JP5399095B2 - 不織繊維集合体及びクッション材 - Google Patents

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Description

本発明は、高い通気性を有し、クッション性及び曲げ柔軟性に優れた不織繊維集合体及びその製造方法、並びにこの不織繊維集合体で構成されたクッション材に関する。
従来から、家具、寝具、車両、衣料品などのクッション材として、発泡ウレタンや繊維集合体が使用されている。発泡ウレタンは、用途によっては、底づき感があり風合いが悪く、通気性も低い。従って、風合いや通気性を重視する場合には、繊維集合体が使用されている。しかし、繊維集合体は、クッション性や形態安定性が充分でなく、繊維の脱落という問題も有している。そこで、これらの欠点を改良するため、各種の繊維集合体で構成されたクッション材が開発されている。
例えば、特許文献1には、捲縮数が50山/25mm以上かつ捲縮度が40%以上の高捲縮繊維と、芯鞘型熱接着性繊維とを含んでなる繊維集合体からなり、該芯鞘型熱接着性繊維により繊維相互が部分的に接合した構造を形成し、厚さが5mm以上、目付が200g/m2以上であるクッション材が開示されている。この文献には、芯鞘型熱接着性繊維として、鞘成分として、芯成分よりも低い温度で溶融される樹脂、例えば、ポリエステル共重合体、ポリアミド、ポリオレフィンなどの樹脂成分を用いることが記載されている。実施例では、鞘成分としてイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレートを用いた芯鞘型繊維を使用し、155℃で3分間熱処理されている。
また、特許文献2には、熱可塑性非弾性樹脂からなる繊度が1〜10デニ−ルの潜在巻縮能に基づく立体巻縮を発現した巻縮繊維と1〜6デニールの熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分とした熱接着複合繊維とが開繊混合され、前記巻縮繊維同士又は巻縮繊維と熱接着繊維とが立体巻縮により絡まって三次元構造化され、熱接着繊維同士又は熱接着繊維と巻縮繊維との接触点の大部分が融着一体化された構造体であり、前記構造体は両面が実質的にフラット化されており、厚みが1〜30mm、見掛け密度が0.01〜0.10g/cm3であり、熱可塑性弾性樹脂成分は、示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の範囲に吸熱ピークを有する繊維系ワディング材が開示されている。この文献には、熱接着成分の融点より10℃〜40℃高い温度で熱処理する際、昇温過程で巻縮が未発現の巻縮繊維に細かい立体巻縮を発現させて立体巻縮により絡まり三次元構造化させた後、熱接着繊維との接触部の大部分を熱接着成分を溶融して熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着点を形成させることが記載されている。具体的に、実施例では200℃の熱風で5分間熱処理されている。
しかし、これらのクッション材やクッション用ワディング材では、混合したウェブの断熱性が大きく、内部にまで熱が均一に伝わらないためか、厚み方向において、捲縮繊維の捲縮率及び芯鞘型熱接着性繊維の接着率のいずれも均一ではなく、クッション性及び形態保持性が充分でなく、繊維の脱落も有効に抑制できない。
特開平5−161765号公報(請求項1、段落[0011]、実施例) 特開平8−851号公報(請求項1及び6、実施例)
従って、本発明の目的は、高い通気性を有し、クッション性及び曲げ柔軟性に優れた不織繊維集合体及びその製造方法並びにこの繊維集合体で構成されたクッション材を提供することにある。
本発明の他の目的は、繊維の脱落が抑制され、形態安定性(保持性)にも優れた不織繊維集合体及びその製造方法並びにこの繊維集合体で構成されたクッション材を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、湿熱接着性があり、かつ潜在的に加熱捲縮性を有する湿熱接着性繊維を含むウェブを高温水蒸気で処理して、コイル状捲縮を発現させると同時に適度にウェブを融着することにより、高い通気性を有し、クッション性及び曲げ柔軟性にも優れた不織繊維集合体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の不織繊維集合体は、平均曲率半径100〜900μmで略均一に捲縮したコイル状捲縮を有する湿熱接着性繊維を30〜100%(質量比)含み、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における複合繊維の繊維湾曲率がいずれも1.3以上であり、かつ各領域における複合繊維の繊維湾曲率の最大値に対する最小値の割合が75%以上であり、湿熱接着性繊維の接着点が略均一に分布している不織繊維集合体である。本発明では、繊維の接着点の分布における「略均一」とは、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも3〜50%であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合が50%以上であることを意味する。記湿熱接着性繊維は、熱収縮率が異なる2種類の樹脂、湿熱接着性樹脂(A)と非湿熱接着性樹脂(B)より構成された偏芯芯鞘型構造であってもよい。また湿熱接着性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール系共重合体、非湿熱接着性樹脂(B)がポリエステル系樹脂であってもよい。本発明の不織繊維集合体の見掛け密度は0.01〜0.2g/cm3程度であってもよい。また、フラジール形法による通気度が0.1〜300cm3/cm2・秒であり、かつ50%圧縮したときの圧縮応力に対する25%圧縮応力の比率が30〜70%であってもよい。また少なくとも1方向における曲げ応力の値が0.25N/mm2以下であってもよい。さらに、シート状又は板状であり、かつ厚みが略均一であってもよい。
本発明には、湿熱接着性繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱処理して融着及び捲縮する工程とを含む前記不織繊維集合体の製造方法も含まれる。
さらに、本発明には、前記不織繊維集合体で構成されたクッション材も含まれる。
本発明では、不織繊維集合体の内部において、湿熱接着性繊維が略均一に捲縮しかつ略均一に融着点を形成しているため、不織構造を有する繊維集合体であるにも拘わらず、高い通気性を有し、クッション性及び曲げ柔軟性にも優れている。さらに、この繊維集合体は、湿熱接着性繊維のコイル状捲縮と均一な融着により、繊維の融着面積が少ないにも拘わらず、効率良く繊維が固定されることにより、繊維の脱落が抑制され、形態安定性(保持性)にも優れている。
図1は、本発明における繊維湾曲率の測定方法を示す模式図である。

図2は、実施例1で得られた不織繊維集合体における厚み方向断面の電子顕顕微鏡写真である。
図3は、比較例4の市販の発泡ポリウレタンフォームにおける表面の電子顕微鏡写真である。
(湿熱接着性繊維)
本発明では、湿熱接着性繊維が、湿熱によりコイル状捲縮を発現するのと同時に軟化し交差する繊維との間で点接着するため、小さい接着面積であるにも拘わらず、クッション性及び曲げ柔軟性と形態安定性とを両立できる。
湿熱接着性繊維は、熱収縮率(又は膨張率)の異なる2種類の樹脂、湿熱接着性樹脂(A)と非湿熱接着性樹脂(B)で構成されている。湿熱接着性樹脂(A)は、高温水蒸気によって容易に実現可能な温度において、流動又は容易に変形して接着機能及び収縮機能を発現可能であればよい。具体的には、熱水(例えば、80〜120℃、特に95〜100℃程度)で軟化して自己接着又は他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、例えば、セルロース系樹脂(メチルセルロースなどのC1-3アルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのヒドロキシC1-3アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシC1-3アルキルセルロース又はその塩など)、ポリアルキレングリコール樹脂(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリC2-4アルキレンオキサイドなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ビニルアルコール系重合体、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体およびその塩[(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体又はそのアルカリ金属塩など]、変性ビニル系共重合体(イソブチレン、スチレン、エチレン、ビニルエーテルなどのビニル系単量体と、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物との共重合体又はその塩など)、親水性の置換基を導入したポリマー(スルホン酸基やカルボキシル基、ヒドロキシル基などを導入したポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン又はその塩など)、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸系樹脂など)などが挙げられる。さらに、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴム(スチレン系エラストマーなど)などのうち、熱水(高温水蒸気)の温度で軟化して接着機能及び収縮機能を発現可能な樹脂も含まれる。
これらの湿熱接着性樹脂(A)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。湿熱接着性樹脂(A)は、通常、親水性高分子又は水溶性樹脂で構成される。これらの湿熱接着性樹脂(A)のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2-10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、例えば、5〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。エチレン単位がこの範囲にあることにより、湿熱接着性を有するが、熱水溶解性はないという特異な性質が得られる。エチレン単位の割合が少なすぎると、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、低温の蒸気(水)で容易に膨潤又はゲル化し、水に一度濡れただけで形態が変化し易い。一方、エチレン単位の割合が多すぎると、吸湿性が低下し、湿熱による繊維融着が発現し難くなるため、実用性のある強度の確保が困難となる。エチレン単位の割合が、特に30〜50モル%の範囲にあると、シート又は板状への加工性が特に優れる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるビニルアルコール単位の鹸化度は、例えば、90〜99.99モル%程度であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%程度である。鹸化度が小さすぎると、熱安定性が低下し、熱分解やゲル化によって安定性が低下する。一方、鹸化度が大きすぎると、繊維自体の製造が困難となる。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体の粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、例えば、200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500程度である。重合度がこの範囲にあると、紡糸性と湿熱接着性とのバランスに優れる。
湿熱接着性繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、丸型断面や異型断面[偏平状、楕円状、多角形状、3〜14葉状、T字状、H字状、V字状、ドッグボーン(I字状)など]に限定されず、中空断面状などであってもよい。
湿熱接着性繊維は、湿熱接着性樹脂(A)を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の点から、湿熱接着性樹脂(A)が表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して占めるのが好ましい。
湿熱接着性繊維の横断面構造としては、同芯芯鞘型、偏芯芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、加熱により自発捲縮を発現させ易い点から、相分離構造が非対称である偏芯芯鞘型構造や、相部分が隣り合うサイドバイサイド型構造が好ましい。また接着性が高い構造である点から、湿熱接着性樹脂が全表面を長さ方向に連続して占める構造である偏芯芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。
非湿熱接着性樹脂(B)としては、非水溶性又は疎水性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂(B)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの非湿熱接着性樹脂(B)のうち、耐熱性及び寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(A)(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、ポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂などの芳香族ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、特に、PETなどのポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)で構成された単位を20モル%以下程度の割合で含んでいてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド10、ポリアミド12、ポリアミド6−12などの脂肪族ポリアミドおよびその共重合体、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとから合成された半芳香族ポリアミドなどが好ましい。これらのポリアミド系樹脂にも、共重合可能な他の単位が含まれていてもよい。
湿熱接着性樹脂(A)と非湿熱接着性樹脂(B)(繊維形成性重合体)の割合(質量比)は、構造(例えば、偏芯芯鞘型構造)に応じて選択でき、湿熱接着性樹脂(A)が表面に存在すれば特に限定されないが、例えば、湿熱接着性樹脂(A)/非湿熱接着性樹脂(B)=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、さらに好ましくは60/40〜20/80程度である。湿熱接着性樹脂(A)の割合が多すぎると、繊維の強度を確保し難く、湿熱接着性樹脂(A)の割合が少なすぎると、繊維表面の長さ方向に連続して湿熱接着性樹脂を存在させるのが困難となり、湿熱接着性が低下する。この傾向は、湿熱接着性樹脂(A)を非湿熱接着性樹脂(B)の表面にコートする場合においても同様である。また湿熱接着性樹脂(A)が少なすぎるとコイル状捲縮を発現することが困難である。
湿熱接着性繊維の平均繊度は、用途に応じて、例えば、0.01〜100dtex程度の範囲から選択でき、好ましくは0.1〜50dtex、さらに好ましくは0.5〜30dtex(特に1〜10dtex)程度である。平均繊度がこの範囲にあると、繊維の強度と湿熱接着性の発現とのバランスに優れる。
湿熱接着性繊維の平均繊維長は、例えば、10〜100mm程度の範囲から選択でき、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは25〜75mm(特に35〜55mm)程度である。平均繊維長がこの範囲にあると、繊維が充分に絡み合うため、繊維集合体の機械的強度が向上する。また、繊維長が長すぎると、均一な目付の繊維ウェブを形成することが難しくなるばかりか、ウェブ形成時点で繊維同士の交絡が多く発現し、捲縮を発現する際にお互いに妨害し合ってクッション性の発現が困難となる。
湿熱接着性繊維の捲縮率は、例えば、1〜50%、好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%(特に10〜20%)程度である。また、捲縮数は、例えば、1〜100個/25mm、好ましくは5〜50個/25mm、さらに好ましくは10〜30個/25mm程度である。加熱後の捲縮数は、例えば、5個/25mm以上(例えば、5〜200個/25mm)であり、好ましくは5〜150個/25mm、さらに好ましくは10〜100個/25mm程度であってもよい。
この湿熱接着繊維は、熱処理を施すことにより、捲縮が発現(顕在化)し、略コイル状(螺旋状又はつるまきバネ状)の立体捲縮を有する繊維となる。
本発明の不織繊維集合体は、高温水蒸気で捲縮されているため、湿熱接着性繊維の捲縮が、集合体の内部において略均一に発現するという特徴を有している。具体的には、例えば、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域のうち、中央部(内層)において、1周以上のコイル状捲縮を形成している繊維の数が、例えば、5〜50本/5mm(面方向の長さ)×0.2mm(厚み)であり、好ましくは5〜40本/5mm(面方向の長さ)×0.2mm(厚み)、さらに好ましくは10〜40本/5mm(面方向の長さ)×0.2mm(厚み)である。本発明では、集合体内部において(集合体の表面付近から中心部に亘り)、捲縮数が均一であるため、ゴムやエラストマーを含んでいなくても、高い柔軟性及びクッション性を有するとともに、粘着剤を含んでいなくても、実用的な強度を有している。なお、本願明細書において、「厚み方向に三等分した領域」とは、不織繊維集合体の厚み方向に対して直交する方向にスライスして三等分した各領域のことを意味する。
さらに、本発明の繊維集合体の内部において、捲縮が均一であることは、例えば、厚み方向において、繊維湾曲率が均一であることによっても評価できる。繊維湾曲率とは、繊維(捲縮した状態の繊維)の両端の距離(L1)に対する繊維長(L2)の比(L2/L1)であり、繊維湾曲率(特に厚み方向の中央の領域における繊維湾曲率)が.3以上であることが必要であり、好ましくは1.4〜4(例えば、1.5〜3.5)、さらに好ましくは1.6〜3(特に1.8〜2.5)程度である。なお、本発明では、後述するように、繊維集合体断面の電子顕微鏡写真に基づいて繊維湾曲率を測定するため、前記繊維長(L2)は、三次元的に捲縮した繊維を引き延ばして直線状にした繊維長(実長)ではなく、写真に写った二次元的に捲縮した繊維を引き延ばして直線状にした繊維長(写真上の繊維長)を意味する。すなわち、本発明における繊維長(写真上の繊維長)は、実際の繊維長よりも短く計測される。

さらに、本発明では、集合体の内部において、略均一に捲縮が発現しているため、繊維湾曲率が均一である。本発明では、繊維湾曲率の均一性は、例えば、集合体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の層における繊維湾曲率の比較によって評価できる。すなわち、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維湾曲率はいずれも前記範囲にあり、各領域における繊維湾曲率の最大値に対する最小値の割合(繊維湾曲率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が5%以上であることが必要であり、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは82〜98%(特に85〜97%)程度である。



繊維湾曲率及びその均一性の具体的な測定方法としては、繊維集合体の断面を電子顕微鏡写真で撮影し、厚み方向に三等分した各領域から選択した領域について繊維湾曲率を測定する方法が用いられる。測定する領域は、三等分した表層(表面域)、内層(中央域)、裏層(裏面域)の各層について、長さ方向2mm以上の領域で測定を行う。また、各測定領域の厚み方向については、各層の中心付近において、それぞれの測定領域が同じ厚み幅を有するように設定する。さらに、各測定領域は、厚み方向において平行で、かつ各測定領域内において繊維湾曲率を測定可能な繊維片が100本以上(好ましくは300本以上、さらに好ましくは500〜1000本程度)含まれるように設定する。これらの各測定領域を設定した後、領域内の全ての繊維の繊維湾曲率を測定し、各測定領域ごとに平均値を算出した後、最大の平均値を示す領域と、最小の平均値を示す領域との比較により繊維湾曲率の均一性を算出する。
不織繊維集合体を構成する湿熱接着性繊維は、前述の如く、捲縮発現後において略コイル状の捲縮を有する。この捲縮繊維のコイルで形成される円の平均曲率半径は、例えば、100〜900μm程度の範囲から選択でき、好ましくは300〜600μm程度である。ここで、平均曲率半径は、捲縮繊維のコイルにより形成される円の平均的大きさを表す指標であり、この値が大きい場合は、接着交点が少なくなり、形態保持性が無くなる。また、曲率半径が小さいと、融着点間距離が短くなり、嵩高さに欠けた繊維集合体となり、十分なクッション性を発現するためには不利となる。
不織繊維集合体内における湿熱接着性繊維の割合(質量比)は、30〜100%程度の範囲から選択でき、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは70〜100%程度であって最も好ましくは90〜100%である。湿熱接着性繊維の割合がこの範囲にあると、湿熱接着繊維が充分な交点を形成するために、クッション性及び形態保持性が向上する。
本発明の不織繊維集合体には、湿熱接着性繊維に加えて、前記繊維の特性を損なわない範囲で、他の繊維が含まれていてもよい。他の繊維としては、例えば、湿熱接着性繊維の項で例示された非湿熱接着性樹脂(B)の他、セルロース系繊維[例えば、天然繊維(木綿、羊毛、絹、麻など)、半合成繊維(トリアセテート繊維などのアセテート繊維など)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル(例えば、登録商標名:「テンセル」など)など)など]、無機繊維(例えば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維など)などが使用できる。他の繊維の平均繊度及び平均繊維長は、湿熱接着性繊維と同様である。これら他の繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これら他の繊維のうち、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などが好ましい。特に、湿熱接着性繊維がポリエステル系繊維である場合、他の繊維もポリエステル系繊維であってもよい。
本発明の不織繊維集合体は、さらに、慣用の添加剤、例えば、安定剤(銅化合物などの熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、抗菌剤、消臭剤、香料、着色剤(染顔料など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、繊維表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
(不織繊維集合体の特性)
本発明の不織繊維集合体は、前記繊維で構成されたウェブから得られる不織繊維構造を有しており、その外部形状は用途に応じて選択できるが、通常、シート状又は板状である。
さらに、本発明の不織繊維集合体において、通気性とクッション性とをバランスよく備えた不織繊維構造とするためには、繊維集合体の内部形状において、湿熱接着性繊維の融着によって繊維の接着状態が適度に調整される必要がある。
詳しくは、本発明の不織繊維集合体は、湿熱接着性繊維同士又は他の繊維と交差した交点(すなわち、湿熱接着性繊維同士の交点、湿熱接着性繊維と他の繊維との交点)で融着しているのが好ましい。本発明では、不織繊維集合体において、不織繊維構造を構成する繊維は、湿熱接着性繊維によって、各々の繊維の接点で接着しているが、できるだけ少ない接点数で繊維集合体の形態を保持するためには、この接着点が集合体の表面付近から内部に亘って概ね均一に分布しているのが好ましい。例えば、集合体が板状の場合、面方向及び厚み方向(特に、均一化が困難な厚み方向)に沿って、集合体表面から内部(中央)、そして裏面に至るまで、均一に分布しているのが好ましい。接着点が表面又は内部などに集中すると、風合いが損なわれ、また接着点の少ない部分における形態安定性が低下する。例えば、従来の方法で、充分に接着と捲縮を発現させるために、高温で長時間処理すると、熱源に近い部分が過剰に接着して表面が硬化し風合いを損ね、熱源から遠い内部は接着点が少なく形態が安定しない。
これに対して、本発明の不織繊維集合体は、集合体の表面付近から内部に亘って概ね均一に分布し、効率よく繊維を固定しているため、湿熱接着性繊維による融着点数が少なく、エラストマー成分を使用していないにも拘わらず、形態安定性を発現でき、クッション性及び耐へたり性も両立できる。さらに、湿熱接着性繊維によって、各繊維が融着されているため、繊維の脱落も抑制でき、例えば、繊維集合体を目的のサイズに切断して使用しても、切断面からの繊維の脱落が抑制され、構造の破壊も起こりにくい。
具体的には、本発明の不織繊維集合体は、不織繊維構造を構成する繊維が前記湿熱接着性繊維の融着により繊維接着率50%以下(例えば、3〜50%)、好ましくは4〜35%、さらに好ましくは5〜30%程度で接着されている。本発明における繊維接着率は、後述する実施例に記載の方法で測定できるが、不織繊維断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。従って、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合が少ないことを意味する。本発明では、このように接着率が低く、また湿熱融着繊維のコイル状捲縮と相俟って、繊維集合体に良好なクッション性及び曲げ柔軟性を発現できる。
融着の均一性について、例えば、板状体である場合、集合体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲にあるのが好ましい。さらに、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、例えば、50%以上(例えば、50〜100%)、好ましくは60〜99%、さらに好ましくは70〜98%(特に75〜97%)程度である。本発明では、繊維接着率が、厚み方向において、このような均一性を有しているため、少ない融着点でも、形態を保持でき、クッション性や通気性、形態安定性を向上できる。
なお、本発明において、「厚み方向に三等分した領域」とは、板状集合体の厚み方向に対して直交する方向にスライスして三等分した各領域のことを意味する。
融着の度合いを示す繊維接着率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維集合体の断面を拡大した写真を撮影し、所定の領域において、接着した繊維断面の数に基づいて簡便に測定できる。しかし、湿熱接着性繊維の割合が多い場合など、束状に繊維が融着している場合には、各繊維が束状に又は交点で融着しているため、繊維単体として観察することが困難な場合もある。この場合、例えば、融解や洗浄除去などの手段で接着部の融着を解除し、解除前の切断面と比較することにより繊維接着率を測定できる。
このように、本発明の繊維集合体では、湿熱接着性繊維による融着が均一に分散して点接着しているだけでなく、これらの点接着が短い融着点距離(例えば、数十〜数百μm)で緻密にネットワーク構造を張り巡らしている。このような構造により、本発明の繊維集合体は、外力が作用しても、繊維構造が有するコイル状捲縮構造により、歪みに対して追従性が高くなるとともに、微細に分散した繊維の各融着点に外力が分散して小さくなるため、高い形態安定性を発現していると推定できる。これに対して、従来の多孔質成形体や発泡体などは、空孔の周囲が壁状の界面で構成されており、通気性が低い。
さらに、本発明の不織繊維集合体の内部形状は、湿熱接着性繊維の潜在捲縮が発現してコイル状に形状変化することにより、各繊維が捲縮コイル部によって、隣接又は交差する繊維(湿熱接着性繊維同士、又は湿熱接着性繊維と他の繊維)が接着点を有している。
本発明の繊維集合体は、不織繊維構造を有しているため、繊維間に生ずる空隙を有している。これらの空隙は、スポンジのような樹脂発泡体と異なり各々が独立した空隙ではなく連続しているため、通気性を有している。本発明の繊維集合体の通気度は、フラジール形法による通気度で0.1cm3/cm2・秒以上(例えば、0.1〜300cm3/cm2・秒)、好ましくは0.5〜250cm3/cm2・秒(例えば、1〜250cm3/cm2・秒)、さらに好ましくは5〜200cm3/cm2・秒程度であり、通常、1〜100cm3/cm2・秒程度である。通気度が小さすぎると、繊維集合体に空気を通過させるために外部から圧力を加える必要が生じ、自然な空気の出入が困難となる。一方、通気度が大き過ぎると、通気性は高くなるが、繊維集合体内の繊維空隙が大きくなりすぎ、クッション性が低下する。本発明では、このような高い通気性を有するため、人体接触とするクッション材などとして用いても、蒸れることなく快適に利用できる。
本発明の不織繊維集合体の密度は、具体的には、見掛け密度が、例えば、0.01〜0.2g/cm3程度の範囲から選択でき、例えば、0.02〜0.18g/cm3、好ましくは0.03〜0.10g/cm3、さらに好ましくは0.03〜0.08g/cm3程度である。見かけ密度が低すぎると、通気性は向上するものの、形態安定性が低下し、逆に高すぎると、形態安定性は確保できるものの、通気性が低下する。本発明では、均一性の高い融着と捲縮とを組み合わせることにより、比較的低密度であるにも拘わらず、繊維集合体の形態を保持しつつ、良好なクッション性を発現することを可能としている。
本発明の不織繊維集合体の目付(加熱後の目付)は、用途に応じて、例えば、50〜10000g/m2程度の範囲から選択でき、好ましくは150〜5000g/m2、さらに好ましくは200〜3000g/m2(特に300〜1000g/m2)程度である。
本発明の不織繊維集合体は、クッション性に優れている。例えば、少なくとも一方向における50%圧縮挙動において、50%圧縮時応力[50%圧縮応力(X)]と、25%圧縮時応力[25%圧縮応力(Y)]との比(Y/X)が30〜70%であってもよく、例えば、35〜60%、好ましくは40〜60%である。この比率が小さいと反発感の無いクッションになり、大きすぎると底づき感の原因となる。本発明では、この比率が適度であるためクッション性に優れている。
本発明の不織繊維集合体は、曲げ柔軟性に優れている。例えば、少なくとも一方向における曲げ応力の最大値が0.25N/mm2以下で有ってもよく、例えば0.15/mm2以下(例えば 0.001〜0.15N/mm2程度)、好ましくは0.1N/mm2以下(例えば0.001〜0.1N/mm2程度)である。
本発明の不織繊維集合体が板状又はシート状である場合、その厚さは、特に限定されないが、1〜500mm程度の範囲から選択でき、例えば、2〜300mm、好ましくは3〜200mm、さらに好ましくは5〜150mm(特に10〜100mm)程度である。厚さが薄すぎると、クッション性の発現が難しくなる。なお、シート状繊維集合体を積層して使用してもよい。
さらに、本発明の不織繊維集合体は、板状又はシート状であっても厚さのばらつき(厚さ斑)が少なく、厚みが略均一である。具体的には、シートの面方向の5mm以上の長さにおいて、シート厚みの最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)が90%以上(例えば、90〜99.9%)、好ましくは93%以上(例えば、93〜99%)、さらに好ましくは95%以上(例えば、95〜98%)である。このように、本発明の不織繊維集合体は、不織繊維構造であるにも拘わらず、厚みが均一であるため、各種のクッション材として有効に利用できる。
本発明の不織繊維集合体は、後述する製造工程の中で、水や水蒸気に繊維が晒されることで、繊維に付着している繊維油剤も洗い流され、皮膚刺激性も低減されており、寝具のクッション材など、人体と接触する用途に有効である。
(不織繊維集合体の製造方法)
本発明の不織繊維集合体の製造方法は、前記湿熱接着性繊維を含む繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱処理して融着及び捲縮する工程とを含む。
本発明の不織繊維集合体の製造方法では、まず、前記湿熱接着性繊維を含む繊維をウェブ化する。ウェブの形成方法としては、慣用の方法、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法などの直接法、メルトブロー繊維やステープル繊維などを用いたカード法、エアレイ法などの乾式法などを利用できる。これらの方法のうち、メルトブロー繊維やステープル繊維を用いたカード法、特にステープル繊維を用いたカード法が汎用される。ステープル繊維を用いて得られたウェブとしては、例えば、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブなどが挙げられる。
次に、得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、高温水蒸気で加熱処理され、湿熱接着性繊維が潜在捲縮を発現すると同時に繊維同士が融着する。本発明では、加熱方法として、高温水蒸気で処理する方法を用いることにより、繊維集合体の表面から内部に亘り、均一な融着と捲縮を発現できる。なお、融着及び捲縮工程の前工程として、繊維が飛散するのを抑制する点などから、得られた繊維ウェブの一部の繊維を、低圧力水(例えば、0.1〜1.5MPa、好ましくは0.5〜1MPa程度の水)をスプレーなどにより噴霧又は噴射(吹き付け)して交絡させる方法などにより軽度に絡合する工程を経てもよい。
具体的には、得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで過
熱又は高温蒸気(高圧スチーム)流に晒されることにより、本発明の不織繊維構造を有す
る繊維集合体が得られる。すなわち、ベルトコンベアで運搬された繊維ウェブは、蒸気噴
射装置のノズルから噴出される高速高温水蒸気流の中を通過する際、吹き付けられた高温
水蒸気により、湿熱接着性繊維の潜在捲縮が発現すると同時に湿熱接着性繊維が融着する。特に、本発明における繊維ウェブは通気性を有しているため、高温水蒸気が内部にまで浸透し、略均一な組織を有する繊維集合体を得ることができる。
繊維ウェブは、ベルトコンベアで高温水蒸気処理に供せられるが、繊維ウェブは高温水蒸気処理と同時に収縮する。従って、供給する繊維ウェブは、高温水蒸気に晒される直前では、目的とする繊維集合体の大きさに応じてオーバーフィードされているのが望ましい。オーバーフィードの割合は、目的の繊維集合体の長さに対して、110〜300%、好ましくは120〜250%程度である。
使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブの形態を乱すことなく高温水蒸気処理することができれば、特に限定されるものではなく、エンドレスコンベアが好適に用いられる。尚、一般的な単独のベルトコンベアであってもよく、必要に応じてもう1台のベルトコンベアを組み合わせて、両ベルト間にウェブを挟むようにして運搬してもよい。このように運搬することにより、繊維ウェブを処理する際に、処理に用いる水、高温水蒸気、コンベアの振動などの外力により運搬してきた繊維ウェブの形態が変形するのが抑制できる。また、処理後の不織繊維の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能となる。
繊維ウェブに水蒸気を供給するためには、慣用の水蒸気噴射装置が用いられる。この水蒸気噴射装置としては、所望の圧力と量で、ウェブ全幅に亘り概ね均一に水蒸気を吹き付け可能な装置が好ましい。2台のベルトコンベアを組み合わせた場合、一方のコンベア内に装着され、通水性のコンベアベルト、又はコンベアの上に載置されたコンベアネットを通してウェブに水蒸気を供給する。他方のコンベアには、サクションボックスを装着してもよい。サクションボックスによって、繊維ウェブを通過した過剰の水蒸気を吸引排出できる。また、繊維ウェブの表及び裏の両側を一度に水蒸気処理するために、さらに前記水蒸気噴射装置が装着されているコンベアとは反対側のコンベアにおいて、前記水蒸気噴射装置が装着されている部位よりも下流部のコンベア内に別の水蒸気噴射装置を設置してもよい。下流部の蒸気噴射装置及びサクションボックスがない場合、繊維ウェブの表と裏を蒸気処理したい場合は、一度処理した繊維ウェブの表裏を反転させて再度処理装置内を通過させることで代用してもよい。
コンベアに用いるエンドレスベルトは、繊維ウェブの運搬や高温水蒸気処理の妨げにならなければ、特に限定されない。ただし、高温水蒸気処理をした場合、その条件により繊維ウェブの表面にベルトの表面形状が転写される場合があるので、用途に応じて適宜選択するのが好ましい。特に、表面の平坦な繊維集合体を得たい場合には、メッシュの細かいネットを使用すればよい。なお、90メッシュ程度が上限であり、概ね90メッシュより粗いネット(例えば、10〜50メッシュ程度のネット)が好ましい。これ以上のメッシュの細かなネットは、通気性が低く、水蒸気が通過し難くなる。メッシュベルトの材質は、水蒸気処理に対する耐熱性などの観点より、金属、耐熱処理したポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアリレート系樹脂(全芳香族系ポリエステル系樹脂)、芳香族ポリアミド系樹脂などの耐熱性樹脂などが好ましい。
水蒸気噴射装置から噴射される高温水蒸気は、気流であるため、水流絡合処理やニードルパンチ処理とは異なり、被処理体である繊維ウェブ中の繊維を大きく移動させることなく繊維ウェブ内部へ進入する。この繊維ウェブ中への水蒸気流の進入作用及び湿熱作用によって、水蒸気流が繊維ウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着及び熱捲縮が可能になると考えられる。また、乾熱処理に比べても、繊維内部に対して充分に熱を伝導できるため、表面及び厚み方向における捲縮の程度が概ね均一になる。
高温水蒸気を噴射するためのノズルは、所定のオリフィスが幅方向に連続的に並んだプレートやダイスを用い、これを供給される繊維ウェブの幅方向にオリフィスが並ぶように配置すればよい。オリフィス列は一列以上あればよく、複数列が並行した配列であってもよい。また、一列のオリフィス列を有するノズルダイを複数台並列に設置してもよい。
プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1mm程度であってもよい。オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定と、捲縮発現が効率よく実現できる条件であれば特に制限はないが、オリフィスの直径は、通常、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mm程度である。オリフィスのピッチは、通常、0.5〜3mm、好ましくは1〜2.5mm、さらに好ましくは1〜1.5mm程度である。オリフィスの径が小さすぎると、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じ易い。逆に、大きすぎると、十分な水蒸気噴射力を得ることが困難となる。一方、ピッチが小さすぎると、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズル自体の強度が低下する。一方、ピッチが大きすぎると、高温水蒸気が繊維ウェブに充分に当たらないケースが生じるため、ウェブ強度の確保が困難となる。
使用する高温水蒸気についても、目的とする繊維の固定と、繊維の捲縮発現に伴う適度な繊維交絡が実現できれば特に限定はなく、使用する繊維の材質や形態により設定すればよいが、圧力は、例えば、0.1〜2MPa、好ましくは0.2〜1.5MPa、さらに好ましくは0.3〜1MPa程度である。水蒸気の圧力が高すぎたり、強すぎる場合には、ウェブを形成する繊維が必要以上に動いて地合の乱れを生じたり、繊維が溶融しすぎて部分的に繊維形状を保持できなくなったり、必要以上に接着する可能性がある。また、圧力が弱すぎると、繊維の融着や捲縮発現に必要な熱量を被処理物であるウェブに与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚み方向に繊維融着斑や捲縮の不均一を生ずる場合がある。また、ノズルからの水蒸気の均一な噴出の制御が困難になる場合がある。
高温水蒸気の温度は、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃程度である。高温水蒸気の処理速度は、例えば、200m/分以下、好ましくは0.1〜100m/分、さらに好ましくは1〜50m/分程度である。
必要であれば、板状の繊維集合体を複数枚重ねて積層体としてもよく、他の資材と積層して積層体を形成してもよい。さらに、成形加工により所望の形態(円柱状、四角柱状、球状、楕円体状などの各種形状)に加工してもよい。
このようにして繊維ウェブの捲縮を発現させ、湿熱接着して得られる不織繊維集合体に水分が残留する場合があるので、必要に応じて繊維集合体を乾燥してもよい。乾燥に関しては、乾燥用加熱体に接触した集合体表面の繊維が、乾燥の熱により繊維が溶融して繊維形態が消失しないことが必要であり、繊維形態が維持できる限り、慣用の方法を利用できる。例えば、不織布の乾燥に使用されるシリンダー乾燥機やテンターのような大型の乾燥設備を使用してもよいが、残留している水分は微量であり、比較的軽度な乾燥手段により乾燥可能なレベルである場合が多いため、遠赤外線照射、マイクロ波照射、電子線照射などの非接触法や熱風を吹き付けたり、通過させる方法などが好ましい。
さらに、本発明の繊維集合体は、前述のように、湿熱接着性繊維を高温水蒸気により接着させて得られるが、部分的に(得られた繊維集合体同士の接着など)、他の慣用の方法、例えば、部分的な熱圧融着(熱エンボス加工など)、機械的圧縮(ニードルパンチなど)などの処理方法により接着されていてもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例における各物性値は、以下に示す方法により測定した。なお、実施例中の「部」及び「%」はことわりのない限り、質量基準である。
(1)目付(g/m2
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
(2)厚さ(mm)、見掛け密度(g/cm3
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付の値とから見掛け密度を算出した。
(3)捲縮数
JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」(8.12.1)に準じて評価した。
(4)平均曲率半径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維集合体の断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した不織繊維集合体の断面写真に写っている繊維の中で、1周以上の螺旋(コイル)を形成している繊維について、その螺旋に沿って円を描いたときの円の半径(コイル軸方向から捲縮繊維を観察したときの円の半径)を求め、これを曲率半径とした。なお、繊維が楕円状に螺旋を描いている場合は、楕円の長径と短径との和の1/2を曲率半径とした。ただし、捲縮繊維が充分なコイル捲縮を発現していない場合や、繊維の螺旋形状が斜めから観察されることにより楕円として写っている場合を排除するために、楕円の長径と短径との比が0.8〜1.2の範囲に入る楕円だけを測定対象とした。なお、測定は、任意の断面について撮影したSEM画像について測定し、n数=100の平均値として示した。
(5)繊維湾曲率及びその均一性
不織繊維集合体の断面における電子顕微鏡写真(倍率×100倍)を撮影し、撮影された繊維の映し出された部分において、厚み方向において、表層、内層、裏層の3つの領域に三等分し、各層の中心付近において、長さ方向2mm以上で、かつ測定可能な繊維片が500本以上含むように測定領域を設定した。これらの領域について、その繊維の一方の端部ともう一方の端部との端部間距離(最短距離)を測定し、さらにその繊維の繊維長(写真上の繊維長)を測定した。すなわち、繊維の端部が不織繊維集合体の表面に露出している場合は、その端部をそのまま端部間距離を測定するための端部とし、端部が不織繊維集合体内部に埋没している場合は、不織繊維集合体内部に埋没する境界部分(写真上の端部)を端部間距離を測定するための端部とした。このとき、撮影された繊維のうち、100μm以上に亘って連続していることが確認できない繊維像に関しては測定の対象外とした。そして、端部間距離(L1)に対するその繊維の繊維長(L2)の比(L2/L1)から、繊維湾曲率を算出した。なお、繊維湾曲率の測定は、厚み方向に三等分した表層、内層、裏層ごとに平均値を算出した。さらに、各層の最大値と最小値の割合から繊維湾曲率の厚み方向における均一性を算出した。
図1に、撮影された繊維の測定方法についての模式図を示す。図1(a)は、一方の端部が表面に露出し、他方の端部が不織繊維集合体内部に埋没した繊維を示し、この繊維の場合、端部間距離L1は、繊維の端部から不織繊維集合体内部に埋没する境界部分までの距離になる。一方、繊維長L2は、繊維の観察できる部分(繊維の端部から不織繊維集合体の内部に埋没するまでの部分)の繊維を写真上で二次元的に引き延ばした長さになる。
図1(b)は、両端部が不織繊維集合体の内部に埋没した繊維を示し、この繊維の場合、端部間距離L1は、不織繊維集合体表面に露出した部分における両端部(写真上の両端部)の距離になる。一方、繊維長L2は、不織繊維集合体の表面に露出している部分の繊維を写真上で二次元的に引き延ばした長さになる。
(6)繊維接着率
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維集合体断面を100倍に拡大した写真を撮影した。撮影した繊維集合体の厚み方向における断面写真を厚み方向に三等分し、三等分した各領域(表面、内部(中央)、裏面)において、そこに見出せる繊維切断面(繊維端面)の数に対して繊維同士が接着している切断面の数の割合を求めた。各領域に見出せる全繊維断面数のうち、2本以上の繊維が接着した状態の断面の数の占める割合を以下の式に基づいて百分率で表わした。なお、繊維同士が接触する部分には、融着することなく単に接触している部分と、融着により接着している部分とがある。但し、顕微鏡撮影のために繊維集合体を切断することにより、繊維集合体の切断面においては、各繊維が有する応力によって、単に接触している繊維同士は分離する。従って、断面写真において、接触している繊維同士は、接着していると判断できる。
繊維接着率(%)=(2本以上接着した繊維の断面数)/(全繊維断面数)×100 但し、各写真について、断面の見える繊維は全て計数し、繊維断面数100以下の場合は、観察する写真を追加して全繊維断面数が100を超えるようにした。なお、三等分した各領域についてそれぞれ繊維接着率を求め、その最大値と最小値との割合から厚み方向における均一性を算出した。
(7)25%応力、50%応力、25%/50%圧縮応力比、
JIS K6400−2「7.3圧縮たわみ測定 B法」に準じて、40mmφの円形加圧板を100mm/分の速度で動かし、30mmφの円柱状のサンプルの最初の厚さの50%まで押し込んだときの力−たわみ曲線から、25%圧縮時の応力、50%圧縮時の応力の値を読み取り、それぞれ25%圧縮応力、50%圧縮応力とし、25%/50%圧縮応力の比率とした。
(8)曲げ応力
JIS K7017に記載の方法のうちA法(3点曲げ法)に準じて測定した。このとき、測定サンプルは30mm幅×200mm長のサンプルを用い、支点感距離を160mmとし、試験速度を2mm/分として測定を行った。本発明では、この測定結果をチャートにおける最大応力(ピーク応力)を最大曲げ応力とした。なお、曲げ応力の測定は、MD方向およびCD方向について測定した。ここで、MD方向とは、測定サンプルの長辺に対し、ウェブ流れ方向(MD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいい、一方、CD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ幅方向(CD)が平行となるように測定サンプルを採取した状態をいう。
(9)カッター切断後の形状安定性
サンプルを5mm角の立方体形状にカットし、50cm3の水を入れてある三角フラスコ(100cm3)に投入した。このフラスコを振とう器(ヤマト科学社製、「MK160型」)に装着し、振幅30mmの旋回方式にて60rpmの速度で30分間振とうさせた。振とう後、形態変化及び形態保持状態を目視確認した。
(10)厚さばらつき
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法 6.3厚さC法」を用いて任意の10点について厚さを測定し、平均値に対する最大値と最小値との差の比率を百分率で表した。
(11)通気度
JIS L1096に準じてフラジール形法にて測定した。
実施例1
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、鹸化度98.4モル%)である偏芯芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度5dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
前記偏芯芯鞘型複合ステープル繊維(湿熱接着性繊維)を、カード法により目付約700g/m2のカードウェブを作製した。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。尚、このベルトコンベアの金網の上部には同じ金網を有するベルトコンベアが装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、下側のベルトコンベアに備えられた水蒸気噴射装置ヘカードウェブを導入し、この装置から0.2MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施し、本発明の不織繊維集合体を得た。この水蒸気噴射装置は、下側のコンベア内に、コンベアネットを介して高温水蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、上側のコンベアにサクション装置が設置されていた。また、この噴射装置のウェブ進行方向における下流側には、ノズルとサクション装置との配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一台設置されており、ウェブの表裏両面に対して水蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられた水蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)は10mmとした。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
結果を表1に示す。
厚み方向の断面を電子顕微鏡写真で撮影した結果を、図2に示す。
図2の結果から明らかなように、実施例1で得られた不織繊維集合体は、各繊維が、厚み方向において均一に略コイル状に捲縮するとともに、湿熱接着性の交点で繊維が融着し、不織繊維集合体の面方向に対して略平行に配向していることが観察できた。
実施例2
カードウェブの目付を300g/m2にする以外は実施例1と同様にして、不織繊維集合体を得た。結果を表1に示す。
実施例3
湿熱接着性繊維と潜在捲縮性複合繊維とを、湿熱接着性繊維/潜在捲縮性複合繊維=70/30の割合(質量比)で混綿する以外は実施例1と同様にして繊維集合体を得た。なお、潜在捲縮性繊維として、サイドバイサイド型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「PN−780」、3.3dtex×51mm長、機械捲縮数12個/25mm、130℃×1分熱処理後における捲縮数62個/25mm)結果を表1に示す。
比較例1
カードウェブを水蒸気処理する代わりに、150℃の熱風乾燥機内で3分間熱処理する以外は実施例1と同様にして、不織繊維集合体を得た。結果を表1に示す。
比較例2
湿熱接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量44モル%、鹸化度98.4モル%)である同芯芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数21個/25mm、捲縮率13.5%)を準備した。
比較例3
湿熱接着性繊維と潜在捲縮性複合繊維とを、湿熱接着性繊維/潜在捲縮性複合繊維=30/70の割合(質量比)で混綿する以外は比較例1と同様にして繊維集合体を得た。なお、潜在捲縮性繊維として、サイドバイサイド型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「PN−780」、1.7dtex×51mm長、機械捲縮数12個/25mm、130℃×1分熱処理後における捲縮数62個/25mm)結果を表1に示す。
比較例4
市販の発泡ポリウレタン(イノアック社製、EMW4、10mm厚)について、評価した結果を表1に示す。得られた繊維集合体の表面を電子顕微鏡写真で撮影した結果を図3に示す。

表1の結果から明らかなように、実施例で得られた繊維集合体は、優れたクッション性及び高い通気度を有するとともに、繊維の脱落が抑制され、形態安定性に優れたクッション材であった。
本発明の不織繊維集合体は、高い通気性を有し、かつクッション性及び形態安定性(保持性)にも優れるため、工業、農業、生活資材などの各種分野のクッション材又は緩衝材、例えば、家具(ソファー、ベッドなど)、寝具(布団など)、衣料品(ブラジャーカップなど)、日用品(シート状クッション、敷物など)、包装材料、車両などのクッション材などとして利用できる。
クッション材の製造方法は、特に限定されないが、不織繊維集合体が板状又はシート状に成形された場合、板状集合体(必要に応じて、所望の厚さに積層した積層体)を利用する形状に切断して加工してもよく、板状集合体を熱成形により二次成形してもよい。特に、座席用クッション材において、人体の形状に応じて湾曲させる場合など、二次成形を利用するのが有効である。熱成形としては、例えば、圧空成形(押出圧空成形、熱板圧空成形、真空圧空成形など)、自由吹込成形、真空成形、折り曲げ加工、マッチドモールド成形、熱板成形、湿熱プレス成形などが利用できる。特に、本発明の集合体は金型の再現性が高いため、金型を用いて加圧成形してもよく、例えば、100〜200℃(特に120〜140℃程度)の温度で、0.05〜2MPa(特に0.1〜1MPa程度)の圧力で成形してもよい。

Claims (10)

  1. 平均曲率半径が100〜900μmのコイル状捲縮を有する湿熱接着性繊維を30〜100%(質量比)含む不織繊維集合体であって、厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における湿熱接着性繊維の繊維湾曲率がいずれも1.3以上であり、かつ各領域における湿熱接着性繊維の繊維湾曲率の最大値に対する最小値の割合が75%以上であり、構造体内部において湿熱接着性繊維により融着した繊維の接着点が略均一に分布している不織繊維集合体。
  2. 厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも3〜50%であり、かつ各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合が50%以上である請求項1記載の不織繊維集合体。
  3. 湿熱接着性繊維が、熱収縮率が異なる2種類の樹脂である、湿熱接着性樹脂(A)と非湿熱接着性樹脂(B)より構成され、繊維の横断面構造が偏芯芯鞘型構造である請求項1または2に記載の不織繊維集合体。
  4. 湿熱接着性樹脂(A)がエチレン−ビニルアルコール系共重合体、非湿熱接着性樹脂(B)がポリエステル系樹脂で構成された請求項に記載の不織繊維集合体。
  5. 見掛け密度が0.01〜0.2g/cmであり、かつ50%圧縮応力に対する25%圧縮応力の比率が30〜70%である請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体。
  6. 曲げ応力が0.25N/mm2以下である請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体。
  7. フラジール形法による通気度が0.1〜300cm/cm・秒である請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体。
  8. シート状又は板状であり、かつ厚みが略均一である請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体。
  9. 湿熱接着性繊維を含む繊維をウェブ化する工程と、生成した繊維ウェブを高温水蒸気で加熱処理して融着及び捲縮する工程とを含む請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の不織繊維集合体で構成されたクッション材。
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