JP2019085661A - 複合長繊維不織布 - Google Patents

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一哉 税所
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瑛大 藤井
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Abstract

【課題】衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシートやバックシート部に適した、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い強度を両立する不織布の提供。【解決手段】第1成分としてポリプロピレン系樹脂、及び第2成分としてポリエチレン系樹脂を含む複合長繊維不織布であって、該不織布の繊維接触点数が1.0×1011個/m3以上6.0×1011個/m3以下であり、厚み方向(Δy)の繊維接触間距離が20〜80μmであり、かつ、圧縮仕事量WCが0.20〜1.0gf・cm/cm2であることを特徴とする複合長繊維不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維不織布に関する。より詳しくは、本発明は、衛生材料に適した、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と強度を両立する前記複合長繊維不織布に関する。
近年、使い捨ておむつの普及はめざましく、要求される品質や性能は向上してきている。特に、おむつ構成の中でトップシート、バックシートに求められる性能は柔らかさであり、クッション性のある嵩高性と圧縮弾性の要求は高く、また、大人用おむつでは介護を伴うこともあることから高い強度が求められてきており、特におむつを着脱する際の低応力時の高い強度が求められている。
従来、おむつのトップシート、バックシートの高品質分野では短繊維が用いられることが多く、その製造には、カード法やエアレイ法による短繊維ウェブを熱風でボンディングするエアスルー方法が用いられており、クッション性の嵩高性を持った柔らかさを付与している。しかしながら、短繊維ウェブはカード法やエアレイ法により均一分散させるためその生産速度は限りがあり、生産能力を上げることは困難なものとなっている。
更に短繊維は通常数十mmからなるカットされた繊維を繊維交絡点の点接着で接着することで不織布を形成していることから特に低伸長時の強度が低く、強度が求められる箇所でのおむつへの使用が困難であること、おむつ生産工程における張力をあまりかけることができない点からも生産速度には限界があり、安定高生産は非常に困難なものとなっている。
スパンボンド方法による長繊維もトップシート、バックシートに用いられるものの、スパンボンドではその製造方法から高い強度を持つ不織布は得られるが、繊維が面方向に配列され、厚み方向を占有する繊維は少なく、嵩高性を得ることは困難であった。即ち、従来の長繊維不織布ではクッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い強度を両立させることは非常に困難であった。
以下の特許文献1には、2成分からなるスパンボンド不織布の開示があるが、厚み方向に対する繊維配向と圧縮弾性に関する記載はなく、おむつ使用荷重下での嵩高性を維持することは困難である。
また、以下の特許文献2には、厚み方向のクリンプを発現し、嵩高性を有した不織布の開示があるが、繊維配向に関する詳細な説明はなく、おむつとして実際に使用する際には、かかる荷重下ではクリンプは潰され、嵩高性を維持することは困難である。
さらに、以下の特許文献3には、配向指数をある範囲として繊維の熱伸長特性を利用した嵩高性を有する不織布の開示があるが、ここで開示されている配向指数は繊維内の繊維配向を示し、熱伸長特性に係る指標であって、不織布の3次元的な配向とは異なるものである。
国際公開第04/042130号 国際公開第03/056089号 特開2005−350836号公報
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシートやバックシート部に適した、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い強度を両立する不織布を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、繊維同士の接触点数を多くし、特に厚み方向の繊維接触間距離を長く設計することで、低嵩密度で厚みのある構造を形成させ、圧縮弾性の強い不織布を構成することができることを見出し、おむつ着用時の着座時の嵩潰れや柔らかさ保持を可能にし、衛生材料に好適に使用できる複合長繊維不織布を得るに至ったものである。
また、本発明者らは、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との2成分糸において糸の低伸長時応力は、ポリプロピレン系樹脂の状態に依存することを見出し、不織布から得られる融点ピークの立ち上がり温度を特定範囲とすることで糸の低伸長時応力を制御することが可能となり、不織布としての低伸長時応力を制御するに至ったものである。
更に、曳糸性はポリエチレン系樹脂に依存性が高く、樹脂特性としてポリエチレン系樹脂の溶融粘弾性(tanδ)が特定範囲とすることで曳糸性が良く、良好な捲縮糸を得ることが可能となり、得られた捲縮糸は不織布の厚み方向へもらせん状を形成するため、繊維接触点数が増え、また、不織布構成の厚み方向で長い繊維接触間距離を得ることができ、圧縮弾性の非常に良好な不織布を得ることができるものとなった。
即ち、本発明は下記の通りのものである。
[1]第1成分としてポリプロピレン系樹脂、及び第2成分としてポリエチレン系樹脂を含む複合長繊維不織布であって、該不織布の繊維接触点数が1.0×1011個/m以上6.0×1011個/m以下であり、厚み方向(Δy)の繊維接触間距離が20〜80μmであり、かつ、圧縮仕事量WCが0.20〜1.0gf・cm/cmであることを特徴とする複合長繊維不織布。
[2]前記不織布の繊維接触点が融着により接着している、前記[1]に記載の複合長繊維不織布。
[3]前記不織布のタテ方向の3%伸長時応力が、7〜30N/5cmである、前記[1]又は[2]に記載の複合長繊維不織布。
[4]前記不織布のヨコ方向の3%伸長時応力が、0.5〜8.0N/5cmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[5]前記ポリプロピレン系樹脂のMFRが、25〜85g/10分であり、かつ、前記ポリエチレン系樹脂のMIが、10〜50g/10分である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[6]前記ポリエチレン系樹脂の溶融粘弾性(tanδ)が3.0以上10.0以下である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[7]前記ポリプロピレン系樹脂の融点立ち上がり温度が、158℃以上162℃以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[8]前記複合長繊維の捲縮数が、5〜35個/インチである、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[9]前記複合長繊維の繊度が、1.0〜3.5dtexである、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[10]前記不織布の嵩密度が、0.02〜0.08g/cmである、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[11]前記複合長繊維の3%伸長時応力が、0.15cN/dtex以上である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[12]前記不織布の目付が、10〜50g/mである、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[13]前記不織布が親水化剤を含有する、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の複合長繊維不織布。
[14]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の複合長繊維不織布を生産速度150m/min以上で製造する方法。
[15]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の複合長繊維不織布を2段階の仮接着で製造する製造方法。
[16]前記[1]〜[13]のいずれかに記載の複合長繊維不織布を含む衛生材料。
本発明の不織布は、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い強度を両立した性能を有し、衛生材料のトップシート、バックシートに好適に利用可能である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の複合長繊維不織布は、第1成分としてポリプロピレン系樹脂、及び第2成分としてポリエチレン系樹脂を含む複合長繊維不織布であって、該不織布の繊維接触点数が1.0×1011個/m以上6.0×1011個/m以下であり、厚み方向(Δy)の繊維接触間距離が20〜80μmであり、かつ、圧縮仕事量WCが0.20〜1.0gf・cm/cmであることを特徴とする。本実施形態の複合長繊維不織布は、好ましくは、第1成分としてポリプロピレン系樹脂と第2成分としてポリエチレン系樹脂とからなる複合長繊維不織布である。
本実施形態の不織布を構成するポリプロピレン系樹脂は、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよく、また、エチレンランダム共重合ポリプロピレンでもよい。これらは単独でも2種類以上を組み合わせてもよい。特に、風合い、強度、寸法安定性の観点から、ホモポリプロピレンを主成分とするものであることが好ましい。
また、ポリプロピレンのMFRは、好ましくは25g/10分以上、より好ましくは30g/10分以上である。他方、ポリプロピレンのMFRは、好ましくは85g/10分以下、より好ましくは70g/10分以下、更に好ましくは、60g/10分以下である。MFRは、JIS−K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の表1、試験温度230℃、試験荷重2.16kgに準じて測定を行い求めた。
風合いの観点からは、ポリオレフィン系樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらのモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂からなる複合繊維が挙げられる。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
本実施形態の複合繊維の繊維形状は並列型(サイドバイサイド:S/S)又は偏芯型(偏S/C)であることが、捲縮糸を容易に得られることから好ましい。偏芯型の芯部は繊維表面に出ていてもよく、繊維表面における芯部の占める面積率は0〜50%であることが好ましく、より好ましくは0〜30%である。繊維表面を形成する芯部の比率が低い程、接着に起因する鞘部の比率が高くなり、高い強度と毛羽抑制性が得られるものとなる。
2種の樹脂で形成する複合繊維が偏芯型の場合は、芯部がポリプロピレン系樹脂、鞘部がポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
また、本実施形態の複合繊維では、強度の観点から、繊維内に占めるポリプロピレン系樹脂の重量比率が、好ましくは25wt%以上80wt%以下であり、より好ましくは30wt%以上80wt%以下、更に好ましくは50wt%以上75wt%以下である。
繊維形状は通常の円形繊維のみでなく、異形繊維などの特殊形態の繊維であってよい。
本実施形態の不織布を構成するポリエチレン系樹脂は、繊維同士の接合後の接着強度が強く、不織布としての風合いが良いため衛生材料に好適に利用できる。ポリエチレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。ポリエチレンの密度は特に限定されるものではなく、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンを使用することができ、密度は0.90〜0.97g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.91〜0.96g/cmである。
ポリエチレン系樹脂のMIは、好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分超えである。他方、ポリエチレンのMIは、好ましくは50g/10分以下、より好ましくは45g/10分以下である。MIは、JIS−K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の表1、試験温度190℃、試験荷重2.16kgに準じて測定を行い求めた。
ポリエチレン系樹脂の溶融粘弾性(tanδ)は3.0以上10.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以上9.0以下である。曳糸性の観点からポリエチレンの溶融粘弾性(tanδ)は3.0以上であることが好ましく、2成分糸としての捲縮性の観点から溶融粘弾性(tanδ)は10.0以下であることが好ましい。
本実施形態の不織布は、強度及び生産性の観点から、スパンボンド法により形成された複合長繊維不織ウェブであることが好ましい。例えば、複合長繊維は、2つ以上の異なる押出機からそれぞれ異なる熱可塑性樹脂を溶融押出し、多数の紡糸孔を有する紡糸口金から2種以上の熱可塑性樹脂が複合された状態で糸条として吐出される。次いで、吐出された糸条を5℃〜20℃に制御した冷風をあて冷却しながら牽引する。糸条は搬送コンベア上に堆積され不織ウェブとして搬送される。搬送中の不織ウェブは積層され、多層積層の不織ウェブとしてもよい。
熱可塑性複合繊維で構成された不織ウェブを接合して不織布となす場合の接合手段としては、繊維同士の交点が溶融し接着できる温度以上に加熱する方法であれば特に限定されるものではない。加熱する方法としては、熱風循環型、熱風貫通型、赤外線ヒーター型、不織布の両面に熱風を吹き付ける方法、あるいは加熱気体中に導入する方法等、各種加熱方法が挙げられる。繊維同士の交点でより多くの繊維接着点が得られ且つ不織布の破断強度が高くなる観点から、熱風による加熱が好ましく、熱風貫通型がより好ましい。
熱風の温度としては、組み合わせた熱可塑性樹脂の中でも、融点が低く且つ接合に寄与する熱可塑性樹脂に適した温度に調整することが好ましい。生産速度が速くなるにつれ、接着に寄与する熱量を確保するためには温度を上げる必要があり、生産条件に合わせて適性温度を合わせるものであるが、例えば、該熱可塑性樹脂がポリエチレンの場合、ポリエチレンが溶融し接着する125〜155℃であり、好ましくは130〜155℃、更に好ましくは135℃〜150℃である。接着温度がこの範囲であれば風合いを損なうことなく、繊維同士の交点で繊維同士の接着が発現し、不織布としての強度を発現することが可能となる。
熱風の風速は0.5〜3.0m/sであり、好ましくは0.7〜2.5m/s、更に好ましくは2.0m/s以下である。熱風の風速がこの範囲であれば風合いを損なうことなく、繊維同士の交点で繊維同士の接着が発現し、不織布としての強度を発現することが可能となる。
本実施形態の不織布の繊維接触点数は、1.0×1011個/m以上6.0×1011個/m以下であり、好ましくは1.5×1011個/m以上5.0×1011個/m以下である。繊維接触点数が1.0×1011個/m以上であれば、衛材用途に好適に使用できる強度を得ることができ、他方、6.0×1011個/m以下であれば、不織布が硬くなり過ぎず、風合いを残したまま衛材用途に好適に使用できる強度を得ることができる。
本実施形態の不織布の厚み方向(Δy)の繊維接触間距離は、20μm以上80μm以下であり、好ましくは25μm以上75μ以下、より好ましくは30μm以上70μm以下である。厚み方向(Δy)の繊維接触間距離が20μm以上であるとクッション性のある風合いを得ることができ、80μm以下であると衛材用途に好適に用いることができる強度を得ることができる。
本実施形態の不織布の繊維接触点は融着により接着していることが特徴である。繊維同士の交点で繊維表面のポリエチレン同士が接着することで、不織布としての強度、嵩、圧縮弾性を有するものとなる。
本実施形態では、不織布の接合前又は接合後の不織ウェブにエンボス加工で熱接着を施すことがある。エンボス加工は、金属エンボスロールと金属フラットロールの組合せの一対のロールに通して加工することが生産性の面から好ましい。不織ウェブの形態保持や最終的に得られる不織布の強度の観点から、エンボス面積率は、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%、更に好ましくは6〜15%である。また、エンボスの深さは深いほど、不織布の柔らかさを得ることが可能であり、好ましくは0.5〜2.0mm、より好ましくは0.7〜1.5mmである。エンボス形状は特に限定されないが、円形状、楕円形状、ダイヤ形状、矩形状であることが好ましく、衛生材料に好適に用いる柔らかさと適度な強度及び伸度を有する不織布を得るために適宜選定することができるものである。
更に本実施形態では、不織布ウェブ搬送時のメクレや吹き飛びを抑制するために、仮接着を行うことがある。仮接着の方法としては、一対のロールを通して加工する方法や嵩保持の観点から熱風エアを吹き付ける方法、熱風エアを貫通する方法などが挙げられる。熱風エアを用いる場合は熱風の温度は生産速度により適宜調整するものであるが、不織布の接合温度の好ましくは−30℃〜+20℃であり、より好ましくは−20℃〜+15℃であり、更に好ましくは−10℃〜+5℃である。更に嵩を潰すことなく搬送する方法としては2段階で熱風エアを用いる方法がある。1段目の熱風の温度は仮接着する温度より低温にするのが好ましく仮接着温度の−30℃〜0℃、より好ましく−25℃〜−5℃、更に好ましくは−20℃〜−10℃である。接合温度より低温で熱を加えることで、搬送工程において捲縮が発現し、嵩を厚くすることが可能である。加熱する方法としては、熱風循環型、熱風貫通型、赤外線ヒーター型、不織布の両面に熱風を吹き付ける方法、あるいは加熱気体中に導入する方法等、各種加熱方法が挙げられる。熱風温度がこの範囲であると、搬送時メクレを抑制することができ、嵩を潰すことが無く嵩を保持した不織ウェブを得ることができる。尚、本実施形態の複合長繊維不織布は、生産速度150m/min以上で製造することができる。
本実施形態の不織布を構成する複合長繊維の平均単糸繊度は1.0dtex以上3.5dtex以下であることが好ましく、より好ましくは1.2dtex以上3.3dtex以下、更に好ましくは1.5dtex以上3.0dtex以下である。紡糸安定性の観点から、平均単糸繊度は、1.0dtex以上であることが好ましく、衛生材料に使用される不織布の風合いの観点から、3.5dtex以下であることが好ましい。
前記複合長繊維は、不織布の風合いと嵩高を保持するために、らせん状の捲縮を有していることが好ましい。該繊維の捲縮数は5個/インチ以上35個/インチ以下が好ましく、より好ましくは7個/インチ以上30個/インチ以下である。捲縮数が5個/インチ未満であると得られる不織布の嵩高が不足し、35個/インチを超えると得られる不織布の繊維分散ムラにより見栄えを損なってしまう。
本実施形態の不織布の目付は、10g/m以上50g/m以下が好ましく、より好ましくは10g/m以上40g/m以下、更に好ましくは12g/m以上30g/m以下である。10g/m以上であれば衛生材料に使用される不織布としては強力を満足し、10g/m以下であれば衛生材料に使用される不織布の柔軟性を満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えない。
本実施形態の不織布のタテ方向の3%伸長時応力は7〜30N/5cmであることが好ましく、より好ましくは10〜25N/5cm、更に好ましくは10〜20N/5cmである。タテ方向の3%伸長時応力が7N/5cm以上であると不織布生産工程時、また、おむつ生産工程時の生産張力で伸びたり、破断することがなく、生産加工適正に優れたものとなる。他方、30N/5cm以下であると、風合いが柔らかく、衛材用途で好適に使用することができる。
本実施形態の不織布のヨコ方向の3%伸長時応力は0.5〜8.0N/5cmであることが好ましく、より好ましくは0.7〜5.0N/5cm、更に好ましくは1.0〜4.0N/5cmである。ヨコ方向の3%伸長時応力が0.5N/5cm以上であると不織布生産工程時、またおむつ生産工程時の生産張力で巾入りを軽減することができ、他方、8.0N/5cm以下であると、風合いが柔らかく、衛材用途で好適に使用することができる。
本実施形態の複合長繊維の3%伸長時応力は、0.15cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは0.20〜0.50cN/dtex、更に好ましくは0.45cN/dtex以下である。0.15cN/dtex以上であれば不織布生産工程時、またおむつ生産工程時の加工適性が良好となり、上限値は衛材用途で好適に使用できる柔らかさの風合いを得られる範囲であれば適宜選択できるものである。
本実施形態のポリプロピレン(樹脂)の融点立ち上がり温度は、158℃以上162℃以下であることが好ましく、より好ましくは158.2℃以上161.5℃以下である。本実施形態の不織布において低伸長時応力はポリプロピレンの状態に依存する傾向が高く、そのためポリプロピレンの融点立ち上がり温度は糸の3%低伸長時応力と良好な相関を示し、更に不織布の3%伸長時応力と良好な相関を示すものである。ポリプロピレンの融点立ち上がり温度がこの範囲にあると衛材用途に用いるために良好な加工適性と風合いを得るものである。
本実施形態の不織布の嵩密度は0.02g/cm以上0.08g/cm以下の範囲であり、強度の観点から0.02g/cm以上がより好ましく、風合いの観点から0.08g/cm以下とすることが好ましい。
本実施形態の不織布の圧縮仕事量WCは、0.20gf・cm/cm以上1.00gf・cm/cm以下である。この範囲の圧縮仕事量WCを保持することは、衛生材料に使用される不織布としてのクッション性の観点から、好ましい。
本実施形態の不織布には親水化剤が含有されていてもよい。使用される親水化剤としては、人体への安全性、工程での安全性等を考慮して、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルフェノール等のエチレンオキサイドを付加した非イオン系活性剤、アルキルフォスフェート塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系活性剤等が挙げられ、これらは、単独で又は混合物として用いられる。
親水化剤を含有させる方法としては、通常、希釈した親水化剤を用いて、浸漬法、噴霧法、コーティング(キスコーター、グラビアコーター)法等の既存の方法を採用でき、必要により予め混合した親水化剤を、水等の溶媒で希釈して塗布することが好ましい。
親水化剤を水等の溶媒で希釈して塗布すると、乾燥工程を必要とする場合がある。その際の乾燥方法としては、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法を採用でき、熱風や赤外線による乾燥や熱接触による乾燥方法等を用いることができる。
親水化剤の付着量は、要求される性能によって異なるが、通常は、繊維に対して0.05重量%以上1.00重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.15重量%以上0.8重量%以下、更に好ましくは0.2重量%以上0.6重量%以下である。付着量がこの範囲にあると、衛生材料のトップシートとしての親水性能を満足し、加工適正も良好となる。
本実施形態の複合長繊維不織布は、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い低伸長時応力を有するため、衛生材料の製造に好適に使用することができる。また、本実施形態の複合長繊維不織布は2層、3層以上の不織布積層体としてもよい。衛生材料としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パットが挙げられ、表面のトップシート、外側のバックシートに好適に利用することができる。
また、本実施形態の複合長繊維不織布は、前記用途に限られず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。構成される繊維、不織布の特性から、生産する目付、ライン速度により、接着工程における温度、熱風風速等は適宜変更するものである。尚、各特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた物性を以下の表1に示す。本発明では、製造ライン方向で繊維の流れ方向をMD方向、繊維の流れ方向と直角方向で巾方向をCD方向という。
1.平均単糸繊度(dtex)
1cm角の試験片をサンプリングし、キーエンス社製マイクロスコープVHX−700Fで繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から繊度を算出した。
2.目付(g/m
JIS−L1906に準じ、タテ方向20cm×ヨコ方向5cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して求めた。
3.糸の3%伸長時応力(cN/dtex)
試料となる糸を任意の本数引き揃え、軽く撚りをかけて、引張試験機に、つかみ間隔10cmでセットする。引張速度20cm/分で測定し、測定値を本数と繊度(dtex)で割り、試料5点の平均値から糸の3%伸長時応力を算出した。
4.不織布の3%伸長時応力(N/5cm)
JIS L−1906に準じ、ヨコ方向均等になる様に、タテ方向測定時はヨコ方向5cm、タテ方向20cmの試料を5点切り取り、引張試験機で、つかみ間隔10cm、引張速度30cm/分で測定した。5点の試料を測定し、測定値を平均して3%伸長時応力を算出した。ヨコ方向測定時はヨコ方向20cm、タテ方向5cmの試料を切り取りタテ方向と同様に測定した。
5.嵩密度(g/cm
タテ、ヨコ方向均等になる様にピーコック式厚み計(5gf/cm)で20点測定し、平均の厚さを算出した。その平均値から以下の式を用い、嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm)=目付(g/m)/厚み(mm)/1000
6.捲縮数(個/インチ)
ヨコ方向に5点の5cm角の試験片をサンプリングし、キーエンス社製マイクロスコープVH−Z450にて繊維に荷重がかからない状態で2.54cm(1インチ)当たりの捲縮数を測定し、その平均値から捲縮数を算出した。
7.圧縮仕事量:WC(gf・cm/cm
ヨコ方向に5点の5cm角の試験片を採取し、カトーテック社製圧縮試験装置(KES−G5)を用いて測定した。試験片を金属製試料台の上に設置し、加圧面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮した。圧縮速度は0.067mm/sで、圧縮最大荷重は3.4kPa(35gf/cm)とした。回復過程も同一速度で測定し、圧縮仕事量の平均値を算出した。
8.溶融粘弾性(tanδ)
ポリエチレン系樹脂の溶融粘弾性(tanδ)をレオメトリックサイエンス社製ARESを用いて測定した。25mmΦのパラレルプレートを用い、プレート間ギャップ1mm、ひずみ5%の条件で、温度140℃、周波数10[rad/s]のtanδを測定した。
9.融点立ち上がり温度(℃)
TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920を用い、昇温速度を10℃/分で、30℃から200℃に昇温してポリプロピレン(樹脂)の融解曲線を測定した。融解曲線の半値幅の低温側の接点の温度を融点立ち上がり温度として算出した。
10.繊維接触点数(個/m)、厚み方向(Δy)の繊維接触間距離(μm)
不織布の繊維接触点数(Nc)、及び厚み方向の繊維接触間距離(Δy)は、X線CT測定して得た3次元のトモグラムを画像解析することにより求めた。
<X線CT測定手順>
不織布の繊維形状を捉えることができる解像度があり、繊維と空気にコントラスト差が得られる装置並びに条件にて測定しなくてはならない。X線CT測定にはリガク製株式会社製のnano3DXを使用した。X線CT測定の詳細な条件は次の通りである。
X線ターゲット:Cu
X線管電圧/管電流:40kV/30mA
空間解像度:2.16μm/pix
測定したトモグラムの座標軸(直交座標)を不織布の厚み方向をY、面内方向をX、Zとなるように定義し、このトモグラムを利用して作るすべての画像で共通とした。
<画像解析方法>
X線CT測定したトモグラムを直方体の視野にトリミングし、3次元のmedian filterによりノイズ除去し、Otsu法により繊維(画素値255)と空間(画素値0)に領域分割した(この画像を2値化トモグラムと呼ぶ)。ここでトリミングする範囲が画像解析する視野であり、Y方向に不織布の厚みがすべての入るサイズ、X、Z方向には少なくともY方向以上のサイズとした。
2値化トモグラムから、XY面でZ方向にスライスした2次元の断層データ群を作成した(この画像群をXY断層画像群と呼ぶ)。その際、Z方向のスライスのピッチは1pixとした。
XY断層画像群の各2次元画像において、連続した画素値255の領域を一つの繊維と認識しその繊維に付番するために画素値255の画素に対してラベリング処理を行った(このラベリングした結果の画像群を繊維ラベリング画像群と呼ぶ)。ラベリング処理はXY面内で2次元の4連結にて実施した。
繊維ラベリング画像群において、隣り合うスライス間での繊維の接続を調べ、複数の繊維と接続している繊維を繊維接触部分とし、更にその繊維接触部分と単独で接続している繊維を繊維接触部分とし、残りを単独繊維部分とした。隣り合うスライス間での繊維の接続の判定は、隣り合うスライス間で同じX座標とY座標の画素が両方とも繊維であれば、それぞれのラベリングされた番号の繊維同士は接続しているとして行い、この判定処理をすべてのスライス並びにすべての画素について実施した。その結果を、繊維接触部分を画素値128、単独繊維部分を画素値255、空間を画素値0とした3次元画像にした(これを仮画像1と呼ぶ)。
ZY面でX方向にスライスした2次元の断層データ群を作成し、上記においてXY面でZ方向に実施した作業を、ZY面でX方向に対して同じように実施した(これを仮画像2と呼ぶ)。
X仮画像1と仮画像2を組み合わせた仮画像3を作成した。XY面の仮画像1とZY面の仮画像2の両方で繊維接触部分と認識された画素(両方の画素値が128の画素)を仮画像3の繊維接触部分とし、残りを単独繊維部分とした。この仮画像3の作成の詳細を以下の表1に示す。
Figure 2019085661
次に、繊維径以下の距離で近接した繊維接触部分を一つの繊維接触部分にまとめる処理を行った。仮画像3の繊維接触部分(画素値128)に対して3次元の6連結のラベリングを実施した(これを仮画像4と呼ぶ)。他方で、2値化トモグラムにおいて画素値255の繊維に対して局所厚み法(Journal of Microscopy,vol.185,p.p.67−75,1996)を適用し、各画素での繊維径を求めた(これを繊維径画像と呼ぶ)。仮画像4と繊維径画像の対応する画素値から、ラベリングされたそれぞれの繊維接触部分の平均繊維径(体積平均径)を求めた。仮画像3の繊維接触部分(画素値128)の画素に対して、仮画像4で対応する画素のラベルの平均繊維径の分だけ拡張処理を行った。但し、この拡張処理は空間(画素値0)に対しては拡張せず、独立繊維部分(画素値255)にのみ拡張した。拡張処理は3次元の6連結で行った。
これらの処理により繊維接触部分が画素値128となり、単独繊維部分が画素値255となり、空間が0となっている繊維認識画像を得た。この画像から不織布の繊維接触点数(Nc)並びに厚み方向の繊維接触間距離(Δy)を求めた。
<Ncの算出>
繊維認識画像の繊維接触部分(画素値128)だけをラベリングし、視野内での繊維接触部分の数Nを求めた。繊維接触点数(Nc)は、次式で求めた。
Nc=N/(Rx*Ry*Rz)
{式中、Rx、Ry、Rzは、それぞれ、X、Y、Z方向の領域サイズである。}。
単成分の場合、繊維接触点数の値は算出されるが、基本エンボス以外の箇所は接着はしていないものとなる。
<Δx、Δy、Δzの算出>
繊維認識画像から単独繊維部分と繊維接触部分を個別にラベリングし、単独繊維部分の両端の繊維接触部分との界面を求めた。求めた界面をラベリングし、ラベリングした各界面での中心座標を求めた。単独繊維部分の両端の界面の中心座標を(x,y,z)=(x1,y1,z1)と(x2,y2,z2)とし、x、y、z軸は、それぞれ、トモグラムのX軸、Y軸、Z軸に一致させた。X、Y、Z軸の各方向の繊維接触間距離は、下記式に示すように、すべての単独繊維部分(Ni個)について平均を取った。
Δx=Σ|(x1−x2)|/Ni
Δy=Σ|(y1−y2)|/Ni
Δz=Σ|(z1−z2)|/Ni
〔実施例1〕
MFRが55g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが26g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)でtanδが7.7の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分と第2成分の比が67/33となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度235℃で押出し、このフィラメント群を牽引して、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.7dtexの偏芯型長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブを熱風温度140℃、熱風風速1.0m/sの熱風により繊維同士を接着し、目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例2〕
第1成分と第2成分の比を50/50とし、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例3〕
第1成分と第2成分の比を50/50の並列型長繊維とし、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例4〕
実施例1の牽引エア量を調整し、同様にして平均単糸繊度2.0dtexとなる目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例5〕
実施例1の牽引エア量を調整し、同様にして平均単糸繊度1.5dtexとなる目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例6〕
実施例1のライン速度を調整し、同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例7〕
実施例1のライン速度を調整し、同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付15g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例8〕
第1成分のポリプロピレン樹脂は実施例1と同様にして、MIが42g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)でtanδが5.8の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.3dtexで目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例9〕
第1成分のポリプロピレン樹脂は実施例1と同様にして、MIが19g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)でtanδが8.6の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分と第2成分の比を50/50として、実施例1と同様にして平均単糸繊度1.2dtexで目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例10〕
MFRが36g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが17g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)でtanδが4.7の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂を第2成分とし、実施例9と同様にして平均単糸繊度2.7dtexで目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例11〕
第1成分と第2成分の比を50/50の並列型長繊維とし、実施例10と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例12〕
実施例1の牽引エア量を調整し、同様にして平均単糸繊度4.5dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
〔実施例13〕
実施例1と同様にして複合長繊維不織布を調製し、次いで、得られた不織布にポリエーテル系の親水化剤を噴霧法により付与し、次いで120℃で10秒間熱風乾燥し、剤濃度付着量が0.5重量%となる複合長繊維不織布を得た。得られた不織布はおむつのトップシートとして満足できる性能であった。
〔実施例14〕
剤濃度付着量が0.25重量%とした以外は実施例12と同様にして、複合長繊維不織布を得た。得られた不織布はおむつのトップシートとして満足できる性能であった。
〔実施例15〕
実施例1と同様にしてフィラメント群を調製し、仮接着処理を2段階で行い、目付25g/mの複合長繊維不織布を得た。得られた不織布は実施例1よりも嵩密度が低いものであった。
〔比較例1〕
MFRが55g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を単成分にてスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群を牽引して、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.0dtexの長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブを、141℃のフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して繊維同士を接着し、目付20g/mで繊維が捲縮していない長繊維不織布を得た。得られた不織布は嵩密度が高く、クッション性を有しておらず風合いの硬いものであった。
〔比較例2〕
MFRが36g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を単成分にて、ハ型の紡口からスパンボンド法により紡糸温度235℃で押出し、このフィラメント群を牽引して、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.8dtexの捲縮糸からなる長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブを、比較例1と同様にして繊維同士を接着し、目付20g/mの長繊維不織布を得た。
〔比較例3〕
第1成分のポリプロピレン樹脂は実施例1と同様にして、MIが18g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)でtanδが2.0の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、実施例1と同様にして不織ウェブをの調製を試みたが、繊維を作製する際の曳糸性が悪く、糸切れが起こり、不織布を調製することができなかった。
〔比較例4〕
第1成分と第2成分の比を90/10とし、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。得られた不織布は接着成分となる第2成分の比が少なく、接着強度が低くなり、圧縮弾性も低いものであった。
〔比較例5〕
第1成分と第2成分の比を10/90とし、実施例1と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。得られた不織布は繊維がほとんど捲縮しておらず、繊維接触点数が多く、圧縮弾性も低いものであった。
〔比較例6〕
繊維形状を等芯円の鞘芯型とし、第1成分と第2成分の比を50/50としたこと以外は実施例1と同様にして平均単糸繊度2.7dtexとなる目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
実施例1〜12、比較例1〜6の結果を以下の表2に示す。
Figure 2019085661
本発明の不織布は、クッション性の柔らかさと嵩高性、強度を有する衛生材料のトップシート、バックシートに好適に利用可能である。

Claims (16)

  1. 第1成分としてポリプロピレン系樹脂、及び第2成分としてポリエチレン系樹脂を含む複合長繊維不織布であって、該不織布の繊維接触点数が1.0×1011個/m以上6.0×1011個/m以下であり、厚み方向(Δy)の繊維接触間距離が20〜80μmであり、かつ、圧縮仕事量WCが0.20〜1.0gf・cm/cmであることを特徴とする複合長繊維不織布。
  2. 前記不織布の繊維接触点が融着により接着している、請求項1に記載の複合長繊維不織布。
  3. 前記不織布のタテ方向の3%伸長時応力が、7〜30N/5cmである、請求項1又は2に記載の複合長繊維不織布。
  4. 前記不織布のヨコ方向の3%伸長時応力が、0.5〜8.0N/5cmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂のMFRが、25〜85g/10分であり、かつ、前記ポリエチレン系樹脂のMIが、10〜50g/10分である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  6. 前記ポリエチレン系樹脂の溶融粘弾性(tanδ)が3.0以上10.0以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  7. 前記ポリプロピレン系樹脂の融点立ち上がり温度が、158℃以上162℃以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  8. 前記複合長繊維の捲縮数が、5〜35個/インチである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  9. 前記複合長繊維の繊度が、1.0〜3.5dtexである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  10. 前記不織布の嵩密度が、0.02〜0.08g/cmである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  11. 前記複合長繊維の3%伸長時応力が、0.15cN/dtex以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  12. 前記不織布の目付が、10〜50g/mである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  13. 前記不織布が親水化剤を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布を生産速度150m/min以上で製造する方法。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布を2段階の仮接着で製造する方法。
  16. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合長繊維不織布を含む衛生材料。
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