JPH11158763A - 複合不織布およびその製造方法 - Google Patents

複合不織布およびその製造方法

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JPH11158763A
JPH11158763A JP9325934A JP32593497A JPH11158763A JP H11158763 A JPH11158763 A JP H11158763A JP 9325934 A JP9325934 A JP 9325934A JP 32593497 A JP32593497 A JP 32593497A JP H11158763 A JPH11158763 A JP H11158763A
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fiber
fabric
fibers
short
mesh
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JP9325934A
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Nobuo Noguchi
信夫 野口
Atsushi Matsunaga
篤 松永
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
Michiyo Kato
美智代 加藤
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成繊維が脱落しにくく寸法安定性を有する
スパンレース不織布を得る。 【解決手段】熱接着性繊維を有するメッシュ状布帛の片
面に短繊維不織ウェブが積層され、メッシュ状布帛の構
成繊維に短繊維不織ウェブの構成繊維が交絡し、短繊維
不織ウェブの構成繊維相互が交絡し、かつメッシュ状布
帛と短繊維不織ウェブの構成繊維とが熱接着性成分によ
り熱接着された複合不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構成繊維同士が三
次元的に交絡してなる不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】構成繊維同士が三次元的に交絡してなる
不織布としては、高圧液体流の作用により交絡が施され
たスパンレース不織布が挙げられる。
【0003】スパンレース不織布は、短繊維不織ウエブ
に高圧液体流を作用させ、短繊維不織ウェブおよび短繊
維不織ウェブを載置した支持板を高圧液体流が貫通する
ことにより短繊維相互間に交絡が生じ、不織布の形態が
保持されたものである。従って、スパンレース不織布
は、短繊維相互の主体的な交絡のみによって形態が保持
されたものであるため、構成短繊維の剛性、繊維長、単
糸繊度等によっては、交絡性が乏しくなり、優れた機械
性能が得られにくいという問題がある。
【0004】また、構成繊維同士の交絡性に優れたスパ
ンレース不織布であっても、前記構成であることから、
用途によっては、構成繊維が脱落し易いという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題を
解決し、機械的強力に優れ、構成繊維が脱落しにくい、
寸法安定性を有するスパンレース不織布を提供するもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するものであって、以下の構成よりなるものである。
【0007】すなわち、本発明は、繊維表面の少なくと
も一部が熱接着性成分で形成されてなる熱接着性繊維を
有するメッシュ状布帛の少なくとも片面に短繊維不織ウ
ェブが積層されてなる複合不織布であり、メッシュ状布
帛の構成繊維に短繊維不織ウェブの構成繊維が交絡して
いるとともに、短繊維不織ウェブの構成繊維相互が交絡
してなり、かつメッシュ状布帛と短繊維不織ウェブの構
成繊維とが熱接着性成分により熱接着されていることを
特徴とする複合不織布を要旨とするものである。
【0008】また、本発明は、繊維表面の少なくとも一
部が熱接着性成分で形成されてなる熱接着性繊維を有す
るメッシュ状布帛の少なくとも片面に、短繊維不織ウェ
ブを積層して積層体を得、この積層体に高圧液体流処理
を施して、メッシュ状布帛の構成繊維に該短繊維不織ウ
ェブの構成繊維を交絡させるとともに、短繊維不織ウェ
ブの構成繊維相互を交絡させ、メッシュ状布帛と短繊維
不織ウェブとを一体化させ、次いで、熱処理を施して熱
接着性成分を軟化または溶融させ、メッシュ状布帛と短
繊維不織ウェブの構成繊維とを熱接着することを特徴と
する複合不織布の製造方法を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明において用いるメッシュ状布
帛とは、開孔部すなわち布帛を直線的に貫通する孔を有
する布帛であり、開孔率(メッシュ状布帛の面積に対す
る開孔部の全面積)が、30〜80%の範囲であるメッ
シュ状布帛であることが好ましい。開孔率が30%未満
であると、短繊維が布帛の開孔部へ侵入しにくいもので
あったり、また、布帛を構成する繊維が太く、短繊維と
の交絡性が乏しいものとなるため好ましくない。一方、
開孔率が80%を超えると、布帛を構成する繊維は細く
できるものの、熱接着性成分が減少するため、複合不織
布表面に短繊維の毛羽立ちが生じやすく、また形態安定
性が乏しくなる傾向にある。
【0010】本発明に用いるメッシュ状布帛としては、
例えば、粗目の織物、編物、フィルムをフィブリル化し
て、ネット状に拡開させたネット状フィルム、スパンボ
ンド法により得られる長繊維不織布であって、低目付で
開孔を有する長繊維不織布、比較的粗目の多孔性支持板
上に不織ウェブを載置し、高圧液体流を施すことにより
得られるメッシュ状のスパンレース不織布、糸条を縦・
横の格子状に配列させたものを熱処理により糸条の交点
を溶融接着させたもの等が挙げられる。また、糸条を縦
・横の格子状に配列させたものをメッシュ状布帛として
用い、短繊維不織ウエブとの交絡一体化処理後の熱処理
により、糸条の交差点を熱接着させてもよい。
【0011】スパンボンド法により得られる長繊維不織
布は、構成繊維がランダムに配置された構成であるが、
構成繊維の重なりが少なく、開孔を有する構成のものが
用いられる。一般にスパンボンド法により得られる長繊
維不織布は、多数の熱圧接部を有し、形態保持されてい
る。この多数の熱圧接部は、例えば、表面に凸部の熱圧
接部が彫刻されたエンボスロールと表面フラットなロー
ルを対とする熱圧接装置に通布することにより付与され
る。
【0012】1個の熱圧接部の形状は特に限定されるも
のではなく、円形、四角形、その他の多角形、菱形、井
型あるいは線による格子を形成するものであってもよ
い。1個の熱圧接部の面積は0.1〜2mm2 の範囲が
好ましい。また、長繊維不織布全表面積に対する熱圧接
部の面積は8〜30%の範囲が好ましい。1個の熱圧接
部の面積が0.1mm2 未満であり、かつ熱圧接部の面
積が8%未満であると、長繊維不織布の形態保持性が乏
しくなる傾向にあり、一方、1個の熱圧接部の面積が2
mm2 を超え、かつ熱圧接部の面積が30%を超える
と、短繊維不織ウェブの構成繊維との交絡性に劣る傾向
にある。
【0013】前記したメッシュ状布帛のうち、短繊維不
織ウエブとの交絡性、得られる複合不織布の機械的強
力、寸法安定性を考慮すると、粗目の織物を用いるのが
好ましく、さらには、経糸と緯糸の配列間隔がともに6
〜20本/25mmである織物が好ましい。
【0014】経糸と緯糸の配列間隔がともに6本/25
mm未満では、布帛を構成する繊維本数が少ないため、
得られる複合不織布は、短繊維が熱接着性成分により十
分に熱接着固定化されず、複合不織布の用途によって
は、不織布表面に短繊維の毛羽立ちや脱落が発生しやす
くなる傾向にある。また、20本/25mmを超える
と、短繊維不織ウェブと織物との交絡性が低下する傾向
となり、また、熱処理後の複合不織布の柔軟性が劣る傾
向にある。
【0015】メッシュ状布帛を構成する繊維の素材とし
ては、天然繊維、再生繊維、熱可塑性重合体からなる繊
維等の従来公知のものが用いられ、その形態としては、
紡績糸、マルチフィラメント、モノフィラメント、フィ
ルムを裁断して得られるフラットヤーン等が挙げられ
る。
【0016】天然繊維としては、コットン、ウール、リ
ネン、シルク等が挙げられる。コットンの場合、晒し綿
や晒し加工の施されていないコーマ糸等を用いることが
できる。
【0017】再生繊維としては、銅アンモニアレーヨン
繊維、ビスコースレーヨン繊維等の他、溶剤紡糸で得ら
れるリヨセル繊維であってもよい。
【0018】熱可塑性繊維としては、ポリエステル系重
合体、ポリオレフィン系重合体、脂肪族ポリエステル系
重合体、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体、ポリア
ミド系重合体、アクリル系重合体、ポリビニルアルコー
ル系重合体から得られる繊維およびこれらの重合体を主
成分とした共重合体から得られる繊維またはこれらの重
合体のうち2種以上の重合体が複合されてなる複合繊維
を使用することができる。
【0019】複合繊維の複合形態としては、芯鞘型、貼
り合わせ型、海島型、断面多葉型等が挙げられる。
【0020】ポリエステル系重合体としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
等の芳香族ジカルボン酸あるいはアジピン酸、セバチン
酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類を
酸成分とし、かつエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオー
ル化合物をエステル成分とするホモポリエステル重合体
あるいは共重合体が挙げられる。
【0021】なお、これらのポリエステル系重合体に
は、パラオキシ安息香酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリト
ール、ビスフェノールA等が添加あるいは共重合されて
いてもよい。
【0022】ポリオレフィン系重合体としては,炭素数
2〜18の脂肪族α−モノオレフィン、例えば、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチ
ル−1−ブテン、1−ヘキサン、1−オクテン、1−オ
クタデセンからなるポリオレフィン系重合体が挙げられ
る。これらの脂肪族α−モノオレフィンは、多くのエチ
レン系不飽和モノマー、例えば、ブタジエン、イソプレ
ン、1,3−ペンタジエン、スチレン、α−メチルスチ
レンのような類似のエチレン系不飽和モノマーが共重合
されたポリオレフィン系重合体であってもよい。また、
ポリエチレン系重合体の場合には、エチレンに対してプ
ロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンま
たは類似の高級α−オレフィンが10重量%以下共重合
されたものであってもよく、ポリプロピレン重合体の場
合には、ポリプロピレンに対してエチレンまたは類似の
高級α−オレフィンが10重量%以下共重合されたもの
であってもよい。前記共重合体の共重合割合が10重量
%を超えると、共重合体の融点が低下するため、これら
の共重合体からなる複合不織布をを高温下で使用した、
不織布の機械的特性や寸法安定性が低下する傾向があ
る。
【0023】脂肪族ポリエステル系重合体としては、α
−ヒドロキシ酸や乳酸を重合させてなるポリグリコール
酸やポリ乳酸またはこれらの共重合体を用いることがで
きる。また、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−
プロピオラクトン)等のポリ(ω−ヒドロキシアルカノ
エート)も用いることができる。さらに、ポリ−3−ヒ
ドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレ
ート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−
ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオク
タノエート等のポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)
またはこれらにポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ
−4−ヒドロキシブチレート等を構成するモノマー成分
を共重合させたものを用いることができる。
【0024】さらには、アジピン酸やセバチン酸等の脂
肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル類を酸成分と
し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ
ール等のジオール化合物をグリコール成分とする重合体
または共縮重合体を用いることもできる。具体的には、
ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、
ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、
ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、
ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケー
ト、ポリエチレンオキサレート、ポリネオペンチルオキ
サレートまたはこれらの共重合体を用いることができ
る。
【0025】ポリアミド系重合体としては、例えば、ポ
リイミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、
ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリ
カプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン
11)、ポリドデカナミド(ナイロン12)、ポリメタ
キシレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカナミド、
ポリビスシクロヘキシルメタンデカナミドを用いること
ができる。
【0026】また、これらのポリアミド系重合体を構成
しているモノマーを2種以上混合して共重合させたポリ
アミド系共重合も用いることができる。特にポリテトラ
メチレンアジパミドを用いる場合、ポリカプラミド、ポ
リヘキサメチレンアジパミド、ポリウンデカメチレンテ
レフタラミド等を構成するモノマー成分を30モル%以
下共重合させたポリテトラメチレンアジパミド系共重合
体を用いるのが好ましい。なお、共重合割合が30モル
%を超えると共重合体の融点が低下するため、この共重
合体からなる複合不織布を高温条件下で使用したとき、
機械的特性や寸法安定性が低下する傾向となる。
【0027】脂肪族ポリエステルアミド系共重合体とし
ては、前記した脂肪族ポリエステル系重合体と、ポリイ
ミノ−1−オキソテトラメチレン(ナイロン4)、ポリ
テトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプ
ラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン66)、ポリウンデカナミド(ナイロン1
1)、ポリドデカナミド(ナイロン12)等の脂肪族系
ポリアミド重合体とをエステルアミド交換反応により共
重合したものを用いることができる。
【0028】上記した各種熱可塑性重合体中には、必要
に応じて艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、
結晶化促進剤、抗菌剤等の各種添加剤を本発明の目的を
損なわない範囲で添加してもよい。
【0029】また、前記繊維からなる糸条、編物または
織物から得られる反毛を用いることもできる。この反毛
は、単に漂白しただけのものや染色したもの等、どのよ
うな状態のものであってもよい。反毛を得る際に用いる
反毛機としては、ラッグ・マシン、ノット・ブレーカ
ー、ガーネット・マシン、廻切機等を用いることができ
る。反毛の手段は、反毛される布帛の形状、構成する糸
の太さや撚の強さにもよるが、同一の反毛機を数台直列
に連結させたり、2種以上の反毛機を組み合わせて用い
ると、効率よく反毛することができる。
【0030】反毛の際の開繊率は、30〜95%の範囲
が好ましい。開繊率が30%未満であると、反毛となっ
ていない糸条物が多く残存しているため、交絡性に劣る
傾向となる。また、開繊率が95%を超えると、得られ
た反毛の表面摩擦強度が低下しており、メッシュ状布帛
の構成繊維への交絡が強固に行えなかったり、複合不織
布表面が毛羽立ちやすい傾向となる。なお、反毛の開繊
率とは、以下の式によって求める。 開繊率(%)=(被反毛重量−糸条物重量)×100/
被反毛重量 構成繊維の断面形状は、円形断面の他、三角形、四角
形、井形、楕円形、偏平形、十字形、多葉形等の異形断
面形状であってもよい。また、前記円形または異形であ
って、中空部を有する中空断面形状の繊維でもよい。
【0031】本発明に用いられるメッシュ状布帛は、繊
維表面の少なくとも一部が熱接着性成分で形成されてな
る熱接着性繊維を有している。熱接着成分は、熱処理に
より、軟化または溶融するものであり、低融点重合体に
より形成されている。熱接着性繊維の形態としては、熱
接着性成分(低融点重合体)のみからなる単相繊維であ
っても、熱接着性成分(低融点重合体)と他の重合体と
が複合された複合繊維であってもよい。複合形態として
は、芯鞘型、貼り合わせ型、海島型、断面多葉型等が挙
げられ、いずれの形態においても、熱接着性成分(低融
点重合体)が繊維表面の少なくとも一部を形成してい
る。
【0032】熱接着性繊維として複合形態のものを用い
る場合、高融点重合体と低融点重合体とが複合されてな
るものを用いるのが好ましい。特に、高融点重合体の融
点と低融点重合体の融点との差が30℃以上であること
が好ましく、さらには、この差が50℃以上であること
が好ましい。高融点重合体/低融点重合体の組み合わせ
としては、ポリエステル/ポリオレフィン、高融点ポリ
エステル/低融点ポリエステル、ポリアミド/ポリオレ
フィン、高融点ポリアミド/低融点ポリアミド、ポリプ
ロピレン/ポリエチレン、高融点脂肪族ポリエステル/
低融点脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0033】熱接着性繊維として、特に好ましい繊維の
形態は、高融点重合体を芯成分、低融点重合体を鞘成分
に配した芯鞘型複合繊維である。高融点重合体と低融点
重合体とが複合されてなる芯鞘型複合繊維は、熱処理が
施された際、鞘成分の低融点重合体のみが軟化または溶
融するものの、芯成分の高融点重合体は熱軟化をきたす
ことなく、繊維形態を保つため、繊維本来の柔軟性が損
なわれることなく存在する。結果的に得られる複合不織
布が柔軟性と良好な機械的強力を有するものとなるため
好ましい。
【0034】芯成分と鞘成分の複合重量比は、特に限定
されないが、芯成分/鞘成分が70/30〜30/70
の範囲であればよく、より好ましくは60/40〜40
/60の範囲である。
【0035】前記範囲内で、熱接着性成分である鞘成分
の量を50重量%以下とすることにより、熱処理の施さ
れた芯鞘型複合繊維が柔軟性を保持し、柔軟性に富む複
合不織布が得られる。熱接着性成分である鞘成分の量が
50重量%を超えると、機械的強力に優れ、単糸がより
脱落しにくい複合不織布が得られる。芯成分と鞘成分の
複合重量比は、目的とする複合不織布の用途に応じて適
宜選択すればよい。
【0036】熱接着性繊維の形態は、短繊維であっても
長繊維であってもよく、また、フィルムを裁断して得ら
れるフラットヤーンでもよい。短繊維の場合は、熱接着
性繊維単独で紡績糸条を得るか、他の繊維と混繊や混紡
することにより紡績糸条を得ることができる。
【0037】メッシュ状布帛の目付は、15〜60g/
2 の範囲であればよい。メッシュ状布帛の目付が15
g/m2 未満では、複合不織布の寸法安定性に劣る傾向
となり、一方、60g/m2 を超えると、複合不織布の
寸法安定性は向上するものの、メッシュ状布帛の構成繊
維と短繊維不織ウェブの構成繊維との交絡性に劣る傾向
となり、結果として短繊維不織ウェブの短繊維の毛羽立
ちや単糸の脱落が生じやすい傾向となる。
【0038】次に、前記メッシュ状布帛の少なくとも片
面に積層する短繊維不織ウェブについて説明する。短繊
維不織ウェブを構成する短繊維としては、前記メッシュ
状布帛を構成する繊維の素材と同様の天然繊維、再生繊
維、熱可塑性繊維が用いられ、その他、天然パルプ、熱
可塑性重合体からなる合成パルプも用いらることができ
る。
【0039】また、熱可塑性繊維の場合、単一の重合体
からなる単相繊維であっても、2種以上の重合体が複合
されてなる複合繊維であってもよい。複合繊維の複合形
態や繊維の断面形状としては、前記メッシュ状布帛を構
成する繊維と同様のものを用いることができる。
【0040】熱可塑性繊維、合成パルプを用いる場合
は、メッシュ状布帛が有する熱接着性成分の融点よりも
30℃以上高い融点を有する重合体からなるものが好適
に用いられる。熱接着性成分と短繊維との融点差が30
℃未満であると、熱処理の際に、短繊維不織ウェブの構
成繊維までもが軟化し、得られる複合不織布の柔軟性が
劣る傾向となる。
【0041】短繊維不織ウェブとして、天然繊維、天然
パルプ、再生繊維または、脂肪族ポリエステル系重合
体、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体等の生分解性
を有する重合体からなる繊維、合成パルプを用い、メッ
シュ状布帛の構成繊維として、脂肪族ポリエステル系重
合体、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体等の生分解
性を有する重合体からなる繊維を用いた本発明の複合不
織布は、生分解性を有するものとなるため、複合不織布
を使い捨て等の用途に用いる場合には、環境上好まし
い。また、短繊維不織ウェブの構成繊維、メッシュ状布
帛の構成繊維として、前記生分解性を有する繊維を複数
種用いてもよいことはいうまでもない。
【0042】また、短繊維不織ウェブとして、熱収縮性
の異なる2種以上の重合体が貼り合わされた複合短繊維
や偏芯芯鞘型複合短繊維等の潜在捲縮性を有する短繊維
を用い、潜在捲縮性繊維の捲縮を交絡一体化処理後の熱
処理工程で発現させ、複合不織布を適度に収縮させて、
厚みと嵩高性が付与された複合不織布としてもよい。
【0043】短繊維不織ウェブは、カード機によるカー
ディング法、エアレイ法、湿式法等により所定目付のも
のを得ることができる。カーディング法を用いる際は、
複合不織布の用途等に合わせて、構成繊維の配列度合を
適宜選択することができる。構成繊維の配列パターンと
しては、構成繊維が一方向に配列したパラレルウェブ、
パラレルウェブがクロスレイドされて繊維の配列が機械
方向から横方向に変更されたウェブ、ランダムカード機
による繊維の配列が一様でないランダム不織ウェブある
いは両者の中程度に配列したセミランダムカード機によ
るセミランダムウェブ等が挙げられる。
【0044】短繊維不織ウエブの目付は、特に限定され
ないが、200g/m2 程度以下が好ましい。目付が2
00g/m2 を超えると、メッシュ状布帛と短繊維ウエ
ブとの交絡処理において大きな高圧液体流エネルギ−を
要するとともに用途が限定されることとなる。目付の下
限については特に限定されないが10g/m2 程度であ
ればよい。
【0045】本発明の複合不織布の目付は、25〜25
0g/m2 の範囲であることが好ましい。目付が30g
/m2 未満であると、複合不織布の機械的強力が低く、
形態安定性、寸法安定性に劣る傾向となる。一方、目付
が250g/m2 を超えると、高圧液体流処理を施す際
の加工エネルギーが大きくなり、場合によっては、不織
ウェブの内層において繊維相互に十分な交絡がなされ
ず、機械的強力が低くなる傾向となる。
【0046】次に、本発明の複合不織布の製造方法に関
して説明する。
【0047】前記メッシュ状布帛の少なくとも片面に、
前記短繊維不織ウェブを積層して積層体を得、この積層
体に高圧液体流処理を施して、メッシュ状布帛の構成繊
維に該短繊維不織ウェブの構成繊維を交絡させるととも
に、短繊維不織ウェブの構成繊維相互を交絡させ、メッ
シュ状布帛と短繊維不織ウェブとが一体化した複合不織
布を得る。
【0048】高圧液体流処理は、例えば、孔径0.05
〜2.0mm、好ましくは孔径0.1〜0.4mmの噴
射孔が、噴射孔間隔0.05〜10mmで一列あるいは
複数列に多数配置した装置を用い、噴射孔から液体を5
〜150kg/cm2 Gの圧力で噴射して、支持板上の
載置したに積層体に衝突させるものである。高圧の液体
流が、短繊維不織ウェブを構成している繊維を引き込む
力により、繊維の周りの他の繊維をねじり、曲げ、回し
て繊維相互を緻密に交絡せしめ、一体化させるものであ
る。
【0049】噴射孔は、積層体の進行方向と直交する方
向に列状に配列しているのが好ましい。流体を前記積層
体に衝突させるに際しては、噴射孔が配設されたオリフ
ィスヘッドを積層体の進行方向に対し直角をなす方向に
噴射孔間隔と同一間隔で振幅させ、液体噴射を均一に衝
突させるとよい。また、噴射孔から噴射される液体とし
ては、水あるいは温水を用いるのが一般的である。噴射
孔と積層体との間隔は、1〜15cmとするのが好まし
い。この間隔が1cm未満であると、短繊維不織ウェブ
中の短繊維群の運動が激しくなって、得られる短繊維不
織布の地合が乱れる傾向が生じる。一方、この間隔が1
5cmを超えると、高圧液体流が不織ウェブに衝突した
ときの衝撃力が低下して、交絡が不十分となる傾向にあ
る。
【0050】この高圧液体流噴射の際に用いられる支持
板の材質としては、積層体と支持板とを高圧液体流が通
過し得る構成のものであればよく、50〜200メッシ
ュ(縦・横50〜150本/25mm)の金属製あるい
は合成樹脂製等のメッシュスクリーンや有孔板などが挙
げられる。
【0051】なお、積層体の片面より高圧液体流処理を
施した後、引き続き交絡の施された積層体を反転して高
圧液体流処理を施すことにより、表裏共に緻密に交絡一
体化した複合不織布を得ることができるので、複合不織
布の用途に応じて、また、メッシュ状布帛の両面に短繊
維不織ウェブを積層したものや積層体の目付の大きいも
の等に適用すればよい。
【0052】高圧液体流処理を施した後、処理後の前記
積層体から過剰水分を除去する。この過剰水分を除去す
るに際しては、公知の方法を採用することができる。例
えば、マングルロール等の絞り装置を用いて過剰水分を
ある程度機械的に除去し、引き続きサクションバンド方
式の熱風循環式乾燥機等の乾燥装置を用いて残余の水分
を除去する。
【0053】次に、高圧液体流処理を施して交絡一体化
した複合不織布に熱処理を施し、熱接着性成分を軟化ま
たは溶融させて、メッシュ状布帛と短繊維不織ウェブの
構成繊維とを熱接着して本発明の複合不織布を得る。メ
ッシュ状布帛の構成繊維に短繊維不織ウェブの構成繊維
が交絡し、かつ短繊維不織ウェブの構成繊維同士が交絡
した状態が、熱接着性成分の軟化または溶融による熱融
着により固定化されるため、短繊維不織ウェブの構成繊
維の表面毛羽立ち性、脱落防止性が向上する。また、メ
ッシュ状布帛においても、熱接着性成分同士が熱接着す
るため、複合不織布の寸法安定性、機械的強力が向上す
る。
【0054】熱接着性成分を軟化または溶融させる熱処
理温度としては、熱接着性成分の軟化点または融点温度
(Tm)℃に対し、(Tm+5)〜(Tm+30)℃の
範囲をすればよい。熱処理装置としては、吸引されるサ
クションバンド方式の熱処理機や、熱処理機中において
2方向より乾熱が吹き出す熱処理機が挙げられる。
【0055】本発明の複合不織布には、熱接着の効果を
損なわない範囲で、柔軟性を付与する目的で、上野山機
工株式会社製のカムフィット機等による柔軟加工を施し
てもよい。
【0056】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。本
発明における不織布の性能の測定は、以下の方法により
実施した。
【0057】(1)重合体の融点(℃) パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−2型
を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸熱の最大
値を示す温度を融点(℃)とした。
【0058】(2)ポリエステル重合体の相対粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量比の混合溶媒100
ミリリットルに、0.5gの試料を溶解し、20℃の温
度条件で常法により測定した。
【0059】(3)脂肪族ポリエステル系重合体の溶融
流量値(g/10分) ASTM D1238(L)に記載の方法に準じて測定
した。
【0060】(4)ポリプロピレンのメルトフローレー
ト(g/10分) ASTM D1238(L)に記載の方法により測定し
た。
【0061】(5)布帛の開孔率(%) 図形解析装置を用いて、布帛の任意の5箇所における布
帛の面積(A1 )および開孔部の全面積(A2 )を求
め、次式により算出した開孔率(%)の平均値を開孔率
(%)とした。
【0062】開孔率(%)=(A2 /A1 )×100 なお、布帛が不織布の場合、開孔内にごく少量の繊維が
存在する場合であってもそれは存在しないものとして開
孔率を求めた。
【0063】(6)布帛、不織ウェブ、複合不織布の目
付(g/m2);試料幅10cm、試料長10cmの試料
片を5個作成し、各試料片の標準状態での重量を測定
し、その平均値を目付(g/m2)とした。
【0064】(7)複合不織布の引張強力(kg/5c
m幅)および破断伸度(%) 試料幅5cm、試料長15cmの試料片を10個作成
し、東洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−4−1
−100を用いて、各試料片に、掴み間隔10cm、引
張速度10cm/分の条件で、試料片の長手方向に伸長
し、切断時荷重値(kg/5cm幅)の平均値を引張強
力(kg/5cm幅)、切断時伸長率(%)の平均値を
破断伸度(%)とした。
【0065】(8)複合不織布の圧縮剛軟度(柔軟性)
(g) 試料幅5cm、試料長5cmの試料片を5個作成し、各
試料片を試料の長手方向に曲げ、その両端を接着して円
筒状にしたものを測定用試料とし、東洋ボールドウィン
社製テンシロンUTM−4−1−100を用い、5cm
/分の速度で試料を圧縮し、その最大荷重時の応力を測
定値とし、その平均値(g)を圧縮剛軟度とした。
【0066】実施例1 メッシュ状布帛として、ポリエチレンテレフタレート重
合体にイソフタル酸が20モル共重合されたポリエステ
ル共重合体(融点210℃、相対粘度1.38)からな
る250ミクロンのモノフィラメントを経緯糸に用い
て、打込密度20×20本/インチで織成された開孔率
71%、目付は33g/m2 の織物を用意した。一方、
短繊維不織ウェブとしては、ポリエステル短繊維(融点
256℃、繊維長35mm、繊度1.5デニール)を用
いて目付30g/m2 のパラレルカードウェブを作成し
た。メッシュ状布帛の片面に短繊維不織ウェブ積層して
積層体を得た。
【0067】得られた積層体を移動する70メッシュの
金属製支持体上に載置し、積層体の上方50mmの位置
より、噴射孔径0.1mm、噴射孔間隔0.6mmで一
例に配列された噴射孔から、水圧70kg/cm2 Gの
高圧液体流を噴射して交絡処理を施した。引き続き、交
絡処理を施した複合不織布より余剰の水分を除去し、1
35℃の温度で乾燥処理を施した。次いで、230℃の
温度の熱風により熱処理を施して本発明の複合不織布を
得た。
【0068】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛を
構成する経緯糸の交差点(62個/cm2 )が溶融接着
し、かつメッシュ状布帛の構成糸条に短繊維不織ウェブ
の構成繊維が交絡した状態で、短繊維が溶融した糸条に
接着固定化された状態であった。
【0069】この複合不織布は、目付が63g/m2
引張強力が12kg/5cm幅,破断伸度が17%であ
り、機械的強力、寸法安定性に優れ、また圧縮剛軟度の
測定値が95gと柔軟性を有するものであった。
【0070】実施例2 メッシュ状布帛として、芯成分にポリエチレンテレフタ
レート重合体(融点258℃、相対粘度1.38)を用
い、鞘成分に前記ポリエチレンテレフタレート重合体に
イソフタル酸が40モル共重合されたポリエステル共重
合体(融点110℃、相対粘度1.38の)を用い、複
合比が芯成分/鞘成分=60/40(重量%)である芯
鞘型複合形態の350ミクロンのモノフィラメントを経
緯糸に用いて、打込密度7×7本/インチで織成された
開孔率85%、目付は22g/m2 の織物を用意した。
一方、短繊維不織ウェブとしては、コットン晒し綿(繊
維長24mm、繊度1.3デニール)を用いて目付20
g/m2 のパラレルカードウェブを作成した。メッシュ
状布帛の両面に短繊維不織ウェブを積層して積層体を得
た。
【0071】得られた積層体を移動する100メッシュ
の金属製支持体上に載置し、積層体の上方50mmの位
置より、噴射孔径0.12mm、噴射孔間隔0.6mm
で一例に配列された噴射孔から、水圧100kg/cm
2 Gの高圧液体流を積層体の両面より噴射して交絡処理
を施した。引き続き、交絡処理を施した複合不織布より
余剰の水分を除去し、85℃の温度で乾燥処理を施し
た。次いで、130℃の温度の熱風により熱処理を施し
て本発明の複合不織布を得た。
【0072】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛を
構成する経緯糸の交差点(7.6個/cm2 )が溶融接
着し、かつメッシュ状布帛の構成糸条に短繊維不織ウェ
ブの構成繊維が交絡した状態で、短繊維が溶融した鞘成
分(熱接着性成分)に接着固定化された状態であった。
【0073】この複合不織布は、目付が62g/m2
引張強力が11.7kg/5cm幅、破断伸度が16%
であり、機械的強力、寸法安定性に優れ、また圧縮剛軟
度の測定値が93gと柔軟性を有するものであった。
【0074】実施例3 メッシュ状布帛として、芯成分にポリエチレンテレフタ
レート重合体(融点258℃、相対粘度1.38)、鞘
成分に前記ポリエチレンテレフタレート重合体にイソフ
タル酸が40モル共重合されたポリエステル共重合体
(融点110℃、相対粘度1.38の)を配した芯鞘型
複合短繊維(繊維長38mm、繊度1.5デニール)か
らなる40番手の紡績糸条を経緯糸に用いて、打込密度
15×15本/インチで織成された開孔率55%、目付
は18g/m2 の織物を用意した。一方、短繊維不織ウ
ェブとしては、実施例2の短繊維不織ウェブと同様のコ
ットン晒し綿を用いて目付40g/m2 のパラレルカー
ドウェブを作成した。メッシュ状布帛の片面に短繊維不
織ウェブを積層して積層体を得た。
【0075】高圧液体流処理は、実施例1と同様にして
行い、引き続き、交絡処理を施した複合不織布より余剰
の水分を除去し、85℃の温度で乾燥処理を施した。次
いで、140℃の温度の熱風により熱処理を施して本発
明の複合不織布を得た。
【0076】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛を
構成する経緯糸の交差点が溶融接着し、かつメッシュ状
布帛の構成糸条に短繊維不織ウェブの構成繊維が交絡し
た状態で、短繊維が溶融した鞘成分(熱接着性成分)に
接着固定化された状態であった。
【0077】この複合不織布は、目付が58g/m2
引張強力が12.6kg/5cm幅、破断伸度が12%
であり、機械的強力、寸法安定性に優れ、また圧縮剛軟
度の測定値が71gと柔軟性を有するものであった。
【0078】実施例4 メッシュ状布帛として、スパンボンド法により得られる
芯鞘型複合長繊維不織布を用いた。
【0079】すなわち、芯成分にポリ(D−乳酸)とポ
リ(L−乳酸)が99/1の重量比で共重合されたポリ
乳酸共重合体(融点169℃、溶融流量値30g/分)
を用い、鞘成分にポリブチレンサクシネート重合体(融
点114℃、溶融流量値25g/10分、結晶化温度7
5℃)を用いて複合比を芯成分/鞘成分=60/40
(重量%)とし、溶融温度240℃、単孔吐出量2.8
g/分の条件で、芯鞘型複合紡糸口金より紡出した糸条
を冷却し、エアーサッカーにより4200m/分の速度
で牽引し、単糸繊度6デニール、目付25g/m2 の長
繊維ウエブを作成した。
【0080】得られた長繊維ウエブを1個の凸部の面積
が0.6mm2 、配設密度30個/cm2 で彫刻が施さ
れたエンボスロールと表面フラットなロールからなり、
ロールの表面温度を95℃とした熱接着装置に通布し、
部分的に熱接着した長繊維不織布を作成した。
【0081】得られた長繊維不織布は,縦・横に繊維が
規則的に配されたものではなく、構成繊維が不規則かつ
ランダムに配されたものであったが、構成繊維は、粗に
配されたものであり、開孔率は42%であり、部分的熱
接着部以外における長繊維は、熱による影響がなく、熱
軟化していないものであった。一方、短繊維不織ウェブ
としては、前記ポリ乳酸共重合体からなる短繊維(繊維
長42mm、単糸繊度1.5デニール)と実施例2で用
いたコットン晒し綿とを重量比50:50で混綿し、目
付25g/m2 のパラレルカードウェブを作成した。
【0082】メッシュ状布帛の両面に短繊維不織ウェブ
を積層して積層体を得た。高圧液体流処理は、実施例2
と同様にして行い、引き続き、交絡処理を施した複合不
織布より余剰の水分を除去し、75℃の温度で乾燥処理
を施した。次いで、125℃の温度の熱風により熱処理
を施して本発明の複合不織布を得た。
【0083】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛の
構成繊維の交差点が溶融接着し、かつメッシュ状布帛の
構成繊維に短繊維不織ウェブの構成繊維が交絡した状態
で、短繊維が溶融した鞘成分(熱接着性成分)に接着固
定化された状態であった。
【0084】この複合不織布は、目付が75g/m2
引張強力が11.7kg/5cm幅、破断伸度が16%
であり、機械的強力、寸法安定性に優れ、また圧縮剛軟
度の測定値が82gと柔軟性を有するものであった。
【0085】また、複合不織布の構成繊維のすべてが自
然界において分解可能な繊維により構成されたことによ
り、生分解性を要求される分野において有用な複合不織
布であった。
【0086】実施例5 メッシュ状布帛として、実施例2で用いた織物を用意し
た。一方、短繊維不織ウェブの構成繊維としては、図1
に示される断面形状の分割型複合短繊維を用意した。す
なわち、ポリエチレンテレフタレート重合体(融点25
8℃、相対粘度1.38)と、ポリプロピレン重合体(融
点128℃、メルトフローレイト20g/10分)を用
い、複合比を1/1(重量比)とし、溶融温度295
℃、単孔突出量0.92g/分の条件で、図1に示され
る断面形状の分割型複合短繊維が得られる複合紡糸口金
より紡出した糸条を冷却し、1000m/分の速度で引
き取り未延伸糸条とした。
【0087】得られた未延伸糸条を複数本合糸して未延
伸繊維束を形成し、公知の延伸機を用いて延伸倍率を
3.0とし延伸処理を施した。延伸処理を施した糸条を
押込クリンパーに導き、捲縮を付与し、紡績用油剤を付
与した後、乾燥処理を施し裁断し、単糸繊度3デニー
ル、繊維長38mmの分割型複合短繊維を得た。得られ
た分割型複合繊維を用いて、目付20g/m2 のパラレ
ルカードウェブを作成した。
【0088】メッシュ状布帛の両面に短繊維不織ウェブ
を積層して積層体を得た。得られた積層体を移動する1
20メッシュの金属製支持体上に載置し、積層体の上方
50mmの位置より、噴射孔径0.1mm、噴射孔間隔
0.6mmで一例に配列された噴射孔から、水圧70k
g/cm2 Gの高圧液体流を積層体の両面より噴射して
交絡処理を施した。引き続き、交絡処理を施した複合不
織布より余剰の水分を除去し、85℃の温度で乾燥処理
を施した。次いで、130℃の温度の熱風により熱処理
を施して本発明の複合不織布を得た。
【0089】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛の
構成繊維の交差点(50個/cm2)が溶融接着し、か
つメッシュ状布帛の構成繊維に短繊維不織ウェブの構成
繊維が交絡した状態で、短繊維が溶融した鞘成分(熱接
着性成分)に接着固定化された状態であった。また、短
繊維不織ウェブの構成繊維である分割型複合短繊維は、
互いに非相溶性の重合体が複合されてなる短繊維であっ
たため、高圧液体流噴射による衝撃力により、重合体の
境界面で分割し、ポリエチレンテレフタレート重合体か
らなる単糸繊度0.25デニールの極細割繊繊維とポリ
プロピレン重合体からなる単糸繊度1.5デニールの割
繊繊維となった状態で交絡していた。
【0090】この複合不織布は、目付が62g/m2
引張強力が12.8kg/5cm幅、破断伸度が17%
であり、機械的強力、寸法安定性に優れ、また圧縮剛軟
度の測定値が83gと柔軟性を有するものであった。
【0091】また、両表面層を形成する繊維が極細割繊
繊維であるため、JIS L−1096に記載のフラジ
ール法により測定される通気度が120cc/cm2
secと通気性の乏しい複合不織布であった。
【0092】また、得られた複合不織布より20cm角
の試料を5枚準備し、0.5ミクロンのラテックス粒子
が粒子濃度15mg/m3 、流速3.5m/分の速度で
流れる直径110mmの風洞中に取り付け、光学散乱方
式デジタル表示粉塵計(日本カノマックス社製、モデル
3411)を用いて試料前の粒子濃度Aおよび試料後の
濃度Bを測定し,補集効率(%)=100−〔(A−
B)/A〕×100で求められる各試料の測定値の平均
値が85%の補集効果を有した複合不織布であり、優れ
たフィルター性能を有するものであった。
【0093】実施例6 実施例2において、メッシュ状布帛として、打込密度4
×4本/インチで織成された開孔率89%の織物を用い
た以外は、実施例2と同様にして本発明の複合不織布を
得た。
【0094】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛を
構成する経緯糸の交差点(2.5個/cm2 )が溶融接
着し、かつメッシュ状布帛の構成糸条に短繊維不織ウェ
ブの構成繊維が交絡した状態で、短繊維が溶融した鞘成
分(熱接着性成分)に接着固定化された状態であった。
【0095】実施例2と比較して、メッシュ状布帛の開
孔率が大きいため、短繊維不織ウェブの構成繊維は熱接
着による固定化が促進されない構造となり、400番の
サンドペーパーで複合不織布の表面を擦ったところ、サ
ンドペーパーに短繊維が付着した。したがって、複合不
織布の表面摩擦性が過剰に要求される用途には、やや向
かないものであるが、高い表面摩擦性を要求しない用途
には、好適に用いられるものであった。
【0096】実施例7 実施例2において、メッシュ状布帛として、打込密度3
0×30本/インチで織成された開孔率30%の織物を
用いた以外は、実施例2と同様にして本発明の複合不織
布を得た。
【0097】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛を
構成する経緯糸の交差点が融着接合し、かつメッシュ状
布帛の構成糸条に短繊維不織ウェブの構成繊維が交絡し
た状態で、短繊維が融着した鞘成分(熱接着性成分)に
接着固定化された状態であった。
【0098】実施例2と比較して、メッシュ状布帛の開
孔率が小さいため、短繊維不織ウェブの構成繊維は熱融
着部による固定化が促進されない構造となり、400番
のサンドペーパーで複合不織布の表面を擦ったところ、
サンドペーパーに短繊維が付着した。したがって、複合
不織布の表面摩擦性が過剰に要求される用途には、やや
向かない傾向にあるが、高い表面摩擦性を要求しない用
途には、好適に用いられるものであった。
【0099】比較例1 実施例2において、熱融着温度を90℃とした以外は、
実施例2と同一条件で複合不織布を作成した。
【0100】得られた複合不織布は、メッシュ状布帛の
構成糸条の熱接着性成分が軟化または溶融しなかったた
め、柔軟性に富むものの、複合不織布を特定の方向に引
っ張ると、引張方向に対し横方向に配されたメッシュ状
布帛の構成糸条が抜け出すものであり、複合不織布の寸
法安定性に乏しいばかりでなく、短繊維の脱落が容易に
発生するものであった。
【0101】
【発明の効果】本発明の複合不織布は、メッシュ状布帛
の少なくとも片面に短繊維不織ウェブが積層され、高圧
液体流の作用により短繊維不織ウェブの構成繊維同士交
絡させ、かつ布帛の構成繊維に短繊維不織ウェブの構成
繊維を交絡させるものである。短繊維不織ウェブの構成
短繊維は、高圧液体流の作用により布帛の開孔部に侵入
し、布帛を構成する繊維と効率的に交絡することができ
る。
【0102】交絡一体化させた後、布帛を構成する繊維
を形成する重合体に熱融着を施すことより、重合体を溶
融または軟化させ、短繊維不織ウェブの構成繊維を溶融
部に取り込んで固定化し、短繊維不織ウェブの構成繊維
の脱落を防止するとともに、布帛の構成繊維同士の交差
部において、熱溶融または軟化した重合体同士が固着
し、布帛の形態が固定化されるため、寸法安定性、形態
安定性、機械的強力に優れた複合不織布となる。なお、
この時、短繊維は熱の影響を受けないため、複合不織布
表面は、短繊維ウェブの有する柔軟性を持ち合わせた状
態を維持する。
【0103】このように、短繊維の毛羽立ち、脱落性の
ない機械的強力に優れた複合不織布は、生活資材、産業
資材等の各種用途に好適な素材として用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる短繊維不織ウェブの構成繊
維の断面形態の一例を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 美智代 愛知県岡崎市日名北町4−1 ユニチカ株 式会社岡崎工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面の少なくとも一部が熱接着性成
    分で形成されてなる熱接着性繊維を有するメッシュ状布
    帛の少なくとも片面に短繊維不織ウェブが積層されてな
    る複合不織布であり、メッシュ状布帛の構成繊維に短繊
    維不織ウェブの構成繊維が交絡しているとともに、短繊
    維不織ウェブの構成繊維相互が交絡してなり、かつメッ
    シュ状布帛と短繊維不織ウェブの構成繊維とが熱接着性
    成分により熱接着されていることを特徴とする複合不織
    布。
  2. 【請求項2】 メッシュ状布帛の開孔率が30〜80%
    であることを特徴とする請求項1に記載の複合不織布。
  3. 【請求項3】 メッシュ状布帛が、経糸と緯糸の配列間
    隔がともに6〜20本/25mmの織物であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の複合不織布。
  4. 【請求項4】 熱接着性繊維が、高融点重合体を芯成
    分、低融点重合体を鞘成分とする芯鞘型複合繊維である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合
    不織布。
  5. 【請求項5】 メッシュ状布帛の構成繊維が、脂肪族ポ
    リエステル系重合体ないしは脂肪族ポリエステルアミド
    系共重合体から選択された重合体成分からなることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合不織布。
  6. 【請求項6】 短繊維不織ウェブの構成繊維が,天然繊
    維、天然パルプ、再生繊維あるいは脂肪族ポリエステル
    系重合体あるいは脂肪族ポリエステルアミド系共重合体
    から得られる熱可塑性短繊維の単独ないし複数からなる
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合
    不織布。
  7. 【請求項7】 繊維表面の少なくとも一部が熱接着性成
    分で形成されてなる熱接着性繊維を有するメッシュ状布
    帛の少なくとも片面に、短繊維不織ウェブを積層して積
    層体を得、この積層体に高圧液体流処理を施して、メッ
    シュ状布帛の構成繊維に該短繊維不織ウェブの構成繊維
    を交絡させるとともに、短繊維不織ウェブの構成繊維相
    互を交絡させ、メッシュ状布帛と短繊維不織ウェブとを
    一体化させ、次いで、熱処理を施して熱接着性成分を軟
    化または溶融させ、メッシュ状布帛と短繊維不織ウェブ
    の構成繊維とを熱接着することを特徴とする複合不織布
    の製造方法。
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