式ワイパー、台所や浴室などの水まわりの洗浄ワイパーなどの清拭材に使用すると効果的であり、例えば、乾式ワイパーとして用いる場合、塵や埃のような小さなごみは主として畝状部で捕集し、パン屑のような比較的大きいごみは筋状の低密度領域で捕集することができ、寿命の長いワイパーとなる。このとき流動パラフィンなど界面活性剤を付着させてもよい。湿式ワイパーとして用いる場合、親水性繊維を主体として用いると、湿潤性に富み効果的であり、多量の汚れも筋状の低密度領域で捕集し、保持できる。
【0027】
水まわりの洗浄ワイパーとして用いる場合、親水性に優れ、かつ親油性にも優れているアクリル系繊維を主体とすることが好ましい。繊度は、0.3〜3dtexが繊維の表面積の大きさと繊維の剛性の点で好ましい。また繊維の表面には、長さ方向に多数の溝条凹部をもつ筋付きアクリル繊維が洗浄面から汚れを掻き取り吸着する効果に優れており、筋付きアクリル繊維の表面の筋状凹部は、繊維の周囲長10μmあたり長さ5μm以上のものが3本以上あることが洗浄用不織布として好ましい。このようなアクリル繊維は例えば、トレロンT733(商品名、東レ株式会社製)がある。得られた洗浄用ワイパーは、大量の汚れを主として筋状の低密度領域で捕集し、部分的な小さな汚れは畝状物で捕集することができる。また、洗剤と併用した場合であっても、筋状の低密度領域が洗剤の泡立ち性に寄与し、対象物をスムーズに洗浄することができる。
【0028】
さらに、本発明の嵩高性不織布は、前記清拭材以外にも、包装材、面ファスナー雌材などに利用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の内容を実施例を挙げて具体的に説明する。なお、得られた不織布の厚みおよび乾式時のワイピング性(捕集率、保持率)は、それぞれ次のような方法で測定した。
【0030】
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A 株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、得られた不織布に3g/cm2 の荷重を加えた状態で測定した。
【0031】
[ワイピング性]
▲1▼捕集率:ガラス面上にパン粉0.5gを均一にばらまき、花王(株)製フローリング用清掃具(拭き取り面積10cm×26cm、柄の長さ34cm、重量235g)に予め重量を測定した不織布を取り付け、拭き取り面上に500gの荷重を載置した状態で60cmの距離を移動させ、1往復させた後の不織布の重量を測定し、拭き取り前後の重量差を捕集量(g)とした。そして捕集量/0.5を100倍したものを捕集率(%)とした。
▲2▼保持率:上記で捕集した状態の清掃具を約10cmの高さから5回落下させ、5回落下後の不織布重量と拭き取り前不織布重量の重量差を保持量とした。そして保持量/捕集量を100倍したものを保持率(%)とした。
【0032】
[実施例1]
第1繊維層として、融解ピーク温度(Tm)が138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体からなり、最大熱収縮率が150℃で92%、繊度2.2dtex、繊維長51mmの熱収縮性繊維をパラレルカードにより目付10g/m2のカードウェブとなした。第2繊維層として、繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維を40重量%、繊度1.7dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維を60重量%を混綿し、パラレルカードで目付20g/m2のウェブを作製し、第1繊維層上に積層した。
【0033】
次いで、90メッシュの支持体上でこの積層ウェブの第2繊維層側に、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルから水圧3MPa の高圧柱状水流を噴射し、繊維同士を予備交絡させて予備交絡ウェブとなした。次に、開孔形成用支持体(日本フィルコン(株)製平織物25メッシュ)上で第1繊維層側に、孔径0.15mmのオリフィスが7mm間隔で設けられたノズルから水圧4MPa の高圧柱状水流を噴射し、長手方向に1列および2列の混在した開孔部を筋状に形成させた不織布を得た。
【0034】
得られた不織布をピンテンターを用いて130℃、オーバーフィード率が130%、幅収縮率{(入口幅−出口幅)×100/入口幅}が20%で30秒間熱処理を施し、熱収縮性繊維を収縮させて、図1のような嵩高性不織布を得た。
【0035】
[実施例2]
予備交絡ウェブを開孔形成用支持体(日本フィルコン(株)製平織物25メッシュ)上で第1繊維層側に、孔径0.15mmのオリフィスが3mm間隔で設けられたノズルから水圧3MPa の高圧柱状水流を噴射した以外は、実施例1と同様の方法で嵩高性不織布を得た。
【0036】
[実施例3]
オーバーフィード率を80%とした以外は実施例1と同様の方法で、嵩高性不織布を得た。
【0037】
[実施例4]
第2繊維層として、繊度1.5dtex、繊維長38mmの筋付きアクリル繊維(トレロンT733、東レ株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で嵩高性不織布を得た。
【0038】
[比較例1]
実施例1の積層ウェブに、90メッシュの支持体上で孔径0.13mmのオリフィスが1mm間隔で設けられたノズルから水圧4MPa の高圧柱状水流を噴射し、得られた不織布をピンテンターを用いて130℃、オーバーフィード率130%、幅収縮率20%で30秒間熱処理を施し、熱収縮性繊維を収縮させて、図2に示す不織布を得た。
【0039】
[比較例2]
予備交絡ウェブを90メッシュの支持体上で第1繊維層側に、孔径0.15mmのオリフィスが7mm間隔で設けられたノズルから水圧4MPa の高圧柱状水流を噴射した以外は、実施例1と同様の方法で図3に示す不織布を得た。
【0040】
実施例1〜4および比較例1、2の諸性能を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004320078
【0042】
実施例1〜3の嵩高性不織布を乾式ワイパーとして用いると、筋状の低密度領域にパン粉がかなり付着しており、拭き取り性も軽く、良好であった。この嵩高性不織布を水に浸し軽く絞って水きりし、湿式ワイパーとして汚れた手を拭いたところ、拭き残しなくきれいに拭き取ることができた。実施例4の嵩高性不織布を水に浸し軽く絞って水きりし、カップを拭いたところ、カップの茶渋も簡単に拭き取ることができた。一方、比較例1、2の不織布は、いずれも拭き残しが多く、拭き取り性は良好とはいえなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の嵩高性不織布は、幅3mm以下の筋状の低密度領域が2〜15mm間隔で長手方向に延びており、かつ第2繊維層において、筋状間に畝状物が存在することにより、意匠性および機能性に優れた不織布となり、従来の不織布ではなし得なかった様々な用途に対応が可能である。
【0044】
特に、清拭材として用いた場合、筋状の低密度領域が比較的大きなごみを選択的に捕集し、細かいごみは長手方向1cmあたり3個以上の多数の畝状物で捕集することができ、あらゆる分野の清拭材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嵩高性不織布の斜視図を示す。
【図2】従来の表面に多数の畝状物を有する不織布の斜視図を示す。
【図3】従来の表面に多数の畝状物を有する別の不織布の斜視図を示す。
【符号の説明】
1 嵩高性不織布
2 畝状物
3 低密度領域
4 高密度領域

Claims (5)

  1. 熱により熱収縮する性質を有する繊維層である第1繊維層と、第1繊維層の熱収縮する温度では実質的に熱収縮しない繊維層である第2繊維層とが繊維同士の交絡により一体化されてなる不織布において、
    前記不織布は、筋状の低密度領域を有しており、
    前記筋状の低密度領域は、高圧水流による開孔部が形成されて、幅1〜3mmの筋状の低密度領域が2〜15mm間隔で長手方向に延びており、
    前記第1繊維層が熱収縮しており、第2繊維層の筋状間に畝状物が存在していることを特徴とする嵩高性不織布。
  2. 第2繊維層の筋状間における畝状物が、長手方向1cmあたり3個以上存在する請求項1記載の嵩高性不織布。
  3. 第1繊維層が、最大熱収縮率が少なくとも50%の熱収縮性繊維が熱収縮した繊維を30重量%以上含む繊維層である請求項1記載の嵩高性不織布。
  4. 熱により熱収縮する性質を有する第1繊維層の少なくとも片面に、第1繊維層が熱収縮する温度では実質的に熱収縮しない第2繊維層を積層し、これに高圧水流を1.5mm以下の間隔で噴射して予備的に交絡させた予備交絡ウェブを開孔形成用支持体上に載置し、長手方向と直交する方向に2〜15mm間隔で高圧水流を筋状に噴射して、筋状の整列された幅1〜3mmの低密度領域である開孔部を形成させた後、加熱処理を施すことにより、第1繊維層を熱収縮させ、筋状間の第2繊維層に畝状物を形成させることを特徴とする嵩高性不織布の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高性不織布を使用した清拭材。
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