JP3102451B2 - 三層構造不織布及びその製造方法 - Google Patents

三層構造不織布及びその製造方法

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JP3102451B2 JP04292086A JP29208692A JP3102451B2 JP 3102451 B2 JP3102451 B2 JP 3102451B2 JP 04292086 A JP04292086 A JP 04292086A JP 29208692 A JP29208692 A JP 29208692A JP 3102451 B2 JP3102451 B2 JP 3102451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料用詰め綿や医療衛
生材料等として用いるのに適した、嵩高性及び保温性に
優れ、且つ毛羽立ちが少なく表面の耐摩耗性に優れた三
層構造不織布及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、嵩高性及び保温性に優れた不
織布として、捲縮繊維が集積されてなるものが知られて
いる。例えば、顕在捲縮繊維を開繊しシート状に集積し
て繊維ウェブを得、この繊維ウェブ中の捲縮繊維相互間
を何らかの手段で結合させてなる不織布が知られている
(特開昭48-1471号公報,特公昭62-1026号公報,特開昭
63-282351号公報,特公昭52-37097号公報)。しかし、
顕在捲縮繊維は、繊維相互間が非常に絡み易いため、開
繊してシート状に集積しにくいという欠点があった。従
って、得られた不織布は、開繊性の悪さによる斑が発生
し、均一性に欠けるという欠点があった。
【0003】また、開繊時においては捲縮が発現してお
らず、シート状に集積したのち捲縮を発現する潜在捲縮
性繊維を使用して、嵩高性及び保温性に優れた不織布を
得ることも行なわれている。潜在捲縮性繊維しては、
熱収縮率の異なる二種の重合体成分を、サイドバイサイ
ド型若しくは偏心芯鞘型に複合させた複合型繊維が用い
られている。従って、この方法による場合、開繊性の悪
さは回避することができるが、シート状に集積した後に
複合型繊維を熱収縮させるため、繊維ウェブが収縮し、
嵩密度が高くなり、嵩高性が低下するという欠点があっ
た。
【0004】一方、嵩高性及び保温性に優れた不織布と
して、極細繊維を集積させてなるものも知られている。
例えば、分割割繊可能な複合型繊維を使用し、この複合
型繊維を集積させてなる繊維ウェブに、水流処理等の分
割割繊処理を施し、極細繊維を生成させる方法が知られ
ている。しかし、この方法によると、得られた不織布の
表面及び裏面にも極細繊維が生成し、表面が毛羽立ちや
すく、また表面の耐摩耗性も悪いという欠点があった。
表面の毛羽立ちを抑え、且つ表面の耐摩耗性を向上させ
るためには、不織布表面に、結合剤をスプレー等の手段
で塗布することが考えられる。しかし、結合剤によって
不織布全体が硬化し、柔軟性が低下するという新たな欠
点を惹起するに到る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、分
割割繊可能で且つ感熱接着性の複合型長繊維を使用し、
ある特定の方法で、この複合型長繊維が集積されてなる
繊維ウェブを処理することにより、中間層においては分
割割繊された極細繊維が集積されると共に相互間が交絡
されており、表裏層においては複合型長繊維相互間が感
熱接着によって結合されてなる、表面が毛羽立ちにくく
且つ表面の耐摩耗性に優れ、また嵩高で保温性に富む不
織布を提供しようというものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、表面
層,中間層,裏面層の順に配設された三層構造不織布で
あって、前記表面層及び前記裏面層は、熱可塑性重合体
成分Aと、該成分Aに対し非相溶性であり、且つ該成分
Aの融点よりも30〜180℃高い融点を持つ熱可塑性重合
体成分Bとが複合されると共に、少なくとも該成分Aが
その表面に露出している複合型長繊維で構成され、更に
該複合型長繊維相互間は該成分Aの融着によって結合さ
れており、前記中間層は、該複合型長繊維が割繊されて
生成する、該成分Aのみよりなる繊維A及び該成分Bの
みよりなる繊維Bを含有しており、該繊維Aは実質的に
融着されずに該繊維Bと交絡しており、その結果、前記
複合型長繊維は、その長手方向において、前記表面層及
び/又は前記裏面層に存在して相互に結合されている部
位と、前記中間層に存在して割繊されている部位とを具
備することを特徴とする三層構造不織布及びその製造方
法に関するものである。
【0007】本発明に係る三層構造不織布は、表面層,
中間層,裏面層の順で配設されてなるものである。この
各層は、積層されて形成されるものではなく、一旦形成
された繊維ウェブに処理を施して、各層を形成する繊維
の状態を異ならせ、その結果、物性的に各層が区別され
るものである。従って、表面層及び/又は裏面層を形成
する繊維も、中間層を形成する繊維も、同一の複合型長
繊維に由来するものである。
【0008】表面層及び裏面層は、以下に示すような複
合型長繊維で構成されている。即ち、この複合型長繊維
は、熱可塑性重合体成分Aと、成分Aに対し非相溶性で
あり、且つ成分Aの融点よりも30〜180℃高い融点を持
つ熱可塑性重合体成分Bとが複合されたものである。そ
して、成分Aは、少なくとも複合型長繊維の表面に露出
しているものである。成分Aとして熱可塑性を示す重合
体を使用する理由は、成分Aの溶融又は軟化によって複
合型長繊維相互間を結合させるためである。従って、ま
た成分Aは、少なくともその一部が、複合型長繊維の表
面に露出していなければならない。成分Aが露出してい
ないと、その融着によって、他の複合型長繊維と結合さ
せることができないからである。更に、成分Bは成分A
よりも、その融点が30〜180℃高く、好ましくは40〜160
℃高く、最も好ましくは50〜140℃高いものである。両
成分の融点差が30℃未満であると、成分Aを溶融又は軟
化させた場合、成分Bも軟化若しくは劣化しやすくなっ
て、複合型長繊維の繊維形態が壊れる等ということが起
こり、表面層及び裏面層の機械的強度が低下するためで
ある。逆に、両成分の融点差が180℃を超えると、複合
型長繊維自体を複合溶融紡糸法で製造するのが困難にな
る。なお、成分AやBの融点は、以下の方法で測定した
ものである。即ち、パーキンエルマー社製DSC−2C
型を用い、昇温速度20℃/分で、室温より昇温して得ら
れる融解吸収曲線の極値を与える温度を融点とした。ま
た、成分Aと成分Bとは、非相溶性の重合体でなければ
ならない。これは、成分Aと成分Bとの親和性を低下さ
せ、成分Aと成分Bとを剥離しやすくするためである。
即ち、複合型長繊維に分割割繊の機能を付与するためで
ある。
【0009】成分Aと成分Bの具体的な組み合わせ(成
分A/成分B)としては、ポリアミド系重合体/ポリエ
ステル系重合体,ポリオレフィン系重合体/ポリエステ
ル系重合体,ポリオレフィン系重合体/ポリアミド系重
合体等を用いることができる。そして、ポリエステル系
重合体としては、ポリエチレンテレフタレート,ポリブ
チレンテレフタレート,或いはこれらを主成分とする共
重合ポリエステル等を使用することができる。ポリアミ
ド系重合体としては、ナイロン6,ナイロン46,ナイ
ロン66,ナイロン610,或いはこれらを主成分とす
る共重合ナイロン等を使用することができる。ポリオレ
フィン系重合体としては、ポリプロピレン,高密度ポリ
エチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−プロピ
レン共重合体等を使用することができる。なお、成分A
又は成分B中には、所望に応じて、潤滑剤,顔料,艶消
し剤,熱安定剤,耐光剤,紫外線吸収剤,制電剤,導電
剤,蓄熱剤等が添加されていてもよい。
【0010】複合型長繊維における成分A及び成分Bの
複合の仕方としては、上記した要件を満足するものであ
れば、どのような形態であっても差し支えない。具体的
には、複合型長繊維の横断面が図1〜図4に示した形態
になるように、複合するのが好ましい。成分Aは少なく
とも複合型長繊維の表面に露出している必要があり、ま
た成分A及び成分B共に複合型長繊維の表面に露出して
いてもよい。図中、斜線部で示した部分が成分Bであ
り、散点部が成分Aである。なお、図2中、斜線も散点
も施されていない中心部は、空洞であってもよく(中空
繊維)、また成分A及び成分B以外の重合体成分で形成
されていてもよい。図で示した複合型長繊維は、断面が
ほぼ円形であって点対称型となっているが、これに限ら
れることはなく、異形断面で非対称型のものであっても
よいことは勿論である。成分Aと成分Bを複合する際の
量的割合も、任意に決定しうる事項であるが、一般的
に、成分A/成分B=20〜80/80〜20(重量部)であ
る。成分Aが20重量部未満になると、融着による複合型
長繊維相互間の結合力が低下し、表面層及び裏面層にお
ける毛羽立ちの防止や耐摩耗性の向上が十分でなくなる
傾向が生じる。逆に、成分Aが80重量部を超えると、複
合型長繊維相互間の融着が激しくなって、得られる不織
布の柔軟性が低下する傾向が生じる。
【0011】表面層及び裏面層は、以上の如き複合型長
繊維で構成されており、そして成分Aの融着によって、
相互間が結合されているものである。従って、表面層及
び裏面層においては、毛羽立ちにくく、また耐摩耗性が
良好なのである。本発明において使用する複合型長繊維
の繊度は、任意に決定しうる事項であるが、好ましくは
2〜12デニールであるのが良い。複合型長繊維の繊度が2
デニール未満であると、複合型長繊維が細すぎて製造し
にくくなる傾向が生じる。逆に、繊度が12デニールを超
えると、複合型長繊維の剛性が高くなり、表面層及び裏
面層において柔軟性が低下する傾向が生じる。また、複
合型長繊維が太すぎるため、低目付で地合いの良好な表
面層及び裏面層が得られにくくなる傾向が生じる。
【0012】一方、中間層においては、前記した複合型
長繊維が割繊されて生成する、成分Aのみよりなる繊維
A及び成分Bのみよりなる繊維Bが含有されている。勿
論、中間層には、複合型長繊維が一部割繊せず、複合型
長繊維が当初の形態のままとなっている部位が一部存在
していてもよい。また、この中間層において、繊維A及
び繊維Bは、相互に交絡している。交絡は、繊維A及び
Bの自発的な捩れや曲がりによる相互間の絡み合いを意
味するものではなく、ニードルパンチ法等によって相互
間が積極的に強固に絡み合っていることを意味するもの
である。本発明において、中間層の交絡個数は、0.01〜
20個/cm2であるのが好ましく、特に0.02〜10個/cm2
あるのがより好ましく、更に0.05〜5個/cm2であるのが
最も好ましい。交絡個数が0.01個/cm2未満であると、
中間層の剥離強力が向上せず、中間層が剥離しやすくな
り、したがって表面層と裏面層とが剥離しやすくなる傾
向が生じる。逆に、交絡個数が20個/cm2を超えると、
繊維A及び繊維B間の空隙が減少して、中間層の嵩高性
や柔軟性が低下する傾向が生じる。ここで、交絡個数
は、以下の方法で測定したものである。即ち、任意の中
間層を採取し、単位面積中に存在する交絡個数を数え
て、1cm2当たりの交絡個数を求め、この操作を5回繰り
返して、その平均値を交絡個数としたものである。ま
た、表面層及び裏面層においては成分Aは、溶融又は軟
化して融着し、複合型長繊維相互間を結合しているので
あるが、中間層においては、成分Aよりなる繊維Aは実
質的に融着しておらず、繊維Aと繊維Bとは相互に結合
していないものである。このように、繊維A及び繊維B
が結合していないことによって、中間層の嵩高性が保持
されるのである。
【0013】複合型長繊維の割繊によって生成した、成
分Aのみよりなる繊維Aの繊度としては、0.3〜2デニー
ルであるのが好ましい。一方、成分Bのみよりなる繊維
Bの繊度としては、0.1〜0.8デニールであるのが好まし
い。繊維Aと繊維Bの繊度は、同一であってもよいが、
繊維Aの方が相対的に太デニールである場合が多い。こ
れは、図1又は図4で示したような複合型長繊維、即ち
成分Bは複合型長繊維の表面に多数分割されて配置され
ているのに対し、成分Aは複合型長繊維の中心部に分割
されずに配置されている複合型長繊維を使用するような
場合があるからである。
【0014】複合型長繊維の繊維長は無限大と言える程
度の長いものであり、したがって、前述したようにこの
複合型長繊維は表面層及び/又は裏面層と中間層に跨っ
ている。即ち、表面層及び裏面層においては、複合型長
繊維は成分Aの融着によって相互に結合しており、この
複合型長繊維が中間層に亙ると分割割繊されているので
ある。このように、本発明に係る三層構造不織布は、多
数の複合型長繊維が集積されてなり、そして各複合型長
繊維は、その長手方向において、表面層及び裏面層に存
在する部位は成分Aの融着によって相互に結合されてお
り、中間層に存在する部位は分割割繊されて繊維A及び
繊維Bを生成しているのである。従って、本発明に係る
三層構造不織布は、表面層,中間層,裏面層が単なる積
層によって形成されたものではなく、構成繊維である各
複合型長繊維の形態を異ならせることによって、表面
層,中間層,裏面層を形成するものなのである。
【0015】本発明に係る三層構造不織布は、全体とし
て即ち表面層と中間層と裏面層とを含めて、その嵩密度
が0.08g/cm3以下であるのが好ましく、また0.06g/c
m3以下であるのがより好ましく、0.04g/cm3以下であ
るのが最も好ましい。嵩密度が0.08g/cm3を超える
と、嵩高性及び保温性が低下する傾向が生じる。なお、
嵩密度は、以下の如き方法によって測定されるものであ
る。即ち、試料幅10cm,試料長10cmの試料片を計5個準
備し、各試料片ごとに目付(g/m2)を測定した後、
大栄科学精機製作所製の厚さ測定器を用いて、4.5g/c
m2の荷重を印加し、10秒放置した後の厚さ(mm)を測定
し、次式により5個の試料片の各々の見掛け密度を算出
し、その平均値を嵩密度とした。見掛け密度(g/c
m3)=[目付(g/m2)]/[厚さ(mm)]/1000で
ある。また、本発明に係る三層構造不織布の全体として
の目付は、任意に決定しうる事項であるが、一般的に
は、15〜500g/m2程度である。このうち比較的低目付
の三層構造不織布は、ベッドシーツ,枕カバー等の寝具
類、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の衛生材料の吸
収材、家庭用又は工業用の油吸着材等の用途に好適に使
用される。また、比較的高目付の三層構造不織布は、フ
ィルター材、寝袋や寝具の中入れ綿、増量材、カーペッ
トや人工皮革用基布、園芸や苗床の肥料吸収材、建築物
やその壁内の保温材等の用途に好適に使用される。
【0016】本発明に係る三層構造不織布は、例えば、
以下のような製造方法によって製造することができる。
まず、前記したポリオレフィン系重合体の如き熱可塑性
重合体成分Aを準備する。そして、成分Aに対し非相溶
性であり、成分Aの融点よりも30〜180℃高い融点を持
つ熱可塑性重合体成分Bを準備する。そして、両成分A
及びBを、複合紡糸口金を備えた溶融紡糸装置に導入
し、従来公知の複合溶融紡糸法によって複合型長繊維を
得る。複合紡糸口金に成分A及びBを導入する際、少な
くとも成分Aの一部が、得られる複合型長繊維の表面に
露出するようにしなければならない。成分A及び成分B
を溶融紡糸するには、各々の融点よりも20〜60℃高い温
度に加熱してやればよい。従って、成分Aと成分Bの融
点差が180℃を超えると、溶融状態の成分Bの熱的影響
によって、成分Aがその融点よりも極めて高い温度に加
熱され、成分Aが分解したり劣化する恐れがある。紡糸
温度が上記した温度範囲よりも低いと、紡糸速度を高速
度にしにくくなり、また細デニールの複合型長繊維が得
られにくくなる。逆に、紡糸温度が上記した温度範囲を
超えて高いと、成分A及び成分Bの流動性が大きくなっ
て、溶融紡糸時に糸切れが多発する傾向が生じる。糸切
れが起こると、切断端部が玉状の塊となり、得られる不
織布中にこの塊が混在し、不織布の品位が低下する傾向
が生じる。また、成分A及びBの流動性が大きくなる
と、紡糸孔付近が汚れ易くなって、一定時間毎に紡糸孔
の洗浄が必要となり、操業性が低下する傾向が生じる。
【0017】溶融紡糸した複合型長繊維は、その後冷却
され、エアーサッカーに導入される。エアーサッカー
は、通常エアージェットとも呼ばれ、エアーの吸引と送
り出し作用により、繊維の搬送と繊維の延伸を行なわせ
るものである。エアーサッカーに導入された複合型長繊
維群は、延伸されながら、エアーサッカーの出口に搬送
される。そして、エアーサッカーの出口に設けられた開
繊装置によって、複合型長繊維群を開繊する。開繊方法
としては、従来公知の方法が採用され、例えばコロナ放
電法や摩擦帯電法等が採用される。そして、この開繊さ
れた複合型長繊維は、移動する金網製等の捕集コンベア
上に集積され、繊維ウェブが形成される。
【0018】次いで、所望により、繊維ウェブに交絡処
理が施される。交絡処理としては、従来公知のニードル
パンチ法や水流交絡法等が採用される。この交絡処理に
よって、複合型長繊維相互間が強固に交絡されるのであ
る。交絡処理においては、複合型長繊維にある程度の外
力を付与する必要があり、この外力によって複合型長繊
維が分割割繊される恐れがある。本発明においては、繊
維ウェブの交絡処理時に、複合型長繊維の分割割繊が生
じても差し支えないが、一般的にはあまり分割割繊が生
じない方が好ましい。この理由は、本発明では中間層の
みにおいて複合型長繊維を分割割繊させるのが好まし
く、表面層及び裏面層においては、複合型長繊維を分割
割繊させない方が表面の毛羽立ちや耐摩耗性の向上が図
れるからである。従って、ニードルパンチ等の交絡処理
を部分的に施すか、或いはニードルパンチ等の衝撃力
(外力)を比較的低くして交絡処理を施すのが好まし
い。また、この交絡処理は、後述するように、繊維フリ
ースを作成してから行なってもよい。繊維フリースに交
絡処理を施す場合には、表面層及び裏面層共に複合型長
繊維相互間が結合されており、表面層及び裏面層におい
て複合型長繊維に割繊が生じることは少ない。なお、本
発明においては、複合型長繊維相互間を交絡しても、そ
の後中間層における複合型長繊維は分割割繊されるの
で、結果的に分割割繊された繊維A及び繊維B相互間が
交絡されることになる。
【0019】交絡処理を施した繊維ウェブ、又は交絡処
理を施さないままの繊維ウェブの表裏面に温度、及び所
望により圧力を与えて、表裏面に存在する複合型長繊維
の成分Aのみを軟化又は溶融させる。そして、この軟化
又は溶融した成分Aの融着によって、表裏面に存在する
複合型長繊維相互間を結合させるのである。なお、交絡
処理を施したため、複合型長繊維が若干分割割繊されて
いる場合には、成分Aの融着によって、繊維B若しくは
複合型長繊維相互間を結合させるのである。繊維ウェブ
の表裏面に温度を与える方法としては、表裏面に加熱ロ
ールを当接することによって行なうことができる。例え
ば、一対の加熱されたスチールロール間に繊維ウェブを
導入することによって行なうこともできるし、また加熱
されたスチールロールとコットンロール間にまず導入
し、その後コットンロールと加熱されたスチールロール
間に繊維ウェブを導入してもよい。後者の方法は、最初
のスチールロールとコットンロールによって繊維ウェブ
の表面のみに温度が与えられ、次のコットンロールとス
チールロールによって繊維ウェブの裏面のみに温度が与
えられるものである。この方法の方が、中間層に存在す
る成分Aを軟化又は溶融させるような温度が与えられに
くいため、好ましいものである。即ち、前者の方法の如
く、一対の加熱されたスチールロール間に繊維ウェブを
導入すると、表裏面に同時に高温度が与えられるため、
中間層に熱が伝導しやすく、中間層において成分Aの融
着による複合型長繊維相互間の結合が生じる恐れがあ
る。
【0020】スチールロールとコットンロールを使用す
る場合、その線圧は20〜300kg/cmであるのが好まし
い。線圧が20kg/cm未満であると、表面層又は裏面層に
熱のみが与えられ十分な圧力が与えられないので、表面
層又は裏面層の複合型長繊維が強固に結合しにくくな
る。また、線圧が300kg/cmを超えると、その圧力によ
って中間層に存在する複合型長繊維相互間に結合が生じ
る恐れがある。また、スチールロールとコットンロール
とを使用する場合、スチールロールの加熱温度は、成分
Aの軟化点以上で成分Aの融点未満の温度にするのが好
ましい。スチールロールの加熱温度が成分Aの軟化点未
満では、成分Aの融着による複合型長繊維相互間の結合
が生じない。逆に、スチールロールの加熱温度が成分A
の融点を超えると、中間層における複合型長繊維の成分
Aも軟化する恐れがあり、中間層の複合型長繊維が結合
する恐れが生じる。
【0021】繊維ウェブの表裏面に温度を与える別の方
法としては、繊維ウェブの表裏面に輻射熱を与える方
法、或いは繊維ウェブの表裏面に熱風を吹き付ける方法
がある。このような方法を採用する場合は、輻射熱や熱
風が中間層に施されないように注意すると共に、その温
度は成分Aの融点以上で成分Bの融点未満とするのが好
ましい。このような方法の場合、繊維ウェブの表裏面に
圧力が施されないため、成分Aを軟化させただけでは複
合型長繊維相互間を強固に結合させることができず、成
分Aを溶融させて複合型長繊維相互間を強固に結合させ
るのである。なお、繊維ウェブの表裏面に温度を与える
際、前記したスチールロール等による方法と、この輻射
熱又は熱風による方法とを併用してもよいことは勿論で
ある。
【0022】以上のようにして、表裏面において複合型
長繊維相互間が結合され、中間層においては複合型長繊
維が集積されただけで相互間が結合していない繊維フリ
ースを得る。この繊維フリースを得た後、中間層の複合
型長繊維相互間を交絡させてもよい。この場合、ニード
ル針や水流等が表面層及び裏面層を貫通することにな
り、表面層及び裏面層における複合型長繊維相互間の結
合を破壊する恐れがある。従って、その破壊をなるべく
抑えるため、部分的にニードルパンチ等を施すのが好ま
しい。そして、中間層の複合型長繊維が交絡されていな
い繊維フリース、又は中間層の複合型長繊維が交絡され
ている繊維フリースに揉み加工を施す。揉み加工の方法
としては、例えば、繊維フリースをロールに導入する
際、導入速度を導出速度よりも遅くして、繊維フリース
を屈曲させる座屈圧縮法、繊維フリースに高圧液体流を
施す高圧液体流処理法を適用することができる。また、
この方法以外にも、複合型長繊維を分割割繊させるよう
な揉み作用が、繊維フリースに加えられる方法であれ
ば、任意の方法を適用することができる。座屈圧縮法を
採用する場合、マイクレックス社のマイクロクレーパー
機や上野山機工社製のカムフィット機等を用いるのが好
ましい。また、高圧液体流処理法を採用する場合、一般
的に使用されている高圧液流染色機を用いるのが好まし
い。高圧液体流処理法の場合、繊維フリースが水を吸収
するため、処理後乾燥する必要があるが、座屈圧縮法の
場合、このようなことがないため、乾燥工程が不要とな
り、経済的に有利である。
【0023】以上の如き揉み加工によって、中間層にお
ける複合型長繊維が分割割繊され、成分Aのみよりなる
繊維A、及び成分Bのみよりなる繊維Bが生成されるの
である。複合型長繊維の繊度よりも細い繊度の、繊維A
及び繊維Bが生成することによって、中間層は柔軟性が
向上し、且つ嵩高となって保温性も向上するのである。
一方、表裏層に存在する複合型長繊維は、相互間が成分
Aの融着によって結合されている。なお、この揉み加工
を終えた後に、中間層に存在する繊維A及び繊維Bを交
絡させてもよい。この場合、繊維フリースに交絡処理を
施すときと同様に、ニードル針や水流等が表面層及び裏
面層を貫通することになり、表面層及び裏面層における
複合型長繊維相互間の結合を破壊する恐れがある。従っ
て、その破壊をなるべく抑えるため、部分的にニードル
パンチ等を施すのが好ましい。このようにして得られた
不織布は、表面層,中間層,裏面層よりなる三層構造と
なっており、表裏層においては複合型長繊維が成分Aの
融着によって相互に結合されており、中間層においては
複合型長繊維の分割割繊によって生成した繊維A及び繊
維Bが結合することなく交絡及び集積しているのであ
る。
【0024】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳しく説
明する。なお、実施例中に示した物性値の測定方法は次
のとおりである。 (1)メルトインデックス値(以下、単に「MI値」と略
す。):ASTM D1238(E)に記載の方法によ
り測定した。 (2)不織布の引張強力:JIS L−1096に記載の
ストリップ法に準じ、試料幅5cm,試料長さ10cmの試料
片を10個準備し、引張速度10cm/分の条件で最大強力を
個々に測定し、その平均値を100g/m2の目付に換算し
た値を引張強力とした。 (3)不織布の引張伸度:引張強力を測定する際、最大強
力を示したときの伸度を引張伸度とした。 (4)不織布の圧縮剛軟度:まず、不織布の縦方向が試料
幅となるようにし、不織布の横方向が試料長となるよう
にして、試料幅50mm,試料長100mmの試料片を5個準備す
る。ここで、不織布の縦方向とは、不織布製造時におけ
る機械の配列方向のことであり、不織布の横方向とは、
縦方向と直交する方向のことである。そして、この試料
片を横方向(試料長方向)に曲げて、高さ50mm,周長約
100mmの円筒体を作成する。この円筒体を、テンシロン
型引張試験機UTM-4-1-100を用いて、50mm/分の圧縮速
度で円筒体を高さ方向(試料幅の方向、即ち不織布の縦
方向)に圧縮し、その最大荷重時の応力を測定した。こ
の測定を5個の円筒体について行ない、その平均値を圧
縮剛軟度とした。圧縮剛軟度は、不織布の柔軟性を表わ
すものであり、その値が小さいほど柔軟性に富むもので
ある。
【0025】実施例1 熱可塑性重合体成分Aとして、融点が132℃,MI値が2
0g/10分,密度が0.955g/cm3,Q値(重量平均分子
量/数平均分子量)が5.0である高密度ポリエチレンを
準備した。一方、熱可塑性重合体成分Bとして、融点が
256℃,テトラクロルエタンとフェノールとの等量混合
溶媒で溶解した時の20℃における相対粘度が1.38である
ポリエチレンテレフタレートを準備した。そして、成分
A及び成分Bを用いて、複合溶融紡糸した。この際、ノ
ズル口金孔数162個の紡糸口金を備え、且つ錘数4個建て
の複合紡糸機台を使用した。そして、単孔吐出量が1.30
g/分であって、且つ成分Aの吐出量が0.65g/分で成
分Bの吐出量が0.65g/分となるようにして複合溶融紡
糸した。なお、紡糸温度は、成分Aについては250℃と
し、成分Bについては290℃とした。
【0026】複合溶融紡糸した後、1錘当たり6個のエア
ーサッカーを通して、複合型長繊維を牽引した。このよ
うにして得られた複合型長繊維は、その横断面が図1に
示したような形態であり、その繊度が2.95デニールであ
った。従って、換算紡糸速度は3950m/分であった。引
き続いて、牽引した複合型長繊維群をコロナ放電により
開繊し、5m/分の速度で移動するコンベアーネット上
に堆積して繊維ウェブを形成させた。そして、この繊維
ウェブをニードルパンチ機に導入して、一般に使用され
ているパンチ数よりも少ないパンチ数で交絡処理を行な
った。この結果、繊維ウェブの交絡個数は5個/cm2であ
った。交絡処理した後の繊維ウェブを、120℃に加熱さ
れたスチールロールと常温のコットンロールの間に導入
し、引き続いて常温のコットンロールと120℃に加熱さ
れたスチールロールの間に導入した。なお、スチールロ
ールとコットンロール間の線圧は、いずれも100kg/cm
とした。このようにして、スチールロールに当接した繊
維ウェブの表面及び裏面を加熱処理し、繊維ウェブの表
面及び裏面に存在する複合型長繊維の成分A(ポリエチ
レン)を融着させて、複合型長繊維相互間を結合させ
た。
【0027】以上のようにして、表面層及び裏面層にお
いては、複合型長繊維相互間が結合され、中間層におい
ては複合型長繊維が相互に結合されずに交絡及び集積さ
れた繊維フリースを得た。この繊維フリースに、図5に
示した如き装置を使用して揉み加工を行なった。この装
置は、マイクレックス社製のマイクロクレーパーIIであ
り、その条件は以下の如く設定した。即ち、加工速度10
m/分,供給ロール1,2のニップ圧力6kg/cm2,上部
リターダー3の圧力3kg/cm2,供給ロール1,2の温度
50℃,下部リターダー4の圧力5kg/cm2,供給ロール
1,2間の接圧中心点と上部リターダー3の距離5mm,
供給ロール1,2間の接圧中心点と下部リターダー4の
距離10mmとした。なお、図5中、5は繊維フリースであ
り、6は得られた三層構造不織布である。
【0028】得られた三層構造不織布は、中間層におい
て、揉み加工によって複合型長繊維の分割割繊により生
成した0.19デニールの極細のポリエチレンテレフタレー
ト繊維と1.5デニールのポリエチレン繊維とが混在して
集積されており、表面層及び裏面層において、複合型長
繊維中のポリエチレンの融着によって、複合型長繊維相
互間が結合されていた。従って、この三層構造不織布
は、極細繊維の集積体を、繊維間が結合された不織状薄
膜で包んだものであり、下記に示すような物性を持つも
のであった。従って、嵩高で柔軟性に優れ、且つ表裏面
の毛羽立ちも少なく、また耐摩耗性にも優れ、詰め綿シ
ートとして使用した場合、ハンドリング性に優れたもの
であった。 記 目付 :95g/m2 引張強力 :11.2kg/5cm 引張伸度 :86% 圧縮剛軟度:1g 嵩密度 :0.018g/cm3
【0029】実施例2 熱可塑性重合体成分Aとして、融点が225℃,96%の濃
硫酸による25℃で測定した相対粘度が2.60であるナイロ
ン6を準備した。一方、熱可塑性重合体成分Bとして、
実施例1で使用したのと同様のポリエチレンテレフタレ
ートを準備した。そして、成分A及び成分Bを用いて、
複合溶融紡糸した。この際、紡糸孔として図2に示すよ
うな断面を持つ複合型長繊維が得られるような、16分割
用中空放射型複合紡糸孔を使用し、成分Aの紡糸温度を
265℃とした以外は、実施例1と同様にして複合溶融紡
糸を行なった。
【0030】そして、実施例1と同様にしてエアーサッ
カーで牽引し、その横断面が図2に示したような形態で
あり、その繊度が3.0デニールの複合型長繊維を得た。
なお、換算紡糸速度は4050m/分であった。引き続い
て、実施例1と同様にして繊維ウェブを形成させ、交絡
個数が3個/cm2となるようにニードルパンチし且つスチ
ールロールの温度を200℃とした以外は実施例1と同様
にして繊維フリースを得た。この繊維フリースに、実施
例1と同様の揉み加工を施して三層構造不織布を得た。
【0031】得られた三層構造不織布は、中間層におい
て、揉み加工によって複合型長繊維の分割割繊により生
成した0.2デニールの極細のポリエチレンテレフタレー
ト繊維とナイロン6繊維とが混在して集積されており、
表面層及び裏面層において、複合型長繊維中のナイロン
6の融着によって、複合型長繊維相互間が結合されてい
た。従って、この三層構造不織布は、極細繊維の集積体
を、繊維間が結合された不織状薄膜で包んだものであ
り、下記に示すような物性を持つものであった。従っ
て、嵩高で柔軟性に優れ、且つ表裏面の毛羽立ちも少な
く、また耐摩耗性にも優れ、詰め綿シートとして使用し
た場合、ハンドリング性に優れたものであった。 記 目付 :100g/m2 引張強力 :16.2kg/5cm 引張伸度 :82% 圧縮剛軟度:1g 嵩密度 :0.025g/cm3
【0032】実施例3 実施例2で得られた繊維フリースに、ロコ型液流染色機
(北陸加工機製)を用いて揉み加工を施した。そして、
この揉み加工と同時に、繊維フリース中のナイロン6成
分及び揉み加工等によって生成するナイロン6極細繊維
に染色を施した。染色条件は、酸性染料としてBlue FFB
(住友化学工業株式会社製)を0.2%o.w.f.,均染剤と
してミグレガールWA-10(センカ製)0.5g/l,酢酸を
PH5となるように溶解させた2000lの水溶液を用いて行
なった。また、繊維フリースに液流を施す条件は、液温
100℃,繊維フリースの速度100m/分,ノズル圧力3kg
/cm2,時間1時間とした。ロコ型液流染色機で揉み加工
及び染色加工を行なった後、脱水,乾燥して三層構造不
織布を得た。
【0033】得られた三層構造不織布は、中間層におい
て、揉み加工によって複合型長繊維の分割割繊により生
成した0.2デニールの極細のナイロン6繊維とポリエチ
レンテレフタレート繊維とが混在して集積されており、
表面層及び裏面層において、複合型長繊維中のナイロン
6の融着によって、複合型長繊維相互間が結合されてい
た。従って、この三層構造不織布は、極細繊維の集積体
を、繊維間が結合された不織状薄膜で包んだものであ
り、下記に示すような物性を持つものであった。更に、
全体が青色に染色されていた。従って、嵩高で柔軟性に
優れ、且つ表裏面の毛羽立ちも少なく、また耐摩耗性に
も優れ、枕カバーやベッドシーツとして好適に使用しう
るものであった。 記 目付 :121g/m2 引張強力 :16.1kg/5cm 引張伸度 :85% 圧縮剛軟度:5g 嵩密度 :0.024g/cm3
【0034】比較例1 実施例1と同様の方法で、繊維ウェブ(交絡処理を施し
ていないもの)を得た。そして、この繊維ウェブを、凹
凸ロールと平滑ロールとからなるエンボス加工機に導入
した。エンボス条件は、凹凸ロールの凸部の総面積が、
ロール表面積の13%であり、凹凸ロールの加熱温度が12
5℃であり、凹凸ロールと平滑ロール間の線圧を50kg/c
mとした。このようにして、間隔を置いた融着区域を持
つ繊維フリースを得た。融着区域においては、表面から
裏面まで、即ち中間層においても、ポリエチレンの融着
によって複合型長繊維相互間が結合していた。この繊維
フリースに、実施例1と同様の条件で揉み加工を施し
て、不織布を得た。
【0035】この不織布は、融着区域と非融着区域とを
持つものであり、そして非融着区域における複合型長繊
維は分割割繊されて極細のポリエチレン繊維及びポリエ
チレンテレフタレート繊維が生成していた。しかしなが
ら、非融着区域の表面及び裏面において繊維相互間が結
合されていないため、この区域で毛羽立ちが激しく、ま
た耐摩耗性に劣るものであった。また、融着区域におい
ては、不織布の表面から裏面に到るまで、複合型長繊維
相互間が結合されているため、この区域の嵩高性及び柔
軟性は低く、全体としても嵩高性や柔軟性に劣るもので
あった。従って、この不織布を詰め綿シートとして使用
するには、不適当であった。なお、この不織布の物性値
は、下記のとおりであった。 記 目付 :100g/m2 引張強力 :30.8kg/5cm 引張伸度 :51% 圧縮剛軟度:11g 嵩密度 :0.136g/cm3
【0036】実施例4 繊維ウェブ中の交絡個数が50個/cm2となるようにニー
ドルパンチを施す以外は、実施例1と同様にして三層構
造不織布を得た。得られた三層構造不織布は、中間層に
おいて、揉み加工によって複合型長繊維の分割割繊によ
り生成した0.19デニールの極細のポリエチレンテレフタ
レート繊維と1.5デニールのポリエチレン繊維とが混在
して集積されており、表面層及び裏面層において、複合
型長繊維中のポリエチレンの融着によって、複合型長繊
維相互間が結合されていた。従って、この三層構造不織
布は、極細繊維の集積体を、繊維間が結合された不織状
薄膜で包んだものであり、下記に示すような物性を持つ
ものであった。但し、中間層における交絡個数が多いた
め、嵩高性や柔軟性の点で劣っており、詰め綿シートと
しては不適当なものであった。しかし、フィルター材や
人工皮革用基布等としては、好適に使用しうるものであ
った。 記 目付 :90g/m2 引張強力 :18.0kg/5cm 引張伸度 :85% 圧縮剛軟度:38g 嵩密度 :0.162g/cm3
【0037】
【作用及び発明の効果】本発明において用いる、ある特
定の複合型長繊維は、感熱接着性繊維としても分割型繊
維としても機能するものである。そして、この機能に着
目して、複合型長繊維が集積されてなる繊維ウェブの表
面層及び裏面層においては、感熱接着性を発現させて、
複合型長繊維相互間を結合し、繊維ウェブの中間層にお
いては、分割割繊の機能を発現させて、複合型長繊維か
ら極細の繊維を生成させるのである。従って、得られる
不織布は、表面層,中間層,裏面層の三層構造となって
おり、表面層及び裏面層においては、複合型長繊維相互
間が結合されているため、毛羽立ちが生じにくく、且つ
耐摩耗性にも優れているという効果を奏する。また、中
間層においては、極細繊維が集積されているため、嵩高
性に優れると共に保温性にも優れ、且つ柔軟性にも優れ
るという効果を奏する。従って、この三層構造不織布
は、毛羽立ちにくく、耐摩耗性に優れ、且つ柔軟性,嵩
高性,保温性に優れるという効果を奏するものである。
また、表面層及び/又は裏面層と中間層に存在する繊維
は、その状態は異なるものの、いずれも同一の複合型長
繊維に由来するものであり、複合型長繊維が表面層又は
裏面層から中間層に跨っている。しかも、中間層に存在
する繊維A及び繊維Bは交絡している。従って、表面層
と中間層、又は中間層と裏面層は、単なる貼合によるも
のではないため、層間剥離がしにくく、また中間層自体
も剥離しにくいものである。依って、本発明に係る三層
構造不織布は、良好に一体化されており、剥離が生じに
くいという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図2】本発明に使用する複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図3】本発明に使用する複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図4】本発明に使用する複合型長繊維の横断面の一例
を示した図である。
【図5】本発明において、揉み加工に使用する装置の一
例を拡大して示した側面図である。
【符号の説明】
5 繊維ウェブ 6 繊維フリース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層,中間層,裏面層の順に配設され
    た三層構造不織布であって、 前記表面層及び前記裏面層は、熱可塑性重合体成分A
    と、該成分Aに対し非相溶性であり、且つ該成分Aの融
    点よりも30〜180℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分
    Bとが複合されると共に、少なくとも該成分Aがその表
    面に露出している複合型長繊維で構成され、更に該複合
    型長繊維相互間は該成分Aの融着によって結合されてお
    り、 前記中間層は、該複合型長繊維が割繊されて生成する、
    該成分Aのみよりなる繊維A及び該成分Bのみよりなる
    繊維Bを含有しており、該繊維Aは実質的に融着されず
    に該繊維Bと交絡しており、 その結果、前記複合型長繊維は、その長手方向におい
    て、前記表面層及び/又は前記裏面層に存在して相互に
    結合されている部位と、前記中間層に存在して割繊され
    ている部位とを具備することを特徴とする三層構造不織
    布。
  2. 【請求項2】 複合型長繊維の繊度は2〜12デニールで
    あり、繊維Aの繊度は0.3〜2デニールであり、繊維Bの
    繊度は0.1〜0.8デニールである請求項1記載の三層構造
    不織布。
  3. 【請求項3】 全体の嵩密度が0.08g/cm3以下である
    請求項1記載の三層構造不織布。
  4. 【請求項4】 繊維Aと繊維Bとの交絡個数が0.01〜20
    個/cm2である請求項1記載の三層構造不織布。
  5. 【請求項5】 熱可塑性重合体成分Aと、該成分Aに対
    し非相溶性であり、且つ該成分Aの融点よりも30〜180
    ℃高い融点を持つ熱可塑性重合体成分Bとが複合される
    と共に、少なくとも該成分Aがその表面に露出している
    複合型長繊維を集積して繊維ウェブを形成する工程と、 該繊維ウェブの表裏面に該成分Aのみが軟化又は溶融す
    る温度を与えることによって、該繊維ウェブの表裏面の
    みにおいて該成分Aを融着させて該複合型長繊維相互間
    が結合された繊維フリースを得る工程と、 該繊維フリースに揉み加工を施すことにより、該繊維フ
    リースの表裏面を除く中間層に存在する、相互に結合さ
    れていない該複合型長繊維を割繊して、成分Aのみより
    繊維A及び成分Bのみよりなる繊維Bを生成させる
    工程と、 該繊維ウェブ又は該繊維フリースに交絡処理を施すこと
    によって、該複合型長繊維相互間、又は該繊維Aと該繊
    維Bの相互間を交絡させる工程と、 を具備することを特徴とする三層構造不織布の製造方
    法。
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