JP3912177B2 - 起毛様不織布、その製造方法及びそれを用いた繊維製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、起毛様不織布に関する。さらに詳しくはワイピング材、フィルターなどの産業資材分野、おむつ、ナプキン、肌着などの衛生材料分野にも好適に用いることのできる起毛様不織布、その製造方法及びそれを用いた繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内装材、ワイピング材、人工皮革等に使用されている布帛の起毛処理には、ニードルパンチ加工やバッフィング加工を行うことが一般的である。例えば特開平7−268761号公報は、スパンボンド不織布の基層に繊維ウェブを積層し、繊維ウェブ側よりニードルパンチ加工を施して起毛を生起させる旨の記載がある。しかしニードルパンチ加工では基層からの繊維ウェブの抜けが起こり易く、これを防止するためにバッキング等の処理が必要なことが多い。また特開平9−59861号公報では、分割繊維からなる不織布にニードルパンチ加工を行うことで細繊度の繊維ループが付与され、このループによりワイピング材としての汚れ除去性能が向上するとしている。しかしニードルパンチ加工で処理された不織布は、熱圧着部が破壊され、不織布の引張強力は低下し易く、形態保持性に問題が残る。更に特開平9−277175号公報では、極細繊維不織布をバッフィングにより立毛させる旨の記載がある。しかし低目付の不織布では、バッフィング加工により毛足の長い立毛を効果的に発現させることは難しい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ワイピング材、フィルターなどの産業資材分野、おむつ、ナプキン、肌着などの衛生材料分野にも好適に用いることのできる起毛様不織布、その製造方法及びそれを用いた繊維製品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に不織繊維集合体を積層させ、該不織繊維集合体側から水流交絡処理を施し、該不織繊維集合体の一部が不織布基層を貫通し他面に起毛を形成させることにより、前記課題を解決できることを知り、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明は以下より構成される。
(1) 熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に少なくとも2成分の分割型複合短繊維を用いて構成された不織繊維集合体が積層され、該不織繊維集合体側の面から水流交絡処理を施すことにより不織繊維集合体を構成する分割型複合短繊維を、分割させるとともに不織布基層を構成する繊維と交絡させ、その一部を前記不織布基層の反対面に貫通させ、その繊維の末端によって起毛を形成していることを特徴とする起毛様不織布。
(2) 不織布基層を構成する熱可塑性樹脂からなる繊維が、ポリオレフィン系またはポリエステル系の熱可塑性繊維である前記(1)項記載の起毛様不織布。
(3) 不織布基層を構成する熱可塑性繊維が、融点差を有する少なくとも2成分の熱可塑性樹脂からなる熱接着性複合繊維である前記(2)項記載の起毛様不織布。
(4) 不織布基層と不織繊維集合体をそれぞれ構成する繊維同士が互いに3次元交絡され、かつ不織繊維集合体を構成する繊維の一部が不織布基層を貫通して前記不織布基層の反対面に起毛を形成していると共に基層と密着一体化している前記(1)〜(3)項のいずれか1項記載の起毛様不織布。
(5)不織繊維集合体が、熱可塑性樹脂からなる繊維で構成されている前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の起毛様不織布。
(6) 不織繊維集合体を構成する繊維が、平均繊度が1dtex以下の極細繊維である前記(1)〜(5)項のいずれか1項記載の起毛様不織布。
(7) 不織繊維集合体を構成する繊維が、ポリオレフィン系もしくはポリエステル系の熱可塑性繊維である前記(1)〜(5)項のいずれか1項記載の起毛様不織布。
(8) 起毛様不織布が、エレクトレット化された前記(1)〜(7)項のいずれか1項記載の起毛様不織布。
(9) 前記(1)〜(8)項のいずれか1項記載の起毛様不織布を用いたワイピング材。
(10) 鉱物油、合成油、シロキサン、シリコーンから選ばれた少なくとも1種を起毛様不織布の重量基準で1〜15重量%付着させた前記(9)項記載のワイピング材。
(11) 熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に少なくとも2成分の分割型複合短繊維から構成された不織繊維集合体を積層して、該不織繊維集合体側から水流交絡処理を施すことにより不織繊維集合体を構成する分割型複合短繊維を分割させるとともに不織布基層を構成する繊維と交絡させ、その一部を前記不織布基層の反対面に貫通させ、その繊維の末端によって起毛を形成することを特徴とする起毛様不織布の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の起毛様不織布は、熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に不織繊維集合体が積層され、不織繊維集合体の一部が前記不織布基層を貫通して他面に起毛を形成している起毛様不織布である。
【0007】
本発明の起毛様不織布に用いる基層の繊維を形成する熱可塑性樹脂は、溶融紡糸工程で繊維成形性を有するものであれば特に限定されない。また、不織繊維集合体が、熱可塑性樹脂からなる繊維で構成される場合も同様である。例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレンと他のαオレフィンとの2〜3元共重合体等をはじめとするチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒を用いて重合されたポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、酸成分をテレフタル酸以外にイソフタル酸を併用して共重合した低融点ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等のエラストマー系樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートアジペート等の生分解性樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン等の樹脂が挙げられる。また前記以外の熱可塑性樹脂としては、例えばビニル系重合体が挙げられ、具体的には、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニル共重合体も使用することができる。
【0008】
本発明に使用する熱可塑性樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤、親水剤などの添加剤を適宜必要に応じて添加しても良い。
【0009】
次に本発明の起毛様不織布の構成成分である基層について説明する。基層は前記熱可塑性樹脂からなる繊維によって構成され、繊維の交点が熱接着された不織布であれば特に限定されることはない。前記基層の役割は起毛様不織布の形態保持性を維持するために重要な部材となる。繊維は成分単一型、複合型を例示することができる。繊維の断面形状は、円形、異形、また中空形状、中実形状のいずれであっても良い。また複合型(複合繊維)の断面構造は鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、多層型、海島型、放射状型、中空放射状型等のいずれであっても良い。
【0010】
前記基層を構成する繊維は、短繊維または長繊維のいずれであっても良い。該繊維から構成される不織布は、長繊維であればスパンボンド法、トウ開繊法等で得られた長繊維ウェブ、また短繊維であればカーディング、エアレイド、湿式積層などの方法でウェブを作成し、繊維交点を熱接着することで不織布化が可能である。熱接着法は従来公知の方法を採用することができるが、例えば、熱風循環法(スルーエアー法)、ポイントボンド法、カレンダー法などが挙げられる。前記基層の好ましい形態としては、水流交絡法で処理後も形態保持性に優れ、低コストで製造可能なことから、スパンボンド法による長繊維不織布を挙げることができる。
【0011】
前記基層を構成する繊維の繊度は特に限定されないが、あまり繊維が細いと不織布が緻密になり積層する不織繊維集合体が水流交絡法により貫通しにくくなる。また繊維が太いと積層する不織繊維集合体は貫通し易くなるが起毛様不織布自体が硬くなるため、ワイピング材に使用する場合には性能が発揮し難くなる。特にワイピング材として使用する場合には、本発明に使用する基層の繊度は0.5dtex〜100dtex、好ましくは1.0dtex〜10dtex、さらに好ましくは1.1dtex〜3dtexであることが好ましい。
【0012】
前記基層の目付も特に限定されることはないが、あまり目付が高いと水流交絡が難しくなるため、5〜200g/m2、好ましくは10〜100g/m2、より好ましくは10〜50g/m2である。目付が5g/m2未満であると起毛様不織布の強度を保持することが難しくなり、200g/m2を超えると積層する不織繊維集合体が貫通し難くなる。前記基層の一面に積層する不織繊維集合体を水流交絡法により一部分を貫通させ、起毛を発生させ易くするには、基層を構成する不織布の密度は、0.01〜0.2g/cm3、好ましくは0.05〜0.1g/cm3であることが好ましい。
【0013】
前記基層は、前記熱可塑性樹脂からなる2種以上の繊維を併用(混綿、混繊)しても良いし、2種類以上の不織布を積層させたものでも良い。また親水性を付与させたい場合や親水性の薬剤を含浸させたい場合には親水性繊維を混綿、混繊または積層して使用することができる。ここで親水性繊維とは、親水性を示す繊維であれば限定されることはなく、例えばレーヨン、キュプラに代表される再生繊維、アセテート、トリアセテートに代表される半合成繊維、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維などが挙げられる。
【0014】
次に本発明の起毛様不織布の不織繊維集合体について説明する。不織繊維集合体とは、前記熱可塑性樹脂から構成された繊維が長繊維であればスパンボンド法、トウ開繊法等で得られた長繊維ウェブ、短繊維であればカーディング、エアレイド、湿式積層などの方法で作成された短繊維ウェブのことである。該ウェブの構成繊維が水流交絡処理で基層を貫通することができれば、予めウェブに熱処理等を行い、不織布化しても特に問題ないが、好ましくは未熱処理の繊維ウェブが好ましい。スパンボンド法の場合、紡糸後繊維がウェブとしてコンベア等の上に堆積され、その後熱処理により接着(ボンド)されるが、不織繊維集合体として本発明に利用する場合は熱処理前のウェブを利用することができる。
【0015】
前記不織繊維集合体を構成する繊維は単一成分型、及び複合型を挙げることができ、複合型(複合繊維)の断面構造は鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型、多層型、海島型、放射状型、中空放射状型等の何れであっても良い。また繊維は短繊維であっても長繊維であっても良い。前記不織繊維集合体を構成する繊維は長繊維であれば例えばスパンボンド法、トウ開繊法等、短繊維であれば例えばカーディング、エアレイド、湿式積層などの方法でウェブを作成することができる。
【0016】
前記不織繊維集合体は、起毛を長くし、脱落し難くするために、ステープルファイバーを好適に使用することができる。ステープルファイバーのカット長は特に限定されないが、脱落防止及び起毛し易いことから20mm〜102mm、より好ましくは25mm〜70mm、さらに好ましくは40mm〜60mmである。
起毛の形状は、前記ステープルファイバーや短繊維の場合、繊維の末端(切断部分)が起毛となるが、長繊維の場合は末端を持たないループ型の起毛が可能である。
【0017】
前記不織繊維集合体の平均繊度は特に限定されないが、好ましい繊度は50dtex以下、好ましくは10dtex以下、さらに好ましくは1dtex以下である。この範囲の繊度であれば、特にワイピング材として使用した場合、ゴミ捕集能力が良好となる。前記不織繊維集合体の目付も特に限定されることはないが、あまり目付が高いと水流交絡が難しくなり、反対に目付が低いと起毛の発生量が少なくなる。したがって、適当な目付の範囲は5〜200g/m2、好ましくは10〜100g/m2、より好ましくは10〜50g/m2である。
【0018】
本発明の起毛様不織布をワイピング材に使用する場合は、油膜、土埃や煤等の細かなゴミ、綿埃等の中程度の大きさのゴミ、毛髪や獣毛等の大きなゴミを細かな部分まで捕集するために、極めて細い繊維で油膜、細かなゴミを捕集し、細かい繊維が集合した起毛部分により大きなゴミを捕集することが好ましい。このような条件を満たす前記不織繊維集合体としては、分割型複合繊維からなる不織繊維集合体を用いることができる。分割型繊維を用いる場合も、好ましい繊維の繊度は未分割の状態で上述の範囲と同様であるが、水流交絡処理を施すことによりさらに細い繊度の起毛を発生させることができる。分割型複合繊維は、分割後の繊度が小さく繊維の表面積が増加するため、分割型複合繊維を用いて得られるワイピング材の払拭性能は、より向上する。起毛部分の分割型複合繊維は、水流交絡時に分割細繊化するが、払拭時の応力でも分割細繊化は進行し、更にゴミを捕集し易くなる。
【0019】
前記不織繊維集合体に好適に使用できる分割型複合繊維の断面構造は、例えば前記熱可塑性樹脂の異なる二成分が交互に配列された断面構造を有する図1〜6に例示した構造を挙げることができる。図1、2に例示したように各成分が交互に配列された放射状分割型断面、図3に例示したように各成分が交互に配置された中空状分割型断面、図4,5に例示したように各成分が交互に層状に配置された層状分割型断面、図6は各成分が交互に配列され屈曲、湾曲もしくは扁平形状となった分割型断面形状を例示することができる。もちろん、多成分の樹脂から構成される分割型複合繊維にあっては、同成分が隣り合うことなく多成分が配列した断面構造をとる。なお図1〜6に例示した該複合繊維の断面構造及び形状はモデル図であり、実際の繊維製造時には、該複合繊維は種々の外部応力を受け断面形状が変形する場合があるが実用上、特に問題はない。
【0020】
本発明の起毛様不織布の起毛部は、特にワイピング材として使用する場合、捲縮またはスパイラル状であることが好ましい。これは中程度のごみや大きなごみを絡め取る効果を更に向上させることができるからである。捲縮はジグザク捲縮である機械捲縮,スパイラス状捲縮のどちらであっても良い。スパイラル捲縮は従来公知の方法、例えば複合繊維の断面構造を偏心型や並列型にすることで達成できる。
【0021】
本発明の不織繊維集合体は、前記熱可塑性樹脂からなる2種以上の繊維を併用しても良い。また更には熱可塑性樹脂から構成される繊維は親水性を示さないものが多いため、親水性を付与したい場合や親水性の薬剤を含浸させたい場合には親水性繊維を混綿して使用することもできる。ここで親水性繊維とは、親水性を示す繊維であれば限定されることはなく、例えばレーヨン、キュプラに代表される再生繊維、アセテート、トリアセテートに代表される半合成繊維、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維などが挙げられる。基層あるいは不織繊維集合体が親水性を示す場合には、使い捨て肌着等の吸湿吸水性が求められる分野に好適に使用することができる。
【0022】
次に、本発明の起毛様不織布の製造方法について説明する。特に起毛を形成させる水流交絡法について説明する。水流交絡法に用いる装置は、例えば孔径が0.05〜1.5mm、特に0.1〜0.5mmの噴射孔を孔間隔0.1〜1.5mmで1列または複数列に多数配列し、高圧水流を噴射する水流交絡装置を用いる。コンベアネット上に置いた前記基層(繊維の交点が熱接着された不織布)の一面に不織繊維集合体を積層し、該水流交絡装置を用いて不織繊維集合体側から高圧水流を衝突させ、水流交絡処理を施すのである。これにより基層と不織繊維集合体は3次元交絡されると同時に不織繊維集合体の一部分が基層を貫通して、基層と密着一体化され、端部はコンベアネットに絡み付く。基層と不織繊維集合体の水流交絡処理された不織布をコンベアネットから引き剥がすと、コンベアネットに絡まっていた繊維が引き伸ばされ起毛が発現する。
【0023】
また本発明の起毛様不織布は、起毛を形成させる繊維集合体と該起毛様不織布の形態を保持するための基層が別であるため、起毛の発現量の多少にかかわらず該起毛様不織布の形態が安定して保持されるという特徴を有する。
【0024】
一般的な水流交絡法は、不織布の両面に水流交絡を施すが本発明の起毛様不織布の場合には、不織繊維集合体側のみから水流交絡処理を行うことが必要である。もし両面に水流交絡を行えば不織繊維集合体は基層に強固に絡み付き、起毛は発現し難くなる。
【0025】
前記不織繊維集合体に少なくとも1部分割型複合繊維を使用する場合は、該織繊維集合体を構成する未分割状態の分割型複合繊維に水流交絡時の高圧水流によって基層と交絡されると同時に分割細繊化される。しかし基層を貫通した一部の分割型複合繊維は部分的に分割されているもの、または分割されていないものがコンベアネットに達し絡み付く。その後コンベアネットから本発明の不織布を剥がすことにより、コンベアネットに絡み付いていた不織繊維集合体の一部分が起毛となる。また同時に基層と交絡した分割型複合繊維は水流交絡処理により高度に分割し、基層と強固に絡合しているため、起毛は容易には脱落することはない。更には高度に分割された起毛を有する不織布は油膜や細かいゴミの拭き取りに最適である。
【0026】
水流交絡装置の噴射孔とコンベアネットの距離は本発明の不織布の地合が著しく乱れなければ特に限定されない。水流交絡の処理圧力は、繊維の種類、不織布の要求性能によって制御されるが、一般的には、2MPa〜20MPaの圧力で水流を噴射するのが良い。なお処理する目付等にも左右されるが、前記処理圧力の範囲内において、水流交絡は順次、低水圧から高水圧へ圧力を上げて処理すると、ウェブの地合が乱れることなく、交絡が可能となる。水流交絡を施す際にウェブを載せるコンベアネットは、例えば50〜200メッシュの金網製あるいは合成樹脂製のメッシュスクリーンや有孔板など高圧水流が貫通するものであれば特に限定されないが、好ましくは50〜80メッシュのコンベアネットが起毛の発現には好適である。噴射孔の配列は前記ウェブの進行方向と直交する方向に列状に配列する。高圧水流としては、常温の水を用いるが、温水を用いても良い。また、水の代わりに任意の他の液体を用いることは、本発明から自明のことであり、本発明の技術的範囲から外れるものでもない。
【0027】
得られた積層体に水流交絡処理を施した後、水分を除去する。水分を除去するに際しては公知の方法を採用することができる。例えば,マングロール等の絞り装置を用いて、水分をある程度除去した後、熱風循環式乾燥機等の乾燥装置を用いて完全に水分を除去して本発明の起毛様不織布を得ることができる。更に不織繊維集合体側からのみ熱処理を施し、不織繊維集合体を部分的に熱接着することで、起毛は維持され、繊維抜けは更に改善される。
【0028】
このようにして得られた本発明の起毛様不織布は、特にワイピング材に使用する場合にはエレクトレット化されていることが好ましい。エレクトレット化された起毛様不織布は、細かいごみを効率的に静電吸着することができ、油状物や水等の使用があまり好ましくないOA機器類の清掃等に好適に使用することが可能となる。エレクトレット化の手法には、コロナ荷電法、電解荷電法、電子線照射法、γ線照射法、及びX線照射法等を用いることができ、これら手法の少なくとも一種を用いてエレクトレット化することが好ましい。
【0029】
本発明の起毛様不織布には、また適当な量の鉱物油、合成油、シロキサン、及びシリコーンから選ばれた少なくとも1種の油状物を付着させても良い。起毛様不織布に付着させた上記油状物は、その粘性で土埃等の細かいごみを効率的に吸着する役目を果たす。前記油状物の付着量が多すぎると、微細な凹凸や溝に入り込んだごみの払拭性が低下する。したがって、油状物の好ましい付着量は、前記起毛様不織布の全重量に対し15重量%以下程度である。
【0030】
前記油状物を付着させる場合、その粘度が低すぎると、ワイピングクロスとして用いた場合のごみの吸着性能は、油状物を付着しない場合と大差ない。逆に、粘度が高すぎると付着の均一性が悪くなる恐れがある。したがって、前記油状物を付着させる場合の好ましい粘度範囲は、25℃で5〜1000mPa・s程度である。油状物の付着方法は特に制限しないが、タッチロール法や浸漬法、スプレー法等が例示できる。また、これら塗布時の均一性を向上させるために、加熱や揮発性の有機溶剤等に溶解させて粘度を低下させることもできる。
【0031】
本発明の起毛様不織布は、前記起毛様不織布以外の不織布、フィルム、シート、編物、及び織物から選ばれた少なくとも一種の物品を積層しても良い。起毛様不織布に前記起毛様不織布以外の不織布、フィルム、シート、編物、及び織物を接合する際、その接合方法に制限はないが、ヒートシール法、超音波加熱法、HMA(ホットメルト接着剤)や糊等の接着剤等を用いて起毛様不織布とすることができる。前記起毛様不織布は、ワイピング材として使用する場合、起毛面が外側にくる様に、すなわち非起毛面を接合面にして接合を行う。
【0032】
本発明の起毛様不織布に積層される前記フィルムとしては、前記各種熱可塑性樹脂を用いた厚さ10〜200μm程度のフィルムを使用することができ、これは多孔性フィルムであっても良い。前記フィルムは2種以上の熱可塑性樹脂からなる2層以上の複層フィルムであっても構わず、積層数は特にこだわらない。
【0033】
本発明の起毛様不織布に用いられる前記シートとしては、前記フィルムの加工品、各種繊維を押し固めた物、各種樹脂の圧延加工品、ポリオレフィンやポリウレタン等からなる発泡シート等を使用することができる。パルプや綿等の天然繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維を使用することができ、これら各種繊維の混綿であっても構わない。前記天然繊維のうち親水性の繊維を用いたシートを用いて積層すれば、水や水溶性の洗浄剤等をシート部に含浸させることができ、土埃等や油汚れの払拭性能を向上させることも可能となるのである。また、前記フィルムの加工物には、エンボス加工品、孔あけ加工品、ヒダ加工品、スリット加工品等を使用することができる。
【0034】
本発明の起毛様不織布に用いられる前記編物や織物としては、前記熱可塑性樹脂からなるモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸を用いることができる。
【0035】
本発明のワイピング材は、本発明の起毛様不織布を少なくとも一部に用いたものである。また本発明の起毛様不織布をワイピング材に加工する際は所望の寸法に裁断するが、繊維の脱落が発生しないという特性を維持するために裁断には溶断加工を用いることが好ましい。溶断加工とは、熱、超音波、マイクロウェーブ、誘電加熱等によって端部を溶融させながら切断する手法のことであり、この加工方法で起毛様不織布を切断すると切断端面がヒートシールされた状態となり、繊維の脱落が発生しにくいため好ましい。
【0036】
本発明の起毛様不織布を構成する基層の製造法の一例として、ポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂の2成分を組み合わせた熱融着性鞘芯複合スパンボンド不織布の製造方法を例示する。
通常の溶融紡糸機を用いて前記樹脂からなる長繊維を紡出する。紡糸に際し、紡糸温度は200〜330℃の範囲で紡糸することが好ましく、ドロージェットと呼ばれる圧空式牽引装置によって牽引細化される。牽引細化された糸条は、無端搬送コレクタースクリーンの裏面から空気と共に吸引されて、連続長繊維ウェブとしてコレクタースクリーン上に捕集される。捕集された連続長繊維ウェブは、120〜145℃に加熱され20〜200N/mmに加圧された凹凸ロールと平滑ロールの間を通過し熱圧着部を有する長繊維不織布としてロール状に巻き取られる。
【0037】
次に本発明の起毛様不織布を構成する不織繊維集合体の製造法の一例として、ポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂の2成分を組み合わせた分割型複合繊維の製造方法を例示する。
通常の溶融紡糸機を用いて前記樹脂を図3の断面構造になるように長繊維を紡出する。紡糸に際し、紡糸温度は200〜330℃の範囲で紡糸することが好ましく、引き取り速度は40m/分〜1500m/分程度とするのが良い。延伸は必要に応じて行っても良く、延伸を行う場合、延伸倍率は通常3〜9倍程度とするのが良い。さらに得られたトウは捲縮を付与して所定長に切断し短繊維とする。
【0038】
前記分割型複合繊維を原料繊維として、カード機を用いて必要な目付のウェブを作製し、不織繊維集合体とする。該不織繊維集合体を基層の一面に積層し、不織繊維集合体側から5〜8MPaの高圧水流で水流交絡処理を施し、水流交絡装置のコンベアネットから引き剥がした時に起毛が発現する。
【0039】
以上本発明の起毛様不織布はワイピング材にも好適に使用できるが、特に前記起毛様不織布の製造例にあるポリオレフィン系樹脂で作製された起毛様不織布は、親油性であることから、この性質を利用して、例えばカーワックスの仕上げ拭取材などに好適に使用することができる。更に本発明の起毛様不織布は、ワイピング材のみならず、フィルター、建築用の吸音材や保温材、油吸着材(オイルフェンス)、おむつ、ナプキンなどにも好適に使用しうることができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚実施例、比較例における用語と物性の測定方法は以下の通りである。
【0041】
(a)融点:
デュポン社製熱分析装置DSC10を用い、JIS K 7122に準拠して測定を行った。
【0042】
(b)メルトフローレート(MFR):
JIS K 7210に準拠して測定した。
原料ポリプロピレン樹脂:表1の条件14
原料ポリエチレン樹脂:表1の条件4
ポリ乳酸樹脂:表1の条件4
【0043】
(c)ポリエチレンテレフタレートの固有粘度:
フェノールと四塩化エタンの等重量混合溶媒を用い、濃度0.5g/100ml、温度20℃で測定した。
【0044】
(d)ワイピング性能:5人のモニターにより実際に拭き取った時の払拭性能の評価を行う。サンプルとして各実施例で得た起毛様不織布を20cm×20cmの正方形に切断したもの及び水分を含ませたもの、更に油状物を付着したものを用意する。正方形のフローリング板(50cm×50cm)の30cm×30cmの正方形のエリアに10cmの毛髪10本と、JIS Z 8901の第7種の試験用ダスト1gを均一に撒き、用意したサンプルで拭き取ってもらう。フローリング上面の払拭状態を優秀から不良に至る5段階の基準を設け、これを各モニターの視点で対比判断してもらい、3回の試験を行って5人のモニターの平均値で表し評価した。数値が大きいほど優れており、3点以上を合格とした。尚、水分は不織布重量に対して150重量%、油状物には63mPa・sの鉱物油(流動パラフィン)を用い、付着量は6重量%とした。
【0045】
(e)起毛数:起毛様不織布の任意の部分を電子顕微鏡(日本電子データム株式会社 商品名:JSM−5401LV)で観察し、1mm2当たりの起毛数を数える。この作業を起毛様不織布の異なる任意の部分で同様に測定する。計5個所の平均値から1cm2当たりの起毛数を算出する。
【0046】
(f)起毛長:起毛様不織布の起毛部分を手で軽く開繊して、任意に選んだ起毛繊維10本の長さを測定する。この測定を起毛様不織布の異なる任意の部分で同様に行い、合計で起毛繊維30本を測定しその平均値を平均起毛長(mm)とする。
【0047】
(g)形態保持性:5人のモニターにより、(d)払拭性能で使用したサンプルをワイピング材としてフローリング、壁、机、畳で実際に手で持って掃除してもらい、不織布の形態が保持されるかを5人のモニターで評価した。
○:3人以上が不織布形態を保持し、使用し易いと判断した。
△:2人が不織布形態を保持し、使用し易いと判断した。
×:使用し易いと判断したのは1人以下であった。
【0048】
(h)水流交絡処理:80メッシュの平織りからなるコンベアーベルト上に載せ、コンベアネット速度5m/分で、ノズル径0.1mm、ノズルピッチ1mmのノズル直下を通過させ、高圧水流を噴射した。まず、4MPaを1段、8MPaを4段処理した。ここで段とは、ノズル直下を通過した回数のことである。
【0049】
(i)起毛の抜け易さ:起毛様不織布の起毛部分を手で摘んで引っ張った時の起毛の起毛様不織布からの抜け易さを次のように評価した。
○:起毛は抜けがほとんどない
△:起毛が少し抜けるが、実用上特に問題は少ない
×:起毛の抜けが多く、実用上問題がある
【0050】
(j)平均繊度(dtex):起毛様不織布の任意の部分1cm2の起毛を根元から鋏で切断し、該起毛を電子顕微鏡(日本電子データム株式会社 商品名:JSM−5401LV)で観察し、任意に25本の繊度を測定する。この作業を起毛様不織布の異なる任意の部分で同様に測定する。計3個所の平均値から平均繊度を算出する。
【0051】
(k)肌触り:5人のモニターが起毛様不織布を触り、触感が良いと感じた人数により優劣を判断した。3人以上で肌触りは良いとする。
【0052】
実施例1
(基層の製造法)
ポリ乳酸樹脂(融点165℃、MFR12)の単一成分繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化され単糸繊度3.3dtexの糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブを熱圧着面積率25%、線圧20N/mm、温度160℃でエンボスロール法により目付30g/m2の長繊維不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
単一繊維用口金を用いて、ポリ乳酸樹脂(融点165℃、MFR12/10分)からなる単糸繊度5.5dtexの未延伸糸を紡糸し、引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、2.0倍で延伸し、3.3dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(15山/2.54cm)を付与し51mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付30g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
基層に不織繊維集合体を積層し、前記水流交絡法により不織繊維集合体面から水流交絡を行った後、80℃で乾燥して本発明の起毛様不織布を得た。
【0053】
実施例2
(基層の製造法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR36g/10分)の単一成分繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化され単糸繊度2.2dtexの糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブを熱圧着面積率25%、線圧20N/mm、温度150℃でエンボスロール法により目付30g/m2の長繊維不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10分)と高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR16g/10分)を原料とし、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度7.5dtexの未延伸糸を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、4.1倍で延伸し、2.2dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(15山/2.54cm)を付与し51mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付30g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
実施例1に準拠して本発明の起毛様不織布を得た。
【0054】
実施例3
彫刻ロール温度130℃、フラットロール温度は低温(80℃)に維持し、熱圧着面積率を15%、線圧20N/mmのエンボスロール法により実施例2で得た起毛様不織布の不織繊維集合体側に彫刻ロールによる熱処理を行った以外は、実施例1に準拠して本発明の起毛様不織布を得た。
【0055】
実施例4
(基層の製造法)
相対粘度0.60のポリエチレンテレフタレート樹脂(鐘紡(株)製、商品名:K101)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR36g/10分)を鞘成分として、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度2.2dtexの鞘芯型複合繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化された糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブを熱圧着面積率25%、線圧20N/mm、温度130℃でエンボスロール法により目付15g/m2の長繊維不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
相対粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(鐘紡(株)製、商品名:K101)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR36g/10分)を鞘成分とし、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度4.0dtexの未延伸糸を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、2.3倍で延伸し、2.0dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(13山/2.54cm)を付与し38mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付30g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
実施例1に準拠して本発明の起毛様不織布を得た。
【0056】
実施例5
(基層の製造法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10分)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR36g/10分)を鞘成分として、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度2.2dtexの鞘芯型複合繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化された糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブを熱圧着面積率25%、線圧20N/mm、温度130℃でエンボスロール法により目付20g/m2の長繊維不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR36g/10分)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR26g/10分)を鞘成分とし、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度4.0dtexの未延伸糸を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、4.5倍で延伸し、0.9dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(13山/2.54cm)を付与し38mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付35g/m2の不織繊維集合体とした。
(起毛様不織布の製造方法)
実施例1に準拠して本発明の起毛様不織布を得た。
【0057】
実施例6
(基層の製造法)
実施例5で作製した長繊維不織布を用いた。
(不織繊維集合体の製造方法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10分)と高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR16g/10分)を分割型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、図1のような断面構造をした単糸繊度7.5dtexの未延伸糸を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、4.1倍で延伸し、2.2dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(15山/2.54cm)を付与し51mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付30g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
実施例1に準拠して本発明の起毛様不織布を得た。
【0058】
実施例7
(不織繊維集合体の製造方法)
実施例6で作成した分割型複合繊維50重量%とレーヨン(1.7dtex−44mm)50重量%を混綿してローラカード機で目付30g/m2のウェブを得た以外は実施例5に準拠して起毛様不織布を作製した。
【0059】
実施例8
(基層の製造法)
ポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重合体、融点163℃、MFR16g/10分)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR16g/10分)を鞘成分とし、鞘芯型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、単糸繊度7.5dtexの未延伸糸を紡糸した。引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、4.1倍で延伸し、2.2dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(15山/2.54cm)を付与し51mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付25g/m2の不織繊維集合体とした後、熱圧着面積率を25%、線圧20N/mm、温度130℃でエンボスロール法によりポイントボンド不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
実施例6で作成した分割型複合繊維50重量%とレーヨン(1.7dtex−44mm)50重量%を混綿してローラカード機で目付35g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
実施例1に準拠して起毛様不織布を作製した。
【0060】
比較例1
実施例6に準拠して作製した起毛様不織布の起毛面に改めて水流交絡処理を施した。
【0061】
比較例2
相対粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(鐘紡(株)製、K101)を芯成分、高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR36g/10分)を鞘成分として、分割型複合繊維用口金を用いて、容積比率50/50、図1のような断面構造をした単糸繊度4dtexの分割型複合長繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化された糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブを熱圧着面積率15%、線圧40N/mm、温度125℃でエンボスロール法により目付60g/m2の長繊維不織布とした。更にニードルパンチ機に導入し、パンチ密度40回/cm2、針伸度10mmで不織布の片面にのみニードルパンチ処理を施し、起毛様不織布を得た。
【0062】
比較例3
相対粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(鐘紡(株)製、K101)の単一成分繊維を紡出し、圧空式牽引装置によって牽引細化した。牽引細化され単糸繊度3.3dtexの糸条を、コンベアに捕集した。捕集された連続長繊維ウェブをフラットロールで線圧40N/mm、温度235℃でエンボスロール法により目付50g/m2の長繊維不織布とした。
(不織繊維集合体の製造方法)
単一繊維用口金を用いて、相対粘度0.60のポリエチレンテレフタレート(鐘紡(株)製、K101)からなる単糸繊度5.5dtexの未延伸糸を紡糸し、引き取り工程において、アルキルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未延伸糸を90℃、2.0倍で延伸し、3.3dtexの延伸糸にした後、機械捲縮(15山/2.54cm)を付与し51mmに切断した。得られた短繊維をローラカード機にて目付50g/m2の不織繊維集合体を得た。
(起毛様不織布の製造方法)
基層に不織繊維集合体を積層して、ニードルパンチ機に導入し、パンチ密度80回/cm2、針伸度10mmで不織布の片面にのみニードルパンチ処理を施し、起毛様不織布を得た。
【0063】
比較例4
比較例1で作製した不織布の片面に、エメリペーパー(A180)でバフィング処理を行い、起毛様不織布を作製した。
【0064】
実施例1〜8、比較例1〜4の起毛様不織布の物性及び性能を表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
表1から明らかなように、比較例1では起毛がほとんど発現せず、比較例2では、起毛は発現するが少なく、また不織布の形態安定性が充分ではなく、ワイピング剤としては使用しにくいものであった。比較例3は起毛が抜け易く、ワイピング剤としては不適であった。比較例4は起毛長が短くワイピング材としては不適であった。一方本発明の起毛様不織布は、特にワイピングクロスとして使用した場合、細かいごみから比較的大きなごみまで払拭する機能を有することがわかる。
【0067】
【発明の効果】
本発明の起毛様不織布は、低目付不織布であっても起毛の発現は良好であり、起毛により繊維の自由度が高いため、触感が非常に優れる。またワイピング材として使用した場合、細かいごみから比較的大きなごみまでを払拭する機能を有している。更には各種フィルター、油吸着材などの産業資材から触感が優れるため、おむつ、ナプキン、使い捨て肌着などの衛生材料分野にも好適に用いることのできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【図2】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【図3】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【図4】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【図5】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【図6】本発明で使用する分割型複合繊維の断面の一例を示す模式図。
【符合の説明】
1 中空部
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に少なくとも2成分の分割型複合短繊維を用いて構成された不織繊維集合体が積層され、該不織繊維集合体側の面から水流交絡処理を施すことにより不織繊維集合体を構成する分割型複合短繊維を、分割させるとともに不織布基層を構成する繊維と交絡させ、その一部を前記不織布基層の反対面に貫通させ、その繊維の末端によって起毛を形成していることを特徴とする起毛様不織布。
- 不織布基層を構成する熱可塑性樹脂からなる繊維が、ポリオレフィン系またはポリエステル系の熱可塑性繊維である請求項1記載の起毛様不織布。
- 不織布基層を構成する熱可塑性繊維が、融点差を有する少なくとも2成分の熱可塑性樹脂からなる熱接着性複合繊維である請求項2記載の起毛様不織布。
- 不織布基層と不織繊維集合体をそれぞれ構成する繊維同士が互いに3次元交絡され、かつ不織繊維集合体を構成する繊維の一部が不織布基層を貫通して前記不織布基層の反対面に起毛を形成していると共に基層と密着一体化している請求項1〜3のいずれか1項記載の起毛様不織布。
- 不織繊維集合体が、熱可塑性樹脂からなる繊維で構成されている請求項1〜4のいずれか1項記載の起毛様不織布。
- 不織繊維集合体を構成する繊維が、平均繊度が1dtex以下の極細繊維である請求項1〜5のいずれか1項記載の起毛様不織布。
- 不織繊維集合体を構成する繊維が、ポリオレフィン系もしくはポリエステル系の熱可塑性繊維である請求項1〜6のいずれか1項記載の起毛様不織布。
- 起毛様不織布が、エレクトレット化された請求項1〜7項のいずれか1項記載の起毛様不織布。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の起毛様不織布を用いたワイピング材。
- 鉱物油、合成油、シロキサン、シリコーンから選ばれた少なくとも1種の油状物を起毛様不織布の重量基準で1〜15重量%付着させた請求項9記載のワイピング材。
- 熱可塑性樹脂からなる繊維の交点が熱接着された不織布を基層とし、該不織布基層の一面に少なくとも2成分の分割型複合短繊維から構成された不織繊維集合体を積層して、該不織繊維集合体側から水流交絡処理を施すことにより不織繊維集合体を構成する分割型複合短繊維を分割させるとともに不織布基層を構成する繊維と交絡させ、その一部を前記不織布基層の反対面に貫通させ、その繊維の末端によって起毛を形成することを特徴とする起毛様不織布の製造方法。
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