JP6542974B2 - 肌触り感に優れた長繊維不織布 - Google Patents

肌触り感に優れた長繊維不織布

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Description

本発明は、肌触りが良く、皮膚に対する物理刺激が少なく、嵩高性の、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維の部分熱圧着不織布に関する。
一般に紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料用トップシートのように、肌に接する部分に使用される素材には、柔らかな風合いを有し、毛羽立ちによる痒み、ちくちく感、痛み等がなく、肌触り感がよいことが重要視される。中でも、肌に対する物理刺激が少ないことが重要である。物理刺激には、繊維の末端部や繊維から生ずる毛羽による刺激およびそれらに起因する擦過刺激等が挙げられる。
短繊維を熱スルーエアー法にて繊維の交差部を熱融着してシート化した不織布(以下、「スルーエアー不織布」ともいう。)は、風合いがふんわりとして柔らかく、繊維の交差部が熱融着されているので毛羽の発生も少ないためにこれらの用途に多く用いられてきた。しかしながら、この不織布は短繊維で構成されているため、繊維端が表面に存在して、ちくちくした肌触り感があり、さらに繊維端が肌を摩擦したとき擦過刺激の原因となる等、物理刺激の面で満足なものではなかった。
短繊維をエンボスロール等によって部分的に熱融着された不織布(以下、「ポイントボンド不織布」ともいう。)は、スルーエアー不織布と同様に繊維端が表面に存在するため物理刺激の面で十分でないばかりでなく、スルーエアー不織布に比べて繊維交点全てが接着しているわけではないため、毛羽立ちが発生しやすく、風合いも劣るものであった。
他方、長繊維不織布をエンボスロール等によって熱圧着した長繊維不織布は、短繊維端が表面に出ることはなく、繊維端による物理刺激は起こりにくいが、表面の毛羽立ちを防止するために過剰な熱圧着が行われており、そのため風合いが硬く、ザラザラした肌触り感を与えるばかりでなく、熱圧着部の周辺部が物理刺激の原因となっていた。
以下の特許文献1及び2には、耐毛羽立ち性が良好で風合いの良い熱可塑性複合繊維による不織布が開示されている。しかしながら、毛羽立ち性を向上させるために、熱エンボスによって熱可塑性繊維を扁平化して点熱圧着されており、扁平化した熱融着部が存在し、不織布の嵩高さが損なわれ、風合いの劣るものであった。更には熱融着部が硬いため、摩擦による物理刺激が大きなものであった。
また、以下の特許文献3には、特定の熱圧着形状にて部分熱圧着された長繊維不織布に、特定のポリエーテル化合物と特定のポリエーテル変性シリコンを併用したポリオレフィン系不織布が開示されている。開示された不織布は、耐毛羽立ち性が良好で摩擦による物理刺激が低いものとなっているが、ポリプロピレン繊維を熱エンボスによってのみ接合されているため、耐毛羽性を良好とするためには、熱融着部を多くする必要があり、嵩密度が高く、ふっくらとした柔らかさを有しておらず、これらの点で充分ではなかった。
特開2001−355176号公報 特開2000−290866号公報 特開2003−52752号公報
本発明が解決しようとする課題は、衛生材料に用いられる吸収性物品のトップシート又はバックシート部材に適した、肌触りが良く、ふんわりとした柔らかさを有し、皮膚に対する物理刺激が少ない嵩高性の長繊維不織布を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維で構成された不織布で、不織布の製造工程における接合前の不織ウェブの通気度、接合時の熱風温度と風速をある範囲とすることで熱風が不織ウェブの嵩を維持した状態で貫通することができ、繊維交点を接着させることにより耐毛羽性向上と、嵩密度を維持することができることを見出し、皮膚に対する物理刺激の小さい衛生材料として好適に使用することができる不織布を提供するに至ったものである。
すなわち、本発明は下記の通りのものである。
[1]2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維の部分熱圧着不織布であって、熱圧着部形状指数が0.05以上1.9未満であり、疑似皮膚モデルの最大擦過傷深さが10μm以下であり、かつ、積算擦過傷深さが80μm以下であることを特徴とする前記不織布。
[2]前記不織布の表面毛羽指数が3以上である、前記[1]に記載の不織布。
[3]前記不織布の摩擦係数の変動値(MMD)の縦横平均値が0.015以下である、前記[1]又は[2]に記載の不織布。
[4]前記不織布のX線CTによる厚み方向の配向指標が0.43以下であり、且つ嵩密度が0.01以上0.07g/cm以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の不織布。
[5]前記不織布の圧縮仕事量WCが0.20以上1.00gf/cm/cm以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の不織布。
[6]前記複合長繊維はサイドバイサイド型又は偏芯型である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の不織布。
[7]前記2種の熱可塑性樹脂はいずれもポリオレフィン系樹脂である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の不織布。
[8]前記不織布は親水化剤を含有している、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の不織布。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の不織布を含む衛生材料。
本発明の不織布は、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維で構成された不織布であって、該不織布が特定の摩擦特性と熱圧着部形状指数を示すように、該不織布を構成する繊維の接着程度を調整することで達成された、皮膚に対して物理刺激が小さく、耐毛羽性が良好で、風合いの柔らかい衛生材料として好適に使用することができるものである。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本実施形態の不織布を構成する複合長繊維は、2種以上の熱可塑性樹脂の組み合わせからなる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−66、共重合ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性樹脂などが挙げられる。所望の作用効果を奏する限り、前記熱可塑性樹脂の何れの組合せでも可能であるが、繊維同士の接合性の観点から、融点差のある熱可塑性樹脂の組合せが好ましい。
なかでも風合いの観点から、ポリオレフィン系樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのモノマーと他のα−オレフィンとの共重合体などの樹脂から組み合わせた複合繊維があげられる。他のα−オレフィンとしては、炭素数3〜10のものであり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
本実施形態の熱可塑性複合繊維の繊維形状は、サイドバイサイド型(S/S)、偏芯型(偏S/C)であることが捲縮糸を容易に得られることから好ましい。偏芯型の芯部は繊維表面に出ていてもよく、繊維表面における芯部の占める面積率は0〜50%が好ましく、更に好ましくは0〜30%である。繊維表面を形成する芯部の比率が低い程、接着に起因する鞘部の比率が高くなり、高い強度と毛羽抑制性が得られるものとなる。また、繊維の強度の観点から、熱可塑性樹脂の組合せで融点の高い方の樹脂が繊維内に占める重量比率は20wt%以上80wt%以下であり、好ましくは30wt%以上80wt%以下、更に好ましくは50wt%以上70wt%以下である。
繊維形状は、通常の円形繊維のみでなく、異形繊維などの特殊形態の繊維であってもよい。
2種の熱可塑性樹脂で複合長繊維を形成する場合、第1成分はポリプロピレン、第2成分はポリエチレンであることが好ましい。複合繊維が偏芯型の場合は、芯部を第1成分、鞘部を第2成分とすることが好ましい。ポリプロピレンは、強度が強く使用時において破断しにくく、衛生材料の生産時における寸法安定性に優れることから好ましい。
前記2種の熱可塑性樹脂で形成する場合の第1成分のポリプロピレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよく、また、エチレンランダム共重合ポリプロピレンでもよい。これらは、1種類単独であっても2種類以上を組み合わせたものでもよい。風合い、強度、寸法安定性の観点からは、ホモポリプロピレンを主成分とするものであることが好ましい。
また、ポリプロピレンのMFRの下限は、20g/10分以上、好ましくは30g/10分を超え、更に好ましくは40g/10分を超え、最も好ましくは53g/10分を超えるものであることができる。上限は、85g/10分以下、好ましくは70g/10分以下、最も好ましくは60g/10分以下であることができる。MFRの測定方法は、JIS−K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の表1、試験温度230℃、試験荷重2.16kgに準じたものである。
前記2種の熱可塑性樹脂で形成する場合の第2成分のポリエチレンは、繊維同士の接合後の接着強度が強く、不織布としての風合いが良いことから、衛生材料に好適に利用できる。また、ポリエチレンは、一般的なチーグラナッタ触媒により合成されるポリマーでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたポリマーであってもよい。ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましく、密度は0.92〜0.97g/cmであることが好ましく、0.925〜0.96g/cmであることが更に好ましい。
また、ポリエチレンのMIの下限は、10g/10分以上、好ましくは15g/10分を超えたものであることができる。上限は、100g/10分以下、好ましくは60g/10分以下、最も好ましくは40g/10分以下であることができる。MIの測定方法は、JIS−K7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」の表1、試験温度190℃、試験荷重2.16kgに準じたものである。
本実施形態の不織布は、強度や生産性の観点から、スパンボンド法により複合長繊維不織ウェブを形成して製造されるものであることが好ましい。例えば、複合長繊維は、2つ以上の異なる押出機からそれぞれ異なる熱可塑性樹脂を溶融押出し、多数の紡糸孔を有する紡糸口金から2種以上の熱可塑性樹脂が複合された状態で糸条として吐出される。次いで、吐出された糸条を5℃〜20℃に制御した冷風をあて、冷却しながら牽引装置により高速牽引する。牽引装置より出た糸条は、搬送コンベア上に堆積され不織ウェブとして搬送される。搬送中の不織ウェブは積層され、多層積層の不織ウェブとしてもよい。
熱可塑性複合繊維で構成された不織ウェブを接合して不織布となす場合の接合手段としては、繊維同士の交点が溶融し接着できる温度以上に加熱する方法であれば特に限定されるものではない。加熱する方法としては、熱風循環型、熱風貫通型、赤外線ヒーター型、不織布の両面に熱風を吹き付ける方法、加熱気体中に導入する方法等、各種の加熱する方法が用いられる。繊維同士の交点でより多くの繊維接着点が得られ且つ不織布の破断強度が高くなる観点から、熱風による加熱が好ましく、特に熱風貫通型が好ましい。
熱風の温度は、組み合わせた熱可塑性樹脂の中でも、融点が低く且つ接合に寄与する熱可塑性樹脂に適した温度に調整することが好ましい。例えば、該熱可塑性樹脂がポリエチレンの場合、ポリエチレンが溶融し接着する130〜155℃であり、好ましくは135〜155℃、更に好ましくは140℃〜150℃である。接着温度がこの範囲であれば繊維同士の交点で繊維同士の接着が発現し、不織布としての強度を発現することが可能となる。
次いで、熱風の風速は0.5〜3.0m/sであり、好ましくは0.7〜2.5m/s、更に好ましくは2.0m/s以下である。
本実施形態の不織ウェブを熱風により接合する際、不織ウェブの通気度がその接合状態に大きく影響する。不織ウェブの通気度が低すぎると熱風は貫通しにくく、不織布としての均一な接合は得られにくい。他方、得られる不織布の強度保持の観点から、通気度は高すぎても好ましくない。接合強度を満足に保持できる、最終的に得られる不織布の通気度としては、300cm/cm/s以上700cm/cm/s以下が好ましく、300cm/cm/s以上650cm/cm/s以下がより好ましい。
本明細書中、「熱圧着部形状指数」とは、エンボスロールや熱風処理などにより接合されて不織布表面に形成される部分熱圧着部、すなわち熱融着された融着面積率と一定面積当たりの融着周長で規定されるものである。融着面積率とは、長繊維不織布の融着部面積が当該不織布の全体面積に占める割合であり、一定面積あたりの融着周長とは、長繊維不織布20平方ミリメートル当たりに含まれる融着部の周長の総和である。ここで、繊維交点の融着が発生するが、繊維交点の融着が肌に接する面に露出している場合は、繊維交点の繊維表面を含めて融着部としフィルム化している部分として融着面積及び融着周長に算入した。
不織布が肌と接触し物理刺激を与える部位としては、不織布の接触面の短繊維端や表面の毛羽があげられる。また、エンボスロール等によって熱圧着された長繊維不織布よりなる不織布に於いては、短繊維端が不織布の表面に出ることはなく、繊維端による物理刺激は起こりにくいが、表面の毛羽立ちを防止するため、熱圧着面積が過大である場合や、熱圧着圧力が過大で融着部の周辺部の凹凸が深い場合には、風合いが劣るものとなるばかりでなく、熱圧着部の周辺部が物理刺激の原因となる。すなわち、融着によってフィルム化した面積率が高いと不織布が硬くなり、摩擦時には擦過刺激が大きく、肌に傷を与えることになる。また、熱融着部の周辺部は熱融着部が凹部、非熱融着部が凸部となり、凹凸の差が大きく、摩擦時には不織布表面の融着部の周辺部が肌面に対してひっかかりとなり、傷の原因となる。すなわち、融着面積率と、融着部の周長の多さが、摩擦時の傷と密接に関係しているのである。不織布の熱圧着部形状指数が大きいと、該不織布は毛羽の発生が抑制され、毛羽による痒み、チクチク感といった手触り感の悪さは防止できるものの、フィルム化した硬い部分によって肌に物理刺激が与えられる。他方、不織布の熱圧着部形状指数が小さいと、フィルム化した硬い部分が肌に接触することによる物理刺激が小さくなり、更には、不織布はふんわりとした風合いの良いものとなる。しかしながら、熱圧着部形状指数が過少であると、該不織布は、実用上充分な強度が得られず、更に摩擦によって容易に毛羽が発生し、毛羽による物理刺激によって痒み、チクチク感等の手触り感が悪くなる。以上に鑑み、本実施形態において、「熱圧着部形状指数」は、0.05以上1.9未満であることが必要である。熱圧着部形状指数が0.05未満であると、毛羽防止の点から好ましくなく、1.9を超えるとふんわりとした風合いが損なわれ、圧縮した時のボリューム感、膨らみ感の点から好ましくない。「熱圧着部形状指数」は、より好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.5以下である。「熱圧着部形状指数」は、より好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.3以上である。
衛生材料のトップシートとして使用する場合を想定した場合、本実施形態の不織布は、疑似皮膚モデルの最大擦過傷深さが0μm以上10μm以下、かつ、積算擦過傷深さが0μm以上80μm以下であることが必要である。疑似皮膚モデルの最大擦過傷深さ、及び積算擦過傷深さとは、後述する測定法にしたがい、初期圧縮応力が98mN/cmの疑似皮膚モデルで肌に接する不織布を摩擦したときに、疑似皮膚モデル表面にできる傷の最大擦過傷深さと傷の積算擦過傷深さをいう。ここでいう、傷とは、不織布と疑似皮膚モデルとを摩擦させて生じた不織布による疑似皮膚モデルの物理的な表面形状変化のことである。最大擦過傷深さが、10μmを超えると肌に対する物理刺激の点から好ましくなく、より好ましくは、9μm以下である。また、積算擦過傷深さが、80μmを超えると好ましくなく、より好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
つまり不織布が持つ摩擦刺激性は、疑似皮膚モデルとの摩擦による物理的な刺激の程度によって、疑似皮膚モデル上に傷の数、傷の深さ、傷の幅となって表されるものである。疑似皮膚モデルの表面は平坦になるように調整して用いるが、摩擦刺激を与える前の表面の微細な凹凸は傷として認めない。同じ組成の疑似皮膚モデルを、この最大擦過傷深さと傷の積算擦過傷深さによって比較評価することにより、不織布の摩擦刺激の程度を比較することができる。
不織布と疑似皮膚モデルとの摩擦で生じた傷の最大傷深さ及び積算擦過傷深さと、不織布と実際の肌との摩擦による物理刺激性との関係を、多数のパネラーにより検討すると、最大擦過傷深さと積算擦過傷深さが大きい不織布ほど、肌を実際に不織布で摩擦したときに刺激が強く感じる傾向があり、摩擦後の皮膚表面の様子を観察すると肌理の消失も大きい傾向にあることが確認できる。この結果から、不織布で疑似皮膚モデルを摩擦することにより生じる傷の最大擦過深さと積算擦過傷深さを測定することによって、肌に接する不織布の肌に対する摩擦刺激性を評価することが可能である。本発明者らの研究によると、この最大擦過傷深さが10μm、積算擦過傷深さが80μmを超えると、肌に接する不織布は肌に対して摩擦刺激が大きく、肌を傷付け易くなることが判明した。
本実施形態において、不織布の「表面毛羽指数」は、3以上であることが好ましい。表面毛羽指数が3未満であると、皮膚との摩擦等により、不織布表面に毛羽が発生し、ちくちくとした肌触りとなり、更に摩擦によって、皮膚表面に対して物理刺激となる。
本実施形態において、不織布の摩擦係数の変動値(MMD)の縦横平均値は0.015以下であることが好ましい。0.015を超えると、肌触りの滑らかさ、物理刺激の小ささの点から好ましくなく、より好ましくは0.017以下、より好ましくは0.015以下である。
皮膚との摩擦は、縦方向と横方向の両方向への摩擦が合わさっており、どちらの方向の摩擦係数も低く、滑らかで抵抗が少ないことが好ましい。然しながら、縦方向と横方向の摩擦抵抗の大きさに差異が発生する場合、縦方向と横方向の摩擦係数の値の小さい方向に摩擦抵抗の応力が集中し、その結果、縦方向と横方向の摩擦抵抗応力が平均化される。従って、摩擦係数の変動値の縦横平均値が皮膚に対する物理刺激の負荷を示す値として重要である。
摩擦抵抗の大きさの差異が発生し、摩擦抵抗応力の平均化されるのは、摩擦係数の変動値の縦方向、横方向の値において、小さい方向の摩擦係数の変動値と大きい方向の摩擦係数の変動値の比率が20倍を超えると、大きい方向の値の影響が高くなり、摩擦係数の変動値の縦横平均値が0.015以下であっても、肌触りはざらざらとした肌触りとなるからである。
本実施形態の不織布のX線CTによる配向指標は好ましくは0.43以下であり、より好ましくは0.425以下である。X線CTによる配向指数がこの範囲であると不織布の厚み方向を占有する繊維が多くなり、荷重下においても嵩が潰れることがなく、嵩高性を有する不織布となり、優れたクッション性を持つ不織布を得ることが可能となる。下限は低ければ低い方がよいが、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.33以上である。
不織布の厚み方向の繊維配向を高くするためには、不織布の接合工程における熱風温度と風速、不織ウェブの通気度を制御することが重要である。熱風温度が高いと繊維表面の溶解度が非常に高くなり、風合いの硬いものとなる。熱風風速が速いと熱風は貫通するが、繊維も同時に潰れてしまい嵩の低い不織布となってしまう。更に不織ウェブの通気度が低過ぎると熱風は貫通せず、高過ぎると熱風が繊維交点へ充分に溶解する熱がかからなくなるため嵩と強度を両立する繊維接着点を形成することが困難となる。本実施形態の不織布の嵩密度は0.01g/cm以上0.07g/cm以下の範囲となるものが好ましく、強度の観点から0.03g/cm以上がより好ましく、風合いの観点から0.07g/cm以下とすることがさらに好ましい。
本実施形態の不織布の圧縮仕事量WCは0.20gf・cm/cm以上1.00gf・cm/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.25gf・cm/cm以上0.80gf・cm・cm以下である。この範囲の圧縮仕事量WCを保持することは、衛生材料に使用される不織布としてのクッション性の観点から、好ましい。
本実施形態の不織布を構成する複合長繊維の平均単糸繊度は、0.5dtex以上10.0dtex以下であることが好ましく、より好ましくは0.7dtex以上8.0dtex以下、さらに好ましくは0.9dtex以上5.0dtex以下である。紡糸安定性の観点から、0.5dtex以上であることが好ましく、衛生材料に使用される不織布の風合いの観点から10.0dtex以下であることが好ましい。
前記複合長繊維は不織布の風合いと嵩高を保持する観点から、らせん状の捲縮を有していることが好ましい。該繊維の捲縮数は5個/インチ以上45個/インチ以下が好ましく、より好ましくは10個/インチ以上40個/インチ以下である。捲縮数が5個/インチ未満であると得られる不織布の嵩高が不足し、45個/インチを超えると得られる不織布の繊維分散ムラにより見栄えを損なってしまう。
本実施形態の不織布の目付は、8g/m以上80g/m以下が好ましく、より好ましくは10g/m以上40g/m以下、さらに好ましくは10g/m以上30g/m以下である。8g/m以上であれば衛生材料に使用される不織布としては強力を満足し、80g/m以下であれば本願の目的である衛生材料に使用される不織布の柔軟性を満足し、外観的に厚ぼったい印象を与えない。
本実施形態の不織布には親水化剤が含有されていてもよい。使用される親水化剤としては、人体への安全性、工程での安全性等を考慮して、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルフェノール等のエチレンオキサイドを付加した非イオン系活性剤、アルキルフォスフェート塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系活性剤等が単独又は混合物として好ましく用いられる。
親水化剤を含有させる方法として、通常、希釈した親水化剤を用いて、浸漬法、噴霧法、コーティング(キスコーター、グラビアコーター、ダイコータ―)法等の既存の方法が採用でき、必要により予め混合した親水化剤を、水等の溶媒で希釈して塗布することが好ましい。
親水化剤を水等の溶媒で希釈して塗布すると、乾燥工程を必要とする場合がある。その際の乾燥方法としては、対流伝熱、伝導伝熱、放射伝熱等を利用した既知の方法が採用でき、熱風や赤外線による乾燥あるいは熱接触による乾燥方法等を用いることができる。
親水化剤の付着量は、要求される性能によって異なるが、通常は、繊維に対して0.05重量%以上1.00重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.15重量%以上0.8重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以上0.6重量%以下である。付着量がこの範囲にあると、衛生材料のトップシートとしての親水性能を満足し、加工適正も良好となる。
不織布に、親水化剤を付与して親水性向上処理がなされて、衛生材料のトップシートとして用いた場合、尿や血液が不織布表面を透過するので、肌に残留せず、アンモニア等の化学刺激を低減させ、肌に対して物理刺激が小さく、かつ、肌を傷つけ難いので、化学刺激に対して皮膚炎等の炎症も発生し難くなる。
本実施形態の不織布は、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維不織布を用い、肌に接する面の融着部を調整することにより達成されたものである。複合長繊維不織布を用いているので、一部の繊維交点が完全にフィルム化することなく複合繊維の低融点成分が熱融着接合しているので、肌と接触した時に、繊維の自由度が損なわれることなく、かつフィルム化部分で応力集中することがないので、物理刺激が小さくなる。また、繊維交点の熱融着接合により、実用上の強度と毛羽防止が達成される。
長繊維不織布の構成繊維の自由度は、熱圧着等によるフィルム化部分と複合繊維の低融点成分の熱融着接合の程度によって定まり、長繊維不織布のタフネス指数で示される。タフネス指数とは、不織布の破断と破断伸度の積を不織布の目付で除した値であり、好ましくは40以上250以下であり、より好ましくは50以上150以下である。
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における不織布の諸特性を以下の方法により測定した。
各特性の評価方法は下記のとおりであり、得られた物性を以下の表1に示す。以下、製造ライン方向で繊維の流れ方向をMD方向、繊維の流れ方向と直角方向で巾方向をCD方向という。
(1)平均単糸繊度(dtex)
1cm角の試験片をサンプリングし、キーエンス社製マイクロスコープVHX−700Fで繊維の直径を各20点ずつ測定し、その平均値から繊度を算出した。
(2)目付(g/m
JIS−L1906に準じ、MD方向20cm×CD方向5cmの試験片を任意に5枚採取して質量を測定し、その平均値を単位面積あたりの重量に換算して求めた。
(3)通気度(cm/cm/s)
JIS L−1096に記載のフラジール法に準拠して測定した。10点を採取して測定し、測定値の平均値を算出した。
(4)捲縮数
CD方向に5点の5cm角の試験片をサンプリングし、キーエンス製マイクロスコープVH−Z450を用いて、試験片中の繊維に荷重がかからない状態で、1インチ(2.54cm)あたりの捲縮数を測定し、その平均値より捲縮数を算出した。
(5)最大擦過傷深さ、及び積算擦過傷深さ
(イ)不織布の任意の場所より、5cm×5cmの試料を3点作製する。
(ロ)カトーテック(株)社製摩擦感テスター(KES−SE)の摩擦端子に試料を装着する。
(ハ)試料と、後述する、初期圧縮応力98mN/cmの疑似皮膚モデルとを、接圧4.9×10Pa、接触面積1cm、摩擦距離2cmの条件で上記摩擦感テスターを用いて1回摩擦する。
(ニ)疑似皮膚モデル表面の、摩擦によって生じた幅1cm、摩擦方向2cmの摩擦跡の中央部分、摩擦方向に対して直交する方向1cm幅の最大擦過傷深さ、積算擦過傷深さを、非接触式レーザー測量機を用いて測定する。
(ホ)試料の縦および横方向各々1cm間隔で、10箇所について摩擦した時の疑似皮膚モデル表面の最大擦過傷深さ、積算擦過傷深さを測定し、縦横平均を試料片の最大擦過傷深さ、積算擦過傷深さとする。サンプルの最大擦過傷深さ、積算擦過傷深さは、上記3点の平均値とする。
[疑似皮膚モデルの製造方法]
寒天(AGAR POWDER、和光純薬社製、試薬)1部、ゼラチン(GIFCO社製、試薬)8部を水91部を溶解後、冷蔵庫にて固化したものを用いる。表面は平坦になるように調整する。
初期圧縮応力は、疑似皮膚モデルをハンディー圧縮試験機 KES−G5(カトーテック(株)社製)を用いて、圧縮面積200mm、圧縮速度0.1mm/秒で測定したときに、0.1mm変位した時の圧縮応力をいう。必要に応じて、加える水添加量を微調整して初期圧縮応力を合わせる。
(6)熱圧着部形状指数
(イ)不織布の任意の場所より5cm×5cmの試料を採取する。
(ロ)前記試料より1cm×1cmの試料を25枚作製し、表面を顕微鏡で撮影し、25倍の拡大写真25枚を得る。
(ハ)得られた写真から、不織布の融着部面積が不織布表面積に占める割合を求める。
(ニ)得られた写真から、一定面積20平方ミリメートルあたりに含まれる融着してフィルム化した部分の周長の総和を示す値を求める。
(ホ)下記数式(1):
熱圧着部形状指数=熱融着面積率×一定面積当たりの融着周長 式(1)
{式中、融着面積率:長繊維不織布の融着部面積が長繊維不織布の全体面積に占める割合;一定面積あたりの融着周長:長繊維不織布20平方ミリメートル当たりに含まれる融着部の周長の総和。}により熱圧着部形状指数を求める。熱圧着部形状指数は上記25点の平均値とする。
(7)摩擦係数の変動値
(イ)不織布の任意の場所より、6cm×8cmの試料を3点作製する。
(ロ)カトーテック(株)社製摩擦感テスター(KES−SE)の測定台に試料を装着する。
(ハ)試料と、摩擦感テスターの標準摩擦端子(10mm角金属ワイヤー端子)を用いて、測定荷重25g/cmにて摩擦係数の変動値(MMD)を測定し、試料の縦横平均値を測定する。
(8)表面毛羽指数
JIS P 8136に準じて下記方法で実施する。
(イ)不織布の任意の場所より、縦方向25cm、横方向3cmの試料を3点作製する。
(ロ)耐摩耗試験機の試料台に試料を貼付け、摩擦子にカナキン3号(4cm×5cm)を装着する。
(ハ)摩擦子(500g)を不織布の上に置き、往復カウント100回の摩擦試験を実施する。
(ニ)摩擦後の不織布表面の毛羽状態を、官能的に評価する。以下の判定基準で、3点の平均値にて示す。
[評価基準:表面毛羽指数]
5点:摩擦による毛羽が観察されず、表面摩擦によって損傷が確認されない。
4点:摩擦による表面形状変化は僅かに確認されるが、毛羽は確認されない。
3点:摩擦による毛羽がやや観察されるが、剥離した繊維端は10本以下である。
2点:摩擦による毛羽が観察され、剥離した繊維端が11本以上49本以下確認される。
1点:摩擦により、毛羽発生が多く、剥離した繊維端が50本以上確認される。
(9)配向指数(X線CT)
MD方向5mm×CD方向5mmの試験片を任意にカットし、画像解析時の視野約3mm×3mmで測定した。測定装置は高分解能3DX線顕微鏡nano3DX(株式会社リガク製)を用い、軽元素でもコントラストが得られる低エネルギー高輝度X線によるCT測定で行った。詳細な条件を以下に示す。
X線ターゲット:Cu
X線管電圧:40kV
X線管電流:30mA
レンズ:1.08μm/pix
ビニング:2
回転角度:180°
投影数:1000枚
露光時間:10秒/枚
カメラ画素数:3300×2500
再構成:Feldkamp法
CT測定により得られた3次元のトモグラムを画像解析し、直交する3軸(x、y、z)の配向性指標Ix、Iy、Izを求めた。主に評価したいサンプルの厚み方向をz方向と一致させた。ここで、配向性指標Ix、Iy、Izとは、x、y、zの各方向から見た繊維表面の面積の和(各方向での繊維表面の延べ投影面積の和)をそれぞれAx、Ay、Azとしたとき、
Ix=Ax/(Ax+Ay+Az)
Iy=Ay/(Ax+Ay+Az)
Iz=Az/(Ax+Ay+Az)
で定義した。Ax、Ay、Azはトモグラムから求めた。この指標においては、値の小さい方向に配向していることになる。また、等方的構造においてはすべて1/3となる。
(10)嵩密度(g/cm
不織布の布帛試料の両端10cmを除き、巾方向均等になる様にピーコック式厚み計(5g/4cm)で20点測定し、平均の厚さを算出した。その平均値から以下の式を用い、嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm)=目付(g/m)/厚み(mm)/1000
(11)圧縮仕事量(WC)
CD方向に5点の5cm角の試験片を採取し、カトーテック社製圧縮試験装置(KES−G5)を用いて測定した。試験片を金属製試料台の上に設置し、加圧面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮した。圧縮速度は0.067mm/sで、圧縮最大荷重は3.4kPa(35gf/cm)とした。回復過程も同一速度で測定し、圧縮仕事量の平均値を算出した。
(12)風合い
モニター5人による官能評価によって、サンプルの柔らかさを判定した。サンプルの風合いが、「硬い」又は「柔らかい」に分類し、5人の平均で判定した。
(13)タフネス指数
JIS L−1906に準じ、MD方向20cm、CD方向5cmのサンプルを5点採取し、引張試験機で、つかみ間隔100mm、引張速度300mm/minで縦方向の引張試験を実施し、測定された破断強度と破断伸度より、タフネス指数を下記式にて算出した。
タフネス指数=破断強度(N/50mm)×破断伸度(%)/目付(g/m
[実施例1〜3、比較例1、2]
MFRが55g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが26g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.4g/分・Hole、第2成分の吐出量が0.4g/分・Holeで全単孔吐出量が0.8g/分・Holeであり、繊維形状を偏心鞘芯構造とし、第1成分と第2成分の比が50/50となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して紡速3,000m/分で、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.8dtexの長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブに熱風温度142℃、熱風風速0.7m/sの熱風を通過させて、更に彫刻ロールと平滑ロールを組合わせた熱圧着ロールにて圧着処理を行った。熱風を通過させる際の搬送速度、熱圧着ロールの温度、圧力、搬送コンベアと巻取り装置の速度を調整し、所定の熱圧着部形状指数を有する実施例1〜3、比較例1、2の、平均単糸繊度2.8デシテックス捲縮数30個/インチ、目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
[実施例4]
実施例2と同様にして得られた複合長繊維不織布を、室温22℃の雰囲気下にて放電量40W・min/m(放電度4.0W/cm)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力39mN/mの不織布を得た。得られた不織布にポリエーテル系の親水化剤を噴霧法により付与し、次いで、110℃で30秒間熱風乾燥し、剤濃度付着量が0.3重量%となる長繊維不織布を得た。得られた不織布はオムツのトップシートとして満足できる性能であった。
[実施例5]
MFRが40g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を第1成分とし、MIが26g/10分(JIS−K7210に準じ、温度190℃、荷重2.16kgで測定)の高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を第2成分とし、第1成分の吐出量が0.4g/分・Hole、第2成分の吐出量が0.4g/分・Holeで全単孔吐出量が0.8g/分・Holeであり、繊維形状を偏心鞘芯構造とし、第1成分と第2成分の比が50/50となる繊維をスパンボンド法により紡糸温度235℃で押出し、このフィラメント群を冷風押し込みタイプの気流牽引装置を使用して紡速2,500m/分で、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.8dtexの長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブに熱風温度145℃、熱風風速1.0m/sの熱風を通過させて、不織布を熱接合した。熱風を通過させる際の搬送速度、巻取り装置の速度を調整し、所定の熱圧着部形状指数を有する目付20g/mの複合長繊維不織布を得た。
[実施例6]
実施例5と同様にして得られた複合長繊維不織布を、室温25℃の雰囲気下にて放電量40W・min/m(放電度4.0W/cm)の条件でコロナ放電処理機に通し、濡れ張力39mN/mの不織布を得た。得られた不織布にポリエーテル系の親水化剤を噴霧法により付与し、次いで、120℃で熱風乾燥し、剤濃度付着量が0.35重量%となる長繊維不織布を得た。得られた不織布はオムツのトップシートとして満足できる性能であった。
[比較例3]
MFRが55g/10分(JIS−K7210に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)のポリプロピレン(PP)樹脂を単成分にてスパンボンド法により紡糸温度220℃で押出し、このフィラメント群をエアジェットによる高速気流牽引装置を使用して紡速3,000m/分で、移動捕集面に向けて押し出し、平均単糸繊度2.8dtexの長繊維不織ウェブを調製した。
次いで、得られた不織ウェブを、141℃のフラットロールとエンボスロール(パターン仕様:直径0.425mm円形、千鳥配列、横ピッチ2.1mm、縦ピッチ1.1mm、圧着面積率6.3%)の間に通して繊維同士を接着し、目付20g/mで通気度456cm/cm/sであり、繊維が捲縮していない熱圧着部形状指数1.9の長繊維不織布を得た。得られた不織布は嵩密度が高く、クッション性を有しておらず風合いの硬いものであった。
[比較例4]
第1成分となる芯の成分が融点162℃のポリプロピレン、第2成分となる鞘の成分が融点130℃の高密度ポリエチレンであって、繊度2.5dtex、カット長38mmの短繊維を構成繊維とし、カード法によって不織ウェブを得た。
次いで、得られた不織ウェブを熱風温度140℃、熱風風速1.0m/sの熱風ボンディングにより繊維同士を接着し、目付18g/mで通気度717cm/cm/s、捲縮数5個/インチの複合短繊維不織布を得た。得られた不織布は伸度が低く、タフネス指標が低いく、風合いの硬いものであった。
Figure 0006542974
本発明の複合長繊維不織布は、クッション性の柔らかさを有する嵩高性と高い強伸度を有するため、衛生材料の製造に好適に使用することができる。衛生材料としては使い捨てオムツ、生理用ナプキン又は失禁パットに好適に使用することができ、表面のトップシート、外側のバックシートとして使用することができる。また、用途は限定されず、例えば、マスク、カイロ、テープ基布、防水シート基布、貼布薬基布、救急絆基布、包装材、ワイプ製品、医療用ガウン、包帯、衣料、スキンケア用シートなどにも使用することができる。

Claims (9)

  1. 2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合長繊維の部分熱圧着不織布であって、熱圧着部形状指数が0.05以上1.9未満であり、疑似皮膚モデルの最大擦過傷深さが10μm以下であり、かつ、積算擦過傷深さが80μm以下であることを特徴とする前記不織布。
  2. 前記不織布の表面毛羽指数が3以上である、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記不織布の摩擦係数の変動値(MMD)の縦横平均値が0.015以下である、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記不織布のX線CTによる厚み方向の配向指標が0.43以下であり、且つ嵩密度が0.01以上0.07g/cm以下である、請求項1〜3のいずれ1項に記載の不織布。
  5. 前記不織布の圧縮仕事量WCが0.20以上1.00gf/cm/cm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記複合長繊維はサイドバイサイド型又は偏芯型である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布。
  7. 前記2種の熱可塑性樹脂はいずれもポリオレフィン系樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 前記不織布は親水化剤を含有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の不織布を含む衛生材料。
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