JP6397210B2 - 吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品 - Google Patents

吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品 Download PDF

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Description

本発明は、生理用ナプキンや紙オムツ(乳幼児用と成人用の紙オムツを含む)等の吸収性物品に用いる吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品に関する。詳細には、多層構造を有する吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品に関する。
生理用ナプキンや紙オムツ等の吸収性物品は、主に装着者の肌に当接する表面シート、液体を吸収する吸収体、液体を外に漏れさせない防漏シートで構成されている。そして、吸収性物品に用いる表面シートには、装着時の快適性のため、柔らかで滑らかな触感を有すること、経血といった体内から排出された血液や、尿や流動性のある便等の排泄物を吸収する吸液特性に優れること、吸収した経血や排泄物等が表面から見えないようにする、いわゆる隠蔽性等が求められている。
吸収性物品に用いる表面シートとして、特許文献1には、肌に対面する上層と、上層の下に位置する下層とを有する不織布で形成され、少なくとも上層を構成する繊維に酸化チタンを含ませ、上層を構成する繊維より下層を構成する繊維の伸び率を低く引張強さを大きくした表面材が提案されている。また、特許文献2には、構成繊維の繊維径が11〜18μmの第1の層と、第1の層に隣接して配され構成繊維の繊維径が19〜31μmの第2の層を有する不織布からなる吸収性物品に用いるトップシートが提案されている。
特開2001−61891号公報 特開2004−166831号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の表面シートは、隠蔽性が高く、滑らかな風合いを有し、リウェットが生じにくかったが、ランオフや吸液速度などの吸液特性が検討されていなかった。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、滑らかな触感を有するとともに、ランオフや吸液速度等の吸液特性が良好な吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品を提供する。
本発明は、肌に当接する第1繊維層と、上記第1繊維層と隣接している第2繊維層とを含む吸収性物品用表面シートであって、上記第1繊維層は、芯成分がポリプロピレンを含み、鞘成分が上記ポリプロピレンの融点よりも5℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含む第1芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層であり、上記第2繊維層は、芯成分がポリエステル樹脂を含み、鞘成分が上記ポリエステル樹脂の融点よりも50℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含み、上記芯成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている第2芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層であり、上記第1芯鞘型複合短繊維は、繊度が0.5dtex以上2.1dtex以下であり、上記第2芯鞘型複合短繊維は、繊度が2.2dtex以上5.2dtex以下であり、上記第1芯鞘型複合短繊維と上記第2芯鞘型複合短繊維の少なくとも一部が、上記第1芯鞘型複合短繊維と上記第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により熱接着していることを特徴とする吸収性物品用表面シートに関する。
上記第1芯鞘型複合短繊維は、上記芯成分と上記鞘成分が実質的に同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維であり、上記芯成分と上記鞘成分の複合比が芯成分/鞘成分の体積比で52/48〜73/27であることが好ましい。上記第1芯鞘型複合短繊維の芯成分におけるポリプロピレンの含有量は50質量%以上であり、上記ポリプロピレンの紡糸後の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが3.0以上8.0以下であることが好ましい。上記第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分において、上記第1芯鞘型複合短繊維の芯成分に含まれるポリプロピレンの融点よりも5℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂は高密度ポリエチレンであり、上記第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分における上記高密度ポリエチレンの含有量は50質量%以上であり、上記高密度ポリエチレンのJIS−K−7210に準じて測定温度190℃、荷重21.18Nの条件下で測定したメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分以下であることが好ましい。上記第1芯鞘型複合短繊維の繊維長が25mm以上65mm未満であることが好ましい。
上記第1繊維層の目付が4g/m2以上18g/m2以下であり、上記第2繊維層の目付が10g/m2以上30g/m2以下であり、上記第2繊維層の目付が上記第1繊維層の目付より大きいことが好ましい。
上記吸収性物品用表面シートにおいて、上記第1繊維層の表面を測定面としてKES法に基づいて測定した平均摩擦係数の変動(MMD)が0.0092以下であることが好ましい。
本発明は、また、上記の吸収性物品用表面シートを含むことを特徴とする吸収性物品に関する。
本発明は、滑らかな触感を有し、ランオフや吸液速度等の吸液特性が良好な吸収性物品用表面シート、及びこれを含む吸収性物品を提供する。
図1は本発明の一実施形態の吸収性物品用表面シートの断面模式図である。 図2は本発明で用いる同心円構造の芯鞘型複合短繊維の繊維断面を示す断面模式図である。 図3は本発明で用いる偏心芯鞘型複合短繊維の繊維断面を示す断面模式図である。 図4A〜Dは、本発明で用いる芯鞘型複合短繊維の捲縮形態を示す模式図である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、肌に当接する第1繊維層と、上記第1繊維層と隣接している第2繊維層とを含む吸収性物品用表面シートにおいて、上記第1繊維層を、芯成分がポリプロピレンを含み、鞘成分が上記ポリプロピレンの融点よりも5℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含む第1芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層とし、上記第2繊維層を、芯成分がポリエステル樹脂を含み、鞘成分が上記ポリエステル樹脂の融点よりも50℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含み、上記芯成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている第2芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層とし、上記第1芯鞘型複合短繊維の繊度を0.5dtex以上2.1dtex以下とし、上記第2芯鞘型複合短繊維の繊度を2.2dtex以上5.2dtex以下とし、上記第1芯鞘型複合短繊維と上記第2芯鞘型複合短繊維の少なくとも一部を、上記第1芯鞘型複合短繊維と上記第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により熱接着することで、吸収性物品用表面シートが滑らかな触感を有するとともに、ランオフや吸液速度等の吸液特性が良好になることを見出し、本発明に至った。すなわち、肌に当接する第1繊維層と、上記第1繊維層と隣接している第2繊維層とを含む吸収性物品用表面シートにおいて、肌に当接する第1繊維層を構成する第1芯鞘型複合短繊維の繊度と、第1繊維層に隣接する第2繊維層を構成する第2芯鞘型複合短繊維の繊度を特定の範囲にするとともに第1芯鞘型複合短繊維の繊度を第2芯鞘型複合短繊維の繊維より小さくしている。併せて、第1芯鞘型複合短繊維の芯成分にポリプロピレンを含ませ、第2芯鞘型複合短繊維の芯成分にポリエステル樹脂を含ませ、かつ第2芯鞘型複合短繊維の断面を偏心断面にしている。これにより、吸収性物品用表面シートが滑らかな触感を有するとともに、ランオフや吸液速度等の吸液特性が良好になることを見出した。
本発明の吸収性物品用表面シートは、肌に当接する第1繊維層と、上記第1繊維層と隣接している第2繊維層とを含む。図1は、本発明の一実施形態の吸収性物品用表面シートの断面模式図である。図1に示しているように、吸収性物品用表面シート1は、第1繊維層11と、第1繊維層11と隣接している第2繊維層12で構成されている。
(第1繊維層)
第1繊維層は、芯成分がポリプロピレンを含み、鞘成分が上記ポリプロピレンの融点よりも5℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含む第1芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層である。第1繊維層は、触感及び吸液特性に優れるという観点から、第1芯鞘型複合短繊維を60質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは第1芯鞘型複合短繊維を70質量%以上含み、さらに好ましくは第1芯鞘型複合短繊維を80質量%以上含み、特に好ましくは第1芯鞘型複合短繊維を90質量%以上含む。第1繊維層に、第1芯鞘型複合短繊維に加えて、他の繊維を含ませる場合には、他の繊維として、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維を用いることができる。上記天然繊維としては、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、パルプ等が挙げられる。上記再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。上記合成繊維としては、例えば、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられる。他の繊維としては、上述した繊維から、1種または複数種の繊維を用途等に応じて適宜に選択することができる。
<芯成分>
第1芯鞘型複合短繊維の芯成分におけるポリプロピレンの含有量は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは、芯成分において、後述する無機フィラーを除く樹脂成分が全てポリプロピレンとなっている構成である。上記ポリプロピレン(以下、PPとも記す。)としては、特に限定されず、例えばホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はそれらの混合物を用いることができる。上記ランダム共重合体、ブロック共重合体としては、例えば、プロピレンと、エチレン及び炭素数4以上のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも一種のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。上記炭素数4以上のα−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。上記共重合体におけるプロピレンの含有量は50質量%以上であることが好ましい。中でも、吸収性物品用表面シートの嵩回復性を向上する観点から、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1−プロピレン三元共重合体からなる群から選択される一種であることが好ましく、第1芯鞘型複合短繊維の生産性、カード通過性及び経済性(製造コスト)を考慮すると、芯成分におけるポリプロピレンはプロピレンホモポリマーであることが特に好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維の芯成分において、上記ポリプロピレンの紡糸後の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mn(以下において、「Q値」とも記す。)が3.0以上8.0以下であることが好ましく、3.0以上6.5以下であることがより好ましく、3.2以上6.0以下であることがさらに好ましく、3.4以上5.5以下であることが特に好ましい。上記ポリプロピレンの紡糸後のQ値が3.0以上8.0以下であることで、第1芯鞘型複合短繊維が優れたカード通過性を有するとともに、第1芯鞘型複合短繊維を製造する際の生産性も良好になる。
上記ポリプロピレンは、紡糸後の質量平均分子量Mwが120000以上であることが好ましい。より好ましい質量平均分子量Mwは140000以上であり、特に好ましい質量平均分子量Mwは150000以上である。上記ポリプロピレンは、紡糸後の質量平均分子量Mwが120000以上であると、ポリプロピレン中に高分子量のポリプロピレン分子が多く存在するようになり、ポリプロピレンの紡糸後のQ値が上述した範囲を満たしやすく、第1芯鞘型複合短繊維に高分子量のポリプロピレン分子が多く残存していることになる。上記ポリプロピレンの紡糸後の質量平均分子量Mwの上限は特に限定されないが、300000以下であってもよく、240000以下であってもよく、220000以下であってもよい。ポリプロピレンの紡糸後の質量平均分子量Mwが300000を超えると、可紡性及び延伸性が低下し、生産性の高い第1芯鞘型複合短繊維が得られにくくなるおそれがある。
上記ポリプロピレンのQ値、質量平均分子量Mwは、紡糸前と紡糸後で異なる場合がある。特に、紡糸後のQ値が3.0以上8.0以下のポリプロピレンは、紡糸前のQ値が8を超えてもよい。これは、比較的高分子量のポリプロピレン分子を構成する分子間の結合が紡糸時の熱で切断される、或いは、比較的高分子量のポリプロピレン分子の一部が低分子量のポリプロピレン分子に連鎖移動するためであると推察される。なお、本発明において、Q値、Mwの値は、特に紡糸前の値であると記載していない限り、紡糸後の値である。
第1芯鞘型複合短繊維において、芯成分は、上記ポリプロピレンに加えて、他の樹脂を含んでもよい。上記他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、上記ポリプロピレン以外のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1、及びこれらとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル等の不飽和カルボン酸のエステル、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、マレイン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物からなる群から選ばれる少なくとも一種以上を共重合したもの、グラフト重合したもの、並びにこれらのエラストマー等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、及びこれらとイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸等の酸成分や、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等のグリコール成分、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレングリコール等との共重合体、並びにこれらのエラストマーが挙げられる。上記ポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。また、本発明の効果が阻害されず、繊維生産性、不織布生産性、熱接着性、触感に影響を与えない範囲であれば、第1芯鞘型複合短繊維の芯成分に、公知の各種添加剤を添加してもよい。第1芯鞘型複合短繊維の芯成分に添加できる添加剤としては、公知の結晶核剤、帯電防止剤、顔料、艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、可塑剤、柔軟剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
第1芯鞘型複合短繊維の芯成分において、上記ポリプロピレンのメルトフローレートは特に限定されないが、JIS−K−7210に準じて測定したメルトフローレート(MFR;測定温度230℃、荷重2.16kgf(21.18N)、以下においてMFR230と記す。)が10g/10分以上50g/10分以下であることが好ましい。より好ましいMFR230は20g/10分以上40g/10分以下であり、特に好ましいMFR230は25g/10分以上35g/10分以下である。上記ポリプロピレンのMFR230が上記の範囲内であることにより、紡糸引き取り性及び延伸性が良好になるだけでなく、芯成分がカード機を通過するのに充分な弾性を持つようになり、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性が良好になる。
第1芯鞘型複合短繊維の芯成分において、上記ポリプロピレンの融点は特に限定されないが、カード通過性及びそれを用いた吸収性物品用表面シート(熱接着不織布)の強度及び耐熱性を考慮すると、上記ポリプロピレンの融点は、150℃以上であることが好ましく、152℃以上であることがより好ましく、155℃以上であることが特に好ましい。上記ポリプロピレンの融点が150℃以上であることで、第1芯鞘型複合短繊維を用いて繊維ウェブを作製し、この繊維ウェブに熱風加工等の熱処理を行った際、不織布の繊維ウェブの嵩が減少しにくくなり、嵩高で触感の柔らかい熱接着不織布が得られやすくなる。上記ポリプロピレンの融点の上限は特に限定されないが、170℃以下であればよく、168℃以下であってもよい。本発明において、融点は、JIS−K−7121に準じて測定したDSC曲線より求められる融解ピーク温度をいう。
第1芯鞘型複合短繊維の芯成分において、上記ポリプロピレンは、JIS−K−7161に準じて測定される引張弾性率が1600MPa以上であることが好ましく、1650MPa以上であることがより好ましく、1680MPa以上であることが特に好ましい。芯成分に含まれるポリプロピレンの引張弾性率が1600MPa以上であることで、芯成分がカード機を通過するのに充分な弾性を持つようになり、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性が良好になる。また、複合短繊維の芯成分が充分な弾性を持つことで、クリンパー等を用いて機械捲縮を付与すると、与えられた機械捲縮の形状を維持しやすく、また捲縮発現性も良好なものとなる。
<鞘成分>
第1芯鞘型複合短繊維において、鞘成分は、上記芯成分におけるポリプロピレンより融点が5℃以上低い熱可塑性樹脂を含む。第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分において、上記芯成分におけるポリプロピレンより融点が5℃以上低い熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、高密度ポリエチレン(以下において、HDPEとも記す。)を用いることが好ましい。第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分が高密度ポリエチレンを含むことにより、第1芯鞘型複合短繊維が剛性の高いものとなりやすく、上述した特定のQ値の範囲を満たすポリプロピレと組みあわせて複合短繊維を構成することで、繊維全体の弾性が高くなり、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性、捲縮発現性が良好になりやすい。また、第1芯鞘型複合短繊維を含む第1繊維層、及び第1繊維層を含む吸収性物品用表面シートが嵩高なものになりやすい。第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの含有量は好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは、鞘成分において、後述する無機フィラーを除く樹脂成分が全て高密度ポリエチレンとなっている構成である。
第1芯鞘型複合短繊維において、上記鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンのメルトフローレートは特に限定されないが、JIS−K−7210に準じて測定したメルトフローレート(MFR;測定温度190℃、荷重2.16kgf(21.18N)、以下においてMFR190と記す。)が5g/10分以上30g/10分以下であることが好ましい。より好ましいMFR190は8g/10分以上23g/10分以下であり、特に好ましいMFR190は10g/10分以上18g/10分以下である。上記高密度ポリエチレンのMFR190が上記の範囲内であることにより、紡糸引き取り性及び延伸性が良好になるだけでなく、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性が良好になる。
第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分において、上記高密度ポリエチレンの融点は、上記芯成分に含まれるポリプロピレンの融点よりも5℃以上低ければよく特に限定されないが、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性、並びに吸収性物品用表面シートの生産性、強度及び耐熱性を考慮すると、上記高密度ポリエチレンの融点は、125℃以上140℃以下であることが好ましく、128℃以上138℃以下であることがより好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維において、鞘成分は高密度ポリエチレンに加えて、他の樹脂を含んでもよい。上記他の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、第1芯鞘型複合短繊維の芯成分に添加する他の樹脂として列挙されたものを用いることができる。また、第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分にも、本発明の効果が阻害されず、繊維生産性、不織布生産性、熱接着性、触感に影響を与えない範囲であれば、公知の各種添加剤を加えることが可能である。
第1芯鞘型複合短繊維は、複合短繊維100質量%に対して無機フィラーを0.5質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。上述した範囲の無機フィラーを含むことにより、吸収性物品用表面シートの見た目の白さ、すなわち白度が高くなる。加えて、第1芯鞘型複合短繊維の繊度が2.1dtex以下であることから、上記第1芯鞘型複合短繊維を含む第1繊維層の表面が可視光線を乱反射しやすくなるだけでなく、同じ目付の不織布であれば不織布を構成する繊維の本数が増えるため、吸収性物品用表面シートの白度がさらに高くなりやすい。吸収性物品用表面シートの白度が高いことにより、吸収性物品が経血や尿等の排泄物を吸収したとき、表面シートの下に位置する吸収体に吸収された上記経血や尿等の排泄物の色が表面から見えにくくなる、いわゆる隠蔽性が高くなる。隠蔽性をより高める観点から、上記無機フィラーは白度の高い無機粉体であることが好ましい。具体的には、二酸化チタン(TiO2、以下単に酸化チタンとも称す。)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ(二酸化ケイ素)、マイカ、ゼオライト、タルク等の白色の無機粉末を無機フィラーとして第1芯鞘型複合短繊維に含有させる。上記無機フィラーは、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ及びタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、少なくとも酸化チタンを含有することがより好ましく、実質的に酸化チタンのみを無機フィラーとして含有していることが特に好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維において、無機フィラーの含有量は、好ましくは複合短繊維100質量%に対して0.8質量%以上8質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上6.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.2質量%以上5.0質量%以下であり、特に好ましくは1.3質量%以上3.5質量%以下である。上記第1芯鞘型複合短繊維が無機フィラーを含むことにより、上述したように、該複合短繊維を含む吸収性物品用表面シートを吸収性物品に使用したとき、優れた隠蔽性を発揮するほか、無機フィラーを含むことで複合短繊維そのもの、及びこれを含む吸収性物品用表面シートの触感も柔らかくなる傾向がある。無機フィラーは第1芯鞘型複合短繊維を構成する鞘成分及び芯成分のいずれか一方に含有させてもよいし、両方に含有させてもよい。吸収性物品用表面シートの隠蔽性の観点から、少なくとも第1芯鞘型複合短繊維の芯成分に無機フィラーを含有させることが好ましい。また、第1芯鞘型複合短繊維100質量%に対する無機フィラーの含有量が4質量%又は5質量%を超える場合、無機フィラーを鞘成分又は芯成分の一方の樹脂成分のみに含有させると、無機フィラーを含む樹脂成分の可紡性が極端に低下するため、鞘成分及び芯成分の両方に無機フィラーを含有させることが好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維は、上記芯成分と上記鞘成分が実質的に同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維であることが好ましい。図2は、同心円構造の芯鞘型複合短繊維の繊維断面を示す断面模式図である。図2に示すように、同心円構造の芯鞘型複合短繊維2では、鞘成分21と芯成分22が実質的に同心円状に配置されている。すなわち、繊維断面において、芯成分22の重心位置23は芯鞘型複合短繊維2の重心位置24から実質的にずれていない。第1芯鞘型複合短繊維が同心円構造の芯鞘型複合短繊維である場合、このように、芯成分22の周囲に鞘成分21が配置され、鞘成分21が芯成分22の周囲を囲むことで、同心円構造の芯鞘型複合短繊維2において、切断面以外の繊維表面は鞘成分21に覆われている。これにより、同心円構造の第1芯鞘型複合短繊維で構成された繊維ウェブを熱接着させる時に、第1芯鞘型複合短繊維の表面を構成する鞘成分が溶融し、繊維同士が熱接着する。第1芯鞘型複合短繊維は芯成分が偏心していない、すなわち同心円構造になっているため、繊維断面における鞘成分の厚さは、繊維断面のいずれの箇所においてもほぼ一定の厚さになっている。その結果、第1芯鞘型複合短繊維で構成された繊維ウェブを熱処理する時に、繊維表面の鞘成分が軟化・溶融している第1芯鞘型複合短繊維に対し、いずれの部分に他の繊維が接触しても、均一な強度の熱接着点が形成されるため、第1芯鞘型複合短繊維を使用した第1繊維層は、接着強度が高く、摩擦に強く毛羽立ちにくいものとなる。芯成分の重心位置が複合短繊維の重心位置から実質的にずれていないとは、下記の方法で求められるずれの割合(以下、偏心率とも記す。)が10%以下、好ましくは7%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下であることを指す。
<偏心率>
芯鞘型複合短繊維の繊維断面を走査型電子顕微鏡等で拡大撮影し、芯成分22の重心位置23をC1とし、芯鞘型複合短繊維2の重心位置24をCfとし、芯鞘型複合短繊維の半径25をrfとしたとき、下記数式1で算出する。
[数1]
偏芯率(%)=[(Cf−C1)/rf]×100
第1芯鞘型複合短繊維において、芯成分と鞘成分の複合比が芯成分/鞘成分の体積比で52/48〜73/27であることが好ましく、より好ましくは55/45〜70/30であり、さらに好ましくは60/40〜70/30であり、特に好ましくは62/38〜68/32である。第1芯鞘型複合短繊維における芯成分と鞘成分の複合比が上述した範囲であることにより、第1芯鞘型複合短繊維のカード通過性、及び第1芯鞘型複合短繊維を含む吸収性物品用表面シートの触感が良好になる。
第1芯鞘型複合短繊維において、芯成分の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形等の異形であってもよく、複合短繊維の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形等の異形、又は中空形であってもよい。
第1芯鞘型複合短繊維は、繊度が0.5dtex以上2.1dtex以下である。第1芯鞘型複合短繊維の繊度が2.1dtex以下であることにより、吸収性物品用表面シートの触感が滑らかになるとともに、隠蔽性も高くなる傾向がある。吸収性物品用表面シートの触感及び隠蔽性を向上させる観点から、第1芯鞘型複合短繊維の繊度は1.8dtex以下であることが好ましく、1.7dtex以下であることがより好ましい。繊度が0.5dtex以上であることにより、吸収性物品用表面シートのランオフが短くなったり、吸液速度が速くなる等吸液特性が良好になる。吸収性物品用表面シートのランオフを短くし、吸液特性を向上させる観点から、第1芯鞘型複合短繊維の繊度は、0.8dtex以上であることが好ましく、1.0dtex以上であることがより好ましく、1.1dtex以上であることが特に好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維は、主として、図4Aに示す鋸歯状捲縮(機械捲縮とも称す)と図4Bに示す波形状捲縮からなる群から選ばれる少なくとも一種の捲縮を有し、捲縮数が5個/25mm以上25個/25mm以下であることが好ましい。カード通過性を低下させることなく、柔軟で風合いの滑らかな吸収性物品用表面シートを得ることができる。より好ましい捲縮数は8個/25mm以上20個/25mm以下であり、さらに好ましい捲縮数は10個/25mm以上20個/25mm以下である。また、第1芯鞘型複合短繊維は、複合短繊維のカード通過性、及び第1芯鞘型複合短繊維を含む不織布の触感や嵩回復性の観点から、捲縮率が5%以上20%以下であることが好ましく、6%以上18%以下であることがより好ましく、6.5%以上16%以下であることがさらに好ましい。
第1芯鞘型複合短繊維は、その繊維長は特に限定されないが、カード通過性を考慮すると、繊維長は25mm以上65mm未満であることが好ましい。繊維長がこの範囲を満たすことで、第1芯鞘型複合短繊維が細繊度であってもカード通過性に優れ、地合の良好なカードウェブを製造できる。細繊度の繊維の場合、繊維長が25mm未満であると、繊維長が短すぎてカードに引っかからない、いわゆるフライの状態になりやすく、カードウェブが製造できなくなるおそれがある。細繊度の繊維の場合、繊維長が65mm以上であると、複合短繊維がカード機のワイヤーにかかりすぎたり、複合短繊維同士が絡みやすくなったりすることで毛玉状に繊維が集まる、いわゆるネップが多発し、カードウェブが製造できなくなるおそれがある。第1芯鞘型複合短繊維の繊維長は、より好ましくは28mm以上55mm以下であり、さらに好ましくは30mm以上48mm以下であり、特に好ましくは34mm以上45mm以下である。
(第2繊維層)
第2繊維層は、芯成分がポリエステル樹脂を含み、鞘成分が上記ポリエステル樹脂の融点よりも50℃以上低い融点を有する熱可塑性樹脂を含み、上記芯成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている第2芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層である。第2繊維層は、吸液特性に優れるという観点から、第2芯鞘型複合短繊維を60質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは70質量%以上含み、さらに好ましくは80質量%以上含み、特に好ましくは90質量%以上含む。第2繊維層に、第2芯鞘型複合短繊維に加えて、他の繊維を含ませる場合には、他の繊維として、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維を用いることができる。上記天然繊維としては、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、パルプ等が挙げられる。上記再生繊維としては、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。上記合成繊維としては、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられる。他の繊維としては、上述した繊維から、1種または複数種の繊維を用途等に応じて適宜に選択することができる。
第2芯鞘型複合短繊維は、芯成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型複合短繊維である。図3は、偏心芯鞘型複合短繊維の繊維断面を示す断面模式図である。図3に示しているように、芯成分32の重心位置33が芯鞘型複合短繊維3の重心位置34からずれている。偏心芯鞘型複合短繊維の捲縮形状は、一般的に図4Aに示す鋸歯状捲縮よりも図4Bに示す波形状捲縮や図4Cに示す螺旋形状捲縮(コイル状捲縮とも称す)になりやすい。また、偏心芯鞘型複合短繊維の捲縮形状は、鋸歯状捲縮に波形状捲縮及び/または螺旋状捲縮が混在した捲縮形状になってもよい。図4Dは鋸歯状捲縮と波形状捲縮が混在している捲縮形状の模式図である。そして、鋸歯状捲縮を有する複合短繊維と比較して、波形状捲縮、螺旋状捲縮、鋸歯状捲縮と波形状捲縮及び/又は螺旋状捲縮が混在している複合短繊維を用いた熱接着不織布は、嵩高で、不織布内部に空隙が多く存在する、疎な内部構造を持つ不織布になりやすい。そのため、第2繊維層に偏心芯鞘型複合短繊維である第2芯鞘型複合短繊維を含ませることにより、第2繊維層は空隙の多い、疎な構造の繊維層となるため、第1繊維層が吸収した液体(例えば経血などの血液や尿などの排泄物)を第2繊維層の内部に引き込みやすくなり、第2繊維層を構成する繊維として同心円構造の芯鞘型複合短繊維を用いた場合より、ランオフが短くなったり、吸液速度が速くなる等吸液特性が良好になる。第2芯鞘型複合短繊維は、偏心率が10%超かつ50%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以上30%以下である。第2芯鞘型複合短繊維の偏心率は、芯鞘型複合短繊維の繊維断面を走査型電子顕微鏡等で拡大撮影し、芯成分32の重心位置33をC1とし、芯鞘型複合短繊維3の重心位置34をCfとし、複合短繊維の半径35をrfとしたとき、上述した数式1で算出することができる。
第2芯鞘型複合短繊維は、繊度が2.2dtex以上5.2dtex以下である。第2繊維層を構成する第2芯鞘型複合短繊維の繊度を、第1繊維層を構成する第1芯鞘型複合短繊維の繊度より大きくすることで、吸収性物品用表面シートが適度なクッション性を有し、触感が滑らかになるとともに、吸液特性も良好になる。第2芯鞘型複合短繊維の繊度が2.2dtex未満であると、第2芯鞘型複合短繊維が偏心芯鞘型の複合短繊維であっても、繊度が小さいことで第2繊維層の構成繊維の本数が相対的に多くなり、その結果、第2繊維層が密な構造となって経血や尿等の排泄物を吸液しなくなる。また、第2芯鞘型複合短繊維の繊度が5.2dtexを超えると、第2芯鞘型複合短繊維の繊度が大きいことで第2繊維層の構成本数が相対的に少なくなり、その結果、第2繊維層が疎になりすぎて、毛細管現象が発生しにくくなり、経血や尿等の排泄物を吸液しなくなる。第2芯鞘型複合短繊維の繊度は2.6dtex以上4.8dtex以下であるとより好ましく、2.8dtex以上4.6dtex以下であるとさらに好ましい。
第2芯鞘型複合短繊維において、芯成分はポリエステル樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは60質量%以上含み、さらに好ましくは70質量%以上含み、特に好ましくは80質量%以上含む。芯成分がポリエステル樹脂を50質量%以上含むことにより、第2芯鞘型複合短繊維のカード通過性が良好になる。上記ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、及びこれらとイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸等の酸成分や、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール等のグリコール成分、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシメチレングリコール等との共重合体、並びにこれらのエラストマーが挙げられる。吸収性物品用表面シートの嵩高性、クッション性、及び吸液速度の観点から、上記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(以下において、PETとも記す。)であることが好ましい。
第2芯鞘型複合短繊維において、芯成分に含まれるポリエステル樹脂より融点が50℃以上低い熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分が高密度ポリエチレンを含むことにより、第2芯鞘型複合短繊維が剛性の高いものとなりやすく、第2芯鞘型複合短繊維のカード通過性、捲縮発現性が良好になりやすい。第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの含有量は好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。上記高密度ポリエチレンとしては、上述した第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分に用いることができる高密度ポリエチレンを用いることができる。第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンと、第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンは融点がほぼ同等であることが好ましい。第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維とを第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により熱接着しやすくなる。
第2芯鞘型複合短繊維において、芯成分の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形等の異形であってもよく、複合短繊維の繊維断面における形態は、円形以外に、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形等の異形、又は中空形であってもよい。
第2芯鞘型複合短繊維は、その繊維長は特に限定されず、例えば、76mm以下であればよい。吸収性物品用表面シートを製造するときの工程性の観点から、繊維長は35mm以上65mm以下であることが好ましく、より好ましくは40mm以上60mm以下であり、さらに好ましくは44mm以上55mm以下である。
本発明の吸収性物品用表面シートにおいて、第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維の少なくとも一部が、第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により熱接着している。第1芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含有する第1繊維ウェブと、第2芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含有する第2繊維ウェブを積層し、積層構造の繊維ウェブを熱処理して第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維の少なくとも一部を鞘成分により熱接着させる。
上記繊維ウェブとしては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、及びクリスクロスウェブ等のカードウェブ、エアレイドウェブ等が挙げられる。吸収性物品用表面シートは嵩高性や柔軟性、繊維間にある程度空隙が存在する、適度な空隙率を有していることが求められるため、繊維ウェブはカードウェブであることが好ましい。第1繊維層と第2繊維層は、異なる種類の繊維ウェブであってもよい。
上記積層構造の繊維ウェブに熱処理を施して、第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により第1芯鞘型複合短繊維と第2芯鞘型複合短繊維を熱接着させることで、第1繊維層(第1繊維ウェブ)と第2繊維層(第2繊維ウェブ)を含む熱接着不織布の形態で、本発明の吸収性物品用表面シートを得ることができる。熱接着不織布の形態であれば、厚さ方向の柔軟性、嵩回復性、並びに不織布表面の滑らかな風合い等の効果を顕著に発揮するからである。繊維間を絡合させるために、繊維ウェブには、必要に応じて、熱処理前及び/又は熱処理後にニードルパンチ処理や水流交絡処理等の交絡処理を施してもよい。第1繊維ウェブと第2繊維ウェブは境目付近で互いに絡合してもよい。
上記熱処理は、公知の熱処理機により施すことができる。例えば、熱処理には、熱風貫通式熱処理機、熱風吹き付け式熱処理機及び赤外線式熱処理機等、風圧等の圧力が繊維ウェブにあまり加わらない熱処理機が好ましく用いられる。熱処理温度等の熱処理条件は、例えば、鞘成分が十分に溶融及び/又は軟化して、繊維同士が接点又は交点において接合するとともに、捲縮がつぶれないような条件を選択して実施する。例えば、熱処理温度は、鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの紡糸前の融点(複数の高密度ポリエチレンが鞘成分に含まれている場合には、最も高い融点を有する高密度ポリエチレンの融点)をTmとしたときに、Tm以上かつ(Tm+40℃)以下の範囲とすることが好ましい。より好ましい熱処理温度の範囲は(Tm+5℃)以上かつ(Tm+30℃)以下である。
上記吸収性物品用表面シートは、触感が良好である。吸収性物品用表面シートの触感は、布帛の風合いを計測し客観的に評価する方法の一つである、KES(Kawabata Evaluation System)法に基づいて計測・評価することができる。具体的には、上記吸収性物品用表面シートにおいて、第1繊維層の表面を測定面とし、KES法に基づいて平均摩擦係数の変動(摩擦係数μの平均偏差といわれることもあり、以下、MMDとも称す。)を測定し、触感を評価する。MMDは、摩擦のばらつきを示し、これが大きいほど表面がざらざらしていることを示す。平均摩擦係数の変動を測定する機器は、KES法に基づいた表面摩擦の測定が行える機器であれば特に限定されない。例えば、摩擦感テスター(「KES−SE」、カトーテック社製)、自動化表面試験機(「KES−FB4−AUTO−A」、カトーテック社製)等を用いることができる。
上記吸収性物品用表面シートは、滑らかな触感を有し、風合いに優れるという観点から、第1繊維層の表面を測定面とし、KES法に基づいて測定した平均摩擦係数の変動が0.0092以下であることが好ましく、0.009以下であることがより好ましく、0.0088以下であることがさらに好ましい。
上記吸収性物品用表面シートは、経血や尿等の排泄物の液漏れがなく吸液特性に優れるという観点から、後述するように測定したランオフが45mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、35mm以下であることがさらに好ましい。また、上記吸収性物品用表面シートは、繰り返し吸液特性に優れるという観点から、後述するように測定した3回目の吸液速度が40秒以下であることが好ましく、より好ましくは35秒以下であり、さらに好ましくは30秒以下である。
上記吸収性物品用表面シートにおいて、吸液特性の観点から、第1繊維層の目付は第2繊維層の目付より低いことが好ましい。液戻りが少なく、耐ウェットバック性に優れるという観点から、第1繊維層の目付は4g/m2以上18g/m2以下であることが好ましく、5g/m2以上18g/m2以下であることがより好ましく、6g/m2以上15g/m2以下であることがさらに好ましく、7g/m2以上14g/m2以下であることが特に好ましい。また、液戻りが少なく、耐ウェットバック性に優れるという観点から、第2繊維層の目付は10g/m2以上30g/m2以下であることが好ましく、12g/m2以上28g/m2以下であることがより好ましく、12g/m2以上25g/m2以下であることがさらに好ましい。
上記吸収性物品用表面シートにおいて、第1繊維層は、吸収性物品を着用する着用者の肌に当接する。第1芯鞘型複合短繊維を含む第1繊維層が肌に当たることで、吸収性物品の使用者に対し、快適な使用感を与えることができる。上記吸収性物品用表面シートは、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等の各種吸収性物品の表面シートとして好ましく使用できる。
本発明の吸収性物品としては、上記吸収性物品用表面シートを含むものであればよく、特に限定されない。例えば、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例及び比較例では、下記の繊維を用いた。
(1)繊維1:芯成分がPP(融点:160℃、MFR230:12g/10分、Q値(紡糸前):4.6)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が65/35であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:1.4dtex、繊維長:38mm)を用いた。
(2)繊維2:芯成分がPP(融点:160℃、MFR230:12g/10分、Q値(紡糸前):4.6)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)65/35であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:1.6dtex、繊維長:38mm)を用いた。
(3)繊維3:芯成分がPP(融点:160℃、MFR230:22g/10分、Q値(紡糸前):5.2)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:22g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が65/35であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:1.1dtex、繊維長:38mm)を用いた。
(4)繊維4:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が45/55であり、偏心率が25%の偏心芯鞘型複合短繊維(繊度:2.6dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(5)繊維5:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が45/55であり、偏心率が25%の偏心芯鞘型複合短繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(6)繊維6:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(体積比):芯成分/鞘成分が45/55であり、偏心率が25%の偏心芯鞘型複合短繊維(繊度:4.4dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(7)繊維7:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が45/55であり、偏心率が25%の偏心芯鞘型複合短繊維(繊度:5.6dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(8)繊維8:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が37/63であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(9)繊維9:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が40/60であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:3.3dtex、繊維長:51mm)を用いた。
(10)繊維10:芯成分がPET(融点:256℃)であり、鞘成分がHDPE(融点:130℃、MFR190:12g/10分)であり、芯鞘比(芯成分/鞘成分の体積比)が40/60であり、芯成分と鞘成分が同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維(繊度:4.4dtex、繊維長:51mm)を用いた。
なお、繊維1〜7の複合短繊維においては、芯成分に対し二酸化チタンを添加した。繊維1〜3において、二酸化チタンの含有量は繊維100質量%に対して1.95質量%であった。また、繊維4〜7において二酸化チタンの含有量は繊維100質量%に対して1.67質量%であった。
上記繊維において、ポリマーのQ値は、以下のように測定した値である。
(数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、及びQ値)
クロス分別装置(CFC)とフーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析(FT−IR)を用い、測定溶媒としてオルトジクロルベンゼン(ODCB)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、z平均分子量Mz及び質量平均分子量/数平均分子量の比(Mn/Mw:Q値)を測定した。
紡糸前のPPのQ値は、使用したPP樹脂ペレットをそのまま使用して測定した。なお、紡糸後のPPのQ値は、得られた複合短繊維を用いて測定することができる。或いは、紡糸後のPPのQ値は、溶融紡糸を行う際、押出機の温度を290℃とし、紡糸ノズルを取り付けない状態で押出機からPP樹脂を溶融させて押し出し、空気中にて空冷することで直径5〜8mmの棒状の樹脂ストランドを作製し、この棒状の樹脂ストランドを3mmほどの長さに切断したものを試料として測定を行ってもよい。
(実施例1)
まず、繊維1を用い、ローラー式カード機にて目付10g/m2の第1繊維ウェブを作製した。次いで、繊維4を用い、ローラー式カード機にて目付15g/m2の第2繊維ウェブを作製した。次いで、第1繊維ウェブの上に第2繊維ウェブを積層した後、得られた積層繊維ウェブを135℃に設定した熱風貫通式熱処理機を用いて、15秒間熱処理し、繊維1及び繊維4における鞘成分を溶融させて繊維1と繊維4を熱接着させて、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付26.0g/m2)を得た。このとき、積層繊維ウェブは第1繊維層となる第1繊維ウェブを熱風貫通式熱処理機のコンベアネット面に接した状態で熱処理しており、熱風は第2繊維層側から積層繊維ウェブに対し吹き当てた。
(実施例2)
繊維4に代えて繊維5を用いた以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付24.0g/m2)を得た。
(実施例3)
繊維1に代えて繊維2を用い、繊維4に代えて繊維6を用いた以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付25.7g/m2)を得た。
(実施例4)
繊維1に代えて繊維2を用い、繊維4に代えて繊維5を用い、第1繊維ウェブの目付を7g/m2にし、第2繊維ウェブの目付を18g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付24.7g/m2)を得た。
(実施例5)
繊維1に代えて繊維3を用い、繊維4に代えて繊維5を用いた以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付25.0g/m2)を得た。
(実施例6)
まず、繊維2を用い、パラレルカード機にて目付が約7g/m2になるように第1繊維ウェブを作製した。次いで、繊維5を用い、パラレルカード機にて目付が18g/m2になるように第2繊維ウェブを作製した。第1繊維ウェブの上に第2繊維ウェブを積層した後、得られた積層繊維ウェブを135℃に設定した熱風貫通式熱処理機用いて、熱処理し、繊維2及び繊維5における鞘成分を溶融させて繊維2と繊維5を熱接着させて、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付25.0g/m2)を得た。このとき、第1繊維層となる第1繊維ウェブが熱風貫通式熱処理機のコンベアネット面に接した状態で熱処理しており、熱風は第2繊維層側から積層繊維ウェブに対し吹き当てた。
(実施例7)
繊維1に代えて繊維2を用い、繊維4に代えて繊維5を用い、第1繊維ウェブの目付を20g/m2にし、第2繊維ウェブの目付を18g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付38.0g/m2)を得た。
(実施例8)
繊維1に代えて繊維2を用い、繊維4に代えて繊維5を用い、第1繊維ウェブの目付を7g/m2にし、第2繊維ウェブの目付を35g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付45.0g/m2)を得た。
(比較例1)
繊維5に代えて繊維9を用いた以外は、実施例2と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付26.3g/m2)を得た。
(比較例2)
繊維6に代えて繊維10を用いた以外は、実施例3と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付24.7g/m2)を得た。
(比較例3)
繊維6に代えて繊維7を用いた以外は、実施例3と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付26.7g/m2)を得た。
(比較例4)
繊維2に代えて繊維8を用いた以外は、実施例4と同様にして、第1繊維層と第2繊維層を含む熱接着不織布(目付26.0g/m2)を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜4の熱接着不織布(吸収性物品用表面シート)の厚さ、ランオフ(run−off)、吸液速度、液戻り量に下記のように評価した。また、実施例1〜8及び比較例1〜4の熱接着不織布(吸収性物品用表面シート)の平均摩擦係数の変動(MMD)を下記のように評価した。結果を下記表1に示した。
(厚さ)
不織布の厚さは、厚み測定機(商品名「THICKNESS GAUGE」、モデル「CR−60A」、株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、JIS−L−1096に準じて試料1cm2あたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
(ランオフ)
(1)水平面と45度の角度をなす斜面を有する、略垂直二等辺三角形の断面を有する支持台の上に日本製紙クレシア社製「キムタオル(登録商標)」を4枚重ねたものを敷き、その上に不織布(縦方向(機械方向)18cm、横方向7cm)を、不織布の縦方向が水平面と45度の角度をなすように載せて固定した。
(2)不織布表面の上端1cmの位置から、生理食塩水をマイクロチューブポンプにて1g/10secの速度で計6g滴下し、注いだ生理食塩水のすべてが不織布に吸収され、生理食塩水の水滴が不織布の表面から消えた位置を測定し、当該位置と生理食塩水を不織布表面に滴下した位置との間の、生理食塩水の水滴が不織布表面を流れた距離を求めた。なお、上記において、マイクロチューブポンプの代わりにビュレットを用いて生理食塩水を滴下してもよい。
(吸液速度、液戻り量)
(1)吸液速度、液戻り量を測定するために、下記の物品を用意した。
吸収体:MEZGER inc.製のLister Paper(Grade989、10cm×10cm)を3枚重ねたものを吸収体として使用した。
生理食塩水
ろ紙:東洋濾紙社製、ADVANTEC(登録商標) No.2、10cm×10cm
重り:4kg
プレート:アクリル樹脂製、125mm×125mm、厚さ5mm
測定機器:Lenzing Instruments社製の『Lister』(以下、単にLister試験器とも称す。)
(2)方法
吸液速度、液戻り量を下記の手順に従って測定した。
(i)前記吸収体(MEZGER inc.製 Lister Paper(Grade989、10cm×10cm)を3枚重ねたもの)の上に不織布((縦方向(機械方向)10cm、横方向10cm)を乗せ、この状態で前記測定機器にセットする。
(ii)セットした不織布に対し生理食塩水5mlをLister試験器を用いて滴下した。この時、生理食塩水が不織布表面から見えなくなる(生理食塩水が不織布から、不織布の下に位置する吸収体に移行し、不織布表面に液体として生理食塩水が確認されなくなる)までの時間(吸液時間)を測定し、1回目の吸液速度とした。
(iii)生理食塩水が不織布表面から見えなくなってから30秒間放置し、30秒後、1回目の吸液試験で生理食塩水を滴下した箇所と同じ箇所に対し、手順(ii)と同様の方法で5mlの生理食塩水を再度滴下し、生理食塩水が不織布表面から見えなくなるまでの時間(吸液時間)を測定し、2回目の吸液速度とした。
(iv)2回目の吸液速度を測定した後、手順(iii)を繰り返し、生理食塩水が不織布表面から見えなくなるまでの時間(吸液時間)を測定し、3回目の吸液速度とした。
(v)3回目の吸収速度の測定が終了した後、Lister試験器のストライクスループレートを外し、アクリル樹脂製のプレートを不織布の表面に載せ、その上に4kgの重りを3分間載せた。
(vi)3分経過した後、重りとアクリル樹脂製のプレートを取り除き、不織布の上にあらかじめ質量を測定しておいたろ紙(東洋濾紙社製 ADVANTEC(登録商標) No.2)を置き、ろ紙の上から4kgの重りを2分間載せた。2分後にろ紙を取り出し、生理食塩水を吸収したろ紙の質量を測定し、不織布の上に載せる前のろ紙の質量を差し引き、液戻り量を算出した。
(平均摩擦係数の変動)
平均摩擦係数の変動は、KES(Kawabata Evaluation System)法に基づいて測定した。具体的には、カトーテック社製の「KES−SE」摩擦感テスターを使用した。測定面は、第1繊維層の表面とし、摩擦子に対し静荷重を25gf(245N)かけ、摩擦子を不織布の縦方向に平行な方向に、移動速度1mm/secで移動させて不織布の平均摩擦係数の変動(MMD)を測定した。
Figure 0006397210
表1のデータから分かるように、実施例1〜8の吸収性物品用表面シートは、ランオフが45mm以下の短い距離であり、3回目の吸液速度が40秒以下の早い速度であり、優れた吸液特性を有していた。また、実施例2、4、6の吸収性物品用表面シートは、平均摩擦係数の変動が0.0092以下の小さい値であり、触感が滑らかであり、優れた風合いを有していた。実施例1〜6及び実施例7〜8の対比から、第1繊維層の目付が18g/m2以下であり、第2繊維層の目付が30g/m2以下であり、第1繊維層の目付より第2繊維層の目付が大きいと、液戻りが少なく、より吸液特性に優れることが分かる。
一方、比較例1の吸収性物品用表面シートは、ランオフが45mmを超えており、吸液特性が悪かった。比較例2の吸収性物品用表面シートは、3回目の吸液速度が40秒を超えており、吸液特性が悪かった。比較例1及び比較例2の吸収性物品用表面シートにおいては、第2繊維層が同心円構造の芯鞘型複合短繊維で構成されて密な構造になっているため、液体が第2繊維層に移行しにくくなっていた。比較例3の吸収性物品用表面シートは、ランオフが45mmを超えており、吸液特性が悪かった。比較例3の吸収性物品用表面シートにおいては、第2繊維層が繊度が5.2dtexを超える偏心芯鞘型複合短繊維で構成され、第2繊維層が疎になりすぎて毛細管現象が発生しにくくなっていた。比較例4の吸収性物品用表面シートは、平均摩擦係数の変動が0.0092を超えており、風合いが悪かった。これは、比較例4の吸収性物品用表面シートにおいて、第1繊維層を構成する第1芯鞘型複合短繊維の繊度が2.1dtexを超えたため、表面にざらつきがあっただめであると考えられる。また、比較例4の吸収性物品用表面シートは、3回目の吸液速度が40秒を超えており、吸液特性が悪かった。これは、比較例4の吸収性物品用表面シートにおいて、第1繊維層を構成する芯鞘型複合短繊維の繊度が2.1dtexを超えており、第1繊維層が疎になりすぎて液体が第2繊維層に移行しにくくなっていたためであると考えられる。
本発明の吸収性物品用表面シートは、生理用ナプキン、幼児用紙オムツ、成人用紙オムツ、ほ乳類を始めとする動物用の紙オムツ、パンティーライナー(おりものシート)、失禁用ライナー等の各種吸収性物品の表面シートとして好ましく使用できる。
1 吸収性物品用表面シート
2、3 芯鞘型複合短繊維
11 第1繊維層
12 第2繊維層
21、31 鞘成分
22、32 芯成分
23、33 芯成分の繊維断面における重心位置
24、34 芯鞘型複合短繊維の繊維断面における重心位置
25、35 芯鞘型複合短繊維の繊維断面における半径

Claims (8)

  1. 肌に当接する第1繊維層と、前記第1繊維層に隣接している第2繊維層とを含む吸収性物品用表面シートであって、
    前記第1繊維層は、芯成分がポリプロピレンを含み、鞘成分が前記ポリプロピレンの融点よりも5℃以上低い融点を有する高密度ポリエチレンを80質量%以上含む第1芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層であり、
    前記第2繊維層は、芯成分がポリエステル樹脂を含み、鞘成分が前記ポリエステル樹脂の融点よりも50℃以上低い融点を有する高密度ポリエチレンを80質量%以上含み、前記芯成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている第2芯鞘型複合短繊維を50質量%以上含む繊維層であり、
    前記第1芯鞘型複合短繊維は、繊度が0.5dtex以上2.1dtex以下であり、
    前記第2芯鞘型複合短繊維は、繊度が2.2dtex以上5.2dtex以下であり、
    前記第1芯鞘型複合短繊維と前記第2芯鞘型複合短繊維の少なくとも一部が、前記第1芯鞘型複合短繊維と前記第2芯鞘型複合短繊維の鞘成分により熱接着していることを特徴とする吸収性物品用表面シート。
  2. 前記第1芯鞘型複合短繊維は、前記芯成分と前記鞘成分が実質的に同心円状に配置された同心円構造の芯鞘型複合短繊維であり、前記芯成分と前記鞘成分の複合比が芯成分/鞘成分の体積比で52/48〜73/27である請求項1に記載の吸収性物品用表面シート。
  3. 前記第1芯鞘型複合短繊維の芯成分における前記ポリプロピレンの含有量は50質量%以上であり、前記ポリプロピレンの紡糸後の質量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの比Mw/Mnが3.0以上8.0以下である請求項1又は2に記載の吸収性物品用表面シート。
  4. 前記第1芯鞘型複合短繊維の鞘成分において、前記高密度ポリエチレンのJIS−K−7210に準じて測定温度190℃、荷重21.18Nの条件下で測定したメルトフローレートが5g/10分以上30g/10分以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  5. 前記第1芯鞘型複合短繊維の繊維長が25mm以上65mm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  6. 前記第1繊維層の目付が4g/m2以上18g/m2以下であり、前記第2繊維層の目付が10g/m2以上30g/m2以下であり、前記第2繊維層の目付が前記第1繊維層の目付より大きい請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  7. 前記吸収性物品用表面シートにおいて、前記第1繊維層の表面を測定面としてKES法に基づいて測定した平均摩擦係数の変動(MMD)が0.0092以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収性物品用表面シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収性物品用表面シートを含むことを特徴とする吸収性物品。
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