JP2010084284A - 嵩高繊維構造体及びクッション材 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟で嵩高い不織布の特性を損なうことなく、クッション性及び形態安定性に優れる不織繊維構造体を提供する。
【解決手段】熱接着性繊維を25質量%以上含有する不織繊維ウェブを高温水蒸気で処理することにより、熱接着性繊維及び平均曲率半径0.3〜2mmの捲縮繊維を含む繊維が交絡し、かつ内部において、前記熱接着性繊維により融着した繊維の接着点が略均一に分布した嵩高繊維構造体を製造する。前記捲縮繊維の平均曲率半径は0.5〜1mm程度であり、前記捲縮繊維がポリアルキレンアリレート系樹脂と変性ポリアルキレンアリレート系樹脂とで構成された並列型又は偏芯芯鞘型構造であってもよい。前記熱接着性繊維は、融点又は軟化点50〜150℃の湿熱接着性樹脂又は疎水性熱接着性樹脂で構成された鞘部と、前記熱接着性樹脂よりも高い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維であってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、軽量で嵩高く、高い通気性を有し、クッション性及び柔軟性に優れた不織繊維構造を有する構造体(不織繊維構造体)及びその製造方法、並びにこの嵩高い不織繊維構造体(嵩高繊維構造体)で構成されたクッション材に関する。
従来から、天然繊維又は合成繊維で構成された不織布は、嵩高性及び軽量性を有し、使い捨ておむつやウェットワイパーなどの衛生又は医療用途、衣料用途のみならず、クッション材や吸音材などの産業用途にも広く使用されている。例えば、家具、寝具、車両などのクッション材として、発泡ウレタンなども使用されているが、用途によっては、弾性が強すぎ、風合いが充分ではなく、通気性も低い。これに対して、不織布は、ニードルパンチ不織布、熱風式サーマルボンド不織布など、柔軟性に優れ、風合いや通気性にも優れている。しかし、不織布は、クッション性や形態安定性が充分でなく、繊維の脱落という問題も有している。そこで、クッション性を生かした不織布の用途においては、これらの欠点を改良するための開発が行われている。
例えば、おむつなどの衛生材料やワイピングなどの家庭用品、フィルターなどに利用するための不織布として、特開2006−241642号公報(特許文献1)には、芯部にポリトリメチレンテレフタレートポリマーが配され、鞘部に融点または軟化点が60〜180℃の繊維形成性熱可塑性ポリマーが配された熱接着性芯鞘型複合短繊維を50重量%以上含むエアレイド不織布であって、その目付けが10〜300g/m、密度が0.02〜0.07g/cm、剛軟度が4〜8cmの範囲である嵩高ソフトエアレイド不織布が開示されている。この文献では、特定の熱接着性繊維を用いて、空気中に分散させるエアレイド法で不織布を製造することにより、繊維の脱落が抑制されているにも拘わらず、均一で嵩高く、ソフトな風合いを有する不織布を製造している。
しかし、このようなエアレイド法で厚みの大きい不織布を製造すると、厚み方向における接着の均一性が低下し、クッション性が十分でなく、また繰り返し使用すると、容易にクッション性が低下する。さらに、この不織布は、剛性が低く、強度を必要とする用途には使用できない。
また、特開2001−207366号公報(特許文献2)には、非弾性捲縮短繊維と、この非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが、熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜50/50となるように混綿され、前記熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体であって、前記繊維構造体の平均密度が0.02〜0.20g/cmの範囲にあり、且つ前記繊維構造体の厚み方向に対して平行に配列されている繊維の総本数を(B)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維の総本数を(A)とするとき、B/Aが1.5以上である吸音用繊維構造体が開示されている。この文献では、前記熱接着性複合短繊維と前記非弾性捲縮短繊維とを混綿したウェブをアコーディオン状に折りたたみながら200℃で加熱処理することにより、熱融着させた繊維構造体を製造している。
しかし、この繊維構造体も、厚み方向における繊維の接着率が不均一であり、かつ繊維が厚み方向に配向しているため、剛性や、面方向の破断強度などの強度が低い。また、この文献には、非弾性捲縮短繊維の捲縮の詳細については記載されていない。
特開2006−241642号公報(請求項1、段落[0002][0034]、実施例) 特開2001−207366号公報(請求項1、段落[0027]、実施例
従って、本発明の目的は、柔軟で嵩高い不織布の特性を損なうことなく、クッション性及び形態安定性(保持性)に優れる不織繊維構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、繊維の脱落が抑制され、繰り返し使用してもクッション性や形態を保持できる不織繊維構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、軽量かつ低密度であるとともに、適度な剛性又は硬質性を有する不織繊維構造体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、熱接着性繊維と、比較的大きなクリンプを有する捲縮繊維とを高温水蒸気で加熱処理して、前記熱接着性繊維で適度にウェブを融着させると、繊維同士が互いに緩やかに交絡し、かつ大きなクリンプを有する捲縮繊維が他の繊維を囲むように交絡するとともに、厚み方向に均一な接着状態を有する嵩高繊維構造体が得られ、この繊維構造体が柔軟で嵩高い不織布の特性を損なうことなく、クッション性及び形態安定性(保持性)に優れることを見出した。
すなわち、本発明の嵩高繊維構造体は、熱接着性繊維及び平均曲率半径0.3〜2mmの捲縮繊維を含む繊維が交絡して不織繊維構造を形成し、かつ前記熱接着性繊維の融着により繊維が固定されている嵩高繊維構造体であって、この構造体全体に対して前記熱接着性繊維を25質量%以上含有し、かつ前記構造体内部において、前記熱接着性繊維により融着した繊維の接着点が略均一に分布している。前記捲縮繊維の平均曲率半径は0.5〜1mm程度であり、かつ前記捲縮繊維がポリアルキレンアリレート系樹脂と変性ポリアルキレンアリレート系樹脂とで構成された並列型又は偏芯芯鞘型複合繊維であってもよい。前記熱接着性繊維は、融点又は軟化点50〜150℃の湿熱接着性樹脂又は疎水性熱接着性樹脂で構成された鞘部と、前記熱接着性樹脂よりも高い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維であってもよい。前記熱接着性繊維と前記捲縮繊維との割合(質量比)は、前者/後者=90/10〜30/70程度である。本発明の嵩高繊維構造体は、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維湾曲率がいずれも1.1以上であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値と最小値との割合が、それぞれ75%以上であるとともに、各々の領域における繊維接着率がいずれも0.5〜10%であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値と最小値との割合が50%以上であってもよい。また、本発明の嵩高繊維構造体は、見掛け密度が0.01〜0.1g/cm3であり、フラジール形法による通気度が50〜400cm3/(cm2・秒)であり、熱伝導率が0.03〜0.07W/m・Kであり、かつJIS K6400−2に準拠して50%まで圧縮して回復させた挙動において、圧縮挙動における25%圧縮応力に対する回復挙動における25%圧縮応力の比率が30%以上であってもよい。さらに、本発明の嵩高繊維構造体は、FOタイプのデュロメーターによる表面硬さが8〜80であり、0.5g/m2の荷重に対する圧縮率が60%以上であり、かつJIS K6400−4の繰返し圧縮残留ひずみ試験 B法(定変位法)に準拠した繰返し圧縮後の戻り率が75%以上であってもよい。
本発明には、熱接着性繊維と捲縮繊維とを含む繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱加湿処理して融着する工程とを含む前記嵩高繊維構造体の製造方法も含まれる。
本発明では、繊維構造体の内部において、繊維同士が互いに緩やかに交絡し、かつ大きなクリンプを有する捲縮繊維が他の繊維を囲むように交絡するとともに、厚み方向に均一な接着状態を有するため、柔軟で嵩高い不織布の特性を損なうことなく、クッション性及び形態安定性(保持性)に優れる。また、繊維の脱落が抑制され、繰り返し使用してもクッション性や形態を保持できる。さらに、軽量かつ低密度であるとともに、適度な剛性又は硬質性を有している。
[嵩高繊維構造体]
本発明の嵩高繊維構造体(又は不織繊維集合体)は、熱接着性繊維と、平均曲率半径0.3〜2mmの捲縮繊維とを含み、構造体内部において、前記熱接着性繊維が略均一に融着するとともに、繊維同士が緩やかに交絡し、かつ前記捲縮繊維が他の繊維を囲うように交絡している。この嵩高繊維構造体は、詳細は後述するように、前記熱接着性繊維と捲縮繊維とを含むウェブに高温(過熱又は加熱)水蒸気を作用させて、熱接着性繊維の接着作用を発現し、繊維同士を部分的に接着させることにより得られる。すなわち、本発明の嵩高繊維構造体では、熱接着性繊維による融着で、構造体の強度が発現するとともに、捲縮繊維による交絡などで、構造体のクッション性、柔軟性を発現している。さらに、本発明の嵩高繊維構造体は、熱接着性繊維の点接着又は部分接着によって、適度に小さな空隙を保持しながら、少量の接着点で接着するともに、繊維同士も交絡しているため、繊維の脱落が抑制され、かつ高い柔軟性及び形態保持性を有している。
(熱接着性繊維)
本発明では、高温水蒸気により軟化した熱接着性繊維が交差する繊維との間で点接着するため、小さい接着面積であるにも拘わらず、繊維同士を効率よく固定することにより、柔軟性と形態安定性とを両立できる。
熱接着性繊維は、少なくとも熱接着性樹脂で構成されている。熱接着性樹脂は、高温水蒸気によって流動又は容易に変形して接着機能を発現可能であればよい。具体的には、高温水蒸気(例えば、80〜130℃、特に90〜120℃程度)で軟化して自己接着又は他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、例えば、80〜130℃(例えば、85〜125℃、好ましくは90〜120℃、さらに好ましくは95〜115℃程度)の融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂が使用できる。融点又は軟化点が130℃を超えると、樹脂の軟化が不十分となり、繊維の接着性が低下する。一方、80℃未満では、水蒸気の熱で水不溶性熱可塑性樹脂が融けて流れてしまい、繊維の空隙を埋めて、通気性が低下する。また、一旦、融着しても繊維に残存した熱で固化し難く、生産性なども低下する。
さらに、このような融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂(熱接着性樹脂)には、高温水蒸気と親和性の高い湿熱接着性樹脂、高温水蒸気と親和性の低い疎水性熱接着性樹脂が含まれる。両者は、いずれも高温水蒸気で接着可能であるが、例えば、同じ融点の樹脂を同じ高温水蒸気で処理した場合、湿熱接着性樹脂の方が強固に接着し易いという相違点があり、用途に応じて適宜選択して使用できる。例えば、比較的硬質な繊維構造体を簡便に製造したい場合には、湿熱接着性繊維を使用してもよい。一方、衛生的な面などから、撥水性の高い繊維構造体を製造したい場合には、疎水性熱接着性繊維を使用してもよい。
湿熱接着性樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1-3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロース又はその塩など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体およびその塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体又はそのアルカリ金属塩など]、変性ビニル系共重合体(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体又はその塩など)、親水性の置換基を導入したポリマー(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン又はその塩など)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。さらに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水(高温水蒸気)の温度で軟化して接着機能を発現可能な樹脂も含まれる。
これらの湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。湿熱接着性樹脂は、通常、親水性高分子又は水溶性樹脂で構成される。これらの湿熱接着性樹脂のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2-10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、10〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。エチレン単位がこの範囲にあることにより、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。エチレン単位の割合が少なすぎると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、低温の蒸気(水)で容易に膨潤又はゲル化し、水に一度濡れただけで形態が変化し易い。一方、エチレン単位の割合が多すぎると、吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現し難くなるため、実用性のある強度の確保が困難となる。エチレン単位の割合が、特に30〜50モル%の範囲にあると、シート又は板状への加工性が特に優れる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位の鹸化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。鹸化度が小さすぎると、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、鹸化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500程度である。重合度がこの範囲にあると、紡糸性と湿熱接着性とのバランスに優れる。
疎水性熱接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。これらの疎水性ホットメルト樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの疎水性ホットメルト樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレンやエチレン−プロピレン系共重合体などのポリエチレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、結晶性の低い非晶性コポリエステル、ポリオキシアルキレングリコール単位を有するポリエステルエラストマーなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド12などの脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどなど)などが汎用される。特に、単独重合体に対して、融点又は軟化点を低下させるために、共重合性単量体を共重合させて変性することにより、単独重合体よりも結晶化度を低下させた非晶性共重合体であってもよい。非晶性共重合体としては、接着性及び繊維特性に優れる点から、非晶性ポリエステル系樹脂が好ましい。
非晶性ポリエステル系樹脂としては、アルキレンアリレート単位を主成分として含むコポリエステルが挙げられ、特に、C2-6アルキレンアリレート単位(例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのC2-4アルキレンテレフタレート単位)を主成分として、他の共重合成分(変性剤)を含むコポリエステルが好ましい。
他の共重合成分におけるジオール成分としては、例えば、ポリC2-4アルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)、C2-8アルキレングリコール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど)、脂環族ジオール(例えば、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなど)などが挙げられる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール成分のうち、ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレート系樹脂に対する共重合成分として、ポリC2-4アルキレングリコール(特にジエチレングリコール)が好ましい。
他の共重合成分におけるジカルボン酸成分としては、例えば、C6-12脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸などのC6-12脂肪族ジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸[例えば、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタンなど]などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合成分のうち、ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレート系樹脂に対する共重合成分(変性剤)として、イソフタル酸やフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸(特にイソフタル酸)が好ましい。
他の共重合成分の割合は、対応する全モノマー成分に対して、例えば、1〜50モル%程度の範囲から選択でき、例えば、2〜40モル%、好ましくは3〜30モル%、さらに好ましくは5〜25モル%程度であってもよい。特に、他の共重合成分がイソフタル酸などのジカルボン酸である場合、全ジカルボン酸成分に対して、例えば、1〜50モル%、好ましくは3〜40モル%、さらに好ましくは5〜35モル%(特に10〜30モル%)程度であってもよい。他の共重合成分がジエチレングリコールなどのジオール成分である場合、全ジオール成分に対して、例えば、0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%、さらに好ましくは1〜15モル%(特に2〜10モル%)程度であってもよい。非晶性ポリエステル系樹脂としては、具体的には、繊維の物性、品質、繊維化工程の生産性、コストなどの点から、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレート変性体が汎用される。
非晶性ポリエステル系樹脂は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオール成分などを併用して分岐させてもよい。
熱接着性繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよい。熱接着性繊維は、繊維の機械的特性を向上させるとともに、融着後も嵩高い不織繊維構造を保持する点から、少なくとも熱接着性樹脂を含む複数の樹脂で構成された複合繊維であってもよい。複合繊維は、熱接着性樹脂を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の点から、熱接着性樹脂が表面の少なくとも一部を長さ方向(特に全表面)に連続して占めるのが好ましい。
熱接着性繊維が表面を占める複合繊維の横断面構造としては、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型又は多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、接着性が高い構造である点から、熱接着性樹脂が全表面を長さ方向に連続して占める構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。このような芯鞘型複合繊維において、芯部として高温水蒸気で溶融又は軟化しない繊維を用いることにより、高温水蒸気で処理しても芯成分が繊維形態を維持するため、処理前の繊維構造を保持できる。
このような芯部を構成する繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの無機繊維であってもよいが、柔軟性や鞘部を構成する熱接着性樹脂との親和性などの点から、前記熱接着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体又は非晶ポリエステル系樹脂)よりも高い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂で構成された繊維が好ましい。熱接着性樹脂よりも高い融点又は軟化点は、例えば、融点160℃以上、好ましくは160〜300℃、さらに好ましくは170〜280℃程度である。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、後述する捲縮繊維を構成する熱可塑性樹脂などが利用でき、なかでも、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、セルロース系樹脂などが汎用される。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの熱接着性樹脂のうち、耐熱性及び寸法安定性の点から、例えば、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂など]、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドなど)、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
さらに、これらの熱可塑性樹脂は、鞘部と芯部との密着性を向上させる点から、鞘部を形成する熱接着性樹脂と同系統又は同種の熱可塑性樹脂で構成してもよい。例えば、鞘成分が非晶性ポリエステルである場合には、芯成分としても、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂であってもよい。
熱接着性樹脂で構成された鞘部と、この熱接着性樹脂よりも高い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂で構成された芯部とで構成された芯鞘型複合繊維において、芯鞘比率(質量比)は、例えば、芯部/鞘部=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、さらに好ましく60/40〜20/80程度である。熱接着性樹脂で構成された鞘部の割合が多すぎると、繊維の強度を確保し難く、鞘部の割合が少なすぎると、繊維表面の長さ方向に連続して熱接着性樹脂を存在させるのが困難となり、熱接着性が低下する。
熱接着性繊維の平均繊度は、用途に応じて、例えば、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.1〜50dtex、さらに好ましくは0.5〜30dtex(特に1〜10dtex)程度である。平均繊度がこの範囲にあると、繊維の強度と熱接着性の発現とのバランスに優れる。
熱接着性繊維の平均繊維長は、例えば、10〜100mm程度の範囲から選択でき、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは25〜75mm(特に35〜55mm)程度である。平均繊維長がこの範囲にあると、繊維が充分に絡み合うため、繊維構造体の機械的強度が向上する。
熱接着性繊維の捲縮率は、例えば、1〜50%、好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%(特に10〜20%)程度である。また、捲縮数は、例えば、1〜100個/25mm、好ましくは5〜50個/25mm、さらに好ましくは10〜30個/25mm程度である。
(捲縮繊維)
捲縮繊維は、略コイル状(螺旋状又はつるまきバネ状)の立体捲縮を有している。この捲縮繊維のコイル(捲縮コイル部)で形成される円の平均曲率半径は0.3〜2mmの範囲にあり、例えば、0.4〜1.5mm、好ましくは0.5〜1.2mmm(例えば、0.5〜1μm)、さらに好ましくは0.6〜1mm(特に0.6〜0.8μm)程度である。ここで、平均曲率半径は、捲縮繊維のコイルにより形成される円の平均的大きさを表す指標であり、本発明では、このように比較的大きなクリンプを有する捲縮繊維が、前記熱接着性繊維を囲うように緩やかに交絡し、かつ前記熱接着性繊維と融着することにより、繊維同士の空隙を適度に保持している。
捲縮繊維の捲縮数は、例えば、5個/25mm以上(例えば、5〜50個/25mm)であり、好ましくは8〜30個/25mm、さらに好ましくは10〜20個/25mm程度であってもよい。
捲縮繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよいが、通常、丸型断面である。
捲縮繊維の平均繊度は、例えば、0.1〜100dtex程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜50dtex、好ましくは1〜30dtex、さらに好ましくは2〜20dtex(特に3〜10dtex)程度である。繊度が細すぎると、繊維そのものが製造し難くなることに加え、繊維強度を確保し難い。一方、繊度が太すぎると、繊維が剛直となり、柔軟性が低下する。
捲縮繊維の平均繊維長は、例えば、10〜100mm程度の範囲から選択でき、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは25〜75mm(特に40〜70mm)程度である。繊維長が短すぎると、繊維ウェブの形成が難しくなることに加え、捲縮繊維による繊維同士の交絡が不十分となり、強度及び伸縮性の確保が困難となる。また、繊維長が長すぎると、均一な目付の繊維ウェブを形成することが難しくなる。
捲縮繊維は、無機繊維であってもよいが、柔軟性や軽量性などの点から、有機繊維、特に、熱可塑性樹脂で構成された繊維が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(中密度又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン系樹脂など)、アクリル系樹脂(アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体などのアクリロニトリル単位を有するアクリロニトリル系樹脂など)、ポリビニルアセタール系樹脂(ポリビニルアセタール樹脂など)、ポリ塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体など)、スチレン系樹脂(耐熱ポリスチレンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などの脂肪族ポリアミド系樹脂、半芳香族ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリp−フェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系樹脂など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂(セルロースエステルなど)などが挙げられる。
これらの樹脂のうち、本発明では、高温水蒸気で加熱加湿処理しても溶融又は軟化して捲縮繊維による融着が発生し難い点から、前述の高温水蒸気の温度よりも高い軟化点又は融点を有する熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましく、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。本発明では、高温水蒸気で処理しても捲縮繊維による融着が起こらないように、捲縮繊維の表面に露出する樹脂はこのような熱可塑性樹脂で構成された繊維であるのが好ましい。
捲縮繊維は、複数の樹脂の熱収縮率(又は熱膨張率)の違いに起因して、加熱により捲縮させた非対称又は層状(いわゆるバイメタル)構造を有する繊維であってもよい。複数の樹脂は、通常、軟化点又は融点が異なる。バイメタル構造を有する複合繊維の横断面構造としては、複数の樹脂で形成された相分離構造、例えば、芯鞘型、海島型、ブレンド型、並列型(サイドバイサイド型又は多層貼合型)、放射型(放射状貼合型)、中空放射型、ブロック型、ランダム複合型などの構造が挙げられる。これらの横断面構造のうち、相部分が隣り合う構造(いわゆるバイメタル構造)や、相分離構造が非対称である構造、例えば、偏芯芯鞘型、並列型構造が好ましい。なお、捲縮繊維は、潜在捲縮性繊維であってもよく、すなわち繊維構造体の製造工程における高温水蒸気の処理によって捲縮を発現させてもよいが、生産性やコイルの均一性などの点から、予め加熱処理などにより捲縮を施した繊維を使用するのが好ましい。
複数の樹脂は、熱収縮率が異なっていればよく、同系統の樹脂の組み合わせであっても、異種の樹脂の組み合わせであってもよい。本発明では、密着性の点から、同系統の樹脂の組み合わせで構成されているのが好ましい。同系統の樹脂の組み合わせの場合、通常、単独重合体(必須成分)を形成する成分(A)と、変性重合体(共重合体)を形成する成分(B)との組み合わせが用いられる。すなわち、必須成分である単独重合体に対して、例えば、結晶化度や融点又は軟化点などを低下させる共重合性単量体を共重合させて変性することにより、単独重合体よりも結晶化度を低下させるか、非晶性とし、単独重合体よりも融点又は軟化点などを低下させてもよい。このように、結晶性、融点又は軟化点を変化させることにより、熱収縮率に差異を設けてもよい。融点又は軟化点の差は、例えば、5〜150℃、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは70〜120℃程度であってもよい。変性に用いられる共重合性単量体の割合は、全単量体に対して、例えば、1〜50モル%、好ましくは2〜40モル%、さらに好ましくは3〜30モル%(特に5〜20モル%)程度である。単独重合体を形成する成分と、変性重合体を形成する成分との複合比率(質量比)は、繊維の構造に応じて選択できるが、例えば、単独重合体成分(A)/変性重合体成分(B)=90/10〜10/90、好ましくは70/30〜30/70、さらに好ましくは60/40〜40/60程度である。
本発明では、諸特性のバランスに優れる点から、複数の樹脂の組み合わせは芳香族ポリエステル系樹脂の組み合わせ、特に、ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)と、変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)との組み合わせであってもよい。
ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)は、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などの対称型芳香族ジカルボン酸など)又はその反応性誘導体(酸クロライド、低級アルキルエステルなど)とアルカンジオール成分(エチレングリコールやブチレングリコールなどのC2-6アルカンジオールなど)との単独重合体であってもよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレート系樹脂などが使用され、通常、固有粘度0.6〜0.7程度の一般的なPET繊維に用いられるPETが使用される。
一方、変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)では、必須成分である前記ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)の融点又は軟化点、結晶化度を低下させる共重合成分、例えば、非対称型芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸成分や、ポリアルキレンアリレート系樹脂(a)のアルカンジオールよりも鎖長の長いアルカンジオール成分及び/又はエーテル結合含有ジオール成分が使用できる。これらの共重合成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの成分のうち、ジカルボン酸成分として、非対称型芳香族カルボン酸(イソフタル酸、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸などのC6-12脂肪族ジカルボン酸)などが汎用され、ジオール成分として、アルカンジオール(1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどC3-6アルカンジオールなど)、(ポリ)オキシアルキレングリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールなど)などが汎用される。これらのうち、イソフタル酸などの非対称型芳香族ジカルボン酸、ジエチレングリコールなどのポリオキシC2-4アルキレングリコールなどが好ましい。さらに、変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)は、C2-4アルキレンアリレート(エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートなど)をハードセグメントとし、(ポリ)オキシアルキレングリコールなどをソフトセグメントとするエラストマーであってもよい。
変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)において、ジカルボン酸成分として、融点又は軟化点を低下させるためのジカルボン酸成分(例えば、イソフタル酸など)の割合は、ジカルボン酸成分の全量に対して、例えば、1〜50モル%、好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは15〜40モル%程度である。ジオール成分として、融点又は軟化点を低下させるためのジオール成分(例えば、ジエチレングリコールなど)の割合は、ジオール成分の全量に対して、例えば、30モル%以下、好ましくは10モル%以下(例えば、0.1〜10モル%程度)である。共重合成分の割合が低すぎると、充分な捲縮が発現せず、クリンプの均一性が低下する。
変性ポリアルキレンアリレート系樹脂(b)は、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオール成分などを併用して分岐させてもよい。
本発明の嵩高繊維構造体は、形態安定性の点から、構造体全体に対して前記熱接着性繊維を25質量%以上含有している必要があり、好ましくは25〜95質量%、さらに好ましくは30〜90質量%程度含有していてもよい。
熱接着性繊維と捲縮繊維との割合(質量比)は、用途に応じて、例えば、前者/後者=99/1〜25/75(例えば、95/5〜25/75)程度の範囲から選択でき、クッション性や柔軟性が重視される用途では、捲縮繊維の割合を多くすればよく、剛性や硬質性が重視される用途では、熱接着性繊維の割合を多くすればよい。両繊維の割合は、例えば、前者/後者=90/10〜30/70、好ましくは85/15〜35/65、さらに好ましくは80/20〜40/60(特に70/30〜50/50)程度である。両者の割合がこの範囲にあると、捲縮繊維のコイル捲縮による繊維の交絡と、熱接着性繊維の融着とのバランスが良く、クッション性及び柔軟性に優れるとともに、形態安定性を向上できる。
本発明の嵩高繊維構造体には、これらの繊維に加えて、前記繊維の特性を損なわない範囲で、他の繊維が含まれていてもよい。他の繊維としては、例えば、熱接着性繊維の項で例示された熱可塑性樹脂で構成された繊維、捲縮性複合繊維の項で例示された熱可塑性樹脂で構成された繊維の他、セルロース系繊維[例えば、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻など)、半合成繊維(トリアセテート繊維などのアセテート繊維など)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル(例えば、登録商標名:「テンセル」など)など)など]、無機繊維(例えば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維など)などが使用できる。他の繊維の平均繊度及び平均繊維長は、捲縮繊維と同様である。これら他の繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これら他の繊維のうち、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などが好ましい。特に、混紡性などの点から、熱接着性繊維又は捲縮繊維と同種の繊維であってもよく、例えば、捲縮繊維がポリエステル系繊維である場合、他の繊維もポリエステル系繊維であってもよい。
他の繊維の割合は、繊維構造体全体に対して、例えば、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下(例えば、0.1〜5質量%程度)である。
本発明の嵩高繊維構造体は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(ヒンダードフェノール類や銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、充填剤、微粒子、滑剤、着色剤(染顔料など)、分散剤、増粘剤、湿潤剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤、つや消し剤、抗菌剤、防虫・防ダニ剤、防カビ剤、消臭剤、蓄熱剤、香料、蛍光増白剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
(嵩高繊維構造体の特性)
本発明の嵩高繊維構造体は、前記繊維で構成されたウェブから得られる不織繊維構造を有しており、その外部形状は用途に応じて選択できるが、通常、シート状又は板状である。平面形状は、特に限定されず、例えば、円形又は楕円形状、多角形状などであってもよく、正方形や長方形などの四方形状であってもよい。
さらに、本発明の嵩高繊維構造体において、通気性とクッション性とをバランスよく備えた不織繊維構造とするためには、繊維構造体の内部形状において、熱接着性繊維の融着によって繊維の接着状態が適度に調整されるとともに、捲縮繊維の捲縮により、隣接又は交差する繊維が捲縮コイル部で互いに交絡する必要がある。
詳しくは、潜在捲縮性複合繊維を含む嵩高繊維構造体は、熱接着性繊維が捲縮繊維又は他の熱接着性繊維と交差した交点(すなわち、熱接着性繊維同士の交点、熱接着性繊維と捲縮繊維との交点)で融着しているのが好ましい。本発明では、嵩高繊維構造体において、不織繊維構造を構成する繊維は、熱接着性繊維によって、各々の繊維の接点で接着しているが、できるだけ少ない接点数で繊維構造体の形態を保持するためには、この接着点が構造体の表面付近から内部に亘って概ね均一に分布しているのが好ましい。例えば、構造体が板状の場合、面方向及び厚み方向(特に、均一化が困難な厚み方向)に沿って、構造体表面から内部(中央)、そして裏面に至るまで、均一に分布しているのが好ましい。接着点が表面又は内部などに集中すると、クッション性が低下し、接着点の少ない部分における形態安定性が低下する。例えば、ヒータなどを用いる方法で、充分に接着させるために、高温で長時間処理すると、熱源に近い部分が過剰に接着してクッション性(特に初期応力に対する柔軟性)が低下する。
これに対して、本発明の嵩高繊維構造体は、構造体の表面付近から内部に亘って概ね均一に分布し、効率よく繊維を固定しているため、熱接着性繊維による融着点数が少なく、エラストマー成分を使用していないにも拘わらず、形態安定性を発現でき、クッション性及び耐へたり性も両立できる。さらに、熱接着性繊維によって、各繊維が融着されているため、繊維の脱落も抑制でき、例えば、繊維構造体を目的のサイズに切断して使用しても、切断面からの繊維の脱落が抑制され、構造の破壊も起こりにくい。
具体的には、本発明の嵩高繊維構造体は、不織繊維構造を構成する繊維が前記熱接着性繊維の融着により繊維接着率30%以下(例えば、1〜30%)、好ましくは1.5〜25%、さらに好ましくは2〜20%(特に2〜10%)程度で接着されており、繊維接着率は用途に応じて適宜選択できる。本発明における繊維接着率は、後述する実施例に記載の方法で測定できるが、不織繊維断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。従って、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合が少ないことを意味する。本発明では、このように接着率が低いため、後述する捲縮繊維のコイル状捲縮と相俟って、繊維構造体に良好なクッション性を発現できる。
融着の均一性について、例えば、構造体がシート状又は板状体である場合、構造体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲にあるのが好ましい。さらに、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、例えば、50%以上(例えば、50〜100%)、好ましくは55〜99%(例えば、60〜99%)、さらに好ましくは60〜98%(例えば、70〜98%)、特に70〜97%(例えば、75〜97%)程度である。本発明では、繊維接着率が、厚み方向において、このような均一性を有しているため、少ない融着点でも、形態を保持でき、クッション性や通気性を向上でき、柔軟性と形態安定性とを両立できる。
なお、本願明細書において、「厚み方向に三等分した領域」とは、板状構造体の厚み方向に対して直交する方向にスライスして三等分した各領域のことを意味する。
融着の度合いを示す繊維接着率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維構造体の断面を拡大した写真を撮影し、所定の領域において、接着した繊維断面の数に基づいて簡便に測定できる。しかし、熱接着性繊維の割合が多い場合など、束状に繊維が融着している場合には、各繊維が束状に又は交点で融着しているため、繊維単体として観察することが困難な場合もある。この場合、例えば、融解や洗浄除去などの手段で接着部の融着を解除し、解除前の切断面と比較することにより繊維接着率を測定できる。
このように、本発明の繊維構造体では、熱接着性繊維による融着が均一に分散して点接着しているだけでなく、これらの点接着が短い融着点距離(例えば、数十〜数百μm)で緻密にネットワーク構造を張り巡らしている。このような構造により、本発明の繊維構造体は、外力が作用しても、繊維構造が有する柔軟性により、歪みに対して追従性が高くなるとともに、微細に分散した繊維の各融着点に外力が分散して小さくなるため、高い形態安定性を発現していると推定できる。これに対して、従来の多孔質成形体や発泡体などは、空孔の周囲が壁状の界面で構成されており、通気性が低い。
特に、本発明の嵩高繊維構造体において、通気性とクッション性とをバランスよく備えた不織繊維構造とするためには、繊維構造体の内部形状において、熱接着性繊維の融着によって繊維の接着状態が適度に調整されるとともに、隣接又は交差する複数の繊維(捲縮繊維及び熱接着性繊維、捲縮繊維同士、又は熱接着繊維同士)が互いに絡み合って拘束又は掛止されるとともに、前記捲縮繊維の捲縮コイル部がこれらの絡み合う複数の繊維を囲うように交絡した構造を有している。
また、本発明の嵩高繊維構造体において、前記捲縮繊維は厚み方向において均一に存在するのが好ましい。具体的には、例えば、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域のうち、中央部(内層)において、概ね2/3周以上の円弧を形成している繊維の数が、例えば、3〜60本/5mm(面方向の長さ)×1mm(厚み)であり、好ましくは5〜50本/5mm(面方向の長さ)×1mm(厚み)、さらに好ましくは10〜40本/5mm(面方向の長さ)×1mm(厚み)(特に、20〜30本/5mm(面方向の長さ)×1mm(厚み))である。本発明では、大部分の捲縮繊維、構造体内部において(構造体の表面付近から中心部に亘り)、捲縮数が均一であるため、ゴムやエラストマーを含んでいなくても、高い柔軟性及びクッション性を有するとともに、粘着剤を含んでいなくても、実用的な強度を有している。
さらに、繊維構造体の内部における捲縮の均一性は、例えば、厚み方向において、繊維湾曲率の均一性によっても評価できる。繊維湾曲率とは、繊維(捲縮した状態の繊維)の両端の距離(L1)に対する繊維長(L2)の比(L2/L1)であり、繊維湾曲率(特に厚み方向の中央の領域における繊維湾曲率)が、例えば、1.1以上(例えば、1.1〜5)、好ましくは1.15〜4(例えば、1.2〜3.5)、さらに好ましくは1.25〜3(特に1.3〜2.5)程度である。なお、本発明では、後述するように、繊維構造体断面の電子顕微鏡写真に基づいて繊維湾曲率を測定するため、前記繊維長(L2)は、三次元的に捲縮した繊維を引き延ばして直線状にした繊維長(実長)ではなく、写真に写った二次元的に捲縮した繊維を引き延ばして直線状にした繊維長(写真上の繊維長)を意味する。すなわち、本発明における繊維長(写真上の繊維長)は、実際の繊維長よりも短く計測される。
さらに、本発明では、構造体の内部において、略均一な捲縮が存在しているため(すなわち、クリンプの大きさや捲縮数が揃った捲縮繊維が厚み方向において均一に分布しているため)、繊維湾曲率が均一であり、良好なクッション性及び断熱性を確保している。本発明では、繊維湾曲率の均一性は、例えば、構造体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の層における繊維湾曲率の比較によって評価できる。すなわち、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維湾曲率はいずれも前記範囲にあり、各領域における繊維湾曲率の最大値に対する最小値の割合(繊維湾曲率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、例えば、75%以上(例えば、75〜100%)、好ましくは80〜99.9%、さらに好ましくは90〜99.5%(特に95〜99%)程度である。
繊維湾曲率及びその均一性の具体的な測定方法としては、繊維構造体の断面を電子顕微鏡写真で撮影し、厚み方向に三等分した各領域から選択した領域について繊維湾曲率を測定する方法が用いられる。測定する領域は、三等分した表層(表面域)、内層(中央域)、裏層(裏面域)の各層について、長さ方向2mm以上の領域で測定を行う。また、各測定領域の厚み方向については、各層の中心付近において、それぞれの測定領域が同じ厚み幅を有するように設定する。さらに、各測定領域は、厚み方向において平行で、かつ各測定領域内において繊維湾曲率を測定可能な繊維片が100本以上(好ましくは300本以上、さらに好ましくは500〜1000本程度)含まれるように設定する。これらの各測定領域を設定した後、領域内の全ての繊維の繊維湾曲率を測定し、各測定領域ごとに平均値を算出した後、最大の平均値を示す領域と、最小の平均値を示す領域との比較により繊維湾曲率の均一性を算出する。
このような熱接着性繊維及び捲縮繊維を含む繊維構造体において、各繊維の配向は特に限定されないが、例えば、シート状又は板状である場合、繊維構造体を構成する繊維(特に熱接着性繊維)の配列状態が適度に調整されていてもよい。すなわち、繊維構造体を構成する熱接着性繊維(又は熱接着性繊維及び他の繊維)が、概ねシート面に対して平行に配列しながら、お互いに交差するように配列されていてもよい。なお、本願明細書では、「面方向に対し略平行に配向している」とは、例えば、一般的なニードルパンチ不織布のように、局部的に多数の繊維が厚み方向に不織布を貫通するように配向し、繊維同士を拘束することで不織布の形態を保持するとともに、大きな強度を実現するために寄与する部分が繰り返し存在しない状態を意味する。従って、繊維を平行に配列させる点からは、ニードルパンチによる繊維の交絡の程度を低減するか、交絡しないのが好ましい。
さらに、このような板状構造体において、熱接着性繊維がシート面に対して平行して配列している場合、隣接又は交差する熱接着性繊維は互いに交絡しているが、繊維構造体の厚み方向(又は斜め方向)でも、軽度に繊維が交絡している。特に、本発明では、捲縮繊維の捲縮コイル部が、厚み方向に層状に並んだ複数の熱接着繊維を囲うように交絡し、かつ融着することにより、適度に各繊維が拘束されている。さらに、交絡した繊維は、熱接着性繊維によって融着されているため、クッション性を発現する。
更に、コイル状捲縮繊維は、その長さ方向(軸芯)に対して負荷された力に対し、変形し易く、元の形状に戻り難いが、コイル側面方向からの力に対しては、変形し難く、変形しても元の形状に戻り易い。従って、本発明の嵩高繊維構造体は、熱接着繊維の融着点が少ないにも拘わらず、形態維持性とクッション性とを両立できる。
本発明の嵩高繊維構造体は、面方向と厚み方向との異方性だけでなく、通常、製造工程の流れ方向(MD方向)と幅方向(CD方向)との間で異方性を有している。すなわち、本発明の嵩高繊維構造体は、製造の過程において、熱接着性繊維が面方向と略平行となるだけでなく、面方向と略平行に配向した熱接着性繊維は、流れ方向に対しても略平行となる傾向がある。その結果、矩形状繊維構造体が製造される場合、繊維構造体の製造における流れ方向と幅方向との間で異方性が発現する。
本発明の嵩高繊維構造体は、不織繊維構造を有しているため、繊維間に生ずる空隙を有している。これらの空隙は、スポンジのような樹脂発泡体と異なり各々が独立した空隙ではなく連続しているため、通気性を有している。特に、本発明の嵩高繊維構造体は、捲縮繊維の比較的大きな捲縮コイル部による交絡により、高い軽量性と通気性とを実現している。
具体的には、本発明の嵩高繊維構造体の通気度は、フラジール形法による通気度で1cm3/(cm2・秒)以上(例えば、1〜500cm3/(cm2・秒))であってもよいが、例えば、10〜450cm3/(cm2・秒)、好ましくは50〜400cm3/(cm2・秒)さらに好ましくは80〜300cm3/(cm2・秒)(特に100〜250cm3/(cm2・秒)))程度であり、通常、100〜300cm3/(cm2・秒)程度である。通気度が小さすぎると、繊維構造体に空気を通過させるために外部から圧力を加える必要が生じ、自然な空気の出入が困難となる。一方、通気度が大き過ぎると、繊維構造体内の繊維空隙が大きくなりすぎ、クッション性が低下する。本発明では、このような高い通気性を有するため、人体に接触する用途に用いても、蒸れることなく快適に利用できる。
本発明の嵩高繊維構造体の見掛け密度は、用途に応じて、例えば、0.01〜0.1g/cm3程度の範囲から選択でき、例えば、0.012〜0.08g/cm3、好ましくは0.013〜0.05g/cm3(特に0.015〜0.03g/cm3)程度である。見かけ密度が低すぎると、通気性は向上するものの、形態安定性が低下し、逆に高すぎると、形態安定性は確保できるものの、通気性やクッション性が低下する。本発明では、熱接着性繊維による融着と捲縮繊維の捲縮コイル部による交絡との組み合わせにより、低密度であるにも拘わらず、繊維構造体の形態を保持しつつ、クッション性を発現することを可能としている。
本発明の嵩高繊維構造体の目付(加熱後の目付)は、用途に応じて、例えば、50〜10000g/m2程度の範囲から選択でき、好ましくは150〜5000g/m2、さらに好ましくは200〜3000g/m2(特に300〜2000g/m2)程度である。なお、剛性又は硬質性の高いクッション材として使用される場合には、例えば、500〜10000g/m2、好ましくは1000〜8000g/m2、さらに好ましくは1200〜5000g/m2)程度であってもよい。目付が小さすぎると、クッション性や形態安定性を確保することが難しく、また、目付が大きすぎると、厚すぎて湿熱加工において、高温水蒸気が充分にウェブ内部に入り込めず、厚み方向に融着が均一な構造体とするのが困難になる。
本発明の嵩高繊維構造体は、クッション性に優れ、特に、初期応力が低く、タッチが柔軟である。このようなクッション性については、JIS K6400−2に準拠して50%まで圧縮して回復させた挙動(50%圧縮回復挙動)のヒステリシスループにおいて、最初の50%圧縮挙動における25%圧縮時の応力[圧縮応力(X)]と、50%圧縮後の戻り(回復)挙動における25%圧縮時の応力[回復応力(Y)]の比(Y/X)によって表すことができる。本発明の繊維構造体は、例えば、少なくとも一方向(厚み方向など)における前記比が30%以上であってもよく、例えば、35%以上(例えば、35〜90%程度)、好ましくは40%以上(例えば、40〜80%程度)、さらに好ましくは45〜60%程度である。この比(Y/X)は、このような範囲から用途に応じて選択できる。この比率が大きいほどクッション性に優れ、本発明では、この比率が高いため、柔軟なタッチでありながら、荷重に応じてゆっくりと反発力を高めていくにも拘わらず、荷重を解除しても形態が復元する。
本発明の嵩高繊維構造体は、柔軟性が高く、25%圧縮するのに必要な圧縮応力が、例えば、0.1〜1N/30mmφ(特に0.2〜0.5N/30mmφ)程度であるのに対して、50%圧縮するのに必要な圧縮応力は、例えば、0.5〜5N/30mmφ(特に0.8〜3N/30mmφ)程度であってもよい。さらに、剛性及び硬質性の高い用途に使用する場合、25%圧縮するのに必要な圧縮応力が、例えば、1〜20N/30mmφ(特に5〜20N/30mmφ)程度であるのに対して、50%圧縮するのに必要な圧縮応力は、例えば、5〜50/30mmφ(特に10〜40/30mmφ)程度であってもよい。
本発明の嵩高繊維構造体は、柔軟性が高く、圧縮率が大きい。具体的に、圧縮率は、例えば、50%以上であってもよく、例えば、60〜99%、好ましくは65〜98%、さらに好ましくは70〜95%(特に75〜90%)程度である。本発明では、不織繊維構造体として、クッション性に優れているにも拘わらず、柔軟性が高いため、低荷重であっても、構造体を大きく圧縮することが可能である。
本発明の嵩高繊維構造体は、柔軟であるだけでなく、圧縮耐久性にも優れており、例えば、クッション材として繰り返し使用してもクッション性能の低下が少ない。本発明の繊維構造体は、このような圧縮耐久性を表す指標であるJIS K6400−4の繰返し圧縮残留ひずみ試験 B法(定変位法)に準拠した試験において、繰返し圧縮後の戻り率が70%以上の高い値を示し、好ましくは75%以上(例えば、75〜99%)、さらに好ましくは80%以上(例えば、80〜98%)、特に85〜97%(例えば、90〜96%)程度である。従って、本発明の嵩高繊維構造体は、例えば、クッション材として長期間使用してもへたりが少ない。
本発明の繊維構造体が板状又はシート状である場合、その厚みは、特に限定されないが、1〜500mm程度の範囲から選択でき、例えば、5〜300mm、好ましくは10〜150mm、さらに好ましくは15〜100mm(特に20〜50mm)程度である。厚みが薄すぎると、クッション性の発現が難しくなる。なお、シート状繊維構造体を積層して使用してもよい。さらに、本発明の繊維構造体は、不織繊維構造であるにも拘わらず、板状又はシート状であっても厚みのばらつき(厚み斑)が少なく、厚みが略均一であるため、各種のクッション材として有効に利用できる。
本発明の嵩高繊維構造体、特に、熱接着性繊維として、エチレン−ビニルアルコール系繊維などの湿熱接着性繊維を使用した場合、繊維の毛細管効果と湿熱接着性樹脂の親和性から吸水性(及び保水性)と透湿度が高い。
一方、熱接着性繊維として、ポリエステル系繊維などの疎水性熱可塑性繊維を使用した繊維構造体は、撥水性が高く、特に、本発明では、後述する製造工程の中で、水や水蒸気に繊維が晒されることで、繊維に付着した親水性を有する物質が洗い流され、繊維の表面に樹脂本来の疎水性が効果的に発現する。具体的に、この撥水度は、JIS L1092スプレー試験において3点以上(好ましくは3〜5点、さらに好ましくは4〜5点)を示すのが好ましい。さらに、本発明の繊維構造体は、この水や水蒸気による洗浄効果により、繊維付着している繊維油剤も洗い流され、皮膚刺激性も低減されており、人体と接触する用途に有効である。
本発明の嵩高繊維構造体は、高いクッション性及び柔軟性を有しているにも拘わらず、適度な表面硬さを有しており、FOタイプのデュロメータ硬さ試験(JIS K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験法」に準拠した試験)による硬度が、例えば、5以上(例えば、5〜100)、好ましくは8以上(例えば、8〜80)、さらに好ましくは10以上(例えば、10〜70)程度であり、特に、柔軟性が要求される用途では、例えば、10〜20程度であってもよい。なお、剛性の要求される用途に使用する場合、硬度は、例えば、20〜100、好ましくは30〜80程度であってもよい。
本発明の嵩高繊維構造体は、不織繊維構造を有しているため、断熱性も高く、熱伝導率が0.1W/m・K以下と低く、例えば、0.01〜0.1W/m・K、好ましくは0.02〜0.08W/m・K、さらに好ましくは0.03〜0.07W/m・K程度である。
[嵩高繊維構造体の製造方法]
本発明の嵩高繊維構造体の製造方法は、前記熱接着性繊維及び前記捲縮繊維(又は前記捲縮繊維の潜在捲縮性繊維)を含む繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱加湿処理して融着する工程とを含む。
本発明の嵩高繊維構造体の製造方法では、まず、前記熱接着性繊維及び前記捲縮繊維(又は前記捲縮繊維の潜在捲縮性繊維)を含む繊維をウェブ化する。ウェブの形成方法としては、慣用の方法、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法などの直接法、メルトブロー繊維やステープル繊維などを用いたカード法、エアレイ法などの乾式法などを利用できる。これらの方法のうち、メルトブロー繊維やステープル繊維を用いたカード法、特にステープル繊維を用いたカード法が汎用される。ステープル繊維を用いて得られたウェブとしては、例えば、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブなどが挙げられる。
次に、得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、高温水蒸気で加熱加湿処理され、熱接着性繊維の融着により、繊維同士が三次元的に接着される。また、潜在捲縮性繊維を用いる場合には、加熱により繊維の捲縮が発現して繊維の交絡も同時に進行するので、この場合には熱接着性繊維の混率を低く抑えることが可能になり、より柔らかいクッション材を得ることができる。本発明では、加熱方法として、高温水蒸気で処理する方法を用いることにより、繊維構造体の表面から内部に亘り、均一な融着を発現できる。
なお、既に加熱処理などにより予め捲縮した捲縮繊維を用いる場合には、構造体の厚み方向において均一に捲縮繊維を存在させるためには、熱接着性繊維と捲縮繊維とを十分に混綿することが重要になる。すなわち、予め捲縮した捲縮繊維は曲率半径や捲縮数などの均一性が高いため、混綿という簡便な方法で、均一な捲縮を有する不織繊維構造体を製造できる。一方、潜在捲縮性繊維を使用した場合には、高温水蒸気による加熱処理により捲縮が発現する。本発明では、潜在捲縮性繊維を使用した場合でも、高温水蒸気によりウェブの厚み方向において均一に加熱できるため、繊維ウェブの表面から内部に亘り、均一な捲縮を発現できる。すなわち、本発明では、潜在捲縮性繊維を使用しても、熱風などの乾熱処理に比べて、厚み方向において均一な捲縮を有する不織繊維構造体を得ることができるが、より均一な捲縮を有する不織繊維構造体を簡便に製造できる点から、予め捲縮した捲縮繊維を使用するのが好ましい。
具体的には、得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで過熱又は高温水蒸気(高圧スチーム)流に晒されることにより、不織繊維構造を有する繊維構造体が得られる。すなわち、ベルトコンベアで運搬された繊維ウェブは、蒸気噴射装置のノズルから噴出される高速高温水蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた高温水蒸気により熱接着性繊維の融着により、繊維同士(熱接着性繊維同士、又は熱接着性繊維と捲縮繊維などの他の繊維)が三次元的に接着される。特に、捲縮繊維の捲縮コイル部に囲まれた熱接着繊維が前記コイル部に接着することにより、不織繊維構造が適度な空隙を有する構造となる。特に、本発明における繊維ウェブは通気性を有しているため、高温水蒸気が内部にまで浸透し、略均一な融着状態を有する繊維構造体を得ることができる。
使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブの形態を乱すことなく高温水蒸気処理することができれば、特に限定されるものではなく、エンドレスコンベアが好適に用いられる。尚、一般的な単独のベルトコンベアであってもよく、必要に応じてもう1台のベルトコンベアを組み合わせて、両ベルト間にウェブを挟むようにして運搬してもよい。このように運搬することにより、繊維ウェブを処理する際に、処理に用いる水、高温水蒸気、コンベアの振動などの外力により運搬してきた繊維ウェブの形態が変形するのが抑制できる。また、処理後の不織繊維の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能となる。
繊維ウェブに水蒸気を供給するためには、慣用の水蒸気噴射装置が用いられる。この水蒸気噴射装置としては、所望の圧力と量で、ウェブ全幅に亘り概ね均一に水蒸気を吹き付け可能な装置が好ましい。2台のベルトコンベアを組み合わせた場合、一方のコンベア内に装着され、通水性のコンベアベルト、又はコンベアの上に載置されたコンベアネットを通してウェブに水蒸気を供給する。他方のコンベアには、サクションボックスを装着してもよい。サクションボックスによって、繊維ウェブを通過した過剰の水蒸気を吸引排出できる。また、繊維ウェブの表及び裏の両側を一度に水蒸気処理するために、さらに前記水蒸気噴射装置が装着されているコンベアとは反対側のコンベアにおいて、前記水蒸気噴射装置が装着されている部位よりも下流部のコンベア内に別の水蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の水蒸気噴射装置及びサクションボックスがない場合、繊維ウェブの表と裏を水蒸気処理したい場合は、一度処理した繊維ウェブの表裏を反転させて再度処理装置内を通過させることで代用してもよい。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、繊維ウェブの運搬や高温水蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されない。ただし、高温水蒸気処理をした場合、その条件により繊維ウェブの表面にベルトの表面形状が転写される場合があるので、用途に応じて適宜選択するのが好ましい。特に、表面の平坦な繊維構造体を得たい場合には、メッシュの細かいネットを使用すればよい。なお、90メッシュ程度が上限であり、概ね90メッシュより粗いネット(例えば、10〜50メッシュ程度のネット)が好ましい。これ以上のメッシュの細かなネットは、通気性が低く、水蒸気が通過し難くなる。メッシュベルトの材質は、水蒸気処理に対する耐熱性などの観点より、金属、耐熱処理したポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアリレート系樹脂(全芳香族系ポリエステル系樹脂)、芳香族ポリアミド系樹脂などの耐熱性樹脂などが好ましい。
水蒸気噴射装置から噴射される高温水蒸気は、気流であるため、水流絡合処理やニードルパンチ処理とは異なり、被処理体である繊維ウェブ中の繊維を大きく移動させることなく、繊維ウェブ内部へ進入する。この繊維ウェブ中への水蒸気流の進入作用及び湿熱作用によって、水蒸気流が繊維ウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着(及び熱捲縮)が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、水蒸気の各繊維表面への熱伝導は充分であるが、繊維内部への熱伝導が充分になされる前に処理が終了してしまい、そのため高温水蒸気の圧力や熱により、処理される繊維ウェブ全体がつぶれたり、その厚みが損なわれるような変形も起こりにくい。その結果、繊維ウェブに大きな変形が生じることなく、表面及び厚み方向における接着の程度が概ね均一になるように熱接着が完了する。さらに、乾熱処理に比べても、繊維内部に対して充分に熱を伝導できるため、表面及び厚み方向における融着の程度が概ね均一になる。
さらに、比較的に形態安定性の高い繊維構造体を得る場合には、ウェブに高温水蒸気を供給して処理する際に、処理されるウェブを、コンベアベルト又はローラーの間で、目的の見かけ密度(例えば、0.03〜0.1g/cm3程度)に圧縮した状態で高温水蒸気に晒してもよい。圧縮方法としては、例えば、ローラー間又はコンベア間に適度なクリアランスを確保することで、目的の厚さや密度に調整することも可能である。コンベアの場合には、一気に繊維ウェブを圧縮することが困難なので、ベルトの張力をできるだけ高く設定し、水蒸気処理地点の上流から徐々にクリアランスを狭めていくのが好ましい。このとき、より形態の安定した繊維構造体としたい場合には、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板などにし、水蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体である繊維ウェブを通過した水蒸気がここで反射するので、水蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に、軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
高温水蒸気を噴射するためのノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給される繊維ウェブの幅方向にオリフィスが並ぶように配置すればよい。オリフィス列は一列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよい。また、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置してもよい。
プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1mm程度であってもよい。オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定が可能な条件であれば特に制限はないが、オリフィスの直径は、通常、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mm程度である。オリフィスのピッチは、通常、0.5〜3mm、好ましくは1〜2.5mm、さらに好ましくは1〜1.5mm程度である。オリフィスの径が小さすぎると、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じ易い。逆に、大きすぎると、十分な水蒸気噴射力を得ることが困難となる。一方、ピッチが小さすぎると、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズル自体の強度が低下する。一方、ピッチが大きすぎると、高温水蒸気が繊維ウェブに充分に当たらないケースが生じるため、ウェブ強度の確保が困難となる。
使用する高温水蒸気についても、目的とする繊維の固定が実現できれば特に限定されず、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、水蒸気の圧力(スチーム圧)は、例えば、0.01〜1MPa、好ましくは0.03〜0.5MPa、さらに好ましくは0.07〜0.3MPa程度である。水蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合には、ウェブを形成する繊維が必要以上に動いて地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなる可能性がある。また、圧力が弱すぎると、繊維の融着に必要な熱量を被処理物であるウェブに与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚み方向に繊維融着斑(不均一性)を生ずる場合がある。また、ノズルからの水蒸気の均一な噴出の制御が困難になる場合がある。
高温水蒸気の温度は、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜130℃、さらに好ましくは90〜120℃(特に100〜120℃)程度である。高温水蒸気の処理速度は、例えば、200m/分以下、好ましくは0.1〜100m/分、さらに好ましくは1〜50m/分程度である。
必要であれば、板状の繊維構造体を複数枚重ねて積層体としてもよく、他の資材と積層して積層体を形成してもよい。さらに、成形加工により所望の形態(円柱状、四角柱状、球状、楕円体状などの各種形状)に加工してもよい。
このようにして繊維ウェブの繊維を部分的に熱接着した後、得られる不織繊維構造体に水分が残留する場合があるので、必要に応じて繊維構造体を乾燥してもよい。乾燥に関しては、乾燥用加熱体に接触した構造体表面の繊維が、乾燥の熱により繊維が溶融して繊維形態が消失しないことが必要であり、繊維形態が維持できる限り、慣用の方法を利用できる。例えば、不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大型の乾燥設備を使用してもよいが、残留している水分は微量であり、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能なレベルである場合が多いため、遠赤外線照射、マイクロ波照射、電子線照射などの非接触法や熱風を吹き付けたり、通過させる方法などが好ましい。
さらに、本発明の嵩高繊維構造体は、前述のように、熱接着性繊維を高温水蒸気により接着させて得られるが、部分的に(得られた繊維構造体同士の接着など)、他の慣用の方法、例えば、部分的な熱圧融着(熱エンボス加工など)、機械的圧縮(ニードルパンチなど)などの処理方法により接着されていてもよい。
このような方法によって得られた嵩高繊維構造体は、通常、板状又はシート状であり、そのまま利用してもよいが、目的とする用途の形状に合わせて、切断加工などによって、正方形状シートや長方形状シートなどに加工される。また、成形加工により所望の形態(円柱状、四角柱状、球状、楕円体状などの各種形状)に加工してもよい。さらに、得られた板状又はシート状成形体は、慣用の熱成形などにより、所望の形状に加工(湾曲加工など)してもよい。熱成形方法としては、例えば、圧縮成形、圧空成形(押出圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形など)、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、マッチドモールド成形、熱板成形、熱プレス成形などが利用できる。
本発明の嵩高繊維構造体は、高い通気性を有し、かつクッション性及び形態安定性(保持性)にも優れるため、工業、農業、生活資材などの各種分野のクッション材、例えば、家具(ソファー、ベッドなど)、寝具(布団など)、衣服、日用品(シート状クッション、敷物など)、包装材料、車両などのクッション材として利用できる。さらに、その柔軟な風合いや皮膚への低刺激性を利用して、人体に接触又は着用するための緩衝材、例えば、ブラジャーカップ、肩パッド、靴の中敷などのクッション材(緩衝材又は保護材)としても利用できる。特に、優れたクッション性及び圧縮耐久性を利用して、自動車、自動二輪車、自転車、電車などの車両、航空機、船舶などの運輸機など、長時間の移動などに伴って、高度な座り心地(クッション性、耐久性、通気性など)を要求される座席用クッション材(臀部が接触する部位や、背中が接触する背もたれ部位など)としても有用である。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例における各物性値は、以下に示す方法により測定した。なお、実施例中の「%」はことわりのない限り、質量基準である。
(1)目付(g/m2
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
(2)厚み(mm)、見掛け密度(g/cm3
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚みを測定し、この値と目付けの値とから見かけ密度を算出した。
(3)捲縮数
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」(8.12.1)に準じて評価した。
(4)平均曲率半径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維構造体の断面を25倍に拡大した写真を撮影した。撮影した不織繊維構造体の断面写真に写っている繊維の中で、概ね2/3周以上の円弧を形成している繊維について、その螺旋に沿って円を描いたときの円の半径(コイル軸方向から捲縮繊維を観察したときの円の半径)を求め、これを曲率半径とした。なお、繊維が楕円状に螺旋を描いている場合は、楕円の長径と短径との和の1/2を曲率半径とした。ただし、捲縮繊維が充分なコイル捲縮を発現していない場合や、繊維の螺旋形状が斜めから観察されることにより楕円として写っている場合を排除するために、楕円の長径と短径との比が0.8〜1.2の範囲に入る楕円だけを測定対象とした。なお、測定は、任意の断面について撮影したSEM画像について測定し、n数=100の平均値として示した。
(5)繊維湾曲率及びその均一性
不織繊維構造体の断面における電子顕微鏡写真(倍率×25倍)を撮影し、撮影された繊維の映し出された部分において、厚み方向において、表層、内層、裏層の3つの領域に三等分し、各層の中心付近において、長さ方向2mm以上で、かつ測定可能な繊維片が500本以上含むように測定領域を設定した。これらの領域について、その繊維の一方の端部ともう一方の端部との端部間距離(最短距離)を測定し、さらにその繊維の繊維長(写真上の繊維長)を測定した。すなわち、繊維の端部が不織繊維構造体の表面に露出している場合は、その端部をそのまま端部間距離を測定するための端部とし、端部が不織繊維構造体内部に埋没している場合は、不織繊維構造体内部に埋没する境界部分(写真上の端部)を端部間距離を測定するための端部とした。このとき、撮影された繊維のうち、100μm以上に亘って連続していることが確認できない繊維像に関しては測定の対象外とした。そして、端部間距離(L1)に対するその繊維の繊維長(L2)の比(L2/L1)から、繊維湾曲率を算出した。なお、繊維湾曲率の測定は、厚み方向に三等分した表層、内層、裏層ごとに平均値を算出した。さらに、各層の最大値と最小値の割合から繊維湾曲率の厚み方向における均一性を算出した。
図1に、撮影された繊維の測定方法についての模式図を示す。図1(a)は、一方の端部が表面に露出し、他方の端部が不織繊維構造体内部に埋没した繊維を示し、この繊維の場合、端部間距離L1は、繊維の端部から不織繊維構造体内部に埋没する境界部分までの距離になる。一方、繊維長L2は、繊維の観察できる部分(繊維の端部から不織繊維構造体の内部に埋没するまでの部分)の繊維を写真上で二次元的に引き延ばした長さになる。
図1(b)は、両端部が不織繊維構造体の内部に埋没した繊維を示し、この繊維の場合、端部間距離L1は、不織繊維構造体表面に露出した部分における両端部(写真上の両端部)の距離になる。一方、繊維長L2は、不織繊維構造体の表面に露出している部分の繊維を写真上で二次元的に引き延ばした長さになる。
(6)繊維接着率
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維構造体断面を25倍に拡大した写真を撮影した。撮影した繊維構造体の厚み方向における断面写真を厚さ方向に三等分し、三等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面)において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対して繊維同士が接着している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全繊維断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて百分率で表わした。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために繊維構造体を切断することにより、繊維構造体の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。従って、断面写真において、接触している繊維同士は、接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100
但し、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、三等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値と最小値との割合から厚み方向における均一性を算出した。
(7)25%応力、50%応力、25%回復/圧縮応力比、圧縮回復率
JIS K6400−2「7.3圧縮たわみ測定 B法」に準じて、40mmφの円形加圧板を100mm/分の速度で動かし、30mmφの円柱状のサンプルの最初の厚さの50%まで押し込んだ後、すぐに同じ速度で戻したとき(同じ速度で負荷を取り除いたとき)の力−たわみ曲線から、25%圧縮時の応力、50%圧縮時の応力の値を読み取り、それぞれ25%圧縮応力、50%圧縮応力とすると共に、25%まで戻したときの25%圧縮時の応力(25%回復応力)を読み取り、25%圧縮応力との比率を算出し、25%回復/圧縮応力の比率とした。
(8)圧縮率(%)
不織布厚み測定器を使用し、繊維構造体に0.5g/m2の荷重をかけたときの厚み(A1)を測定する。次に、35g/m2の荷重をかけたときの厚み(A2)を測定し、下記式により算出した。
圧縮率(%)=100×(A1−A2)/A1。
(9)圧縮耐久性(%)
JIS K6400−4 第4部:圧縮残留ひずみ及び繰り返し圧縮残留ひずみにおける繰返し圧縮残留ひずみ試験 B法(定変位法)に準拠して、繰返し圧縮後の戻り率(%)測定した。
(10)表面硬さ
FOタイプのデュロメータ硬さ試験(JIS K6253の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの硬さ試験法」に準拠した試験)に準じて測定した。
(11)熱伝導率
「JIS R2648、耐火断熱れんがの熱線法による熱伝導率の試験方法」に準じて、非定常熱線法によって測定した。
(12)通気度
JIS L1096に準じてフラジール形法にて測定した。
実施例1
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、鹸化度98.4モル%)である芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
一方、コイル捲縮繊維として、ポリエチレンテレフタレート系高捲縮繊維(東レ(株)製、「T−12」、5.6dtex×58mm長、捲縮数約15個/25mm、平均曲率半径700μm)を準備した。
前記芯鞘型複合ステープル繊維(湿熱接着性繊維)と、前記サイドバイサイド型複合ステープル繊維(コイル捲縮繊維)とを、質量比で、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=50/50の割合で混綿した後、カード法により目付約100g/m2のカードウェブを作製し、このウェブを5枚重ねて合計目付500g/m2のカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。尚、このベルトコンベアの金網の上部には同じ金網を有するベルトコンベアが装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、下側のベルトコンベアに備えられた水蒸気噴射装置ヘカードウェブを導入し、この装置から0.1MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施した後、120℃の熱風により1分間乾燥することで、不織繊維構造体を得た。この水蒸気噴射装置は、下側のコンベア内に、コンベアネットを介して高温水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、上側のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向における下流側には、ノズルとサクション装置との配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一台設置されており、ウェブの表裏両面に対して水蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられた水蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)は30mmとした。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
得られた嵩高繊維構造体の評価結果を表1に示す。得られた嵩高繊維構造体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で25倍に拡大した像をを図2に示す。図2の写真から、得られた嵩高繊維構造体は、平均曲率半径700μmの捲縮繊維が他の繊維を囲うように交絡していた。
実施例2
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=70/30の割合(質量比)で混綿する以外は実施例1と同様にして繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の評価結果を表1に示す。
実施例3
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=70/30の割合(質量比)で混綿した後、カード法により目付約100g/m2のカードウェブを作製し、このウェブを15枚重ねて合計目付1500g/m2のカードウェブとする以外は実施例1と同様にして、繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の評価結果を表1に示す。
実施例4
繊維ウェブを8枚重ね、合計目付約800g/m2のカードウェブとし、上下コンベアベルト間の間隔を50mmとする以外は実施例1と同様にして、繊維構造体を製造した。得られた繊維構造体の評価結果を表1に示す。
実施例5
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=50/50の割合(質量比)で混綿した後、カード法により目付約120g/m2のカードウェブを作製し、このウェブを単層でベルトコンベアに移送し、上下コンベアベルト間の間隔を10mmとする以外は実施例1と同様にして、繊維構造体を製造した。得られた繊維構造体の評価結果を表1に示す。
実施例6
湿熱接着性繊維の代わりに、疎水性熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分が変性ポリエチレンテレフタレート樹脂である芯鞘型複合ステープル繊維(帝人ファイバー(株)製、「TJ04C2」、繊度2.2dtex、繊維長51mm、鞘成分の融点110℃)を用いる以外は実施例1と同様にして、繊維構造体を製造した。得られた繊維構造体の評価結果を表2に示す。
実施例7
疎水性熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、疎水性熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=70/30の割合(質量比)で混綿する以外は実施例6と同様にして繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の評価結果を表2に示す。
実施例8
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=30/70の割合(質量比)で混綿する以外は実施例1と同様にして繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の評価結果を表2に示す。
比較例1
原料繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維(繊度3dtex、繊維長51mm)を単独で用いる以外は実施例1と同様にして繊維構造体を製造しようとしたが、前記ポリエチレンテレフタレート繊維は湿熱処理において接着されず、ウェブ状態のままであったため、シートとして取り扱うことができなかった。ウェブ特性の一部を表2に示す。
比較例2
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=20/80の割合(質量比)で混綿する以外は実施例1と同様にして繊維構造体を得た。しかし、この構造体は、湿熱接着性繊維による繊維の固定が不十分であり、圧縮回復を繰り返すと繊維が脱落し、形態が崩れてしまった。得られた繊維構造体の評価結果を表2に示す。
実施例9
湿熱接着性繊維とコイル捲縮繊維とを、湿熱接着性繊維/コイル捲縮繊維=90/10の割合(質量比)で混綿する以外は実施例1と同様にして繊維構造体を得た。得られた繊維構造体の評価結果を表2に示す。
表1及び2の結果から明らかなように、実施例1〜9の繊維構造体は、クッション性及び圧縮回復性に優れ、かつ高い通気性を有するとともに、繊維の脱落が少なく、形態安定性に優れたクッション体であった。なお、実施例8の繊維構造体は、実施例1〜7の繊維構造体に比べて、圧縮耐久性や剛性が若干低かった。実施例9の繊維構造体は、形態安定性が非常に高い繊維構造体であったが、実施例1〜8の繊維構造体に比べて、密度が高く、柔軟性が低かった。
図1は、本発明における繊維湾曲率の測定方法を示す模式図である。 図2は、実施例1で得られた嵩高繊維構造体における断面の電子顕微鏡写真(25倍)である。

Claims (8)

  1. 熱接着性繊維及び平均曲率半径0.3〜2mmの捲縮繊維を含む繊維が交絡して不織繊維構造を形成し、かつ前記熱接着性繊維の融着により繊維が固定されている嵩高繊維構造体であって、この構造体全体に対して前記熱接着性繊維を25質量%以上含有し、かつ前記構造体内部において、前記熱接着性繊維により融着した繊維の接着点が略均一に分布している嵩高繊維構造体。
  2. 捲縮繊維の平均曲率半径が0.5〜1mmであり、かつ前記捲縮繊維がポリアルキレンアリレート系樹脂と変性ポリアルキレンアリレート系樹脂とで構成された並列型又は偏芯芯鞘型複合繊維である請求項1記載の嵩高繊維構造体。
  3. 熱接着性繊維が、融点又は軟化点50〜150℃の湿熱接着性樹脂又は疎水性熱接着性樹脂で構成された鞘部と、前記熱接着性樹脂よりも高い融点又は軟化点を有する熱可塑性樹脂で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維である請求項1記載の嵩高繊維構造体。
  4. 熱接着性繊維と捲縮繊維との割合(質量比)が、前者/後者=90/10〜30/70である請求項1〜3のいずれかに記載の嵩高繊維構造体。
  5. 厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維湾曲率がいずれも1.1以上であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値と最小値との割合が、それぞれ75%以上であるとともに、各々の領域における繊維接着率がいずれも0.5〜10%であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値と最小値との割合が50%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の嵩高繊維構造体。
  6. 見掛け密度が0.01〜0.1g/cm3であり、フラジール形法による通気度が50〜400cm3/(cm2・秒)以上であり、熱伝導率が0.03〜0.07W/m・Kであり、かつJIS K6400−2に準拠して50%まで圧縮して回復させた挙動において、圧縮挙動における25%圧縮応力に対する回復挙動における25%圧縮応力の比率が30%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の嵩高繊維構造体。
  7. FOタイプのデュロメーターによる表面硬さが8〜80であり、0.5g/m2の荷重に対する圧縮率が60%以上であり、かつJIS K6400−4の繰返し圧縮残留ひずみ試験 B法(定変位法)に準拠した繰返し圧縮後の戻り率が75%以上である請求項1記載の1〜6のいずれかに記載の嵩高繊維構造体。
  8. 熱接着性繊維と捲縮繊維とを含む繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱加湿処理して融着する工程とを含む請求項1記載の嵩高繊維構造体の製造方法。
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