JP6054091B2 - クッション材及びクッション材用複合短繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた嵩回復性、および、繰り返し圧縮しても嵩が減少しにくいクッション材および本発明のクッション材を構成する複合短繊維に関する。
従来から、自動車用シートをはじめとする各種座席、マットレスやベッドマットをはじめとする寝装用品、ブラジャーパッドや肩パッドをはじめとする衣料用パッドにはクッション材として、ウレタンフォームが広く使用されている。しかし、安全性や廃棄時に環境に与える影響、また通気性に欠けるといった点から、ウレタンフォームに代わるクッション材として捲縮性複合繊維を含む不織布を使用することが検討されている。
このような複合繊維として、例えば、特許文献1(特開2008−274473号公報)には、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状ポリエチレンを第一成分として含み、ポリトリメチレンテレフタレートを50質量%以上含むポリエステルを第二成分として含む捲縮性複合繊維が開示されている。特許文献1に開示の捲縮性複合繊維は、その繊維断面から見たとき、第一成分が複合繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置が複合繊維の重心位置からずれており、この複合繊維は、波形状捲縮及び螺旋状捲縮から選ばれる少なくとも一種の捲縮を有していることを特徴とする顕在捲縮性複合繊維である。このような顕在捲縮性複合繊維を使用すると、初期嵩の大きい繊維集合物(例えば、不織布)を得ることができ、熱加工の際の嵩減少(へたり)が小さく、高温下での嵩回復性も良好であることから、耐熱性が要求される分野、例えば車両用クッション材として使用することができる。
特開2008−274473号公報
しかし、最近では、このような複合繊維を用いた不織布またはクッション材において、さらに向上した優れた嵩回復性が求められるようになってきており、特許文献1に開示の繊維を用いて作製した不織布またはクッション材では、その嵩回復性は不十分であり、上記の要求を満たすことができず、さらなる改善の余地があった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、さらに優れた嵩回復性を有し、なおかつ、へたりが少なく、適度な弾力性を有する不織布またはクッション材およびこれらを得ることのできる複合短繊維の提供を目的としてなされたものである。
本発明者らは鋭意研究の結果、クッション材となる不織布、特に熱接着不織布において、その中に含まれ、立体捲縮を発現する複合短繊維の第一成分に含まれる直鎖状ポリエチレンの密度が高いと、繊維の硬度、曲げ弾性率などの機械的強度が大きくなり、このような繊維を大きな力で曲げて固定すると、その形が記憶され、荷重を取り除いて元の形に戻そうとしたときにも大きな力が必要になり、このような繊維を含む不織布またはクッション材は、嵩回復し難く、繰り返し圧縮残留ひずみとして変形が残りやすいことを見出した。そこで、本発明者らは、複合短繊維の第一成分に含まれる直鎖状ポリエチレンとして、直鎖状低密度ポリエチレンを60質量%以上の量で第一成分に配合し、なおかつ、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満とすることによって、不織布またはクッション材の繰り返し圧縮残留ひずみが低下し、優れた嵩回復性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維を含む不織布またはクッション材であって、
第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を60質量%以上含み、
第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が、0.88g/cm以上0.918g/cm未満であり、
繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれており、
第一成分の少なくとも一部分によって、繊維同士の少なくとも一部が熱接着しているクッション材を提供する。
また、本発明は、第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維であって、
第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を60質量%以上含み、
第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が、0.88g/cm以上0.918g/cm未満であり、
繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれている、
クッション材用複合短繊維を提供する。
本発明の不織布またはクッション材を構成する複合短繊維は、第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現する繊維であって、第一成分が少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレンを60質量%以上含み、なおかつ、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満とすることによって、繰り返し圧縮残留ひずみが低下し、優れた嵩回復性を有する不織布またはクッション材を提供することができる。
図1は機械捲縮の形態を示す。 図2A〜Cは、本発明の一実施形態における複合短繊維の捲縮形態を示す。 図3は本発明の別の実施形態における複合短繊維の捲縮形態を示す。 図4は本発明の一実施形態における複合短繊維の繊維断面を示す。
本発明は、繰り返し圧縮残留ひずみが低く、優れた嵩回復性を有する不織布またはクッション材ならびにこれらを構成する複合短繊維を提供する。本発明の複合短繊維は、第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現する繊維であって、第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE(Linear Low Density Polyethylene))を60質量%以上含み、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満であることを特徴とする。このような密度の第一成分を含む複合短繊維を用いて不織布からなるクッション材を製造すると、クッション材の繰り返し圧縮残留ひずみを低下させることができ、優れた嵩回復性を有するクッション材を得ることができる。なお、本発明において使用する用語「短繊維」(またはステープル)とは、「長繊維」(またはフィラメント)と区別するために使用される用語であり、本発明では、繊維長が1mm〜100mmの繊維を意味する。
また、ここで、本発明において使用する「立体捲縮」という用語は、図1に示すような捲縮の山が鋭角である機械捲縮と区別されるために用いられる。具体的には立体捲縮は、例えば、図2Aに示すような山部が湾曲した捲縮(波形状捲縮)、図2Bに示すような山部が螺旋状に湾曲した捲縮(螺旋状捲縮)、図2Cに示すような、波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮、図3に示すような、図1に示す機械捲縮の鋭角な捲縮と、図2Aに示すような波形状捲縮が混在した捲縮などである。もちろん、図1に示す機械捲縮と、図2Aに示す波形状捲縮と、図2Bに示す螺旋状捲縮とが混在した捲縮であってもよい。立体捲縮は、潜在捲縮性複合繊維において加熱処理等により発現した立体捲縮であってよく、あるいは顕在捲縮性複合繊維において発現した立体捲縮であってよい。ここで、潜在捲縮性複合繊維とは、繊維の段階で立体捲縮を発現しておらず、または弱い立体捲縮を発現していて、加熱処理に付すと、立体捲縮またはより強い立体捲縮が発現する繊維である。顕在捲縮性複合繊維とは、繊維の段階で立体捲縮を発現しており、加熱処理に付しても立体捲縮の状態が変化しない、または変化するとしてもその度合いが小さい繊維である。本発明の複合短繊維は、顕在捲縮性複合繊維であることが好ましく、あるいは第一成分と第二成分の組み合わせ及び第一成分と第二成分の複合形態によっては顕在捲縮性複合繊維としてしか得られないものである。
以下、本発明の不織布またはクッション材に含まれる複合短繊維の第一成分および第二成分について詳しく説明する。
<第一成分>
第一成分は少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を、第一成分の総質量を基準として、60質量%以上、好ましくは70質量%〜100質量%、より好ましくは75質量%〜95質量%含む。また、第一成分は、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満である。直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が上記範囲を満たすとは、含まれる直鎖状低密度ポリエチレンが1種類であれば、その直鎖状低密度ポリエチレンの密度が上記範囲を満たすことを指し、第一成分に2種類以上の直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、各直鎖状低密度ポリエチレンの密度と、第一成分に含まれる全ての直鎖状低密度ポリエチレンの質量を100%としたときに、それぞれの直鎖状低密度ポリエチレンが占める割合から求められ得る。第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は0.89g/cm〜0.917g/cmであると好ましく、0.90g/cm〜0.917g/cmであるとより好ましく、0.902cm〜0.916g/cmであるとさらにより好ましい。
本発明において、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内であると、第一成分が可紡性を損なうことなく適度な弾性および柔軟性を持つようになり、複合短繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となる。そのため、本発明の複合短繊維を含む不織布またはクッション材は繰り返し圧縮残留ひずみが低下し、優れた嵩回復性を示すことができる。
本発明において、直鎖状低密度ポリエチレンの第一成分における含有量が60質量%以上であると、上記特性を有する複合短繊維を容易に得ることができる。60質量%未満であると、第一成分に占める直鎖状低密度ポリエチレンの割合が低下することで、直鎖状低密度ポリエチレンに起因する柔軟性を複合短繊維が示さなくなり、得られる複合短繊維およびそれを用いた不織布またはクッション材が硬く、嵩回復性に乏しく、圧縮による歪みが大きくなりやすいなどの問題の恐れがある。
また、本発明において、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内であると、第一成分が可紡性を損なうことなく適度な弾性および柔軟性を持つようになり、複合短繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となる。そのため、本発明の複合短繊維を含む不織布またはクッション材は繰り返し圧縮残留ひずみが低下し、優れた嵩回復性を示すことができる。
本発明で使用され得る直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとを共重合させることによって得られる共重合体を指す。α−オレフィンは、一般に炭素数が3〜12のα−オレフィンである。炭素数が3〜12のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1及びこれらの混合物を挙げることができる。これらのうち、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1及びオクテン−1が特に好ましく、ブテン−1及びヘキセン−1がさらに好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン中のα−オレフィン含有量は、1mol%〜10mol%であることが好ましく、2mol%〜5mol%であることがより好ましい。α−オレフィン含有量が少ないと、繊維の柔軟性が損なわれることがある。α−オレフィンの含有量が多くなると、結晶性が悪くなり、繊維化の際に繊維同士が融着する可能性がある。
第一成分において使用され得る直鎖状低密度ポリエチレンは、必ずしも低密度(一般に0.925g/cm以下)のものに限られず、その密度は、例えば、0.85g/cm〜0.945g/cm、好ましくは0.89g/cm〜0.93g/cm、より好ましくは0.90g/cm〜0.925g/cm、さらにより好ましくは0.902g/cm〜0.920g/cmであり、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内にすることができれば、その密度に特に限定はない。第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.85g/cm未満であると、直鎖状低密度ポリエチレンがエラストマーに近い性質を持つようになるため、紡糸時に糸切れや融着が多発して、いわゆる可紡性が低下するおそれがある。また、その場合、複合短繊維の第一成分が柔らかくなり、不織布またはクッション材にしたときに十分な嵩高性および嵩回復性を得られないことがあるなどの問題の恐れがある。一方、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.945g/cmよりも大きくなると、不織布またはクッション材にしたときに、表面触感および厚さ方向の柔軟性が劣る傾向にある。また、その場合、複合短繊維の第一成分が全体として硬くなることで、長時間変形させたり、繰り返し圧縮させた際、その変形が残りやすくなると考えられ、使用に伴う嵩の減少、いわゆる“へたり”が大きくなる、などの問題の恐れがある。
本発明において、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満であれば、その構成は特に限定されないため、上記密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用して、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内に調節してもよい。なお、本発明では、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用することによって、得られるクッション材の繰り返し圧縮残留ひずみをさらに低減することができるので好ましい。その原因としては、密度や共重合物とその割合、分子量分布といった、諸物性が異なる2種類以上の直鎖状低密度ポリエチレンを混合して第一成分に使用することで、性質の異なる直鎖状低密度ポリエチレンが第一成分全体に分散するようになり、より低密度の直鎖状低密度ポリエチレンは、第一成分全体に柔軟性を持たせ、複合短繊維に柔軟性やしなやかさをもたらすようになり、より高密度の直鎖状低密度ポリエチレンは、第一成分全体に弾力性とコシ感を持たせ、複合短繊維に弾力性をもたらすようになり、両者が第一成分全体に均一に分散されることで繊維物性が向上する、と推測されるが、このような理論に束縛されることはない。
密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレンを2種以上組み合わせて使用する場合、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内に調節することができれば、組み合わされる直鎖状低密度ポリエチレンの密度に特に限定はなく、密度が第一成分の密度の上限を超える直鎖状低密度ポリエチレンと、密度が第一成分の密度の下限を下回る直鎖状低密度ポリエチレンとを組み合わせて使用してもよい。本発明では、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンと、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレンとを組み合わせて使用して、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内に調節することが好ましい。このとき、密度の高い方の直鎖状低密度ポリエチレン(本明細書中、「第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」と呼ぶ場合もある)の密度は、例えば、0.908g/cm以上0.94g/cm以下、好ましくは0.91g/cm〜0.94g/cm、より好ましくは0.912g/cm〜0.935g/cmである。また、密度の低い方の直鎖状低密度ポリエチレン(本明細書中、「第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)」と呼ぶ場合もある)の密度は、例えば、0.85g/cm以上0.908g/cm未満、好ましくは0.88g/cm〜0.908g/cm未満、より好ましくは0.89g/cm〜0.906g/cmである。
密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを組み合わせて使用する場合、密度の高い方の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の使用量は、第一成分の全質量を基準として、第一成分の全質量を100質量%としたとき、例えば、3質量%〜97質量%、好ましくは5質量%〜95質量%、より好ましくは8質量%〜92質量%である。また、密度の低い方の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の使用量は、第一成分の全質量を基準として、第一成分の全質量を100質量%としたとき、例えば、3質量%〜97質量%、好ましくは5質量%〜95質量%、より好ましくは8質量%〜92質量%である。ただし、このとき、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内でなければならない。また、LLDPEとLLDPEの合計は100質量%を超えない。
本発明では、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを組み合わせて使用し、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.94g/cm未満の範囲内とすることによって、得られる不織布またはクッション材の繰り返し圧縮残留ひずみを14%未満、好ましくは12%未満、より好ましくは10%未満とすることができ、顕著に低下した繰り返し圧縮残留ひずみを達成することができ、優れた嵩回復性を有し、なおかつ、へたりが少なく、適度な弾力性を有する不織布またはクッション材を得ることができる。
また、直鎖状低密度ポリエチレンは、紡糸前の融点が、例えば、融点が130℃以下であり、融点が85℃〜128℃の範囲内にあるものであることが好ましく、90℃〜125℃の範囲内にあるものであることがさらに好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの融点が高すぎると、低温で熱接着処理をして、熱接着不織布を製造したときに、実用に耐えうる強度の不織布を得られないことがある。直鎖状低密度ポリエチレンの融点が低いと、高温で熱接着処理を施して、熱接着不織布を製造したときに、不織布の表面触感が低下することがあるか、あるいは高速カード性の点で劣り、地合の良好な不織布を得られないことがある。また、本発明において、第一成分は、このような融点が130℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンを例えば60質量%以上含み、70質量%〜100質量%含むことが好ましい。融点が130℃以下の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量を上記範囲とすることで、第一成分が可紡性を損なうことなく適度な弾性および柔軟性を持つようになり、複合短繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となりやすくなるなどの効果が得られる。
上記の密度および融点を有する直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを共重合させることにより、容易に得られる。尤も、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満となり、好ましくは直鎖状低密度ポリエチレンが上記の融点を有し得る限りにおいて、直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒を用いて重合されたものに限定されず、例えば、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたものを用いてよい。
直鎖状低密度ポリエチレンのメルトインデックス(MI)は、紡糸性を考慮すると1g/10min〜60g/10minの範囲内にあることが好ましい。ここで、メルトインデックス(MI)は、JIS K 7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、紡糸時に鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士が融着しやすくなる。一方、MIが小さすぎると、繊維化が困難となる。より具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンのMIは、2g/10min〜40g/10minであることが好ましく、3g/10min〜35g/10minであることがより好ましく、5g/10min〜30g/10minであることがさらにより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンにおける重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)は、5以下であることが好ましい。より好ましいQ値は2〜4であり、さらにより好ましくは2.5〜3.5である。Q値が5以下であると、直鎖状低密度ポリエチレンの分子量分布の幅が狭いという特徴を有しているといえ、このQ値の範囲を満たす直鎖状低密度ポリエチレンを第一成分に使用することで、立体捲縮性に優れた複合短繊維を得ることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率は、得られる複合短繊維の性質や、得られる不織布またはクッション材の触感、嵩高性を考慮すれば、25MPa〜850MPaの範囲内にあることが好ましい。ここで、曲げ弾性率は、JIS K 7171(2008年)に準じて測定される。本発明の複合短繊維は、第一成分の主成分である直鎖状低密度ポリエチレンに起因する柔軟な触感を有するが、単に柔軟なだけでは繊維のコシがなく、カード通過性が低下したり、嵩高で嵩回復性に富んだ不織布が得られにくくなったりすることがある。そのため直鎖状低密度ポリエチレンは、曲げに対してある程度変形しにくいものであることが好ましく(即ち、曲げに対する変形のしにくさが、ある程度高いものが好ましく)、具体的には曲げ弾性率が25MPa以上のものが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が大きすぎると柔軟な触感が失われるおそれがあるので、それは850MPa以下であることが好ましい。より具体的には、直鎖状ポリエチレンの曲げ弾性率は、130MPa〜600MPaであることがより好ましく、35MPa〜400MPaであることが特に好ましく、40MPa〜300MPaであることが最も好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、得られる複合短繊維の性質や、得られる不織布またはクッション材の触感、嵩高性および嵩回復性を考慮すれば、35〜70の範囲内にあることが好ましい。ここで、直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、JIS K 7215(1986年)に準じ、タイプD デュロメータを用いて測定されるデュロメータ硬さ(HDD)を指す。第一成分の主成分である直鎖状低密度ポリエチレンが柔らかすぎると繊維のコシが失われ、繊維のカード通過性が低下したり、嵩高な不織布が得られにくくなったりすることがあるだけでなく、不織布の嵩回復性が低下することもある。そのため、直鎖状低密度ポリエチレンはある程度の硬度、具体的には35以上の硬度を有することが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの硬度が大きすぎると柔軟な触感が失われるおそれがあるので、それは70以下であることが好ましい。より具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンの硬度は、40〜63であることがより好ましく、43〜60であることが特に好ましく、45〜60であることが最も好ましい。
本発明の複合短繊維において立体捲縮が十分に発現し、かつ良好な触感を与える不織布を与える限りにおいて、第一成分は、直鎖状低密度ポリエチレンに加えて、さらに他のポリマー成分を含んでいてよい。例えば、第一成分は、さらに、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブタジエン、プロピレン系共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン系樹脂や、その変性物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートおよびその共重合体などのポリエステル樹脂や、その変性物、ナイロン66、ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド系樹脂や、その変性物、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、それらの混合物、ならびにそれらのエラストマー系樹脂などから選択される、1または複数のポリマー成分を含んでよい。
本発明では、第一成分に配合してもよい、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分の量は、第一成分の密度が上記範囲内であり、かつ第一成分の40質量%を超えないように選択されることが好ましい。例えば、直鎖状低密度ポリエチレンと他のポリマーとのを合わせた質量を100質量%としたときに、上記の他のポリマー成分の含有量は3質量%〜40質量%、好ましくは5質量%〜25質量%、より好ましくは5質量%〜20質量%である。
本発明では、第一成分は、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。
第一成分に含まれていてもよい低密度ポリエチレン(「LDPE」(Low Density Polyethylene)とも呼ばれる)とは、分岐の多い軟質のポリエチレンであり、その製造方法に由来して、高圧法ポリエチレンとも呼ばれる。本発明においては、必要に応じて低密度ポリエチレンを、第一成分に少量添加することによって、立体捲縮、特に顕在捲縮をより良好に発現させて、不織布としたときの嵩高性および嵩回復性、ならびに高速カード性を向上させることが可能となる。また、低密度ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンよりも柔らかいものであるため、例えば、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンを用いたときに低下しがちな表面触感を、低密度ポリエチレンで確保することも可能である。
低密度ポリエチレンの密度は0.91g/cm〜0.93g/cmであることが好ましい。低密度ポリエチレンの密度はポリマーのMI(190℃)に依存する傾向にあるため、紡糸性を考慮すると、低密度ポリエチレンの密度は、0.915g/cm〜0.92g/cmであることが好ましい。なお、低密度ポリエチレンの密度は、前記第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体が有するべき密度の上限より高くてもよく、後述する、第一成分が有すると好ましい密度の上限より高くてもよい。
低密度ポリエチレンの紡糸前の融点は、90℃〜120℃であることが好ましい。本発明においては、低い融点の低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。融点が低い低密度ポリエチレンを用いることにより、立体捲縮、特に顕在捲縮をより良好に発現させることができ、不織布製造の際の熱加工温度領域を広くすることができ、また、熱処理した後に柔軟な不織布を得ることができる。より具体的には、低密度ポリエチレンの融点は95℃〜115℃であることがより好ましく、100℃〜110℃であると特に好ましい。
低密度ポリエチレンのメルトインデックス(MI)は、紡糸性を考慮すれば、一般的に1g/10min〜60g/10minの範囲内にあることが好ましい。ここで、メルトインデックス(MI)は、JIS−K−7210(1999年)(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kgf))に準じて測定される。MIが大きいほど、紡糸時に鞘成分の固化速度が遅くなり、繊維同士が融着しやすくなるからである。一方、MIが小さすぎると、繊維化が困難となる。より具体的には、低密度ポリエチレンのMIは、3g/10min〜50g/10minであることが好ましく、5g/10min〜50g/10minであることがより好ましく、10g/10min〜50g/10minであることがさらにより好ましい。
低密度ポリエチレンにおけるQ値は、10以下であることが好ましい。より好ましいQ値は4〜9であり、さらにより好ましくは5〜8である。Q値が10を越えると、良好な捲縮発現形状が得られないことがあり、また、接着強力も低くなる傾向にある。
第一成分において、直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとは、それらを合わせた質量を100質量%としたときに、直鎖状低密度ポリエチレンが95質量%〜75質量%を占めることが好ましく、低密度ポリエチレンが5質量%〜25質量%を占めるように、混合されていることがさらに好ましい。さらにより好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンが90質量%〜80質量%を占め、低密度ポリエチレンが10質量%〜20質量%を占める。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が多すぎると、低密度ポリエチレンを加えることによる効果が得られにくく、不織布としたときに、不織布が嵩高性において劣ることがある。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が少なすぎると、熱接着不織布としたときに、不織布の強度が低下することがある。
低密度ポリエチレンは、上記の範囲内で含まれると、複合短繊維において、良好な立体捲縮を発現させ、また、発現した捲縮のばらつきを少なくさせるとともに、繊維の捲縮率を高くすることができる。したがって、この繊維を含む不織布の嵩高性を良好にすることができる。立体捲縮が発現しやすい理由は定かではないが、分岐の少ない直鎖状低密度ポリエチレン分子に低密度ポリエチレンの長分岐が絡み合い、延伸での歪みが生じ易くなるため、立体捲縮が発現し易くなるものと推定される。尤も、この推定によって本発明が制限されることはない。また、低密度ポリエチレンは、柔軟化剤として機能するので、上記の範囲で低密度ポリエチレンを含むと、例えば、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレンを使用した場合に、得られる不織布が厚さ方向において優れた柔軟性を示し、また、表面触感が良好となる。さらに、上記の範囲で低密度ポリエチレンを含むと、不織布の加工温度領域を広くすることができ、熱接着不織布を製造するときの加工温度に拘わらず、ほぼ一定した柔軟な風合いの不織布を得ることができるので好ましい。
第一成分は、第一成分の総質量を基準として、ポリマー成分として、直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを合わせて、70質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらにより好ましく、ポリマー成分として、直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンのみを含むことがより好ましい。また、第一成分において、直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとを合わせて100質量%であってもよい。
本発明では、第一成分は、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、極性基含有変性ポリオレフィンを含むことも好ましい。第一成分が直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、極性基含有変性ポリオレフィンを含むことで繊維間の熱接着がより強固になる他、本発明の不織布と、他の素材との接着性が良好になり得るためである。
第一成分に含まれてよい極性基含有変性ポリオレフィンとは、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基などを含むポリオレフィン樹脂を指し、具体的な例として、エチレン−エチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。エチレン−エチレン性不飽和カルボン酸とは、エチレンと不飽和カルボン酸を含む共重合体を指し、エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体や、エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸を含み、さらにその他の共重合成分が共重合された共重合体を指す。エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体や、エチレンとエチレン性不飽和カルボン酸を含み、さらにその他の共重合成分が共重合された共重合体を得る方法は特に限定されず、これらを共重合して得られるランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などを用いることができる。エチレン−エチレン性不飽和カルボン酸を構成するエチレン性不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、およびこれらの酸のエステルなどが挙げられる。エチレン−エチレン性不飽和カルボン酸共重合体としては、具体的には、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−フマル酸共重合体、エチレン−イタコン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水イタコン酸共重合体などが挙げられる。中でも、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体及びエチレン−マレイン酸共重合体が好ましく、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体がより好ましく、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体がさらにより好ましい。
本発明の第一成分に含まれてよい極性基含有変性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−アクリル酸エステル−グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体である「LOTADER(ロタダー 登録商標)」(アルケマ・ジャパン製)、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体である「BONDINE(ボンダイン 登録商標)」(アルケマ・ジャパン製)、エチレン−メタクリル酸共重合体である「ニュクレル(登録商標)(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、オレフィン−マレイン酸共重合体である「モディック(登録商標)」(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
第一成分において、直鎖状低密度ポリエチレンと、極性基含有変性ポリオレフィンとは、それらを合わせた質量を100質量%としたときに、直鎖状低密度ポリエチレンが97質量%〜70質量%を占めることが好ましく、極性基含有変性ポリオレフィンが3質量%〜30質量%を占めるように、混合されていることがさらに好ましい。さらにより好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンが95質量%〜75質量%を占め、極性基含有変性ポリオレフィンが5質量%〜25質量%を占める。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が多すぎると、極性基含有変性ポリオレフィンを加えることによる効果が得られにくく、不織布としたときに、不織布の引っ張り強力や他の素材との接着性において、第一成分に極性基含有変性ポリオレフィンを含まない繊維との差が認められなくなるおそれがある。直鎖状低密度ポリエチレンの占める割合が少なすぎると、熱接着不織布としたときに、不織布の嵩回復性や嵩高性が失われるおそれがある。
第一成分は、第一成分の総質量を基準として、ポリマー成分として、直鎖状低密度ポリエチレンと極性基含有変性ポリオレフィンとを合わせて、70質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらにより好ましく、ポリマー成分として、直鎖状低密度ポリエチレンと極性基含有変性ポリオレフィンのみを含むことがより好ましい。また、第一成分において、直鎖状低密度ポリエチレンと極性基含有変性ポリオレフィンとを合わせて100質量%であってもよい。
本発明では、第一成分は、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、低密度ポリエチレン、および極性基含有変性ポリオレフィンを含むことも好ましい。第一成分が直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、低密度ポリエチレンおよび極性基含有変性ポリオレフィンを含むことで、繊維の捲縮発現性や柔軟性が向上しうるほか、繊維間の熱接着がより強固になったり本発明の不織布と、他の素材との接着性が良好になったりするためである。第一成分が、直鎖状低密度ポリエチレン以外の他のポリマー成分として、低密度ポリエチレンおよび極性基含有変性ポリオレフィンを含む場合における、好ましい低密度ポリエチレンおよび極性基含有変性ポリオレフィンは、それぞれを単独で第一成分に含ませる場合について説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を省略する。
第一成分が直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンおよび極性基含有変性ポリオレフィンを含む場合、それらを合わせた質量を100質量%としたときに、直鎖状低密度ポリエチレンが94質量%〜70質量%を占め、低密度ポリエチレンが3質量%〜27質量%を占め、極性基含有変性ポリオレフィンが3質量%〜27質量量%を占めるように混合されていることが好ましい。より好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンが90質量%〜75質量%を占め、低密度ポリエチレンが5質量%〜20質量%を占め、極性基含有変性ポリオレフィンが5質量%〜20質量量%を占めるように混合される。
本発明において、第一成分は、第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満であれば特に限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満であり、かつ第一成分の密度が0.88g/cm未満または0.918g/cm以上であっても構わないが、好ましくは第一成分の密度も0.88g/cm以上0.918g/cm未満であることが好ましい。第一成分の密度も0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内であると、第一成分が適度な弾性および柔軟性を持つようになり、複合短繊維がしなやかで、変形に対して、元の形に戻りやすい繊維となりやすく、本発明のクッション材は、繰り返し圧縮残留ひずみが低下し、優れた嵩回復性を示すためである。第一成分の密度は0.89g/cm〜0.917g/cmであると好ましく、0.90g/cm〜0.917g/cmであるとより好ましく、0.902cm〜0.916g/cmであるとさらにより好ましい。
第一成分は、上記ポリマー成分以外の他の成分、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤などの添加剤を含んでよい。そのような添加剤は、第一成分の全体の10質量%以下の量を占めるように、第一成分に含まれることが好ましい。
<第二成分>
本発明において、複合短繊維に含まれる第二成分は、上記の第一成分とともに複合短繊維を形成することができる樹脂などのポリマー成分であれば特に限定はなく、好ましくは第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも高い融点を有するポリマー成分を含む。第二成分は、例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブタジエン、プロピレン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートおよびその共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン66、ナイロン12、およびナイロン6などのポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、それらの混合物、ならびにそれらのエラストマー系樹脂などから選択される、1または複数のポリマー成分を含んでよい。
第二成分は、ポリマー成分として、第一成分を構成し得る直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも40℃以上高い融点を有し得るポリエステルを50質量%以上含む成分であることが好ましい。第二成分は、第二成分の総質量を基準として、ポリマー成分として、ポリエステルを、好ましくは50質量%以上含み、より好ましくは75質量%以上含み、最も好ましくは100質量%含む。
ポリエステルは、他のポリマーに比べて、安価であり、高い剛直性を有し、繊維にコシを与え得るので、好ましく用いられ得る。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などの重合体またはその共重合体が挙げられる。前記ポリエステルの融点は、第一成分を構成する直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも40℃以上高い。好ましい前記ポリエステルの融点は、直鎖状低密度ポリエチレンの融点より50℃以上高い温度である。
前記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートは、ポリトリメチレンテレフタレートと比較して、高い剛直性を有し、繊維にコシを与え得るので、得られる複合短繊維の高速カード性を良好にすることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、剛直性が大きいことから、最も好ましく使用され得る。ポリエチレンテレフタレートは、また、繊維製造中の延伸条件を適宜調節することにより、高い結晶性を有し、熱収縮しにくいものとなるので、立体捲縮、特に潜在捲縮性を示さないまたはごく僅かに示す、顕在捲縮性複合短繊維を与え得ることができる。そのような顕在捲縮性複合短繊維を用いて作製した不織布を作成すると、ウェブが熱処理に付されたときに、ウェブにおいて収縮が生じない又は僅かな収縮が生じ、ウェブ収縮に起因する製造工程の管理の煩雑さが無くなる、または軽減され得る。
第二成分が、好ましいポリエステルとしてのポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートと、それ以外の他のポリマー成分とを含む場合、当該他のポリマー成分は、複合短繊維において立体捲縮が十分に発現し、かつ繊維が良好な触感を与え得る不織布を与え得る限りにおいて、特に限定されない。例えば、他のポリエステル系樹脂、具体的には、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸およびポリトリメチレンテレフタレートを混合してよい。しかし、ポリトリメチレンテレフタレートは前述したとおり、柔軟であって、得られる繊維の高速カード性を低下させる傾向にあるから、本発明の複合短繊維においては使用しないことが好ましい。
第二成分は、上記ポリマー成分以外の他の成分、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤などの添加剤を含んでよい。そのような添加剤は、第二成分の全体の10質量%以下の量を占めるように、第二成分に含まれることが好ましい。
本発明の複合短繊維において、第一成分と第二成分の比(第二成分/第一成分)は、8/2〜3/7(容積比)が好ましい。より好ましくは7/3〜35/65、最も好ましくは6/4〜4/6である。第二成分は、主として不織布の嵩高性および嵩回復性に寄与し、第一成分は、主として不織布強力および不織布の柔らかさに寄与する。その複合比が8/2〜3/7であると、不織布強力および柔らかさと、嵩回復性を両立することができる。複合比は、第一成分が多くなると、不織布強力は上がるが、得られる不織布が硬くなり、嵩回復も悪くなる傾向になる。一方、第二成分が多くなりすぎると接着点が少なくなりすぎて、不織布強力が小さくなり、そのため嵩回復性が悪くなる傾向となる。
本発明の複合短繊維においては、第二成分の重心位置は、繊維断面において、繊維の重心位置からずれていることが好ましい。図4に本発明の一実施形態における複合短繊維の繊維断面を示す。図4においては、第二成分(2)の周囲に第一成分(1)が配置され、第一成分(1)が繊維断面において繊維(10)表面の少なくとも20%を占めている。これにより第一成分(1)は熱接着時に表面が溶融することができる。繊維断面において、第二成分(2)の重心位置(3)は、繊維(10)の重心位置(4)からずれており、ずれの割合(以下、偏心率と記載する場合がある。)は、複合短繊維の繊維断面を電子顕微鏡などで拡大撮影し、繊維断面における第二成分(2)の重心位置(3)をC1とし、複合短繊維(10)の繊維断面における繊維の重心位置(4)をCfとし、複合短繊維(10)の繊維断面の半径(5)をrfとしたとき、下記式で示す数値をいう。
偏心率(%)=[|Cf−C1|/rf]×100
第二成分(2)の重心位置(3)が繊維の重心位置(4)からずれている繊維断面としては、図4に示す偏心芯鞘型(この場合、第一成分(1)が鞘成分であり、第二成分(2)が芯成分である)、あるいは並列型(サイドバイサイド型)であることが好ましい形態であり、偏心芯鞘型がより好ましい形態である。場合によっては、多芯型であっても多芯部分が集合して繊維の重心位置からずれて存在しているものでも可能である。特に、偏心芯鞘型の繊維断面であると、容易に所望の波形状捲縮及び/又は螺旋状捲縮などの立体捲縮を発現させることができる点で好ましい。偏心芯鞘型複合短繊維の偏心率は、5%〜50%であることが好ましい。より好ましい偏心率は、7%〜30%である。
図2に本発明の一実施形態における捲縮性複合短繊維の捲縮形態を示す。本発明でいう波形状捲縮とは、図2Aに示すような捲縮の山部が湾曲したものを示す。螺旋状捲縮とは、図2Bに示すような捲縮の山部が螺旋状に湾曲したものを示す。図2Cに示すような波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮も本発明に含まれ得る。図1に示すような通常の機械捲縮の場合は、捲縮の山が鋭角である、いわゆる鋸歯状捲縮のままであると、不織布としたときの嵩回復性を大きくすることができない。さらに、圧縮に対する面弾性、いわゆるスプリング効果に劣り、特に十分な嵩回復性が得られない。また、図3に示すように機械捲縮の鋭角な捲縮と、図2Aに示す波形状捲縮が混在した捲縮も本発明に含まれ得る。本発明においては、波形状捲縮と螺旋状捲縮とを含めて、機械捲縮と区別して立体捲縮という。
本発明においては、特に図2Cに示す波形状捲縮と螺旋状捲縮とが混在した捲縮であることが、カード通過性と初期嵩および嵩回復性を両立できる点で好ましい。
本発明の複合短繊維、特に顕在捲縮性複合短繊維は、例えば、以下の手順で製造することができる。なお、本発明の複合短繊維は、潜在捲縮性繊維であっても、顕在捲縮性繊維であってもよく、顕在捲縮性繊維であることが好ましいが、顕在捲縮性繊維に限定されるものではない。まず、直鎖状低密度ポリエチレンおよび必要に応じて低密度ポリエチレンを含む第一成分と、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートを50質量%以上含む第二成分とを、繊維断面において第一成分が繊維表面の少なくとも20%を占め、第二成分の重心位置が繊維の重心位置からずれるように配置された複合型ノズル、例えば偏心芯鞘型複合ノズルを用いて、第二成分を紡糸温度240℃〜350℃、第一成分を紡糸温度200℃〜300℃で溶融紡糸し、引取速度100m/min〜1500m/minで引き取り、紡糸フィラメントを得ることができる。
次いで、第二成分に含まれるポリマー成分のうち、最も高いガラス転移点を有するポリマー成分のガラス転移点(Tg)以上、直鎖状低密度ポリエチレンの融解ピーク温度未満の延伸温度で、延伸倍率1.5倍以上5.0倍以下の範囲で延伸処理を施す。より好ましい延伸温度の下限は、Tgより10℃高い温度である。より好ましい延伸温度の上限は、90℃であり、特に好ましい延伸温度の上限は、85℃である。延伸温度がTgよりも低いと、第二成分の結晶化が進みにくいため、得られる繊維において第二成分の熱収縮が大きくなる、または得られる繊維で作製した不織布の嵩回復性が小さくなる傾向が認められる。延伸温度が直鎖状低密度ポリエチレンの融解ピーク温度以上であると、繊維同士が融着するため、好ましくない。
より好ましい延伸倍率の下限は1.8倍であり、特に好ましい延伸倍率の下限は2.0倍であり、最も好ましい延伸倍率の下限は2.2倍である。より好ましい延伸倍率の上限は4.5倍であり、特に好ましい延伸倍率の上限は4.0倍であり、最も好ましい延伸倍率の上限は3.8倍である。延伸倍率が1.8倍未満であると、延伸倍率が低すぎるため、波形状捲縮および/または螺旋状捲縮などの立体捲縮が発現した繊維を得ることが難しく、不織布としたときの嵩高性が小さくなるだけでなく、繊維自体の剛性も小さくなるため、カード通過性などの不織布工程性に劣る、あるいは嵩回復性が低下する傾向がある。また、延伸時の前後において必要に応じて50℃〜115℃の繊維同士が融着しない温度で乾熱、湿熱、蒸熱等の雰囲気下でアニーリング処理を施してもよい。
次いで、必要に応じて繊維処理剤を付与する前または後に、スタッフィングボックス式捲縮機など公知の捲縮機を用いて捲縮数5個/25mm〜25個/25mmの捲縮を付与する。捲縮機を通過した後の捲縮形状は、鋸歯状捲縮及び/又は波形状捲縮であってもよい。捲縮数が5個/25mm未満であると、カード通過性が低下すると共に、不織布の嵩高性や嵩回復性が悪くなる傾向がある。一方、捲縮数が25個/25mmを超えると、捲縮数が多すぎるためにカード通過性が低下し、不織布の地合が悪くなるだけでなく、不織布の初期嵩も小さくなる恐れがある。
さらに、前記捲縮機にて捲縮を付与した後、50℃〜115℃の乾熱、湿熱、あるいは蒸熱の雰囲気下でアニーリング処理を施すことが好ましい。アニーリング処理により、本発明の複合短繊維の立体捲縮の発現を促進することができる。具体的には、繊維処理剤を付与した後に捲縮機にて捲縮を付与し、50℃〜115℃の乾熱雰囲気下でアニーリング処理と同時に乾燥処理を施すと工程を簡略化することができるため、好ましい。アニーリング処理が50℃未満であると、得られる繊維の乾熱収縮率が大きくなる傾向となり、得られる不織布の地合が乱れたり、生産性が低下したりする恐れがある。また、アニーリング工程が乾燥工程も兼ねている場合、アニーリング温度が50℃未満であると、繊維の乾燥が不十分となる可能性がある。このような方法により、立体捲縮が発現した複合短繊維、即ち、顕在捲縮性複合短繊維が得られ得る。
このようにして得られる本発明の複合短繊維において、捲縮数(立体捲縮数)は、繊維のカード通過性及び不織布等にしたときの嵩高性を考慮すると、10個/25mm〜18個/25mmであることが好ましい(なお、本発明の複合短繊維が潜在捲縮繊維である場合には、捲縮数は、例えば第一成分の直鎖状低密度ポリエチレンの融点よりも5℃低い温度にて、繊維を自由な状態で加熱処理に付したときに発現する立体捲縮の捲縮数を指す)。また、本発明の複合短繊維について、JIS L 1015(2010年)に準じて捲縮数および捲縮率を測定したときに、捲縮率と捲縮数の比(捲縮率/捲縮数)が0.7〜1.2であることが好ましく、0.85〜1であることがより好ましい。捲縮率は、捲縮の固定性(捲縮の伸びにくさ)を示し、捲縮率/捲縮数が、上記範囲を満たすと、捲縮が伸びにくく、適度な大きさの波形及び/又は螺旋状捲縮を有するので、カード通過性が良好であり、カード通過後のウェブは嵩高性を維持し、熱処理後の不織布等は弾力性を維持することができる。
本発明の複合短繊維の繊度および繊維長は特に限定されず、不織布の製造方法および不織布の用途に応じて選択される。例えば、本発明の複合短繊維は、後述するように、例えば、カード機(またはその他の手段)によりウェブを作製した後、繊維同士を熱接着させる熱接着不織布の製造に用いられる場合、その繊度は1.1dtex〜50dtex、繊維長は10mm〜100mmの短繊維とすることが好ましい。例えば、本発明の複合短繊維をクッション材として用いる場合、その繊度は2.2dtex〜30dtex、より好ましくは3.3dtex〜20dtex、特に好ましくは5.6dtex〜18dtexであってよい。具体的には、本発明の複合短繊維は、カード機を用いて繊維ウェブを作製して製造される乾式不織布(例えばエアスルー不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布など)に適した繊維長(繊維長15mm〜90mm、より好ましくは32mm〜80mm)を有してよく、エアレイド不織布を製造する場合、エアレイド不織布の製造に適した繊維長(10mm〜32mm、より好ましくは12mm〜28mm)とし、前記製造方法に適した繊度(繊度2.2dtex〜30dtex、より好ましくは3.3dtex〜20dtex)を有してよい。繊度は、紡糸フィラメントの繊度および延伸倍率を調節することによって、所望のように調節することができる。所定長さの繊維は、前記アニーリング処理の後で、繊維をカットすることにより得られる。
以上において説明した本発明の複合短繊維は、繊維集合物中に20質量%以上含有されることにより、嵩高性、厚さ方向の柔軟性および嵩回復性に優れた繊維集合物を形成することができる。繊維集合物としては、織編物および不織布などが挙げられる。また、本発明の複合短繊維は、不織布、特に熱接着不織布とした場合、本発明の複合短繊維の表面、望ましくは第一成分の少なくとも一部分が熱接着成分として、繊維同士の少なくとも一部を熱接着することが好ましい。また、本発明において、第二成分は部分的に溶融していてもよい。また、本発明の複合短繊維は、潜在捲縮性繊維であっても、顕在捲縮性繊維であってもよいが、顕在捲縮性繊維であることが特に好ましい。
続いて、繊維集合物の具体的な一例として不織布を、その製造方法とともに説明する。本発明の不織布は、本発明の複合短繊維を20質量%以上含有するように繊維ウェブを作製し、続いて、繊維同士を交絡させる、および/または、熱接着させる等の方法によって、繊維同士を一体化させることによって得られる。本発明の複合短繊維以外に他の繊維を用いてもよく、その場合には、当該他の繊維として、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、パルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、およびアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ならびにポリウレタン系などの合成繊維から、1種または複数種の繊維をその用途などに応じて選択することができる。他の繊維は、本発明の複合短繊維と混合して使用してよく、あるいは本発明の複合短繊維から成る繊維ウェブと積層して用いてよい。
当該不織布を製造する際に用いられる繊維ウェブとしては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、およびクリスクロスウェブなどのカードウェブ、エアレイドウェブ、湿式抄紙ウェブ、およびスパンボンドウェブ等が挙げられる。異なる種類の繊維ウェブを2種類以上積層してもよい。
本発明の複合短繊維を用いて不織布を製造する場合には、繊維ウェブに熱処理を施して、第一成分で繊維同士を少なくとも部分的に熱接着させた熱接着不織布の形態で不織布を得ることが好ましい。熱接着不織布は、本発明の複合短繊維がもたらす効果(厚さ方向の柔軟性、嵩高性および嵩回復性)を顕著に発揮するからである。繊維間を絡合させるために、繊維ウェブには必要に応じて熱処理前および/または熱処理後にニードルパンチ処理や水流交絡処理等の交絡処理を施してもよい。
熱接着不織布を得るために、前記繊維ウェブには、公知の熱処理手段により熱処理を施すことが好ましい。熱処理手段としては、熱風貫通式熱処理機、熱風吹き付け式熱処理機および赤外線式熱処理機等、風圧等の圧力が繊維ウェブにあまり加わらない熱処理機が好ましく用いられ得る。熱処理温度等の熱処理条件は、第一成分が十分に溶融および/または軟化して、繊維同士が接点または交点において接合するとともに、本発明の複合短繊維に生じている立体捲縮がつぶれないような条件を選択して実施することが好ましい。例えば、熱処理温度は、直鎖状低密度ポリエチレンの紡糸前の融解ピーク温度(複数の直鎖状低密度ポリエチレンが第一成分に含まれている場合には、最も高い融解ピーク温度を有する直鎖状低密度ポリエチレンの融解ピーク温度)をTmとしたときに、(Tm−15)℃〜(Tm+40)℃の温度とすることが好ましい。より好ましい熱処理温度範囲は(Tm−10)℃〜(Tm+30)℃である。
また、本発明の熱接着不織布において、JIS K6400−4、4.5.のB法で測定した繰り返し圧縮残留ひずみ(試験片の厚さが50%になる圧縮を連続して8万回繰り返した後、30分間放置した後の厚さを測定する)は、14%以下であることが好ましい。繰り返し圧縮残留ひずみが14%以下であることで、本発明の熱接着不織布は繰り返し圧縮した場合に生じる嵩の減少、いわゆる“へたり”が少ないものとなり、圧縮による繊維又は不織布の劣化が抑制され、嵩回復性と耐久性優れていることを示す。繰り返し圧縮残留ひずみが14%を超えると、不織布を繰り返し圧縮すると不織布に発生する“へたり”が顕著になるためクッション材や衣料用パッドとして使用した際、へたりや変形によって使用感が悪化するなどの恐れがある。繰り返し圧縮残留ひずみは、好ましくは13%以下、より好ましくは12%以下、さらにより好ましくは10%以下である。繰り返し圧縮残留ひずみの下限は、0%に近づけば近づくほど好ましいため特に制限されないが、1%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上であってもよい。
本発明の複合短繊維を含む不織布、特に熱接着不織布において、その密度は、例えば、2kg/m〜100kg/m、好ましくは5kg/cm〜80kg/m、より好ましくは10kg/m〜40kg/mである。不織布の密度が上記の範囲内であれば、本発明の複合短繊維を含む不織布が使用できる用途、例えば、自動車用に代表される各種座席に使用するクッション材、衣料用パッド、寝装用品といった用途において、適度な硬さや弾力性、クッション性を示すようになり、不織布の嵩回復性にも優れるなどの効果が得られる。尤も、密度は、熱接着不織布の種類によっては、これらの範囲外にあってもよい。また、本発明の熱接着不織布を他の用途に使用する場合には、その用途に応じて、その密度が適宜選択され得る。
また、本発明の複合短繊維を含む不織布、特に熱接着不織布において、その厚さは、例えば、2mm以上、好ましくは5mm〜500mm、より好ましくは5mm〜300mmである。不織布の厚さが上記の範囲内であれば、上記厚さの範囲から、使用する用途に適した不織布に加工して、本発明の複合短繊維を含む不織布を使用することで、その用途に適した硬さやクッション性を示すようになる。不織布の厚さは用途によって適した厚さが異なるため、特に上限は限定されない。本発明の複合短繊維を含む不織布の厚さは800mm以下であってもよく、600mm以下であってもよく500mm以下であってもよい。尤も、厚さは、熱接着不織布の種類によっては、これらの範囲外にあってもよい。また、本発明の熱接着不織布を他の用途に使用する場合には、その用途に応じて、その厚さが適宜選択され得る。
本発明の不織布、特に熱接着不織布は、繰り返し圧縮残留ひずみが低く、荷重を加えた後、荷重を取り除いたときに変形が残り難く、嵩回復性に優れるので、例えば、クッション材(例えば、自動車用、航空機用、鉄道車両用、船舶用の座席に使用するクッション材のほか、一般家庭用、事務用の座席に使用するクッション材や、生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション材等を含む)、衣料用パッド(例えば、女性のブラジャーのパッド、肩パッド、肘当てパッド、膝当てパッド等)、寝装用品(例えば、ベッド、ふとん、ベッドマット、マットレス、枕等)といった用途に好適であるほか、嵩高で弾力性、嵩回復性に富むことから、吸音材や遮音材、防振材や制振材、断熱材、保温材等の用途に好適である。
本発明の熱接着不織布をクッション材とする場合、密度は5kg/m〜80kg/mとすることがより好ましく、また、厚さを5mm〜500mmとすることがより好ましい。尤も、密度および厚さは、クッション材の種類によっては、これらの範囲外にあってもよい。また、本発明の熱接着不織布を他の用途に使用する場合には、その用途に応じて、その密度および厚さが適宜選択され得る。
本発明の熱接着不織布をクッション材として用いる場合、本発明の複合短繊維を20質量%以上含有することが好ましく、25質量%以上含有することがより好ましく、30質量%以上含有することが特に好ましい。また、不織布またはクッション材の100質量%が本発明の複合短繊維で構成されていてもよい。本発明の複合短繊維の割合が上記範囲内にあると、本発明の複合短繊維が発現する立体捲縮により、嵩高な不織布が得られやすくなるほか、本発明の複合短繊維により不織布全体が弾力性、クッション性に富んだ不織布となる。また、不織布を製造する際に適度な温度で熱処理をおこなうことで、不織布全体に均一に分散した本発明の複合短繊維により、繊維同士が接触している部分で繊維間の熱接着が発生し、不織布の耐久性が増すとともに、繊維同士が熱接着することで弾力性が高められるなど、クッション材に求められる機能を発揮することができる。
[実施例1〜5、比較例1]
(第一成分)
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE)として下記のものを用意した。
LLDPE A:メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「420SD」、密度0.918g/cm、Q値3.0、MI=7g/10min、融点116℃、ヘキセン共重合、曲げ弾性率270MPa、硬度(HDD)52)
LLDPE B:メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネル(登録商標)KS560T」、密度0.898g/cm、Q値3.1、MI=16.5g/10min、融点90℃、ヘキセン共重合、曲げ弾性率62MPa、硬度(HDD)40)
LLDPE C:メタロセン触媒で重合された直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「613A」、密度0.913g/cm、MI=30g/10min、融点97℃と113℃の2段ピーク、曲げ弾性率230MPa、硬度(HDD)50)
LDPE a:低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「J2516」、密度0.916g/cm、MI=25g/10min、融点106℃、硬度(HDD)45)
(第二成分)
第二成分を構成するポリマーとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)((東レ(株)製、商品名「T200E」、融点250℃、極限粘度値(IV値)0.64)を用意した。
第一成分として、以下の表1に示すポリマー(第一成分の密度および第一成分に含まれる各ポリマーの密度については以下の表2に記載する通りである)を表1に示す混合割合(質量%)で使用し、第二成分として上記の商品名「T200E」(PET)を使用して、それらの2つの成分を、偏心鞘芯型複合ノズル(ノズルのホール数 600ホール)を用い、第一成分(鞘成分)/第二成分(芯成分)の複合比(容積比)を55/45として、第1成分の紡糸温度を290℃、第2成分の紡糸温度を310℃、ノズル温度を300℃として溶融押出し、以下の表1に示す所定の速度(200m/min.〜280m/min.)で紡糸フィラメントを引き取り、以下の表1に示す所定の繊度(20.8dtexまたは28dtex)、偏心率25%の紡糸フィラメントを得た。以下の表1において、紡糸フィラメントの製造時の条件(引取速度(m/分)、未延伸繊度(すなわち延伸前の繊度)(dtex))をさらに詳しく示す。また、このとき、フィラメントの可紡性について評価した。可紡性の評価基準として、◎は、溶融紡糸の際、糸切れが発生せず、繊維間の融着や未延伸繊維の繊度にバラつきが生じないことを示し、○は、未延伸繊維の繊度にバラつきはあるが生産上問題なく、繊維間の融着や糸切れが発生しないことを示す。
得られた紡糸フィラメントを、所定の温度に調整した温水槽中で紡糸フィラメントを延伸して、繊度が9dtexとなる延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤として、撥水性の繊維処理剤(繊維処理剤の濃度5重量%)を延伸フィラメントに付与した後、延伸フィラメントに対し、スタッフィングボックス型クリンパにて機械捲縮を10個/25mm〜18個/25mmとなるように付与した。そして、以下の表1に示す所定の温度に設定した熱風吹き付け装置にて15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施した(あわせて熱処理と呼ぶ)。その後、フィラメントを64mmの繊維長に切断して、顕在捲縮性の複合短繊維を得た。複合短繊維の詳細な製造条件(延伸槽温度、延伸倍率、熱処理温度)を以下の表1に示す。また、このとき、クリンパ通過性を評価した。クリンパ通過性の評価基準として、◎は、延伸トウがクリンパ出口からきれいに排出され捲縮がムラなく均一に捲縮を付与されることを示し、○は、捲縮形状にややムラはあるが生産上問題なく、クリンパ出口での延伸トウの排出に問題がないことを示す。
得られた捲縮性複合短繊維を開繊し、混綿する繊維がある場合は十分に混綿した後、ローラー式カード機(ローラー式パラレルカード機)を用いて目付約75g/mの繊維ウェブを作製した。このとき、カード通過性を評価した。カード通過性の評価基準として、◎は、地合の良好なカードウェブが得られ、静電気の発生やカードにかからない繊維もないことを示し、○は、カードにかからない繊維が少し発生するが、生産上問題なく、カードウェブの地合も良好であることを示す。このようにして得られた繊維ウェブを、10枚積層し、目付が750g/mとなる積層カードウェブを用意した。この積層カードウェブを200mm×200mmの木枠に、厚さが25mmになるように詰め込み、以下の表1に示す所定の熱接着温度に設定した恒温熱加工機に入れ、4分後に上下をひっくり返し、その後6分、合計で10分間熱処理をして、第一成分の少なくとも一部分を溶融させて、熱接着不織布を得た。表1に、このときの熱接着温度を詳しく示す。得られた熱接着不織布の厚さは25mmであり、密度は30kg/mであった。
得られた各熱接着不織布について、繰り返し圧縮残留ひずみ(%)を測定した。繰り返し圧縮残留ひずみは、JIS K6400−4、4.5. B法に基づいて測定した(試験片の厚さが50%になる圧縮を連続して8万回繰り返した後、30分間放置した後の厚さを測定する)。結果を表1に示す。
Figure 0006054091
Figure 0006054091
表1、2に示す通り、比較例1の熱接着不織布は、複合短繊維の第一成分として、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE A、密度0.918g/cm)のみを使用して作製されたものであり、直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度が高く(密度:0.918g/cm)、その結果、不織布の繰り返し圧縮残留ひずみが14.3%と高くなり、優れた嵩回復性は得られなかった。また、比較例1の熱接着不織布をクッション材としたとき、へたりが大きく、適度な弾力性を得ることもできなかった。
対して、本発明の実施例1〜5の熱接着不織布では、驚くべきことに、複合短繊維の第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内とすることによって、不織布の繰り返し圧縮残留ひずみが顕著に低下して14%未満となり、優れた嵩回復性を得ることができた。
さらに驚くべきことに、本発明では、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を組み合わせて使用して複合短繊維の第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度を0.88g/cm以上0.918g/cm未満の範囲内とすることによって(実施例1および実施例3〜5)、特に、密度の高い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE A、密度:0.918g/cm)と、密度の低い直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE B、密度:0.898/cm)とを組み合わせて使用することによって、繰り返し圧縮残留ひずみは12%未満にまで低下し、特に実施例1では10%未満にまで低下し、非常に優れた嵩回復性を得ることができた。
このように、本発明の複合短繊維を使用すると、優れた嵩回復性を有し、なおかつ、へたりが少なく、適度な弾力性を有する不織布を提供することができた。
本発明は、優れた嵩回復性を有し、なおかつ、へたりが少なく、適度な弾力性を有する不織布を提供することができるので、クッション材(例えば、自動車用、航空機用、鉄道車両用、船舶用の座席に使用するクッション材のほか、一般家庭用、事務用の座席に使用するクッション材や、生理用ナプキン、紙おむつ、介護用紙おむつといった吸収性物品において表面シートの下に配置するクッション材等を含む)、衣料用パッド(例えば、女性のブラジャーのパッド、肩パッド、肘当てパッド、膝当てパッド等)、寝装用品(例えば、ベッド、ふとん、ベッドマット、マットレス、枕等)といった用途に好適であるほか、嵩高で弾力性、嵩回復性に富むことから、吸音材や遮音材、防振材や制振材、断熱材、保温材等を構成するのに適している。
1 第一成分
2 第二成分
3 第二成分の繊維断面における重心位置
4 複合短繊維の繊維断面における重心位置
5 複合短繊維の繊維断面における半径
10 複合短繊維

Claims (11)

  1. 第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維を含むクッション材であって、
    第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を75質量%〜95質量%含み、
    第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm以上0.918g/cm未満であり、
    第一成分は、さらに低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、前記低密度ポリエチレンの含有量は、前記直鎖状低密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンの合計質量に対して、5質量%〜25質量%であり、
    第一成分に含まれる低密度ポリエチレン全体の密度は、0.91g/cm 〜0.93g/cm であり、
    第二成分は、ポリエチレンテレフタレートを75質量%以上含み、
    繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれており、
    第一成分の少なくとも一部分によって、繊維同士の少なくとも一部が接着しているクッション材。
  2. JIS K6400−4、4.5.のB法で測定した繰り返し圧縮残留ひずみが14%以下である、請求項1に記載のクッション材。
  3. 前記第一成分が、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を少なくとも2種類含む、請求項1または2に記載のクッション材。
  4. 前記第一成分が、密度が0.908g/cm以上0.94g/cm以下の第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、密度が0.85g/cm以上0.908g/cm未満の第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを含み、前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPEが3質量%〜92質量%含まれ、LLDPEが3質量%92質量%含まれ、LLDPEとLLDPEの合計が95質量%を超えないことを特徴とする、請求項3に記載のクッション材。
  5. 前記第一成分の密度が0.88g/cm以上0.918g/cm未満である、請求項1〜のいずれかに記載のクッション材。
  6. 前記複合短繊維を20質量%以上含む、請求項1〜のいずれかに記載のクッション材。
  7. 第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維であって、
    第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を75質量%〜95質量%含み、
    第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm以上0.918g/cm未満であり、
    第一成分は、さらに低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、前記低密度ポリエチレンの含有量は、前記直鎖状低密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンの合計質量に対して、5質量%〜25質量%であり、
    第一成分に含まれる低密度ポリエチレン全体の密度は、0.91g/cm 〜0.93g/cm であり、
    第二成分は、ポリエチレンテレフタレートを75質量%以上含み、
    繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれている、
    クッション材用複合短繊維。
  8. 前記第一成分が、密度の異なる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を少なくとも2種類含む、請求項に記載のクッション材用複合短繊維。
  9. 前記第一成分が、密度が0.908g/cm以上0.94g/cm以下の第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、密度が0.85g/cm以上0.908g/cm未満の第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを含み、前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPEが3質量%〜92質量%含まれ、LLDPEが3質量%92質量%含まれ、LLDPEとLLDPEの合計が95質量%を超えないことを特徴とする、請求項に記載のクッション材用複合短繊維。
  10. 第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維を含むクッション材であって、
    第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を60質量%以上含み、
    第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm 以上0.918g/cm 未満であり、
    繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれており、
    第一成分の少なくとも一部分によって、繊維同士の少なくとも一部が接着していて、
    前記第一成分が、密度が0.908g/cm 以上0.94g/cm 以下の第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE )と、密度が0.85g/cm 以上0.908g/cm 未満の第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE )とを含み、前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPE が3質量%〜97質量%含まれ、LLDPE が3質量%〜97質量%含まれ、LLDPE とLLDPE の合計が100質量%を超えない、クッション材。
  11. 第一成分と第二成分とを含み、かつ少なくとも立体捲縮を発現している複合短繊維であって、
    第一成分は、少なくとも1種類の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を60質量%以上含み、
    第一成分に含まれる直鎖状低密度ポリエチレン全体の密度は、0.88g/cm 以上0.918g/cm 未満であり、
    繊維断面において、第一成分は、繊維表面の少なくとも20%を占めており、
    第二成分の重心位置は繊維の重心位置からずれており、
    前記第一成分が、密度が0.908g/cm 以上0.94g/cm 以下の第一の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE )と、密度が0.85g/cm 以上0.908g/cm 未満の第二の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE )とを含み、
    前記第一成分の全質量を100質量%としたとき、LLDPE が3質量%〜97質量%含まれ、LLDPE が3質量%〜97質量%含まれ、LLDPE とLLDPE の合計が100質量%を超えない、
    クッション材用複合短繊維。
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