JP4031152B2 - 複合不織布とその製造方法およびこれを用いた清掃用品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、網状構造物と繊維ウェブとからなる意匠性および機能性に優れた不織布であって、清掃用品、たわし、フィルター、起毛ブラシやペットブラシなどの簡易ブラシ、健康用品、クッション材などに有用であり、特にカーペット、マット、衣類など繊維構造物に好適な清掃用品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、様々な形態を有する不織布が提案されており、様々な用途に使用されている。清掃用品としては、例えば、特開平5−192285号公報および特開平6−17361号公報には、網状シートの片面もしくは両面に絡合された繊維集合体の表面に多数の凹凸が形成された清掃用シートおよび嵩高性不織布が開示されている。さらに、網状構造物を積層した不織布形態として特開昭51−92360号公報には、潜在捲縮性アクリル系繊維からなる繊維ウェブの内層に熱収縮率が10〜40%である熱収縮性フィラメントよりなるネットを積層し、熱処理を施した嵩高不織布が開示されている。また、特開平10−43110号公報には、スパンボンド不織布に高収縮性ステープルと低収縮性ステープルからなるウェブを水流絡合により多数の孔を形成させた後、熱処理によりウェブ表面に細かい皺を形成させた清掃用不織布が提案されている。上記不織布は、フローリングのような平滑な面において滑りがよく、取り扱い性に優れているだけでなく、繊維の絡合作用によりパン粉のような大きなごみから綿ぼこり、髪の毛などの捕捉性に優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記不織布には以下の問題点がある。例えば、特開平5−192285号公報、特開平6−17361号公報、あるいは特開平10−43110号公報では、平滑な面の清掃には優れているが、カーペット、マット、衣類など繊維構造物を対象物とした場合、対象物の繊維と不織布を構成している繊維ウェブとの摩耗により、不織布自体が伸びてしまったり、不織布が毛羽立ちを起こしたりするだけでなく、対象物の内部に引っかかったごみや髪の毛などを捕捉することができない。また、凹凸が小さいので、対象面のこびりついた汚れを掻き落としたりする効果を有していない。さらに、特開昭51−92360号公報では、潜在捲縮性アクリル繊維の捲縮力が小さいため、ネットの収縮力を利用して嵩高とするので、不織布表面は実質的に特開平5−192285号公報および特開平6−17361号公報と同程度のものしか得られない。したがって、カーペット、マット、衣類など繊維構造物を対象物とした場合には、簡便な清掃具として粘着テープなどが多用されているのが現状である。しかし、上記粘着テープにおいても表面のごみや髪の毛などは捕捉できるが、対象物の内部のごみや髪の毛までは捕捉できない。このように、カーペット、マット、衣類など繊維構造物を対象物とした清掃用ワイパーは未だ得られていないのが実情である。
【0004】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、意匠性および機能性に優れた不織布であって、清掃用品、起毛ブラシやペットブラシなどの簡易ブラシ、健康用品、クッション材などに有用であり、特にカーペット、マット、衣類など繊維構造物に好適な清掃用品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の複合不織布は、線条体により1辺の長さが0.5mm〜20mmの網目空間が形成されている網状構造物の両面に繊維ウェブが絡合一体化された複合不織布において、繊維ウェブが収縮しており、該網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部が両面の繊維ウェブの間から隆起し、不織布の両面にループ状物を形成していることを特徴とする。かかる構成を採ることにより、意匠性および機能性に優れた不織布が得られる。
【0006】
本発明の複合不織布におけるループ状物が不織布の両面に形成されていると、不織布の両面を有効に利用でき好ましい。また、ループ状物の周囲の繊維ウェブは、ループ状物とともに隆起していることが好ましい。そして、ループ状物が片面もしくは両面に形成し、かつ片面の繊維ウェブは皺状物を形成していることが好ましい。
【0007】
本発明の複合不織布において、少なくとも片面の繊維ウェブは熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有していることが好ましい。熱収縮性繊維を含有させることにより、複合不織布が容易に得られる。
【0008】
本発明の複合不織布に用いる網状構造物において、網状構造物の融点Tmが熱収縮性繊維の融点Ts以上であり、Tsにおける面積収縮率が30%以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の複合不織布は、線条体により1辺の長さが0.5mm〜20mmの網目空間が形成されている網状構造物の両面に繊維ウェブが絡合一体化された複合不織布において、熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有する繊維ウェブを片面もしくは両面に積層し、三次元的絡合処理を施して網状構造物と繊維ウェブを絡合一体化した後、熱収縮性繊維が熱収縮する温度で少なくとも一方向を弛緩しながら熱処理を施し、繊維ウェブを収縮させて網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部を不織布両面に隆起させ、ループ状物を形成させることにより製造できる。
【0010】
そして、本発明の複合不織布は清掃用不織布として用いることにより、特にカーペット、マット、衣類など繊維構造物に好適な清掃用品が得られる。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の複合不織布の実施の形態の一例を図1〜図3に示す。1は複合不織布、2は繊維ウェブ、3は網状構造物、4は網状構造物を構成している線条体、5はループ状物である。本発明は図4に示すような網状構造物の片面もしくは両面に繊維ウェブが絡合一体化された複合不織布であり、網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部が隆起し、ループ状物を形成した図1〜図3のような構造を採る。かかる構造を採ることにより、従来のフラットな不織布や多数の畝や凹凸の形成された不織布とは明らかに意匠性が異なる。そして、図1および図2に示すとおり、ループ状物は不織布の両面に形成されていることが好ましい。かかる構成を採ることにより、不織布の両面を有効に利用できるだけでなく、形成されたループ状物の反対面は、線条体の隆起に伴って陥没したような形状となり、その深度は従来の多数の畝や凹凸の形成された不織布に比べ大きいものとなる。
【0012】
さらに、図2に示すとおり、複合不織布におけるループ状物の周囲の繊維ウェブは、ループ状物とともに隆起していてもよい。かかる構成を採ることにより、ループ状物による比較的硬い表面の風合いを和らげるだけでなく、繊維ウェブの表面積を増大させるので好ましい。また、図3に示すとおり、ループ状物が片面もしくは両面に形成し、かつ片面の繊維ウェブは皺状物を形成していると、従来の多数の皺を形成した不織布の機能と本発明により得られたループ状物の機能が相俟って、多大な機能性を具備した不織布となる。
【0013】
本発明の複合不織布に用いられる繊維ウェブのうち、少なくとも片面の繊維ウェブには熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有していることが好ましい。上記熱収縮性繊維を含有させると、本発明の複合不織布が容易に得られるからである。熱収縮性繊維の含有量が10重量%未満であると、繊維ウェブの面積収縮率が不十分で、網状構造物を構成している線条体を隆起させることができないからである。そして、熱収縮性繊維の含有量は、熱収縮性繊維の収縮率、後述する三次元的絡合処理による絡合度合い等により適宜決定される。
【0014】
上記熱収縮性繊維とは、潜在的に熱収縮性能を有する繊維であれば特に限定されない。潜在的に熱収縮性能を有する繊維としては、例えば、ポリエステル/共重合ポリエステル、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体などの組み合わせからなる見かけ上熱収縮するサイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、あるいは共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる潜在熱収縮性繊維が挙げられる。
【0015】
特に、上記繊維のうち、加熱による最大収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維を含有することが短時間で均一に繊維ウェブを収縮させることができる点で好ましい。より好ましくは、加熱による最大収縮率が少なくとも80%である熱収縮性繊維である。ここでいう最大収縮率とは、加熱された繊維が繊維形状を保ったままの収縮状態での最高の収縮率をいう。熱収縮性繊維の収縮率が50%未満であると、熱収縮性繊維の含有量を増大させないと収縮が不十分となり、ループ状物が形成し難くなるだけでなく、複合不織布の風合いも硬くなるからである。
【0016】
そして、上記熱収縮性繊維を網状構造物の片面のみに積層すれば、図3に示すような形状となり、両面に積層すれば図1および図2に示すような形状となる。この場合、両面の繊維ウェブにおける熱収縮性繊維の種類、含有量、目付等が変更してもよい。そして、熱収縮性繊維の最大収縮率の大きな繊維を用いる、あるいは熱収縮性繊維の含有量を増大させると、繊維ウェブ自体の面積収縮率が大きくなり、図1に示すような形状に近づく傾向となる。このとき、上記熱収縮性繊維からなる繊維ウェブの面積収縮率は、少なくとも20%であることが好ましい。より好ましくは、少なくとも40%である。繊維ウェブの面積収縮率が20%未満であると、収縮率が不十分なのでループ状物が形成し難くなる。例えば、図2のような形状とする場合、融点Ts(℃)が130<Ts<145のエチレン−プロピレンランダム共重合体を少なくとも70重量%以上含むポリマーからなる繊維(最大収縮率50%以上)を10〜50重量%含有させるとよい。
【0017】
上記熱収縮性繊維の他に混綿される繊維としては、特に限定はされず、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、綿、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。また、繊維形状等も特に限定されず、単一繊維、複合繊維、異形断面を有する繊維等を任意に使用することができる。例えば、繊維ウェブに親水性能を付与するのであれば、綿、レーヨン、あるいは予め親水化処理を施した合成繊維などを混合するとよい。また、網状構造物の両面に繊維ウェブを絡合一体化させる場合、上記熱収縮性繊維は片面のみに含有、あるいは両面とも含有のいずれであってもよく、片面のみならば、もう一方の面の繊維としては、天然繊維、再生繊維、あるいは合成繊維など用途に応じて適宜設定すればよい。
【0018】
そして、上記繊維はシート状の繊維ウェブに形成される。繊維ウェブの形態は特に限定されず、ステープル繊維からなるパラレルウェブやクロスウェブ、セミランダムウェブ、連続フィラメントからなる長繊維ウェブ、短繊維を湿式抄紙したウェブ、エアレイウェブ、あるいはメルトブロー不織布等を任意に使用することができるが、後述する高圧流体流処理における加工性を考慮すると、ステープル繊維からなるウェブを用いることが好ましい。
【0019】
次に、本発明で使用する網状構造物について説明する。網状構造物とは図4のような線条体によって格子状の網目が形成されたネットなどが使用できる。例えば、図4のようなネットを使用する場合、線径0.02〜1.5mmの線条体が、線条体に包囲されて形成される網目空間において、1辺の長さが0.5〜20mmで配されたものを用いることが好ましい。また、このとき線条体の交点が結合された有結節ネットの方が容易にループ状物を形成することができるので好ましい。
【0020】
上記ネットを構成する素材としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド等を挙げることができる。また、エラストマー材料を用いてもよく、例えば、SEBS(ポリスチレン/ポリエチレンブチレン/ポリスチレン)共重合体、SIS(ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチレン)ブロック共重合体、SEPS(スチレン/エチレン/ポリプロピレン/スチレン)共重合体、EVA等のポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン等を挙げることができる。エラストマー材料を用いる場合、縦方向および横方向の線条体をエラストマー材料で構成してもよいし、縦方向の線条体を非エラストマー材料で構成し、横方向の線条体をエラストマー材料で構成すれば、横方向の伸縮性に富むネットが得られる。例えば、清掃用品として用いる場合、ハードな掻き取り用とするときは、比較的硬い材料がよく、対象面を傷つかないようにソフトな拭き取り用とするときは、柔らかい材料やエラストマー材料が好適である。
【0021】
上記網状構造物において、網状構造物の融点Tmが熱収縮性繊維の融点Ts以上であり、Tsにおける面積収縮率が30%以下であることが好ましい。より好ましい面積収縮率は、20%以下である。Tm<Tsであると、熱収縮時に網状構造物が熱融着されたり、収縮が著しく大きくなるので、不織布の風合いが硬くなったり、ループ状物が形成され難くなるからである。また、Tsにおける面積収縮率が30%を超えると、繊維ウェブの収縮に追随されて、ループ状物が形成され難くなる。そして、ある温度における繊維ウェブの面積収縮率と網状構造物の面積収縮率との差が10%以上あれば網状構造物は隆起し始め、特にその差が40%以上であれば網状構造物が高度に隆起し好ましい。
【0022】
次に、本発明の複合不織布の製造方法について説明する。まず、網状構造物の少なくとも片面に熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有する繊維ウェブを片面もしくは両面に積層する。繊維ウェブの目付は用途に応じて適宜決定すればよいが、生産性を考慮すると、15〜80g/m2が好ましい。そして、上記積層体は、ニードルパンチ処理、あるいは高圧流体流処理などの三次元的絡合処理を施して網状構造物と繊維ウェブを絡合一体化される。本発明では、特に高圧流体流処理が目付の薄い繊維ウェブを処理するとき好適であり、ここでいう流体は、網状構造物と繊維ウェブを絡合一体化させ得るものであれば限定されないが、工程管理上、特に水を用いることが好ましい。高圧流体流の噴射は、孔径0.05〜0.5mmのオリフィスが0.5〜1.5mm間隔で穿設されたノズルから高圧水流を噴射して、繊維ウェブ中の繊維を網状構造物に絡合させるとよい。高圧水流によれば網状構造物を損傷させることなく、網状構造物と繊維ウェブとの一体化が可能である。水流を噴射する際の水圧は、両者の結合の程度が所望のものとなるように、網状構造物の種類や繊維ウェブの素材等に応じて設定すればよいが、1MPa 以上の水流を噴射すれば両者の一体化は大体の場合において達成される。また、高圧流体流処理における網状構造物と繊維ウェブの支持体として、モノフィラメントや金属線を織成して形成したパターンネットや突起物を設けたロールなどの開孔形成用支持体を使用してもよい。かかる支持体を用いることにより繊維ウェブに開孔を形成させることができる。
【0023】
高圧流体流処理により網状構造物と繊維ウェブを絡合一体化した後、熱収縮性繊維が熱収縮する温度で少なくとも一方向を弛緩しながら熱処理を施し、繊維ウェブを収縮させる。熱処理温度は、網状構造物の融点Tm以下であり、網状構造物の面積収縮率が繊維ウェブ単独の面積収縮率より小さくなる温度で、熱収縮性繊維が熱収縮して不織布全体の面積収縮率が15〜85%となるような条件で処理するとよい。そして、少なくとも一方向を弛緩しながら熱処理を施すと、例えば、不織布の機械方向(MD)のみに弛緩させながら収縮させた場合、MDに配列している線条体が選択的に隆起し、ループ状物を得ることができる。一方、不織布の機械方向(MD)およびMDと直交する方向(CD)の両方向に弛緩しながら収縮させた場合、MDおよび/またはCDの線条体が隆起し、ループ状物を得ることができる。
【0024】
このようにして得られた複合不織布は、意匠性および機能性に優れた不織布であって、清掃用品、たわし、フィルター、起毛ブラシやペットブラシなどの簡易ブラシ、健康用品、クッション材などに有用であるが、中でもカーペット、マット、衣類など繊維構造物を対象物とする清掃用品に好適である。本発明の複合不織布であると、繊維構造物の内部に引っかかっているごみや髪の毛などをループ状物で掻き出し、周囲の繊維ウェブがそれを捕捉するという作用を有する。このとき、ループ状物が複合不織布の両面に形成されていれば、不織布の両面を有効に利用でき、形成されたループ状物の反対面は、線条体の隆起に伴う陥没形状が存在するので、その深度によって表面の毛足の長い繊維構造物の内部までループ状物が侵入することができて好ましい。
【0025】
また、周囲の繊維ウェブが、ループ状物とともに隆起していると、ループ状物による比較的硬い表面の風合いを和らげるだけでなく、繊維ウェブの表面積を増大させ、捕捉性を向上させるので好ましい。そして、ループ状物が片面もしくは両面に形成し、かつ片面の繊維ウェブは皺状物を形成していると、従来の多数の皺を形成した不織布のごみや髪の毛などの捕捉性および保持性に優れた機能とループ状物の掻き出す機能が相俟って、高捕捉性の清掃用具が得られる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて説明する。なお、面積収縮率、および得られた不織布のワイピング性能は以下のとおり測定した。
【0027】
[面積収縮率]
繊維ウェブおよび網状構造物を30cm×30cmの大きさに切断した試料片にタテ方向、ヨコ方向それぞれに20cm間隔となるように2点ずつ記しておく。次に、所定温度に昇温しておいた乾燥機((株)ヤマト科学製、商品名 FINE OVEN DF-62)に1分間投入し熱処理を施し、熱処理後のタテ方向、ヨコ方向それぞれの2点間の長さを測定し、熱収縮後の面積を算出する。そして、元のシート面積(400cm2)と熱収縮後のシート面積の差を元のシート面積で除して、100を乗じた数値を面積収縮率とした。
[ワイピング性能]
対象面をアクリル繊維製バスマットおよびポリプロピレン製ニードルパンチカーペットとし、対象面上に髪の毛10本を均一にばらまき、花王(株)製フローリング用清掃具(拭き取り面積10cm×26cm、柄の長さ34cm、重量235g)に不織布を取り付け、拭き取り面上に500gの荷重を載置した状態で60cmの距離を移動させ、3往復させた後の不織布に捕捉した髪の毛の本数を捕捉本数(本)とした。そして、この操作を5回繰り返し、平均捕捉本数×100/10を髪の毛の捕捉率(%)とした。
【0028】
[実施例1]
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブとして、融点Tsが138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる繊度2.2dtex、繊維長51mmの最大収縮率92%である熱収縮性繊維を20重量%、繊度1.65dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維を80重量%を混綿し、セミランダムカード機を用い、それぞれ目付24g/m2のカードウェブを作製した。
【0029】
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブの間に、網状構造物として線径0.2mmの線条体が網目空間において、1辺の長さが0.95mmの割合で配された融点165℃、138℃における面積収縮率が17%の有結節格子状ポリプロピレン製ネット(日石シートパレットシステム(株)製)を挿入し、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを用いて、第1繊維ウェブ側を表面として水圧2MPa の柱状水流を3回、裏面に水圧2MPa の柱状水流を2回噴射して、ポリプロピレン製ネットと繊維ウェブの構成繊維を絡合させた絡合不織布を作製した。このとき、135℃における繊維ウェブの面積収縮率は40%であり、網状構造物の面積収縮率は15%であり、両者の面積収縮率の差は25%であった。
【0030】
上記絡合不織布をピンテンターを用いて、熱処理温度135℃、オーバーフィード率120%、幅入り25%で熱収縮処理を施し、熱収縮性繊維を収縮させることにより、ポリプロピレン製ネットを構成している線条体のうち、縦方向(機械方向)の線条体が横方向の線条体との交差点以外の部分で両面に隆起し、ループ状物を形成し、その周囲の繊維ウェブも両面に隆起した目付110g/m2の複合不織布を得た。
【0031】
[実施例2]
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブとして、熱収縮性繊維を40重量%、ポリエチレンテレフタレート繊維を60重量%を混綿した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリプロピレン製ネットを構成している線条体のうち、縦方向(機械方向)の線条体が横方向の線条体との交差点以外の部分で両面に隆起し、ループ状物を形成した目付120g/m2の複合不織布を得た。このとき、135℃における繊維ウェブの面積収縮率は60%であり、網状構造物の面積収縮率は15%であり、両者の面積収縮率の差は45%であった。
【0032】
[実施例3]
第1繊維ウェブとして、ポリエチレンテレフタレート繊維を100重量%、第2繊維ウェブとして、熱収縮性繊維を100重量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリプロピレン製ネットを構成している線条体のうち、縦方向(機械方向)線条体が横方向線条体の交差点以外の部分で両面に隆起し、ループ状物を形成し、かつ第1繊維ウェブ側に多数の皺状物を形成した目付120g/m2の複合不織布を得た。このとき、135℃における繊維ウェブの面積収縮率は70%であり、網状構造物の面積収縮率は15%であり、両者の面積収縮率の差は55%であった。
【0033】
[比較例1]
第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブとして、実施例1のポリエチレンテレフタレート繊維100重量%を用い、第1繊維ウェブおよび第2繊維ウェブの間に実施例1のポリプロピレン製ネットを挿入し、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを用いて、第1繊維ウェブ側を表面として水圧2MPa の柱状水流を3回、裏面に水圧2MPa の柱状水流を2回噴射して、ポリプロピレン製ネットと繊維ウェブの構成繊維を絡合させたループ状物が形成されていない比較的フラットな目付60g/m2の複合不織布を得た。
【0034】
[比較例2]
第1繊維ウェブとして、実施例1のポリエチレンテレフタレート繊維100重量%を用い、第2繊維ウェブとして、熱収縮性繊維100重量%からなる目付10g/m2のセミランダムカードウェブを用い、これらを積層した後、実施例1と同様の方法で、柱状水流処理および熱収縮処理を施し、第1繊維ウェブ側に多数の皺が形成された目付100g/m2の複合不織布を得た。
実施例1〜3および比較例1〜2のワイピング性を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1〜3の複合不織布は、バスマットおよびニードルパンチカーペットの内部に入り込んだ髪の毛をループ状物で掻き出し、繊維ウェブでこれらを捕捉していた。特に、実施例1においては、ループ状物周囲の繊維ウェブも隆起しているので、捕捉性に優れていた。一方、比較例1〜2においては、バスマットおよびニードルパンチカーペットの内部に入り込んだ髪の毛を掻き出すことはできず、しかも対象物との摩擦により、不織布表面が毛羽立ち、不織布自体が伸びてしまい、十分に捕捉できなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の複合不織布は、網状構造物の片面もしくは両面に繊維ウェブが絡合一体化された複合不織布であり、網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部が隆起し、ループ状物を形成した構造であるので、独特の意匠性を有し、今までの不織布には存在し得なかった機能性を有する不織布が得られる。そして、複合不織布におけるループ状物の周囲の繊維ウェブが、ループ状物とともに隆起していると、ループ状物による比較的硬い表面の風合いを和らげ、繊維ウェブの表面積を増大させる。さらに、ループ状物が不織布の両面に形成されていると、不織布の両面を有効に利用でき、形成されたループ状物の反対面が線条体の隆起に伴って陥没したような形状となって、その深度は従来の不織布に比べ大きいものが得られる。
【0038】
そして、本発明の複合不織布は、清掃用品、たわし、フィルター、起毛ブラシやペットブラシなどの簡易ブラシ、健康用品、クッション材などに有用であり、中でもカーペット、マット、衣類など繊維構造物を対象物とする清掃用品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合不織布の断面の一例を示す。
【図2】本発明の複合不織布の断面の一例を示す。
【図3】本発明の複合不織布の断面の一例を示す。
【図4】本発明に使用する網状構造物の表面の一例を示す。
【符号の説明】
1.複合不織布
2.繊維ウェブ
3.網状構造物
4.線条体
5.ループ状物
Claims (10)
- 線条体により1辺の長さが0.5mm〜20mmの網目空間が形成されている網状構造物の両面に繊維ウェブが絡合一体化された複合不織布において、繊維ウェブが収縮しており、該網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部が両面の繊維ウェブの間から隆起し、不織布の両面にループ状物を形成していることを特徴とする複合不織布。
- ループ状物の周囲の繊維ウェブが、ループ状物とともに隆起していることを特徴とする請求項1に記載の複合不織布。
- ループ状物が両面に形成しており、かつ片面の繊維ウェブが皺状物を形成していることを特徴とする請求項1に記載の複合不織布。
- 前記複合不織布は、前記ループ状物の反対面に陥没形状が存在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合不織布。
- 前記複合不織布において、前記網状構造物が格子状のネットであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合不織布。
- 少なくとも片面の繊維ウェブが熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合不織布。
- 網状構造物において、網状構造物の融点Tmが熱収縮性繊維の融点Ts以上であり、Tsにおける面積収縮率が30%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合不織布。
- 繊維ウェブの面積収縮率と網状構造物の面積収縮率との差が10%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合不織布。
- 線条体により1辺の長さが0.5mm〜20mmの網目空間が形成されている網状構造物の両面に繊維ウェブを積層し、前記繊維ウェブの少なくとも一方の繊維ウェブが熱収縮性繊維を少なくとも10重量%含有する繊維ウェブであり、前記繊維ウェブ及び網状構造物に三次元的絡合処理を施して網状構造物と繊維ウェブを絡合一体化した後、熱収縮性繊維が熱収縮する温度で少なくとも一方向を弛緩しながら熱処理を施し、繊維ウェブを収縮させて網状構造物を構成している線条体の少なくとも一部を両方の繊維ウェブの間から隆起させ、不織布の両面にループ状物を形成させることを特徴とする複合不織布の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の複合不織布を清掃用不織布として用いることを特徴とする清掃用品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21056499A JP4031152B2 (ja) | 1998-07-28 | 1999-07-26 | 複合不織布とその製造方法およびこれを用いた清掃用品 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-228671 | 1998-07-28 | ||
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