JPH1121752A - 複合不織布およびその製造方法 - Google Patents

複合不織布およびその製造方法

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JPH1121752A
JPH1121752A JP9178056A JP17805697A JPH1121752A JP H1121752 A JPH1121752 A JP H1121752A JP 9178056 A JP9178056 A JP 9178056A JP 17805697 A JP17805697 A JP 17805697A JP H1121752 A JPH1121752 A JP H1121752A
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fibers
nonwoven fabric
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JP9178056A
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Inventor
Koichi Nagaoka
孝一 長岡
Keiko Sakota
恵子 迫田
Takeshi Chizuka
健史 千塚
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い用途に用いることができ、嵩高性を有
し、かつ機械的特性に優れた複合不織布を提供する。 【解決手段】 潜在捲縮能を有してその潜在捲縮が顕在
化されてなる長繊維からなる長繊維ウェブに、主として
単糸繊度が1デニール未満の短繊維からなる短繊維ウェ
ブが積層されてなり、かつ構成繊維同士が三次元的に交
絡一体化してなる複合不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合不織布および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、嵩高な不織布として潜在捲縮
が顕在化した伸縮性不織布が提案されている。例えば、
特開昭63−28960号公報や特開平2−91217
号公報には、潜在捲縮を有する短繊維からなる不織ウェ
ブに乾熱処理を施して、潜在捲縮を顕在化させた伸縮性
不織布が開示されている。しかし、この伸縮性不織布
は、短繊維のみからなる不織布であるため、機械的強力
に乏しいという問題がある。
【0003】一方、機械的強力を兼ね備えた不織布とし
て、長繊維不織布上に短繊維ウエブを積層した種々の複
合不織布が開示されている。例えば、特開平1−972
57号公報に開示されているような長繊維不織布と短繊
維ウエブとが積層され、両ウエブの構成繊維同士が交絡
した積層不織布がある。しかし、この複合不織布は、両
ウエブの構成繊維同士の交絡は十分でなく、層間剥離し
やすいものである。
【0004】また、特開昭63−211354号公報に
は、長繊維不織布を基布として、この基布の片面あるい
は両面に存在する長繊維を部分的に切断して繊維端を形
成させた長繊維不織布に短繊維ウエブを積層して、両層
の構成繊維同士を交絡させた積層不織布が開示されてい
る。しかし、この積層不織布は、長繊維を部分的に切断
するために機械的特性が低下するという問題がある。
【0005】さらには、特開昭53−114975号公
報や特開昭53−124601号公報には、織編物等の
基布上に分割型二成分系複合短繊維からなる不織ウエブ
を積層した複合不織布や織編物等の基布上にメルトブロ
ーン法により得られる極細繊維ウエブを積層した複合不
織布が開示されている。しかし、これらは、その用途が
合成皮革に限定され、しかもコストが極めて高価であ
り、また吸水性は備わっていないので、直接人の肌に触
れる用途には適さないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
複合不織布が有する問題点を解決し、広い用途に用いる
ことができる複合不織布であり、嵩高性を有し、かつ機
械的特性に優れた複合不織布を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を解決すべく鋭意研究の結果、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、潜在捲縮能を有し、
かつその潜在捲縮が顕在化された長繊維からなる長繊維
ウェブに、主として単糸繊度が1デニール未満の短繊維
からなる短繊維ウェブが積層されてなり、かつ長繊維ウ
エブの構成繊維同士、長繊維ウエブと短繊維ウエブの構
成繊維同士および短繊維ウエブの構成繊維同士の三次元
的交絡により一体化してなることを特徴とする複合不織
布を要旨とするものである。
【0009】また、本発明は、互いに熱収縮性の異なる
2種の繊維形成性重合体からなる並列型複合長繊維ある
いは偏心芯鞘型複合長繊維を溶融紡糸し、エアーサツカ
ーを用いて引取り、スクリーンコンベア等の移動式捕集
面上に開繊堆積させて長繊維ウエブとし、前記長繊維ウ
エブを部分熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着した長繊
維ウエブを得る工程と、弛緩熱処理することにより長繊
維の潜在捲縮を顕在化させる工程と、長繊維ウェブの片
面に主として単糸繊度が1デニール未満の繊維からなる
短繊維ウェブを積層した積層体に高圧液体流処理を施し
て、長繊維ウエブの構成繊維同士、長繊維ウエブと短繊
維ウエブの構成繊維同士および短繊維ウエブの構成繊維
同士を三次元的に交絡させ全体として一体化させて複合
不織布を得る工程とを有することを特徴とする複合不織
布の製造方法を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明における長繊維ウェブを構成する長
繊維は、潜在捲縮能を有してその潜在捲縮が顕在化され
てなる長繊維からなる。この長繊維は、弛緩熱処理によ
り潜在捲縮が顕在化されて立体的なスパイラルクリンプ
を発現するものである。
【0012】複合不織布の嵩高性を考慮すると、長繊維
ウエブを構成する潜在捲縮が顕在化してなる長繊維の平
均捲縮数が15個/インチ以上であることが望ましく、
より望ましくは20個/インチ以上である。
【0013】このような長繊維として、互いに熱収縮性
の異なる2種の繊維形成性重合体が繊維の長さ方向に沿
って並設された並列型複合繊維または、互いに熱収縮性
の異なる2種の繊維形成性重合体が偏心芯鞘構造に配置
された偏心芯鞘型複合繊維が挙げられる。
【0014】熱収縮性の異なる繊維形成性重合体の組合
せとしては、異種または同種の重合体を目的に応じて選
定すればよい。熱収縮性の異なる熱可塑性重合体の組合
せとしては、例えば、ポリエステル系とポリアミド系、
ポリエステル系とポリオレフィン系、ポリアミド系とポ
リオレフィン系等が挙げられる。また、同種の熱可塑性
重合体の組合せとしては、ポリエステル系、ポリアミド
系、ポリオレフィン系の重合体の異粘度の組合せあるい
は異融点重合体の組合せ(ホモ重合体と共重合体との組
合わせ)が挙げられる。
【0015】長繊維の複合形態として並列型を採用する
際には、2種の重合体は互いに相溶性を有するものを用
いる。非相溶性のものを用いると、製糸・製反工程にお
いて両重合体で形成される複合断面の境界面において剥
離が生じて重大なトラブルを招くこととなる。
【0016】一方、長繊維の複合形態として偏心芯鞘型
を採用する際には、2種の重合体は互いに相溶性であっ
ても非相溶性であってもよい。
【0017】本発明に用いる繊維形成性ポリオレフイン
系重合体としては、炭素原子数が2〜16個の脂肪族α
−モノオレフイン、例えばエチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン,3−メチル1−ブテン、1−ヘ
キセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセ
ンのホモポリオレフイン又は共重合ポリオレフインがあ
る。脂肪族α−モノオレフインは他のオレフインおよび
/または少量(重合体重量の約10重量%まで)の他の
エチレン系不飽和モノマー、例えばブタジエン、イソプ
レン、ペンタジエン−1,3、スチレン、α−メチルス
チレンの如き類似のエチレン系不飽和モノマ−と共重合
されていてもよい。特にポリエチレンの場合、重合体重
量の約10重量%までのプロピレン、ブテン−1、ヘキ
セン−1、オクテン−1または類似の高級α−オレフイ
ンと共重合させたものが製糸性がよくなるため好まし
い。
【0018】繊維形成性ポリアミド系重合体としては、
ナイロン−4、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロ
ン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロ
ン−12やポリメタキシレンアジパミド(MXD−
6)、ポリパラキシレンデカンアミド(PXD−1
2)、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド(P
CM−12)又はこれらのモノマーを構成単位とする共
重合ポリアミドがある。また、繊維形成性ポリエステル
系重合体としては、酸成分としてテレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸もしくはアジピン酸、セバシン酸
などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類
と、アルコール成分としてエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等
のジオール化合物とから合成されるホモポリエステルな
いしは共重合ポリエステルであり、上記ポリエステルに
パラオキシ安息香酸、5−ナトリウムスルフオイソフタ
ール酸、ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリト
ール、ビスフエノールA等が添加あるいは共重合されて
いてもよい。
【0019】上記以外の繊維形成性重合体としては、例
えばビニル系重合体が用いられ、具体的にはポリビニー
ルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデンン、または、これらの共重合体が挙げ
られる。さらに、ポリフエニレン系重合体またはその共
重合体を使用することもできる。
【0020】なお、前記繊維形成性重合体には、必要に
応じて、例えば、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、光
安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、抗菌剤等の各種添加剤
を本発明の効果を損なわない範囲内で添加することがで
きる。
【0021】本発明に用いる長繊維ウエブを構成する長
繊維の繊維断面形状は、円形に限らず、三角断面やその
他の異形でもよく、また中空断面であってもよい。
【0022】長繊維ウェブを構成する長繊維の単糸繊度
は、1.5〜8.0デニールであることが好ましい。単
糸繊度が1.5デニール未満であると、得られた複合不
織布の機械的特性が低下したり、溶融紡糸工程において
製糸性が低下したりする傾向にある。一方、単糸繊度が
8.0デニールを超えると、得られたウエブの風合が硬
くなって、柔軟性に富む複合不織布を得ることができに
くくなり、例えば人の肌に直接触れる用途には向かず用
途が限定されるものとなる。従って、本発明では、この
単糸繊度が1.5〜8.0デニール、好ましくは2.0
〜5.0デニールであるのがよい。
【0023】長繊維ウェブの目付は、10〜100g/
2 であるのが好ましく、より好ましくは、20〜50
g/m2 である。目付が10g/m2 未満であると、こ
の長繊維ウェブに短繊維ウェブを積層し、複合して得ら
れる複合不織布の地合が低下する場合があり、また、得
られた不織布の機械的強力が低下する傾向にある。一
方、目付が100g/m2 を超えると、この長繊維ウェ
ブに短繊維ウェブを積層して高圧液体流処理を施すに際
して、長繊維ウェブの構成繊維と短繊維ウェブの構成繊
維とが三次元的に十分に交絡せず、このため、全体とし
ての一体化がなされにくい。
【0024】本発明に用いる長繊維ウエブは、以下の方
法により製造することができる。すなわち、公知の溶融
複合紡糸法にて、互いに熱収縮性の異なる2種の繊維形
成性重合体を個別に溶融させ、並列型複合断面あるいは
偏心芯鞘型複合断面となる紡糸口金を介して紡出する。
この紡出糸条を横吹付や環状吹付等の冷却装置を用い
て、吹付風により冷却した後、エアーサツカーを用い
て、目標繊度となるように牽引細化して引き取る。牽引
速度は、3000m/分以上、特に4000m/分以上
で行うことにより得られる長繊維不織布の寸法安定性お
よび潜在捲縮能が向上するため好ましい。エアーサツカ
ーより排出される複合長繊維群は、一般的には、高圧電
場中のコロナ放電域あるいは摩擦衝突帯域を通過せしめ
て帯電開繊させた後、スクリーンからなるコンベアーの
ごとき移動堆積装置上に開繊堆積させて長繊維ウエブを
得る。
【0025】次に、長繊維ウエブを熱圧着装置を用いて
処理し、長繊維ウエブを部分的に熱圧着する。部分的な
熱圧着とは、例えば、2種の繊維形成性重合体のうち低
融点を有する重合体の融点以下の温度に加熱された表面
に彫刻模様が刻印された金属ロールすなわちエンボスロ
ールと、前記温度に加熱された表面が平滑な金属ロール
との間に長繊維ウエブを通すことによって、前記彫刻模
様に当接する長繊維ウエブを部分的に熱圧着することで
ある。この熱圧着温度は、低融点を有する重合体の融点
以下の温度で行うことが必要であり、低融点を有する重
合体の融点を超える温度で行うと、熱圧着装置に長繊維
ウエブが固着し著しく操業性を悪化させることとなる。
ここで用いる熱圧着装置としては、前記のエンボスロー
ルや超音波融着装置が挙げられる。
【0026】この熱圧着温度は、後の高圧液体流による
交絡一体化処理および得られる複合不織布に関係する。
熱圧着温度が、低融点重合体の融点に近い温度である
と、熱圧着は強固なものとなるため、長繊維ウェブの寸
法安定性は優れ、また、後の高圧液体流処理においても
部分的熱圧着部は残存し、非熱圧着部に存在する長繊維
と短繊維とが三次元的に交絡し一体化する。よって、得
られる複合不織布は、縦・横の破断伸度が高く、寸法安
定性に優れ、機械的強力が高いものとなる。一方、熱圧
着温度が低融点重合体の融点に遠い温度であると、部分
的熱圧着部は繊維形態を残した仮熱圧着の状態となり、
後の高圧液体流処理において、部分的熱圧着部は剥離さ
れて繊維状となり、長繊維は自由に運動することがで
き、よりランダムに三次元的に交絡する。よって、得ら
れる複合不織布は、柔軟性に優れ、層間剥離強力の高い
ものとなる。
【0027】長繊維ウエブに施される熱圧着の個々の熱
圧着形状は、必ずしも円形の形状である必要はないが、
0.1〜1.2mm2 の面積を有し、その密度、すなわ
ち圧着点密度が4〜80点/cm2 、好ましくは10〜
60点/cm2 であるのがよい。また、長繊維ウェブの
全表面積に対する全熱圧着領域の面積の比、すなわち圧
着面積率は2〜30%、好ましくは4〜20%とするの
がよい。この圧接面積率が2%未満であると、熱圧接後
のウェブの機械的特性および寸法安定性が向上しにく
く、従って、この長繊維ウェブに短繊維ウェブを積層し
て得られた複合不織布の寸法安定性が劣りやすくなる。
一方、圧接面積率が30%を超えると、構成繊維の大半
が熱融着され、後の捲縮顕在化のための弛緩熱処理工程
にて熱処理を施した際に潜在捲縮が顕在化し得る部分が
僅少になり、本発明が目的とする嵩高な複合不織布が得
られない傾向となる。
【0028】部分的に熱圧着が施された長繊維ウエブ
は、弛緩熱処理を施して長繊維が有する潜在捲縮を顕在
化させる。弛緩熱処理の熱処理温度は、長繊維を構成す
る重合体が異融点同士の組合せである場合は、2種の重
合体のうち低融点を有する重合体の融点以下の温度で行
えばよい。また、長繊維を構成する2種の重合体に融点
差がない場合は、その重合体の融点以下の温度で行えば
よい。長繊維ウエブを構成する長繊維を構成する2種の
重合体は、弛緩熱処理により、異なる収縮を生じること
により捲縮の顕在化が行われ、スパイラルクリンプを発
現し、長繊維ウエブの面積収縮が生じ、空隙を有した嵩
高なものとなる。この長繊維の有する潜在捲縮を顕在化
させる弛緩熱処理工程は、短繊維ウエブと積層する前で
あっても、短繊維ウエブと積層して高圧液体流処理によ
り一体化した後であってもよく、用途等に応じて適宜選
択すればよい。
【0029】弛緩熱処理工程が短繊維ウエブと積層する
前であると、すなわち、捲縮顕在化した長繊維ウエブに
短繊維ウエブを積層して高圧液体流処理により一体化を
行うと、捲縮が顕在化した長繊維からなる長繊維ウエブ
は、嵩高かつ繊維間空隙が大きいため短繊維ウエブを構
成する短繊維が高圧液体流処理により長繊維内へ侵入し
やすく、顕在化された捲縮による長繊維のループと短繊
維とが交絡しやすいため、高圧液体流処理を施す際に低
いエネルギーで容易に一体化が行われ、交絡性に優れ、
層間剥離強力に優れた複合不織布を得ることができる。
【0030】一方、弛緩熱処理工程が短繊維ウエブと積
層一体化した後であると、すなわち、短繊維ウエブと長
繊維ウエブとを積層一体化した後に、弛緩熱処理を施し
潜在捲縮を顕在化させると、嵩高で伸縮性を有する複合
不織布を得ることができ、また、短繊維ウエブ側には微
細なシボを有するものとなる。
【0031】この弛緩熱処理工程に用いられる熱処理機
としては、長繊維ウエブに対し両面より熱風が吹き出す
シュリンク・ドライヤーが一般的に用いられる。また、
サクション・バンド方式の熱処理機を用いても収縮の発
生は可能である。この場合においては、吹き出す風量お
よび吸引される風量を規制し、長繊維ウェブに余分の風
量を付与しないことにより、熱の付加を行って収縮を発
現させることができる。この工程において重要な点は、
不織布に十分な収縮を発現させることにある。すなわ
ち、長繊維ウェブに十分な熱量を付与し、しかも温度低
下や上昇等が生じない範囲の吹き付け風量とし、かつこ
の吹き付け風量に対しわずかに低めの吸引量とすればよ
い。
【0032】次に、本発明に使用する主として単糸繊度
が1デニール未満の短繊維を含む短繊維ウエブについて
説明する。本発明に用いる短繊維ウエブが有する極細短
繊維は、長繊維ウエブとの複合一体化の際に、長繊維ウ
エブ構成繊維との交絡性及び短繊維ウエブ構成繊維同士
の交絡性に優れ、その交絡は解舒しにくく安定した複合
不織布となり、層間剥離強力に優れた複合不織布とな
る。
【0033】単糸繊度が1デニール未満の短繊維を得る
方法としては、例えば、直接紡糸法により得る方法、海
島型二成分系複合短繊維を用いて、海部を溶剤により溶
かすか又は衝撃により破壊することにより島部で構成さ
れる極細短繊維を得る方法、分割型二成分系複合短繊維
を用いて、カードウエブを作成する際にカード機にかけ
るときの衝撃により分割割繊する又は長繊維ウエブと積
層し、高圧液体流の作用により交絡一体化する際、高圧
液体流の衝撃により分割割繊させ極細短繊維を発現させ
る方法が挙げられる。本発明においては、製糸操業性や
生産性を考慮して分割型二成分系複合短繊維を用いるこ
とが好ましい。
【0034】分割型二成分系複合短繊維は、用いる2つ
の重合体は互いに非相溶性であるものを採用し、例えば
その組み合わせとしては、ポリオレフイン系/ポリアミ
ド系、ポリオレフイン系/ポリエステル系、ポリアミド
系/ポリエステル系等が挙げられる。
【0035】本発明で用いる短繊維は、一般に以下の如
き方法で製造される。即ち、従来公知の溶融複合紡糸法
で紡糸され、横吹付や環状吹付等の従来公知の冷却装置
を用いて、吹付風により冷却された後、油剤を付与し引
き取りローラーを介して未延伸糸として巻取機に巻取ら
れる。引き取りローラー速度は500〜2000m/分
である。巻取られた未延伸糸を複数本引き揃え、公知の
延伸機にて周速の異なるローラー群間で延伸される。次
いで、前記延伸トウを押し込み式捲縮付与装置にて捲縮
を付与した後、所定の繊維長に切断して短繊維を得るこ
とができる。尚、要求される用途により延伸トウを素材
の融点以下の温度で熱セットを行ってもよい。
【0036】また、短繊維ウエブには、吸水性の付与あ
るいは高光沢性の付与等の要求性能によりコツトン、ウ
ール、リネン、シルク等の天然繊維および/またはレー
ヨン等の再生短繊維からなる短繊維を30重量%未満混
綿してもよい。
【0037】短繊維ウエブの目付は100g/m2 程度
以下が好ましい。目付が100g/m2 を超えると、長
繊維ウエブと短繊維ウエブとの交絡処理において大きな
高圧液体流エネルギ−を要する。また、得られる複合不
織布の用途が限定されることとなる。目付の下限につい
ては特に限定されないが10g/m2 程度であればよ
い。
【0038】短繊維ウエブは、カード法やエアレイ法等
を用いて所定の目付のウエブを作製することができる。
カード法ではカ−ド機を用いて、構成繊維の配列度合を
複合不織布の用途等に合わせて種々選択することができ
る。例えば、短繊維ウエブの構成繊維の配列パターンと
しては、構成繊維が一方向に配列したパラレルウエブ、
パラレルウエブがクロスレイドされたウエブ、構成繊維
がランダムに配列したランダムウエブあるいは両者の中
程度に配列したセミランダムウエブ等が挙げられる。
【0039】本発明は、前記長繊維ウエブ(弛緩熱処理
により捲縮が顕在化した長繊維からなる長繊維ウエブま
たは未だ潜在捲縮が顕在化されていない長繊維ウエブ)
の少なくとも片面に短繊維ウエブを積層した積層体に高
圧液体流処理を施し、長繊維ウエブの構成繊維同士およ
び長繊維ウエブと短繊維ウエブとの構成繊維同士および
短繊維ウエブの構成繊維同士を三次元的に交絡一体化さ
せた複合不織布である。
【0040】この積層体は、長繊維ウエブの少なくとも
片面に短繊維ウエブが積層されたものであり、長繊維ウ
エブの両面に短繊維ウエブを積層したものであっても、
短繊維ウエブの両面に長繊維ウエブを積層したものであ
ってもよく、複合不織布を用いる用途、性能に合わせて
適宜選択すればよい。
【0041】次に、高圧液体流処理について説明する。
高圧液体流処理に用いる高圧液体流装置としては、例え
ば、孔径が0.05〜1.5mm、特に0.1〜0.4
mmの噴射孔を孔間隔0.05〜5mmで一列あるいは
複数列に多数配列した装置を用いる。噴射孔から高圧力
で噴射させて得られる水流すなわち高圧液体流を噴射
し、多孔性支持部材上に載置した前記積層体に衝突させ
る。未分割の分割型二成分系複合短繊維は、高圧液体流
による衝撃によって、極細割繊短繊維を発現する。高圧
液体流の作用により、長繊維ウエブの構成繊維同士、長
繊維ウエブと短繊維ウエブとの構成繊維同士および短繊
維ウエブの構成繊維同士が交絡する。この時、極細割繊
短繊維は、高圧液体流の作用による易動性が高いため、
主として長繊維ウエブ内に入り込み長繊維と三次元的に
交絡し積層体を一体化させる。
【0042】噴射孔の配列は、前記積層体の進行方向と
直行する方向に列状に配列する。高圧液体流としては、
常温あるいは温水を用いることができる。噴射孔と前記
積層体との間の距離は、10〜150mmとするのが良
い。この距離が10mm未満であると、この処理により
得られる複合不織布の地合が乱れ、一方、この距離が1
50mmを超えると液体流が前記積層体に衝突したとき
の衝撃力が低下して分割割繊及び交絡一体化が十分に施
されない傾向にある。
【0043】この高圧液体流の処理圧力は、製造方法及
び不織布の要求性能によって制御されるが、一般的に
は、20〜200kg/cm2 Gの高圧液体流を噴出す
るのが良い。なお、処理するウエブの目付等にも左右さ
れるが、前記処理圧力の範囲内において、処理圧力が低
いと嵩高で柔軟性に優れた複合不織布を得ることがで
き、処理圧力が高いと構成繊維同士の交絡が緻密で層間
剥離のないフイルター性能に優れた複合不織布を得るこ
とができる。高圧液体流の圧力が20kg/cm2G未
満であると、分割割繊及び交絡一体化が十分に施され
ず、得られる複合不織布は層間剥離強力に劣るものとな
り、本発明が目的とする複合不織布を得ることができな
い。逆に、高圧液体流の圧力が200kg/cm2 Gを
超えると水圧による打撃により、ひどい場合には、構成
繊維が切断されて得られる不織布は表面に毛羽を有する
ものとなる傾向にあり好ましくない。
【0044】高圧液体流処理を施すに際して用いる前記
積層体を担持する多孔性支持部材としては、例えば、1
0〜200メツシユの金網製あるいは合成樹脂製等のメ
ツシユスクリーンや有孔板など、高圧液体流が前記積層
体と支持部材とを貫通するものであれば特に限定されな
い。
【0045】なお、積層体の片面より高圧液体流処理を
施した後、引き続き交絡の施された積層体を反転して高
圧液体流処理を施すことにより、表裏共に緻密に交絡一
体化した複合不織布を得ることができるので、複合不織
布の用途に応じて、また、積層数の多いもの及び積層体
の目付の大きいもの等に適用すればよい。
【0046】高圧液体流処理を施した後、処理後の前記
積層体から過剰水分を除去する。この過剰水分を除去す
るに際しては、公知の方法を採用することができる。例
えば、マングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分を
ある程度機械的に除去し、引き続きサクシヨンバンド方
式の熱風循環式乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水分
を除去する。
【0047】短繊維ウエブを積層する長繊維ウエブとし
て捲縮が未発現のものを用いた時は、三次元交絡一体化
処理後に得られた複合不織布に前記弛緩熱処理を施し、
長繊維が有する潜在捲縮を顕在化させて、短繊維ウエブ
側に微細なシボを有し、嵩高で伸縮性を有する複合不織
布を得ることができる。
【0048】また、得られた複合不織布に、前記弛緩熱
処理を施した温度以上の温度で(ただし、長繊維を構成
する重合体のうち低融点を有する重合体以下の温度で再
弛緩熱処理を施してもよい。この再弛緩熱処理により、
さら捲縮が顕在化するため、短繊維ウエブ側に微細なシ
ボを有し、さらに嵩高で伸縮性を有する複合不織布を得
ることができる。
【0049】
【作用】本発明の複合不織布は、長繊維ウエブを構成す
る長繊維が潜在捲縮能を有してその捲縮が顕在化し、立
体的なスパイラルクリンプを発現するため、複合不織布
は、繊維間空隙を有する嵩高性に富み、柔軟性にも優れ
るたものとなる。また、長繊維ウエブは、複合不織布の
機械的強力の向上にも寄与するものである。
【0050】長繊維ウエブに積層される短繊維ウエブ
は、繊度の小さい短繊維を主体とするものであり、これ
ら繊度の小さい短繊維は曲げ剛性が小さく易動性に優れ
る。従って、高圧液体流処理による長繊維ウエブとの交
絡一体化の際、かかる易動性に優れる短繊維が水流の衝
撃により積極的に長繊維ウエブの構成繊維内へ入り込
み、構成繊維同士を緻密に交絡一体化させるので、その
交絡は解舒しにくく安定した層間剥離強力に優れた複合
不織布となる。
【0051】本発明の複合不織布は、医療・衛生材用、
衣料用、生活関連資材用、産業資材用等様々な分野にお
いて好適に用いられる。例えば、その一例として、ワイ
パー等の拭き取り用として使用するのに好適である。す
なわち、複合不織布の短繊維ウエブ面で拭き取り、汚れ
等は細繊度の短繊維で拭き取り、水分等は毛細管現象に
よりすばやく吸い上げ、その水分は繊維間空隙の大きい
長繊維ウエブ側に内包されることとなる。
【0052】また、フイルターとして使用するのに好適
である。例えば、食品工業における濾過布、ケイ藻土濾
過のフイルター、井戸水等から除粒子、除鉄の際の濾過
布等の用途に好適に用いられる。繊維間空隙の大きい長
繊維ウエブ側にて大きな粒子を捕集し、繊維間空隙の比
較的小さい短繊維ウエブ側にて微粒子を捕集することが
可能となり、濾過対象物の大きさや種類に応じた分別収
集をも可能となるため、本発明の複合不織布は一枚の不
織布でありながら、優れたフイルター性能を長期に亘っ
て維持でき、フイルター寿命の長い濾過布として使用で
きる。
【0053】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0054】以下の実施例における各種特性値の測定
は、次の方法により実施した。
【0055】(1)融 点(℃) パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用
い,昇温速度20℃/分の条件で測定し,得られた融解
吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。
【0056】(2)固有粘度〔η〕 試料をフエノール/テトラクロロエタン=1/1の等重
量溶媒に加熱溶解し、ウベローゼ型粘度管で20℃にて
測定した値を固有粘度とした。
【0057】(3)分割型二成分系複合短繊維の分割割
繊後の繊度(デニール) 電子顕微鏡写真の形状寸法から断面積を算出して密度補
正して求めた。
【0058】(4)分割型二成分系複合短繊維の割繊率
(%) 短繊維ウエブの任意の10カ所を選び、その断面を10
0倍に拡大して断面写真を撮影した。1枚の断面写真か
らランダムに30本の繊維を選び、下記式により割繊率
を求めた。同様の操作を10枚の断面写真について行
い、得られた値の平均値をその短繊維ウエブの割繊率と
した。 割繊率(%)=(30/X)×100 上式において、Xは完全に割繊されたと仮定したときの
各々の繊維形成性重合体からなる割繊極細短繊維の総
数。
【0059】(5)不織布の目付(g/m) 標準状態の試料から縦10cm×横10cmの試料片計
10点を作成し、平衡水分に到らしめた後、各試料片の
重量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積
(m)当たりに換算して目付(g/m2)とした。
【0060】(6)引張強力(kg/5cm幅) JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測定し
た。すなわち、幅5cm、長さ10cmの試料片を10
点作成し、各試料片ごとに不織布のMD方向について定
速伸長型引張試験機(東洋ボールドウイン社製テンシロ
ンUTM−4−1−100)を用い、試料の掴み間隔1
0cmとし、引張速度10cm/分で伸長した。得られ
た切断時荷重値(kg/5cm幅)の平均値を引張強力
(kg/5cm幅)とした。
【0061】(7)圧縮剛軟度(g) 幅5cm、長さ10cmの試料片を5点作成し、各試料
片ごとに横方向に曲げて円筒状物とし、各々その端部を
接合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。次いで、各
測定試料ごとにその軸方向について定速伸長型引張試験
機(東洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−4−1
−100)を用い、圧縮速度5cm/分で圧縮し、得ら
れた最大荷重値(g)の平均値を圧縮剛軟度(g)とし
た。
【0062】(8)層間剥離強力(g/5cm幅) 幅5cm、長さ10cmの試料片を5点作成し、各試料
片ごとに不織布の縦方向について定速伸長型引張試験機
(東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−4−1−
100)を用い、長繊維ウエブ層と短繊維ウエブ層の端
部を同試験機のチヤツクに各々把持させ引張速度10c
m/分で剥離した時の荷重値の平均値を層間剥離強力
(g)とした。
【0063】(9)吸水性(mm/10分) JIS L−1096に記載のバイレツク法に準じて測
定した。
【0064】(10)嵩密度(g/cc) 幅10cm、長さ10cmの試料片を5点作成し、厚み
測定器(大栄科学精機製作所株式会社製)にて4.5g
/cm2 Gの荷重の印加により個々の不織布の厚みを測
定して平均値を厚み(mm)とし下式により得られる値
を不織布の嵩密度(g/cc)とした。
【0065】嵩密度(g/cc)=目付(g/m2 )/
〔厚み(mm)×1000〕 本発明において、嵩密度が0.1g/cc以下であると
ものを嵩高であるとし、この値が小さいほど嵩高性に優
れるものである。
【0066】実施例1 互いに熱収縮性の異なる2種の繊維形成性重合体とし
て、融点256℃、固有粘度〔η〕が0.48のポリエ
チレンテレフタレートと融点256℃、固有粘度〔η〕
が0.64のポリエチレンテレフタレートを用いた。糸
断面が並列型複合断面になる紡糸口金を用い、複合比を
重量比で1:1とし、単孔吐出量=1.53g/分で紡
糸した。紡出糸条を冷却した後、エアーサッカーにより
4600m/分の速度で引き取り、公知の開繊器にて開
繊させ、移動する補集面上に補集・堆積させて長繊維ウ
ェブとし、該長繊維ウェブに熱エンボスローラーにて、
ポイント柄、加工温度230℃、圧接面積率10%の条
件下で部分熱圧着を行い、目付が25g/m2 の長繊維
ウエブを得た。長繊維の繊度は3デニールであった。
【0067】次いで、前記部分的に熱圧着された長繊維
ウエブに、熱処理温度が215℃のシユリンクドライヤ
ー(寿工業株式会社製)にて弛緩熱処理を行い、潜在捲
縮の顕在化処理を施した。捲縮が発現した長繊維ウエブ
の目付は40g/m2 であり、この長繊維ウエブを顕微
鏡で観察した結果、構成繊維は24ケ/インチの捲縮数
を発現していた。
【0068】一方、短繊維ウェブとして、糸断面が図2
に示す複合形態で、ポリエチレンとポリエチレンテレフ
タレートとからなる分割型二成分系複合短繊維を準備し
た。
【0069】すなわち、ポリエチレン(融点128℃、
ASTM D1238(E)で測定したメルトインデツ
クスが25g/10分)と長繊維の製造に用いた固有粘
度〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタレートを用
いて,図2に示す複合形態で全分割数が12個となるよ
うな分割型複合紡糸口金より、複合比を重量比で1:1
とし、単孔吐出量=0.72g/分で紡糸した。紡出糸
条を冷却し、仕上げ油剤を付与した後、引取速度が10
00m/分の引取ロールを介して未延伸糸として捲き取
った。
【0070】次いで、得られた未延伸糸を複数本引き揃
えてトウとなし、公知の延伸機を用いて延伸倍率が2.
8で延伸を行った後、押込式捲縮付与装置にて捲縮を付
与し、51mmの繊維長に切断して2.4デニールの短
繊維を得た。該短繊維を用い、ランダムカード機にて目
付が20g/m2 の短繊維ウェブを準備した。
【0071】続いて、潜在捲縮が顕在化した長繊維ウエ
ブの片面に短繊維ウェブを積層した積層体を50メツシ
ユの金網上に積載し、高圧液体流処理を施した。高圧液
体流処理は、孔径0.12mmの噴射孔が孔面積0.6
2mmで配置された高圧液体流処理装置を用い、前記積
層体の上方50mmの位置から液体流圧力80kg/c
2 Gの条件下で短繊維ウェブ側より処理を施した。得
られた複合不織布より過剰水分の除去と乾燥処理を施し
て、目付が60g/m2 の複合不織布を得た。
【0072】得られた複合不織布を顕微鏡にて観察した
ところ、ポリエチレンからなる割繊極細短繊維とポリエ
チレンテレフタレートからなる割繊極細短繊維の割繊率
は92%であり、ポリエチレンおよびポリエチレンテレ
フタレートからなる割繊極細短繊維の単糸繊度は、各々
0.2デニールであった。
【0073】また、立体的な捲縮を有する長繊維と割繊
極細短繊維および割繊極細短繊維同士が3次元的に交絡
し、緻密に一体化した複合不織布であった。
【0074】実施例2 短繊維ウェブとして、実施例1で用いた分割型二成分系
複合短繊維と平均繊維長25mm、平均繊度1.5デニ
ールのコットンとを70/30(重量%)の割合で混綿
したこと以外は、実施例1と同一条件にて目付が60g
/m2 の複合不織布を得た。
【0075】実施例3 長繊維ウエブとして、共重合ポリエステルとポリエチレ
ンテレフタレートとの並列型複合長繊維からなる長繊維
ウエブを用いた。
【0076】すなわち、互いに熱収縮性の異なる2種の
繊維形成性重合体として、イソフタル酸を16モル%共
重合してなる融点201℃、固有粘度〔η〕が0.65
の共重合ポリエステルと、実施例1で用いた固有粘度
〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタレートを使用
した。そして、糸断面が並列型複合断面となるような複
合紡糸口金より、複合比を重量比で1:1とし、単孔吐
出量1.47g/分で紡糸した。紡出糸条を冷却した
後、エアーサッカーにより4400m/分の速度で引き
取り、公知の開繊器にて開繊させ、移動する補集面上に
補集・堆積させて長繊維ウェブとし、該長繊維ウェブに
熱エンボスローラーにて、ポイント柄、加工温度180
℃、圧接面積率10%の条件下で部分熱圧着を行い、目
付が22g/m2 の長繊維ウエブを得た。長繊維の繊度
は、3デニールであった。
【0077】次いで、前記部分的に熱圧着された長繊維
ウエブを熱処理温度が170℃のシユリンクドライヤー
(寿工業株式会社製)に通布して弛緩熱処理を行い、潜
在捲縮の顕在化処理を施した。捲縮を発現した長繊維ウ
エブの目付は40g/m2 で、この長繊維ウエブを顕微
鏡で観察した結果、構成繊維は31ケ/インチの捲縮数
を発現していた。
【0078】続いて、実施例1と同一の短繊維を用い、
実施例1と同様にして目付60g/m2 の複合不織布を
得た。
【0079】実施例4 短繊維ウェブとして、糸断面が図3に示す複合形態で、
ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとの分割型
二成分系複合短繊維を準備した。
【0080】すなわち、実施例1の短繊維に用いたポリ
エチレンおよび固有粘度〔η〕が0.64のポリエチレ
ンテレフタレート重合体を用いて、図3に示すごとく複
合形態で全分割数が24個となるような分割型二成分系
複合紡糸口金より、複合比を重量比で1:1とし、単孔
吐出量0.67g/分で紡糸した。紡出糸条を冷却し、
仕上げ油剤を付与した後、引取速度が1000m/分の
引取ロールを介して未延伸糸として捲き取った。
【0081】次いで、得られた未延伸糸を複数本引き揃
えてトウとなし、公知の延伸機を用いて延伸倍率が2.
6で延伸を行った後、押込式捲縮付与装置にて捲縮を付
与し、51mmの繊維長に切断して2.4デニールの短
繊維を得た。該短繊維を用い、ランダムカード機にて目
付が20g/m2 の短繊維ウェブを準備したこと以外
は、実施例1と同様にして、目付60g/m2 の複合不
織布を得た。
【0082】得られた複合不織布を顕微鏡にて観察した
ところ、ポリエチレンからなる割繊極細短繊維とポリエ
チレンテレフタレートからなる割繊極細短繊維の割繊率
は90%であり、ポリエチレンおよびポリエチレンテレ
フタレートからなる割繊極細短繊維の単糸繊度は、各々
0.1デニールであった。
【0083】また、立体的な捲縮を有する長繊維と割繊
極細短繊維および割繊極細短繊維同士が3次元的に交絡
し、緻密に一体化した複合不織布であった。
【0084】実施例5 長繊維ウエブとして、ポリエチレンとポリプロピレンと
の偏心芯鞘型複合長繊維からなる長繊維ウエブを用い
た。
【0085】すなわち、互いに熱収縮性の異なる2種の
繊維形成性重合体として、実施例1の短繊維に用いたポ
リエチレンと、融点160℃,ASTM D1238
(L)で測定したメルトフローレートが40g/10分
のポリプロピレンを用いた。そして、糸断面においてポ
リエチレンが鞘部を、ポリプロピレンが芯部を形成する
偏心型複合断面となるような複合紡糸口金より、複合比
を重量比で1:1とし、単孔吐出量1.4g/分で紡糸
した。紡出糸条を冷却した後、エアーサツカーにより4
200m/分の速度で引き取り、公知の開繊器にて開繊
させ、移動する補集面上に補集・堆積させて長繊維ウェ
ブとし、該長繊維ウェブに熱エンボスローラーにて、ポ
イント柄、加工温度120℃、圧接面積率10%の条件
下で部分熱圧着を行い、目付が27g/m2 の長繊維ウ
エブを得た。長繊維の繊度は、3デニールであった。
【0086】次いで、前記部分的に熱圧着された長繊維
ウエブを熱処理温度が115℃のシユリンクドライヤー
(寿工業株式会社製)に通布して弛緩熱処理を行い、潜
在捲縮の顕在化処理を施した。捲縮を発現した長繊維ウ
エブの目付は40g/m2 で、この長繊維ウエブを顕微
鏡で観察した結果、構成繊維は19ケ/インチの捲縮数
を発現していた。
【0087】続いて、実施例1と同一の短繊維を用い、
実施例1と同様にして目付が60g/m2 の複合不織布
を得た。
【0088】複合不織布を顕微鏡で観察した結果,長繊
維と割繊単糸および割繊単糸同士が3次元交絡し,緻密
に一体化した複合不織布であった。
【0089】実施例6 実施例5の部分的に熱圧着された長繊維ウエブで長繊維
が有する潜在捲縮を顕在化させていない長繊維ウエブに
実施例1で用いた短繊維ウエブを積層した積層体に、実
施例1と同様の高圧液体流処理を施して複合不織布を得
た。
【0090】次いで、得られた複合不織布を熱処理温度
が115℃のシユリンクドライヤー(寿工業KK)に通
布して弛緩熱処理を行い、捲縮の顕在化加工を施した。
捲縮を発現した複合不織布の目付は52g/m2 で、長
繊維ウエブを顕微鏡で観察した結果、構成繊維は15ケ
/インチの捲縮数を発現していた。
【0091】比較例1 長繊維ウエブとして、実施例1と同一の固有粘度〔η〕
が0.64のポリエチレンテレフタレートを用い単相型
長繊維からなる長繊維ウエブを準備した。
【0092】すなわち、糸断面が丸になる単相紡糸口金
を用い、単孔吐出量1.67g/分で紡糸した。紡出糸
条を冷却した後、引取速度5000m/分の速度で引き
取り、公知の開繊器にて開繊させ、移動する補集面上に
補集・堆積させて長繊維ウェブとし、該長繊維ウェブに
実施例1と同一条件下で部分熱圧着を行い、目付が40
g/m2 の長繊維ウエブを得た。長繊維の繊度は、3デ
ニールであった。
【0093】一方、短繊維ウェブとして、実施例1で用
いた固有粘度〔η〕が0.64のポリエチレンテレフタ
レートを用いて、単相型短繊維を準備した。
【0094】すなわち、糸断面が丸になる単相紡糸口金
を用い、単孔吐出量0.76g/分で紡糸した。紡出糸
条を冷却し、仕上げ油剤を付与した後、引取速度100
0m/分の引取ロールを介して未延伸糸として捲き取っ
た。
【0095】次いで、得られた未延伸糸を複数本引き揃
えてトウとなし、公知の延伸機を用いて延伸倍率が3.
0で延伸を行った後、押込式捲縮付与装置にて捲縮を付
与し、51mmの繊維長に切断して2.4デニールの短
繊維を得た。該短繊維を用い、ランダムカード機にて目
付が20g/m2 の短繊維ウェブを準備した。
【0096】続いて、長繊維ウエブと短繊維ウェブとを
積層し、実施例1と同一条件下にて目付が60g/m2
の複合不織布を得た。
【0097】得られた実施例1〜6、比較例1の複合不
織布の物性を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】表1から明らかなように、実施例1の複合
不織布は、同一素材のポリエチレンテレフタレートであ
って互いに粘度の異なる重合体よりなり並列型複合断面
を有する長繊維からなる長繊維ウエブであって、長繊維
の潜在捲縮が顕在化した長繊維ウエブに、分割型二成分
系複合短繊維からなる短繊維ウェブを積層し、液体流処
理装置を用い、交絡処理を行った複合不織布であるの
で,立体的な捲縮を有する長繊維と割繊極細短繊維およ
び割繊極細短繊維同士が3次元的に交絡し、緻密に一体
化した複合不織布となり、引張強力、層間剥離強力、柔
軟性のいずれにも優れるものであった。
【0100】実施例2の複合不織布は、引張強力、層間
剥離強力、柔軟性のいずれにも優れ、特に短繊維ウエブ
として分割型二成分系複合短繊維と天然繊維であるコッ
トンとの混綿ウェブを用いたので、吸水性にも優れるも
のであった。
【0101】実施例3の複合不織布は、長繊維ウエブと
して共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレート
との並列型複合長繊維を用いたものであり、長繊維ウエ
ブの構成繊維の捲縮数が実施例1より多いため、実施例
1の複合不織布と比較して柔軟性、層間剥離強力、嵩高
性に特に優れるものであった。
【0102】実施例4の複合不織布は、短繊維ウェブの
構成繊維の割繊後の繊度を実施例1よりさらに細くした
ので、実施例1の複合不織布と比較して柔軟性、層間剥
離強力にさらに優れるものであった。
【0103】実施例5の複合不織布は、長繊維ウエブと
してポリエチレンとポリプロピレンとの偏心芯鞘型複合
長繊維からなる長繊維ウエブを用いたので、実施例1の
複合不織布と比較して特に柔軟性に優れるものであっ
た。
【0104】実施例6の複合不織布は、長繊維ウエブと
短繊維ウェブとを積層し、交絡一体化した後に、長繊維
の潜在捲縮の顕在化処理を施したので、短繊維ウエブ側
の表面に微細なシボを有したものとなり、伸縮性を有す
ると共に嵩高性に優れるものであった。
【0105】これに対し、比較例1の複合不織布は、ポ
リエチレンテレフタレートよりなる単相長繊維からなる
長繊維ウエブとポリエチレンテレフタレートの単相短繊
維からなる短繊維ウェブとを積層し、液体流処理装置を
用いて交絡処理を行った複合不織布であるので、柔軟性
および層間剥離強力に著しく劣り、実用性のないもので
あった。
【0106】
【発明の効果】本発明の複合不織布は、立体的な捲縮を
発現してなる長繊維からなる長繊維ウエブと極細短繊維
からなる短繊維ウエブとが交絡一体化したものであり、
両ウエブの構成繊維同士の交絡性に優れ、引張強力、層
間剥離強力、柔軟性に優れ、かつ嵩高性にも優れるもの
である。
【0107】また、本発明の複合不織布は、医療・衛生
材用、衣料用、生活関連資材、産業資材用途等様々な分
野において種々の用途に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる分割型二成分系複合短繊
維の横断面の一実施模式図である。
【図2】 本発明に用いられる分割型二成分系複合短繊
維の横断面の一実施模式図である。
【図3】 本発明に用いられる分割型二成分系複合短繊
維の横断面の一実施模式図である。
【図4】 本発明に用いられる分割型二成分系複合短繊
維の横断面の一実施模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在捲縮能を有し、かつその潜在捲縮が
    顕在化された長繊維からなる長繊維ウェブに、主として
    単糸繊度が1デニール未満の短繊維からなる短繊維ウェ
    ブが積層されてなり、かつ長繊維ウエブの構成繊維同
    士、長繊維ウエブと短繊維ウエブの構成繊維同士および
    短繊維ウエブの構成繊維同士の三次元的交絡により一体
    化してなることを特徴とする複合不織布。
  2. 【請求項2】 長繊維が、互いに熱収縮性の異なる2種
    の繊維形成性重合体が繊維の長さ方向に沿って並設され
    た並列型複合繊維または、互いに熱収縮性の異なる2種
    の繊維形成性重合体が偏心芯鞘構造に配置された偏心芯
    鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項1記載の複
    合不織布。
  3. 【請求項3】 短繊維ウエブは、天然繊維および/また
    は再生繊維からなる短繊維が30重量%未満混綿されて
    なることを特徴とする請求項1または2に記載の複合不
    織布。
  4. 【請求項4】 互いに熱収縮性の異なる2種の繊維形成
    性重合体からなる並列型複合長繊維あるいは偏心芯鞘型
    複合長繊維を溶融紡糸し、エアーサツカーを用いて引取
    り、スクリーンコンベア等の移動式捕集面上に開繊堆積
    させて長繊維ウエブとし、前記長繊維ウエブを部分熱圧
    着装置を用いて部分的に熱圧着した長繊維ウエブを得る
    工程と、弛緩熱処理することにより長繊維の潜在捲縮を
    顕在化させる工程と、長繊維ウェブの片面に主として単
    糸繊度が1デニール未満の繊維からなる短繊維ウェブを
    積層した積層体に高圧液体流処理を施して、長繊維ウエ
    ブの構成繊維同士、長繊維ウエブと短繊維ウエブの構成
    繊維同士および短繊維ウエブの構成繊維同士を三次元的
    に交絡させ全体として一体化させて複合不織布を得る工
    程とからなることを特徴とする複合不織布の製造方法。
  5. 【請求項5】 天然繊維および/または再生繊維からな
    る短繊維を30重量%未満混綿した短繊維ウエブを用い
    ることを特徴とする請求項4記載の複合不織布の製造方
    法。
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JP2020105084A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 日本バイリーン株式会社 貼付薬用基材
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