JP2002060471A - ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いたホットメルト型バインダー繊維 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いたホットメルト型バインダー繊維

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JP2002060471A
JP2002060471A JP2000252507A JP2000252507A JP2002060471A JP 2002060471 A JP2002060471 A JP 2002060471A JP 2000252507 A JP2000252507 A JP 2000252507A JP 2000252507 A JP2000252507 A JP 2000252507A JP 2002060471 A JP2002060471 A JP 2002060471A
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polyester
polyester resin
tan
fiber
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Sachiko Ozaki
幸子 尾崎
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
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Nippon Ester Co Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温雰囲気下で使用しても形状を損ねること
なく、かつ、風合いの柔らかな繊維構造物を得ることが
できるポリエステル樹脂組成物、及びそれを用いたホッ
トメルト型バインダー繊維を提供する。 【解決手段】 芳香族ジカルボン酸成分60モル%以上
と、脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は脂肪族ラクトン
40モル%以下、及び脂肪族ジオール成分を主成分とし、
融点が 150〜 200℃であるポリエステル樹脂組成物であ
る。この樹脂組成物は、周波数6.28rad/s 、0〜 100℃
の範囲で動的粘弾性を測定した際の tanδのピーク温度
が40℃以上であり、かつ、30℃における tanδが0.05以
上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた接着性と耐
熱性を有しており、かつ、風合いが良好な接着繊維構造
物を提供することができるポリエステル樹脂組成物及び
ホットメルト型バインダー繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ルーフィング資材、自動車用内装
材、カーペットの基布等に用いる不織布、枕やマットレ
ス等の寝装用品の詰め物、キルティング用の中入れ綿等
の繊維構造物において、構成繊維(以下、主体繊維とい
う。)相互間を接着する目的で、ホットメルト型バイン
ダー繊維が広く使用されている。
【0003】主体繊維としては、比較的安価で、優れた
物性を有するポリエステル繊維が最も多く使用されい
る。これを接着するバインダー繊維もポリエステルとす
ることが好ましく、種々のポリエステル系バインダー繊
維、及びそれを用いて接着したポリエステル繊維構造物
が提案されている(米国特許第 4,129,675号他多数)。
【0004】一般に、ポリエステル系バインダー繊維
は、芯鞘複合繊維となっており、その鞘部にコポリエス
テルを用いる。通常、これらのコポリエステルは明確な
結晶融点を示さない場合が多く、90〜200 ℃で軟化す
る。このようなバインダー繊維は、主体繊維の融点より
もかなり低い温度での熱処理が可能である反面、鞘部が
非晶性であるため、ガラス転移点温度以上の高温雰囲気
下においては、接着点が軟化してしまい、製品の形状を
保持できないという問題があった。
【0005】このような問題を解決する手段として、結
晶融点を示すコポリエステルから成るホットメルト型バ
インダー繊維が提案されている。例えば、特開昭51-125
424号公報には、ポリブチレンテレフタレート/ポリブ
チレンイソフタレート系コポリエステルからなるホット
メルト型接着剤が開示されている。また、特開昭63-270
812 号公報には、テレフタル酸、アジピン酸と1,4-ブタ
ンジオールからなるホットメルト型バインダー繊維が開
示されている。しかし、これらの接着剤やバインダー繊
維を用いて不織布等とした場合、ガラス転移温度以上の
雰囲気下での耐熱性には優れるものの、室温付近の雰温
度囲気下においては、その結晶性のために風合いが硬く
なるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、高温雰囲気下で使用しても形状を損ねること
がなく、かつ、風合いの柔らかな繊維構造物を得ること
ができるポリエステル樹脂組成物、及びそれを用いたホ
ットメルト型バインダー繊維を提供することを技術的な
課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、次の構成を有するものであ
る。 (1) 芳香族ジカルボン酸成分60モル%以上と、脂肪族ジ
カルボン酸成分及び/又は脂肪族ラクトン40モル%以
下、及び脂肪族ジオール成分を主成分とし、融点が150
〜 200℃であるポリエステル樹脂組成物において、周波
数6.28rad/s 、0〜100℃の範囲で動的粘弾性を測定し
た際の tanδのピーク温度が40℃以上であり、かつ、30
℃における tanδが0.05以上であることを特徴とするポ
リエステル樹脂組成物。 (2) 実質的にポリエステルと反応しない末端を有する、
平均分子量 200〜4000のポリアルキレングリコールが、
ポリエステルに対して 0.5〜10質量%含有されている上
記(1) 記載のポリエステル樹脂組成物。 (3) 上記(1) 又は(2) 記載のポリエステル樹脂組成物
と、融点が220 ℃以上のポリマーからなり、前者が繊維
表面の少なくとも一部を占める複合繊維であることを特
徴とするホットメルト型バインダー繊維。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステル樹脂組成物は、芳香族ジカ
ルボン酸成分60モル%以上と、脂肪族ジカルボン酸及び
/又は脂肪族ラクトン40モル%以下、及び脂肪族ジオー
ル成分を主成分とし、融点が 150〜 200℃であることが
必要である。
【0009】融点が 150℃未満になると、融点と雰囲気
温度の差が小さくなり、接着した繊維構造物を高温雰囲
気下で使用する際に、接着強力が低下することがある。
また、融点が 200℃を超えると、繊維構造物を熱接着す
る際の接着温度を高くする必要があり、主体繊維が軟化
して捲縮が損なわれ、繊維構造物の強力が低下してその
形状を損なうことがある。
【0010】芳香族ジカルボン酸成分の割合が60モル%
未満になると、また、脂肪族ジカルボン酸成分又は脂肪
族ラクトンの割合が40モル%を超えたり、あるいは脂肪
族ジカルボン酸成分と脂肪族ラクトンの合計が40モル%
を超えると、ポリエステル樹脂が明確な融点を示さなく
なり、ポリマーの結晶性が低下し、ガラス転移温度も低
下して、実用上取り扱いが困難なものとなる。
【0011】芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェ
ニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等
が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘ
キサデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。脂肪
族ラクトンとしては、炭素数4〜11のラクトン及びこれ
らの単独重合体又は2種類以上の共重合体があり、特に
好適な脂肪族ラクトンとして、ε−カプロラクトンやδ
−バレロラクトンが挙げられる。
【0012】一方、脂肪族ジオールとしては、エチレン
グリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、
1,9-ノナンジオール等が挙げられる。
【0013】本発明のポリエステル樹脂組成物は、周波
数6.28rad/s 、0〜 100℃の範囲で動的粘弾性を測定し
た際の tanδのピーク温度が40℃以上であり、かつ、30
℃における tanδが0.05以上であることが必要である。
tanδのピーク温度が40℃未満になると、ポリエステル
樹脂のガラス転移温度が著しく低下し、実用上取り扱い
が困難となる。また、30℃における tanδが0.05未満に
なると、バインダー繊維を用いて不織布などとした場
合、室温付近の温度雰囲気下において風合いが硬くな
る。
【0014】このような動的粘弾性特性を得るためには
上記のような組成を有するポリエステルに、実質的にポ
リエステルと反応しない末端を有する、平均分子量が 2
00〜4000であるポリアルキレングリコールをポリエステ
ルに対して 0.5〜10質量%含有させることが好ましい。
【0015】ポリアルキレングリコールの平均分子量が
200未満になると、これをポリエステルの重合時に添加
する場合、系外への飛散量が多くなり、その結果、ポリ
マーの30℃における tanδが0.05未満となりやすいため
好ましくない。また、平均分子量が4000を超えると、ポ
リエステルとの相溶性が悪くなり、紡糸時の操業性が著
しく低下することがあるため好ましくない。
【0016】ポリアルキレングリコールの含有量が 0.5
質量%未満になると、ポリエステルにソフト性を付与す
る効果が不十分となり、ポリマーの30℃における tanδ
が0.05未満となりやすいため好ましくない。また、含有
量が10質量%を超えると、周波数6.28rad/s 、0〜 100
℃の範囲で動的粘弾性を測定した際の tanδのピーク温
度が40℃未満になるなどポリエステルの物性が低下した
り、耐光性が低下して繊維構造物が着色することがある
ため好ましくない。
【0017】なお、これらのポリアルキレングリコール
は実質的にポリエステルと反応しない末端を有している
ことが必要である。ポリアルキレングリコールがポリエ
ステルと反応すると、周波数6.28rad/s 、0〜 100℃の
範囲で動的粘弾性を測定した際の tanδのピーク温度が
40℃未満になるなどポリエステルの物性が低下しやすい
ので好ましくない。
【0018】実質的にポリエステルと反応しない末端を
有するポリアルキレングリコールとしては、末端をメチ
ル基又はフェニル基で封鎖したポリエチレングリコール
やポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール
とポリプロピレングリコールの共重合体、ポリテトラメ
チレンエーテルグリコール、ビスフェノールAやビスフ
ェノールSのEO付加体等が挙げられる。
【0019】本発明のポリエステル樹脂として特に好ま
しいものは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とε
−カプロラクトンをモル比90/10〜60/40の割合で用
い、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4-ブタ
ンジオールをモル比80/20〜30/70、好ましくは75/25
〜50/50の割合で用い、末端をメチル基又はフェニル基
で封鎖した、平均分子量が 200〜4000、好ましくは 500
〜2000であるポリアルキレングリコールがポリエステル
に対して 0.5〜10質量%、好ましくは 1.0〜 5.0質量%
含有されているものである。
【0020】本発明のポリエステル樹脂組成物は、例え
ば、次のような方法により製造することができる。ま
ず、温度 230〜 250℃で窒素ガス制圧下、ビス-(β−ヒ
ドロキシエチル)テレフタレート及び/又はその低重合
体(以下、PETオリゴマーと略称する。)の存在する
エステル化反応槽に、グリコール成分/酸成分のモル比
1.1〜 2.0のエチレングリコール(以下、EGと略称す
る。)とテレフタル酸(以下、TPAと略称する。)の
スラリーを添加し、常圧下、滞留時間7〜8時間で、反
応率95%のエステル化反応物を得る。
【0021】このエステル化反応物を重合反応缶に移送
し、ε−カプロラクトン(以下、ε−CLと略称す
る。)と1,4-ブタンジオール(以下、1,4-BDと略称す
る。)及び平均分子量が 500の末端をメチル基で封鎖し
たポリエチレングリコールを所定量添加し、温度 230〜
250℃で、1〜2時間エステル化反応を行う。
【0022】次に、このエステル化物に重合触媒を添加
し、0.01〜13.3hPa 以下の減圧下、温度 250〜 280℃
で、極限粘度が 0.5以上となるまで重縮合反応を行う。
重合触媒は、従来一般に用いられているアンチモン、ゲ
ルマニウム、スズ、チタン、コバルト等の金属の化合物
が好ましい。
【0023】また、本発明の効果を阻害しない範囲であ
れば、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化
剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良
剤、二酸化チタンのような顔料及び酸化セリウムのよう
な耐光剤等の添加物を含有させてもよい。
【0024】次に、本発明のホットメルト型バインダー
繊維は、上記のポリエステル樹脂組成物と、融点が 220
℃以上のポリマーから成り、前者が繊維表面の少なくと
も一部を占める複合繊維とする必要がある。
【0025】後者の融点が 220℃未満になると、紡糸時
に操業性が低下したり、熱接着処理時のバインダー繊維
の熱安定性が悪くなり、不織布などの繊維構造物の物性
が低下する。また、前者が繊維表面に存在していない
と、熱処理によりバインダー繊維の表面が融解せず、バ
インダー繊維としての機能を果たさない。
【0026】バインダー繊維の形態としては、芯鞘型、
サイドバイサイド型、海島構造型などが挙げられるが、
特に芯鞘型は、製糸操業性、コスト、繊維構造物の形態
安定性の面から好ましい。また、バインダー繊維の断面
形状は、丸断面、三角断面、星形断面などが挙げられる
が、接着点の面積が大きくなることから丸断面が好適に
用いられる。
【0027】本発明のホットメルト型バインダー繊維
は、例えば、次のような方法により製造することができ
る。本発明のポリエステル樹脂組成物(低融点ポリエス
テル)と高融点ポリエステルをそれぞれ常法により乾燥
させ、同心芯鞘型複合溶融紡糸装置を用いて、紡出速度
700〜1000m/分にて紡糸した後、集束し、60〜80℃の加
熱ローラを使用して3〜5倍に延伸し、これを押し込み
式クリンパーにて捲縮を与えた後、カッターにて30〜10
0mm に切断する。
【0028】
【作用】本発明のポリエステル樹脂組成物及びそれを用
いたホットメルト型バインダー繊維が、高温雰囲気下で
使用しても形状を損ねることがなく、かつ、風合いの柔
らかな繊維構造物を提供することができる理由につい
て、本発明者らは次のように推定している。本発明のホ
ットメルト型バインダー繊維は、結晶性を有するポリエ
ステル(低融点ポリエステル)を熱接着成分としてい
る。このため、熱接着時はバインダー成分が十分に溶融
流動して主体繊維を接着し、固化時に結晶化する。した
がって、バインダー成分の融点付近の温度までは接着強
力が低下することなく、高温雰囲気下で使用してもその
形状を保持することが可能になる。
【0029】また、低融点ポリエステルは、周波数6.28
rad/s 、0〜 100℃の範囲で動的粘弾性を測定した際の
tanδのピーク温度が40℃以上であり、かつ、30℃にお
けるtanδが0.05以上であるため、ポリエステルチップ
やバインダー繊維の融着などのハンドリング面での問題
がなく、かつ、室温付近の温度雰囲気下での分子の運動
性は良好であり、バインダー繊維を用いて不織布などと
した場合にも、柔らかさがあり、風合いが良好となる。
【0030】上記のようなポリエステルを得るために、
本発明においては、好ましくは実質的にポリエステルと
反応しない末端を有する、平均分子量が 200〜4000であ
るポリアルキレングリコールを添加している。一般に、
ポリエステル樹脂のヤング率を下げ、ソフト性を持たせ
るには、分子量の比較的大きな長鎖脂肪族を共重合する
方法が知られているが、長鎖脂肪族の共重合を行うと、
ガラス転移温度の低下や、結晶性の低下など種々のポリ
マー物性が低下するため、バインダー繊維のブロッキン
グや不織布の耐熱性の低下といった問題が生じる。
【0031】しかし、本発明においては、好ましくは実
質的にポリエステルと反応しない末端を有するポリアル
キレングリコールを添加するため、ポリアルキレングリ
コール自体はポリエステルと反応せず、ポリマー物性を
低下させることがない。ポリマー中に組み込まれた形に
なったポリアルキレングリコールは、ポリエステルの分
子鎖の間に入り込んで可塑剤として働くので、ポリエス
テルの物性を低下させることなく、柔らかさを有するポ
リマーを得ることが可能になるものと認められる。
【0032】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値の測定法と評価方法は、
次のとおりである。 (a) 極限粘度(〔η〕) フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶
媒とし、温度20℃で測定した。 (b) 融点 パーキンエルマー社製示差熱走査熱量計DSC-7型を用
い、昇温速度20℃/分で測定した。 (c) ポリマー組成 日本電子社製NMR JNM-LA400型FT-NMRで測定した。 (d)tanδ ポリマーを5mm×35mm×1mmに成形し、レオメトリック
社製粘弾性アナライザーRSAII を用い、周波数6.28rad/
s 、温度0〜 100℃の間で測定した。 (e) 不織布強力 本発明により得られたホットメルト型バインダー繊維か
らなるポリエステル短繊維30重量%と、通常のポリエチ
レンテレフタレート短繊維70重量%とを混綿し、カード
をかけた後、目付けを50g/m2のウエブとし、 200℃の回
転乾燥機で2分間熱処理して不織布を得た。この不織布
を幅25mm、長さ 100mmの試料とし、オリエンテック社製
定速伸長型引っ張り試験機 UTM-4-100型を用い、測定温
度 120℃、引張速度 100mm/分で強力を測定した。 (f) 不織布の風合い 10人のパネラーによる官能試験により、次の3段階で評
価した。 1:軟らかい 2:ふつう 3:硬い 10人中、7人以上が1又は2であれば合格、4人以上が
3であれば不合格とした。
【0033】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPA
とEGのスラリー(モル比1/1.6)を連続的に供給し、
温度 250℃、圧力 0.1MPaGの条件で反応させ、滞留時間
を8時間として、反応率95%のエステル化物を連続的に
得た。
【0034】これを重縮合反応缶に移送し、表1に示す
組成となるようにε-CL と1,4-BDを添加し、さらに平均
分子量が 500の末端をメチル基で封鎖したポリエチレン
グリコールを所定量添加し、重縮合触媒として、テトラ
ブチルチタネートを2×10-4モル/酸成分モル添加し、
温度 200℃、圧力0.1MPaの条件で撹拌しながらエステル
化反応を1時間行った。次いで、反応缶内の温度を30分
で 240℃に昇温し、反応缶内の圧力を徐々に減じて70分
後に1.2hPa以下とした。この条件下で撹拌しながら重縮
合反応を3時間行い、表1に示す物性を有するポリエス
テル樹脂組成物を得た。
【0035】上記のポリエステル樹脂組成物と極限粘度
0.68、融点 256℃のポリエチレンテレフタレートを、同
心芯鞘型複合溶融紡糸装置を用いて、吐出孔数 225の紡
糸口金により、紡糸温度 270℃、吐出量227g/分、複合
重量比1:1で、前者が鞘となるように溶融紡糸し、冷
却後、700m/分の速度で巻き取り、複合未延伸糸を得
た。この未延伸糸を11万デシテックスのトウに集束し、
延伸温度62℃、延伸倍率3.2で延伸し、押し込み式クリ
ンパーにて捲縮を与えた後、長さ51mmに切断して繊度4
デシテックスのバインダー繊維を得た。
【0036】実施例2〜8、比較例1〜6 ポリマーの酸成分、ジオール成分とポリアルキレングリ
コールの種類、平均分子量、添加量を表1に示すように
種々変更した以外は、実施例1と同様に行った。実施例
1〜8及び比較例1〜6において、得られたポリエステ
ル樹脂組成物のポリマー組成、〔η〕、融点、 tanδ、
不織布強力、不織布の風合いを表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1から明らかなように、実施例1〜8で
は、得られたポリマーは 150〜 180℃の間で明確な融点
が存在し、動的粘弾性測定の結果、 tanδのピーク温度
が40℃以上、30℃における tanδが0.05以上となった。
また、このポリマーなどをバインダー繊維として用いた
不織布は、高温雰囲気下においても十分な不織布強力を
有しながら、室温付近の温度雰囲気下では風合いが柔ら
かなものであった。
【0039】一方、比較例1では、芳香族ジカルボン酸
成分の割合が低すぎたため、得られたポリマーは結晶性
が低下して明確な融点を示さなくなり、 120℃での不織
布強力が測定できなかった。比較例2では、ジオール成
分の組成の選択が不適切だったため、得られたポリマー
は融点が 200℃を超えるものとなり、 200℃の熱処理で
は不織布とすることができなかった。比較例3では、末
端をメチル基で封鎖したポリエチレングリコールの平均
分子量が小さすぎたため、ポリエチレングリコールの系
外への飛散量が多くなり、また、得られたポリマーの30
℃での tanδが0.05未満となり、不織布の風合いも硬い
ものとなった。比較例4では、末端をメチル基で封鎖し
たポリエチレングリコールの平均分子量が大きすぎたた
め、ポリマーとの相溶性が悪くなり、紡糸時の操業性が
著しく低下し、バインダー繊維を得ることができなかっ
た。比較例5では、末端をメチル基で封鎖したポリエチ
レングリコールの添加量が少なすぎたため、得られたポ
リマーの30℃での tanδが0.05未満となり、不織布の風
合いも硬いものとなった。比較例6では、末端をメチル
基で封鎖したポリエチレングリコールの添加量が多すぎ
たため、得られたポリマーの tanδピーク温度は40℃未
満となり、紡糸時の操業性が著しく低下し、バインダー
繊維を得ることができなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、高温雰囲気下で使用し
ても形状を損ねることがなく、かつ、風合いの柔らかな
繊維構造物を得ることができるポリエステル樹脂組成物
及びそれを用いたホットメルト型バインダー繊維が提供
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA47 AB09 AB11 AB21 AC84 AE02 EA02 4J002 CF031 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 CF191 CH022 FD022 GK01 4J029 AA02 AA03 AB04 AB07 AC02 AD01 AD06 AD10 AE02 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 CA02 CA06 CB04A CB05A CB06A CB10A CC05A CC06A CF15 EG04 EG06 EG08 EG09 EG10 HA01 HB01 HD03 JE183 JF321 JF361 JF371 JF471 JF571 KD01 KD07 KE03 KE05 4L041 AA07 BA02 BA05 BA21 BA22 BC04 BD04 CA06 CA15 DD01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸成分60モル%以上
    と、脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は脂肪族ラクトン
    40モル%以下、及び脂肪族ジオール成分を主成分とし、
    融点が 150〜 200℃であるポリエステル樹脂組成物にお
    いて、周波数6.28rad/s 、0〜 100℃の範囲で動的粘弾
    性を測定した際の tanδのピーク温度が40℃以上であ
    り、かつ、30℃における tanδが0.05以上であることを
    特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 実質的にポリエステルと反応しない末端
    を有する、平均分子量 200〜4000のポリアルキレングリ
    コールが、ポリエステルに対して 0.5〜10質量%含有さ
    れている請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のポリエステル樹脂
    組成物と、融点が220 ℃以上のポリマーからなり、前者
    が繊維表面の少なくとも一部を占める複合繊維であるこ
    とを特徴とするホットメルト型バインダー繊維。
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