JPH0913257A - ドライ感を有する繊維構造物 - Google Patents

ドライ感を有する繊維構造物

Info

Publication number
JPH0913257A
JPH0913257A JP7185048A JP18504895A JPH0913257A JP H0913257 A JPH0913257 A JP H0913257A JP 7185048 A JP7185048 A JP 7185048A JP 18504895 A JP18504895 A JP 18504895A JP H0913257 A JPH0913257 A JP H0913257A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
change
drying
conditions
fiber structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7185048A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshitada Kobayashi
利唯 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP7185048A priority Critical patent/JPH0913257A/ja
Publication of JPH0913257A publication Critical patent/JPH0913257A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸湿による構造物の嵩変化が大きく、かつ可
逆的で寸法の再現性に優れ、高温多湿の条件下でも構造
物表面のドライ感が得られ、ソフトな風合いを呈し、外
力によっても破断され難い繊維構造物を提供する。 【構成】 吸水・乾燥の変化に伴って可逆的に捲縮形態
の変化を生ずる、貼り合わせ型または偏芯型に接合され
た複合繊維(A)50〜95重量%が、バインダー繊維
(B)50〜5重量%によって熱接着固定された繊維構
造物であって、該構造物の目付は5g/m2 以上、嵩は
10cm3 /g以上であり、かつ吸水条件(40℃相対
湿度80%下2時間吸湿)と乾燥条件(60℃1時間乾
燥下)で測定した際の嵩変化率が5%以上で、さらに通
常条件(25℃相対湿度65%下1日放置)と上記吸水
条件下で測定した際の吸湿量の変化率が5%以上である
ドライ感を有する繊維構造物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸湿ないしは吸水(以
下、まとめて「吸水」と称す)・乾燥によって捲縮形態
が可逆的に変化し、高温多湿条件(吸水条件)で吸湿量
が高くなる複合繊維を、バインダー繊維により熱接着固
定してなるドライ感を有する繊維構造物に関する。さら
に詳しくは、吸湿量の高いポリアミドなどを用いた複合
繊維がバインダー繊維により網目状に接着固定されてい
るため、吸湿による繊維構造物の嵩、吸湿量の変化が大
きく、かつ可逆的で再現性もよく、しかもソフトな風合
いを呈し、その力学的特性も良好なドライ感を有する繊
維構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木綿、羊毛、羽毛などの天然繊維
は、湿度変化によってその捲縮率が可逆的に変化するこ
とがよく知られている。一方、合成繊維で同様に湿度変
化によって捲縮率が可逆的に変化するものとしては、特
開昭55−93860号公報にアクリル系合成繊維が、
また特開昭57−66162号公報、特開昭57−95
360号公報にポリエステル系合成繊維が、さらには特
開昭63−44843号公報、特公昭63−44844
公報にポリエステル・ナイロン系合成繊維が開示されて
いる。
【0003】しかしながら、これらは、(1)吸水・乾
燥による嵩変化が小さい、(2) 繊維構造物の形態安定
性に劣る、(3) 繰り返し変形に対する嵩回復性に劣
る、といった欠点があり、実用上満足されるものではな
かった。すなわち、繊維構造物内で繊維間が接着固定
されていないため、複合繊維の捲縮形態変化が繊維構造
物の嵩変化として100%発現してこない、複合繊維
の捲縮形態変化を繰り返す際に繊維どうしが滑り合うた
め、初期の繊維配置が変化する、繊維が接着固定され
ていないので、外力が繰り返し加えられると繊維どうし
が絡み合ってダンゴ状になり、嵩回復性が不十分となる
などの欠点を有していた。
【0004】これらの問題を解決すべく鋭意検討を進め
た結果、本発明者らは特開平3−213547号公報に
開示したような、貼り合わせ型または偏芯型に接合され
た複合繊維(A)50〜95重量%が、バインダー繊維
(B)50〜5重量%によって熱接着固定された繊維構
造物を得ることができ、これによって初めて実用的な物
が得られた。
【0005】そこで、このような繊維構造物を、衛生用
素材、特にナプキンや紙オムツなどの、肌と触れる表面
シートに用いようと検討を進めた。すなわち、このよう
な繊維構造物を用いれば、水に濡れると、表面シートの
嵩密度が下がり、液が流れやすくなることで、スムーズ
に表面層から吸収層へ水分が移動し、肌との接触面でド
ライ感が得られるものと期待したが、表面のドライ感は
満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の課題を背景になされたもので、吸湿による構
造物の嵩変化が大きく、かつ可逆的で寸法の再現性に優
れ、さらに高温多湿の条件下でも構造物表面のドライ感
が得られ、しかもソフトな風合いを呈し、外力によって
も破断され難い、新規な繊維構造物を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸水・乾燥の
変化に伴って可逆的に捲縮形態の変化を生ずる、貼り合
わせ型または偏芯型に接合された複合繊維(A)50〜
95重量%が、バインダー繊維(B)50〜5重量%に
よって熱接着固定された繊維構造物であって、該構造物
の目付は5g/m2 以上、嵩は10cm3 /g以上であ
り、かつ下記吸水条件と乾燥条件下で測定した際の嵩変
化率が5%以上であり、さらに下記通常条件と吸水条件
(高温多湿条件)下で測定した際の吸湿量の変化率が5
%以上であることを特徴とするドライ感を有する繊維構
造物である。 吸水条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿 乾燥条件:60℃、1時間乾燥 通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
【0008】本発明で用いる複合繊維は、吸水・乾燥に
よって捲縮形態を可逆的に変化させるものである必要が
あるが、そのためには、複合繊維の一方の成分が他方の
成分より吸水・乾燥後の伸長・収縮変化が大であって、
貼り合わせ型または偏芯型の複合形態にする必要があ
る。貼り合わせ型の場合、通常、紡糸延伸後の繊維は立
体捲縮形態をとる。そして、吸水・乾燥によって大きく
伸長・収縮変化する成分が立体捲縮形態の外側に配置さ
れるか内側に配置されるかによって、吸水・乾燥による
捲縮形態の変化が異なってくる。なお、この配置関係
は、使用するポリマー成分の組み合わせだけでなく、紡
糸、延伸、熱処理などの製糸条件によって変化するもの
である。
【0009】吸水時により伸長し、乾燥時には収縮する
成分が、立体捲縮形態をとる複合繊維の外側に配置され
ると、繊維が吸水したときに立体捲縮数が増大し乾燥に
よって減少する。逆に、内側に配置されると、吸水した
ときに立体捲縮数が減少し、乾燥によって増大する。こ
の繊維の立体捲縮形態の変化が、繊維構造物の嵩変化と
なって現れるのである。
【0010】一方、偏芯型の場合、立体捲縮形態の変化
をより効果的に発現させるため、吸水・乾燥による伸長
・収縮変化が大きい成分を鞘部に配置するのが好まし
く、芯部は一部露出していてもかまわない。かかる偏芯
型複合繊維は、互いに接着性の低いポリマー成分どうし
を用いても剥離を生じないといった利点を有する反面、
吸水・乾燥による捲縮形態の変化は貼り合わせ型に比べ
劣っている。従って、本発明においては、互いに接着性
の良好なポリマーを貼り合わせ型に複合繊維となしたも
のが、最終的に得られる繊維構造物の嵩変化が大きいた
め、より好ましい。
【0011】本発明で用いる上記複合繊維(A)を構成
する、吸水してより伸長し、乾燥によってより収縮する
成分(A−m)としては、各種吸水性ポリマーが考えら
れるが、吸水・乾燥による収縮の度合いが大きく、風合
いがソフトであり、さらに一定以上の強度をもつことか
ら、ポリアミドが好ましい。
【0012】ポリアミドとしては、従来より公知の下記
2種の一般型を有する繊維形成性ポリアミドを用いるこ
とができる。これらは、2種類以上混合して用いてもよ
いし、また共重合体であってもよい。第1の一般型を有
するポリアミドは、6−アミノカプロン酸、9−アミノ
ノナン酸、11−アミノウンデカン酸などのアミノカル
ボン酸またはその誘導体、例えばε−カプロラクタムを
重縮合させて得られる重合体であり、他方はジアミンと
二塩基酸またはそのアミド形成性誘導体を重縮合させて
得られる重合体である。
【0013】ジアミンの好適な例としては、エチレンジ
アミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m
−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ビス
(p−アミノシクロヘキシル)メタンおよびピペラジン
であり、好適な二塩基酸の例としては、セバシン酸、ス
ベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、ウンデカンジオ
ン酸、グルタル酸、ピメリン酸、テトラデカンジオン
酸、イソフタル酸およびテレフタル酸であるが、またア
ミド形成性誘導体を上記ジアミンおよび二塩基酸に代替
することもできる。
【0014】本発明では、吸水・乾燥による嵩変化に加
え、吸水条件(高温多湿条件)での高い吸湿量が重要で
あり、通常条件と吸水条件での吸湿量の変化率が5%以
上であることが必要である。このような条件を満足させ
るためには、分子量400以上のポリアルキレングリコ
ール成分を2〜20重量%共重合したポリアミドを用い
ることが好ましい。ポリアルキレングリコール成分が、
2重量%未満では吸湿量の変化率が5%以上に達し難
く、一方20重量%を超えると、ポリマーの生産性が低
く、現状では操業性が低く好ましくない。また、製糸工
程でも、紡糸調子の悪化やスカムの発生など、問題点が
多くなる。さらに、ポリアルキレングリコール添加量に
対する吸湿量上昇も飽和状態に近づき、必要性がない。
【0015】アルキレングリコールとしては,特に限定
するものではないが、汎用性からポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどが好ましい。また、
分子量については、低分子量の方が吸湿量が高くなる反
面、共重合できる量が減ってしまうため、最適条件とし
ては分子量400以上、20万以下が好ましい。
【0016】次に、複合繊維(A)を構成する、吸水・
乾燥による伸長・収縮変化の小さい成分(A−s)とし
ては、例えばポリエステル、ポリオレフィンなどを挙げ
ることができるが、嵩高性、嵩耐久性、耐熱性、ウエブ
形成性などの観点からポリエステルが好ましい。なかで
も、前記(A−m)成分としてポリアミドを用いる場合
には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸をポリエステ
ルを構成する全酸成分に対し2〜7モル%共重合させた
ものが好ましい。2モル%未満では、ポリアミドとの接
着性が不足して次工程での取り扱い中に一部剥離を起こ
すことがある。一方、7モル%を超えると、紡糸性が困
難になる傾向がある。
【0017】5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重
合するベースポリエステルは、主としてポリエチレンテ
レフタレートであるが、これらの共重合体、混合体でも
差し支えない。勿論、基体性能を損なわない範囲で、公
知の第3成分共重合体、例えばイソフタル酸、フタル
酸、アジピン酸、セバシン酸などの酸成分、トリメチレ
ングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ヘキサンジオール、プロピレングリコールなどのグ
リコール成分、あるいはポリアルキレングリコール、グ
リセリン、ペンタエリスリトール、メトキシポリアルキ
レングリコール、ビスフェノールAなどを全酸成分に対
して15モル%未満共重合したものも使用可能である。
【0018】以上に説明した複合繊維(A)のなかで
も、ポリエチレングリコールを共重合したナイロン−6
と、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分が共重合さ
れたポリエチレンテレフタレートとからなる複合繊維
は、吸水・乾燥による捲縮形態の変化が可逆的で大き
く、さらに吸水条件(高温多湿条件)での吸湿量が高
く、しかも最終的に得られる繊維構造体の嵩ヘタリ性、
木綿のようなドライ感、非常にソフトな風合いなどに優
れているため特に好ましい。なお、複合繊維(A)を構
成する前記ポリマーには、その一方または両方に、酸化
チタン、硫酸バリウムなどの艶消し剤、蛍光増白剤、染
料、抗酸化剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれてい
てもよい。
【0019】複合繊維(A)は、上述の如く成分(A−
m)と成分(A−s)とが貼り合わせ型または偏芯型に
接合されているものであれば、その断面形状はいずれで
あってもよい。例えば、図面の図1(a)、図4(a)
〜(c)、図5、図6に示すようなサイドバイサイド型
複合繊維であっても、図1(b)に示す中空サイドバイ
サイド型複合繊維、さらには図1(c)に示す偏芯型複
合繊維であってもよい。成分(A−m)と成分(A−
s)との複合比率は、本発明の効果を有効に発揮するう
えで、重量比で10:90〜90:10、好ましくは3
0:70〜70:30の範囲に設定するのが望ましい。
この範囲外にあっては、吸水・乾燥による伸長・収縮変
化が不充分となって捲縮形態の変化が小さくなる傾向が
ある。
【0020】複合繊維の断面形状は上述の如く任意であ
るが、吸水・乾燥による捲縮形態の変化をより大きくす
るため、前記(A−m)成分と(A−s)成分との重心
点間距離をより大きくすることが好ましい。例えば、図
1(a)と図4(a)に示す貼り合わせ型複合繊維を比
較すると、同一複合比率で断面積も同一であれは、図4
(a)の重心点間距離l3 は図1(a)の重心点間距離
0 よりも大きくなって、吸水・乾燥による繊維変形の
ための断面2次モーメントが大きくなる、すなわち捲縮
形態の変化はより大きくなる。しかも、図4(a)の方
は、繊維表面積が大きく吸水・乾燥速度が速いので、短
時間で捲縮形態の変形を生ずる。このように、図4
(a)に示すごとく重心点間距離を大きくしたものは、
繊維構造物の変形が大きくかつレスポンスが速いといっ
た点で好ましい。
【0021】また、図4(c)に示す偏平断面形状の複
合繊維では、重心点間距離が短いため捲縮形態変化の応
力は小さくなって繊維構造物の変形が小さくなるもの
の、吸水・乾燥の速度が極めて速くなるので繊維構造物
の変形応答が速いといった利点を有する。また、図1
(b)に示す中空貼り合わせ型複合繊維では、図4
(a)に示すと同様に重心点間距離が大きくかつ繊維表
面積が大きいので、繊維構造物の変形が大きくレスポン
スも速いといった利点がある。なお、この場合におい
て、中空部の形状は円形、多角形などいずれでもよく、
また中空部が2〜10個と複数であってもよいが、中空
率は3〜45%とするのが望ましい。
【0022】以上の如く、複合繊維の断面形状として
は、吸水・乾燥による捲縮形態変化を大きくするために
(A−m)成分と(A−s)成分との重心点間距離を大
きくすることが好ましいのであるが、特に次式を満足し
ていることが望ましい。 l/l0 >1 〔ただし、lは複合繊維(A)の重心点間距離、l0
同一断面積、同一複合比率の円形断面貼り合わせ型複合
繊維の重心点間距離を示す。〕
【0023】本発明で用いられるかかる複合繊維(A)
を製造するには、従来公知の複合紡糸方法をそのまま採
用すればよい。例えば、図1(a)に示す複合繊維は、
図3(a)に示す如く(A−m)成分と(A−s)成分
とを貼り合わせ型に配置させたのち、ノズル孔Nから吐
出させればよい。また、図1(b)に示す複合繊維は、
図2に示すようなC字型のスリットからなる複合紡糸用
口金を用いればよいし、図1(c)に示す偏芯型複合繊
維は、図3(b)に示す如く、ノズル孔Nに対して偏芯
した位置から芯成分を流下させるようにした、偏芯型複
合紡糸用口金を用いればよい。
【0024】紡糸された未延伸糸は、さらに延伸処理さ
れるが、この処理条件によって、立体捲縮形態の外側に
配置される成分を前述の(A−m)成分とするか(A−
s)成分とするか任意に設定できる。例えば、(A−
m)成分としてナイロン−6を、(A−s)成分として
5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合ポリエチレン
テレフタレートを用いる場合には、未延伸糸を50〜7
0℃の温水中、最大延伸倍率の75〜98%の延伸倍率
で第1段延伸をしたのち、75〜95℃の温水中、0.
75〜0.98倍で制限収縮処理すれば、ナイロン6
(A−m)を立体捲縮形態の内側に配することができ
る。
【0025】一方、この延伸糸を、さらに140〜20
0℃下、緊張状態で熱処理すると、逆にナイロン6を立
体捲縮形態の外側に配置させることができる。なお、前
者では、繊維が吸水したとき捲縮数が低下するのに対し
て、後者では吸水したときに捲縮数が増加し乾燥すると
減少する。従って、使用目的に合わせて、複合繊維の配
置をいずれにも設定できるのである。本発明では、肌に
接触した場合にドライ感を有する繊維構造物でなければ
ならないため、吸湿する(A−m)成分は、立体捲縮形
態の内側に配置させる方が好ましい。
【0026】次に、かくして得られた延伸繊維は、処理
剤が付与され、さらに必要に応じて機械捲縮が付与さ
れ、熱処理が施されたのち、所定の繊維長に切断され
る。本発明においては、得られる繊維構造物に種々の特
性を付与するために、上記処理剤として種々のものが用
いられる。例えば、親水性を付与するためには、ポリビ
ニルアルコール系処理剤、ポリエーテル・エステルブロ
ック共重合系処理剤、ノニオン・アニオン・カチオン系
の各種親水性処理剤、あるいはこれらを組み合わせた処
理剤などが用いられる。
【0027】また、撥水性を付与するためには、フッ素
系化合物、有機シリコーン系化合物、鉱物油、ろう、脂
肪酸エステル、炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸
などの各種撥水処理剤もしくはこれらを組み合わせた処
理剤が用いられる。特に、繊維構造物のドライ感を持た
せるためには、繊維表面への水滴の付着を防ぎ、速やか
に水分を吸収層に移動させることが望まれ、撥水性の油
剤を付与するのが効果的である。
【0028】なお、複合繊維の繊度は、吸水・乾燥によ
る繊維構造物の嵩変化・面積変化の容易さなどの観点か
ら0.5〜60デニールであることが好ましく、嵩変化
・面積変化の効果をより発揮させるためには、特に2〜
45デニールとするのが望ましい。
【0029】また、複合繊維の繊維長は、20〜150
mm、特に30〜70mmが、カーディング性の点から
望ましく、また乾燥時の捲縮数もカーディング性の点か
ら、60℃下1時間乾燥した後で6〜30個/25m
m、特に8〜25個/25mmとするのが適している。
この捲縮数は、吸水によって繊維構造物の変形を発現さ
せるために、前記吸湿条件下における捲縮数よりも2個
/25mm以上、特に5個/25mm以上異なり、かつ
吸水後の捲縮数が0〜100個/25mmの範囲内にあ
ることが望ましい。
【0030】次に、本発明で用いるバインダー繊維
(B)は、熱接着性成分単独からなる繊維であっても、
また他の繊維形成性成分との複合繊維であってもよい。
なかでも、前者のバインダー繊維は、熱接着処理時に熱
溶融して繊維の形態をとどめず、滴状になって複合繊維
(A)を網目状に熱接着固定するため、複合繊維(A)
の吸水・乾燥による捲縮形態変化の妨げにならず、繊維
構造物の嵩変化・面積変化が大きくなるので好ましい。
【0031】一方、バインダー繊維(B)として複合繊
維を用いる場合には、上述の如く吸水・乾燥時の複合繊
維(A)の捲縮形態変化が妨げられる傾向があるので、
その繊維長を短くする、特に複合繊維(A)よりも5%
以上短くするのが望ましく、15〜140mm、特に1
5〜65mmが適している。バインダー繊維(B)を構
成する熱接着性成分ポリマーは、その融点(非晶質ポリ
マーの場合にあってはその軟化点)を80〜230℃、
好ましくは100〜200℃とすることが望ましい。8
0℃未満の場合には、紡糸時に繊維間の膠着が発生しや
すく、一方230℃を超える場合には、通常の熱接着加
工機では接着処理できなくなる傾向がある。
【0032】かかる熱接着成分としては、例えばポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテ
ン−1、アイオノマー樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、あるい
はそれらの共重合体;ポリスチレン;ナイロン6、ナイ
ロン10、ナイロン12の如きポリアミド、あるいはそ
れらの共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデ
ン;ポリ尿素;ポリウレタン、あるいはその共重合体;
テレフタル酸、イソフタル酸の如き酸成分と、エチレン
グリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール、
および/またはジエチレングリコール、ポリエチレング
リコールなどのポリオキシアルキレングリコール、およ
び/またはグリセリン、ペンタエリスリトールなどの多
価アルコールとを組み合わせたポリエステル共重合体ま
たはこれらの混合物を挙げることができる。
【0033】これらの中でも、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸成分を全酸成分に対して2〜7モル%、テト
ラメチレングリコールおよび/またはヘキサンジオール
を全グリコール成分に対して50モル%以上共重合させ
た変性ポリエステルは、複合繊維(A)としてポリアミ
ドとポリエステルとからなるものを用いた場合、両者に
良好な接着性を示すので好ましい。しかも、この変性ポ
リエステルは、柔軟性に富んでいるため、繊維構造物を
構成する複合繊維(A)の、吸水・乾燥に伴う捲縮形態
変化を抑制しないといった利点をも有する。また、上記
ポリエステル共重合体のうち、平均分子量が500〜1
0,000のポリエチレングリコール、ポリブチレング
リコールなどのポリアルキレングリコール成分を5〜5
0重量%共重合した変性ポリエステルは、弾性性能を有
するため、吸水・乾燥による複合繊維(A)の捲縮形態
変化を抑制せず好ましい。
【0034】本発明におけるバインダー繊維(B)は、
かかる熱接着成分単独からなる繊維のほかに、前述した
とおり他の繊維形成性成分とが接合した芯鞘型または貼
り合わせ型複合繊維であってもよい。この場合、偏芯芯
鞘型または貼り合わせ型のものは、熱接着時の熱処理に
よって捲縮を発現してスパイラル捲縮となり、バネ状弾
性が生ずる。その結果、複合繊維(A)の繊維構造物内
での動きが容易となって、吸水・乾燥時の捲縮形態変
化、言い換えると繊維構造物の嵩変化・面積変化が容易
となる利点がある。
【0035】かかる複合バインダー繊維を構成する繊維
形成性成分は、前記熱接着成分の融点より少なくとも2
0℃高い融点を有していれば特に限定されないが、通常
はポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどが用
いられ、その複合比率は熱接着性成分が20〜70重量
%の範囲内となるように設定される。また、複合バイン
ダー繊維の断面形状は、前述のとおり芯鞘型、貼り合わ
せ型いずれであってもよく、例えば、図1(b)のごと
き中空芯鞘型複合繊維、図1(a)のごときサイドバイ
サイド型複合繊維、図1(c)の如き偏芯型複合繊維、
図7の如き中空サイドバイサイド型複合繊維、さらには
中実芯鞘型複合繊維、異型中空複合繊維など任意の形態
をとることができる。
【0036】なお、中空芯鞘型複合バインダー繊維は、
中空部を有するので嵩高性も向上し、この点からは中空
部の割合は3〜30%とするの好ましい。また、中空部
の形状は、円形、多角形状の異形など任意であり、中空
部が2〜4個と複数であってもよい。上述したバインダ
ー繊維(B)は、溶融紡糸して得られる未延伸糸を延伸
し、後加工に必要な処理剤を付与し、必要に応じて捲縮
を付与したのち、熱処理を施し、次いで前述の如き所定
の繊維長に切断することにより得られる。
【0037】かかるバインダー繊維(B)の繊度は、不
織布製造時のカード通過性の点から0.5〜20デニー
ルであることが好ましい。捲縮数は、6〜40個/25
mmのものが適している。なお、バインダー繊維(B)
の各成分には、本発明の目的を阻害しない範囲で艶消
剤、防炎剤、消臭剤、紫外線吸収剤などの任意の添加剤
を添加することができる。
【0038】本発明の繊維構造物は、上記複合繊維
(A)50〜95重量%がバインダー繊維(B)50〜
5重量%によって熱接着固定されていることが大切であ
る。バインダー繊維(B)の量が50重量%を超える場
合には、複合繊維(A)の熱接着固定点が多くなって、
繊維構造物の吸水・乾燥による嵩・面積変化が小さくな
るので好ましくない。一方、5重量%未満の場合には、
熱接着点の数が少なくなりすぎて、吸水・乾燥による繊
維構造物の嵩・面積変化が小さくなるとともに、外力に
よって繊維構造物が切断したり、ダンゴ状になったりす
るため好ましくない。
【0039】また、繊維構造物の目付は、5g/m2
上、好ましくは10g/m2 以上とする必要がある。5
g/m2 未満では、用いられる複合繊維物(A)の使用
量が少なくなって、吸水・乾燥に伴う繊維構造物の嵩お
よび面積変化が小さくなって好ましくない。さらに、繊
維構造物(A)の吸水・乾燥による捲縮形態変化を容易
にして繊維構造物の嵩および面積変化を大きくするため
に、繊維構造物の嵩を10cm3 /g以上とする必要が
ある。嵩が10cm3 /g未満では、複合繊維(A)の
拘束が強くなるため、繊維構造物の嵩および面積変化が
小さくなって好ましくない。
【0040】さらに、本発明の繊維構造物は、下記吸水
条件および乾燥条件にて処理した後の嵩変化率が、実用
上5%以上である必要がある。 吸水条件(高温多湿条件):40℃、相対湿度80%下
2時間吸湿 乾燥条件:60℃、1時間乾燥 この嵩変化率が5%未満の場合には、繊維構造物の吸水
・乾燥による嵩・面積変化が不充分なため、通気性、透
水性の変化が実用上不充分となる。5%以上であればこ
れらの特性は良好となるが、特に20%以上であると上
記特性の変化が顕著となってより好ましい。
【0041】さらに、下記の通常条件と吸水条件で測定
した際の吸湿量の変化率が5%以上であることが必要で
ある。 通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置 吸水条件(高温多湿条件):40℃、相対湿度80%下
2時間吸湿 この吸湿量の変化率が5%未満の場合には、嵩変化によ
り繊維構造物の密度が下がり、透水性が向上しても、表
面に水分が残り、ドライ感を得ることができない。5%
以上ではこの特性が良好になり、特に8%以上であると
特性が顕著になるのでより好ましい。
【0042】なお、本発明の繊維構造物は、本発明の目
的を損なわない範囲であれば他の繊維、例えば木綿、羊
毛、木材パルプなどの天然繊維、ポリエステル、ナイロ
ン、ポリプロピレンなどの通常の合成繊維などを併用し
てもよい。その量は、併用する繊維の種類によっても変
わるが、繊維構造物を構成する前記複合繊維(A)の量
が少なくとも該繊維構造物の重量に対して50重量%以
上を占めるようにすることが好ましい。
【0043】
【作用】以上に詳述した本発明の繊維構造物は、バイン
ダー繊維により部分的に熱接着固定されているが、複合
繊維(A)が自由に形態変化を起こし得る余裕の空間を
有している。従って、吸水・乾燥により、複合繊維
(A)の捲縮形態が変化することによって、複合繊維構
造物の形態が可逆的に変化するのである。さらには、熱
接着固定されているので毛羽抜けが少なく、破断強力も
高く、かつ複合繊維(A)がスパイラル捲縮を有するた
めソフトで弾力性を有する。その上、吸湿性の高いポリ
アミドを用いることにより、高温多湿条件下での吸湿量
が高くなるように設計されている。
【0044】本発明の繊維構造物は、これらの利点を生
かし、紙オムツ、ナプキンの表面材として有効に用いら
れる。例えば、吸収・乾燥で伸長・収縮する成分を立体
捲縮形態の内側に配置させた繊維構造物を表面シートと
して用い、その下層に水分吸収層を設け、さらに繊維構
造物には、撥水性の油剤を付与しておくとよい。水分を
シートに落とすと、落ちた水滴によって表面シートは、
その部分のみ嵩変化を生じ、水分が下層の吸収層へ移動
しやすいように密度が下がり、速やかに吸収される。さ
らに、繊維表面に残った水分は、繊維の表面側には残ら
ず、繊維内側の吸湿ポリアミド成分に吸収される。した
がって表面シートをいつでもドライな感触に維持するこ
とができるのである。
【0045】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例1〜4、比較例1〜4 (A−m)成分として、ナイロン6にポリエチレングリ
コール(分子量20,000)を8重量%共重合した、
極限粘度〔η〕が1.1(30℃のm−クレゾール溶液
で測定)で融点が215℃のポリアミドと、(A−s)
成分として、極限粘度〔η〕が0.45(25℃のo−
クロロフェノール溶液で測定)で融点が254℃の5−
ナトリウムスルホイソフタル酸成分3.5モル%共重合
ポリエチレンテレフタレートとを貼り合わせ型で50:
50の重量比で複合し、図2に示すノズルを1,200
ホール有する紡糸口金から275℃で溶融押し出しし、
紡糸速度1,000m/分で引き取り、繊維横断形状が
図1(b)に示すような中空率10%の未延伸複合繊維
を得た。
【0046】次いで、この未延伸複合繊維を65℃の温
水浴で3倍に延伸し、95℃の温水浴で10%制限熱処
理したのち、押し込み捲縮装置で8個/25mmの捲縮
を付与し、140℃で30分間弛緩熱処理して潜在捲縮
を発現させ、次いで51mmの繊維長に切断した。得ら
れた複合繊維の繊度は3デニール、60℃1時間乾燥後
の捲縮数は20個/25mm、40℃相対湿度80%の
雰囲気に2時間放置した後の捲縮数は7個/25mmで
あった。
【0047】一方、極限粘度〔η〕が0.85(25℃
のクロロフェノール溶液で測定)、融点が120℃であ
る、3モル%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1
5モル%のイソフタル酸を共重合させたポリヘキサメチ
レンテレフタレートを、孔径0.3mmφ、孔数3,5
00ホールを有する口金から200℃で溶融押し出し
し、紡糸速度1,000m/分で引き取り、繊維横断形
状が円形の未延伸繊維を得た。次いで、この未延伸繊維
を65℃の温水浴で3.8倍に延伸し、押し込み捲縮装
置で弛緩熱処理後の捲縮数が13個/25mmとなるよ
うに捲縮を付与し、100℃で30分間弛緩熱処理し、
次いで32mmの繊維長に切断した。得られたバインダ
ー繊維の繊度は、3デニールであった。
【0048】前記の複合繊維を調湿して、捲縮数を16
個/25mmとなし、これにバインダー繊維を表3に示
す割合で混綿して解繊後、カーディングしてウエブとな
し、熱風循環型熱処理機で140℃2分間熱処理し、表
3記載の目付および嵩高性を有する接着ウエブ(不織
布)を作製し、その吸水・乾燥における嵩変化および風
合いを評価した。結果は表1〜3に示す。
【0049】なお、嵩高性は、不織布を10枚重ね、5
g/cm2 の荷重により1分間隔で50回繰り返し圧縮
した前後において、吸水時(不織布を40℃相対湿度8
0%の雰囲気下2時間放置した後)および乾燥時(60
℃下1時間乾燥した後)の無荷重時の不織布の厚さから
算出したもので、嵩変化率は、次式より算出した。 嵩変化率=〔(吸水時嵩高性−乾燥時嵩高性)/乾燥時
嵩高性〕×100(%)
【0050】次に、繊維構造物の吸湿量の変化率につい
て説明する。まず、前記繊維構造物を25℃、相対湿度
65%下で1日放置し(通常条件)、該構造物の重量を
測定したのち、40℃相対湿度80%下で2時間放置す
る〔吸水条件(高温多湿条件)〕。吸湿量の経時変化を
みると、2時間以内に吸湿量の飽和がみられる。このと
きの構造物の重量を測定し、通常条件と吸水条件での吸
湿量の変化率(%)は、下記の式から求めた。 吸湿量の変化率=〔(吸水条件下での重量−通常条件下
での重量)/通常条件下での重量〕×100(%)
【0051】比較例5〜6 (A−m)成分に共重合するポリエチレングリコールを
それぞれ1重量%、21重量%とする以外は実施例1と
同様の条件で不織布を得、評価した。ただし、21重量
%共重合品については紡糸調子が極めて悪く繊維をとる
ことができず、評価を断念した。結果を表1〜3に示
す。
【0052】実施例5 (A−m)成分に共重合するポリアルキレングリコール
をポリプロピレングリコールに変更して共重合する以外
は、実施例1と同様の条件で不織布を得、評価した。結
果は表1〜3に示す。
【0053】実施例6 実施例1において、複合繊維の(A−s)成分として
〔η〕0.40の5−ナトリウムスルホイソフタル酸5
モル%共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた以外
は、実施例1と同様の条件で不織布を得、評価した。結
果は表1〜3に示す。
【0054】比較例7 実施例1において、複合繊維の(A−s)成分として
〔η〕0.50の5−ナトリウムスルホイソフタル酸1
モル%共重合ポリエチレンテレフタレートを用いた以外
は、実施例1と同様の条件で不織布を得たが、カード工
程で複合繊維(A)に剥離が生じたので、評価は行わな
かった。結果は、表1〜3に示す。
【0055】実施例7 実施例1において、バインダー繊維(B)として、
〔η〕0.64のポリエチレンテレフタレートと実施例
1のバインダー繊維に用いたものと同じ共重合ポリヘキ
サメチレンテレフタレート系ポリエステルとを複合比5
0/50(重量比)で複合紡糸した図7に示す中空サイ
ドバイサイド型断面を有し、繊度3デニール、捲縮数2
3個/25mm(立体捲縮)、繊維長32mmの複合バ
インダー繊維を用い、複合繊維(A)としては実施例1
の複合繊維を用いてその混合比80/20(A/B)と
する以外は実施例1と同様にして不織布を得た。結果は
表1〜3にあわせて示す。実施例1に比較して、嵩変化
率は若干劣るが、良好な結果が得られた。
【0056】実施例8 実施例7において、バインダー繊維(B)の熱接着性成
分としてテレフタル酸成分に対して5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸を3モル%、イソフタル酸を40モル
%、テトラメチレングリコールを40モル%共重合し
た、極限粘度0.50、融点155℃の共重合ポリエチ
レンテレフタレートを用いた以外は、実施例7と同様に
して不織布を得た。結果は表1〜3に示す。バインダー
繊維(B)に用いた熱接着成分がやや硬いので、得られ
た不織布は実施例7に比較して若干硬めであるが、実用
上は全く問題のないものであった。
【0057】実施例9 実施例8において、複合繊維(A)として繊維断面形状
が図1(a)に示す複合繊維を用いる以外は、実施例8
と同様にして不織布を得、評価した。結果は表1〜3に
示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】なお、表1および表2中、用いた重合体
は、次のとおりである。 (ア):5−ナトリウムスルホイソフタル酸3.5モル
%共重合ポリエチレンテレフタレート (イ):5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%共
重合ポリエチレンテレフタレート (ウ):5−ナトリウムスルホイソフタル酸1モル%共
重合ポリエチレンテレフタレート (エ):5−ナトリウムスルホイソフタル酸3モル%お
よびイソフタル酸15モル%共重合ポリヘキサメチレン
テレフタレート (オ):5−ナトリウムスルホイソフタル酸3モル%、
イソフタル酸40モル%、およびテトラメチレングリコ
ール40モル%共重合ポリエチレンテレフタレート (カ)ポリエチレンテレフタレート ただし、共重合量は、テレフタル酸成分に対するモル%
である。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明の繊維構造物は、従来の繊維構造
物に比べて吸水・乾燥に伴う嵩性・面積変化が大きく、
吸水・乾燥を繰り返しても繊維構造物の形態は殆ど変わ
らず、形態安定性が良好である。また、激しい外力がか
かっても、ちぎれたり、ダンゴ状になったりせず、外力
に対する耐久性がよいという優れた特性を有している。
さらには、熱接着固定されているので、毛羽抜けが少な
く、破断強力も高く、かつ複合繊維(A)がスパイラル
捲縮を有するためソフトで弾力性を有するといった特徴
を有している。
【0063】その上、高温多湿条件下での吸湿量の変化
率が高く、このような条件下でも繊維構造物表面にドラ
イ感が得られる。本発明の繊維構造物は、これらの利点
を生かし、紙オムツ、ナプキンの表面材として有効に用
いられる。また、同時に、本繊維構造物の特徴を生かし
て、クッション材、土木用資材、フィルターの基布など
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)は、いずれも本発明で
用いられる複合繊維(A)の横断面図を示す一例であ
る。
【図2】図1(b)の複合繊維(A)を得るための紡糸
孔(スリット)の一例を示すものである。
【図3】(a)、(b)は、それぞれ図1(a)、
(c)に示す複合繊維(A)を製造する際の紡糸用口金
ポリマー導入口部分の一例を示す断面図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は、いずれも本発明で
用いられる複合繊維(A)の横断面図を示す一例であ
る。
【図5】本発明で用いられる複合繊維(A)の横断面図
を示す一例である。
【図6】本発明で用いられる複合繊維(A)の横断面図
を示す一例である。
【図7】本発明で用いられる複合繊維(A)の横断面図
を示す一例である。
【符号の説明】
A−s:吸水・乾燥による伸縮変化の小さい成分 A−m:吸水・乾燥による伸縮変化の大きい成分 GA :A−s成分の重心点 GB :A−m成分の重心点 l0 〜l8 :重心点間距離 N:紡糸孔 S:スリット H:中空部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水・乾燥の変化に伴って可逆的に捲縮
    形態の変化を生ずる、貼り合わせ型または偏芯型に接合
    された複合繊維(A)50〜95重量%が、バインダー
    繊維(B)50〜5重量%によって熱接着固定された繊
    維構造物であって、該構造物の目付は5g/m2 以上、
    嵩は10cm3 /g以上であり、かつ下記吸水条件と乾
    燥条件下で測定した際の嵩変化率が5%以上であり、さ
    らに下記通常条件と吸水条件下で測定した際の吸湿量の
    変化率が5%以上であることを特徴とするドライ感を有
    する繊維構造物。 吸水条件:40℃、相対湿度80%下2時間吸湿 乾燥条件:60℃、1時間乾燥 通常条件:25℃、相対湿度65%下1日放置
  2. 【請求項2】 複合繊維(A)が、ポリアミドと、5−
    ナトリウムスルホイソフタル酸成分を全酸成分に対して
    2〜7モル%共重合させた変性ポリエステルとからな
    り、該ポリアミドが分子量400以上のポリアルキレン
    グリコールを2〜20重量%共重合させたものである請
    求項1記載の繊維構造物。
  3. 【請求項3】 バインダー繊維(B)の熱接着成分が、
    5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を全酸成分に対
    して2〜7モル%、テトラメチレングリコールおよび/
    またはヘキサンジオールを全グリコール成分に対して5
    0モル%以上共重合させた、融点が80〜230℃の変
    性ポリエステルである請求項1記載の繊維構造物。
  4. 【請求項4】 複合繊維(A)の断面形状が中空断面で
    あり、繊維表面に撥水性の油剤を付与した請求項1また
    は2記載の繊維構造物。
JP7185048A 1995-06-29 1995-06-29 ドライ感を有する繊維構造物 Pending JPH0913257A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7185048A JPH0913257A (ja) 1995-06-29 1995-06-29 ドライ感を有する繊維構造物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7185048A JPH0913257A (ja) 1995-06-29 1995-06-29 ドライ感を有する繊維構造物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0913257A true JPH0913257A (ja) 1997-01-14

Family

ID=16163891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7185048A Pending JPH0913257A (ja) 1995-06-29 1995-06-29 ドライ感を有する繊維構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0913257A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1181115A (ja) * 1997-04-30 1999-03-26 Johnson & Johnson Ind & Comercio Ltd 不織布およびその不織布からなる吸収製品
JP2006097157A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Chisso Corp 潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品
JP2007270393A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Chisso Corp 潜在捲縮性複合繊維トウ、その製造方法及び繊維構造物
WO2008123586A1 (ja) * 2007-04-04 2008-10-16 Kb Seiren, Ltd. 制電性、吸水性及び接触冷感性に優れた複合繊維
WO2016194773A1 (ja) * 2015-05-29 2016-12-08 株式会社クラレ 繊維シート
KR20180097712A (ko) 2015-12-28 2018-08-31 도레이 카부시키가이샤 코어-시스형 복합 섬유, 가연사 및 섬유 구조체
CN112323258A (zh) * 2020-10-10 2021-02-05 佛山市裕丰无纺布有限公司 一种热风蓬松布制造工艺

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1181115A (ja) * 1997-04-30 1999-03-26 Johnson & Johnson Ind & Comercio Ltd 不織布およびその不織布からなる吸収製品
JP4581601B2 (ja) * 2004-09-28 2010-11-17 チッソ株式会社 潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品
JP2006097157A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Chisso Corp 潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品
JP2007270393A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Chisso Corp 潜在捲縮性複合繊維トウ、その製造方法及び繊維構造物
US7892640B2 (en) 2007-04-04 2011-02-22 Kb Seiren, Ltd. Conjugate fibers excellent in antistatic property, water absorption and cool feeling by contact
EP2130955A1 (en) * 2007-04-04 2009-12-09 KB Seiren, Ltd. Conjugated fiber excellent in antistatic property, moisture absorption and cool touch feeling
WO2008123586A1 (ja) * 2007-04-04 2008-10-16 Kb Seiren, Ltd. 制電性、吸水性及び接触冷感性に優れた複合繊維
EP2130955A4 (en) * 2007-04-04 2011-06-15 Kb Seiren Ltd ANTISTATIC COMPOSITE FIBER FRESH TO TOUCH AND ABSORBENT MOISTURE
JP5547474B2 (ja) * 2007-04-04 2014-07-16 Kbセーレン株式会社 制電性、吸水性及び接触冷感性に優れた複合繊維
KR101440983B1 (ko) * 2007-04-04 2014-09-17 케이비 세렌 가부시키가이샤 제전성, 흡수성 및 접촉 냉감성이 우수한 복합섬유
WO2016194773A1 (ja) * 2015-05-29 2016-12-08 株式会社クラレ 繊維シート
US11826229B2 (en) 2015-05-29 2023-11-28 Kuraray Co., Ltd. Fibrous sheet
KR20180097712A (ko) 2015-12-28 2018-08-31 도레이 카부시키가이샤 코어-시스형 복합 섬유, 가연사 및 섬유 구조체
CN112323258A (zh) * 2020-10-10 2021-02-05 佛山市裕丰无纺布有限公司 一种热风蓬松布制造工艺
CN112323258B (zh) * 2020-10-10 2023-12-19 佛山市裕丰无纺布有限公司 一种热风蓬松布制造工艺

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6911174B2 (en) Process of making multicomponent fiber incorporating thermoplastic and thermoset polymers
JP2008533328A (ja) エラストマー成分を有する多元繊維及びそれから形成された結合構造体
JP5405926B2 (ja) 繊維構造体および繊維製品
JP4104299B2 (ja) 捲縮性複合繊維とその製造方法およびこれを用いた不織布
JP5329919B2 (ja) 吸音構造体の製造方法および吸音構造体
JP4589417B2 (ja) 捲縮性複合繊維とその製造方法およびこれを用いた不織布
JPH0913257A (ja) ドライ感を有する繊維構造物
JP2002061060A (ja) 不織布及び不織布加工品
JP7249352B2 (ja) 人工皮革基材、その製造方法及び立毛人工皮革
JP2010084284A (ja) 嵩高繊維構造体及びクッション材
JPS63264915A (ja) 熱接着性中空複合繊維
JPH10331063A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JP2801333B2 (ja) 繊維構造物
JP4015831B2 (ja) 極細繊維不織布およびその製造方法
JPH10280262A (ja) 不織布およびその製造方法
JP4026279B2 (ja) 分割型複合繊維及びこれを用いた繊維成形体
JPH06212548A (ja) 生分解性潜在捲縮性複合短繊維及びその不織布
JPH08109567A (ja) 積層不織構造体及びその製造方法
JP3857056B2 (ja) 熱分割型複合繊維およびその繊維集合物
JP4785659B2 (ja) 熱分割型複合繊維およびその繊維集合物
JP4140457B2 (ja) 長繊維不織布
JP2000034661A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JP2002088580A (ja) 分割繊維及びこれを用いた繊維成形体
JP2020204133A (ja) 潜在捲縮性を有する複合繊維およびそれからなる不織布
JPH07207561A (ja) 積層不織布及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031007