JP4785659B2 - 熱分割型複合繊維およびその繊維集合物 - Google Patents

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Description

熱処理により容易に、かつ瞬時に分割可能であり、熱加工性(熱加工速度、工程性)に優れた分割型複合繊維に関するものであり、衛生材料、ワイパー、フィルターなど親水性能を要求する分野にも好適である熱分割型複合繊維およびこれを用いた不織布に関する。
従来から、優れた柔軟性、触感、拭き取り性などを得るために、分割型複合繊維を分割させて極細繊維を発現させた不織布などが使用されている。高圧流体流処理やニードルパンチ処理の物理的衝撃によって分割させる分割型複合繊維としては、例えば、特開平8−311717号公報には、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1成分に脂肪酸グリセライド(モノグリセリン脂肪酸エステル)、アルコキシ化アルキルフェノール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルから選ばれた親水成分を練り込み添加したポリオレフィン系分割型複合繊維が開示されている。本出願人においても、特公平6−63129号公報にロックウェル硬度60以上、各成分の炭素数差Δn>0.9からなるポリオレフィン系樹脂の組み合わせからなるポリオレフィン系分割型複合繊維を提案している。また、2成分の熱収縮率の差を利用して分割させる熱分割型複合繊維としては、例えば、特開平2−169720号公報および特開平4−316608号公報には、熱収縮率の大きいポリオレフィン系成分とポリオレフィン系成分とは非相溶性の成分からなる熱分割型複合繊維が開示されている。
特開平8−311717号公報公報 特公平6−63129号公報 特開平2−169720号公報 特開平4−316608号公報 特開平9−49160号公報 特開平9−31755号公報
しかしながら、上記分割型複合繊維には、以下の問題点がある。特開平8−311717号公報および特公平6−63129号公報では、いずれも高圧流体流処理やニードルパンチ処理の物理的衝撃によって高度に分割させようと試みてなされたものであり、生産工程数が多く、生産速度も遅くなり、多くのエネルギーを必要とし、コスト高になるだけでなく、物理的衝撃によって得られる不織布は、比容積が5cm3/g以下の高密度な絡合不織布しか得られないため、その用途が制限されているのが現状である。一方、特開平2−169720号公報および特開平4−316608号公報では、物理的衝撃ではなく、熱収縮を利用して分割させるため、比容積の大きな不織布を得ることができるが、単に熱収縮率差を設けただけでは分割性が不十分であり、特開平9−49160号公報では、加熱空気によるエアースルー処理後、機械的絡合処理を施し、分割性を向上させており、特開平9−31755号公報では、熱収縮率の大きい低融点成分に石油樹脂を添加した熱分割型複合繊維を熱的手段を施した後、石油樹脂可溶性溶剤に浸漬し(溶剤処理)、プレス処理を施して分割性を向上させている。このため、生産工程数が多くなり、コスト高となるだけでなく、高密度な不織布しか得られないのが現状である。
したがって、物理的衝撃を用いずとも高度に分割する分割型複合繊維が未だ得られていないのが実情である。
本発明はかかる実情を鑑みてなされたものであり、すなわち、異なる2成分からなり、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とした熱により2成分の分割が可能な熱分割型複合繊維であって、該2成分のうちの第一成分が親水化剤を0.1〜5mass%含有することを特徴とするものである。かかる構成を採ることにより、熱処理のみでも高度に、かつ瞬時に分割し、極細繊維を発現させることができ、熱加工性(熱加工速度、工程性)に優れ、比容積の大きい不織布を得ることができる。同時に、本発明の熱分割型複合繊維およびこれを用いた不織布は、高度で、永続的な親水性を有するので、衛生材料、ワイパー、フィルターなど親水性能を要求する分野にも使用することができる。
本発明において、前記複合繊維は、融点がT(℃)からなり、熱収縮率が40%以上となる温度T(℃)(但し、 −13≦T(℃)<T ))を有する熱可塑性樹脂、又は温度T(℃)にて(但し、−13≦T(℃)<T)熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂を第一成分とし、150≦T2<300を満たす (℃)を有し、かつ温度Tにおいて実質的に熱収縮を有しない熱可塑性樹脂を第二成分とした2成分からなる熱分割型複合繊維であることが望ましい。また、第一成分の熱可塑性樹脂は、融点 1 (℃)が、0≦T1≦145を満たす、エチレン-プロピレン共重合体およびエチレン-プロピレン-ブテン−1三元共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、親水化剤を0.1〜5mass%含有することが望ましい。
また、本発明に用いられる親水化剤は、重合度(n)2〜10のポリグリセリンと炭素数8〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸(Rは飽和もしくは不飽和炭化水素)とのエステル化合物(ポリグリセリン脂肪酸エステル)であることが望ましい。
そして、本発明の熱分割型複合繊維を20mass%以上含有する繊維ウェブが熱処理されてなる繊維集合物は、高度に分割し、極細繊維を発現されており、様々な用途に使用することができる。
本発明の熱分割型複合繊維は、熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂と、実質的に熱収縮を有しない熱可塑性樹脂の2成分のうち熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂に親水化剤を含有させることにより、熱処理のみでも高度に、かつ瞬時に分割し、極細繊維を発現させることができ、比容積の大きい不織布を得ることができる。同時に、本発明の熱分割型複合繊維およびその繊維集合物は、高度で、永続的な親水性を有することができる。さらに、第一成分の熱可塑性樹脂が融点130≦T1≦145の範囲にあるエチレン-プロピレン共重合体およびエチレン-プロピレン-ブテン−1三元共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、親水化剤を含有させると、高度な熱収縮率が得られ、瞬間分割性に優れるだけでなく、熱加工温度、熱加工速度、工程性に優れ、低コストな熱分割型複合繊維および繊維集合物を得ることができる。また親水化剤としては、重合度(n)2〜10のポリグリセリンと炭素数8〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸(Rは飽和もしくは不飽和炭化水素)からなるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いると、より高度な分割性および親水性を得ることができる。本発明の熱分割型複合繊維を用いた繊維集合物は、衛生材料、ワイパー、フィルターなど親水性能を要求する分野に好適に使用することができる。
本発明の熱分割型複合繊維は、異なる2成分からなり、熱収縮性を有する熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とした熱により2成分の分割が可能な熱分割型複合繊維である。本発明でいう熱収縮性を有する成分とは、一方の成分と他方の成分とを同じ熱処理条件で処理をしたとき、熱収縮する力の大きい方の成分のことをいう。本発明の熱分割型複合繊維は、繊維断面において複数成分のうちの少なくとも1成分は2個以上に区分されており、各成分は各々が繊維断面の構成単位となっており、各構成単位は互いに異なる成分の構成単位と隣接し、且つ全ての各構成単位はその一部を繊維表面に露出した構造からなり、その形状も円形、異形、中空のいずれであってもよく、例えば、図1および図2に示すような繊維形態を有するものである。そして、本発明の熱分割型複合繊維は、融点1(℃)であり熱収縮率が40%以上となる温度T(℃)(但し、T 1 −13≦T(℃)<T 1 )を有する熱可塑性樹脂、又は温度T(℃)にて(但し、1−13≦T(℃)<T1)、熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂を第一成分とし、T1より20℃以上高く、150℃≦T <300℃を満たす、融点T (℃)を有しかつ温度T(℃)において実質的に熱収縮を有しない熱可塑性樹脂を第二成分とした、2成分からなることが好ましい。本発明でいう融点とは、JIS−K−7122に準じ、DSC法により測定したものをいう。また、本発明でいう熱収縮率とは、第1成分、第2成分を個別に単一成分で220〜300℃の温度範囲で溶融紡糸し、70℃以上の温水、熱風、あるいは熱媒中にて3倍以上に延伸して、最終繊度が2.2〜11dtexになるように試料を作製し、JIS−L−1013 7.16.2(熱収縮温度)に準じ、試料長を10cm、初荷重を2mg/dtexとして所定の温度における試料長を測定し、収縮前の試料長(10cm)から収縮後の試料長を差し引いた値を収縮前の試料長で除して、100を乗じたものをいう。本発明において、温度Tにおける第一成分の熱収縮率は40%以上であり、より好ましくは50%以上である。第一成分の熱収縮率が40%未満であると、第二成分との収縮剥離が不十分で、不織布等の加工時に分割し難い繊維となってしまうからである。
上記範囲を満たす熱可塑性樹脂としては、エチレン-プロピレン共重合体(以下、EPという)、あるいはエチレン-プロピレン-ブテン−1三元共重合体(以下、EPBという)などのプロピレン系共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体(以下、EBという)、イソフタル酸成分または金属化スルホン酸基含有ポリエステル系共重合体などが挙げられる。なかでも、融点が120≦T1≦145の範囲にあるEP、EPB、およびEBから選ばれた少なくとも1種であることが、加工性、コストの点で好ましい。上記EP、EPBとしては、エチレン含有量が2〜8mass%のプロピレン系ランダム共重合体、あるいはブロック共重合体が挙げられる。熱収縮率の点においては、EPが最も優れており、次いでEPB、EBの順であり、EPを用いるのが熱分割性において最も好ましい。
一方、第二成分としては、T1より20℃以上高く、150℃≦T <300℃を満たす、融点T (℃)を有しかつ温度T(℃)において実質的に熱収縮を有しない熱可塑性樹脂であることが好ましい。第一成分との融点差は50℃以上であることがより好ましい。融点差が20℃未満であると、熱加工機の温度制御が困難であったり、熱風加工などでは風量によっては軟化温度付近で接着が生じたりして、加工温度において制約を受けたり、あるいは第一成分の熱収縮が阻害されたりするからである。また、ここでいう実質的に熱収縮を有しないとは、温度Tにおける熱収縮率が4%未満、好ましくは1%未満のものである。温度Tにおいて熱収縮を有するものでは、熱分割性に劣るだけでなく、不織布化したときに多大な熱収縮を引き起こして、地合斑となるからである。上記を満たす熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン系樹脂などを使用することができる。なかでも、本発明の熱分割型複合繊維は、第二成分としてポリエステル、ポリアミド、あるいはポリメチルペンテンを使用すると、第一成分のEPあるいはEPBとの繊維製造における工程安定性や熱分割性の観点で好ましい。
そして、本発明においては、熱処理のみによる瞬間分割性を向上させるため、前記2成分のうちのいずれか1成分に親水化剤が0.1〜5mass%含有させる。より好ましい含有率は、0.3〜3mass%である。親水化剤を含有させることにより、分割性だけでなく、同時に高度で、永続的な親水性能を得ることができる。親水化剤の含有量が0.1mass%未満であると、分割性が不十分であるとともに親水性能も得ることができなくなり、含有量が5mass%を超えると、紡糸時の糸切れが増加して品質低下と工程性の低下を引き起こすので好ましくない。また、前記2成分のうち熱収縮成分である第一成分に親水化剤を含有させた方が、収縮に伴う成分間の剥離性が向上するため、分割性に優れ、特に好ましい。
前記親水化剤としては、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン基などの親水基を有する化合物であればいずれであってもよく、例えば、脂肪酸グリセライド(モノグリセリン脂肪酸エステル)、アルコキシ化アルキルフェノール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられるが、できるだけ親水性能の持続するもの(親水持続性)、あるいは繊維表面へのブリード速度の遅いもの(親水遅効性)が好ましく、例えば、両者を満たすものとしては、下記式(化2)に示す重合度(n)2〜10のポリグリセリンと炭素数8〜22の飽和もしくは不飽和脂肪酸(Rは飽和もしくは不飽和炭化水素)とのエステル化合物(以下、単に「ポリグリセリン脂肪酸エステル」ともいう)が挙げられ、親水性能だけでなく、分割性にも優れ、特に好ましい。
Figure 0004785659
次に、本発明の熱分割型複合繊維の製造方法について説明する。まず、前記範囲を満たす熱可塑性樹脂を準備し、2成分のうちいずれか1成分、好ましくは第一成分に前記親水化剤を含有させる。含有させる方法としては、溶融紡糸時に構成樹脂ペレットとともに押出機に所定の割合で親水化剤を供給する方法や、公知の混合装置を用いて混合し、公知の単軸または2軸押出機等で溶融混合して、あらかじめマスターバッチ化しておく方法などが挙げられるが、後者の方が親水化剤が成分中に均一に分散するので好ましい。
そして、前記2成分は公知の溶融紡糸機で、分割型複合ノズルを用い、繊維断面において複数成分のうち第一成分と第二成分が隣接し、互いに分割された構造となるように、紡糸温度220〜300℃で樹脂を押し出して溶融紡糸し、繊度5〜50dtexの紡糸フィラメントを作製する。このとき、2成分の複合比(容積比)は、紡糸性、分割性を考慮し、80:20〜20:80であることが好ましい。次いで、紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸される。延伸は、温水、熱風、あるいは熱媒中にて延伸温度70℃以上、EPあるいはEPBを用いる場合は70〜130℃で、延伸倍率3倍以上で処理すると、繊維強力が向上するので好ましい。また、延伸倍率を破断点に近づけるほど第一成分、特にEPあるいはEPBの熱収縮率は大きくなり、反対に第二成分にポリエチレンテレフタレートなどの汎用の樹脂であれば熱収縮率が0に近づき瞬間分割性が向上し、好ましい。得られた延伸フィラメントには、繊維処理剤を付着させてもよい。そして、必要に応じて、捲縮付与装置で捲縮を与え、所定の長さに切断されて本発明の熱分割型複合繊維を得る。
得られた熱分割型複合繊維の繊度は、分割後の極細繊維の繊度が1dtex未満となるように適宜設定すればよいが、0.5〜20dtexとすることが好ましい。複合繊維の繊度が0.5dtex未満であると、繊維化が困難となり、20dtexを超えると、分割後の繊度1dtex未満の極細繊維を得るのが困難となるからである。また、分割後発生する極細繊維の繊度は、1dtex未満であることが好ましい。より好ましくは、0.5dtex未満であり、さらに好ましくは、0.3dtex未満である。また、繊維形態も有端のステープル繊維や抄紙用短繊維の形状、あるいはマルチフィラメントのような長繊維いずれであってもよいが、特に、有端のステープル繊維や抄紙用短繊維が、熱処理によって第二成分が収縮して繊維の分割が促進され易い点で好ましい。
得られた熱分割型複合繊維は、不織布、フェルト、紙、織物、編物、フロッキー加工品などの繊維集合物に加工することができる。このとき熱分割型複合繊維の含有量は20mass%以上であることが好ましい。より好ましくは、30mass%である。含有量が20mass%未満であると、極細繊維独特の良質な風合いや機能性を発揮できないからである。本発明の熱分割型複合繊維以外に混合する他の素材としては、特に限定はされないが、コットン、パルプ、麻、レーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、アクリル系繊維、あるいはポリオレフィン系繊維などから任意に一あるいは二以上選択して使用することができる。また繊維形状においても特に限定されず、単一繊維、鞘芯型複合繊維、偏心鞘芯型複合繊維、並列型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維等の断面が円状、異形状等いずれであってもよい。
前記繊維集合物の形態としては、特に不織布形態が有用である。不織布の形態としては、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の主としてステープル繊維からなる不織布、スパンボンド不織布等の長繊維からなる不織布、湿式抄造法による湿式不織布、エアレイ不織布等の短繊維からなる不織布、あるいはこれらの積層体をその目的、用途に応じて決定するとよいが、なかでもエアースルー不織布、あるいはエンボス不織布からなるサーマルボンド不織布が本発明の熱分割性を発揮する上において最も効果的な形態である。
前記サーマルボンド不織布は、以下のように製造するとよい。熱処理温度は1成分の熱収縮率が40%以上となる温度、すなわちT(℃)以上で熱処理することが好ましく、さらに、第一成分の融点以上、すなわちT1(℃)以上の温度で熱処理すると、高度に熱収縮し分割性が向上するとともに、構成繊維間を熱融着させることができる点でより好ましい。熱処理温度がT1未満であっても、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、高密度ポリエチレン/ポリエステル、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリプロピレンなどの1成分がT1より低融点からなる複合繊維を含有させて熱融着させてもよい。
以下、本発明について実施例にてさらに詳しく説明する。なお、繊維強伸度、不織布の厚み、分割率、親水性は以下のようにして測定した。
[繊維強伸度]
JIS−L−1015に準じ、測定した。
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデル CR-60A 株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cm2 あたり20gの荷重を加えた状態で測定した。
[分割率]
不織布の観察部分を電子顕微鏡にて500倍に拡大して任意に3箇所撮影し、撮影写真の分割している部分の面積比率にて分割率を算出した。
[親水性]
特開平9−322911号公報に記載された通液試験法に準じて行った。すなわち、60mm×60mmの寸法に切り出した不織布の上に、アドバンテック東洋(株)製「トーヨーNo.2濾紙」を重ねシリコンパッキングを介してこれらを上下部からなる一対の通液用ガラス器具(高さ75mm、内径36mm、肉厚3mmの円筒状)間に挟持固定した。そして、通液用ガラス器具の両端には、外径60mmのフランジ部分を設け、下部の通液用ガラス器具の下方には液受けが載置された電子天秤を配置した。次いで、上部の通液用ガラス器具に40mlのイオン交換水を注入し、通液量が20mlになるまでの時間を測定する。20ml通液後、上記不織布を取り出し、2枚の濾紙の間に挟み込み、その上に重さ1kgの重りを載せて1分間放置し、これを1サイクルとして通液時間(秒)の測定を1サイクル目(1回)、3サイクル目(3回)、5サイクル目(5回)で行った。なお、通液時間が180秒を超えるものの評価は、×とした。
[実施例1]
第一成分を融点138℃、エチレン含有量4mass%、125℃における熱収縮率50%のエチレン-プロピレン共重合体(EP、宇部興産(株)製:商品名Y−2045GP)90mass%に、親水化剤として重合度4のポリグリセリンと炭素数6の不飽和脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステル8mass%含有するマスターバッチを10mass%混合した熱可塑性樹脂(親水化剤含有量0.8mass%)とし、第二成分を融点265℃、138℃における熱収縮率0%のポリエチレンテレフタレート(PET、東レ(株)製:商品名T−200E)とを8分割型ノズルを用いて、第一成分/第二成分の複合比50/50、紡糸温度240℃/300℃、引取速度1000m/分で溶融紡糸し、繊度6.7dtexの図1に示す歯車型の断面を持つ8分割複合紡糸フィラメントを得た。次いで、紡糸フィラメントを80℃の温水中で3倍に湿式延伸を行い、親水性油剤を0.3mass%付着させ、スタッファボックスを通して機械捲縮を付与し、110℃でコンベア式の熱風貫通型乾燥機で乾燥を行って、切断して、繊度2.2dtex、繊維長38mmの熱分割型複合繊維を得た。なお、EPおよびPETの熱収縮率は、各々単一成分で上記紡糸温度(EPは240℃、PETは300℃)、引取速度(1000m/min)、延伸条件(80℃温水中での3倍延伸)で処理して得た単繊維(繊度2.2dtex)を評価した。
得られた繊維をローラーカードにて目付30g/m2のカードウエブを作製し、エンボス面積0.785mm2/個、エンボス率19.6%のエンボスロールを用いて、ロール温度130℃、ロール速度4m/min、線圧30kg/cmでエンボス加工を行い、極細繊維不織布を得た。
[実施例2]
実施例1のエチレン-プロピレン共重合体90mass%に、親水化剤として重合度4のポリグリセリンとオレイン酸(炭素数17の不飽和脂肪酸)からなるポリグリセリン脂肪酸エステル8mass%含有するマスターバッチを10mass%混合した熱可塑性樹脂(親水化剤含有量0.8mass%)とした以外は、実施例1と同様の方法で繊度2.2dtex、繊維長38mmの熱分割型複合繊維および極細繊維不織布を得た。
[実施例3]
実施例1のエチレン-プロピレン共重合体80mass%に、実施例2のポリグリセリン脂肪酸エステルが8mass%含有するマスターバッチを20mass%混合した熱可塑性樹脂(親水化剤含有量1.6mass%)とした以外は、実施例1と同様の方法で繊度2.2dtex、繊維長38mmの熱分割型複合繊維および極細繊維不織布を得た。
[実施例4]
親水化剤として、下記式(化3)で示すRが炭素数17のアルキル基を有するモノグリセリン脂肪酸エステルを使用した以外は、実施例1と同様の方法で繊度2.2dtex、繊維長38mmの熱分割型複合繊維および極細繊維不織布を得た。
Figure 0004785659
[比較例1]
第一成分に親水化剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法で熱分割型複合繊維および不織布を得た。
[比較例2]
比較例1の不織布に、表裏面より6MPaの圧力で高圧柱状水流を裏表各2回噴射して熱分割型複合繊維を分割させるとともに繊維間を交絡させ、110℃で乾燥して絡合不織布を得た。
[比較例3]
実施例1のエチレン-プロピレン共重合体99mass%に、実施例2のポリグリセリン脂肪酸エステルが8mass%含有するマスターバッチを1mass%混合した熱可塑性樹脂(親水化剤含有量0.08mass%)とした以外は、実施例1と同様の方法で熱分割型複合繊維および不織布を得た。
実施例1〜4および比較例1〜3の物性を表1に示す。
Figure 0004785659
実施例1〜4の熱分割型複合繊維は、エンボスロールによる熱処理のみで50%以上分割しており、特に、親水化剤として化2に示すポリグリセリン脂肪酸エステルを用いると、高度に分割するとともに耐久親水性にも優れていた。一方、比較例1は熱処理だけでは十分に分割しておらず、ほとんどの繊維を分割させるのに、比較例2の高圧柱状流処理を併用しなければならず、比容積の小さい高密度な不織布しか得られなかった。また、親水化剤が付与されていないので耐久親水性は得られなかった。比較例3では親水化剤の含有量が少ないため、分割性が十分ではなかった。
本発明の熱分割型複合繊維を用いた繊維集合物は、衛生材料、ワイパー、フィルターなど親水性能を要求する分野に好適に使用することができる。
本発明に使用する分割型複合繊維の繊維断面図の一例を示す。 本発明に使用する分割型複合繊維の繊維断面図の別の一例を示す。
符号の説明
1.第一成分
2.第二成分

Claims (8)

  1. 異なる2成分からなり、熱収縮性、及び熱融着性を有し、融点がT 1 (℃)であり、熱収縮率が40%以上となる温度T(℃)(但し、T 1 −13≦T(℃)<T 1 )を有する熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とし、温度T(℃)以上にて熱処理をすることにより2成分が分割する熱分割型複合繊維であって、該2成分のうちの第一成分のみが親水化剤を0.1〜5mass%含有するサーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を20mass%以上含有する繊維ウェブが熱処理のみされることで、該サーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維が、第一成分の熱収縮により、第一成分、及び第二成分に分割され、第一成分により構成繊維間が熱融着されていることを特徴とするサーマルボンド不織布。
  2. 異なる2成分からなり、熱収縮性、及び熱融着性を有し、融点がT 1 (℃)であり、温度T(℃)にて(但し、T 1 −13≦T(℃)<T 1 )、熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とし、温度T(℃)以上にて熱処理をすることにより2成分が分割する熱分割型複合繊維であって、該2成分のうちの第一成分のみが親水化剤を0.1〜5mass%含有するサーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を20mass%以上含有する繊維ウェブが熱処理のみされることで、該サーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維が、第一成分の熱収縮により、第一成分、及び第二成分に分割され、第一成分により構成繊維間が熱融着されていることを特徴とするサーマルボンド不織布。
  3. 第二成分が、T 1 より20℃以上高く、150℃≦T <300℃を満たす、融点T (℃)を有し、かつ温度T(℃)において実質的に熱収縮性を有しない熱可塑性樹脂である、請求項1または2に記載のサーマルボンド不織布。
  4. 第一成分の熱可塑性樹脂が、融点T 1 (℃)が、120≦T 1 ≦145を満たす、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン−1三元共重合体、およびエチレン−ブテン−1共重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサーマルボンド不織布。
  5. 異なる2成分からなり、熱収縮性、及び熱融着性を有し、融点がT 1 (℃)であり、熱収縮率が40%以上となる温度T(℃)(但し、T 1 −13≦T(℃)<T 1 )を有する熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とし、温度T(℃)以上にて熱処理をすることにより2成分が分割する熱分割型複合繊維であって、該2成分のうちの第一成分のみが親水化剤を0.1〜5mass%含有するサーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を20mass%以上含有する繊維ウェブに、温度T(℃)以上にて熱処理のみを施して、該サーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を、第一成分の熱収縮により、第一成分、及び第二成分に分割し、かつ第一成分により構成繊維間を熱融着させることを特徴とするサーマルボンド不織布の製造方法。
  6. 異なる2成分からなり、熱収縮性、及び熱融着性を有し、融点がT 1 (℃)であり、温度T(℃)にて(但し、T 1 −13≦T(℃)<T 1 )、熱収縮率が40%以上である熱可塑性樹脂を第一成分とし、他方を第二成分とし、温度T(℃)以上にて熱処理をすることにより2成分が分割する熱分割型複合繊維であって、該2成分のうちの第一成分のみが親水化剤を0.1〜5mass%含有するサーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を20mass%以上含有する繊維ウェブに、温度T(℃)以上にて熱処理のみを施して、該サーマルボンド不織布用熱分割型複合繊維を、第一成分の熱収縮により、第一成分、及び第二成分に分割し、かつ第一成分により構成繊維間を熱融着させることを特徴とするサーマルボンド不織布の製造方法。
  7. 第二成分が、T 1 より20℃以上高く、150℃≦T <300℃を満たす、融点T (℃)を有し、かつ温度T(℃)において実質的に熱収縮性を有しない熱可塑性樹脂である、請求項5または6に記載のサーマルボンド不織布の製造方法。
  8. 第一成分の熱可塑性樹脂が、融点T 1 (℃)が、120≦T 1 ≦145を満たす、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン−1三元共重合体、およびエチレン−ブテン−1共重合体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のサーマルボンド不織布の製造方法。
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