JP2000199130A - ポリエステル系バインダ―繊維および不織布 - Google Patents

ポリエステル系バインダ―繊維および不織布

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JP2000199130A
JP2000199130A JP37350798A JP37350798A JP2000199130A JP 2000199130 A JP2000199130 A JP 2000199130A JP 37350798 A JP37350798 A JP 37350798A JP 37350798 A JP37350798 A JP 37350798A JP 2000199130 A JP2000199130 A JP 2000199130A
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Japan
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copolyester
polyester
fiber
nonwoven fabric
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Takeshi Senzuka
健史 千塚
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
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Nippon Ester Co Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステルを主体繊維とする繊維構造物の
接着に適し、接着性に優れたポリエステル系バインダー
繊維と、この繊維を使用した風合いがペーパーライクに
ならず、良好な風合いを有する不織布を提供する。 【解決手段】 軟化点又は融点が100〜200℃であ
り、周波数1Hzで測定した動的粘弾性のtanδが
0.7以上及び動的粘度η*が105 Pa・s以下となる
温度領域の少なくとも一部が120〜200℃の間に存
在するコポリエステルと、融点が220℃以上のポリエ
ステルとからなり、コポリエステルが繊維表面の少なく
とも一部を占める複合繊維である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた接着性と風
合いを有するホットメルト型ポリエステル系バインダー
繊維および不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、枕や寝装用の詰物、キルティング
の詰物、マットレスの詰物等を構成する繊維(主体繊
維)を接着する目的で、ホットメルト型のバインダー繊
維が広く使用されている。このようなバインダー繊維と
して、ポリエチレンを鞘とし、ポリプロピレンを芯とす
る芯鞘型ポリオレフィン系繊維(特開昭58−180614号、
同58−191215号)及び低軟化点コポリエステルからなる
繊維や、低軟化点コポリエステルを鞘とし、高軟化点ポ
リエステルを芯とするポリエステル系繊維及びこれを用
いて接着したポリエステル繊維構造物が提案されている
(米国特許第4,129,675号、特開昭57-66117号)。
【0003】ポリオレフィン系バインダー繊維として用
いられているポリオレフィンは、接着される主体繊維が
ポリオレフィン系である場合には好ましいものである
が、接着される主体繊維がポリエステルの場合には、互
いに非相溶系であるため接着効果が乏しく、バインダー
繊維を多量に使用しなければならないため、肝心の主体
繊維の特性を損なうという問題があった。
【0004】現在、ポリエステル系バインダー繊維は、
テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールを
主成分とするコポリエステルが広く使用されているが、
溶融時の流動性が悪いと、接着強力が不十分となった
り、不織布の風合いがペーパーライクになることがあ
り、より十分な接着強力とよりよい風合いを得るため
に、そのコポリエステルの特性を適切に制御することが
難しいという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、ポリエステルを主体繊維とする繊維構造物の
接着に適し、風合いがペーパーライクにならず、接着性
に優れたポリエステル系バインダー繊維と、この繊維を
用いた不織布を提供することを技術的な課題とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の構成を有するものであ
る。 (1) 軟化点又は融点が 100〜 200℃であり、周波数1H
zで測定した動的粘弾性のtanδが 0.7以上及び動的
粘度η*が105 Pa・s以下となる温度領域の少なく
とも一部が 120〜 200℃の間に存在するコポリエステル
と、融点が 220℃以上のポリエステルとからなり、コポ
リエステルが繊維表面の少なくとも一部を占める複合繊
維からなることを特徴とするポリエステル系バインダー
繊維。 (2) コポリエステルが、両末端を封鎖した低分子量体を
3〜8重量%含有する上記(1) 記載のポリエステル系バ
インダー繊維。 (3) 上記(1) 又は(2) 記載のポリエステル系バインダー
繊維を10〜90重量%含有することを特徴とする不織布。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステル系バインダー繊維を形成す
る一成分であるコポリエステルは、軟化点又は融点が 1
00〜200 ℃の範囲にあることが必要である。軟化点又は
融点が 100℃に満たないと、ポリマーのガラス転移点が
実質的に常温よりも低いものとなり、ポリエステルペレ
ットや未延伸糸の貯蔵時にブロッキングを起こしたり、
紡糸時に糸条が密着するなどして、操業性が非常に悪く
なるため好ましくない。また、軟化点又は融点が 200℃
を超えると、バインダー繊維を接着するための熱処理温
度を 200℃以上の高温にしなければならず、主体繊維が
軟化して捲縮が損なわれ、繊維構造物の強力や嵩高性が
低下するので好ましくない。
【0008】また、上記のコポリエステルは、周波数1
Hzで測定した動的粘弾性のtanδが 0.7以上及び動
的粘度η*が105 Pa・s以下となる温度領域の少な
くとも一部が 120〜 200℃の間に存在することが必要で
ある。
【0009】tanδの値は、ポリマー分子の持つ粘性
エネルギーと弾性エネルギーの比率を表す。tanδが
大きいほど、ポリマーの同一分子内での振動よりも、異
分子間の絡み合いのエネルギーの方が大きいこと、つま
り分子間の摩擦が大きく、粘りがあることを表し、ta
nδが小さいほど、分子間の摩擦が小さく、ポリマーが
脆いことを表す。η*の値は、ポリマーの軟らかさを表
す。η*が大きいほどポリマーは硬くて流動し難く、η
*が小さいほどポリマーは軟らかくて流動しやすい。
【0010】周波数1Hzで測定したtanδが 0.7以
上になる温度領域の少なくとも一部が 120〜 200℃の間
に存在しないと、ポリマーの粘性が不足するため脆くな
り、バインダー繊維の接着強力が不足し、また、このバ
インダー繊維を用いた不織布がペーパーライクなものと
なる。また、周波数1Hzで測定したη*が 120〜 200
℃の間で105 Pa・sよりも大きいと、ポリマーが非
常に流動し難いため、複合バインダー繊維としての接着
力が不足し、繊維構造物の接着強力が弱いものとなる。
【0011】このような粘弾性を有するコポリエステル
は、コポリエステルを構成する共重合成分と共重合割合
及び分子量を適切な範囲にすることで得ることができ
る。さらに、コポリエステルに両末端を封鎖した低分子
量体を特定量含有させることでより好ましい粘弾性特性
を有するコポリエステルを得ることができる。また、コ
ポリエステルの水分率を適切に選定することも、粘弾性
を制御するのに有効である。
【0012】本発明のバインダー繊維におけるコポリエ
ステルとしては、例えば、酸成分としてテレフタル酸と
無水フタル酸及び/又はイソフタル酸を主成分とし、グ
リコール成分としてエチレングリコール及び/又は1,
4−ブタンジオール(以下、BDと記す。)を主成分と
するコポリエステル、あるいは酸成分としてテレフタル
酸とアジピン酸(以下、ADと記す。)等の脂肪族ジカ
ルボン酸又はε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトンを
主成分とし、ジオール成分としてエチレングリコール及
び/又はBDを主成分とするコポリエステルなどが使用
できる。
【0013】酸成分としてテレフタル酸と、無水フタル
酸及び/又はイソフタル酸を主成分とし、グリコール成
分としてエチレングリコール及び/又はBDを主成分と
するコポリエステルにおいて、テレフタル酸と、無水フ
タル酸及び/又はイソフタル酸とのモル比は、90/10〜
20/80、好ましくは80/20〜50/50が適当である。
【0014】無水フタル酸及び/又はイソフタル酸成分
の割合が10モル%未満になると、周波数1Hzで測定
したη*が105 Pa・s以下及びtanδが 0.7以上
になる温度領域が 120〜 200℃の間に存在しなくなるほ
か、接着時の熱処理温度を非常に高くしなければなら
ず、主体繊維が軟化して捲縮が損なわれ、繊維構造物の
強力や嵩高性が低下しやすい。また、80モル%を超え
ると、ガラス転移温度が低下し、ポリエステルペレット
や未延伸糸の貯蔵時にブロッキングを起こしたり、紡糸
時に糸条が密着するなどして、操業性が悪くなりやす
い。
【0015】また、酸成分としてテレフタル酸とAD等
の脂肪族ジカルボン酸又はε−カプロラクトン等の脂肪
族ラクトンを主成分とし、ジオール成分としてエチレン
グリコール及び/又はBDを主成分とするコポリエステ
ルにおいて、テレフタル酸と、AD等の脂肪族ジカルボ
ン酸又は脂肪族ラクトンとのモル比は90/10〜60/40が
適当であり、エチレングリコールとBDとのモル比は75
/25〜0/100 が適当である。
【0016】AD等の脂肪族ジカルボン酸又はε−カプ
ロラクトン等の脂肪族ラクトンの共重合割合が40モル%
を超えると、ガラス転移温度が低下し、ポリエステルペ
レットや未延伸糸の貯蔵時にブロッキングを起こしたり
紡糸時に密着するなどして操業性が悪くなりやすい。一
方、共重合割合が10%に満たないと融点が高くなり、接
着時の熱処理温度を非常に高くしなければならず、繊維
構造物の強力や嵩高性が低下しやすい。また、BDの共
重合割合が25モル%未満であると、ポリエステルペレッ
トや未延伸糸の貯蔵時にブロッキングを起こしたり、紡
糸時に糸条が密着するなどして、操業性が悪くなりやす
い。
【0017】本発明のバインダー繊維におけるコポリエ
ステルは、極限粘度が0.45以上、0.70以下であることが
好ましく、より好ましくは、0.50以上、0.65以下であ
る。極限粘度が0.45未満では、周波数1Hzで測定した
tanδが0.70以上となる温度領域が 120〜 200℃の間
で存在しなくなる場合があるほか、特に複合紡糸する場
合、紡糸性が悪くなることがある。また、極限粘度が0.
70を超えると、コポリエステルを溶融した際の粘性が高
くなりすぎて、周波数1Hzで測定したη*が105
a・s以下となる温度領域が 120〜 200℃の間に存在し
なくなることがあり、バインダー繊維や不織布としたと
きの接着強力が不足することがある。
【0018】なお、コポリエステルは、その特性が大き
く変化しない範囲で、他の成分、例えば、p-ヒドロキシ
安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキノン、ビ
スフェノールAのエチレンオキシド付加体等のジオール
などを共重合成分として少量含有していてもよく、安定
剤、難燃剤その他の添加剤を含有したものでもよい。
【0019】また、両末端を封鎖した低分子量体をコポ
リエステルに含有させることで、より好ましい粘弾性特
性を有するコポリエステルを得ることができる。低分子
量体としては、PETオリゴマーを用いるのが経済性、
操業性の面で好ましく、重合度は3〜10のものが好まし
い。
【0020】低分子量体の両末端が封鎖されない場合、
コポリエステルの主鎖と反応し、消滅してしまい、可塑
剤としての効果が得られなかったり、コポリエステルそ
のものの分子量の低下をもたらすことがあるため、両末
端を封鎖することが好ましい。低分子量体の含有量は、
低分子量体の可塑剤としての効果を得るため、コポリエ
ステルに対し、3〜8重量%が好ましい。低分子量体の
含有量が3重量%に満たないと可塑剤としての効果が少
なくなり、8重量%を超えると溶融粘度が低下し、紡糸
時の操業性が悪くなる。
【0021】両末端を封鎖した低分子量体は、低分子量
体に末端封鎖化合物を添加することによって得ることが
できる。末端封鎖化合物としては、PETオリゴマーの
末端がほとんどOH末端基であることから、1価のカル
ボン酸又はその誘導体が選ばれる。酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル
酸、トルイル酸、安息香酸、ジメチル安息香酸などのカ
ルボン酸や、これらの酸無水物などが例示される。
【0022】両末端を封鎖した低分子量体は、紡糸時に
コポリエステルを溶融したときにコポリエステル中に練
り込んで用いることが好ましい。コポリエステルと低分
子量体を予めドライブレンドし、加熱した混練機に供給
して均質化しながら紡糸してもよいし、低分子量体自体
を溶融した状態で、コポリエステルに練り込んでもよ
い。
【0023】本発明のバインダー繊維を製造するにあた
り、紡糸前のポリエステルペレットの水分率を50〜 200
ppm、特に80〜 130ppmに調整することが好まし
い。水分率を調整することでも、溶融紡糸後のコポリエ
ステルのtanδとη*が変化するため、これらの値を
本発明の範囲とするためには、一般的に水分率を上記の
範囲とするのがよい。
【0024】低軟化点又は低融点コポリエステルと複合
繊維を形成する高融点ポリエステルとしては、PET、
ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタ
レートおよびこれらを主体とするポリエステルなどが使
用できるが、特にPET及びエチレンテレフタレート単
位が90モル%以上のコポリエステルが、強度特性の点で
好ましく用いられる。この高融点ポリエステルの融点は
220℃以上であることが必要である。融点が220℃未満
になると、コポリエステルの軟化点又は融点との差が小
さくなるため好ましくない。
【0025】本発明のバインダー繊維を得るためには、
上記のような低軟化点又は低融点コポリエステルと高融
点ポリエステルとを常法により複合紡糸すればよく、紡
糸速度 700〜1000m/分にて紡糸した後集束し、60〜80
℃の加熱ローラを使用して3〜5倍に延伸し、 100〜 1
50℃の熱板上を通過させ、さらにクリンパーで捲縮を付
与した後、カッターで繊維長30〜 100mmに切断すればよ
い。
【0026】複合繊維の形態は、低軟化点又は低融点コ
ポリエステルが繊維表面の少なくとも一部を占める複合
繊維であればよく、同心又は偏心芯鞘型、サイドバイサ
イド型、海島型あるいは紡糸パック内に静止混合素子を
挿入して紡糸した高融点ポリマーが層状もしくは筋状に
分散した複合繊維などとすることができる。同心芯鞘型
とすると製糸性がよく、偏心型、サイドバイサイド型と
すると潜在捲縮性となるので、用途に応じて適当な複合
形態を選択すればよい。複合比率も特に限定されず、2
成分それぞれの機能を発揮させるために適宜選択すれば
よいが、例えば芯成分であるPETの比率が30〜70重量
%、鞘成分であるコポリエステルの比率が70〜30重量%
のものが好ましい。
【0027】通常、本発明のバインダー繊維は短繊維と
して用いられるが、梳綿工程でネップや未開繊部の発生
しない原綿とすることが好ましい。一般にネップや未開
繊部の発生は、捲縮数、捲縮形態と密接な関係にあり、
機械捲縮の場合、捲縮数が8個/25mm未満では未開繊
部が発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが
発生しやすい。機械捲縮を付与する方法としては、スタ
ッフィングボックス式、加熱ギヤ式等が採用できるが、
短繊維の製造には、一般にスタッフィングボックス式が
採用される。
【0028】次に、本発明の不織布は、主体繊維の他
に、上記のポリエステル系バインダー繊維を10〜90重量
%含有することが必要である。バインダー繊維が10重量
%に満たないと、十分な接着強力を得ることができず、
90重量%を超えると、不織布が硬く、嵩がなくなり、好
適な風合いを得ることができない。
【0029】不織布を製造する際、上記のバインダー繊
維よりなる短繊維と、主体繊維、例えば通常のPET短
繊維とを所定の割合で混綿し、カードをかけた後、目付
けを目標とする製品に合わせて30〜120g/m2 に調節し
た後、熱風で1〜2分熱処理すればよい。熱風温度は、
低軟化点コポリエステルの軟化点又は融点以上、好まし
くは軟化点又は融点より5〜30℃高い温度がよい。この
場合、熱処理の前に、ニードリング加工を行ってもよ
い。熱処理装置としては、熱風循環ドライヤー、回転ド
ラム乾燥機等が用いられる。
【0030】主体繊維は用途によって選択すればよい
が、例えばクッション性や嵩高性が要求されるものであ
れば6〜15デニールのポリエステルステープル綿、風
合いのソフトなものが要求される時は1〜5デニールの
細デニール綿を混合使用することにより、好適な不織布
を得ることができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の物性値の測定法は次の通りであ
る。 (a) 軟化点及び融点 柳本社製自動融点測定装置AMP−1型を使用し、昇温
速度10℃/分でシリコーン浴中での針入温度(軟化点又
は融点)を求めた。 (b) 極限粘度〔η〕 フェノールの四塩化エタンの等重量混合物を溶媒とし、
温度20℃で測定した値から求めた。 (c) ポリマーのη*とtanδ ポリマーを直径2cm、厚さ2mmの円盤状に成型し、レオ
メトリック社製動的粘弾性測定機 SR-2000型を用いて、
測定周波数1Hz、昇温速度3℃/分にて測定を行い、
図1に示したようなチャートを得た。そして、図1に示
すように、動的粘弾性のtanδが0.7以上となる最
低温度(3)及び動的粘度η*が105Pa・s以下と
なる最低温度(4)を決定した。 (d) 低分子量体の平均重合度 サンプルをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に
溶解した後、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフにて数
平均分子量(Mn)を求め、下記の式より平均重合度を算
出した。 平均重合度=(Mn−62)/192 (e) 不織布強力 不織布を幅25mm、試料長 100mmの試料とし、オリエンテ
ィック社製定速伸長型引張試験機 UTM-4-100型を用い、
温度25℃、引張速度 100mm/分で測定した。 (f) 不織布の風合い 10人のパネラーによる官能試験により、次の三段階で評
価し、◎と○を合格、×を不合格とした。 ◎:軟らかい ○:ふつう ×:硬い 実施例1〜5、比較例1〜3 無水フタル酸(PA)とエチレングリコール(EG)か
らなるスラリーを撹拌装置と充填塔を備えた反応缶に投
入し、常圧下で撹拌しながら反応温度 200℃にて、生成
してくる水を反応系外に除去しつつ5時間エステル化反
応を行い、反応率95%のエステル化物(A)を得た。同
様に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコール
(EG)からなるスラリーを撹拌装置と充填塔を備えた
反応缶に投入し、常圧下で撹拌しながら反応温度 200℃
にて、生成してくる水を反応系外に除去しつつ5時間エ
ステル化反応を行い、反応率95%のエステル化物(B)
を得た。また、PETオリゴマーの存在するエステル化
反応缶にテレフタル酸(TPA)とEGのスラリーを連
続的に供給し、反応温度 250℃、圧力50hPa の条件で反
応させ、滞留時間を8時間として、反応率95%のエステ
ル化物(C)を連続的に得た。
【0032】次いで、表1に示したモル比となるよう
に、エステル化物(A)、(B)及び(C)を重縮合反
応缶に移送し、重縮合触媒として三酸化アンチモンを2
×10-4モル/酸成分モルを添加し、反応器の温度を30分
で 265℃に昇温し、反応器内の圧力を徐々に減じて60分
後に 0.13hPa以下にした。この条件下で撹拌しながら重
縮合反応を3時間行い、ポリエステルペレットとして払
い出した。このペレットをサイロに風送し、サイロ内
で、調湿機を用いて水分率 100ppmに調湿した。得ら
れたコポリエステルの特性を併せて表1に示す。
【0033】上記で得たコポリエステルペレットと、高
融点ポリエステルとして極限粘度0.68、融点 256℃のP
ETを用いて、常法により乾燥し、通常の複合溶融紡糸
装置を用いて吐出孔数 230の同心芯鞘型複合紡糸口金に
より、紡糸温度 270℃、吐出量230g/分、複合重量比
1:1で前者が鞘となるように溶融紡糸し、冷却後700m
/分の速度で捲取り複合未延伸糸を得た。
【0034】この未延伸糸を10万デニールのトウに集束
し、延伸温度62℃、延伸倍率 3.2で延伸し、押し込み式
クリンパーで捲縮を与えた後、繊維長51mmに切断して、
繊度4デニールのバインダー繊維を得た。このバインダ
ー繊維30重量%と、繊維長51mm、繊度2デニールのPE
T繊維70重量%とを混綿し、カードに通して50g/m2の目
付のウエブとし、表1に示す各温度で2分間熱処理し不
織布を得た。得られた不織布の評価結果を併せて表1に
示す。 実施例6〜8、比較例4 コポリエステルに両末端封鎖低分子量体を含有させた以
外は、実施例1と同様に行った。まず、平均重合度7の
PETオリゴマーに、PETオリゴマーのOH末端基の
2倍量のCOOH基を含む量の安息香酸を加えて加熱
し、両末端を封鎖した低分子量体を得た。
【0035】次いで、実施例1と同様にして得たコポリ
エステルペレットと上記で得られた両末端封鎖低分子量
体とを、表1に示した割合でドライブレンドし、実施例
1と同様に高融点ポリエステルと溶融紡糸し、複合未延
伸糸を得た。以降、実施例1と同様に行い不織布を得
た。なお、コポリエステルを低分子量体と混練した後、
PETと複合紡糸する前に、コポリエステルのみをサン
プリングした。得られたコポリエステルの特性、不織布
の評価結果を併せて表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、実施例1〜8で
得られた不織布は、良好な強力と風合いを有するもので
あった。
【0038】一方、比較例1は、IPA共重合量が少な
いため、η*が105 Pa・s以下となる温度領域の下
限温度が 200℃を超えるものとなり、また、比較例2及
び4は、鞘成分のPAの割合が少なくて軟化点が高いた
め、η*が105 Pa・s以下となる温度領域の下限温
度が 200℃を超え、 tanδが 0.7に満たないので、いず
れも不織布の製造時に高い熱処理温度が必要で、不織布
の風合いが硬いものであった。
【0039】次に、比較例3は、鞘成分の軟化点が低い
ため、ペレットや未延伸糸の状態での貯蔵時にブロッキ
ングが生じた。また、紡糸時に糸条が密着し、操業性が
非常に劣るものであった。
【0040】
【発明の効果】本発明のポリエステル系バインダー繊維
は、バインダー成分として軟化点又は融点が低く、かつ
軟化時の流動性が良好なコポリエステルを使用している
ので、ポリエステルを主体繊維とする繊維構造物の接着
に適し、接着性に優れたものである。また、本発明の不
織布は、バインダーとして上記の繊維を使用すること
で、風合いがペーパーライクにならず、良好な風合いを
有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における tanδとη*の測定により得ら
れるチャートの例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 tanδ 2 η* 3 tanδの値が0.7以上となる温度領域の下限温度 4 η*の値が105 Pa・s以下となる温度領域の下
限温度

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟化点又は融点が 100〜 200℃であり、
    周波数1Hzで測定した動的粘弾性のtanδが 0.7以
    上及び動的粘度η*が105 Pa・s以下となる温度領
    域の少なくとも一部が 120〜 200℃の間に存在するコポ
    リエステルと、融点が 220℃以上のポリエステルとから
    なり、コポリエステルが繊維表面の少なくとも一部を占
    める複合繊維からなることを特徴とするポリエステル系
    バインダー繊維。
  2. 【請求項2】 コポリエステルが、両末端を封鎖した低
    分子量体を3〜8重量%含有している請求項1記載のポ
    リエステル系バインダー繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のポリエステル系バ
    インダー繊維を10〜90重量%含有することを特徴とする
    不織布。
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