JP2019157306A - 嵩高柔軟不織布 - Google Patents

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晃久 福永
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貢大 新町
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Abstract

【課題】衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に適したホットメルト塗工や吸収物品であるSAPの裏抜けが防止でき、生産性が良く、工程適正の良いポリオレフィン系繊維からなる嵩高柔軟不織布の提供。【解決手段】全面にわたりエンボス加工された複数のエンボス部を有する不織布であって、任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離がいずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、かつ、該不織布の全面積に占める該エンボス加工による圧着部の面積割合が8%以上14%未満である前記不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に適したホットメルト塗工や吸収物品であるSAPの裏抜けが防止でき、生産性が良く、工程適正の良いポリオレフィン系繊維からなる嵩高柔軟不織布に関する。
近年、使い捨てオムツの普及はめざましく、その生産量も急増してきている。その使い捨てオムツに使用される不織布の性能として柔軟性と耐毛羽立ち性が主に求められてきた。そして、2つの要求性能を両立するためにエンボスを工夫する取り組みがなされてきた。
例えば、以下の特許文献1には、エンボス部が、エンボスラインによって区画された単位パターンを有するエンボスパターンから構成され、前記エンボスラインが、複数のエンボス要素部を所定間隔離間して連続的に配置して構成されており、前記単位パターン内の非エンボス部の任意の箇所から前記非エンボス部を区画するエンボスラインの外方に向かって最短となる方向において、前記複数のエンボス要素部の少なくとも一つが、前記任意の箇所から前記非エンボス部を区画するエンボスラインの外方に向かって最短となる方向を遮るように配設されることで、耐毛羽立ち性、柔軟性、引張強度のバランスに優れる不織布が提案されている。
また、以下の特許文献2には、吸収体向けではあるが、エンボス1個の大きさや、エンボスライン同士の距離を最適化することで、嵩高性を確保する方法が提案されている。
他方、近年、不織布の薄目付化や柔軟化が進むことで、オムツ製造ラインにおいて、ホットメルト剤や吸収体であるSAPが不織布から裏抜けし、工程を汚してしまう事からラインを停止する問題がしばしば起こっている。
そこで、以下の特許文献3では、柔軟性とホットメルト剤の裏抜け防止を防ぐために、通気性フィルムと、該通気性フィルムを構成する樹脂の融点と同じ、もしくは該融点より低い融点を有する樹脂を含む繊維からなる不織布とを積層し、エンボス面積率5〜20%、角部のないエンボスパターンのエンボス加工により熱融着してなる透湿性シートが提案されている。
しかしながら、不織布単体で融点の違う樹脂を用いる際には、工程の煩雑化や、紡糸性の悪化、リサイクルのし難さがあった。また、通気性フィルムと組合せて実施する際も加工工程の煩雑化や不織布メーカー単体では実施し難いという問題があった。
国際公開第2011/122277号 特開2013−252331号公報 特開平10−16115号公報
前記した従来技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に適したホットメルト塗工や吸収物品であるSAPの裏抜けが防止でき、生産性が良く、工程適正の良いポリオレフィン系繊維からなる嵩高柔軟不織布を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、全面にわたりエンボス加工された複数のエンボス部を有する不織布であって、任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離がいずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、かつ、該不織布の全面積に占める該エンボス加工による圧着部の面積割合が8%以上14%未満であれば、不織布の柔軟性を維持しつつ、ホットメルト剤やSAPの裏抜けを抑制できる不織布を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]全面にわたりエンボス加工された複数のエンボス部を有する不織布であって、任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離がいずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、かつ、該不織布の全面積に占める該エンボス加工による圧着部の面積割合が8%以上14%未満である前記不織布。
[2]荷重負荷面積7.1cmで5g荷重したときの厚みが0.2mm以上である、前記[1]に記載の不織布。
[3]前記エンボス部のパターン形状が、真円又は楕円である、前記[1]又は[2]に記載の不織布。
[4]前記圧着部単体の面積が0.3mm以上0.8mm未満である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布。
[5]不織布の持つ斑の中で糸密度が低くて穴状に見える箇所を布断面で観察した際に厚み方向に存在する糸本数が3〜5本の箇所の厚みが110μm以上である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布。
従来技術は、布強度、柔軟性、耐毛羽性を中心にエンボスを設計していたため、エンボスの輪郭同士の最短距離が短くなり過ぎたり、長くなり過ぎたりして、厚みの観点でのエンボスの最適化はされてこなかったため、ホットメルトの裏抜けに繋がるという問題があった。これに反し、本発明の不織布は、エンボスの輪郭(すなわち、エンボス部と非エンボス部との境界)同士の最短距離を適正範囲に収めることで、ふんわりした嵩高さを実現している。エンボスの輪郭同士の最短距離が短過ぎないことで、エンボス加工前の堆積した糸の集合体が本来持つ嵩高性を失わない。また、エンボスの輪郭同士の最短距離が長過ぎないことにより、エンボス加工前の糸の持つ配向角度を変化させて、布の厚み方向に傾いた糸を一定間隔で保有することで布としての厚みを増幅できている。さらに、不織布の全面積に占める圧着部の面積割合を一定範囲に収めることで、柔軟性と耐毛羽性の双方に優れた不織布となっている。
それゆえ、本発明の不織布は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に適したホットメルト剤の裏抜けやSAP漏れを抑制するのに優れ、且つ生産性の良い嵩高柔軟不織布である。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本実施形態の不織布は、全面にわたりエンボス加工された複数のエンボス部を有する不織布であって、任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離がいずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、かつ、該不織布の全面積に占める該エンボス加工による圧着部の面積割合が8%以上14%未満であることを特徴とする。
不織布を構成する繊維は、特に限定はされず、セルロースなどの天然繊維、レーヨンなどの再生繊維、及び熱可塑性重合体からなる合成繊維などから選ばれる繊維である。これら繊維の中でも、合成繊維が不織布の製造に適しているので好ましい。
合成繊維の原料となる熱可塑性重合体は、繊維化して不織布を製造できるものであれば、特に限定されない。
具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系ポリマー類、ポリスチレン系エラストマー、ポリエステル類、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド類、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリ乳酸などを挙げることができる。これら熱可塑性重合体は、二種以上の組合せ、あるいは二種以上の組成物であってもよい。
ポリオレフィン系繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びそれらのモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂から成る繊維が挙げられる。ポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のもの、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらは1種類単独でも2種類以上を組み合わせてもよい。ポリオレフィン系樹脂を表面層とする芯鞘繊維なども挙げられるが、強度が強く使用時において破断しにくく、且つ衛生材料の生産時における寸法安定性に優れることからポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。また、その繊維形状も通常の円形繊維のみでなく、捲縮繊維および異形繊維などの特殊形態の繊維も含まれる。
熱可塑性重合体には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、滑剤、核剤、顔料、親水剤、撥水剤、助剤等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
本実施形態の不織布は、特に限定はされず、種々公知の不織布、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等、種々公知の不織布を挙げることができる。
これら不織布の中でも、スパンボンド不織布が、長繊維から構成され、しかも紡糸からエンボス加工まで連続工程で効率的に処理できること、及び、メルトブロー不織布などその他の不織布との複合が容易であることから好ましい。エンボス加工とは、全幅にわたって彫刻されたエンボスロールとフラットロールで圧力と温度を調整し、部分的に熱圧着を行なうことを言う。
本実施形態の不織布を構成する繊維の平均単糸繊度は、0.5dtex以上3dtex以下が好ましく、より好ましくは0.7dtex以上1.4dtex以下である。紡糸安定性の観点から0.7dtex以上、衛生材料に使用される不織布の強力の観点から3.0dtex以下であることが好ましい。更に不織布の曲げ柔軟度は、重要な因子であり、不織布を構成する繊維の平均単糸繊度が細いほど柔軟化する傾向である。
本実施形態の不織布の目付は10g/m以上40g/m以下が好ましく、より好ましくは11g/m以上30g/m以下、さらに好ましくは13g/m以上25g/m以下である。10g/m以上であれば衛生材料に使用される不織布としては強力とホットメルト剤の裏抜け抑制を満足し、40g/m以下であれば、衛生材料に使用される不織布の柔軟性を満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えない。
本実施形態の不織布の任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離は、厚み保持、耐毛羽性、および柔軟性の点から、いずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、より好ましくは2.5mm以上3.5mm以下である。最短距離が1.8mm未満であると、耐毛羽性は確保できるが、厚みと柔軟性が損なわれ、他方、4.5mm以上であると、柔軟性は確保できるが、厚みと耐毛羽性が損なわれる。
本実施形態の不織布の該エンボス加工による部分熱圧着における熱圧着面積率は、厚み保持、耐毛羽性、及び柔軟性の点から、8%以上14%未満であり、好ましくは8%以上12%未満である。圧着面積率が8%未満である場合、耐毛羽性が確保できず、他方、14%以上であると、柔軟性が損なわれてしまう。
本実施形態の不織布の荷重負荷面積7.1cmで5g荷重したときの厚みは、0.20mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.21mm以上、さらに好ましくは0.22mm以上である。厚みが0.20mm未満であると、ホットメルト剤の裏抜けが起き易い。
本実施形態の不織布の圧着部単体の面積は、0.3mm以上0.8mm未満が好ましく、より好ましくは0.4mm以上0.8mm未満、さらに好ましくは0.5mm以上0.8mm未満である。かかる面積が0.3mm未満であると、圧着面積率を所定の範囲とさせるためにエンボスパターンが細かくなり、厚みや柔軟性が損なわれ、他方、0.8mm以上であると、所定の圧着面積率を所定の範囲とさせるためにエンボスパターンが粗くなり、厚みや耐毛羽性が損なわれる。
前記エンボス加工による圧着部の形状は、例えば、真円、楕円、三角形や四角形などの多角形、Y型、星型、ハート型などがあるが、特に限定されるものでは無い。更には、これらの組み合わせによる複数の形状が混在したパターンでもよい。真円、楕円の単一パターンが高生産機における品質と設備の維持に適している。
本実施形態の不織布のエンボス部の厚みは、10μm以上100μm未満が好ましく、より好ましくは20μm以上60μm未満である。他方、非エンボス部の厚みは、110μm以上が好ましく、より好ましくは170μm以上、さらに好ましくは230μm以上である。
本実施形態の不織布には、親水化剤を適用してもよい。かかる親水化剤としては、人体への安全性、工程での安全性等を考慮して、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルフェノール等のエチレンオキサイドを付加した非イオン系活性剤、アルキルフォスフェート塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系活性剤等が単独で又は混合物として好ましく用いられる。
親水化剤の付着量は、要求される性能によって異なるが、通常は、不織布を構成する繊維に対して0.1重量%以上1.0重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.15重量%以上0.8重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上0.6重量%以下である。付着量がこの範囲にあると、衛生材料のトップシートとしての親水性能を満足し、加工性も良好となる。
親水化剤を塗布する方法としては、通常、希釈した親水化剤を用いて、浸漬法、噴霧法、コーティング(キスコーター、グラビアコーター)法等の既存の方法を採用することができ、必要により予め混合した親水化剤を、水等の溶媒で希釈して塗布することが好ましい。
親水化剤を水等の溶媒で希釈して塗布すると、乾燥工程を必要とする場合がある。その際の乾燥方法としては、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法を採用することができ、熱風や赤外線による乾燥や熱接触による乾燥方法等を用いることができる。
本実施形態の不織布の製造方法は、特に限定されないが、主に衛生材料に使用されるため、強度の観点から、スパンボンド法であることが好ましい。
本実施形態の不織布は、ホットメルト剤の裏抜けやSAP漏れが防止できることから衛生材料の製造に好適に使用することができ、衛生材料としては、使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットが挙げられ、それらの表面のトップシート、外側のバックシート、足回りのサイドギャザー等に好適に使用される。
また、本実施形態の不織布の用途は前記用途に限られず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどに使用することもできる。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。尚、各特性の評価方法は下記のとおりであった。
1.平均単糸繊度(dtex)
生産された不織布の両端10cmを除き、幅方向にほぼ5等分して1cm角の試験片をサンプリングし、顕微鏡で繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から繊度を算出した。
2.目付(g/m
JIS−L1906に準じ、タテ20cm×ヨコ5cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して求めた。
3.MFR(g/10分)
メルトインデクサー(東洋精機社製:MELT INDEXER S−101)溶融流量装置を用い、オリフィス径2.095mm、オリフィス長0.8mm、荷重2160g、測定温度230℃の条件で一定体積分を吐出するのに要する時間から10分間当たりの溶融ポリマー吐出量(g)を算出して求めた。
4.低荷重厚み(mm)
プレッサーフートの大きさが7.1cmの測定機を用いて、5gfの荷重のもとで、厚さが落ち着くまでの適当な時間(10秒程度)放置して、試料片を幅方向等間隔で5箇所測定し、その平均値を厚みとした。
5.剛軟度(mm)
JIS−L1096(6.19.1 A法 項)に準拠して、JIS Z8703(試験場所の標準状態)に規定する温度20±2℃、湿度65±2%の恒温室内で幅20mm×150mmの試験片を機械方向(MD)で5枚採取し、45°の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。
次に、手動により試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したとき他端の位置の移動長さをスケールによって読む。剛軟性(剛軟度)は試験片の移動した長さ(mm)で示され、それぞれ5枚の裏表について測定し、平均値で表した。このような、いわゆる45°カンチレバー法による測定では、試験片の移動した長さ(mm)が短いほど不織布に柔軟性があると判断される。
6.耐毛羽性
MD、CD方向に25mm×300mmの試験片を採取し、日本学術振興会型堅牢度試験機を用いて、摩擦子の荷重が200g、摩擦子側には同布を使用し、50回動作をさせて、以下の評価基準に従って、耐毛羽性を等級付けた。
1.0級:試験片が破損するほど繊維が剥ぎ取られる
2.0級;試験片が薄くなるほど甚だしく繊維が剥ぎ取られる
2.5級:毛玉が大きくはっきりと見られ、複数箇所で繊維が浮き上がり始める
3.0級:はっきりとした毛玉ができ始め、または小さな毛玉が複数見られる
3.5級:繊維が3〜5本程度、もしくは数ヶ所に小さな毛玉ができ始める程度に毛羽立っている
4.0級:繊維が1〜2本程度、もしくは一ヶ所に小さな毛玉ができ始める程度に毛羽立っている
5.0級:毛羽立ちがない。
7.ホットメルト(HM)剤裏抜け量(mg/30min)
巻出機と巻取機を有する布の繰出しラインにノードソン製ホットメルト剤塗布装置を設置し、ノズルはコントロールコートを使用、吐出温度160℃に設定し、その温度で粘度40000mPa・sのホットメルト剤を用いた。布への塗布量は、30g/mとなるように調整し、ライン速度は20m/minで実施した。塗工ヘッドから布までの距離は30mmとし、延伸ガスである加熱空気は、160℃に調整した。塗工面と逆の布面に接する固定ガイドロールを塗工部から水平方向下流側300mmに配置し、30minの間で固定ロールに転写したホットメルト剤の裏抜け重量を測定した。
8.圧着部形状、圧着部直径、圧着部単体の面積、圧着部面積率、「任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離」
顕微鏡下の画像で距離や面積を測定できる顕微鏡(キーエンス製VHX−5000)にて不織布表面をエンボス面側から観察してディスプレイ上に圧着部が10個程度写る倍率に設定して形状を確認し、下記の通り各種計測する。圧着部が真円である場合、圧着部直径はエンボス部の非エンボス部との境界を確認し、円の対角線で10点計測し、平均値を採用する。圧着部単体の面積は、真円の場合は、(直径)×π/4で算出される。複雑な形状の場合は、顕微鏡の面積測定ツールを用いてエンボス部の非エンボス部との境界を囲って測定する。上記同様10点の平均を採用する。圧着部面積率は、測定した圧着部単体のエンボス面積とディスプレイ内に投影されている圧着部の個数を積算し、ディスプレイの面積で除する。「任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離」は、顕微鏡下で任意のエンボス部を選定し、そこから近い4つのエンボスを選定する。そして、選定した1つ目のエンボス部と任意のエンボス部の輪郭間距離が目視で短いと確認される付近の距離を計測ツールで10点以上測定し、その最小値を最短距離とする。同様にして、選定したその他3点のエンボスについても任意のエンボスとの輪郭同士の最短距離を計測する。
9.「不織布の持つ斑の中で糸密度が低くて穴状に見える箇所を布断面で観察した際に厚み方向に存在する糸本数と糸本数が3〜5本の箇所の厚み」、エンボス部と非エンボス部の厚み
不織布を目視で観察し、穴状に見える箇所を選定し、穴状箇所が中心付近にくる状態で3cm角に切り取る。切り取った不織布を液体窒素に入れて凍結させ、取り出した後、カッターナイフなどの鋭利な刃物にて穴状箇所を通る不織布断面を出す。穴状箇所の断面が観察できるようにSEM観察用の台座に貼り付け、SEMにて不織布の穴状箇所を観察し、厚み方向に存在する糸本数をカウントする。糸本数が3〜5本であれば、その内の最表裏面に位置する2本の糸の距離を計測ツールにて10点測定し、平均値を厚みとして導出する。エンボス部と非エンボス部の厚みは、上記同様に凍結断面をSEMで観察、10点計測した平均値を導出する。エンボス部は、糸が一体化されてフィルム状となっているため、一目瞭然に断定できる。非エンボス部は、2つのエンボス部に挟まれた状態で必ず観察され、こちらも断定は容易である。
[実施例1]
MFRが33g/10分のポリプロピレン樹脂を用い、スパンボンド法により、吐出量0.56g/分・Hole、紡糸温度255℃で、フィラメント群を移動捕集面に向けて押し出し、長繊維ウェブを調整した(紡糸速度5000m/分、平均単糸繊度1.1dtex)。次いで、得られたウェブを、フラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.72mm円形、千鳥配列、圧着面積率8.0%、圧着部中心間隔4.19mm)の間に通して熱と圧力を温度と線圧で調整して繊維同士を接着し、目付17g/mの不織布を得た。
得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[実施例2]
エンボスロールのパターン仕様を直径0.72mm円形、千鳥配列、圧着面積率9.5%、圧着部中心間隔3.86mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[実施例3]
エンボスロールのパターン仕様を直径1.00mm円形、千鳥配列、圧着面積率11.6%、圧着部中心間隔3.68mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[実施例4]
エンボスロールのパターン仕様を直径1.00mm円形、千鳥配列、圧着面積率8.0%、圧着部中心間隔4.43mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[実施例5]
目付を15g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[実施例6]
目付を13g/mにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[比較例1]
エンボスロールのパターン仕様を直径0.55mm円形、千鳥配列、圧着面積率10.6%、圧着部中心間隔2.12mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[比較例2]
エンボスロールのパターン仕様を直径0.55mm円形、千鳥配列、圧着面積率4.4%、圧着部中心間隔3.30mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[比較例3]
エンボスロールのパターン仕様を直径0.75mm円形、千鳥配列、圧着面積率4.5%、圧着部中心間隔4.43mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[比較例4]
エンボスロールのパターン仕様を直径1.00mm円形、千鳥配列、圧着面積率14.4%、圧着部中心間隔3.30mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
[比較例5]
エンボスロールのパターン仕様を直径1.00mm円形、千鳥配列、圧着面積率5.0%、圧着部中心間隔5.60mmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布を作製した。得られた不織布の特性を以下の表1に示す。
Figure 2019157306
本発明の不織布は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート、バックシート又はサイドギャザー部に適したホットメルト剤の裏抜けやSAP漏れを抑制するのに優れ、且つ生産性の良い嵩高柔軟不織布である。それゆえ、本発明の不織布は、ホットメルト剤の裏抜けやSAP漏れが防止できることから衛生材料の製造に好適に使用することができ、衛生材料としては、使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットが挙げられ、それらの表面のトップシート、外側のバックシート、足回りのサイドギャザー等に好適に使用される。また、本発明の不織布の用途は前記用途に限られず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどに使用することもできる。

Claims (5)

  1. 全面にわたりエンボス加工された複数のエンボス部を有する不織布であって、任意のエンボス部に隣接する近い方から4つのエンボス部の非エンボス部との境界から該任意のエンボス部の非エンボス部との境界までの最短距離がいずれも1.8mm以上4.5mm未満であり、かつ、該不織布の全面積に占める該エンボス加工による圧着部の面積割合が8%以上14%未満である前記不織布。
  2. 荷重負荷面積7.1cmで5g荷重したときの厚みが0.2mm以上である、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記エンボス部のパターン形状が、真円又は楕円である、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記圧着部単体の面積が0.3mm以上0.8mm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 不織布の持つ斑の中で糸密度が低くて穴状に見える箇所を布断面で観察した際に厚み方向に存在する糸本数が3〜5本の箇所の厚みが110μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
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