JP2023065152A - 衛生用不織布及び吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】肌に触れたときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立できる衛生用不織布及び吸収性物品を提供すること。【解決手段】本発明の衛生用不織布10は、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有し、体積充填率が3.5%以上であり、TRPM8アゴニスト型の冷感剤11を有する。冷感剤11は、蒸気圧が、0.04mmHg以上であることが好ましい。衛生用不織布10は、肌に当接する肌当接面を有し、該肌当接面の少なくとも一部に前記繊維を含有し、該肌当接面とは反対の面側に冷感剤11を有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、衛生用不織布及び吸収性物品に関する。
冷感を知覚し得るシートや該シートを含む部材を備えた物品が知られている。例えば特許文献1には、夏場の暑熱感を解消するための衣料に用いられる快適性布帛が開示されている。特許文献1において該布帛は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含み、20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率が0.08W/mK以上で、接触冷温感が0.13W/cm以上であることが開示されている。
特許文献2には、メントール等を含む冷感剤が塗布されたサイドフラップを具備するナプキンが開示されている。
また特許文献3には、鞘部ポリマーのα結晶配向パラメーターが1.70~2.60であり、該鞘部ポリマーのアミノ末端基量が3.5×10-5~8.0×10-5mol/gであり、芯部ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重合体であり、酸化チタンからなる無機粒子を繊維全体で0.1~5重量%含有する、芯鞘複合繊維が開示されている。
また特許文献4には、鞘層がポリエチレンで、芯層がナイロン又はポリエステルである芯鞘型複合繊維の糸を編立てた単層構造又は二重構造の編地をなした、冷感ニット生地が開示されている。
特開2010-236130号公報 特開2016-120208号公報 特開2016-204784号公報 実用新案登録第3226090号公報
吸収性物品等の衛生品は、一般的に不織布を含む複数の構成部材を含んで構成されている。衛生品において着用者等が冷感を知覚し得ることは、蒸れ感の軽減や心地良い風合いを感じ易くなる点で有効である。特に暑熱環境下においては、肌と接触したときに冷感を知覚し得るとともに、該冷感を長時間持続させることが望まれる。しかしながら、特許文献1、3及び4は、衣類や寝具などといった衛生品以外の物品に適用される布帛を開示するものであり、衛生品に冷感を付与する技術について開示するものではない。特許文献2は、冷感剤を用いたナプキンを開示するものであるが、肌と接触したときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立させるための技術を開示するものではない。
したがって、本発明は、肌に触れたときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立できる衛生用不織布及び吸収性物品に関する。
本発明は、衛生用不織布に関する。
前記衛生用不織布は、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有することが好ましい。
前記衛生用不織布は、体積充填率が3.5%以上であることが好ましい。
前記衛生用不織布は、TRPM8アゴニスト型の冷感剤を有することが好ましい。
また本発明は、前記衛生用不織布を構成部材として備えた、吸収性物品に関する。
また本発明は、第1部材と第2部材とを構成部材として備え、肌対向面及び非肌対向面を有する、吸収性物品に関する。
第1部材は、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有し、且つ体積充填率が3.5%以上である不織布であることが好ましい。
第2部材が、冷感剤を有することが好ましい。
前記不織布が着用者の肌と当接する肌当接面を形成していることが好ましい。
第2部材が、第1部材よりも非肌対向面側に配されていることが好ましい。
本発明の衛生用不織布及び吸収性物品によれば、肌に触れたときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立できる。
図1は、本発明の衛生用不織布の一実施形態を肌とともに示す断面図である。 図2は、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつを示す断面図である。
本発明の衛生用不織布は、衛生品の構成部材として好適に用いられる。衛生品の典型例は、フェイスマスクやアイマスク等の衛生用品や、尿や経血等の体液を吸収する吸収性物品等であり、好ましくは吸収性物品である。
衛生用不織布は、衛生品の着用時において着用者の肌と当接する面である肌当接面側に配されたり、あるいは、衛生品を取り扱う際に使用者の手等に触れる部位に配されたりする。
衛生用不織布は、ここに記載された用途に特に限定されず適用可能である。
以下本発明の衛生用不織布10を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本実施形態の衛生用不織布10は、熱伝導率が所定の値以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有している。
詳細には、本実施形態の衛生用不織布10は、熱伝導率が0.11W/mK以上、好ましくは0.13W/mK以上、より好ましくは0.15W/mK以上である繊維を表面の一部に含有している。
また、本実施形態の衛生用不織布10は、熱伝導率が0.4W/mK以下の繊維を表面の一部に含有することが現実的である。
このような熱伝導率を有する繊維を表面の少なくとも一部に含有することによって、衛生用不織布10が肌に触れたときに冷感を知覚させることができる。すなわち、衛生用不織布10を含む衛生品は、前記所定の値(0.11W/mK)以上の熱伝導率を有する繊維を表面の少なくとも一部に含有するので、その使用者の肌に触れたときに冷感を知覚させることができる。肌に触れたときに知覚される冷感を、以下、「接触時の冷感」ともいう。ここで、表面の少なくとも一部とは、衛生用不織布10の主面となる一方の面又は他方の面うちの一部である。衛生用不織布10が衛生品に組み込まれる場合、該不織布10の肌当接面側の表面の一部において、前記の伝導率を有する繊維を含有していることが好ましい。
接触時の冷感を向上させる観点から、熱伝導率が前記所定の値以上である繊維を衛生用
不織布10中に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、一層好ましくは80質量%以上含有する。また、後述する実施例のように、衛生用不織布10は、熱伝導率が前記所定の値以上である繊維からなるもの(当該繊維が100質量%であるもの)であってもよい。
上述した熱伝導率は、例えば衛生用不織布を溶融させて、厚み1mm程度のフィルム状試料の形態にして測定することができる。詳細な測定方法を以下に示す。
測定対象の不織布又は繊維を、プレス機等の加温加圧設備に導入して、不織布又は繊維原料の融点以上の温度で加熱しながら加圧し、厚み1mm程度のフィルム状試料とする。このとき、試料中に空気が残存しないように、加圧条件を適宜調整する。そして、定常熱伝導率測定装置(KES-F6、カトーテック株式会社製)を用いて、30℃の熱板から試料を介して20℃の熱板へ移動した熱移動量に基づいて、熱伝導率を測定する。この測定を一つのフィルム状試料につき10箇所測定し、これらのうち最も高い熱伝導率の値を、本発明における熱伝導率(W/mK)とする。
衛生用不織布が吸収性物品等の衛生品に組み込まれている場合、該衛生品にコールドスプレーを吹きかけ、ホットメルト接着剤を固化させてから、測定対象の衛生用不織布を丁寧に剥がす。また、測定対象を繊維とする場合、衛生用不織布から繊維を採取する等したりして分離する。これらの手段は本明細書の他の測定においても共通である。
熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維としては、例えば繊維表面の少なくとも一部にポリエチレン樹脂を有する繊維が挙げられる。斯かる繊維におけるポリエチレン樹脂の存在態様としては、(i)繊維の外表面及び内部がともにポリエチレン樹脂からなる態様、すなわち繊維の構成樹脂がポリエチレン樹脂のみである態様や、(ii)ポリエチレン樹脂からなる低融点成分と、低融点成分よりも融点の高い高融点成分とを含み、低融点成分の少なくとも一部が繊維表面において長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維の態様等が挙げられる。
一般的に、ポリエチレン樹脂は、有機高分子材料の中でも熱伝導性が高いことが知られている。ポリエチレン樹脂自体が有する高い熱伝導性を発揮させるとともに、ポリエチレン樹脂とポリエチレン樹脂以外の樹脂との間に生じる界面に起因する熱伝導性の低下を抑制して、使用者に冷感を知覚させ易くする観点から、前記(i)の態様を採用することが好ましい。
また、低融点成分であるポリエチレン樹脂よりも融点の高い高融点成分を含むことにより、これら成分を含む繊維ウエブをエアスルー加工で不織布化する際、低融点成分どうしのみが融着し、一方の高融点成分は溶融せずにその形状を保持できるため、繊維形状が良好に維持されて感触や通気性をより向上できる他、使用者に冷感を知覚させ易くすることができる。このエアスルー不織布の形成性や該不織布の冷感の観点から、前記(ii)の態様を採用することが好ましい。
前記(i)の具体例としては、構成樹脂として単一種類のポリエチレン樹脂からなる繊維や、構成樹脂として複数種類のポリエチレン樹脂のみからなる繊維が挙げられる。
前記(ii)の具体例としては、(a)高融点成分としてポリエチレン樹脂以外の樹脂を芯
とし、芯の表面を覆うように、低融点成分としてポリエチレン樹脂の鞘が形成された芯鞘繊維や、(b)ポリエチレン樹脂を低融点成分とし、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を高融点
成分とし、低融点成分及び高融点成分の各々が繊維表面において長さ方向に沿って連続して存在するサイドバイサイド繊維等が挙げられる。本実施形態に用いられる繊維は、中実であってもよく、中空であってもよい。熱伝導性を高めて使用者に冷感を知覚させやすくする観点から、中実の繊維であることが好ましい。
繊維におけるポリエチレン樹脂の存在態様のうち、繊維の少なくとも外表面全域にポリエチレン樹脂を有していることが好ましく、又は繊維全体がポリエチレン樹脂で形成され
ていることが好ましい。つまり、ポリエチレン樹脂を鞘とした芯鞘構造を有する繊維であるか、又はポリエチレン樹脂のみからなる中実の繊維であることが好ましい。斯かる構成により、熱伝導性の高いポリエチレン樹脂が肌に直接接触するので、接触時の冷感をより向上できる。
衛生用不織布10に用いられるポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、並びにエチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して若しくは組み合わせて用いることができる。
ポリエチレン樹脂としてエチレン-プロピレン共重合体を用いる場合、共重合体中のエチレン単位の割合は、熱伝導性を高める観点から、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上である。
また、共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
ポリエチレン樹脂のみからなる繊維としては、HDPEのみからなる繊維(すなわちHDPEが100質量%である繊維)や、上述した各種ポリエチレンを複数用いた芯鞘繊維又はサイドバイサイド繊維が挙げられる。
ポリエチレン樹脂のみを用いた芯鞘繊維又はサイドバイサイド繊維としては、例えば、芯及び鞘にそれぞれ融点が異なるHDPEを用いた繊維や、芯にLDPE及びLLDPEのうち一種以上を用い且つ鞘にHDPEを用いた芯鞘繊維、芯にHDPEを用い且つ鞘にLLDPEを用いた芯鞘繊維、LLDPEを用いた繊維の表面の少なくとも一部にHDPEが長さ方向に沿って連続して存在するサイドバイサイド繊維等が挙げられる。
ポリエチレン樹脂のみからなる繊維において、ポリエチレン樹脂の種類あるいは組み合わせについては、上述した内容に限定されず適用可能である。
これらのうち、熱伝導率をより高くして、接触時の冷感をより向上させる観点から、ポリエチレン樹脂としてHDPEを含むことが好ましく、HDPEのみからなることがより好ましい。すなわち、HDPE単独で用いることがより好ましい。
衛生用不織布10が、前記態様(ii)を具備する繊維を含む場合、当該繊維におけるポリエチレン樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリエチレン樹脂以外のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル
やポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
接触時の冷感をより確実に具備させる観点から、前記態様(ii)を具備する繊維は、芯がポリアミド樹脂であり、鞘がポリエチレン樹脂である芯鞘繊維であることが好ましい。
本実施形態の衛生用不織布10は、例えば、上述したポリエチレン樹脂のうち一種又は二種以上を含む繊維を、構成繊維として含んで構成することによって得ることができる。この場合、衛生用不織布10は、ポリエチレン樹脂を含むが、上述したポリエチレン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。
衛生用不織布10に含まれる樹脂の全質量に対するポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、一層好ましくは100質量%以下であり、より一層好ましくは100質量%である。
本実施形態の衛生用不織布10の体積充填率は、3.5%以上、好ましくは7.0%以
上、より好ましくは10.0%以上、更に好ましくは12.0%以上であり、一層好ましくは14.0%以上、更に一層好ましくは20.0%以上である。体積充填率が斯かる範囲であると、熱伝導率の低い空気の含有量が低減されるので、衛生用不織布10の熱伝導率をより向上できる。
また、肌と接触したときの風合いをより良好にする観点から、本実施形態の衛生用不織布10の体積充填率は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、更に好ましくは30.0%以下である。体積充填率が斯かる範囲であると、熱伝導性の低い空気の含有量が衛生用不織布10内で減少するので、熱の移動性がより向上し、接触時の冷感をより向上できる。これに加えて、衛生用不織布10の風合いをより十分に発現できる。
上述した体積充填率は、例えば後述する製造方法のように、衛生用不織布10を圧縮等することによって容易に達成できる。衛生用不織布が密度勾配を有している場合には、使用者の肌に触れる肌当接面を形成する層(最表面の層)の体積充填率が上述の範囲であればよい。
衛生用不織布10における体積充填率は、実体積に対する見かけ体積の百分率として表すことができる。詳細には、測定対象の衛生用不織布10を所定面積切り取って測定サンプルとし、その質量(g)を測定する。測定サンプルを切り取る際の所定面積は10cm四方が好ましいが、その寸法にて測定サンプルを切り出せない場合は、測定対象となる衛生用不織布10の坪量が目視にて均一である領域の中で、できる限り大きな領域となる幅及び長さで切り取る。そして、測定サンプルの坪量A(g/cm)を算出する。
また、測定サンプルの厚みB(cm)の測定方法は以下のとおりである。まず、12.59g(直径55mm)のプレートのみをレーザー変位計(株式会社キーエンス製、LK-080。本明細書におけるレーザー変位計は全てこれである。)に載置して、測定された厚みをゼロとしてゼロ点調整を行う。そして、測定サンプルの上に前記プレートを載置し、その状態での厚みを、レーザー変位計を用いて測定し、これを測定サンプルの厚みB(cm)とする。厚みBの測定では、プレートの載置によって、4.9mN/cmの荷重が測定サンプルに付与されている。
そして、繊維の構成成分の密度C(g/cm)を用いて、以下の式より、体積充填率(%)を算出する。
体積充填率(%)=100×(A)/(B×C)
衛生用不織布10は、TRPM8アゴニスト型の冷感剤11を有する(図1参照)。斯かる冷感剤11は、TRPM8受容体に対するアゴニストであり、該TRPM8受容体を活性化する成分である。TRPM8受容体は、イオンチャネルとして機能する温度受容体であり、細胞膜に存在する膜たんぱく質である。TRPM8受容体は、温度低下等の冷刺激やTRPM8アゴニスト型の冷感剤等によって活性化され、冷感を知覚させる。
TRPM8アゴニスト型の冷感剤11としては、メントール、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタール、メントキシプロパンジオール、イソプレゴール、メンタンジオール等が挙げられる。衛生用不織布10は、これら冷感剤11を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上述した各成分として、後述する実施例のように市販品を用いてもよい。
以下、TRPM8アゴニスト型の冷感剤11を単に「冷感剤11」ともいう。
本実施形態の衛生用不織布10は、一方の面に冷感剤11が塗布されることで、該冷感剤11を有している。後述する効果をより確実に奏せる観点から、当該不織布10は、肌当接面とは反対の面に冷感剤11が塗布されていることが好ましい。
本実施形態の衛生用不織布10は、肌Sと接触したときに冷感を知覚させることができる(図1参照)。より詳細には、衛生用不織布10における熱伝導率が0.11W/mK
以上である繊維によって、使用者の体温に起因する熱を、使用者から衛生用不織布10に、あるいは使用者と接触していない他の繊維へ早く移動できる。これに加え、体積充填率が3.5%以上であることにより、衛生用不織布10の良好な風合いを発現させつつ、該不織布10内における熱伝導性が低い空気の含有量を少なくすることができる。これらの作用により、使用者から生じる熱を衛生用不織布10側に早く移動させることができるので、使用者の肌が衛生用不織布10に触れたときに、使用者に対して冷感を知覚させて、冷感に起因する爽快感等の心地良い使用感を付与できる。しかも、本実施形態の衛生用不織布10は、冷感剤11を有するので、揮発した冷感剤11が肌Sに作用する(図1参照)。これにより、肌Sが衛生用不織布10に接触したときだけでなく、それ以降においても冷感を引き続き知覚させることができるので、冷感の持続性に優れる。このように本実施形態の衛生用不織布10は、肌Sに触れたときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立できる。
衛生用不織布10における冷感剤11の含有量は、衛生用不織布10の質量に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、また好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下であり、また好ましくは0.5質量%以上30.0質量以下、より好ましくは2.0質量%以上20.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以上15.0質量%以下である。
二種以上の冷感剤11を組み合わせて用いる場合、合計の含有量が上述した範囲内であることが好ましい。斯かる冷感剤11の含有量は、衛生用不織布10に冷感剤11を塗工する際の塗工量により調整できる。
皮膚に作用して、より確実に冷感を得る観点から、冷感剤11の蒸気圧は、好ましくは0.04mmHg以上、より好ましくは0.20mmHg以上、更に好ましくは0.50mmHg以上であり、また好ましくは100.00mmHg以下、より好ましくは70.00mmHg以下、更に好ましくは50.00mmHg以下であり、また好ましくは0.04mmHg以上100.00mmHg以下、より好ましくは0.20mmHg以上70.00mmHg以下、更に好ましくは0.50mmHg以上50.00mmHg以下である。
本明細書における冷感剤11の蒸気圧は、下記の方法により求めることができる。
冷感剤11の蒸気圧は、ソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice (HSPiP) Version 5.0」(https://www.pirika.com/HSP/JP/HSPiP/HSPiP.html)を用いて算出できる。HSPiPは、ハンセン溶解度パラメーターを算出するソフトウェア
であり、相対揮発度(PER)を算出する過程で、蒸気圧を算出できる。具体的には、冷感
剤11の成分の化学構造をSMILES記法により文字列に変換する。次いで、HSPiPにおけるEvaporation Calculatorのユーティリティープログラムを起動し、前記文字列を入力する
。次いで、蒸発温度を100℃に設定し、計算を実行することで、蒸気圧が算出され、「VP mm/Hg」の欄に蒸気圧が表示される。HSPiPにおける蒸気圧の算出は、SMILES
記法で表現された対象成分の分子構造から、該成分のアントワン定数を推算して蒸気圧を導出する。
冷感剤11による冷感強度をより最適化する観点から、衛生用不織布10は、冷感剤11として、蒸気圧が0.04mmHg以上30.00mmHg未満の冷感剤と、蒸気圧が30.00mmHg以上の冷感剤とを有することが好ましい。蒸気圧が30.00mmHg以上の冷感剤は、揮発し易く、皮膚に即効的に作用して冷感を感じさせるため、即効型冷感剤として機能する。一方、蒸気圧が0.04mmHg以上30.00mmHg未満の冷感剤は、揮発し難く、皮膚に遅効的に作用して冷感を感じさせるため、遅効型冷感剤として機能する。これら即効型冷感剤と遅効型冷感剤とを組み合わせて用いることで、冷感
発現のタイミングや、冷感強度、冷感の持続性をより容易に調整できる。
即効型冷感剤としては、メントール等が挙げられる。
遅効型冷感剤としては、乳酸メンチル、メントングリセリンアセタール、メントキシプロパンジオール、イソプレゴール、メンタンジオール等が挙げられる。
冷感の持続性の観点から、即効型冷感剤であるメントールと、遅効型冷感剤である乳酸メンチルとを組み合わせて用いることが好ましい。
冷感の持続性をより向上させる観点から、衛生用不織布10における即効型冷感剤と遅効型冷感剤との含有割合は、質量比(即効型冷感剤:遅効型冷感剤)で好ましくは1:0.5~1:10、より好ましくは1:0.8~1:8、更に好ましくは1:1~1:5である。
接触時の冷感をより確実に知覚させる観点から、衛生用不織布10は、肌Sに当接する肌当接面を有することが好ましい(図1参照)。この場合、肌当接面の少なくとも一部に熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を含有していることが好ましい。
本実施形態の衛生用不織布10は、図1に示すように、二つの面のうちの一方が肌当接面を形成しており、該肌当接面とは反対側の面側に冷感剤11を有している。斯かる構成により、衛生用不織布10による接触時の冷感と肌触りとをより向上できる。「肌当接面」は、後述する肌対向面のうち肌Sと接触する面である。
本実施形態の衛生用不織布10における冷感剤11は、該衛生用不織布10の一方の面に冷感剤11を塗布し、他方の面を肌当接面とすることで得られる。斯かる冷感剤11の塗工量は、前述した衛生用不織布10の質量に対する冷感剤11の含有量となるように、調整することが好ましい。
衛生用不織布10は、該不織布10を構成する繊維どうしが互いに接触していることが好ましく、繊維どうしが複数点で接触していることが更に好ましい。斯かる構成により、使用者の肌との接触によって生じた熱を多方向に伝達することができるので、使用者の体温に起因する熱を高い効率で移動させることができ、その結果、使用者に対してより効率的に冷感を知覚させることができる。
前記「接触している」とは、繊維間の境界が明瞭な状態で繊維どうしが接触している態様と、繊維どうしが融着している部分を有し、繊維間の境界が不明瞭となっている態様との双方を包含する。
また、前記「複数点で接触している」とは、不織布を、その構成繊維の延びる方向に直交する方向に切断し、切断面における任意の繊維Fを観察したときに、不織布の厚み方向に位置し且つ繊維Fと接している上下の繊維が、繊維Fと2点以上の点で接していることを意味する。
衛生用不織布10の繊維どうしが接触した状態となっている場合、その接触態様は、融着又は圧着によって構成されていることも好ましい。このような構成となっていることによって、繊維どうしの接触面積を増加させることができ、熱の伝達効率を更に向上させることができる。その結果、使用者へ冷感を効率良く与えることができる。
融着とは、複数の繊維に熱のみ又は熱及び圧力を付与して、繊維が溶融する等して、繊維間の境界が不明瞭となった態様である。
圧着とは、複数の繊維に圧力のみを付与して、繊維間の境界が明瞭な状態で繊維どうしが接触している態様であり、繊維間に形成される間隙が存在することは許容される。圧着においては、上述した「複数点で接触している」態様となっていることも好ましい。
衛生用不織布10を構成する繊維の横断面形状は、例えば、真円形及び楕円形等の円形状、三角形、四角形、五角形及び六角形などの凸多角形又は正多角形状等の幾何学形状が
挙げられる。また、これらの幾何学形状に加えて、横断面の外周に沿って凹部及び凸部を複数有する構造が形成された多葉形状となっていてもよい。
本明細書において「横断面形状」とは、衛生用不織布10を構成する繊維を、その延びる方向に直交する断面について観察したときの形状をいう。
これらのうち、繊維の横断面形状は、真円形状又は非真円形状であることが好ましい。斯かる構成により、衛生用不織布10の体積充填率が高まり易くなるとともに、繊維どうしの接触点の数及び接触面積を増加させて、熱の伝達効率を更に高めることができるので、冷感を使用者に対して一層効果的に知覚させることができる。繊維の横断面形状が非真円形状である場合、楕円形であるか、又は楕円形及び多葉形状を組み合わせたものなどといった、長軸と短軸とを有する形状(扁平異形形状)であることが好ましい。
繊維の横断面形状が長軸と短軸とを有する形状(扁平異形形状)である場合、その短軸の長さに対する長軸の長さの比(長軸の長さ/短軸の長さ)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上である。
また、上述した比は、繊維の製造時における紡糸性を良好にして、生産効率を高める観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
また、上述した比は、繊維の全長において満たしていることが好ましい。
繊維の横断面形状における長軸及び短軸の各長さは、例えば以下の方法で測定することができる。まず、測定対象の不織布を液体窒素で冷却した後、繊維長方向と直交する方向にカッターで切断して、測定サンプルを作製する。測定サンプルの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維断面が認識でき、且つ繊維断面の寸法が測定可能な程度の任意の倍率で観察する。
任意の繊維10本を対象としてそれぞれ独立に断面を観察し、各繊維の走査型電子顕微鏡像から、繊維断面の周縁上の2点を結び、繊維断面の図心を通る最大差し渡し長さの線分を長軸と定め、その長軸に直交する短軸の最大幅を短軸とする(複数の凹凸を外周に有する異形断面形状である場合、凹部に相当する短軸の最小幅は考慮しない)。これらの算術平均値を本発明における長軸の長さ又は短軸の長さとする。
繊維の横断面形状が多葉形等の複数の凹凸を外周に有する異形断面形状である場合には、任意の繊維10本を対象として得られた各繊維断面の走査型電子顕微鏡像から、画像処理ソフトウェア等を用いて、繊維断面の周縁に基づく楕円近似処理を行う。当該処理によって得られた楕円の長軸及び短軸の各長さに基づいて算出された算術平均値を、本発明における長軸の長さ又は短軸の長さとする。
衛生用不織布10の風合いを向上する観点から、衛生用不織布10の厚みt(図1参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上である。
また、不織布内の空気の含有量を低減させて、熱伝導性を高める観点から、衛生用不織布10の厚みt(図1参照)は、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは0.5mm以下である。
上述した衛生用不織布10の厚みは、4.9mN/cm(0.5gf/cm)荷重下において、レーザー変位計等を用いて測定したものとする。
衛生用不織布10の厚みが上述した範囲であると、衛生用不織布10の熱容量が高まり、使用者に冷感を効率良く知覚させることができる。
衛生用不織布10の坪量は、好ましくは15g/m以上、より好ましくは30g/m以上、更に好ましくは50g/m以上である。
衛生用不織布10の坪量は、好ましくは140g/m以下、より好ましくは120g/m以下、更に好ましくは100g/m以下である。
坪量が上述した範囲であると、衛生用不織布10の坪量のムラに起因する冷感の知覚の違いを低減できる。また、繊維どうしの融着や圧密化を効果的に行うことができるので、所定の体積充填率を有する衛生用不織布を生産性高く製造することができる。
衛生用不織布10の接触冷感qmaxは、好ましくは0.06W/m以上、より好ましくは0.08W/m以上、更に好ましくは0.10W/m以上であり、好ましくは0.80W/m以下、より好ましくは0.60W/m以下、更に好ましくは0.50W/m以下であり、また好ましくは0.06W/m以上0.80W/m以下、より好ましくは0.08W/m以上0.60W/m以下、更に好ましくは0.10W/m以上0.50W/m以下である。
接触冷感qmaxは、例えば以下の方法で測定することができる。
まず、測定対象の衛生用不織布から、長さ10cm×幅10cmの寸法となるように試験片を切り出し、該試験片を室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置する。なお、上述した寸法で試験片を切り出せない場合は、上述した寸法に近い寸法を有するように、可能な限り大きな寸法で試験片を切り出す。
次いで、この環境下で、試験片を測定台に載せ、両面テープを用いて測定台に試験片を固定する。測定台としては、気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置により23℃にしたものを用いる。
続いて、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の接触冷感qmaxを測定する。
具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm、質量9.8gの純銅板を用い、該銅板の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該銅板の測定対象への接触圧を1kPaとして、試験片に該銅板を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定する。
この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の接触冷感qmax(W/m)とする。
接触冷感qmaxとは、肌が物体に触れたときに冷たく感じる皮膚感覚を数値化したものである。この接触冷感qmaxは、肌が物体に触れたときの、肌から物体への熱の移動量によって異なり、熱の移動量が多いほど、触れたときに冷たく感じる。接触冷感qmaxは、この肌から物体への熱の移動量の最大値に対応するものであり、接触冷感qmaxの値は、物体に触れたときに冷たく感じる場合ほど大きく、温かく感じる場合ほど小さくなる。したがって、接触冷感qmaxの値が上述の範囲であることによって、冷感をより効果的に知覚させることができる。
上述の説明では、説明の便宜上、衛生用不織布10は、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる繊維を含有する単一の繊維層を有する態様(単一繊維のみからなるか、他の繊維との混綿であるかは問わない)を例にとり説明したが、この形態に限られない。例えば衛生用不織布10は、2層以上の複数の繊維層(複層構造)を有していてもよい。
2層以上の複数の繊維層を有する衛生用不織布10の一実施形態としては、例えば、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる第1繊維を含む繊維層(以下、これを第1繊維層ともいう)と、該繊維層に隣接して配された第1繊維以外の繊維を含む第2繊維の層(以下、これを第2繊維層ともいう。)とを少なくとも備える。ここで隣接とは、繊維層どうしが他の繊維層を介さずに隣り合っていることを意味し、繊維層間に接着剤が介在していることは許容される。
この場合、冷感の効果的な知覚の観点から、第1繊維層は、衛生用不織布10の外面を構成することが好ましい。また同様の観点から、少なくとも第1繊維層は上述した衛生用
不織布10に係る各種の好ましい形態を満たすことが好ましく、衛生用不織布全体において上述の好適な形態を満たすことがより好ましい。
上述した複層構造の衛生用不織布10は、例えば、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる第1繊維を含む繊維ウエブと、第1繊維以外の繊維を含む第2繊維ウエブとを積層した状態で、エアスルー加工あるいはスパンボンド加工を施すことによって得ることができる。この場合、各繊維層の境界は不明瞭であることが一般的であるが、該境界が明瞭である部分を含んでいてもよい。本実施形態の場合、各繊維層は、例えば絡合、融着及び圧着の少なくとも一つによって、繊維シートの形態を維持している。
複層構造の衛生用不織布の別の実施形態としては、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる第1繊維を含む繊維ウエブまたは繊維シートと、第1繊維以外の繊維を含む繊維ウエブまたは繊維シートとを接着剤によって接着して接合することで、繊維シートの形態が維持された態様が挙げられる。この場合、各繊維層の境界は明瞭であることが一般的である。
何れの態様であっても、第1繊維以外の繊維としては、PET樹脂やPP樹脂等の上述した構成樹脂を含む繊維の他に、パルプ繊維やレーヨン繊維、その他の親水化処理済み繊維等の一種以上が挙げられる。
第2繊維層の坪量は、好ましくは15g/m以上、より好ましくは20g/m以上、更に好ましくは25g/m以上、また好ましくは140g/m以下、より好ましくは90g/m以下、更に好ましくは70g/m以下である。
構成繊維が肌にまとわりつかず、使用者の触感を良好に保つ観点から、衛生用不織布10に用いられる繊維の繊維径は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上である。
また、衛生用不織布10における繊維間隙を小さくし、不織布中の空気の含有量を低減して、熱伝導性を高める観点から、衛生用不織布10に用いられる繊維の繊維径は、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下である。
繊維の繊維径は、繊維の横断面形状における長軸及び短軸の各長さにおける測定方法と同様に、測定サンプルの作製及びSEM観察を行い、1サンプルあたり10本の繊維の繊維径を測定して、その算術平均値を本発明の繊維径とする。繊維が非真円形である場合には、繊維の長軸及び短軸の各長さを上述の方法で測定し、繊維一本での長軸長さと短軸長さとの算術平均値を繊維径とし、該繊維径の10本の算術平均値を、本発明における繊維の繊維径とする。
本発明の効果が奏される限りにおいて、衛生用不織布10は、熱伝導率を高めるためのフィラーを更に含んでいてもよい。このようなフィラーとしては、例えば酸化チタン、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、及びカーボンナノチューブ等の少なくとも一種が挙げられる。フィラーは、繊維内に存在していてもよく、繊維どうしの間に存在していてもよく、繊維表面に一部露出し且つ繊維内部に繊維に埋め込まれて存在していてもよい。
本実施形態の衛生用不織布10は、このままで用いられてもよく、あるいは、衛生品の構成部材として用いられてもよい。すなわち該衛生用不織布10を備える衛生品としてもよい。衛生用不織布10を衛生品に組み込む場合は、該不織布10が、使用者の肌に対向する面を形成することが好ましく、使用者の肌に接触する肌当接面を形成することがより好ましい。
何れの場合にも、それら衛生品は典型的には使い捨てである。
衛生用不織布10を備える衛生品として、例えば吸収性物品等が挙げられる。吸収性物品は、一般的に、着用者の肌に対向する肌対向面側に位置する表面シートと、非肌対向面側に位置する裏面シートとを備え、表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えている。衛生用不織布10は、表面シートや裏面シートに用いることができる。吸収性物品としては、例えば使い捨ておむつ、尿漏れパッド、生理用ナプキン、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
衛生用不織布10を備える衛生品は、該衛生用不織布10(以下、これを説明の便宜上「第1繊維集合体」ともいう。)とともに、別の部材(以下、第2構成部材)を備えていてもよい。例えば、第2構成部材として、吸水性ポリマー及び繊維を含有する吸収性シート、並びに吸水性ポリマー及び繊維を含有する吸収体等の少なくとも一種を用いることができる。これらは衛生用不織布10とは異なる繊維集合体の一例である。これらの第2構成部材を備える衛生品としては、上述の吸収性物品が好ましく挙げられる。
つまり、斯かる実施形態においては、衛生品の構成材料として、第1繊維集合体である衛生用不織布10と、第2構成部材である吸収性シート及び/又は吸収体とが配されているものである。第1繊維集合体及び第2構成部材は、互いに隣接して配されていることも好ましい。また、第1繊維集合体及び第2構成部材は、互いに接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
吸収性シートとしては、例えば特開平8-246395号公報に記載の吸収性シートなどを用いることができる。
衛生品が上述した第2構成部材を備える場合、又は衛生用不織布10が上述した第2繊維層を含む場合において、第2構成部材又は第2繊維層はその厚み変化が所定の値以上のものを用いることが好ましい。
詳細には、第2構成部材の9.8mN/cm(1gf/cm)荷重下での圧縮変形量が、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上である。また、同荷重下での第2構成部材の圧縮変形量が、好ましくは3mm以下である。圧縮変形量は、後述するように、無荷重下での第2構成部材の厚みから、9.8mN/cm(1gf/cm)荷重下での第2構成部材の厚みを差し引いた変化量として表される。
衛生用不織布10を構成する第2繊維層においても同様の圧縮変形量を有することが好ましい。これに加えて、衛生品が複層構造の衛生用不織布10及び第2構成部材の双方を備える場合、第2構成部材及び第2繊維層の双方が上述した圧縮変形量をそれぞれ満たすことが好ましい。
斯かる圧縮変形量を具備することによって、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる繊維を含む第1繊維集合体が着用者に触れたときに、第1繊維集合体が第2構成部材の変形に追従して容易に変形して、着用者への接触面積を高めて、冷感を着用者に効率的に知覚させることができる。
上述した物性を有する第2繊維層は、例えば、後述する製造方法において、構成繊維としてPET樹脂やPP樹脂からなる繊維や、あるいはPET/HDPE芯鞘複合繊維などを用い、エアスルー処理を施した繊維ウエブを用いることによって得ることができる。
また上述した物性を有する第2構成部材が吸収性シートや吸収体である場合には、例えば、吸収性シートや吸収体を構成する繊維、繊維シート及び吸水性ポリマーの坪量を適宜調整することによって得ることができる。
第2構成部材又は第2繊維層の厚みは、例えば以下の方法で測定することができる。
まず、測定対象物の断面を目視やSEMにより観察し、繊維径や繊維間距離、あるいは部材間の境界などを観察する等して、複数の繊維層(複層構造)を有する衛生用不織布10であるか、又は衛生用不織布10と衛生用不織布10以外の第2構成部材とが存在する
ことを確認する。
測定対象物が衛生品である場合、衛生品を液体窒素に浸漬させるなどして構造を固定した後、測定対象の衛生品から、衛生用不織布10と、衛生用不織布10以外の第2構成部材とを丁寧に剥がして分離する。そして、分離した部材を、接触冷感qmaxの測定に供し、qmaxの値が最も高い繊維シートを衛生用不織布10とし、該衛生用不織布10に隣接する部材を第2構成部材とする。
そして、プレートを載置する等して、分離した第2構成部材に4.9mN/cm(0.5gf/cm)の荷重を付与した状態で、その状態での厚みをレーザー変位計を用いて測定し、これを第2構成部材の厚みとする。
測定対象物が複層構造の衛生用不織布10である場合、上述の方法で測定したqmaxの値が最も高い面側の繊維層が第1繊維層であり、第1繊維層に隣接する繊維層を第2繊維層とし、第2繊維層を上述した厚みの測定に供する。
また衛生品全体において、9.8mN/cm(1gf/cm)荷重下での圧縮変形量が、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上のものである。また、同荷重下での衛生品全体の圧縮変形量が、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下のものである。斯かる構成により、不織布全体に柔軟性を発現させて使用感を向上させることができるとともに、表面の少なくとも一部がポリエチレン樹脂からなる繊維を含む第1繊維集合体の着用者への接触面積を高めて、冷感を着用者に効率的に知覚させることができる。
上述した圧縮変形量は、例えば、エアスルー法であれば、熱風の温度や風速を通常採用される条件よりも低くすることや、繊維本数を増加させたり、熱風の温度よりも融点が高い樹脂を含む繊維を用いたりすることで、繊維どうしの融着性を下げるように構成することで容易に達成される。
これに加えて、又はこれに代えて、繊維層を2層以上設けて、1つの繊維層のみに他の繊維層よりも圧縮変形量が高い層を設けたり、1つの繊維層について坪量を他の繊維層よりも増加させたり、1つの繊維層について融点の高い繊維を混綿するなどといった構成を採用することによって、容易に達成することができる。
圧縮変形量は、例えば、カトーテック株式会社製のKES‐FB-3圧縮試験機を用いて測定することができる。測定対象の第2構成部材、衛生用不織布10(第2繊維層)又は衛生品から切り出した一定の大きさの切片をサンプルとし、該サンプルを試験機の試験台に取り付け、面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は0.02mm/sec、圧縮最大荷重は9.8mN/cm(1gf/cm)とする。無荷重時の厚みを厚みT0(mm)とし、9.8mN/cm(1gf/cm)荷重時の厚みを厚みTm(mm)としたときに、圧縮変形量(mm)は、厚みT0から厚みTmを差し引いた「T0-Tm」として算出することができる。
第2構成部材が吸収性シートの場合の全体の坪量は、好ましくは40g/m以上、より好ましくは60g/m以上、更に好ましくは70g/m以上、また好ましくは500g/m以下、より好ましくは400g/m以下、更に好ましくは300g/m以下である。
第2構成部材が吸収体である場合の全体の坪量は、好ましくは30g/m以上、より好ましくは40g/m以上、更に好ましくは50g/m以上、また好ましくは600g/m以下、より好ましくは550g/m以下、更に好ましくは500g/m以下である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき説明する。上述した衛生品における第2構成部材又は第2繊維層の圧縮変形量の構成は、以下に説明する吸収性物
品に適宜適用することができる。
本実施形態の吸収性物品は、使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という。)であり、着用者の肌に対向する肌対向面と、該肌対向面とは反対側の非肌対向面とを有している。衛生用不織布10は、本実施形態のおむつにおける各構成部材の肌対向面及び非肌対向面の何れに配されてもよいが、おむつの使用時(着用時)において、衛生用不織布10を使用者の肌に直接接触する肌当接面(部位)に配することが好ましい。
本実施形態のおむつは、上述した実施形態の衛生用不織布10を構成部材として備えている。特に、おむつの着用状態において、接触時の冷感を知覚させて、蒸れ等による不快感を低減させる観点から、おむつ(吸収性物品)を適正な位置で着用した場合において、衛生用不織布10は、着用者の肌に対向する肌対向面を形成するように配されていることが好ましく、肌対向面のうち、着用者の肌と当接する肌当接面を形成するように配されていることがより好ましい。この場合、例えば、衛生用不織布10を、肌と接触する表面シートとして備えることができる。
おむつ1が衛生用不織布10を備える場合、冷感剤11を非肌対向面側に有するように衛生用不織布10が配されていることが好ましい。斯かる構成により、肌対向面側の良好な風合いを維持しつつ、持続的な冷感が得られる。例えば、表面シート2が衛生用不織布10である場合、冷感剤11を有する側の面が非肌対向面となり、冷感剤11を有しない側の面が肌対向面となるように用いることが好ましい。
おむつの各構成部材について、衛生用不織布10以外の形成材料で構成されている場合の該形成材料を説明する。裏面シートは吸収性物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、液難透過性若しくは撥水性又は液透過性のシートを用いることができる。前者としては樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布等のラミネート等が挙げられる。
表面シートが衛生用不織布10以外のもので形成される場合、該表面シートとしては、例えば液透過性の各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができる。
おむつに用いられる吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプをはじめとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体、吸水性ポリマーの堆積体などから構成され、典型的には親水性繊維と吸水性ポリマーとを含む。
吸収性コアは、コアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートの被覆態様としては、例えば、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
本発明に係る吸収性物品の別の実施形態として、図2に使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)を示す。図2に示すおむつ1は、表面シート2と、裏面シート3とを備え、表面シート2と裏面シート3との間に配された吸収体4を備えている。斯かるおむつ1は、表面シート2と吸収体4との間にサブレイヤーシート6を備えている。また、おむつ1は、吸収体4の非肌対向面側に配され、該おむつ1の外面を形成する外装体5を備えている。本実施形態の外装体5は、外層シート51と内層シート52とを含んで構成されている。
おむつ1は、第1部材と第2部材とを構成部材として備えている。本実施形態において第1部材は、冷感剤11を有しない点以外は上述した実施形態の衛生用不織布10と同じ構成を有する不織布10´である。すなわち、斯かる不織布10´は、熱伝導率が0.1
1W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有し、且つ体積充填率が3.5%以上である。また、おむつ1において第2部材が冷感剤11を有している。
第1部材の不織布10´は、着用者の肌と当接する肌当接面を形成している。第2部材は、第1部材よりも非肌対向面側に配されている。斯かる構成により、接触時の冷感を知覚させるとともに、揮発して非肌対向面側から肌対向面側へ移動した冷感剤11によって、着用者の肌Sに冷感を持続的に付与でき、蒸れ等に起因する不快感を低減できる。
本実施形態のおむつ1において、第1部材は表面シート2であり、第2部材はサブレイヤーシート6である。すなわち、表面シート2が不織布10´であり、サブレイヤーシート6が冷感剤11を有している(図2参照)。これに代えて、第1部材が冷感剤11を有していてもよい。斯かる場合においても、上述した効果を得ることができる。すなわち、第1部材及び第2部材の少なくとも一方が、冷感剤11を有している。
第1部材及び第2部材は、おむつ1の厚み方向において互いに隣接して配されていてもよく、間に別の部材を介在させた状態で配されていてもよい。また、第1部材及び第2部材は、表面シート2及びサブレイヤーシート6でなくともよい。例えば、第1部材が表面シート2、第2部材が吸収体4のコアラップシートであってもよい。また、第1部材が表面シート2、第2部材が内層シート52であってもよい。
このように第2部材は、第1部材よりも非肌対向面側に配された任意のシート部材とすることができる。
第2部材が冷感剤11を有する場合、第2部材における冷感剤11の含有量は、該冷感剤11が存在する第2部材(シート部材)の質量に対して好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、また好ましくは30.0質量%以下、より好ましくは20.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下であり、また好ましくは0.5質量%以上30.0質量以下、より好ましくは2.0質量%以上20.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以上15.0質量%以下である。
第2部材が二種以上の冷感剤11を組み合わせて有する場合、合計の含有量が上述した範囲内であることが好ましい。斯かる冷感剤11の含有量は、第2部材に冷感剤11を塗工する際の塗工量により調整できる。
第1部材が冷感剤11を有する場合も、第1部材における冷感剤11の含有量は、上記と同様の範囲であることが好ましい。
次に本発明の衛生用不織布10の好適な製造方法を説明する。本製造方法は、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維(例えば、ポリエチレン樹脂からなる繊維)のウエブにエアスルー処理を行って、繊維集合体を得る工程(エアスルー工程)を備える。斯かる繊維は、該繊維の表面全体の熱伝導率が0.11W/mK以上であるものも含まれる。
これに加えて、得られた繊維集合体に圧密化処理を行い、体積充填率を3.5%以上にする工程(圧密化工程)を採用することが好ましい。
さらに得られた不織布の一方の面に冷感剤11を塗布する塗工工程を備えることが好ましい。
まず、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維のウエブを形成する。繊維ウエブは、例えば公知のカード機を用いたカード法によって形成することができる。
次に、繊維ウエブに対して熱風を吹き付けるエアスルー処理を行って、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維の集合体を得る。本工程は、繊維のウエブを不織布化する工程であり、このように作製された繊維集合体は、一般的にエアスルー不織布と呼ばれるものである。
エアスルー工程において、繊維ウエブに吹き付ける熱風は、その温度及び風速を特定の範囲とすることが好ましい。詳細には、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、繊維ウエブを構成する繊維表面を構成する樹脂の融点M(℃)との関係において、得られる衛生用不織布10の風合いを良好にする観点から、好ましくは融点M+6℃以下、より好ましくは融点M+5℃以下、更に好ましくは融点M+4℃以下の範囲とすることができる。
また、繊維ウエブを構成する繊維どうしを適度に融着させて、使用に耐えうる強度を衛生用不織布10に発現させる観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、好ましくは融点M-4℃以上、より好ましくは融点M-2℃以上、更に好ましくは融点Mの温度以上の範囲とすることができる。
上述した熱風の温度は、熱風の吹き出し口での温度とする。この温度は、例えば吹き出し口又はそのできるだけ近い位置に熱電対を取り付けて測定することができる。
繊維ウエブを構成する繊維として、例えば、表面がHDPE(融点M:130℃)によって構成された繊維を用いる場合、熱風の温度は、好ましくは126℃以上、より好ましくは128℃以上、更に好ましくは130℃以上とすることができる。
また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは136℃以下、より好ましくは135℃以下、更に好ましくは134℃以下とすることができる。
繊維表面を構成する樹脂の融点Mは、示差走査熱量測定計(日立ハイテクサイエンス株式会社製、DSC7000x)を用いて測定することができる。まず、細かく裁断した繊維試料(1mg)を用いて、該試料の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、一回目昇温時の融解ピーク温度で定義される。融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。融点を持たない樹脂である場合、軟化点を融点Mとする。
またエアスルー工程において、繊維ウエブに吹き付ける熱風の風速は、繊維ウエブの厚み方向に熱風を十分に通過させて、繊維どうしの融着を形成させやすくする観点から、好ましくは0.6m/秒以上、より好ましくは1m/秒以上である。
また同様の観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の風速は、好ましくは2m/秒以下、より好ましくは1.8m/秒以下である。
上述した温度及び風速の条件でエアスルー工程を行うことによって、繊維ウエブを構成する繊維表面に存在する樹脂を溶融又は軟化させて、繊維どうしが融着した部位をランダムに形成することができるので、製造される衛生用不織布10は、エアスルー不織布に起因する柔軟性及び良好な風合いを発現しつつ、使用に耐えうる強度が発現したものとなる。
エアスルー工程における繊維ウエブの搬送速度は、上述の温度及び風速の範囲において、好ましくは3m/秒以上、より好ましくは8m/秒以上であり、好ましくは200m/秒以下、より好ましくは160m/秒以下である。
上述の工程を経て得られた繊維集合体は、不織布化されているので、これをこのまま後述する塗工工程に供して衛生用不織布10を製造してもよい。この衛生用不織布10は、エアスルー不織布である。
所定の体積充填率を有する衛生用不織布10を容易に得る観点から、上述の工程を経て得られた繊維集合体に対して圧密化処理を更に行い、体積充填率を3.5%以上にすることが好ましい(圧密化工程)。本工程における圧密化処理は、繊維集合体をその厚み方向に加圧して圧縮することができる方法を採用することができる。
圧密化処理としては、例えば二つの金属平板の間に繊維集合体を配して加圧する方法(以下、この方法を「プレス法」ともいう。)や、一対のロール間に繊維集合体を導入して加圧する方法(以下、この方法を「カレンダー法」ともいう。)によって行うことができる。
圧密化処理は、一回のみ行ってもよく、必要に応じて、同一の又は異なる方法で複数回行ってもよい。また圧密化処理における温度は、室温であってもよく、加熱状態であってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
圧密化処理の条件は、加熱状態で加圧することが好ましい。詳細には、圧密化処理における加圧条件は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、プレス法を用いる場合、面圧で表して、好ましくは5MPa以上、より好ましくは8MPa以上である。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、圧密化処理における加圧条件は、プレス法を用いる場合、面圧で表して、好ましくは72MPa以下、より好ましくは32MPa以下とすることができる。
また、カレンダー法を採用したときの加圧条件は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、線圧で表して、好ましくは78.4N/cm(8kgf/cm)以上、より好ましくは127.4N/cm(13kgf/cm)以上である。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、カレンダー法を採用したときの加圧条件は、線圧で表して、好ましくは686N/cm(70kgf/cm)以下、より好ましくは294N/cm(30kgf/cm)以下である。
また、圧密化処理における加熱温度は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、プレス法及びカレンダー法の何れの場合であっても、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上である。
繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、プレス法及びカレンダー法の何れの場合であっても、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下とすることができる。
圧密化処理において加熱する場合は、プレス法であれば金属平板を上述の温度範囲に加熱すればよく、カレンダー法であればロールの周面を上述の温度範囲に加熱すればよい。
圧密化処理における加圧時間は、繊維集合体を構成する繊維の繊維形状が保たれ、且つ圧密化可能な条件であれば、適宜設定可能である。
例えば、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上とすることができる。
また、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは25秒以下、より好ましくは20秒以下とすることができる。
例えば、カレンダー法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.04秒以上とすることができる。
また、カレンダー法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは0.1秒以下、より好ましくは0.08秒以下とする
ことができる。
以上の条件で圧密化処理を行うことによって、繊維集合体を厚み方向に圧縮して、所定の体積充填率を有する不織布を容易に得ることができる。
特に、上述した圧力及び温度の範囲では、繊維の構成樹脂の溶融が生じにくい状態でありながら、熱処理による形態安定性及び寸法安定性を高めることができるので、製造後も所定の体積充填率を維持した不織布を得ることができる。
また、横断面形状が真円形である繊維を用いた場合、圧密化処理によって、繊維の横断面形状を扁平にすることができるので、体積充填率を高めることができるという利点もある。
得られた不織布は、圧密化処理を経た場合でも、エアスルー不織布である。
本製造方法では、上述したエアスルー工程又は圧密化工程により得られた不織布に対し、一方の面に冷感剤11を塗工する塗工工程を行う。上述した実施形態の衛生用不織布10は、塗工工程で冷感剤11が塗工された面の反対の面が肌当接面となる。塗工工程において冷感剤11は、溶媒に溶解させた状態で不織布の一方の面に塗工してもよいし、溶媒を用いずに塗工してもよい。溶媒としては、通常用いられる種々のものを採用できる。例えばエタノール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
不織布に塗工される冷感剤11の塗工量は、前述した衛生用不織布10における冷感剤11の含有量となるように調整されることが好ましい。
衛生用不織布10に冷感剤11を塗工する方法は特に限定されないが、スプレーによる塗布、スロットコーターによる塗布、ロール転写による塗布、冷感剤11を含む液体への浸漬等が挙げられる。このようにして、冷感剤11を有する衛生用不織布10が得られる。
衛生用不織布10は、上述した製造方法に代えて、スパンボンド法に基づく方法によっても製造することができる。このように製造された衛生用不織布10は、スパンボンド不織布である。
詳細には、繊維の原料樹脂を溶融状態で多数の細孔を有する紡糸口金から押し出すとともに、押し出された樹脂をロール等で延伸して長繊維とし、それらの長繊維をネットコンベア上に集積して、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維のウエブを得る。その後、繊維ウエブをエンボスロール間に導入して、加熱及び加圧による圧密化(熱圧着)を行い、体積充填率が3.5%以上の衛生用不織布10を得る。つまり、本方法は、繊維ウエブの不織布化と圧密化処理とを同時に行うものである。エンボスロールにおける温度及び加圧条件は、上述した圧密化処理におけるカレンダー法の条件と同様の範囲とすることができる。
目的とする衛生用不織布10において、複層構造のものを製造する場合には、例えば、カード法によって形成した熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブを、熱伝導率が0.11W/mK以上の繊維を含む繊維ウエブに、エアスルー処理及び圧密化処理を施すことによって得られた体積充填率が3.5%以上の繊維集合体上に積層して、積層体とする。そして、該積層体に対してエアスルー処理を施すことによって、複層構造の繊維集合体であるエアスルー不織布を得ることができる。このとき、吹き付ける熱風の温度は、最も融点の低い樹脂の融点を上述した融点Mとして、熱風の温度を決定することが好ましい。
複層構造の衛生用不織布10を製造する別の形態としては、熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブを、熱伝導率が0.11W/mK以上の繊維を含む繊維ウエブ上に積層して、繊維ウエブの積層体とする。そして、該積層体に対してエアスルー処理及び圧密化処理を施すことによって、複層構造の繊維集合体(エアスルー不織布)を得ることができる。
複層構造の衛生用不織布10を製造する更に別の形態としては、熱伝導率が0.11W/mK以上の繊維を含む繊維ウエブをエアスルー処理及び圧密化処理を施すことによって
、体積充填率が3.5%以上の繊維集合体を得ると共に、熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブにエアスルー処理を施すことによって、第2繊維集合体を得た後、これらの繊維集合体を接着剤を介して接合することによって得ることができる。
また、複層構造の衛生用不織布10をスパンボンド法により製造する更に別の形態としては、例えば、上述の第2繊維ウエブを、熱伝導率が0.11W/mK以上の繊維を含む繊維ウエブに積層して、その状態で加熱及び加圧による圧密化(熱圧着)を行って、繊維集合体を得てもよい。この繊維集合体を経て製造された衛生用不織布10は、スパンボンド不織布である。
上述のエアスルー法又はスパンボンド法により得られた複層構造の繊維集合体は、これをこのまま塗工工程に供して衛生用不織布10を製造してもよい。また、上述した工程に加えて、上述した条件で更に圧密化工程を行った後、塗工工程を行ってもよい。
以上の工程を経て、衛生用不織布10を得ることができる。斯かる衛生用不織布10は、好ましくは、以後の工程で、吸収性物品等の衛生品の構成部材として組み込まれる。
衛生用不織布10を吸収性物品等の衛生品の構成材料とする場合、衛生品を製造する工程のうちの何れかにおいて、上述の方法で製造された衛生用不織布10を構成材料の一つとして用い、該衛生用不織布10を切断する工程や、該衛生用不織布10と衛生品を構成する他の構成材料(例えば吸収体やシート等)とを積層又は接合する等の各種操作を行う工程のうち一つ以上備えて、目的とする吸収性物品等の衛生品を製造することができる。
第2構成部材を備える衛生品を製造する場合には、例えば、上述の衛生用不織布10を別途製造した後、衛生品の製造工程の何れかの段階で第1繊維集合体としての衛生用不織布と、第2構成部材として、上述の吸収体や吸収性シートとを隣接させた状態で、積層又は接合すればよい。この場合、衛生用不織布10は、衛生品の着用時に着用者の肌に対向する面を構成するように配してもよく、衛生品の着用時に着用者の肌に対向しない面側に配してもよい。
また、冷感剤11を有する第2部材を備えた吸収性物品を製造する場合には、例えば、上述の塗工工程を行わずに製造した不織布を別途製造した後、該不織布を第1部材とし、吸収性物品の製造工程の何れかの段階で第2部材を構成するシートに冷感剤11を塗工する。そして、第1部材及び第2部材を積層又は接合によって吸収性物品に組み込めばよい。この場合、第1部材の不織布は、衛生品の着用時に着用者の肌に当接する肌当接面を形成するように組み込まれることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、第1部材及び第2部材を有する吸収性物品において、第1部材と第2部材との間に介在する別部材が、所定の圧縮変形量を有する第2構成部材であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1~7〕
芯がナイロン6(Ny)であり且つ鞘(繊維表面)がHDPEであり、横断面形状が真円形状(繊維径:17μm)である芯鞘繊維を用いた(以下、これをNy/HDPE繊維ともいう)。この繊維のポリエチレン樹脂含有量は、50質量%であった。この繊維からなる繊維ウエブに対しエアスルー処理を行い、繊維集合体を得た。エアスルー処理は、熱風温度134℃、風速1.7m/秒、ウエブ搬送速度10m/秒で行った。次に、プレス
法により、繊維集合体を圧密化処理して不織布を得た。プレス処理は、温度80℃、圧力10MPa、加圧時間15秒で行った。得られた不織布は単一層のものであった。次いで、不織布の一方の面に、下記表1に示す冷感剤11を塗工して、衛生用不織布10を得た。冷感剤11は、95%エタノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)に、該冷感剤11を10質量%となるように溶解させた冷感剤溶液を用意し、該溶液を噴霧することで、不織布の一方の面に塗工した。不織布の諸元、並びに冷感剤11の諸元及び塗工量を下記表1に示す。冷感剤11の蒸気圧は、上述した方法により算出した。
実施例1~7で用いた冷感剤11を以下に示す。実施例7では、メントールと乳酸メンチルとを、同じ塗工量で塗工した。
メントール(高砂香料工業株式会社製、商品名「l-Menthol」)
乳酸メンチル(Sigma-Aldrich製、商品名「L-Menthyl lactate」)
メントングリセリンアセタール(Symrise製、商品名「Frescolat MGA」)
メントキシプロパンジオール(高砂香料工業株式会社製、商品名「CA-10」)
イソプレゴール(高砂香料工業株式会社製、商品名「CA-P」)
メンタンジオール(高砂香料工業株式会社製、商品名「CA-38D」)
〔実施例8〕
HDPEの単一樹脂からなり、横断面形状が長軸と短軸とを有する扁平且つ多葉形状(以下、この形状を、表中も含み「扁平異形」ともいう。)である繊維を用いた。繊維断面における長軸の長さは35μmであり、短軸の長さは9μmであり、そして短軸の長さに対する長軸の長さの比(長軸/短軸)は、3.9であった。斯かる繊維からなるウエブをエアスルー処理し、繊維集合体を得た。エアスルー処理は、熱風温度130℃、風速1m/秒、ウエブ搬送速度5m/秒で行った。次に、プレス法により、繊維集合体を圧密化処理して不織布を得た。プレス処理は、温度80℃、圧力10MPa、加圧時間15秒で行った。得られた不織布は単一層のものであった。次いで、不織布の一方の面に、下記表1に示す冷感剤11を実施例1と同様の方法により塗工して、衛生用不織布10を得た。不織布の諸元、並びに冷感剤11の諸元及び塗工量を下記表1に示す。
〔比較例1〕
比較例1では、芯がPETであり且つ鞘(繊維表面)がHDPEであり、横断面形状が真円形状である芯鞘繊維を用いた(以下、これをPET/HDPE繊維ともいう)。この繊維のポリエチレン樹脂含有量は、50質量%であった。この繊維からなる繊維ウエブを実施例1と同様の条件にてエアスルー処理を行い、不織布を得た。得られた不織布は単一層のものであった。当該不織布には、冷感剤11を塗工しなかった。得られた不織布の諸元を下記表1に示す。
〔比較例2〕
比較例1で得られた不織布の一方の面に冷感剤11を塗工した。不織布の諸元、並びに冷感剤11の諸元及び塗工量を下記表1に示す。
〔参考例1〕
参考例1では、不織布に冷感剤11を塗工しなかった点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を得た。
〔衛生用不織布の厚みの測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、厚みを測定した。厚みの測定は、測定対象の衛生用不織布に4.9mN/cmの荷重を負荷した状態で、レーザー変位計(株式会社キーエンス製、LK-080)を用いて、5箇所以上測定し、それらの算術平均値を厚み(mm)とした。結果を表1に示す。
〔不織布における熱伝導率の測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、熱伝導率の測定を以下の方法で行った。
(1.サンプル作成)
測定対象となる衛生用不織布を小さく切って、10g程度になるように複数枚積層した積層体を2枚のSUS板間にSUS板の中央に来るように保持し、無加圧条件にて1分間加熱し、融着物を得た。加熱温度は、上述した示差走査熱量測定計で測定した融点M+20℃とし、複数の樹脂材料を含む不織布の場合には、融点の最も高い樹脂の融点を基準として加熱した。具体的には、HDPEのみの繊維で構成された不織布は150℃、Ny/HDPE繊維で構成された不織布は245℃、PET/HDPE繊維で構成された不織布は300℃にてそれぞれ加熱した。
次いで、得られた融着物に対して、上述の加熱温度を維持したまま、ゲージ圧200kgf(天板込みの総質量:21848kg;圧力を面圧として計算する場合、融着物の面積が樹脂の溶融とともに変化するため、面圧は、最終的に得られた円形樹脂板の面積に基づいて計算する。例えば円形樹脂板が15cmの直径である場合、面圧は12MPaである。)の圧力をかけて1分間保持した後、加圧状態を維持したまま20℃まで水冷して、直径約15~20cmの円形樹脂板を得た(樹脂の溶融粘度により、得られる円形樹脂板の直径は変化しうる)。
続いて、得られた円形樹脂板について、中心を通る放射線状に円形樹脂板を切断し、また最大差し渡し長さが5cm以上であれば5cm以下になるように更に切断した。そして、樹脂の配向の影響がなくなるように、最大差し渡し長さにおける仮想線分の延在方向がランダムになるように、切断した樹脂板をSUS板の中央へ重ねて置いた後、厚み1mmのシムをSUS板の中央から10cmの場所に2枚平行に配し、その上にSUS板を重ねた。その後、上述と同様の操作で無加圧下での加熱、並びに加圧下での加熱、冷却を行った。気泡が入ってしまった場合は、同様の動作を繰り返した。2回加熱溶融する目的は、サンプルを一度溶融させて、繊維の紡糸過程で変化する樹脂の結晶化などの影響を除外し、熱履歴を一定にするためである。これによって、フィルムを得た。
(2.熱伝導率の測定)
熱伝導率の測定は、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)を用いて、以下の方法で行った。
まず、作成したフィルムを直径17cmの円形に切り取り、室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した。次いで、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱伝導率を測定した。具体的には、測定用の熱源体(BT-BOX、
縦5cm×横5cmで厚み1mmのアルミニウム板と、ヒーターなどとが一体化されている)の温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)に設定し、フィルムが反って、接触する面積が低減することを防止するために、フィルムに面積0.25m当たり1kgの荷重を付加するように該熱源体を接触させた。測定器の表示板において、熱源体から測定対象への熱流量が一定になった時点を測定開始時点とし、該時点から60秒間の平均熱流量を測定した。測定条件と、測定された熱流量から、以下の式(I)に基づいて算出した。フィルムの厚みDは、レーザー変位計によって無荷重下で3箇所以上測定した厚みの算術平均値とした。上述の測定を測定対象一つにつき3回行い、それらの測定値の最大値を、サンプルの熱伝導率(W/mK)とした。結果を表1に示す。
k=100×(W×D)/(A×ΔT) ・・・(I)
(k:熱伝導率[W/mK]、W:熱流量[W/m]、D:フィルムの厚み[cm]
、A:アルミニウム板面積(25cm)、ΔT:熱源体とフィルムとの温度差(10℃
〔体積充填率の測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、上述の方法にて体積充填率(%)を算出した。結果を表1に示す。
〔接触冷感の測定〕
接触冷感の測定は、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)を用いて、以下の方法で行った。
まず、測定対象となる衛生用不織布を長さ23cm×幅14cmの寸法に切り取り、室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した。次いで、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、熱源との温度差を規定するために、測定対象の衛生用不織布を気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置を用いて、試験片が23℃になるようにした。
続いて、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の接触冷感qmaxを測定した。具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm、質量9.8gの純銅(T-Box)製の測定端子を用い、該銅板の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該銅板の測定対象への接触圧を98mN/cm(10gf/cm)として、試験片に該銅板を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定した。この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の接触冷感qmax(W/m)とした。
接触冷感qmaxの値が大きいほど、熱の移動量が大きく、また熱の移動が速く、着用者に冷感を知覚させやすいものであることを指す。結果を以下の表1に示す。
〔冷感の官能評価〕
実施例及び比較例、並びに参考例の衛生用不織布における肌対向面を5名の専門パネラーの前腕にそれぞれ貼り付け、貼付直後、貼付5分後、15分後、60分後、及び120分後と経時的に冷感の知覚を以下の基準で評価してもらった。実施例1~8及び比較例2の衛生用不織布については、冷感剤が塗工された面とは反対側の面を肌対向面とした。なお、評価に用いた衛生用不織布はそれぞれ、25℃環境下に放置して環境温度と等しくなった状態のものを使用した。評価点の算術平均値が高いほど、衛生用不織布の冷感を効果的に知覚させやすいことを意味する。結果を以下の表1に示す。
5点: 非常に冷たく、ジンジンする。
4点: とても冷たい。
3点: 冷たい。
2点: 少し冷たい。
1点: 僅かに冷たい。
0点: 冷たく感じない。
Figure 2023065152000002
表1の結果から明らかなとおり、実施例1~8の衛生用不織布は、冷感剤11のない比較例1よりも、接触冷感qmaxの値が大きいとともに、貼付直後及び貼付5分後以降に知覚される冷感の評価が高かった。また、実施例1~8の衛生用不織布は、比較例2よりも、接触冷感qmaxの値が大きいとともに、貼付直後及び貼付5分後に知覚される冷感の評価が高かった。
実施例1、2及び7の対比より、即効型冷感剤と遅効型冷感剤との併用が、冷感の持続性に有効であることが示された。
以上の結果より、本発明の衛生用不織布によれば、肌に触れたときに冷感を知覚させる接触時の冷感と、冷感の持続性とを両立できることが示された。また、斯かる衛生用不織布を備えた吸収性物品においても同様の効果が得られることが示された。
10 衛生用不織布
11 冷感剤
1 おむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 外装体
51 外層シート
52 内層シート
6 サブレイヤーシート

Claims (8)

  1. 熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有し、
    体積充填率が3.5%以上であり、
    TRPM8アゴニスト型の冷感剤を有する、衛生用不織布。
  2. 前記冷感剤は、蒸気圧が、0.04mmHg以上である、請求項1に記載の衛生用不織布。
  3. 前記衛生用不織布は、肌に当接する肌当接面を有し、
    該肌当接面の少なくとも一部に前記繊維を含有し、該肌当接面とは反対の面側に前記冷感剤を有する、請求項1又は2に記載の衛生用不織布。
  4. 前記冷感剤の含有量が、前記衛生用不織布の質量に対して、0.5質量%以上30.0質量%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  5. 前記冷感剤として、蒸気圧が0.04mmHg以上30.00mmHg未満の冷感剤と、蒸気圧が30.00mmHg以上の冷感剤とを有する、請求項1~4の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の衛生用不織布を構成部材として備えた、吸収性物品。
  7. 肌対向面及び非肌対向面を有し、前記冷感剤を該非肌対向面側に有するように前記衛生用不織布が配された、請求項6に記載の吸収性物品。
  8. 第1部材と第2部材とを構成部材として備え、肌対向面及び非肌対向面を有する、吸収性物品であって、
    第1部材が、熱伝導率が0.11W/mK以上である繊維を表面の少なくとも一部に含有し、且つ体積充填率が3.5%以上である不織布であり、
    第1部材及び第2部材の少なくとも一方が、TRPM8アゴニスト型の冷感剤を有し、
    前記不織布が着用者の肌と当接する肌当接面を形成しており、
    第2部材が、第1部材よりも非肌対向面側に配されている、吸収性物品。
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