JPH10158966A - 嵩高性不織布及びその製造方法 - Google Patents

嵩高性不織布及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10158966A
JPH10158966A JP8323567A JP32356796A JPH10158966A JP H10158966 A JPH10158966 A JP H10158966A JP 8323567 A JP8323567 A JP 8323567A JP 32356796 A JP32356796 A JP 32356796A JP H10158966 A JPH10158966 A JP H10158966A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fiber layer
nonwoven fabric
heat
shrinkable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8323567A
Other languages
English (en)
Inventor
Kouji Wakisaka
弘二 和気坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Boseki KK
Daiwabo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiwa Boseki KK, Daiwabo Co Ltd filed Critical Daiwa Boseki KK
Priority to JP8323567A priority Critical patent/JPH10158966A/ja
Publication of JPH10158966A publication Critical patent/JPH10158966A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に多数の皺状の凸部が密に形成され、か
つ表面平滑性を具備する嵩高性および弾性に富む不織布
を提供する。 【解決手段】 熱収縮した繊維を含む第一繊維層の片面
もしくは両面に、非収縮性繊維を含む第二繊維層が積層
され、両繊維層がニードルパンチにより交絡一体化され
てなる目付200g/m2 以上の不織布であって、第二
繊維層に多数の皺状の凸部が密集して形成され、かつ凸
部の形成により生じる不織布表面の凹凸の見かけの谷山
比が0.60以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に多数の皺状
の凸部が密に形成され、かつ表面平滑性を具備する嵩高
性および弾性に富む不織布、及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱収縮率の異なる二以上の繊
維層を積層し、一方の繊維層を熱収縮させて、もう一方
の繊維層に皺状あるいはパイル状の凸部を形成させた嵩
高性不織布が種々提案され、実用に供されている。例え
ば、特開昭53−6683号公報には、高収縮性繊維ウ
ェブに低収縮性繊維ウェブが重ね合わされた積層体に高
圧柱状流を噴射した後、収縮処理することを特徴とする
パイル織物様不織布の製造方法が記載されている。ま
た、特開昭55−98951号公報では、高収縮側不織
布と低収縮側不織布とを重ねてニードリングした後、熱
処理して得られる浮彫調不織布が提案されている。さら
に特開昭61−132666号公報には、特定のポリエ
ステル系長繊維からなる収縮性の底部不織布と表面不織
布とが交絡され、かつ交絡部の間で表面不織布にループ
が形成されているバルキー性不織布が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の嵩
高性不織布には次のような問題点が存在する。例えば、
特開昭53−6683号公報に記載されているように高
収縮性繊維ウェブと低収縮性繊維ウェブとの積層体を高
圧柱状水流によって一体化させる場合、水流の水圧、水
流噴射ノズルのピッチによって容易にパイルの大きさ、
数を調整することができるものの、積層体の目付が大き
くなるとパイルの大きさや数を調整することが困難とな
る。即ち、目付が大きいとウェブ層同士が十分に交絡せ
ず、交絡の弱い部分がかなり広い範囲にわたって存在す
ることとなる。そして、交絡の弱い部分は、高収縮性繊
維ウェブの収縮時に交絡が解かれやすく、当該部分では
低収縮性繊維層は浮き上がることとなる。その結果、得
られる不織布はパイル状の凸部が密集して形成された不
織布ではなく、単なる膨らみが生じた不織布にしかなら
ない。このような不織布は、面圧によりその膨らみが潰
れて平坦化しやすいため、嵩高性、弾性に富む不織布と
は言い難いものである。
【0004】また、たとえ水圧を高くしても、繊維同士
の交絡は専ら表面付近でのみ進行するため、得られる不
織布の触感が硬くなるだけで、上記した不都合を解消す
るには至らない。つまり、高圧柱状水流を噴射して一体
化させる方法は、目付の大きな積層体には適していな
い。
【0005】特開昭55−98951号公報に記載の不
織布は、予めニードリングした不織布を重ね合わせ、さ
らにニードリングして一体化させるので、保形性には優
れるものの、その製造には多くの工程を必要とし、煩雑
となることは否めない。またニードリングさせた不織布
同士を強固に一体化させることは難しく、交絡が不充分
な箇所では、低収縮側不織布の浮き上がり、膨らみが生
じるという問題もある。さらに、ニードリングを高収縮
側不織布から行うと高収縮性繊維が低収縮側不織布に残
るため、これに熱処理を施すと低収縮側不織布でも収縮
が生じて、低収縮側不織布において浮彫が整然と形成さ
れないおそれがある。
【0006】特開昭61−132666号公報に記載の
不織布では、ポリエステル系の長繊維不織布が収縮性不
織布として用いられているが、長繊維不織布は他の繊維
と本質的に絡みにくいものであるため、この不織布につ
いても不十分な交絡に起因する前述したような問題が生
じることは否めない。
【0007】また、いずれの不織布も、低収縮層側に形
成されるループあるいは皺状の凸部の存在が明瞭に認め
られるものであると考えられる。つまり、いずれも、表
面の凹凸がはっきりと認識され、表面平滑性に欠ける不
織布であると言える。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、高収縮性繊維層と低収縮性繊維層とが強
固に交絡され、かつ従来の嵩高性不織布とは異なる表面
状態を呈する嵩高性不織布を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の嵩高性不織布は、熱収縮した繊維を含む第
一繊維層の片面もしく両面に、非収縮性繊維を含む第二
繊維層が積層され、両繊維層が交絡一体化されてなる目
付200g/m2 以上の不織布であって、第二繊維層に
多数の皺状の凸部が密集して形成され、かつ凸部の形成
により生じる不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が0.
60以上であることを特徴とする。かかる不織布は、第
二繊維層に形成された凸部によって嵩高性および弾性に
富んだものとなり、その表面が比較的平滑である。
【0010】本発明の不織布においては、第一繊維層は
最大熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維が
熱収縮した繊維を50重量%以上含み、第二繊維層は前
記熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に熱収縮しな
い非収縮性繊維からなることが好ましい。第一繊維層が
十分に熱収縮することにより、凸部が密に形成された表
面平滑な不織布を得ることができる。
【0011】前記最大熱収縮率が50%以上である熱収
縮性繊維は、融解ピーク温度(Tm℃)が130<Tm
<145のエチレン−プロピレンランダム共重合体を7
0重量%以上含むポリマーからなる繊維であることが望
ましい。このポリマーからなる繊維は高い熱収縮性を示
すので、これを用いれば第一繊維層を十分に熱収縮させ
ることが可能である。
【0012】本発明の嵩高性不織布の製造方法は、最大
熱収縮率が少なくとも50%である熱収縮性繊維を50
重量%以上含む第一繊維層の片面に前記熱収縮性繊維が
収縮する温度では実質的に熱収縮しない非収縮性繊維か
らなる第二繊維層を積層し、第一繊維層と第二繊維層の
境界面を通過するバーブ数が少なくとも3個となる針深
度で、第二繊維層側からニードルパンチして両繊維層を
交絡一体化させた後、熱処理を施して上記熱収縮性繊維
を収縮させることにより、第二繊維層に多数の皺状の凸
部を形成させ、かつ不織布表面の凹凸の見かけの谷山比
が0.60以上となるようにすることを特徴とする。両
繊維層の境界面を通過するバーブ数を3以上とすること
により両繊維層が強固に交絡され、その結果、凸部が密
集して形成された表面の比較的平滑な不織布を得ること
が可能となる。
【0013】前記製造方法においては、面積収縮率が5
0%以上となるように熱処理を施すことが望ましい。第
二繊維層に多数の皺状の凸部を密に形成させ、かつ不織
布表面の凹凸の見かけの谷山比を0.60以上とするた
めには、第一繊維層を十分に熱収縮させる必要がある。
【0014】前記製造方法においては、第一繊維層およ
び第二繊維層は、それぞれ繊維長38〜76mmの短繊維
で構成された繊維ウェブであることが望ましい。短繊維
ウェブ同士は強固に交絡しやすく、また、短繊維ウェブ
を出発材料とすれば最終的に得られる不織布の触感が柔
らかくなる。
【0015】前記製造方法においては、第一繊維層と第
二繊維層とを積層した状態の目付が60〜800g/m
2 であることが望ましい。
【0016】前記製造方法においては、第一繊維層/第
二繊維層の目付の比が3/1〜1/1であることが望ま
しい。以下、本発明の内容を説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、熱収縮性繊維を含む第
一繊維層に、その熱収縮性繊維が熱収縮する温度では実
質的に収縮しない非収縮性繊維からなる第二繊維層を積
層し、両者の熱収縮率の差を利用して第二繊維層に皺状
の凸部を形成させることを特徴とする。従って、第一繊
維層は十分に熱収縮する必要があり、第一繊維層に含ま
れる熱収縮性繊維はその最大熱収縮率が少なくとも50
%であることが望ましく、その混合割合は50重量%以
上であることが望ましい。ここで最大熱収縮率とは、加
熱された繊維が繊維の形状を保ったままで示す熱収縮率
のうちで最大のものをいう。最大熱収縮率が50%未満
の熱収縮性繊維を使用した場合、あるいは熱収縮性繊維
の割合が50重量%未満である場合は、第一繊維層の熱
収縮が不十分で第二繊維層に皺状の凸部を密に形成させ
ることが困難となる。
【0018】熱収縮性繊維が50重量%以上含まれてい
れば、第一繊維層にその他の繊維を混合することができ
る。混合する繊維は特に限定されず、レーヨン等の再生
繊維、アセテート等の半合成繊維、ナイロン6、ナイロ
ン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系
繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン系繊維等から任意に一もしくは二以上選択して使用す
ることができる。勿論、第一繊維層は熱収縮性繊維のみ
から構成されていてもよい。
【0019】本発明では、最大熱収縮率が少なくとも5
0%である熱収縮性繊維として、融解ピ−ク温度(Tm
℃)が130<Tm<145の範囲内にあるエチレン−
プロピレンランダム共重合体を70重量%以上含むポリ
マーからなる繊維を使用することが望ましい。ここで融
解ピ−ク温度とは、示差走査熱量計(DSC)によりポ
リマ−の融解熱測定を行ったときにDSC曲線が最高値
を示すときの温度をいう。融解ピ−ク温度が130℃未
満であるとポリマ−がゴム的弾性を示すようになり、繊
維のカ−ド通過性が悪くなる。逆に、145℃を超える
と、繊維の熱収縮性が通常のポリプロピレン程度となっ
てしまうため好ましくない。また、エチレン−プロピレ
ンランダム共重合体の占める割合が70重量%未満とな
ると、得られる繊維の最大熱収縮率が50%未満とな
り、好ましくない。エチレン−プロピレンランダム共重
合体と混合するポリマーとしては、エチレン−プロピレ
ン−ブテン-1三元共重合体や、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系ポリマーを用いることが望ましい。
【0020】第二繊維層は、第一繊維層の熱収縮によ
り、その表面に多数の皺状の凸部が形成されるものであ
る。従って、第二繊維層を構成する繊維は、繊維集合物
を形成することができ、熱収縮性繊維を収縮させる温度
において実質的に収縮しないものであれば素材等は特に
限定されない。例えば、レーヨン等の再生繊維、アセテ
ート等の半合成繊維、綿、ウール等の天然繊維、ナイロ
ン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、ポリエチレ
ンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト等のポ
リエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン系繊維等から任意に一あるいは二以上選
択して使用することができる。繊維形状等も限定され
ず、芯鞘型複合繊維、分割型複合繊維、異形断面を有す
る繊維等を任意に用いることができる。
【0021】例えば、最終的に得られる嵩高性不織布を
カ−ペットや玄関マット等として用いる場合には、繊維
強度及びヤング率が高いポリエステル系繊維を使用する
とよい。クッション材として用いる場合には、ポリエス
テル系繊維やポリオレフィン系繊維を使用することがで
きる。また、熱接着性繊維のみで、あるいは他の繊維と
混合して第二繊維層を形成し、繊維同士を熱接着させる
ことにより、不織布の形態を安定化させることもでき
る。
【0022】本発明の不織布は、ニードルパンチにより
第一繊維層と第二繊維層とを交絡一体化させて得られる
ものである。従って、第一繊維層および第二繊維層の形
態は、繊維長38〜76mmの短繊維(ステープルファイ
バー)で構成されるパラレルウェブ、クロスウェブ、セ
ミランダムウェブ、ランダムウェブであることが望まし
い。短繊維で構成されるウェブは、繊維端が多く、繊維
の自由度が大きいため、これをニードルパンチすれば両
繊維層間の交絡が強固なものとなる。また、ウェブのま
まニードルパンチすれば、一旦不織布としたものをニー
ドルパンチする場合に比して製造工程が簡略化されるの
で、不織布を効率的に製造することができる。
【0023】第一繊維層はパラレルウェブであることが
特に望ましい。パラレルウェブを構成する繊維はほぼ一
方向に配列されており、熱収縮の方向が一方向に集中し
やすいので、これを用いれば第二繊維層に凸部を均一に
形成させることができる。
【0024】第一繊維層と第二繊維層とを積層した状態
の目付は60〜800g/m2 であることが望ましい。
ここで第一繊維層と第二繊維層とを積層した状態とは、
ニードルパンチされる前の状態を意味する。目付が60
g/m2 未満では、ニードルパンチした後に「地合む
ら」が生じやすくなる。地合むらは、そのまま「収縮む
ら」に繋がり、その結果、第二繊維層に均一に凸部が形
成されなくなり好ましくない。また、800g/m2
超えると熱処理時に熱エネルギーがウェブ内部まで十分
に伝わらず、第一繊維層の収縮が不十分となる。
【0025】第二繊維層/第一繊維層の目付の比は3/
1〜1/1であることが望ましい。第一繊維層に対する
第二繊維層の目付の比が大きくなると、第一繊維層の熱
収縮に第二繊維層が追随しにくくなるため、凸部を形成
させることが難しくなる。第二繊維層の目付の比が小さ
くなると、不織布全体の厚みに占める凸部の割合が小さ
くなるため、得られる不織布は嵩高性、弾性に劣るもの
となる。
【0026】第一繊維層と第二繊維層は積層され、繊維
同士の交絡により一体化される。このとき第二繊維層は
第一繊維層の片面にだけでなく、両面に積層されてもよ
い。
【0027】本発明では両繊維層を一体化させる手段と
して、ニードルパンチを採用することが望ましい。ニー
ドルパンチによれば被処理物の目付が大きい場合でも繊
維同士を交絡させることができる。ニードルパンチは第
二繊維層側から行うことが望ましい。熱収縮性繊維の第
二繊維層側への移行をできるだけ避けるためである。
【0028】第二繊維層に形成される凸部の数や形態
は、ニードルパンチの際の針深度とパンチ密度によって
決定される。本発明では、針深度を、両繊維層の境界面
を通過するニードルのバーブ数が3個以上となるように
設定することが望ましい。通過するバーブの数が2個以
下となると、第一繊維層へ植え付けられる第二繊維層の
繊維本数が少なくなるため、交絡が不十分となって層間
剥離を起こしやすくなる。その結果、第二繊維層には単
なる膨らみ状の凸部が形成されやすくなり、好ましくな
い。通過するバーブ数が増加するほど両繊維層の間は強
固に交絡され、熱処理後は小さな凸部が密集して形成さ
れ、不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が大きくなる傾
向にある。
【0029】パンチ密度は、被処理物1cm2 あたりを通
過するニードルの数で表される。パンチ密度を大きくす
るほど各層内での繊維同士の交絡および層間の交絡は強
固となり、熱処理後は小さな凸部が密集して形成され、
不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が大きくなる傾向に
ある。
【0030】不織布表面を良好にするため、ニードルパ
ンチを、プレパンチ、本パンチ、仕上げパンチの三段階
に分けて行っても良い。その場合には、本パンチの際の
針深度が前述した条件を満たすようにする。プレパンチ
や仕上げパンチの際に、両繊維層を通過するバーブ数が
3未満となることは差し支えない。
【0031】ニードルパンチに使用されるニードルは、
フェルト加工用ニードルであれば特に限定されず、被処
理物である積層体の素材、目付、積層比、あるいは形成
させようとする凸部の大きさ、高さ等に応じて適宜選択
すればよい。
【0032】次に、この一体化された積層体に熱処理を
施して第二繊維層に凸部を形成させる。熱処理は第一繊
維層中の熱収縮性繊維が収縮する温度で行い、熱風貫通
型加工機や、熱風上下吹付型加工機等の装置を用いて行
うとよい。熱風貫通型加工機を使用する場合、熱風を第
一繊維層側から第二繊維層側へ通過させた方が第一繊維
層が収縮しやすくなる。第一繊維層の熱収縮率は、処理
温度、処理時間等によって決定される。一般に温度が高
いほど、また処理時間が長いほど熱エネルギーの仕事量
は大きくなるので、収縮率は大きくなる。
【0033】例えば、熱収縮性繊維として、前述したエ
チレン−プロピレンランダム共重合体を含む繊維を用い
る場合、加熱温度(T℃)は、110<T<Tm+30
の範囲内で設定することが望ましい。110℃未満では
熱収縮が不十分となり、Tm+30℃を超えると繊維が
完全に溶融してしまい収縮応力が低下する。また、この
繊維を含む目付60〜800g/m2 の積層体を処理す
る場合には、処理時間を数秒〜数分間にするとよい。
【0034】本発明では、積層体の面積収縮率が50%
以上となるように熱処理を施すことが望ましい。より好
ましくは、60%以上、さらに好ましくは70%以上で
ある。面積収縮率が50%未満では、第二繊維層におい
て凸部が密に形成されなくなり、不織布表面の凹凸の見
かけの谷山比が小さい不織布しか得られない。
【0035】熱処理が施された積層体は、第二繊維層に
不規則な多数の皺状の凸部が密に形成され、且つ凸部の
形成により生じる不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が
大きい不織布となる。ここで、凹凸の見かけの谷山比
は、不織布の最も厚い部分(山部)の厚さを、最も薄い
部分(谷部)の厚さで除した値で表される。図1および
図2に示すように、谷山比の値が大きいほど不織布表面
は平滑であると言える。本発明においては、凹凸の見か
けの谷山比は0.60以上であることが好ましく、0.
70〜0.95であることがさらに好ましい。0.60
未満のものは表面の平滑性にかけ、凹凸が明瞭に認識さ
れる。図2のように凹凸の谷山比が小さくなると、面圧
によりが凸部が倒伏しやすくなるため、かかる不織布は
嵩高性、弾性の点においても劣ったものとなる。両繊維
層を通過するバーブ数を増加させたり、ニードルパンチ
密度を大きくすると、図3のように小さな凸部が形成さ
れた不織布を得ることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施
中、不織布の物性等の評価は次のように行った。
【0037】(厚み) 厚み測定機(商品名:THICKNES
S GAUGE モデル CR-60A (株)大栄科学精器製作所
製)を用い、不織布に3g/cm2 の荷重を加えた状態で
測定した。
【0038】(面積収縮率) 熱処理前の不織布表面に
20cm×20cmの正方形の枠を置き、各辺の中点に相当
する箇所に印をつける。そして、熱処理後、互いに向か
い合う中点同士を線で結び、熱収縮性繊維の熱収縮の結
果、正方形がそれらの線をタテ、ヨコとする長方形にな
ったものとみなして長方形の面積を算出し、次式より面
積収縮率を求めた。
【0039】
【数1】
【0040】(凹凸の見かけの谷山比) 不織布の横断
面の光学顕微鏡写真を撮影し(倍率:6倍)、写真中、
不織布の厚みが最大の部分を山部、最小の部分を谷部と
して各々の厚みを測定し、(谷部の厚み)/(山部の厚
み)を算出した。写真は一つの試料について3カ所撮影
し、それぞれの写真について(谷部の厚み)/(山部の
厚み)を求め、その平均値を凹凸の見かけの谷山比とし
た。
【0041】[熱収縮性繊維の製造]融点が140℃、
メルトフローレート値(230℃)が15g/10分の
エチレン−プロピレンランダム共重合体を紡糸温度26
0℃で溶融紡糸した。次いでこれを90℃で3.6倍に
延伸し、繊維処理剤を付与しながらスタッフィングボッ
クスで16個/インチの機械捲縮を与え、60℃で15
分間熱風乾燥させた後、カットし、繊度2デニール、繊
維長51mmのステープルファイバーを得た。この繊維の
最大熱収縮率は150℃で92%であった。なお、最大
熱収縮率の測定は、繊維を50本束ねて黒い綿糸で所定
間隔に印をつけ、温度150℃の雰囲気下に30秒程度
曝した後、印をつけた間隔を測定し、これから算出した
収縮率を最大熱収縮率とした。融解ピーク温度(融点)
よりも高い温度で測定しているが、処理時間が短いので
繊維形状を保ったままで収縮させることができた。
【0042】[実施例1〜4、比較例1〜2]第一繊維
層として、上述の熱収縮性繊維のみを用いてパラレルカ
−ドで作成したウェブを用意した。一方、第二繊維層と
して、鞘成分が高密度ポリエチレン、芯成分がポリプロ
ピレンの鞘芯型熱接着性複合繊維(繊度2デニ−ル、繊
維長51mm)のみを用いてパラレルカ−ドで作成した
ウェブを用意した。そして、各実施例および比較例にお
ける第一繊維層と第二繊維層の目付の比が表1に示すと
おりとなるように、第一繊維層の上面に第二繊維層を積
層した。
【0043】次いでこの積層体の第二繊維層側からパン
チ針(フォスタ−ニ−ドル社製、針番手#40、バ−ブ
数9個)を用いて、両繊維層を一体化させた。それぞ
れ、パンチ密度32N/cm2 で、両繊維層を通過するバ
ーブ数が2個となるようにプレパンチした後、針深度を
表1のとおりに設定してパンチ密度129N/cm2 で本
パンチし、さらにパンチ密度97N/cm2 で、両繊維層
を通過するバーブ数が1個となるように仕上げパンチを
行った。
【0044】続いて、熱風貫通型加工機を用いて、第一
繊維層側から熱風を貫通させ、加工温度140℃で30
秒間熱処理を行うことにより、第一繊維層を収縮させて
第二繊維層に皺状の凸部を形成させた。
【0045】[比較例3]上記実施例と同じ要領で第一
繊維層と第二繊維層の積層体を作成し、この積層体に、
孔径0.1mmのオリフィスが1mm間隔で設けられたノズ
ルから、水圧30kg/cm2 の柱状水流を第二繊維層側か
ら噴射し、さらに60kg/cm2 、100kg/cm2 の柱状
水流を第二繊維層側から噴射して両繊維層を交絡一体化
させた。次いで、上記実施例を同じ方法で熱処理を施
し、第一繊維層を収縮させた。
【0046】各実施例および比較例の不織布の厚み、比
容積、面収縮率、凹凸の見かけの谷山比を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例1〜3で示すとおり、針深度を大き
くし、第一繊維層と第二繊維層の境界面を通過するバ−
ブ数を順次多くするに従って、多数の皺が密集して形成
され、凹凸の見かけの谷山比が大きくなる。
【0049】また、針深度は同一条件であっても、第一
繊維層と第二繊維層と目付の比が変われば両繊維層の境
界面を通過するバ−ブ数も変化する。比較例1では、実
施例4と同じ針深度でニードルパンチしたが、比較例1
は実施例4に比して両繊維層の境界面が下方に位置する
ため、通過バーブ数が2個となっている。そのため両繊
維層間が十分に交絡せず、実施例4に比べ不織布の厚み
の増加率、凹凸比ともに小さくなっている。このこと
は、比較例1の不織布では第二繊維層において凸部が十
分に密集して形成されなかったことを示している。比較
例2では通過バーブ数が少なく、また第二繊維層の目付
が大きく第一繊維層の熱収縮に第二繊維層が追随できな
かったため、凸部を形成させることができなかった。
【0050】比較例3では、水流のエネルギーが不織布
内部まで効率良く伝わらなかったために第一繊維層と第
二繊維層の交絡にムラが生じた。そのため、形成された
凸部の中には膨らみ状の凸部が多々存在し、凸部の密集
は不十分なものとなった。ゆえに、不織布表面の凹凸の
見かけの谷山比は小さくなっている。
【0051】
【発明の効果】本発明の嵩高性不織布は、その表面に多
数の皺状の凸部が密集して形成されているために、表面
の凹凸の見かけの谷山比が大きいという特徴を有する。
この特徴により、本発明の嵩高性不織布は、従来の嵩高
性不織布では得られなかった表面状態と触感を呈すると
ともに、優れた嵩高性、弾性を有する。この不織布は、
カーペットや玄関マット等のインテリア用品、内装材等
に好適である。また、第一繊維層の熱収縮により、第二
繊維層中の繊維が厚み方向に配向しているので、クッシ
ョン材やフィルターとして用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の嵩高性不織布の断面図
である。
【図2】不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が小さい不
織布の一例の断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の嵩高性不織布の断面
図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱収縮した繊維を含む第一繊維層の片面
    もしくは両面に、非収縮性繊維を含む第二繊維層が積層
    され、両繊維層が交絡一体化されてなる目付200g/
    2 以上の不織布であって、第二繊維層に多数の皺状の
    凸部が密集して形成され、かつ凸部の形成により生じる
    不織布表面の凹凸の見かけの谷山比が0.60以上であ
    ることを特徴とする嵩高性不織布。
  2. 【請求項2】 第一繊維層は最大熱収縮率が少なくとも
    50%である熱収縮性繊維が熱収縮した繊維を50重量
    %以上含み、第二繊維層は前記熱収縮性繊維が収縮する
    温度では実質的に熱収縮しない非収縮性繊維からなるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の嵩高性不織布。
  3. 【請求項3】 熱収縮した繊維が、融解ピーク温度(T
    m℃)が130<Tm<145のエチレン−プロピレン
    ランダム共重合体を70重量%以上含むポリマーからな
    る繊維である請求項2に記載の嵩高性不織布。
  4. 【請求項4】 最大熱収縮率が少なくとも50%である
    熱収縮性繊維を50重量%以上含む第一繊維層の片面に
    前記熱収縮性繊維が収縮する温度では実質的に熱収縮し
    ない非収縮性繊維からなる第二繊維層を積層し、第一繊
    維層と第二繊維層の境界面を通過するバ−ブ数が少なく
    とも3個となる針深度で、第二繊維層側からニ−ドルパ
    ンチして両繊維層を交絡一体化させた後、熱処理を施し
    て上記熱収縮性繊維を収縮させることにより、第二繊維
    層に多数の皺状の凸部を密に形成させ、かつ不織布表面
    の凹凸の見かけの谷山比が0.60以上となるようにす
    ることを特徴とする嵩高性不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 面積収縮率が50%以上となるように熱
    処理を施す請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 第一繊維層および第二繊維層が、それぞ
    れ繊維長38〜76mmの短繊維で構成された繊維ウェブ
    である請求項4もしくは請求項5に記載の嵩高性不織布
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 第一繊維層と第二繊維層とを積層した状
    態の目付が60〜800g/m2 である請求項4〜6い
    ずれか一項に記載の嵩高性不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 第二繊維層/第一繊維層の目付の比が3
    /1〜1/1であることを特徴とする請求項4〜7いず
    れか一項に記載の嵩高性不織布の製造方法。
JP8323567A 1996-11-18 1996-11-18 嵩高性不織布及びその製造方法 Pending JPH10158966A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8323567A JPH10158966A (ja) 1996-11-18 1996-11-18 嵩高性不織布及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8323567A JPH10158966A (ja) 1996-11-18 1996-11-18 嵩高性不織布及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10158966A true JPH10158966A (ja) 1998-06-16

Family

ID=18156147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8323567A Pending JPH10158966A (ja) 1996-11-18 1996-11-18 嵩高性不織布及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10158966A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000166852A (ja) * 1998-12-07 2000-06-20 Sugiyama:Kk 使い捨て床シート
JP2001159062A (ja) * 1999-11-25 2001-06-12 Uni Charm Corp 弾性伸縮性積層シートおよびその製造方法
JP2010150737A (ja) * 2008-11-28 2010-07-08 Toyobo Co Ltd 高伸度不織布シートおよびその製造方法
JP2011236542A (ja) * 2010-04-13 2011-11-24 Jnc Corp 嵩高性不織布
US20130095288A1 (en) * 2011-10-12 2013-04-18 Hirokazu Terada Stretchable bulky nonwoven fabric and method for manufacturing the same
JP2014196585A (ja) * 2013-03-04 2014-10-16 株式会社finetrack 長繊維不織布およびその長繊維不織布を有する積層生地
JP2015142879A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 呉羽テック株式会社 通気抵抗が少ないプリーツタイプのフィルタ用不織布製濾材並びにその製造方法
JP2018066069A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 東洋紡株式会社 積層長繊維不織布の製造方法
JP2018154938A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 呉羽テック株式会社 高伸度不織布シート及び高伸度不織布シートの製造方法
CN114126742A (zh) * 2019-07-16 2022-03-01 可乐丽可乐富丽世股份有限公司 纤维结构体及其制造方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000166852A (ja) * 1998-12-07 2000-06-20 Sugiyama:Kk 使い捨て床シート
JP2001159062A (ja) * 1999-11-25 2001-06-12 Uni Charm Corp 弾性伸縮性積層シートおよびその製造方法
JP2010150737A (ja) * 2008-11-28 2010-07-08 Toyobo Co Ltd 高伸度不織布シートおよびその製造方法
JP2011236542A (ja) * 2010-04-13 2011-11-24 Jnc Corp 嵩高性不織布
US20130095288A1 (en) * 2011-10-12 2013-04-18 Hirokazu Terada Stretchable bulky nonwoven fabric and method for manufacturing the same
US9422652B2 (en) * 2011-10-12 2016-08-23 Jnc Corporation Stretchable bulky nonwoven fabric and method for manufacturing same
JP2014196585A (ja) * 2013-03-04 2014-10-16 株式会社finetrack 長繊維不織布およびその長繊維不織布を有する積層生地
US10005255B2 (en) 2013-03-04 2018-06-26 Finetrack Long fiber nonwoven fabric and laminate of fabrics having long fiber nonwoven fabric
JP2015142879A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 呉羽テック株式会社 通気抵抗が少ないプリーツタイプのフィルタ用不織布製濾材並びにその製造方法
JP2018066069A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 東洋紡株式会社 積層長繊維不織布の製造方法
JP2018154938A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 呉羽テック株式会社 高伸度不織布シート及び高伸度不織布シートの製造方法
CN114126742A (zh) * 2019-07-16 2022-03-01 可乐丽可乐富丽世股份有限公司 纤维结构体及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4381146B2 (ja) 嵩高複合シートおよび製造方法
US6086984A (en) Elastic nonwoven fabric
JPH10158966A (ja) 嵩高性不織布及びその製造方法
JPH09158022A (ja) 嵩高性不織布およびその製造方法、ならびに面ファスナー雌材
JP2951559B2 (ja) 嵩高性不織布およびその製造方法
JP3403589B2 (ja) 嵩高性不織布及びその製造方法
JP2001279570A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JP3103253B2 (ja) アスフアルトルーフイング用積層シート
JP3102451B2 (ja) 三層構造不織布及びその製造方法
JPH0967748A (ja) 嵩高性不織布およびその製造方法
JPH11285403A (ja) 面ファスナ―雌材およびその製造方法
JP3623852B2 (ja) 開孔不織布及びその製造方法
JP3856972B2 (ja) 熱収縮性を有する分割型複合短繊維およびこれを用いた短繊維不織布
JP3699260B2 (ja) 嵩高性不織布およびその製造方法
JP2003089955A (ja) 極細繊維不織布およびその製造方法
JP3259936B2 (ja) 積層不織布及びその製造方法
JP3866855B2 (ja) 開孔不織布およびその製造方法
JP2000110057A (ja) 複合不織布とその製造方法およびこれを用いた清掃用品
JPH0892852A (ja) 伸縮性不織布
JP2845668B2 (ja) 積層シート
JP2000273751A (ja) タフテッドカーペット用基布
JP3813254B2 (ja) 清掃用不織布
JPH10262884A (ja) ワイパー
JPH0655987B2 (ja) バルキ−性不織布とその製造方法
JPH10195749A (ja) 積層不織布およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040824

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041022

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041130