JPH10195749A - 積層不織布およびその製造方法 - Google Patents

積層不織布およびその製造方法

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JPH10195749A
JPH10195749A JP9314148A JP31414897A JPH10195749A JP H10195749 A JPH10195749 A JP H10195749A JP 9314148 A JP9314148 A JP 9314148A JP 31414897 A JP31414897 A JP 31414897A JP H10195749 A JPH10195749 A JP H10195749A
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long
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web layer
laminated
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JP9314148A
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English (en)
Inventor
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
Nobuo Noguchi
信夫 野口
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的特性および柔軟性に優れ、伸縮性を有
し、しかも低コストで製造できる不織布を提供する。 【解決手段】 長繊維不織ウエブ層の少なくとも片面に
合成短繊維不織ウエブ層が積層されてなる積層不織布で
ある。長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、潜在捲
縮能を有してその潜在捲縮が顕在化されている。合成短
繊維不織ウエブ層を構成する合成短繊維どうしが互いに
三次元的交絡を有するとともに、長繊維と合成短繊維と
が相互に三次元的交絡を有して、全体として一体化され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層不織布およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、合成繊維からなる伸縮性不織
布が提案されている。たとえば、特開昭63−2896
0号公報では、潜在捲縮を有する短繊維からなる不織ウ
エブに高圧水流により交絡を施した後、乾熱処理を施し
て、潜在捲縮の顕在化により伸縮性不織布を得ることが
提案されている。しかしながら、この伸縮性不織布は、
短繊維のみからなる不織布であり、伸縮性に優れるもの
の機械的強力に乏しいという問題がある。
【0003】また、特開平2−91217号公報には、
合成繊維からなる短繊維にニードルパンチングを施すこ
とにより不織布を作成した後、乾熱処理を施して潜在捲
縮の顕在化を行なわせることで、捲縮を発現させる方法
が提案されている。しかしながら、この方法では、不織
布の形成がニードルパンチングによるものであり、この
不織布の機械的強力が弱いうえに低目付不織布が得られ
ないという欠点を有する。
【0004】一方、特開平4−153351号公報に
は、熱可塑性合成長繊維からなる不織ウエブ層にセルロ
ース系短繊維からなる不織ウエブ層を積層して積層不織
布を得ることが提案されている。しかしながら、この積
層不織布は、天然繊維や再生繊維からなるセルロース系
短繊維を材料とした不織ウエブ層を有することから、コ
スト高となるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決して、機械的特性および柔軟性に優れ、伸縮性を
有し、しかも低コストで製造できる不織布を提供するも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究の結果、本発明に到達したもの
である。すなわち本発明は、(1)長繊維不織ウエブ層
の少なくとも片面に合成短繊維不織ウエブ層が積層され
てなる積層不織布であって、前記長繊維不織ウエブ層を
構成する長繊維は、潜在捲縮能を有してその潜在捲縮が
顕在化されており、前記合成短繊維不織ウエブ層を構成
する合成短繊維どうしが互いに三次元的交絡を有すると
ともに、前記長繊維と合成短繊維とが相互に三次元的交
絡を有して、全体として一体化されていることを特徴と
する積層不織布と、(2)潜在捲縮能を有した長繊維か
らなる長繊維不織ウエブをスパンボンド法によって形成
し、この得られた長繊維不織ウエブに部分的に熱圧接処
理を施し、この部分的な熱圧接処理が施された長繊維不
織ウエブを、この不織ウエブを構成する長繊維の繊維構
成成分のうちの低融点成分の融点よりも低い温度で熱処
理することにより、この長繊維の潜在捲縮を顕在化させ
て収縮処理を施し、その後、この収縮の施された長繊維
不織ウエブの少なくとも片面に合成短繊維不織ウエブを
積層し、この積層不織ウエブ層に高圧液体流処理を施し
て、合成短繊維不織ウエブ層の合成短繊維どうしを互い
に三次元的に交絡させるとともに、前記長繊維と合成短
繊維とを相互に三次元的に交絡させて、前記積層不織ウ
エブ層を全体として一体化させることを特徴とする積層
不織布の製造方法と、を要旨とするものである。
【0007】このように本発明によると、長繊維不織ウ
エブを構成する長繊維糸条の潜在捲縮を顕在化すること
により、積層不織ウエブ層に収縮が発現されて、良好な
伸縮性を有する積層不織布が得られ、また長繊維不織ウ
エブ層に合成短繊維不織ウエブ層を積層したものである
ため、天然繊維や再生繊維などを含まず、合成繊維だけ
で構成されることになるため、低コストでの製造が可能
となる。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
本発明における長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維
は、例えば熱接着性、熱収縮性の異なる熱可塑性重合体
成分からなって潜在捲縮を有する複合長繊維で構成され
ることで、潜在捲縮性が付与される。
【0009】熱接着性、熱収縮性の異なる熱可塑性重合
体成分の組合せとしては、異種または同種の熱可塑性重
合体を目的に応じて選定すればよい。熱可塑性重合体は
いずれも繊維形成性を有し、通常の溶融紡糸装置を用い
て溶融紡出することができるものである。熱接着性、熱
収縮性の異なる熱可塑性重合体の組合せとしては、例え
ば、ポリエステル系とポリアミド系、ポリエステル系と
ポリオレフイン系、ポリアミド系とポリオレフイン系等
が挙げられる。ポリエステル系重合体としては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
あるいはそれらを主成分とする共重合ポリエステル等の
ポリエステルが挙げられる。ポリアミド系としては、ナ
イロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン61
0、あるいはそれらを主成分とする共重合ナイロン等が
挙げられる。ポリオレフイン系としては、ポリプロピレ
ン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エ
チレン/プロピレン共重合体が挙げられる。その他に、
エチレン/酢酸ビニルに対してポリエステル系、ポリア
ミド系、ポリオレフイン系等を組合わせることが挙げら
れる。同種の熱可塑性重合体の組合せとしては、ポリエ
ステル系、ポリアミド系、ポリオレフイン系の重合体お
よびエチレン/酢酸ビニル共重合体等の異粘度または異
融点重合体が挙げられる。
【0010】潜在捲縮性を有する長繊維糸条としては、
繊維形成性を有する二種類の重合体であって熱収縮性の
異なるものが、繊維糸条に関し並列型に配された複合形
態が挙げられる。また、前記成分からなる偏芯構造の芯
鞘型複合繊維であってもよい。
【0011】なお、繊維形成性熱可塑性重合体には、必
要に応じて、例えば艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、
光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を、本
発明の効果を損なわない範囲内で添加することができ
る。
【0012】長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、
単繊維繊度が1.5〜8.0デニールであることが好ま
しい。単繊維繊度が1.5デニール未満であると、得ら
れた複合不織布の機械的特性が低下したり、溶融紡糸工
程において製糸性が低下したりする傾向にある。一方、
単繊維繊度が8.0デニールを超えると、得られたウエ
ブの風合いが硬くなって柔軟性に富む複合不織布を得る
ことができにくくなる。したがって本発明では、この単
繊維繊度が1.5〜8.0デニール、好ましくは2.0
〜5.0デニールであるのがよい。
【0013】長繊維不織ウエブは、前記長繊維から構成
されて、その構成繊維間が部分的に熱圧接される。この
とき、熱圧着温度が長繊維における低融点成分の融点に
近い温度であると、熱圧着は強固なものとなるため、長
繊維ウエブの寸法安定性は優れ、また、後の高圧液体流
処理における交絡一体化の際に、部分的熱圧着部は残存
し、非熱圧着部に存在する長繊維と合成単繊維とが相互
に三次元的に交絡する。よって、得られる複合不織布
は、縦・横の破断伸度が高く寸法安定性に優れ、機械的
強力が高いものとなる。一方、熱圧着温度が長繊維にお
ける低融点成分の融点に遠い温度であると、部分的熱圧
着部は繊維形態を残した仮熱圧着の状態となり、後の高
圧液体流処理における交絡一体化の際に、部分的熱圧着
部は剥離されて繊維状となり、長繊維は自由に運動する
ことができ、よりランダムに三次元的に交絡する。よっ
て、得られる複合不織布は、柔軟性に優れ、層間剥離強
力の高いものとなる。
【0014】この部分的な熱圧接とは、表面に彫刻模様
が刻印された加熱状態のロールすなわちエンボスロール
と、表面が平滑な加熱状態の金属ロールとの間にウエブ
を通すことにより、前記彫刻模様に該当する部分のウエ
ブ構成繊維どうしを熱的に接着させたものをいう。さら
に詳しくは、この部分的な熱圧接が行われた箇所は、長
繊維不織ウエブ層の全表面に対して特定の領域を有す
る。すなわち、個々の熱圧接領域は、必ずしも円形の形
状である必要はないが、0.1〜1.2mm2 の面積を
有し、その密度すなわち圧接点密度が10〜80点/c
2 、好ましくは15〜60点/cm2 であるのがよ
い。この圧接点密度が10点/cm2 未満であると、熱
圧接後のウエブの機械的特性や形態保持性が向上しにく
くなる。一方、圧接点密度が80点/cm2 を超える
と、柔軟性と嵩高性が向上しにくく、しかもその長繊維
不織ウエブを収縮加工する際に十分な収縮性が得にくく
なる。また、長繊維不織ウエブ層の全表面積に対する全
熱圧接領域の面積の比すなわち圧接面積率は、2〜30
%、好ましくは4〜20%とするのがよい。この圧接面
積率が2%未満であると、熱圧接後のウエブの寸法安定
性が向上しにくく、したがって、この長繊維不織ウエブ
に短繊維不織ウエブを積層して得られた複合不織布の寸
法安定性が劣りやすくなる。一方、圧接面積率が30%
を超えると構成繊維の大半が熱融着され、熱収縮加工を
施しても潜在捲縮が顕在化し得る部分が謹少になり、実
質的な収縮が起こらないのみならず、長繊維不織ウエブ
の柔軟性を損ないやすくなる。
【0015】長繊維不織ウエブは、その目付けが10〜
60g/m2 であるのが好ましい。目付けが10g/m
2 未満であると、この長繊維不織ウエブに合成短繊維不
織ウエブを積層し複合して得られる複合不織布の地合い
が低下する場合があり、また得られた不織布の機械的強
力が低下する傾向にある。一方、目付けが60g/m 2
を超えると、この長繊維不織ウエブに合成短繊維不織ウ
エブを積層して高圧液体流処理を施すに際して、長繊維
不織ウエブ層の構成繊維と合成短繊維不織ウエブ層の構
成繊維とが三次元的に十分に交絡せず、このため全体と
しての一体化がなされにくく、また伸縮性を付与された
スパンボンド不織布である長繊維不織ウエブ層を構成す
る繊維が、合成短繊維不織ウエブ層を構成する短繊維に
より固定されて、その伸縮性が損なわれやすくなる。し
たがって、この目付けは10〜40g/m2 の範囲であ
るのが特に好ましい。
【0016】以上により得られたスパンボンド不織布で
ある長繊維不織ウエブは、潜在的捲縮を有するものであ
るが、伸縮性を有する不織布とは言い難いものである。
このため、この潜在捲縮を顕在化せしめて伸縮性を有す
る不織布とする必要があり、本発明においてはこの工程
が必要・不可欠なものである。
【0017】長繊維不織ウエブを構成する潜在捲縮を有
する長繊維フイラメントの捲縮を顕在化させるには、こ
れを加熱処理すればよい。そうすると、この長繊維フイ
ラメントを構成する成分どうしが加熱条件下において異
なる収縮を生じることにより、捲縮の顕在化が行われ、
実質的な長繊維不織ウエブとしての面積の収縮が生じ
て、伸縮性を保有することになる。
【0018】合成短繊維を構成する重合体としては、繊
維形成性を有するポリエステル系重合体、ポリオレフィ
ン系重合体、ポリアミド系重合体、アクリル系重合体、
ポリビニルアルコール系重合体およびこれらを主成分と
した共重合体やブレンド重合体が挙げられる。また、こ
れらの重合体を組み合わせた複合繊維を合成短繊維とし
て用いることもできる。この複合繊維としては、芯鞘構
造の繊維などが挙げられる。
【0019】ポリエステル系重合体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸等
の脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル類を酸
成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,4−ブタジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等のジオール化
合物をアルコール成分とするホモポリエステル重合体あ
るいは共重合体が挙げられる。なお、これらのポリエス
テル系重合体には、パラオキシ安息香酸、5−ソジウム
スルホイソフタール酸、ポリアリキレングリコール、ペ
ンタエリスリトール、ビスフェノールA等が添加あるい
は共重合されていても良い。
【0020】ポリオレフィン系重合体としては、炭素数
2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えばエチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチ
ル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−オ
クタデセンが挙げられる。これらの脂肪族α−モノオレ
フィンは多くのエチレン系不飽和モノマー、例えばブタ
ジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、スチレ
ン、α−メチルスチレンのような類似のエチレン系不飽
和モノマーが共重合されたポリオレフィン系重合体であ
っても良い。また、ポリエチレン系重合体の場合には、
エチレンに対してプロピレン、1−ブテン、1−オクテ
ン、1−ヘキセン、または類似の高級α−オレフィンが
10重量%以下共重合されたものであっても良く、ポリ
プロピレン系重合体の場合には、プロピレンに対して、
エチレンまたは類似の高級α−オレフィンが10重量%
以下共重合されたものであっても良い。但し、これらの
共重合体の共重合率が10重量%を超えると、共重合体
の融点が低下するため、これらの共重合体からなる短繊
維を用いて構成される不織布を高温下で用いた場合に不
織布の柔軟性が損なわれやすくなる。
【0021】ポリアミド系重合体としては、ポリイミノ
−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリテト
ラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプラミ
ド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、
ポリラウロラクタミド(ナイロン12)、ポリメタキシ
レンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド、ポリ
ビスシクロヘキシルメタンデカナミド、またはこれらの
モノマーを構成単位とするポリアミド系共重合体が挙げ
られる。特に、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロ
ン46)の場合、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイ
ロン46)にポリカプラミドやポリヘキサメチレンアジ
パミド、ポリウンデカメチレンテレフタラミド等のポリ
アミド成分が30モル%以下共重合されたポリテトラメ
チレンアジパミド共重合体であっても良い。但し、ポリ
アミド成分の共重合率が30モル%を超えると、共重合
体の融点が低下するため、これらの共重合体からなる短
繊維を用いて構成される不織布を高温下で用いた場合に
不織布の柔軟性が損なわれやすくなる。
【0022】合成短繊維不織ウエブの構成繊維の単繊維
繊度は、上述の長繊維の場合と同様に1.5〜8.0デ
ニールであることが好ましい。その理由は、上述の長繊
維の場合と同じである。
【0023】この合成短繊維により形成される不織ウエ
ブ層は、その目付けが10〜100g/m2 であるのが
好ましい。目付けが10g/m2 未満であると、得られ
たウエブの形態保持性が向上しない傾向となる。一方、
目付けが100g/m2 を超えると、前記長繊維不織ウ
エブ層の構成繊維とこの合成短繊維不織ウエブ層の構成
繊維との三次元的交絡及びこの合成短繊維不織ウエブ層
の構成繊維どうしの三次元的交絡が共に十分に得られな
い傾向となる。
【0024】本発明の積層不織布は、前述したように、
合成長繊維不織ウエブが予め熱収縮加工されることで伸
縮性を有する長繊維不織ウエブが形成された後、この長
繊維不織ウエブの少なくとも片面に合成短繊維不織ウエ
ブが積層され、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と合成短
繊維不織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡
され、かつ合成短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしが
三次元的に交絡され、全体として一体化されてなるもの
である。この三次元的な交絡とは、公知のいわゆる高圧
液体流処理により形成されるものであって、これにより
不織布としての形態が保持され、しかも柔軟性に富む積
層不織布を得ることができる。
【0025】合成短繊維不織ウエブ層は、長繊維不織ウ
エブ層の両面に積層される場合においては、各々同一素
材からなるものであってもよいし、あるいは相異なる素
材からなるものであってもよい。
【0026】本発明の積層不織布は、たとえば次の方法
によって効率良く製造することができる。すなわち、ス
パンボンド法により形成した合成長繊維不織ウエブに、
その構成繊維中最も低い融点を有する重合体の融点より
も表面温度が10〜50℃低い熱エンボスロールを用
い、ロールの線圧を5〜50kg/cmとして部分的熱
圧接処理を施して合成長繊維不織ウエブを形成し、次い
で得られた合成長繊維不織ウエブの少なくとも片面に合
成短繊維不織ウエブを積層した後、高圧液体流処理を施
して合成長繊維不織ウエブ層の構成繊維と合成短繊維不
織ウエブ層の構成繊維とを相互に三次元的に交絡させ、
かつ合成短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしを三次元
的に交絡させ、全体として一体化させればよい。
【0027】詳細には、まず合成長繊維不織ウエブをス
パンボンド法で製造する。すなわち、上述の繊維形成性
を有するポリオレフイン系重合体、ポリエステル系重合
体あるいはポリアミド系重合体を単独で、あるいは、こ
れらの重合体の中から選択された2種以上の相異なる重
合体がブレンドされたブレンド物を用い、これらの中か
ら選択された2種の相異なる重合体を並列型あるいは偏
心芯鞘型に配するようにして溶融紡出する。そして、溶
融紡出されたポリマ流を冷却した後、エアサツカー等の
引取り手段を用い引取り速度を2500〜6000m/
分として引取り、その後に開繊し、移動する捕集面上に
捕集・堆積させて、単繊維繊度が1.5〜8.0デニー
ルの単繊維からなるウエブとする。次いで、得られたウ
エブに、その構成繊維中最も低い融点を有する重合体の
融点よりも表面温度が10〜50℃低い温度の熱エンボ
スロールを用い、熱圧接処理を施して、長繊維不織ウエ
ブを得る。
【0028】スパンボンド法で溶融紡出するに際して
は、上述のようにその引取り速度を2500〜6000
m/分とするのがよい。引取り速度が2500m/分未
満であると長繊維の分子配向度が十分に増大しないため
得られたウエブの機械的特性や寸法安定性や潜在捲縮能
が向上しない傾向となる。一方、引取り速度が6000
m/分を超えると、溶融紡糸時の製糸性が低下する傾向
となる。
【0029】ウエブに熱エンボスロールを用いて熱接着
を施すに際しては、ロールの表面温度をウエブの繊維成
分中最も低い融点を有する重合体の融点より10〜50
℃低い温度とし、かつロールの線圧を5〜50kg/c
mとするのがよい。この温度と線圧の条件は特に重要
で、この温度が前記重合体の融点に接近しすぎると、不
織ウエブの強力は上昇するが、長繊維不織ウエブを構成
する繊維全体に熱がかかり、潜在化していなくてはなら
ない捲縮がこの工程で顕在化するため、収縮加工を施し
た際に収縮が生じない原因となる。また、ロール間の線
圧が5kg/cm未満であると熱圧接処理効果が乏し
く、得られた長繊維不織ウエブ層の寸法安定性が向上し
にくくなる。したがってこの長繊維不織ウエブ層に熱接
着が施される条件は、この長繊維を構成する低融点成分
の種類により適宜選択されるものである。
【0030】次いで、上記方法で得られた合成長繊維ウ
エブに機械方向および機械方向に直交する方向のそれぞ
れに関して収縮を発生せしめ、伸縮性を有する不織ウエ
ブを作成する。その際には、不織布を構成する合成長繊
維における低融点成分の融点よりも5〜30℃低い温度
条件を適用する。それによって、その不織ウエブを構成
するフイラメントの非熱圧接部分の繊維の潜在捲縮を顕
在化せしめ、不織布に実質的な収縮を起こさせるもので
ある。この工程においては、上述の適用温度条件の範囲
が肝要である。低融点成分の融点に比べ5℃未満の高い
温度を適用すると、長繊維不織ウエブ層は、収縮は発現
するものの、低融点成分の熱融着によってウエブ層の全
面的な硬化をきたし、伸縮性の欠けるものとなりやすく
なる。また、低融点成分の融点よりも30℃を超えて低
い温度を適用すると、長繊維不織ウエブ層を構成する長
繊維フイラメントの潜在捲縮の顕在化が起こりにくくな
る。
【0031】この収縮工程に用いられる熱処理機におい
ては、不織ウエブに張力が掛からないことが望ましい。
この方式の熱処理機としては、不織ウエブに対し両面よ
り熱風が吹き出すシユリンク・ドライヤーが一般的に用
いられる。また、サクシヨン・バンド方式の熱処理機を
用いても収縮の発現は可能である。この場合において
は、吹き出す風量および吸引される風量を規制し、不織
ウエブに余分の風量を付与しないことにより、熱の付加
を行って収縮を発現させることができる。この工程にお
いて重要な点は、不織布に十分な収縮を発現させ、実質
的に伸縮性を有する不織布とすることにある。すなわ
ち、長繊維不織ウエブ層に十分な熱量を付与し、しかも
温度低下や上昇等が生じない範囲の吹き付け風量とし、
かつこの吹き付け風量に対し僅かに低めの吸引量とすれ
ばよい。また長繊維不織ウエブの縦方向の収縮を十分な
ものにするためは、ネットの移動速度に対し、長繊維不
織ウエブを速めの速度で供給すればよい。
【0032】不織ウエブに付与される収縮は、機械方向
および機械方向に直交する方向それぞれに、20%を超
えかつ60%未満の範囲であるのが好ましい。20%以
下の収縮では、複合不織ウエブを構成した際、積層され
た短繊維の交絡により伸縮性が抑えられ、実質的な伸縮
性が損なわれやすくなる。また、60%以上の収縮を発
現させようとすると、不織ウエブを構成する低融点成分
の融点に極めて接近した温度を適用する必要があり、収
縮処理の施された不織ウエブは、ソフト性が損なわれる
のみでなく、低融点成分が部分的に融着した伸縮性のな
いウエブとなりやすくなる。
【0033】次に、得られた長繊維不織ウエブの少なく
とも片面に前記合成短繊維から構成されるウエブを積層
した後、この積層物に高圧液体流処理を施して、長繊維
不織ウエブ層の構成繊維と合成短繊維不織ウエブ層の構
成繊維とを相互に三次元的に交絡させ、かつ合成短繊維
不織ウエブ層の構成繊維どうしを三次元的に交絡させて
全体として一体化させる。この積層する合成短繊維不織
ウエブは、前記短繊維素材からなるパラレルカードウエ
ブやランダムカードウエブやクロスレイドウエブ等であ
るのが好ましい。このとき、上述のように長繊維不織ウ
エブ層の構成繊維においては捲縮が顕在化されているた
め、嵩高かつ繊維間空隙が大となって短繊維が絡みやす
く、また顕在化された捲縮による長繊維のループと短繊
維とが交絡しやすいため、低いエネルギーで容易に一体
化が行われる。
【0034】この合成短繊維不織ウエブは、前記短繊維
素材の中から選択された単一素材からなるものの他に、
複数種の素材が混合されてなるものであってもよい。ま
た、この合成短繊維不織ウエブを長繊維不織ウエブに積
層するに際し、合成短繊維不織ウエブとして、長繊維不
織ウエブと同一素材からなるものを採用してもよいし、
あるいは必要に応じて相異なる素材からなるものを採用
してもよい。
【0035】高圧液体流処理を施すに際しては、たとえ
ば、孔径が0.05〜2.0mm特に0.1〜0.4m
mの噴射孔を孔間隔を0.3〜10mmとして1列ある
いは複数列に多数配列したオリフイス・ヘツドを用い、
噴射圧力が5〜150kg/cm2 Gの高圧液体流を前
記噴射孔から噴射する方法を採用する。噴射孔は、積層
物の進行方向と直交する方向に列状に配列する。高圧液
体としては、水あるいは温水を用いるのが一般的であ
る。噴射孔と積層物との間の距離は、1〜15cmとす
るのがよい。この距離が1cm未満であるとこの処理に
より得られる複合不織布の地合いが乱れ、一方、この距
離が15cmを超えると液体流が積層物に衝突したとき
の衝撃力が低下して三次元的な交絡が十分に施されなく
なる。
【0036】この高圧液体流処理を施す際には、まず積
層物に第1段階の高圧液体流処理を施して、合成短繊維
不織ウエブ層の構成繊維同志を予備的に交絡させ、次に
第1段階の高圧液体流処理の際よりも高圧の液体流によ
り第2段階の高圧液体流処理を施して、長繊維不織ウエ
ブ層の構成繊維と合成短繊維不織ウエブ層の構成繊維と
を相互に交絡させ、全体として一体化させるのが好適で
ある。
【0037】高圧液体流処理を施すに際し、積層物を担
持する支持材は、たとえば10〜100メツシユの金網
等のメツシユスクリーンや有孔板など、高圧液体流が積
層物と支持材とを貫通し得るものであれば特に限定され
ない。
【0038】また、長繊維不織ウエブ層の両面に短繊維
不織ウエブ層を積層する場合には、上記方法で片面から
交絡処理を施した積層不織ウエブを反転して、反対側の
面から同様に交絡処理を施すことで、表裏ともに一体化
した積層不織ウエブを得ることができる。
【0039】高圧液体流処理を施したなら、処理後の積
層物から過剰水分を除去する。この過剰水分の除去に
は、公知の方法を採用することができる。たとえばマン
グルロール等の絞り装置を用いて過剰水分をある程度機
械的に除去し、引き続き連続熱風乾燥機等の乾燥装置を
用いて残余の水分を除去して積層不織布を得る。
【0040】なお、得られた積層不織布には、必要に応
じて染色、プリント等の加工を行うことができる。
【0041】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0042】以下の実施例における各種特性値の測定
は、次の方法により実施した。 (1)融点(℃):パーキンエルマ社製示差走査型熱量
計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測
定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度
を融点とした。 (2)メルトフローレイト(g/10分):ASTM−
D−1238(L)に記載の方法に準じて測定した。 (3)相対粘度:ポリエチレンテレフタレートの相対粘
度を次の方法によって測定した。すなわち、フエノール
と四塩化エタンの等重量混合液を溶媒とし、この溶媒1
00ccに試料0.5gを溶解し、温度20℃の条件で
常法により測定した。 (4)不織布の目付け(g/m2 ):標準状態の試料か
ら縦10cm×横10cmの試料片計10点を作成し、
平衡水分に到らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量
し、得られた値の平均値を単位面積(m2 )当たりに換
算して目付け(g/m2 )とした。 (5)不織布の引張強力(kg/5cm幅)及び引張伸
度(%):JIS−L−1096Aに記載の方法に準じ
て測定した。すなわち、試料長が15cm、試料幅が5
cmの試料片を不織布の機械方向(MD)およびそれに
直交する方向(CD)にそれぞれ10点ずつ作成し、各
試料片毎に、不織布のMD方向およびCD方向につい
て、定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テ
ンシロンUTM−4−1−100)を用い、試料の掴み
間隔10cmとし、引張速度10cm/分で伸長した。
そして、得られた切断時荷重値(kg/5cm幅)の平
均値を引張強力(kg/5cm幅)とするとともに、切
断時伸長率(%)の平均値を引張伸度(%)とした。 (6)面積収縮率(%):試料長が20cm、試料幅が
20cmの試料片計5点を作成し、各試料片毎に、所定
温度のエアーオーブン型熱処理機を用いて5分間の熱処
理を施した。そして、熱処理前の試料片の面積S1(c
2 )値と、熱処理後の試料片の面積S2(cm2 )値
とを用い、下記式に従って算出した収縮率(%)の平均
値を面積収縮率(%)とした。
【0043】 面積収縮率(%)=〔1−(S2/S1)〕×100
【0044】(7)圧縮剛軟度(g):試料長が10c
m、試料幅が5cmの試料片計5点を作成し、各試料片
毎に横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合
したものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各測定
試料毎にその軸方向について、定速伸長型引張試験機
(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−
100)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られ
た最大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とし
た。 (8)伸長回復率(%):試料幅5cm、試料長15c
mの試料片を不織布の機械方向(MD)およびそれに直
行する方向(CD)にそれぞれ5個ずつ準備し、東洋ボ
ールドウイン社製定速伸長引張試験機(テンシロンUT
M−4−1−100)を用い、JIS L−1096
6.13.1Aに記載の方法に従い、各試料毎に、試料
の掴み間隔10cmで、試料片を10cm/分の速度で
引っ張り、伸度が30%になった時点の一定伸びに対す
る回復伸びの比率を求め、その平均値を伸長回復率
(%)とした。 (実施例1)長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維糸条
を形成する際に、ASTM−D−1238(L)で測定
されるメルトフローレイト値が100g/10分で融点
が160℃のポリプロピレンと、エチレンが4wt%共
重合されてメルトフローレイト値が70g/10分かつ
融点が138℃の共重合ポリプロピレンとを用いた。そ
して、並列型複合紡糸口金を介して上記ポリマー成分の
複合比率を重量比で1:1の割合とし、単孔吐出量を
0.78g/分とし、210℃の温度で溶融紡糸を行っ
た。そして、並列型複合紡糸口金より紡出された糸条を
冷却後、エアーサッカーにより3500m/分の速度で
引き取り、公知の開繊器にて開繊させ、移動する捕集面
上に捕集・堆積させて長繊維不織ウエブとし、引続き熱
圧着処理を施した。熱圧着処理に際しては、圧接点面積
0.36mm2 、圧接点密度16個/cm2 で彫刻され
たエンボスロールと、表面フラットのロールとを用い、
ロール表面の温度を125℃、ロール間の線圧を30k
g/cmとした。この熱圧着処理により得られた長繊維
不織ウエブは、両ポリマー成分が糸条方向にわたって並
列に配された繊度2デニールの糸条で構成され、目付け
が25g/m2 の長繊維不織ウエブであった。
【0045】引続き、得られた長繊維不織ウエブに収縮
加工を施した。この収縮加工に際しては、寿工業社製の
シュリンク・ドライヤーを用い、加工温度を130℃と
した。この工程を経て得られた不織ウエブは、機械方向
に25%、機械方向に直交する方向に35%の収縮が発
現し、面積収縮率が51.2%となり、目付けが45g
/m2 の、伸縮性、柔軟性を有する長繊維不織ウエブで
あった。
【0046】合成短繊維不織ウエブ層としては、メルト
フローレイト値が30g/10分で融点が160℃のポ
リプロピレンよりなる短繊維を準備した。すなわち、こ
のポリプロピレンを用い、丸型単相紡糸口金を使用し、
単孔吐出量を0.95g/分として240℃の温度で溶
融紡糸を行った。そして、丸型単相紡糸口金より紡出さ
れた糸条を冷却後、仕上げ油剤を付与し、引き取り速度
が1000m/分のロールを介して未延伸糸として巻き
取った。次いで、公知の延伸機を用いてこの未延伸糸ト
ウを3.1倍に延伸し、その後に押し込み式クリンパー
に導き捲縮を付与し、そして51mmにカットした。延
伸後の短繊維の繊度は3デニールであった。
【0047】引続き、この短繊維を用いて、目付けが3
0g/m2 のパラレルカードウエブを作成した。そし
て、このウエブを前述の長繊維不織ウエブの片面に積層
し、合成短繊維不織ウエブ層を上側にして移動する70
メッシュの金属製ネット上に載置し、孔径0.1mmの
噴射孔が孔間隔0.6mmで一列に配されたオリフイス
・ヘッドを用い、合成短繊維不織ウエブ層の上方50m
mの位置より、噴射圧40kg/cm2 Gの高速液体流
により第1段階の予備交絡処理を施した。引続き前記オ
リフイス・ヘッドを用い、噴射圧70kg/cm2 Gの
高速液体流により第2段階の交絡処理を施した。
【0048】得られた積層不織ウエブ層は、合成短繊維
不織ウエブ層を構成する繊維同士に交絡が施されるとと
もに、合成短繊維不織ウエブ層及び長繊維不織ウエブ層
を構成する繊維相互間に交絡が施され、緻密に一体化し
た積層複合不織ウエブであった。この交絡処理の施され
た積層複合不織ウエブより余剰の水分を公知の水分除去
装置であるマングルにより除去し、引続き、サクション
バンド方式の乾燥機を用い90℃で乾燥処理を行い、積
層不織布を得た。
【0049】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
得られた積層不織布は、表1に示すように、縦方向、横
方向ともに伸縮性に優れ、かつ、良好な機械的特性及び
柔軟性を示すものであった。
【0050】
【表1】
【0051】(実施例2)ASTM−D−1238
(L)で測定されるメルトフローレイト値が70g/1
0分で融点が160℃のポリプロピレンと、エチレンが
4wt%共重合されてメルトフローレイト値が50g/
10分かつ融点が138℃の共重合ポリプロピレンとを
用いた。そして、並列型複合紡糸口金を介して上記ポリ
マー成分の複合比率を重量比で1:1の割合とし、単孔
吐出量を2.8g/分とし、220℃の温度で溶融紡糸
を行った。そして、並列型複合紡糸口金より紡出された
糸条を冷却後、エアーサッカーにより4200m/分の
速度で引き取り、公知の開繊器にて開繊させ、移動する
捕集面上に捕集・堆積させて長繊維不織ウエブとし、引
続き熱圧着処理を施した。熱圧着処理の条件は実施例1
と同じとした。この熱圧着処理により得られた長繊維不
織ウエブは、両ポリマー成分が糸条方向にわたって並列
に配された繊度6デニールの糸条で構成され、目付けが
25g/m2 の長繊維不織ウエブであった。
【0052】引続き、得られた長繊維不織ウエブに収縮
加工を施した。この収縮加工に際しては、寿工業社製の
シュリンク・ドライヤーを用い、加工温度を130℃と
した。この工程を経て得られた不織ウエブは、機械方向
に27%、機械方向に直交する方向に39%の収縮が発
現し、面積収縮率が55.5%となり、目付けが49g
/m2 の、伸縮性、柔軟性を有する長繊維不織ウエブで
あった。
【0053】次に、実施例1と同一の合成短繊維不織ウ
エブを用い、実施例1と同一条件下で目付けが30g/
2 のパラレルカードウエブを作成した。そして、これ
を前述の長繊維不織ウエブの片面に積層し、合成短繊維
不織ウエブ層を上側にして移動する70メッシュの金属
製ネット上に載置し、実施例1と同一条件下で交絡処理
及び乾燥処理を行った。
【0054】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
得られた積層不織布は、表1に示すように、実施例1よ
りも長繊維不織ウエブを構成する繊維の繊度を大きくし
たので、機械的特性及び柔軟性にはやや劣るものの伸縮
性には特に優れるものであった。
【0055】(実施例3)実施例1と同一のポリプロピ
レンと共重合ポリプロピレンとを用い、偏心芯鞘断面よ
りなる長繊維不織ウエブ層を形成した。すなわち、両ポ
リマーを用い、偏心芯鞘型複合紡糸口金を介して、上記
ポリマー成分の複合比率を重量比で1:1の割合とし、
単孔吐出量を0.82g/分とし、210℃の温度で溶
融紡糸を行った。そして、偏心芯鞘型複合紡糸口金より
紡出された糸条を冷却後、エアーサッカーにより370
0m/分の速度で引き取り、公知の開繊器にて開繊さ
せ、移動する捕集面上に捕集・堆積させて長繊維不織ウ
エブとし、引続き熱圧着処理を施した。熱圧着処理は、
実施例1と同一条件で行った。得られた長繊維不織ウエ
ブは、糸条方向にわたってポリプロピレンが芯部にまた
共重合ポリプロピレンが鞘部に配された繊度2デニール
の糸条で構成され、目付けが25g/m2 の長繊維不織
ウエブであった。
【0056】引続き、得られた長繊維不織ウエブに実施
例1と同一条件で収縮加工を施した。この工程を経て得
られた不織ウエブは、機械方向に23%、機械方向に直
交する方向に32%の収縮が発現し、面積収縮率が4
7.6%となり、目付けが42g/m2 の、伸縮性、柔
軟性を有する長繊維不織ウエブであった。
【0057】次に、実施例1と同一の合成短繊維不織ウ
エブ層を用い、実施例1と同一条件で目付けが30g/
2 のパラレルカードウエブを作成した。そして、これ
を前述の長繊維不織ウエブの片面に積層し、合成短繊維
不織ウエブ層を上側にして移動する70メッシュの金属
製ネット上に載置し、実施例1と同一条件で交絡処理及
び乾燥処理を行った。
【0058】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
得られた積層不織布は、表1に示すように、長繊維不織
ウエブを構成する繊維断面を偏心芯鞘としたので、実施
例1に比べ伸縮性にはやや劣るものの、機械的特性及び
柔軟性には特に優れるものであった。 (実施例4)長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維糸条
を形成する際に、相対粘度が1.38で融点が256℃
のポリエチレンテレフタレートと、相対粘度が1.44
で融点が232℃のテレフタル酸にイソフタル酸を8モ
ル%共重合したポリエステルを用いた。そして、並列型
複合紡糸口金を介して上記ポリマー成分の複合比率を重
量比で1:1の割合とし、単孔吐出量を1.0g/分と
し、285℃の温度で溶融紡糸を行った。そして、並列
型複合紡糸口金より紡出された糸条を冷却後、エアーサ
ッカーにより4500m/分の速度で引き取り、公知の
開繊器にて開繊させ、移動する捕集面上に捕集・堆積さ
せて長繊維不織ウエブとし、引続き熱圧着処理を施し
た。熱圧着処理に際しては、実施例1の場合と同様のエ
ンボスロールと表面フラットのロールとを用い、ロール
表面の温度を220℃、ロール間の線圧を30kg/c
mとした。この熱圧着処理により得られた長繊維不織ウ
エブは、両ポリマー成分が糸条方向にわたって並列に配
された繊度2デニールの糸条で構成され、目付けが25
g/m2 の長繊維不織ウエブであった。
【0059】引続き、得られた長繊維不織ウエブに収縮
加工を施した。この収縮加工に際しては、寿工業社製の
シュリンク・ドライヤーを用い、加工温度を225℃と
した。この工程を経て得られた不織ウエブは、機械方向
に28%、機械方向に直交する方向に39%の収縮が発
現し、面積収縮率が56.1%となり、目付けが49g
/m2 の、伸縮性、柔軟性を有する長繊維不織ウエブで
あった。
【0060】合成短繊維不織ウエブ層としては、長繊維
のときに用いたポリエチレンテレフタレートよりなる短
繊維を準備した。すなわち、このポリエチレンテレフタ
レートを用い、丸型単相紡糸口金を使用し、単孔吐出量
を1.05g/分として290℃の温度で溶融紡糸を行
った。そして、丸型単相紡糸口金より紡出された糸条を
冷却後、仕上げ油剤を付与し、引き取り速度が1000
m/分のロールを介して未延伸糸として巻き取った。次
いで、公知の延伸機を用いて該未延伸糸トウを3.3倍
に延伸し、その後に押し込み式クリンパーに導き捲縮を
付与し、そして51mmにカットした。延伸後の短繊維
の繊度は3デニールであった。
【0061】引続き、この短繊維を用いて、目付けが3
0g/m2 のパラレルカードウエブを作成した。そし
て、このウエブを前述の長繊維不織ウエブの片面に積層
し、合成短繊維不織ウエブ層を上側にして移動する70
メッシュの金属製ネット上に載置し、実施例1の場合と
同様のオリフイス・ヘッドを用い、実施例1の場合と同
一の条件で2段階の交絡処理を施した。
【0062】得られた積層不織ウエブ層は、合成短繊維
不織ウエブ層を構成する繊維同士に交絡が施されるとと
もに、合成短繊維不織ウエブ層及び長繊維不織ウエブ層
を構成する繊維相互間に交絡が施され、緻密に一体化し
た複合不織ウエブであった。この交絡処理の施された複
合不織ウエブより余剰の水分を公知の水分除去装置であ
るマングルにより除去し、引続き、サクションバンド方
式の乾燥機を用い90℃で乾燥処理を行った。
【0063】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
得られた積層不織布は、表1に示すように、両不織ウエ
ブ層にポリエステルを用いたので、柔軟性にはやや劣る
ものの、良好な伸縮性及び機械的特性を示すものであっ
た。 (比較例1)長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維糸条
を形成する際に、実施例1と同一のポリプロピレンを用
い、単相丸型紡糸口金を介して単孔吐出量を0.87g
/分とし、220℃の温度で溶融紡糸を行った。そし
て、このように単相丸型紡糸口金より紡出された糸条を
冷却後、エアーサッカーにより3900m/分の速度で
引き取り、公知の開繊器にて開繊させ、移動する捕集面
上に捕集・堆積させて長繊維不織ウエブとし、引続き熱
圧着処理を施した。熱圧着処理に際しては、実施例1の
場合と同様のエンボスロールと表面フラットのロールと
を用い、ロール表面の温度を148℃、ロール間の線圧
を30kg/cmとした。この熱圧着処理により得られ
た長繊維不織ウエブは、繊度2デニールの糸条で構成さ
れ、目付けが25g/m2 であった。
【0064】引続き、得られた長繊維不織ウエブに収縮
加工を施した。この収縮加工に際しては、寿工業社製の
シュリンク・ドライヤーを用い、加工温度を153℃と
した。この工程を経て得られた不織ウエブは、機械方向
に2%、機械方向に直交する方向に3%の収縮しか発現
せず、面積収縮率は6%にとどまり、目付けが27g/
2 の、伸縮性、柔軟性に劣る長繊維不織ウエブであっ
た。
【0065】次に実施例1と同一の合成短繊維不織ウエ
ブ層を用い、実施例1と同一条件で目付けが30g/m
2 のパラレルカードウエブを作成した。そして、これを
前述の長繊維不織ウエブの片面に積層し、合成短繊維不
織ウエブ層を上側にして移動する70メッシュの金属製
ネット上に載置し、実施例1と同一条件で交絡処理及び
乾燥処理を行った。
【0066】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
この得られた積層不織布は、表1に示すように、長繊維
不織ウエブ層を構成する繊維がポリプロピレン単相であ
るので、長繊維不織ウエブ層の収縮応力に乏しく、伸縮
性に特に劣るものであり、本発明の目的とするものでは
なかった。 (比較例2)長繊維不織ウエブとして、実施例1で得ら
れた長繊維不織ウエブに収縮熱処理を施さない不織ウエ
ブを用いた。また合成短繊維不織ウエブとして、実施例
1と同じものを用いた。そして、前記収縮熱処理の施さ
れていない長繊維不織ウエブの上に合成短繊維不織ウエ
ブを積層し、実施例1と同一条件で交絡及び乾燥を施し
た。
【0067】得られた積層不織布に、実施例1で用いた
シュリンク・ドライヤーを利用して、処理温度132℃
で収縮熱処理を施した。すると、積層不織布の機械方向
に3%、機械方向に直交する方向に5%の収縮が発現し
た。
【0068】得られた積層不織布の性能を表1に示す。
この得られた積層不織布は、表1に示すように、長繊維
不織ウエブ層に予かじめ収縮熱処理が施されていない状
態で合成短繊維不織ウエブ層を積層して交絡処理を行っ
たので、長繊維不織ウエブ層内に短繊維が入り込み、熱
による変形応力が防げられることとなり、伸縮性に特に
劣るものとなって、本発明の目的とするものではなかっ
た。
【0069】
【発明の効果】本発明の積層不織布は、長繊維不織ウエ
ブ層の少なくとも片面に合成短繊維不織ウエブ層が積層
され、長繊維不織ウエブ層の構成繊維に捲縮が発現され
ており、長繊維不織ウエブ層の構成繊維と合成短繊維不
織ウエブ層の構成繊維とが相互に三次元的に交絡し、か
つ合成短繊維不織ウエブ層の構成繊維どうしが三次元的
に交絡し、全体として一体化されてなるものであるた
め、機械的特性、寸法安定性及び柔軟性が優れ、しかも
伸縮性にも優れ、全体が合成繊維で構成されているため
安価に製造できる。また長繊維不織ウエブ層の構成繊維
に捲縮が発現されているため、容易に三次元的に交絡さ
せることができ、しかも嵩高な複合不織布を得ることが
できる。このため、産業用資材のみならず、衣料や医療
などの用途の生活用資材にも好適であり、また農業用資
材としても効果的に利用できる。すなわち、産業用資材
としては、たとえばフィルター材などとして好適に利用
できる。生活用資材としては、たとえば柔軟性に優れる
ことから衛生材料やおむつなどのトップシートやギャザ
ー部やよこもれストッパー部やその他の部位に好適に使
用することができ、伸縮性に優れることからハップ材や
サポーターやリストバンドやテーピングのテープ基布や
包帯などに好適に使用できる。また良好な伸縮性を活用
して、人体用のマスクの材料として利用できる。このマ
スクとしては、通常のマスクやディスポーザルマスクな
どの家庭において使用されるマスクのほかに、食品工場
や精密機械工場などで使用されるマスクなどに適用可能
である。さらに帽子としての機能を有するキャップなど
の成形品やその他の成形品にも好適に利用できる。さら
にワイパーなどの用途にも好適に利用できる。
【0070】また、本発明の製造方法によれば、この積
層不織布を効率良く製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長繊維不織ウエブ層の少なくとも片面に
    合成短繊維不織ウエブ層が積層されてなる積層不織布で
    あって、前記長繊維不織ウエブ層を構成する長繊維は、
    潜在捲縮能を有してその潜在捲縮が顕在化されており、
    前記合成短繊維不織ウエブ層を構成する合成短繊維どう
    しが互いに三次元的交絡を有するとともに、前記長繊維
    と合成短繊維とが相互に三次元的交絡を有して、全体と
    して一体化されていることを特徴とする積層不織布。
  2. 【請求項2】 長繊維が、相互に熱収縮性の異なる2種
    のポリマ成分が繊維の長さ方向に沿って並設された繊維
    と、相互に熱収縮性の異なる2種のポリマ成分が偏心芯
    鞘構造に配置された繊維とのうちの一つであることを特
    徴とする請求項1記載の積層不織布。
  3. 【請求項3】 潜在捲縮能を有した長繊維からなる長繊
    維不織ウエブをスパンボンド法によって形成し、この得
    られた長繊維不織ウエブに部分的に熱圧接処理を施し、
    この部分的な熱圧接処理が施された長繊維不織ウエブ
    を、この不織ウエブを構成する長繊維の繊維構成成分の
    うちの低融点成分の融点よりも低い温度で熱処理するこ
    とにより、この長繊維の潜在捲縮を顕在化させて収縮処
    理を施し、その後、この収縮の施された長繊維不織ウエ
    ブの少なくとも片面に合成短繊維不織ウエブを積層し、
    この積層不織ウエブ層に高圧液体流処理を施して、合成
    短繊維不織ウエブ層の合成短繊維どうしを互いに三次元
    的に交絡させるとともに、前記長繊維と合成短繊維とを
    相互に三次元的に交絡させて、前記積層不織ウエブ層を
    全体として一体化させることを特徴とする積層不織布の
    製造方法。
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