JP4104299B2 - 捲縮性複合繊維とその製造方法およびこれを用いた不織布 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として嵩弾性に優れる不織布に適したポリエステル系捲縮性複合繊維、およびそれを用いた不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、衛生材料、包装材、ウェットティッシュ、フィルター、ワイパー等に用いられる不織布、あるいは硬綿、椅子等に用いられる不織布、成形体など様々な用途において、低融点成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、低融点成分よりも融点が高い高融点成分からなる熱融着性複合繊維を用いた熱接着不織布が使用されている。なかでも、前記熱融着性複合繊維で得られた不織布の嵩弾性、すなわち厚み方向での嵩回復性に優れ、かつ、柔らかい触感を有する繊維の要求が、現在廃棄の問題となっているウレタンの代替の環境問題と相まって大きくなっている。
【0003】
現状、嵩弾性に優れた不織布を得るのに用いられている複合繊維としては、一般的にポリプロピレン(以下、PPと記す場合がある)/ポリエチレン(以下、PEと記す場合がある)、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す場合がある)/PE、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと記す場合がある)/PEとする複合繊維が挙げられ、前記以外にも、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと記す場合がある)を用いた繊維および不織布が挙げられており、例えば、特開平11-158732号公報では、芯成分をポリエチレンテレフタレートなどのメチレン基のnが偶数であるジオール成分を縮重合したポリエステルとし、鞘成分をPTTなどのメチレン基のnが奇数であるジオール成分を縮重合したポリエステルとした偏心芯鞘型複合繊維が提案されている。特開平11-189923号公報では、極限粘度が0.4〜1であるPTTと、他のポリエステルとをサイドバイサイド型に接合した複合繊維が提案されている。さらに、特開2000−256920号公報には、PTTと、熱接着性成分としてポリオレフィンあるいは共重合ポリエステルとを用いた熱融着性複合繊維が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記繊維には次のような問題点を有する。例えば、PP/PE繊維で製造された不織布は、単繊維の曲げ強さが小さいため、風合いは柔らかいが、曲げ回復率も低いためへたりやすい傾向がある。PET/PE繊維は、PP/PE繊維に比べ単繊維の曲げ回復率が高いため、不織布に一定荷重かけ、除重した直後の嵩回復性(以下、初期嵩回復性と記す場合がある)は大きいが、単繊維の曲げ強さも大きいため、除重後24時間以降の嵩回復性(以下、長期嵩回復性と記す場合がある)は不十分であり、更に風合いが硬く感じるという問題がある。さらに、PBT/PE繊維は、単繊維の曲げ強さが小さく、曲げ回復率が高いため、不織布としたときの風合いが柔らかく、長期嵩回復性に優れているが、曲げ弾性率が低いため、初期嵩回復性がPP/PE同様に小さく、例えばオムツや椅子用クッション材など頻繁に荷重のかかる様な用途には使用が困難であるという問題がある。
【0005】
また、特開平11-158732号公報および特開平11-189923号公報では、PTT成分の収縮力を利用して、捲縮発現させているため、捲縮が細かくなりすぎ、伸縮性を得ることは可能であるが、嵩高性においては不十分である。特開2000−256920号公報では、PTTの熱収縮を抑制し、高速カード性を高めるために、エチレングリコールの共重合比を減らしたり、融点を高めたり、あるいは同心円型の芯鞘型複合形態としたりしているが、初期嵩回復性および長期嵩回復性について十分に改善されているといえない。
したがって、柔らかな風合いであり、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた、特に頻繁に荷重のかかる用途に適した繊維が得られていないのが実情である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分からなる複合繊維とし、延伸条件、鋸歯状捲縮付与条件、およびアニーリング処理条件を調整して、カード通過性が良好で、熱処理時に適度な波線状捲縮および/または螺旋状捲縮を発現するとともに第2成分の融点近傍の温度でも熱収縮を有しない捲縮性複合繊維とすることによって、上記課題を解決し、本発明に至った。すなわち、本発明の捲縮性複合繊維は、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、前記第一成分の融点よりも20℃以上融点が低いポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分から構成され、繊維断面において第2成分が繊維表面の50%〜100%を占め、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれており、前記複合繊維の偏心率が5〜50%であり、前記複合繊維は、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm−3(℃)において波線状捲縮および螺旋状捲縮が混在し、かつ下記の範囲を満たす捲縮を有しており、Tm−3(℃)における乾熱収縮率が3%以下を満たすものである。
(1)0.8<L<5
(2)0.4<H/L<0.9
L:捲縮の一山間の長さ(mm)
H:捲縮の山の高さ(mm)
かかる構成を採ることにより、不織布としたとき、柔らかな風合いであり、収縮を伴わずとも、適度な波線状捲縮および/または螺旋状捲縮が発現して、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた、特に頻繁に荷重のかかる不織布用途に適した捲縮性複合繊維が得られる。
【0007】
本発明の捲縮性複合繊維は、偏心率5〜50%の偏心芯鞘型複合繊維であると、乾熱収縮率を低く抑えながら、嵩回復性において有利な波線状捲縮および/または螺旋状捲縮を得ることができ好ましい。さらに、前記ポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
【0008】
本発明の捲縮性複合繊維は、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、前記第一成分の融点よりも20℃以上融点が低いポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分からなり、繊維断面において第2成分が繊維表面の50%〜100%を占め、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれるように配置された複合型ノズルを用いて溶融紡糸して得られた紡糸フィラメントを、延伸倍率1.8倍以上で延伸処理を施し、5個/25mm以上、25個/25mm以下の鋸歯状捲縮を付与した後、90〜130℃の雰囲気下でアニーリング処理を施すことにより製造することができる。さらに前記延伸処理において、延伸温度は第1成分のポリトリメチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移点以上、第2成分の融点未満であることが好ましい。
【0009】
本発明の不織布は、前記捲縮性複合繊維を少なくとも30mass%含有しており、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた、特に頻繁に荷重のかかる用途に好適である。さらに、前記捲縮性複合繊維の第2成分が溶融して、不織布を構成する繊維同士が熱融着されていると、他のバインダー成分を必要としないだけでなく、捲縮性複合繊維同士および他の構成繊維と捲縮性複合繊維とが部分的に接着点を有するので、不織布の形態安定性が向上するとともに、接着点を基点としたスプリング作用を発揮して嵩回復性が向上する点で好ましい。
【0010】
前記不織布は、後述する測定により得られる除重直後の嵩回復率(以下、初期嵩回復率と記す場合がある)が50%以上、かつ除重24時間後の嵩回復率(以下、長期嵩回復率と記す場合がある)が85%以上を満たすことが好ましい。
以下、本発明の内容を説明する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる第1成分は、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂(以下、PTTと記す場合がある)を含有する成分からなり、PTTホモ樹脂、下記に示すPTT共重合樹脂、あるいはPTTと他のポリエステル系樹脂とのブレンドであってもよく、捲縮性複合繊維としたときの乾熱収縮率を低く抑えて、所望の波線状捲縮および/または螺旋状捲縮を得られる範囲で、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸等の酸成分や、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等のグリコール成分、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレングリコール等が10mass%以下共重合されていてもよいし、PET、PBTなど他のポリエステル系樹脂を50mass%以下でブレンドしてもよい。前記共重合成分が、10mass%を超えると、曲げ弾性率が小さくなるため好ましくない。一方、他のポリエステル系樹脂のブレンド率が50mass%を超えると、ブレンドした他のポリエステル系樹脂の性質に近づくため好ましくない。
【0012】
前記PTTの極限粘度[η]は、0.4〜1.2が好ましい。より好ましくは、0.5〜1.1である。極限粘度[η]を上記範囲とすることにより、生産性に優れ、嵩弾性に優れた複合繊維を得ることができる。ここでいう極限粘度[η]とは、35℃のo−クロロフェノール溶液として、オストワルド粘度計により測定した、下記式(数1)に基づいて求められる値である。
【数1】
ただし、
ηr:純度98%以上のo−クロロフェノールで溶解した試料の希釈溶液における35℃での粘度を同一温度で測定した上記溶剤全体の濃度で除した値。
C:上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値)
極限粘度が0.4未満であると、樹脂の分子量が低すぎるため、紡糸性に劣るだけでなく、繊維強度も低く、実用性に乏しい。極限粘度が1.2を超えると、樹脂の分子量が大きくなって溶融粘度が高くなりすぎるため、単糸切れ等が発生し良好な紡糸が難しくなり好ましくない。
【0013】
前記PTTの融点としては、180℃〜250℃であることが好ましい。より好ましくは、200℃〜240℃である。ここでいう融点とは、JIS−K−7122に準じてDSC法により測定される融点のことを示す。融点が180℃未満であると、耐候性が低下したり、あるいは得られた複合繊維の曲げ弾性率が小さくなり過ぎる恐れがあり、融点が250℃を超えると、押し出し機など紡糸時の溶融温度を高くしなければならず、樹脂の分解による紡糸安定性が低下する恐れがある。
【0014】
また、前記PTTには、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤など本発明の目的および効果を損なわない範囲で用途等に応じて混合することができる。
【0015】
次に、本発明に用いられる第2成分は、ポリオレフィン系樹脂を含有する成分であり、例えば、ポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、及びそれらの共重合樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、及びそれらのエステル、酸無水物より少なくとも一種以上を共重合したもの、グラフト重合したもの、エラストマーなどを1種、または2種以上用いることができる。また、本発明の作用を損なわない範囲であれば、上記ポリオレフィン系樹脂以外に他の樹脂を混合してもよく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などを30mass%を超えない範囲で混合してもよい。
【0016】
前記ポリオレフィン系樹脂を熱融着成分として利用する場合、ポリオレフィン系樹脂の融点は、前記第1成分の融点よりも20℃以上低い温度であることが好ましい。より好ましくは、第1成分の融点よりも30℃以上低い温度である。ポリオレフィン系樹脂の融点と第1成分の融点との融点差が20℃未満であると、不織布の熱融着加工時に、第1成分も熱による影響を受けてへたりを生じて、嵩高性および嵩回復性が低下する恐れがある。
【0017】
前記ポリオレフィン系樹脂のうち、不織布にしたときの柔軟性、嵩高性、嵩弾性など本発明の目的および効果を発揮するためには、高密度ポリエチレン樹脂(以下、HDPEと記す場合がある)、エチレン−プロピレン共重合樹脂(以下、EPと記す場合がある)、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合樹脂(以下、EPBと記す場合がある)が好ましい。HDPE、EP、EPBのメルトフローレート(MFR)は、1〜100g/10minであることが好ましい。より好ましくは、10〜50g/10minである。なお、ここでいうMFRは、ASTM−D−1238により、HDPEは190℃、EP、EPBは230℃で、21.2N(2.16kgf)で測定される繊維製造前の樹脂のMFRを示す。MFRが1g/10min未満であると、溶融粘度が高すぎるため紡糸性に劣り、MFRが100g/10minを超えると、繊維製造中に繊維間融着が生じる恐れがある。
【0018】
また、前記ポリオレフィン系樹脂には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で、各種の添加剤、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤等いずれか一種類以上含まれていてもよい。
【0019】
本発明の捲縮性複合繊維は、前記PTTを含有する第1成分と、前記ポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分からなり、繊維断面において第2成分が繊維表面の少なくとも20%を占めた構造である。繊維断面において第2成分の占める割合が繊維表面の20%未満であると、熱融着不織布を作製する際に第2成分を熱融着させたとき、不織布強力が低く、実用に耐えられない恐れがある。より好ましい繊維断面における第2成分の占める割合は、繊維表面の50〜100%である。
【0020】
また本発明の捲縮性複合繊維は、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれた構造を有する。図1に本発明の捲縮性複合繊維の繊維断面の一例を示す。第1成分(1)の重心位置(3)における繊維の重心位置(4)からのずれの割合(以下、偏心率と記す場合がある。)は、複合繊維の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大撮影し、第1成分(1)の重心位置(3)をC1とし、複合繊維の重心位置(4)をCfとし、複合繊維の半径(5)をrfとしたとき、下記式(数2)で示す数値をいう。
【数2】
第1成分(1)の重心位置(3)が繊維の重心位置(4)からずれている繊維断面としては、図1に示す偏心芯鞘型、あるいは並列型であることが好ましい形態である。場合によっては、多芯型であっても多芯部分が集合して繊維の重心位置からずれて存在しているものでも可能である。特に、偏心芯鞘型の繊維断面であると、熱処理時に容易に所望の波線状捲縮および/または螺旋状捲縮を発現させることができるの点で最も好ましい。偏心芯鞘型複合繊維の偏心率は、5〜50%であることが好ましい。より好ましい偏心率は、7〜30%である。また、第1成分の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形であってもよく、複合繊維の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形などの異形、あるいは中空形であってもよい。
【0021】
さらに、前記複合繊維は、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm−3(℃)において下記の範囲を満たす波線状捲縮および螺旋状捲縮から選ばれた少なくとも一種の捲縮を有しており、Tm−3(℃)における乾熱収縮率が3%以下を満たすものである。
(1)0.8<L<5
(2)0.4<H/L<0.9
L:捲縮の一山間の長さ(mm)
H:捲縮の山の高さ(mm)
図2に本発明の捲縮性複合繊維が捲縮発現したときの捲縮形態を示す。本発明でいう波線状捲縮(6)とは、図2(a)に示すような捲縮の山部が湾曲したものを指し、螺旋状捲縮(7)とは、図2(b)に示すような捲縮の山部が螺旋状に湾曲したものを指し、図2(c)に示すような波線状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮(8)も含む概念である。図3に示すような捲縮の山が鋭角である、いわゆる鋸歯状捲縮(9)のままであると、不織布としたときの圧縮に対する面弾性、いわゆるスプリング効果に劣り、特に十分な初期嵩回復性が得られないからである。
【0022】
また、図2(a)に示すように、本発明でいう捲縮の一山間の長さL(10)は、捲縮の凸部からとなりの凸部までの距離のことをいう。捲縮の山の高さH(11)は、捲縮の凸部からとなりの凹部までの捲縮の凹凸間の深さの距離のことをいう。そして、前記捲縮の一山間の長さL(10)と前記捲縮の山の高さH(11)は、次のようにして測定する。まず、捲縮性複合繊維の単繊維群を適量準備し、例えばカード機を用いるなど公知の方法で開繊して、約5g程度をできるだけシート状(ウェブ状)になるようにして採取する。次いで、シート状(ウェブ状)の繊維群を第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm−3(℃)の温度に調整した電気オーブンにて(循環式のものでも構わない)30秒間熱処理をし、熱処理後の単繊維を任意10本採取し、スライドガラスにのせ、捲縮形状が変わらないように、繊維が一直線上になるようにした後、カバーガラスをのせ捲縮を平面上にした後、捲縮を顕微鏡にて観察し、その10本のL(10)とH(11)を測定し、その平均値をいう。なお、本発明では、スライドガラスをのせる際、捲縮が図2(b)のように螺旋状となっている場合は螺旋を解くこととする。
【0023】
前記Lは、0.8<L<5であり、好ましくは、1<L<4である。より好ましくは、1.2<L<3である。Lが0.8未満であると、捲縮の山が小さすぎるため、得られる不織布の嵩高性に乏しくなるだけでなく、不織布の比容積が小さくなるため柔らかな触感が得られなくなる。Lが5を超えると、嵩回復性における重要なファクターである単繊維のスプリング効果が働きにくく、特に薄目付の不織布を作製した場合その傾向が顕著になる。
【0024】
前記H/Lは、0.4<H/L<0.9であり、好ましくは0.5<H/L<0.85である。より好ましくは、0.6<H/L<0.85である。H/Lが0.4未満であると、捲縮率が小さすぎ、つまり捲縮の山が平べったいものであるため、単繊維のスプリング効果が弱まり、嵩回復性が劣ったものとなる。H/Lが0.9を超えると、捲縮率が大きすぎ、つまり捲縮の山が深くなりすぎるため、これも単繊維のスプリング効果が弱まり、嵩回復性が劣ったものとなる。得られる不織布の嵩高性に乏しくなり、特に嵩回復性が悪くなる。
【0025】
また、前記複合繊維のTm−3(℃)における乾熱収縮率は、3%以下である。好ましくは、1%以下である。単繊維の乾熱収縮率は、以下のようにして測定する。
[乾熱収縮率]
単繊維群を準備し、トータル繊度が約111dtexとなるように単繊維の本数を調整して束状にする。次いで束状単繊維群の先に2.5gを荷重を吊るし、荷重を吊るした状態での繊維の長さ(S0)を測定する。次いで、0.8sec/℃の速度で加熱していき、所定の温度まで上げたときの繊維の長さ(S1)を測定し、下記式で算出して、乾熱収縮率とした。
乾熱収縮率=(S0―S1)×100/S0
乾熱収縮率が3%を超えると、熱処理をして捲縮を発現させる際に収縮を伴って、不織布自体が収縮を引き起こし、不織布工程性および不織布の地合の悪化を引き起こすだけでなく、過剰に捲縮発現する恐れがあり、不織布にしたときに伸縮性をも発現し、用途によっては使用できない恐れがある。
【0026】
本発明の捲縮性複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されないが0.5〜150dtexが好ましい。より好ましくは、1〜30dtexであり、最も好ましくは、2〜10dtexである。例えば、衛生材料の表面材など用途に用いる場合であれば、1〜7dtexが好ましく、クッション材などの用途に用いる場合であれば、4〜20dtexが好ましい。
【0027】
前記捲縮性複合繊維は、以下のように製造することができる。まず、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、ポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分として、繊維断面において第2成分が繊維表面の少なくとも20%を占め、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれるように配置された複合型ノズル、例えば偏心芯鞘型複合ノズルを用いて、第1成分を紡糸温度240〜330℃、第2成分を紡糸温度200〜300℃で溶融紡糸し、引取速度100〜1500m/minで引き取り、紡糸フィラメントを得る。次いで、延伸温度を40℃以上、第2成分の融点未満の温度で、延伸倍率1.8倍以上で延伸処理を施す。より好ましい延伸温度の下限は、第1成分のガラス転移点以上である。より好ましい延伸温度の上限は、90℃以下である。より好ましい延伸倍率の下限は、2倍以上である。より好ましい延伸倍率の上限は、4倍以下である。延伸倍率が1.8倍未満であると、加熱したときに波線状捲縮および/または螺旋状捲縮が発現し難く、不織布にしたときに十分な嵩高性が得られないだけでなく、繊維自体の剛性も小さくなり、カード通過性などの不織布工程性に劣るからである。また、このとき前記延伸時の前後において必要に応じて90〜130℃の乾熱、湿熱、蒸熱等の雰囲気下でアニーリング処理を施してもよい。
【0028】
次いで、必要に応じて繊維処理剤を付与する前または後に、スタッファボックス式捲縮機など公知の捲縮機を用いて捲縮数5個/25mm以上、25個/25mm以下の鋸歯状捲縮を付与する。鋸歯状捲縮の捲縮数が5個/25mm未満であると、カード通過性が低下し、捲縮数が25個/25mmを超えると、カード通過性が低下するだけでなく、捲縮発現後の捲縮数が多くなって嵩回復性に悪影響を及ぼす恐れがある。さらに、前記鋸歯状捲縮を付与した後、90〜130℃の乾熱、湿熱、あるいは蒸熱の雰囲気下でアニーリング処理を施される。具体的には、繊維処理剤を付与した後に鋸歯状捲縮を付与し、90〜130℃の乾熱雰囲気下でアニーリング処理と同時に乾燥処理を施すことが、工程を簡略化することができ、好ましい。アニーリング処理が90℃未満であると、乾熱収縮率が大きくなる傾向であり、得られる不織布の地合が乱れたり、生産性が低下したりする恐れがある。上記方法により得られた複合繊維は、主として、図4に示すような捲縮数7個/25mm以上、25個/25mm以下の鋸歯状捲縮と波線状捲縮が混在した捲縮(12)、あるいは鋸歯状捲縮と螺旋状捲縮が混在した捲縮を採ることが、後述するカード工程性を低下させることなく、嵩高な不織布を得ることができ、好ましい。そして、所望の繊維長に切断されて、第2成分の融点をTm(℃)としたときTm−3(℃)において所望の範囲を満たす波線状捲縮および/または螺旋状捲縮を有し、Tm−3(℃)における乾熱収縮率が3%以下である捲縮性複合繊維が得られる。
【0029】
そして、本発明の不織布は、上記のようにして得られた捲縮性複合繊維を少なくとも30mass%含有する。含有量が30mass%未満であると、柔らかな風合いであり、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた、特に頻繁に荷重のかかる用途に適した不織布が得られないからである。本発明の不織布を構成する繊維ウェブ形態としては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスレイウェブ、クリスクロスウェブ、エアレイウェブなどが挙げられる。
【0030】
前記繊維ウェブは、必要に応じて、ニードルパンチ処理あるいは水流交絡処理が施された後、熱処理される。熱処理の手段としては、特に限定はされないが、本発明の捲縮性複合繊維の機能を十分に発揮させるのであれば、熱風貫通式熱処理機、熱風上下吹き付け式熱処理機、赤外線式熱処理機など風圧など圧力のあまりかからない熱処理機を用いることが好ましい。また、熱処理温度としては、捲縮性複合繊維の波線状捲縮および/または螺旋状捲縮が下記の形状となる温度範囲に設定すればよく、例えば、Tm−10(℃)〜Tm+10(℃)の範囲で設定するとよい。
(1)0.8<L<5
(2)0.4<H/L<0.9
L:捲縮の一山間の長さ(mm)
H:捲縮の山の高さ(mm)
熱処理温度がTm−10(℃)未満であると、捲縮の発現が不十分となる恐れがあり、熱処理温度がTm+10(℃)を超えても、捲縮発現状態に大差がないからである。特に、捲縮性複合繊維の第2成分を溶融させて、不織布を構成する繊維同士を熱融着させる場合であれば、Tm(℃)〜Tm+40(℃)の範囲で設定するとよい。繊維同士を熱融着させることにより、捲縮性複合繊維同士および他の構成繊維と捲縮性複合繊維とが部分的に接着点を有するので、不織布の形態安定性が向上するとともに、接着点を基点としたスプリング作用を発揮して嵩回復性が向上する点で好ましい。熱融着させる場合の熱処理温度が高いのは、第2成分の融着力を向上させるためであり、Tm+40(℃)を超えると、第1成分が熱の影響でへたる恐れがある。
【0031】
特に、前記条件により繊維同士を熱融着させた不織布は、柔らかな風合いを有するとともに、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた不織布となり、下記の測定により得られる初期嵩回復率が50%以上、かつ長期嵩回復率が85%以上を満たす不織布が得られる。
[嵩回復率]
合計の目付が約1000g/m2となるように10cm角に切断した不織布を必要な枚数準備し、重ね合わせて初期合計厚み(T0)を測定する。重ね合わせた不織布の上に10cm角、9.8kPa荷重の重りを載せて、常温雰囲気下で24時間荷重をかけ、24時間後荷重を取り除き、除重直後の重ね合わせた不織布の合計厚み(T1)、および除重24時間後の合計厚み(T2)を測定し、不織布の嵩回復率を下記式により算出し、それぞれ初期嵩回復率、長期嵩回復率とする。
初期嵩回復率(%)=(T1/T0)×100
長期嵩回復率(%)=(T2/T0)×100
前記初期嵩回復率および前記長期嵩回復率を満たすことにより、例えば、紙おむつや椅子などのクッション材などの用途に用いた場合、面圧力がかかっても、へたり難く、嵩高感が持続するという効果を奏する。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例などにより何ら限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
第1成分として、極限粘度0.93、融点220℃であるPTT、第2成分としてMFR12、融点(Tm)が130℃であるHDPE(日本ポリケム(株)製、HE480)を用い、芯(第1成分)/鞘(第2成分)の複合比(容積比)を5/5とし、芯成分を偏芯させた700孔を有する公知の芯鞘型複合ノズルを用いて、両成分の紡糸温度をそれぞれ270℃として溶融押出し、8dtexの紡糸フィラメントを得た。このとき偏心率は25%であった。得られた紡糸フィラメントを80℃の温水中で3倍に延伸し、4.4dtexの延伸フィラメントとし、繊維処理剤を付与した。次いで、このフィラメントにスタフィンボックス型クリンパーにて鋸歯状捲縮が約10個/25mmとなるように捲縮処理を施した後、110℃に設定した熱風貫通型乾燥機にてアニーリング処理とともに乾燥させて、50mmの繊維長に切断し、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=1.63、H/L=0.59の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=1.48、H/L=0.81の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0034】
[実施例2]
第2成分をMFR25、融点(Tm)138℃であるEP共重合樹脂(出光石油化学(株)製、Y2045GP)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=3.01、H/L=0.31の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(142℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=2.25、H/L=0.61の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(142℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0035】
[比較例1]
第1成分として、MFR20、融点162℃であるPP(日本ポリケム(株)製、SA1H)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=3.13、H/L=0.24の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=1.90、H/L=0.46の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0036】
[比較例2]
第1成分として、極限粘度0.64、融点270℃であるPET(東レ(株)製、T200E)を使用し、芯成分の紡糸温度を300℃とした以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=2.19、H/L=0.39の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=1.76、H/L=0.70の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0037】
[比較例3]
第1成分として、極限粘度0.75、融点228℃であるPBT(ポリプラスチックス(株)製、400FP)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=2.18、H/L=0.47の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=1.07、H/L=0.53の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0038】
[比較例4]
クリンパーにて、捲縮数が35個/25mmになるように捲縮を施したこと以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=0.71、H/L=0.51の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=0.75、H/L=0.71の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0039】
[比較例5]
ノズルを同芯円状に組んだこと以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=1.80,H/L=0.36で鋸歯状捲縮のままであった。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間処理した時の捲縮状態は、L=1.87、H/L=0.37で鋸歯状捲縮のままであった。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は0%であった。
【0040】
[比較例6]
実施例1の紡糸フィラメントを1.5倍で延伸処理した以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=1.87,H/L=0.30で鋸歯状捲縮のままであった。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間処理した時の捲縮状態は、L=1.70、H/L=0.28でほとんどが鋸歯状捲縮として残存していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は1.7%であった。
【0041】
[比較例7]
アニーリング処理を70℃で実施したこと以外は、実施例1と同様の方法で、捲縮性複合繊維を得た。このときの捲縮状態は、L=2.25、H/L=0.45の波線状捲縮と鋸歯状捲縮が混在していた。そして、得られた複合繊維をTm−3℃(127℃)で30秒間熱処理をしたときの捲縮状態は、L=1.40、H/L=0.83の波線状捲縮および螺旋状捲縮が発現していた。Tm−3℃(127℃)における乾熱収縮率は9.5%であった。
【0042】
実施例1〜2、および比較例1〜7の捲縮性複合繊維を以下の方法で不織布化し、嵩高性および圧縮柔らかさを以下の方法で測定した。ただし、比較例7の捲縮性複合繊維を用いた不織布は、熱処理した際に急激なウェブ収縮を伴い、地合の乱れた不織布しか得られなかった。
【0043】
[嵩高性]
捲縮性複合繊維100mass%をパラレルカードに掛けウェブを採取し、熱風循環式の熱処理機を用い、加工温度134℃(実施例2のみ145℃)で30秒間熱処理して鞘成分を熱融着させ、目付約100g/m2の不織布とした。得られた不織布を縦横それぞれ10cm角に切り、1000g/m2にしたときの高さT0(cm)を測定した。
【0044】
[圧縮柔らかさ]
前記目付約100g/m2の不織布を、カトーテック(株)製の圧縮試験機(KES−G5)にて、2cm2の円盤を1mm/secの速度で、不織布厚みが1mmになるまで圧縮したときの荷重(N)で評価した。
【0045】
実施例1〜2、比較例1〜6の単繊維および不織布の性能を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、実施例1および2の不織布は、比較例1と比べ高い初期嵩、初期嵩回復性、および長期嵩回復性を有しており、比較例2と比べ高い長期嵩回復性、および圧縮柔らかさを有しており、比較例3と比べ高い初期嵩回復性を有していた。また、比較例4〜6と比べ高い初期嵩回復性、および長期嵩回復性を有していた。
【0048】
【発明の効果】
本発明の捲縮性複合繊維は、ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を第1成分とし、ポリオレフィン系樹脂を第2成分とした重心の位置をずらした複合繊維とし、第2成分の融点近傍における乾熱収縮率を低く抑えるとともに、捲縮形状を所望の範囲の波線状捲縮および螺旋状捲縮から選ばれた少なくとも一種の捲縮に調整することにより、不織布にしたとき、柔らかな風合いであり、初期嵩回復性、長期嵩回復性ともに優れた、特に頻繁に荷重のかかる用途に適した繊維が得られる。特に、第2成分を熱融着成分として用いると、繊維同士が熱融着されて、繊維間のスプリング効果が最大限発揮され、かつポリトリメチレンテレフタレート系樹脂の持つ曲げ強さが小さく、曲げ回復力が大きく、曲げ弾性が小さくて、柔軟であるという特徴が最大限に発揮される。
【0049】
前記捲縮性複合繊維を用いた不織布は、スプリング効果、およびポリトリメチレンテレフタレート系樹脂の性質が最大限発揮されるから、従来の捲縮性複合繊維で得られた不織布と比較して、優れた圧縮柔軟性、優れた初期嵩はもちろんのこと、優れた初期嵩回復性および長期嵩回復性を共に有する不織布を得ることが可能である。かかる不織布は、衛生材料、包装材、ウェットティッシュ、フィルター、ワイパー等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の捲縮性複合繊維の繊維断面の一例を示す。
【図2】本発明の捲縮性複合繊維が捲縮発現したときの捲縮形態を示す。
【図3】通常の複合繊維の捲縮形態を示す。
【図4】本発明の捲縮性複合繊維の捲縮形態を示す。
【符号の説明】
1.第1成分
2.第2成分
3.第1成分の重心位置C1
4.複合繊維の重心位置Cf
5.複合繊維の半径rf
6.波線状捲縮
7.螺旋状捲縮
8.波線状捲縮と螺旋状捲縮が混在した捲縮
9.鋸歯状捲縮
10.捲縮の一山間の長さL
11.捲縮の山の高さH
12.鋸歯状捲縮と波線状捲縮が混在した捲縮
Claims (8)
- ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、前記第1成分の融点よりも20℃以上融点が低いポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分から構成され、繊維断面において第2成分が繊維表面の50%〜100%を占め、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれており、前記複合繊維の偏心率が5〜50%であり、前記複合繊維は、第2成分の融点をTm(℃)としたとき、Tm−3(℃)において波線状捲縮および螺旋状捲縮が混在し、かつ下記の範囲を満たす捲縮を有しており、Tm−3(℃)における乾熱収縮率が3%以下である捲縮性複合繊維。
(1)0.8<L<5
(2)0.4<H/L<0.9
L:捲縮の一山間の長さ(mm)
H:捲縮の山の高さ(mm) - 繊維断面において、第2成分が繊維表面の100%を占める偏心芯鞘型複合繊維である請求項1に記載の捲縮性複合繊維。
- ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載の捲縮性複合繊維。
- ポリトリメチレンテレフタレート系樹脂を含有する第1成分と、前記第1成分の融点よりも20℃以上融点が低いポリオレフィン系樹脂を含有する第2成分からなり、繊維断面において第2成分が繊維表面の50%〜100%を占め、第1成分の重心位置が繊維の重心位置からずれるように配置された複合型ノズルを用いて溶融紡糸して得られた紡糸フィラメントを、延伸倍率1.8倍以上で延伸処理を施し、5個/25mm以上、25個/25mm以下の鋸歯状捲縮を付与した後、90〜130℃の雰囲気下でアニーリング処理を施した、請求項1〜3のいずれかに記載の捲縮性複合繊維の製造方法。
- 延伸温度が、第1成分のポリトリメチレンテレフタレート系樹脂のガラス転移点以上、第2成分の融点未満である請求項4記載の捲縮性複合繊維の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の捲縮性複合繊維を少なくとも30mass%含有する不織布。
- 捲縮性複合繊維の第2成分が溶融して、構成する繊維同士が熱融着されている請求項6記載の不織布。
- 下記の測定により得られる除重直後の嵩回復率(以下、初期嵩回復率という)が50%以上、かつ除重24時間後の嵩回復率(以下、長期嵩回復率という)が85%以上を満たす請求項6または7に記載の不織布。
[嵩回復率]
合計の目付が約1000g/m2となるように10cm角に切断した不織布を必要な枚数準備し、重ね合わせて初期合計厚み(T0)を測定する。重ね合わせた不織布の上に10cm角で9.8kPa荷重の重りを載せて常温雰囲気下で24時間荷重をかけ、24時間後荷重を取り除き、除重直後の重ね合わせた不織布の合計厚み(T1)、および除重24時間後の合計厚み(T2)を測定し、不織布の嵩回復率を下記式により算出し、それぞれ初期嵩回復率、長期嵩回復率とする。
初期嵩回復率(%)=(T1/T0)×100
長期嵩回復率(%)=(T2/T0)×100
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