JP3866855B2 - 開孔不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、嵩高性、および機能性を兼ね備え、意匠性に優れた開孔不織布であって、吸収性物品、ウェットティッシュや使い捨ておしぼり、ワイパー、タオル等として有効に利用することのできる開孔不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、開孔形成用支持体上に繊維ウェブを載置し、高圧水流を噴射して繊維を再配列させ、多数の開孔を形成させた開孔不織布が実用化されている。こうした不織布は、一般に開孔の大きさ、形状が比較的均一で、規則的に配列している。さらに、上記開孔不織布の意匠性や機能性を高めるため、特公平8−14060号公報には、開孔が大別して、大きいものと小さいものとの2種を含み、大きい開孔が小さい開孔より少数で、小さい開孔の間に不規則に点在した開孔不織布が提案されている。また、特開平7−197361号公報には、開孔部の一部にU形の実質的に平行な繊維セグメントループを有し、Uの閉鎖部分が不織布表面に向いている開孔不織布が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかしながら、上記開孔不織布には以下の問題点がある。特公平8−14060号公報の開孔不織布においては、開孔の大きさ、形状はランダムであるが、不織布自身に嵩高性がなく平面的であり、不織布断面において開孔が直線的に貫通しているため、例えば、ウェットティッシュやワイパーに使用した場合、汚れやゴミ、埃などが開孔部分から容易に裏抜けしてしまい、十分な機能を果たせない。さらにウェット状態ではへたり感があり、使用者に手持ち感を与えられない。また、吸収性物品や包帯、ガーゼに使用した場合においても、体液の通過性には優れているが、体液の拡散性には劣る。また、特開平7−197361号公報の開孔不織布は、嵩高性は得られるものの、開孔が規則的であり、直線的に貫通しているため、上記の問題点は解決できない。
したがって、意匠性に優れ、かつ様々な用途に展開可能な機能性の高い開孔不織布が未だ得られていないのが実情である。本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、嵩高性、および機能性を兼ね備え、意匠性に優れた開孔不織布およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の開孔不織布は、構成繊維が三次元的に交絡し、繊維束を形成した非開孔部と繊維束により取り囲まれた開孔部を有する不織布において、非開孔部が多方向へ屈曲して、不織布の両面に不規則な凹凸を形成するとともに、開孔部の大きさおよび形状が不均一であることを特徴とする。かかる構成により、嵩高性に優れ、様々な用途に展開可能な機能性の高い不織布を得ることができ、上記課題を解決した。
【0005】
本発明の開孔不織布における構成繊維は、熱収縮性繊維15〜50重量%と、前記熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に収縮しない非熱収縮性繊維85〜50重量%を含有することが望ましい。さらに熱収縮性繊維の加熱による最大熱収縮率が、少なくとも50%であることが望ましい。
【0006】
本発明の開孔不織布は、加熱による最大熱収縮率が少なくとも50%である共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる潜在熱収縮性繊維15〜50重量%と前記潜在熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に収縮しない非熱収縮性繊維85〜50重量%とからなる繊維ウェブを開孔形成用支持体上に載置し高圧水流処理を施し、構成繊維を三次元的に交絡し、かつ再配列させて繊維束を形成した非開孔部と繊維束により取り囲まれた開孔部を形成させた後、熱処理を施すことにより潜在熱収縮性繊維を熱収縮させて、均一に配列された不織布の繊維束を多方向に屈曲させて、開孔部の開孔の大きさおよび形状を不均一にし、不織布の両面に不規則な凹凸を形成させることにより製造できる。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の開孔不織布は、構成繊維が三次元的に交絡し、繊維束を形成した非開孔部と繊維束により取り囲まれた開孔部を有する不織布において、非開孔部が多方向へ屈曲して、不織布の両面に不規則な凹凸を形成するとともに、開孔部の大きさおよび形状が不均一な構造である。本発明の開孔不織布の形態の一例を図1および図2に示す。1は開孔部、2は非開孔部である。ここでいう非開孔部が多方向へ屈曲するとは、図3および図4に示すような従来の開孔不織布の非開孔部が平面的かつ一定方向に配列するのと異なり、厚み方向に隆起したり、平面方向で様々な向きに折れ曲がったり、その形状に規則性がないものをいう。そして、繊維束により取り囲まれた開孔部は、それに伴い、様々な大きさおよび形状を形成しており、その配列も従来の開孔不織布のような格子状や千鳥状といった規則性はない。これを不織布全体でとらえた場合、非開孔部の厚み方向に隆起したものが、不織布両面に不規則な凹凸を形成するものである。
【0008】
そして、好ましい形態は、熱収縮性繊維と非熱収縮性繊維とからなり、熱収縮性繊維と非熱収縮性繊維とが三次元的に交絡かつ再配列し、平面的かつ一定方向に配列された非開孔部と規則的に配列した開孔部を形成した状態で、熱収縮性繊維のみを熱収縮させることにより非熱収縮性繊維がいびつに多方向に屈曲し、その結果、繊維束により形成された非開孔部が多方向に屈曲して、開孔部に歪みが生じ、不織布の両面に凹凸が形成されたものである。
【0009】
本発明の開孔不織布においては、潜在的に熱収縮性能を有する繊維が含有していれば特に限定されない。潜在的に熱収縮性能を有する繊維としては、例えば、ポリエステル/共重合ポリエステル、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体などの組み合わせからなる見かけ上熱収縮するサイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維、あるいは共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる潜在熱収縮性繊維が挙げられるが、特に、加熱による最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維が15〜50重量%含まれることが好ましい。ここで最大熱収縮率とは、加熱された繊維が繊維の形状を保ったままで示す熱収縮率のうちで最大のものをいう。最大熱収縮率が50%未満の熱収縮性繊維を使用した場合、あるいは熱収縮性繊維の割合が15重量%未満である場合は、不織布全体の熱収縮が不十分で、不織布の開孔部に歪みを形成させることができない。また熱収縮性繊維の割合が50重量%を超えると、不織布が硬くなり好ましくない。
【0010】
最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維としては、融解ピーク温度(Tm℃)が、130<Tm<145の範囲内にあるエチレン−プロピレンランダム共重合体を70重量%以上含むポリマーからなる繊維(以下、この繊維をEP繊維と略す)を挙げることができる。ここで融解ピーク温度とは、示差走査熱量計(DSC)によりポリマーの融解熱測定を行ったときにDSC曲線が最高値を示すときの温度をいう。ここで融解ピーク温度が130℃未満であるとポリマーがゴム的弾性を示すようになり、繊維のカード通過性が悪くなる。逆に、145℃を越えると、繊維の熱収縮性が通常のポリプロピレン程度となってしまうために好ましくない。また、エチレン−プロピレンランダム共重合体は70重量%以上含まれていることが望ましい。70重量%未満であると繊維の最大熱収縮率が50%未満となるからである。熱収縮性を制御するために他のポリマーを混合してもよい。混合するポリマーとしては、エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体が好ましい。ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマーを混合してもよい。
【0011】
熱収縮性繊維と混合する非熱収縮性繊維は、熱収縮性繊維が収縮する温度において実質的に収縮しないものであれば素材等は特に限定されない。ここでいう実質的に収縮しないとは、熱収縮性繊維が収縮する温度での収縮率が10%未満のものをいう。例えば、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、綿、ウール等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、塩化ビニル等の合成繊維等の中から任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。また、その繊維形状等も限定されず、芯鞘型複合繊維、分割型複合繊維、あるいは異型断面を有する繊維等を任意に使用することができる。
【0012】
上記非熱収縮性繊維のうち、親水性繊維としてレーヨン等の再生繊維、コットン、パルプ等の天然繊維、および疎水性合成繊維に親水化処理を施したもの等を用いると後述する開孔処理において明瞭な開孔部が得られ、熱収縮後も明瞭な開孔部が維持されるので好ましい。特に、本発明の開孔不織布をウェットティッシュあるいはタオル等として使用する場合は、非熱収縮性繊維を親水性繊維で構成すればよい。この中でもレーヨンは吸水性に富み、一定長のステープル繊維の入手が容易であることから、その使用が好ましい。また、本発明の開孔不織布をワイパーとして使用する場合、台所等の水まわりの用途には非熱収縮性繊維のうち親水性繊維やアクリル繊維を40%以上含むのが好ましく、水まわり以外の用途には疎水性繊維の割合を適宜変更すればよい。
【0013】
不織布中の非熱収縮性繊維の占める割合は85〜50重量%であることが好ましい。50重量%未満では熱収縮性繊維の占める割合が大きくなりすぎて不均一な開孔が得られず不織布表面の凸凹が形成されにくく、85重量%を超えると熱収縮性繊維の占める割合が小さくなり、十分な嵩高性を得ることができない。
【0014】
次に本発明の開孔不織布の形態を製造方法とともに説明する。まず、本発明の不織布を得るには、上述した熱収縮性繊維と非熱収縮性繊維を混合してなる繊維ウェブを三次元的に交絡させ、開孔を形成させる必要がある。ここで繊維ウェブは、二種以上の繊維の混綿が容易であること、および後述する高圧水流処理による繊維同士の交絡が容易に進行しやすいことから、ステープル繊維で構成されていることが望ましい。ウェブの態様は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブなどいずれであってもよい。
【0015】
この場合、カード通過性やウェブの地合等を考慮するとステープル繊維の繊維長は38〜64mmであることが好ましい。また、繊維ウェブの目付は、後の熱処理の際の面収縮により増加する分を見込んで決めなければならないが、ウェットティッシュやワイパーとして使用する場合は、使い勝手の良さを考慮すると熱収縮後の目付が40〜60g/m2となるように目付を決定するとよい。
【0016】
繊維ウェブを三次元的に交絡させる方法としては、ニードルパンチ法、あるいは高圧流体流処理法が挙げられるが、中でも、高圧水流処理が構成繊維を三次元的交絡とともに再配列させて開孔を形成することが容易であるので好ましい。三次元的な交絡を施していないと熱収縮性繊維を収縮させたときに非熱収縮性繊維が収縮応力に追随して、多方向に屈曲せず、得られる不織布の両面に不規則な凹凸が形成し難くなるからである。
【0017】
繊維ウェブに開孔を形成させる方法としては、例えば高圧流体流で処理する方法、針などで突き刺す方法、真空吸引する方法、突起物上の繊維ウェブに熱風を吹き付ける方法などいずれであってもよいが、得られる不織布の柔軟性を考慮すると、高圧流体流で処理する方法、中でも高圧水流が好ましい。高圧流体流で処理する方法としては、例えば、モノフィラメントや金属線を織成して形成したパターンネットや、突起物を設けたロール等の開孔形成用支持体上に繊維ウェブを置き、高圧流体流を噴射して不織布を形成する方法が用いられる。このとき高圧水流の噴射は、開孔形成用の支持体上でのみ行ってもよいし、予めニードルパンチ処理、あるいは低圧の水流で予備的に交絡させた後、開孔形成用の支持体上で高圧水流を噴射してもよい。予備的に交絡させると、非開孔部が強固に交絡され、得られる不織布の強力は大きくなる。
【0018】
また熱収縮処理前の開孔形状は特に限定されず、円状、楕円状、菱形、長方形等であってもよい。開孔パターンには千鳥状、格子状等が用いられるが熱収縮処理後の風合いを考慮に入れると千鳥状のものが好ましく、また開孔部は孔径0.5〜3mm、間隔3mm以下であればよい。孔径が3mmを超えると開孔の大きさおよび形状を不均一にし難く、0.5mm未満であると熱処理後に孔が消失してしまう。開孔部と開孔部との間隔が3mmを超えると非開孔部が均一に収縮してしまい、多方向に屈曲することなく、嵩高な開孔不織布となる。
【0019】
得られた不織布に熱処理を施すことにより、熱収縮性繊維が収縮される。その熱収縮性繊維として前述のEP繊維を用いる場合は、加熱温度(T℃)を125<T≦150の範囲内に設定する必要があり、好ましくは130<T<140にするとよい。125℃以下では十分に収縮せず、Tm+30℃(Tm:融解ピーク温度)を越えると収縮する前に溶解してしまい、風合いの硬い不織布となる。
【0020】
加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、熱風貫通型乾燥機、ピンテンター等を用いて、不織布をオーバーフィードさせながら処理するとよい。このとき、不織布の面積収縮率が25〜75%となるような条件で処理するのが好ましい。より好ましい面積収縮率は、40〜60%である。面積収縮率が75%を超えると、孔が消失してしまい、25%未満であると、目的とする不織布両面の凹凸が得られない。
【0021】
本発明の開孔不織布をウェットティッシュとして用いた場合、非開孔部が多方向へ屈曲しているので、湿潤時の親水性繊維のへたりから発生する厚み変化が少なく、嵩高感があり、使い心地が非常によい。またワイパーとして用いた場合、不織布表面の凹凸がゴミや埃を素早く捕捉し、捕捉したダストが多方向に屈曲した非開孔部の繊維束の交絡部や不均一な形状の開孔部に格納されるので、捕集性、保持力が優れている。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の内容について実施例を挙げて説明する。なおへたり性(乾燥厚み、湿潤厚み、厚み変化率)およびワイピング性(捕集率、保持率)については下記の通り測定した。
【0023】
(へたり性)
試料を15cm×30cmの大きさに切り、5枚重ねて乾燥時の厚みを、厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2 あたり20gの荷重を加えた状態で乾燥厚み(A)を測定する。
次いでその試料に300%の水分を含ませて、湿潤厚み(B)を測定する。
{(A−B)/A}×100を厚み変化率(%)とした。
【0024】
(ワイピング性)
▲1▼捕集率:ガラス面上にパン粉0.5gを均一にばらまき、花王(株)製フローリング用清掃具(拭き取り面積10cm×26cm、柄の長さ34cm、重量235g)に予め重量を測定した不織布を取り付け、拭き取り面上に500gの荷重を載置した状態で60cmの距離を移動させ、1往復させた後の不織布の重量を測定し、拭き取り前後の重量差を捕集量(g)とした。そして捕集量/0.5を100倍したものを捕集率(%)とした。
▲2▼保持率:上記で捕集した状態の清掃具を約10cmの高さから5回落下させ、5回落下後の不織布重量と拭き取り前不織布重量の重量差を保持量とした。そして保持量/捕集量を100倍したものを保持率(%)とした。
【0025】
(実施例1)
融解ピーク温度138℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体で最大熱収縮率が150℃で92%、繊度2デニール、繊維長51mmの熱収縮性繊維20重量%と繊度1.5デニール、繊維長40mmのレーヨン繊維80重量%とを混合して、目付30g/m2 のパラレルウェブを作製した。
【0026】
この繊維ウェブに孔径0.13mmのオリフィスが1mm間隔で設けられたノズルから表は水圧30kg/cm2、裏は日本フィルコン(株)製平織物25メッシュの開孔形成用支持体上で水圧30kg/cm2の柱状水流を噴射して、繊維同士を交絡させ一体化した後、熱風貫通型乾燥機を用いて80℃で乾燥させ、平面的な非開孔部と格子状に配列した開孔部を有する開孔不織布を得た。
【0027】
次いでこの開孔不織布をピンテンターを用いて140℃、オーバーフィード率60%で30秒間熱処理を施し、熱収縮性繊維を収縮させて、図1および図2のように不織布の両面に凸凹の形成された開孔不織布となした。
【0028】
(参考例1)
上記熱収縮性繊維40重量%と、レーヨン60重量%を混合した以外は実施例1と同様の方法で両面に凸凹を形成した開孔不織布を得た。
【0029】
(実施例2)
上記熱収縮性繊維30重量%と非熱収縮性繊維としてレーヨン40重量%とポリエチレンテレフタレート30重量%とを混合して、実施例1と同様の方法で両面に凸凹を形成した開孔不織布を得た。
【0030】
(比較例1)
上記熱収縮性繊維40重量%と、レーヨン60重量%とを混合して、目付30g/m2のパラレルウェブを作製し、開孔形成用支持体を用いないで実施例1と同条件の柱状水流処理で開孔部のない不織布を得た。次いでこの不織布をピンテンターを用いて140℃、オーバーフィード率70%で30秒間熱処理を施し、オーバーフィード70%で熱収縮性繊維を収縮させて、多数の皺が形成された開孔部が存在しない不織布を得た。
【0031】
(比較例2)
芯が融解ピーク温度163℃のポリプロピレン、鞘が融解ピーク温度132℃のポリエチレンで繊度2デニール、繊維長51mmの芯鞘型複合繊維20重量%と繊度1.5デニール、繊維長40mmのレーヨン繊維80重量%とを混合して目付40g/m2のパラレルウェブを作製し、実施例1と同条件の処理を施した後、サクションドラム式の熱風加工機を用いて140℃で30秒間熱処理を行い、平面的な非開孔部と格子状に配列した開孔部を有する開孔不織布を得た。
【0032】
実施例1、2、参考例1、および比較例1、2の不織布のへたり性およびワイピング性を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
実施例1、2、および参考例1の開孔不織布は、非開孔部が多方向へ屈曲して、開孔部の大きさおよび形状が不均一となして不織布の両面に不規則な凹凸を有しているので、嵩高感があり、特に湿潤させても十分嵩を維持していた。これをウェットティッシュとして用いたところ、手持ち感があり、拭き取り性も良好なものであった。またドライ状態でのワイピング性にも優れていた。
一方、比較例1の不織布は、嵩高感には優れているものの、開孔が形成されていないので、パン粉のような比較的大きいごみを捕捉する空間に乏しく、さらに、それを保持するのも十分とはいえなかった。また、比較例2の開孔不織布は、平面的な構造であるため、嵩高感がなく、湿潤持のへたりも大きいものであった。さらに比較例1と同様にワイピング性は十分なものではなかった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の開孔不織布は、非開孔部が多方向へ屈曲して、開孔部の大きさおよび形状が不均一となして不織布の両面に不規則な凹凸を有しているので、従来の均一な開孔部を持つ開孔不織布とは明らかに意匠性が異なったものである。そして機能面においても、非開孔部が多方向へ屈曲しているので、嵩高感があり、嵩回復性に優れており、特に湿潤時の厚みの減少を抑制する。
【0036】
また、不織布の両面には凹凸が形成されているので、対象物への直接接触する面積が少なくなり、人体に直接使用するウェットティッシュや吸収性物品などの場合であれば、不織布表面のぬめりやべたつきなどによる不快感が解消されるだけでなく、凹部により汚れを保持したり、液透過性を促進することができ、ワイパーなど物に使用する場合であれば、凹凸により長期にわたり目詰まりすることなく、両面使用することができ、凹部おいてごみや埃を保持することができる。
【0037】
さらに、開孔部の大きさや形状が不均一であるため、ウェットティッシュやワイパーなど拭き取り材料に使用した場合、種々の大きさのごみを効率よく捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の開孔不織布における表面の一例を示す。
【図2】本発明の開孔不織布における断面の一例を示す。
【図3】従来の開孔不織布における表面の一例を示す。
【図4】従来の開孔不織布における断面の一例を示す。
【符号の説明】
1.非開孔部
2.開孔部
Claims (4)
- 構成繊維が三次元的に交絡し、繊維束を形成した非開孔部と繊維束により取り囲まれた開孔部を有する不織布において、前記構成繊維が、共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる加熱による最大熱収縮率が少なくとも50%である潜在熱収縮性繊維15〜30重量%と、前記潜在熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に収縮しない非熱収縮性繊維85〜70重量%を含有し、非開孔部が多方向へ屈曲して、不織布の両面に不規則な凹凸を形成するとともに、開孔部の大きさおよび形状が不均一であることを特徴とする開孔不織布。
- 前記潜在熱収縮性繊維がエチレン−プロピレンランダム共重合体を70重量%以上含むポリマーからなる繊維であることを特徴とする請求項1記載の開孔不織布。
- 前記非熱収縮性繊維が親水性繊維又はアクリル繊維を40%以上含むことを特徴とする請求項1又は2記載の開孔不織布。
- 加熱による最大熱収縮率が少なくとも50%である共重合ポリエステル、エチレン−プロピレン共重合体、又はエチレン−ブテン−プロピレン3元重合体からなる潜在熱収縮性繊維15〜30重量%と、前記潜在熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に収縮しない非熱収縮性繊維85〜70重量%とからなる繊維ウェブを、開孔形成用支持体上に載置し高圧水流処理を施し、構成繊維を三次元的に交絡し、かつ再配列させて繊維束を形成した非開孔部と繊維束により取り囲まれた開孔部を形成させた後、熱処理を施すことにより潜在熱収縮性繊維を熱収縮させて、均一に配列された不織布の繊維束を多方向に屈曲させて、開孔部の開孔の大きさおよび形状を不均一にし、不織布の両面に不規則な凹凸を形成させることを特徴とする開孔不織布の製造方法。
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