JP2023065155A - 衛生用不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】肌に触れたときに冷感を知覚させることができる衛生用不織布及びその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の衛生用不織布は、熱可塑性樹脂及び走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子を含む繊維を構成繊維として含み、構成繊維どうしが融着した融着点を有し、体積充填率が3.5%以上である。本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂と走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子とを含む組成物を加熱しながら混錬後、紡糸することで繊維を得る工程、前記繊維のウエブにエアスルー処理を行って繊維集合体を得る工程、前記繊維集合体に対して圧密化処理を行う工程を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、衛生用不織布及びその製造方法に関する。
冷感を知覚させることができる構成を有する繊維や物品が提案されている。例えば特許文献1には、夏場の暑熱感を解消するための衣料に用いられることを目的とした快適性布帛が開示されている。この布帛は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含み、20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率が0.08W/mK以上で、接触冷温感が0.13W/cm2以上であることも同文献に開示されている。
特許文献2には、吸収体の横方向両側部から外側に延出するサイドフラップに冷感剤が塗布された吸収性物品が開示されている。
特許文献3には、吸湿性及び冷感を発現させることを目的として、鞘部ポリマーがポリアミド、芯部ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重合体で構成され、無機粒子を繊維全体で0.1~5重量%含有する繊維及びこれを用いた布帛が開示されている。
また特許文献4には、鞘層がポリエチレンで、芯層がナイロン又はポリエステルである複合繊維の糸を編立てたニット生地が開示されている。
生理用ナプキンやパンティライナー等の身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品や、目を覆うアイマスクや口や鼻を覆うフェイスマスク等の衛生用物品などの衛生品は、不織布を含む複数の構成部材を組み合わせて構成されるところ、このような物品が使用前又は着用時に肌に触れると、着用者に温感を知覚させ、使用時の蒸れ等の不快感を想起させることがある。このことは、特に暑熱環境下において顕著となり得る。そのため、衛生品における肌と接触する部位は、風合いが良好であり、且つ冷感を知覚させる構成が望まれる。
しかし、特許文献1、2及び4に記載の技術は、衣類などの衛生品以外の物品に適用されるものであり、衛生品への適用については何ら検討されていない。
特許文献3に記載の技術は冷感剤を用いるものであるため、冷感を知覚させることについて遅効性であり、また手の平など皮膚の厚い部位で接触した場合には、冷感を感じにくい。
したがって、本発明は、肌に触れたときに冷感を知覚させることができる衛生用不織布に関する。
本発明は、衛生用不織布に関する。
前記衛生用不織布は、熱可塑性樹脂及び走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子を含む繊維を構成繊維として含むことが好ましい。
前記衛生用不織布は、構成繊維どうしが融着した融着点を有することが好ましい。
前記衛生用不織布は、体積充填率が3.5%以上であることが好ましい。
前記衛生用不織布は、熱可塑性樹脂及び走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子を含む繊維を構成繊維として含むことが好ましい。
前記衛生用不織布は、構成繊維どうしが融着した融着点を有することが好ましい。
前記衛生用不織布は、体積充填率が3.5%以上であることが好ましい。
また本発明は、衛生用不織布の製造方法に関する。この製造方法では、下記の工程をこの順番で行うことが好ましい。
すなわち、前記方法は、熱可塑性樹脂と走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子とを加熱しながら混錬後、紡糸することが好ましい。
前記方法は、前記繊維のウエブにエアスルー処理を行って繊維集合体を得ることが好ましい。
前記方法は、前記繊維集合体に対して圧密化処理を行うことが好ましい。
すなわち、前記方法は、熱可塑性樹脂と走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子とを加熱しながら混錬後、紡糸することが好ましい。
前記方法は、前記繊維のウエブにエアスルー処理を行って繊維集合体を得ることが好ましい。
前記方法は、前記繊維集合体に対して圧密化処理を行うことが好ましい。
本発明によれば、肌に触れたときに冷感を知覚させることができる衛生用不織布が提供される。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の衛生用不織布は、衛生品の構成部材として好適に用いられる。衛生品の典型例は、フェイスマスクやアイマスク等の衛生用物品や、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の尿や経血等の体液を吸収する吸収性物品等であり、好ましくは吸収性物品である。
衛生用不織布は、衛生品の着用時において着用者の肌と対向又は当接する面に配されたり、あるいは、衛生品を取り扱う際に着用者の手等に触れる部位に配されたりする。
衛生用不織布は、ここに記載された用途に特に限定されず適用可能である。
本発明の衛生用不織布は、衛生品の構成部材として好適に用いられる。衛生品の典型例は、フェイスマスクやアイマスク等の衛生用物品や、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の尿や経血等の体液を吸収する吸収性物品等であり、好ましくは吸収性物品である。
衛生用不織布は、衛生品の着用時において着用者の肌と対向又は当接する面に配されたり、あるいは、衛生品を取り扱う際に着用者の手等に触れる部位に配されたりする。
衛生用不織布は、ここに記載された用途に特に限定されず適用可能である。
本発明の衛生用不織布は、熱可塑性樹脂及び走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子(以下、この粒子を「熱伝導性の無機化合物粒子」ともいう。)を含む繊維(以下、これを「無機化合物粒子含有繊維」ともいう。)を構成繊維として含む。熱伝導性の無機化合物粒子の詳細は後述する。
衛生用不織布は、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維が単独で、あるいは他の繊維と混綿されて単一の繊維層からなる繊維集合体として構成されていてもよい。これに代えて、衛生用不織布は、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維を含む繊維集合体の層と、無機化合物粒子含有繊維層以外の他の繊維集合体の層とが積層されて複数の繊維層からなる繊維集合体として構成されていてもよい。
つまり、衛生用不織布は、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となって構成されていてもよく、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維に加えて他の繊維を更に含み、これらの繊維が構成繊維となって構成されていてもよい。
つまり、衛生用不織布は、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となって構成されていてもよく、熱伝導性の無機化合物粒子含有繊維に加えて他の繊維を更に含み、これらの繊維が構成繊維となって構成されていてもよい。
本発明の衛生用不織布の構成繊維どうしは、融着によって繊維シートの形態を維持している。具体的には、風合いや通気性を更に向上させる観点から、衛生用不織布の構成繊維は、これらの繊維どうしが融着した融着点を有する。
融着とは、複数の繊維に熱のみ又は熱及び圧力を付与して、繊維が溶融する等して、繊維間の境界が不明瞭となった部位を有する態様である。融着点を有するように構成するためには、例えば後述するように、繊維ウエブに熱風の吹き付けを行うことによって形成することができる。
融着とは、複数の繊維に熱のみ又は熱及び圧力を付与して、繊維が溶融する等して、繊維間の境界が不明瞭となった部位を有する態様である。融着点を有するように構成するためには、例えば後述するように、繊維ウエブに熱風の吹き付けを行うことによって形成することができる。
衛生用不織布に含まれる繊維は、上述のとおり熱可塑性樹脂を含む。本発明の衛生用不織布に含まれる構成繊維の熱可塑性樹脂の存在態様としては、(i)繊維の構成樹脂が単一成分である態様や、(ii)互いに異なる2種以上の樹脂成分とを含む繊維などが挙げられる。
前記(ii)の具体例としては、(a)複数種類の熱可塑性樹脂を含む樹脂が混合された樹脂からなる繊維、(b)第1樹脂からなる芯と、その芯の表面を覆う第2樹脂とからなる芯鞘複合繊維や、(c)第1樹脂と第2樹脂とを有し、第1樹脂からなる繊維表面の少なくとも一部に第2樹脂が繊維長さ方向に沿って連続して存在するサイドバイサイド複合繊維等が挙げられる。
前記(a)及び(b)の場合、それぞれ独立して、第1樹脂及び第2樹脂は互いに異なる熱可塑性樹脂である。また前記(a)及び(b)の場合、第1樹脂及び第2樹脂のうち融点が低い熱可塑性樹脂成分が繊維表面に存在することが、融着点の形成の容易性、並びに肌触り及び冷感の向上の観点から好ましい。
本発明に用いられる繊維は、中実であってもよく、中空であってもよい。熱伝導性を高めて使用者に冷感を知覚させやすくする観点から、好ましくは中実の繊維である。
前記(a)及び(b)の場合、それぞれ独立して、第1樹脂及び第2樹脂は互いに異なる熱可塑性樹脂である。また前記(a)及び(b)の場合、第1樹脂及び第2樹脂のうち融点が低い熱可塑性樹脂成分が繊維表面に存在することが、融着点の形成の容易性、並びに肌触り及び冷感の向上の観点から好ましい。
本発明に用いられる繊維は、中実であってもよく、中空であってもよい。熱伝導性を高めて使用者に冷感を知覚させやすくする観点から、好ましくは中実の繊維である。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、並びにエチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して若しくは組み合わせて用いることができる。
ポリエチレン樹脂としてエチレン-プロピレン共重合体を用いる場合、共重合体中のエチレン単位の割合は、熱伝導性を高める観点から、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。
また、共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
ポリエチレン樹脂としてエチレン-プロピレン共重合体を用いる場合、共重合体中のエチレン単位の割合は、熱伝導性を高める観点から、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。
また、共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
繊維を構成する樹脂としては、上述のとおり、1種のみの熱可塑性樹脂から構成されていてもよく、2種以上の異なる熱可塑性樹脂から構成されていてもよい。これらのうち、2種以上の異なる熱可塑性樹脂を含む複合繊維であることが好ましく、複合繊維として芯鞘複合繊維であることがより好ましい。
また衛生用不織布の構成繊維が芯鞘複合繊維である場合、鞘の構成樹脂がポリエチレン樹脂を含むことが更に好ましく、HDPEからなることが一層好ましい。
同様に、衛生用不織布の構成繊維が芯鞘複合繊維である場合、芯の構成樹脂がポリアミド樹脂を含むことが更に好ましく、ナイロン6からなることが一層好ましい。
また衛生用不織布の構成繊維が芯鞘複合繊維である場合、鞘の構成樹脂がポリエチレン樹脂を含むことが更に好ましく、HDPEからなることが一層好ましい。
同様に、衛生用不織布の構成繊維が芯鞘複合繊維である場合、芯の構成樹脂がポリアミド樹脂を含むことが更に好ましく、ナイロン6からなることが一層好ましい。
ポリエチレン樹脂は、ポリアミド樹脂よりも熱伝導性が高いので、繊維表面にポリエチレン樹脂を有する構成とすることによって、熱伝導性の高いポリエチレン樹脂が着用者の肌に直接接触するので、着用者に冷感を強く知覚させることができる。またポリアミド樹脂が有する高い熱伝導性、低い剛性及び吸湿性等の良好な性質を繊維に発現させることができ、不織布の風合いが更に向上する。特に、ポリエチレン樹脂としてHDPEを用いることで、HDPEが有する高い熱伝導率によって、着用者に対して冷感をより強く知覚させることができる点で有利である。
また、融点の異なる樹脂を組み合わせて用いることで、繊維どうしを完全に融着させずに不織布化することができ、製造時における加工性が向上し、得られる不織布の風合いが向上する。また複合繊維に捲縮を発現させて、風合いを更に高めることができる。これに加えて、不織布がさらさらとした触感になり、不織布を触れたときに冷感を知覚した場合でも、使用者に不快な濡れ感を感じにくくさせることができる。
特に、芯鞘複合繊維とすることによって、冷感を高めるための熱伝導性の無機化合物粒子を繊維内に含有させた場合であっても、芯鞘構造によって繊維の強度を高めることができるので、不織布の十分な強度を達成することができる。また、不織布の製造時において無機化合物粒子を含有する繊維を紡糸する場合であっても、繊維の硬度を高めて、紡糸時の繊維の意図しない破断を防ぐことができるので有利である。
より具体的には、芯がポリアミド樹脂であり且つ鞘がHDPEからなる芯鞘構造を有する複合繊維を用いることで、汗、尿、経血、呼気等の体液に起因する水分によりポリアミド樹脂が吸湿してもポリアミド樹脂が着用者の肌に直接触れないので、不快な湿り感を防止することができる。また、製造時において繊維の交点のみで融着させやすくすることができるので、触感が向上する。その結果、衛生用不織布は、良好な風合いを維持しつつ、その表面がさらさらとした良好な触感を有し、心地よい冷感を着用者に知覚させることができる。
また本発明の好適な態様として、鞘の構成樹脂が芯の構成樹脂よりも融点が低いものを用いて構成された芯鞘複合繊維を用いることによって、例えば衛生用不織布をエアスルー法で製造したときに、繊維の構成樹脂が過度に溶融して繊維形状を維持できなかったり、得られる不織布に穴あきが生じたりするなどの不具合が生じづらくなり、製造の安定性が更に向上する。これに加えて、上述の芯鞘繊維を用いてエアスルー法に供することによって、繊維の交点のみを融着しやすくなり、繊維どうしを完全に融着させずに不織布化でき、風合いが更に良好な不織布が得られる。これに加えて、不織布がさらさらとした触感になり、不織布を触れたときに冷感を知覚した場合でも、使用者に不快な濡れ感を感じにくくさせることができる。
本発明の衛生用不織布に含まれる繊維にポリアミド樹脂を含む場合、その含有量は、冷感の向上の観点から、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
構成繊維にポリエチレン樹脂を含む場合、衛生用不織布に含まれる繊維の全質量に対するポリエチレン樹脂の含有量は、冷感の向上の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
構成繊維にポリエチレン樹脂を含む場合、衛生用不織布に含まれる繊維の全質量に対するポリエチレン樹脂の含有量は、冷感の向上の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
構成繊維にポリエチレン樹脂及びポリアミド樹脂を含む場合、本発明の衛生用不織布に含まれるポリエチレン樹脂に対するポリアミド樹脂の質量比(ポリアミド樹脂/ポリエチレン樹脂)は、冷感と優れた風合いとを両立して発現する観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、一層好ましくは0.5以上、更に一層好ましくは0.8以上であり、不織布加工性の観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下である。
繊維中の構成樹脂の種類は、示差走査熱量測定によって、繊維の構成する樹脂の融点を確認するとともに、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)の一種以上を用いて樹脂種を確認する。これに加えて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維の表面形状・断面形状から、紡糸方法を推定し、繊維中の樹脂の種類を特定する。
構成樹脂の含有量は、まず、測定対象の不織布の質量と、無荷重下での厚みを測定する。その後、液体窒素等を用いて繊維構造を固定して、繊維の長手方向に直交する方向に繊維断面が観察できるように不織布の断面を作成し、SEM等を用いて体積比を確認する。得られた体積比と樹脂の比重から、樹脂の含有量を算出する。測定対象の不織布が衛生品に組み込まれている場合には、コールドスプレーで衛生品から不織布を剥離して測定に供する。
構成樹脂の含有量は、まず、測定対象の不織布の質量と、無荷重下での厚みを測定する。その後、液体窒素等を用いて繊維構造を固定して、繊維の長手方向に直交する方向に繊維断面が観察できるように不織布の断面を作成し、SEM等を用いて体積比を確認する。得られた体積比と樹脂の比重から、樹脂の含有量を算出する。測定対象の不織布が衛生品に組み込まれている場合には、コールドスプレーで衛生品から不織布を剥離して測定に供する。
熱伝導率の低い空気の含有量を低減し、該不織布の熱伝導率を向上させる観点から、衛生用不織布の体積充填率は、好ましくは3.5%以上、より好ましくは7.0%以上、更に好ましくは10.0%以上、一層好ましくは12.0%以上であり、より一層好ましくは14.0%以上である。
また、着用者の肌と接触する衛生用物品又は吸収性物品の構成材料として用いる場合に、風合いを良好にする観点から、衛生用不織布の体積充填率は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、更に好ましくは45.0%以下、一層好ましくは35.0%以下、より一層好ましくは33.0%以下である。
また、着用者の肌と接触する衛生用物品又は吸収性物品の構成材料として用いる場合に、風合いを良好にする観点から、衛生用不織布の体積充填率は、好ましくは60.0%以下、より好ましくは50.0%以下、更に好ましくは45.0%以下、一層好ましくは35.0%以下、より一層好ましくは33.0%以下である。
衛生用不織布が上述した体積充填率を有していることによって、熱伝導性の低い空気の含有量が衛生用不織布内で少なくなるので、熱の移動性を高めることができ、これに起因して、着用者に冷感をより強く知覚させることができる。
これに加えて、本発明の衛生用不織布及び該不織布を組み込んだ衛生用物品又は吸収性物品としての風合いを十分に発現させることができる。
上述した構成は、例えば後述する製造方法のように、衛生用不織布の製造過程において得られる繊維集合体を圧密化処理等することによって得ることができる。
これに加えて、本発明の衛生用不織布及び該不織布を組み込んだ衛生用物品又は吸収性物品としての風合いを十分に発現させることができる。
上述した構成は、例えば後述する製造方法のように、衛生用不織布の製造過程において得られる繊維集合体を圧密化処理等することによって得ることができる。
本発明における体積充填率は、実体積に対する見かけ体積の百分率として表すことができる。詳細には、測定対象の衛生用不織布を所定面積切り取って測定サンプルとし、その質量(g)を測定する。測定サンプルを切り取る際の所定面積は10cm四方が好ましいが、その寸法にて測定サンプルを切り出せない場合は、測定対象となる衛生用不織布の坪量が目視にて均一である領域の中で、できる限り大きな領域となる幅及び長さで切り取る。そして、測定サンプルの坪量A(g/cm2)を算出する。
また、測定サンプルの厚みB(cm)の測定方法は以下のとおりである。まず、12.59g(直径55mm)のプレートのみをレーザー変位計(株式会社キーエンス製、LK-080。本明細書におけるレーザー変位計は全てこれである。)に載置して、測定された厚みをゼロとしてゼロ点調整を行う。そして、測定サンプルの上に前記プレートを載置し、その状態での厚みを、レーザー変位計を用いて測定し、これを測定サンプルの厚みB(cm)とする。厚みBの測定では、プレートの載置によって、4.9mN/cm2の荷重が測定サンプルに付与されている。
また、測定サンプルの厚みB(cm)の測定方法は以下のとおりである。まず、12.59g(直径55mm)のプレートのみをレーザー変位計(株式会社キーエンス製、LK-080。本明細書におけるレーザー変位計は全てこれである。)に載置して、測定された厚みをゼロとしてゼロ点調整を行う。そして、測定サンプルの上に前記プレートを載置し、その状態での厚みを、レーザー変位計を用いて測定し、これを測定サンプルの厚みB(cm)とする。厚みBの測定では、プレートの載置によって、4.9mN/cm2の荷重が測定サンプルに付与されている。
そして、繊維の構成成分の比重C(g/cm3)を用いて、以下の式(I)から、体積充填率(%)を算出する。複合繊維等の二種以上の樹脂が含まれている繊維である場合は、各構成成分の質量割合に基づく比重の和を比重Cとして用いる。例えば、比重C1(g/cm3)の構成成分と、比重C2(g/cm3)の構成成分とが30:70の質量割合である二成分系の繊維を含んでいる場合は、比重C(g/cm3)は、「0.3×比重C1+0.7×比重C2」と算出される。
体積充填率(%)=100×(A)/(B×C) ・・・(I)
体積充填率(%)=100×(A)/(B×C) ・・・(I)
測定対象の衛生用不織布が吸収性物品等の衛生品に組み込まれている場合は、該衛生品にコールドスプレーを吹きかけ、ホットメルト接着剤を固化させてから、測定対象の衛生用不織布を丁寧に剥がす。また、後述する第2繊維集合体等といった他の部材と融着などによって接合されている場合も同様に、コールドスプレーや液体窒素等を用いて構造を固定してから、測定対象を剥がして測定する。この手段は本明細書の他の測定においても共通である。
本発明の衛生用不織布は、その構成繊維に熱伝導性の無機化合物粒子(以下、単に無機化合物粒子ともいう。)を含む。無機化合物粒子は、露出しない状態で繊維内に存在していてもよく、あるいは、無機化合物粒子の一部が繊維表面に露出し且つ無機化合物粒子一部が繊維内に埋め込まれて存在していてもよい。
無機化合物粒子は、無機化合物粒子含有繊維を構成する樹脂のうち最も熱伝導性の低い樹脂と少なくとも接触して存在するように配されていることが好ましい。これによって、無機化合物粒子による高い熱伝導率によって、熱伝導率が比較的低い樹脂を用いた場合であっても、冷感をより強く知覚させることができる。無機化合物粒子含有繊維が複合繊維である場合、無機化合物粒子は、最も熱伝導性の低い樹脂のみと接触するように存在していてもよく、最も熱伝導性の低い樹脂だけでなく、その他の樹脂とも接触するように存在していてもよい。冷感をより強く知覚させる観点から、無機化合物粒子は、最も熱伝導性の低い樹脂だけでなく、その他の樹脂とも接触するように存在していることが好ましい。
上述した好適な実施形態として、無機化合物粒子含有繊維が芯鞘複合繊維であり、且つ鞘の構成樹脂がHDPE、芯の構成樹脂がナイロン6である場合を例にとると、HDPEはナイロン6よりも熱伝導率が高いので、無機化合物粒子含有繊維における無機化合物粒子は、少なくとも芯部に存在していることが好ましい。無機化合物粒子含有繊維を構成する樹脂の種類に応じて、芯鞘複合繊維において、芯部に加えて鞘部に無機化合物粒子が含まれたり、あるいは、鞘部にのみ無機化合物粒子が含まれたりしてもよい。このような繊維は、例えば後述するように、溶融した樹脂無機化合物粒子との加熱混練物を用いて繊維を紡糸することで得ることができる。
本明細書における熱伝導性の無機化合物粒子とは、レーザーフラッシュ法によって測定される熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物を意味し、典型的には粒状である。
このような熱伝導性の無機化合物粒子としては、例えば酸化チタン、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、酸化亜鉛、及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。これらは単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。
これらのうち、無機化合物粒子は、好ましくは酸化亜鉛又は酸化チタンであり、より好ましくは酸化亜鉛である。このような無機化合物粒子を用いることによって、無機化合物粒子が有する高い熱伝導率によって不織布の構成繊維の熱伝導性を更に高めて、冷感を効果的に知覚させることができる。これに加えて、無機化合物粒子自体が白色等の明度が高い色であり、不織布や該不織布を組み込んだ衛生品の清潔感を高めることができる。更に、肌への刺激及び製造コストを低減することができる。
無機化合物粒子の存在の有無、及びその同定は、まず、走査型電子顕微鏡にて、繊維の表面及び断面を観察し、無機化合物粒子と思われる粒子の存在の有無を確認し、更に、粒子が存在する場合、その存在位置を確認する。次いで、その粒子の存在位置に対して、SEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)、顕微ラマン分光法用いて解析を行い、その結果を複合して、その粒子が無機化合物粒子であること、及びその種類を同定する。
このような熱伝導性の無機化合物粒子としては、例えば酸化チタン、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、酸化亜鉛、及びカーボンナノチューブ等が挙げられる。これらは単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。
これらのうち、無機化合物粒子は、好ましくは酸化亜鉛又は酸化チタンであり、より好ましくは酸化亜鉛である。このような無機化合物粒子を用いることによって、無機化合物粒子が有する高い熱伝導率によって不織布の構成繊維の熱伝導性を更に高めて、冷感を効果的に知覚させることができる。これに加えて、無機化合物粒子自体が白色等の明度が高い色であり、不織布や該不織布を組み込んだ衛生品の清潔感を高めることができる。更に、肌への刺激及び製造コストを低減することができる。
無機化合物粒子の存在の有無、及びその同定は、まず、走査型電子顕微鏡にて、繊維の表面及び断面を観察し、無機化合物粒子と思われる粒子の存在の有無を確認し、更に、粒子が存在する場合、その存在位置を確認する。次いで、その粒子の存在位置に対して、SEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)、顕微ラマン分光法用いて解析を行い、その結果を複合して、その粒子が無機化合物粒子であること、及びその種類を同定する。
衛生用不織布の構成繊維に含まれる無機化合物粒子は、その粒径が所定の範囲であることが好ましい。詳細には、無機化合物粒子の平均粒径Dは、冷感を効率的に知覚可能とする点からは大きいことが好ましいが、繊維の強度を維持し、不織布全体の十分な強度を両立させる観点から、好ましくは2.0μm以下、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.7μm以下であり、取り扱い性の観点から、好ましくは0.2μm以上である。
無機化合物粒子の平均粒径Dは、走査型電子顕微鏡での観察によって得られる画像を解析することで測定及び算出できる。
具体的には、走査型電子顕微鏡にて繊維の横断面を観察し、目視によりで無機化合物粒子が繊維中に存在することを確認する。次いで、繊維の横断面観察像から無機化合物粒子を無作為に10個以上選んで、そのヘイウッド径を測定する。そして、その算術平均値を上述した平均粒径Dとする。
具体的には、走査型電子顕微鏡にて繊維の横断面を観察し、目視によりで無機化合物粒子が繊維中に存在することを確認する。次いで、繊維の横断面観察像から無機化合物粒子を無作為に10個以上選んで、そのヘイウッド径を測定する。そして、その算術平均値を上述した平均粒径Dとする。
無機化合物粒子の含有量は、繊維質量に対する質量割合として、冷感の効果的な知覚の観点から、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。また繊維の強度を高めつつ、繊維紡糸時の破断を低減する観点から、無機化合物粒子の含有量は、繊維質量に対する質量割合として、好ましくは7質量%以下、より好ましく8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
衛生用不織布に用いられる無機化合物粒子含有繊維の繊維径T1は、構成繊維が肌にまとわりつかず、着用者の触感や使用感を良好に保つ観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは12μm以上である。
また、不織布における繊維間隙を小さくし、不織布中の空気の含有量を低減して、熱伝導性を高める観点から、無機化合物粒子含有繊維の繊維径T1は、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは27μm以下である。
また、不織布における繊維間隙を小さくし、不織布中の空気の含有量を低減して、熱伝導性を高める観点から、無機化合物粒子含有繊維の繊維径T1は、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは27μm以下である。
無機化合物粒子含有繊維の繊維径は、繊維の長さ方向に直交する方向に切断して断面視しSEM観察を行い、無機化合物粒子が存在することを確認した上で、1サンプルあたり10本の繊維の繊維径を測定して、その算術平均値を本発明の繊維径とする。繊維が非真円形である場合には、繊維の長軸及び短軸の各長さを測定し、繊維一本での長軸長さと短軸長さとの算術平均値を繊維径とし、該繊維径の10本の算術平均値を、本発明における繊維の繊維径とする。
無機化合物粒子の粒径と無機化合物粒子含有繊維の繊維径との関係においては、無機化合物粒子の平均粒径D(μm)に対する無機化合物粒子含有繊維の繊維径T1(μm)の比(T1/D)が、好ましくは15.0以上、より好ましくは20.0以上、更に好ましくは25.0以上であり、好ましくは50.0以下、より好ましくは40.0以下、更に好ましくは30.0以下である。このような比となっていることによって、無機化合物粒子が繊維表面に露出しにくくして不織布の風合いを向上させることができ、また、無機化合物粒子と樹脂間にできる界面に起因する不織布の強度低下等の悪影響を低減できる。
本発明の衛生用不織布は、その熱移動量qmaxが、好ましくは0.10W/m2以上、より好ましくは0.11W/m2以上、更に好ましくは0.12W/m2以上であり、好ましくは0.40W/m2以下、より好ましくは0.30W/m2以下、更に好ましくは0.25W/m2以下である。
熱移動量qmaxは、測定対象の衛生用不織布の一方の面を断熱状態として、例えば以下の方法で測定することができる。まず、測定対象の衛生用不織布から、長さ10cm×幅10cmの寸法となるように試験片を切り出し、該試験片を室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置する。なお、上述した寸法で試験片を切り出せない場合は、上述した寸法に近い寸法を有するように、可能な限り大きな寸法で試験片を切り出す。
次いで、この環境下で、試験片を発泡スチロール上に載せ、両面テープを用いて測定台に試験片を固定し、試験片の片面を断熱状態とする。測定台としては、気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置によって23℃に維持したものを用いる。
続いて、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱移動量qmaxを測定する。具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm2、質量9.8gの純銅板を用い、該銅板の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該銅板の測定対象への接触圧を1kPaとして、試験片に該銅板を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定する。この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の熱移動量qmax(W/m2)とする。
次いで、この環境下で、試験片を発泡スチロール上に載せ、両面テープを用いて測定台に試験片を固定し、試験片の片面を断熱状態とする。測定台としては、気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置によって23℃に維持したものを用いる。
続いて、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱移動量qmaxを測定する。具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm2、質量9.8gの純銅板を用い、該銅板の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該銅板の測定対象への接触圧を1kPaとして、試験片に該銅板を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定する。この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の熱移動量qmax(W/m2)とする。
熱移動量とは、肌が物体に触れたときに冷たく感じる皮膚感覚を数値化したものである。この熱移動量は、肌が物体に触れたときの、肌から物体への熱の移動量によって異なり、熱の移動量が多いほど、触れたときに冷たく感じる。熱移動量qmaxは、この肌から物体への熱の移動量の最大値に対応するものであり、熱移動量qmaxの値は、物体に触れたときに冷たく感じる場合ほど大きく、温かく感じる場合ほど小さくなる。したがって、熱移動量qmaxの値が上述の範囲であることによって、冷感をより効果的に知覚させることができる。
本発明の衛生用不織布は、該不織布の風合いを向上する観点から、その全体の厚みが、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.08mm以上である。
また、本発明の衛生用不織布は、不織布内の空気の含有量を低減させて、熱伝導性を高める観点から、不織布全体の厚みが、好ましくは8mm以下、より好ましくは7.5mm以下、更に好ましくは7mm以下である。
上述した衛生用不織布の厚みは、4.9mN/cm2(0.5gf/cm2)荷重下において、レーザー変位計等を用いて測定したものとする。
本発明の衛生用不織布の厚みが上述した構成となっていることによって、衛生用不織布の熱容量を高めて、着用者に冷感を効率よく知覚させることができる衛生用不織布を効率よく製造することができる。
また、本発明の衛生用不織布は、不織布内の空気の含有量を低減させて、熱伝導性を高める観点から、不織布全体の厚みが、好ましくは8mm以下、より好ましくは7.5mm以下、更に好ましくは7mm以下である。
上述した衛生用不織布の厚みは、4.9mN/cm2(0.5gf/cm2)荷重下において、レーザー変位計等を用いて測定したものとする。
本発明の衛生用不織布の厚みが上述した構成となっていることによって、衛生用不織布の熱容量を高めて、着用者に冷感を効率よく知覚させることができる衛生用不織布を効率よく製造することができる。
本発明の衛生用不織布は、その全体の坪量が、好ましくは15g/m2以上、より好ましくは18g/m2以上、更に好ましくは20g/m2以上である。
また、本発明の衛生用不織布は、その全体の坪量が好ましくは140g/m2以下、より好ましくは130g/m2以下、更に好ましくは120g/m2以下である。
上述した構成になっていることによって、衛生用不織布の坪量ムラに起因する冷感の知覚の違いを低減させることができるとともに、繊維どうしの融着や圧密化を効果的に行うことができ、所定の体積充填率を有する衛生用不織布を生産性高く製造することができる。
また、本発明の衛生用不織布は、その全体の坪量が好ましくは140g/m2以下、より好ましくは130g/m2以下、更に好ましくは120g/m2以下である。
上述した構成になっていることによって、衛生用不織布の坪量ムラに起因する冷感の知覚の違いを低減させることができるとともに、繊維どうしの融着や圧密化を効果的に行うことができ、所定の体積充填率を有する衛生用不織布を生産性高く製造することができる。
衛生用不織布中の無機化合物粒子含有繊維の含有量は、冷感を向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは100質量%である。すなわち、衛生用不織布は無機化合物粒子含有繊維のみから構成されることが更に好ましい。
上述の説明では、説明の便宜上、衛生用不織布は、無機化合物粒子含有繊維を含有する単一の繊維層を有する態様(単一繊維のみからなるか、他の繊維との混綿であるかは問わない)を例にとり説明したが、この形態に限られない。以下に、本発明の衛生用不織布の別の実施形態を説明する。
衛生用不織布の別の実施形態として、例えば、無機化合物粒子含有繊維を含む繊維集合体の層(以下、これを第1繊維層ともいう)と、該繊維層に隣接して配された無機化合物粒子含有繊維以外の繊維を含む第2繊維を含む繊維集合体の層(以下、これを第2繊維層ともいう。)とを少なくとも備える態様が挙げられる。つまり、本実施形態は、複層構造の衛生用不織布である。ここで隣接とは、繊維層どうしが他の繊維層を介さずに隣り合っていることを意味し、繊維層間に接着剤が介在していることは許容される。
この場合、冷感の効果的な知覚の観点から、第1繊維層は、衛生用不織布の外面を構成することが好ましい。また同様の観点から、少なくとも第1繊維層は上述した衛生用不織布に係る各種の好ましい形態を満たすことが好ましく、衛生用不織布全体において上述の好適な形態を満たすことがより好ましい。
この場合、冷感の効果的な知覚の観点から、第1繊維層は、衛生用不織布の外面を構成することが好ましい。また同様の観点から、少なくとも第1繊維層は上述した衛生用不織布に係る各種の好ましい形態を満たすことが好ましく、衛生用不織布全体において上述の好適な形態を満たすことがより好ましい。
以上の構成を有する衛生用不織布は、無機化合物粒子含有繊維を用いるので、当該繊維と着用者の肌とが触れたときに、着用者の体温に起因する熱を、着用者から衛生用不織布に、あるいは着用者と接触していない他の繊維へ早く移動させることができる。その結果、着用者の肌が衛生用不織布に触れたときに、着用者に対して冷感を知覚させて、冷感に起因する心地よい使用感を与えることができる。また、無機化合物粒子含有繊維の構成樹脂として、好ましくはポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂を用いることによって、これらの樹脂が有する柔軟性や吸湿性を良好に発現させて、この点でも使用感の向上に寄与する。
これに加えて、衛生用不織布に繊維どうしの融着点を有していることによって、熱の伝達を他の繊維に容易に行うことができるとともに、繊維シートとしての良好な風合いを発現させて、使用感や快適性を向上させることができる。
これに加えて、衛生用不織布に繊維どうしの融着点を有していることによって、熱の伝達を他の繊維に容易に行うことができるとともに、繊維シートとしての良好な風合いを発現させて、使用感や快適性を向上させることができる。
また、衛生用不織布が繊維シートの形態で構成されていることによって、着用者の肌と衛生用不織布とが接触したときの接触面積を高めて、冷感を着用者により知覚させることができるとともに、不織布の構成に起因する柔軟性を発現させることができる。
更に、無機化合物粒子含有繊維を構成繊維として用いることで、樹脂自体が有する高い熱伝導率と、無機化合物粒子自体が有する高い熱伝導率とが組み合わされるので、より強い冷感を知覚させることができる点で有利である。
更に、無機化合物粒子含有繊維を構成繊維として用いることで、樹脂自体が有する高い熱伝導率と、無機化合物粒子自体が有する高い熱伝導率とが組み合わされるので、より強い冷感を知覚させることができる点で有利である。
上述した衛生用不織布は、これをこのままで用いてもよく、あるいは、衛生品の構成部材として該衛生用不織布を用い、該衛生用不織布を備える衛生品としてもよい。
また、本発明の衛生用不織布を衛生品に組み込む場合には、該不織布、あるいは該不織布の第1繊維層側が着用者の肌に対向する面を構成することが好ましい。
いずれの場合にも、それらは典型的には使い捨てである。
また、本発明の衛生用不織布を衛生品に組み込む場合には、該不織布、あるいは該不織布の第1繊維層側が着用者の肌に対向する面を構成することが好ましい。
いずれの場合にも、それらは典型的には使い捨てである。
本発明の衛生用不織布を備える衛生品は、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、わき汗パッド、尿取りパッド、パンティライナー等の吸収性物品や、フェイスマスクやアイマスク等のマスク類等の衛生用物品が挙げられるが、衛生品はこれらに限定されるものではない。例えば、衛生用不織布を備える吸収性物品は、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
衛生用不織布は、吸収性物品等の構成部材として用いることができる。
吸収性物品は、典型的には、表面シートと、裏面シートとを備え、表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えており、これに加えて、又は表面シート若しくは裏面シートそのものとして衛生用不織布を配した状態で用いることができる。
吸収性物品は、典型的には、表面シートと、裏面シートとを備え、表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えており、これに加えて、又は表面シート若しくは裏面シートそのものとして衛生用不織布を配した状態で用いることができる。
衛生用不織布を吸収性物品等の構成部材として用いる場合、衛生用不織布は、吸収性物品等の衛生品の使用時、あるいは吸収性物品等の衛生品を包装から取り出す等の取り扱い時において、着用者の肌に直接接触する部位に配することができる。つまり、衛生用不織布は、吸収性物品等の衛生品の外面に配されていることが好ましい。
吸収性物品等の衛生品の外面とは、パッケージを開封して吸収性物品等の衛生品を取り出した後に、着用者が手に触れることができる吸収性物品等の衛生品の面(表裏を含有しているが、厚み方向に進んだ内部の面ではなく、表面側)を意味する。外面は、好ましくは肌対向面又は非肌対向面である。
吸収性物品等の衛生品の外面とは、パッケージを開封して吸収性物品等の衛生品を取り出した後に、着用者が手に触れることができる吸収性物品等の衛生品の面(表裏を含有しているが、厚み方向に進んだ内部の面ではなく、表面側)を意味する。外面は、好ましくは肌対向面又は非肌対向面である。
詳細には、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、例えば使い捨ておむつに衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シート、サイド不織布、腰回りギャザーや鼠径部近傍に配されるギャザー、並びに外装体等の構成部材として用いることができる。これらのうち、少なくとも外装体に衛生用不織布を用いることによって、吸収性物品等の衛生品を取り出したときに着用者が手に触れることができるので、肌触りが良好で、衛生品の優れた品質を着用者に想起させやすくすることができる。
また、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、尿漏れパッド及び生理用ナプキンに衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シートや、サイド不織布、ヒップガード、あるいは個包装用の袋等の構成部材として用いることができる。
また、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、尿漏れパッド及び生理用ナプキンに衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シートや鼠径部近傍に配されるギャザー等の構成部材として用いることができる。
また、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、尿漏れパッド及び生理用ナプキンに衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シートや鼠径部近傍に配されるギャザー等の構成部材として用いることができる。
吸収性物品等の衛生品の使用時において、冷感を知覚させて、蒸れ等による不快感を低減させる観点から、衛生用不織布は、吸収性物品の衛生品を適正な位置で着用した場合において、吸収性物品の衛生品を着用する着用者の肌に対向する面(以下、これを「肌対向面」ともいう。)側に位置するように配されていることが好ましい。
吸収性物品に用いられる吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプをはじめとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体、吸水性ポリマーの堆積体、2枚のシート間に吸水性ポリマーが保持された吸収性シートなどから構成され、典型的には親水性繊維と吸水性ポリマーとを含む。
吸収性コアは、コアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートの被覆態様としては、例えば、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
吸収性コアは、コアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートの被覆態様としては、例えば、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
衛生用不織布をマスクの態様として用いる場合、例えば、衛生用不織布を単独で、あるいは衛生用不織布に他の不織布を積層した積層体として用いることができる。これに加えて、衛生用不織布を含む部材に耳掛け部を設けて、衛生用不織布を含む部材を口、鼻あるいは目の被覆状態を保持できるように構成することができる。
この形態であっても、衛生用不織布は肌対向面に配されることが好ましく、着用者の肌と直接当接する部位に配されることが更に好ましい。
この形態であっても、衛生用不織布は肌対向面に配されることが好ましく、着用者の肌と直接当接する部位に配されることが更に好ましい。
本発明の衛生用不織布を用いて吸収性物品とする場合、衛生用不織布(以下、これを説明の便宜上「第1繊維集合体」ともいう。)に加えて、更に別の部材(以下、この部材を「第2部材」ともいう。)を備えていてもよい。
第2部材としては、例えば、吸水性ポリマー及び繊維を含有する吸収性シート、並びに吸水性ポリマー及び繊維を含有する吸収体、親水性不織布等の少なくとも一種を用いることができる。これらは衛生用不織布とは異なる繊維集合体の一例である。つまり、本実施形態においては、吸収性物品の構成材料として、衛生用不織布と、衛生用不織布とは別体の第2部材である吸収性シート、吸収体及び/又は不織布とが配されているものである。これらの部材は、互いに隣接して配されていることも好ましい。本実施形態における各繊維集合体は、互いに接合されていてもよく、接合されていなくてもよい。
吸収性シートとしては、例えば特開平8-246395号公報に記載の吸収性シートなどを用いることができる。
吸収性シートとしては、例えば特開平8-246395号公報に記載の吸収性シートなどを用いることができる。
衛生用不織布に用いられる繊維の繊維長は、着用者の触感や使用感を良好に保つ観点から、短繊維である場合、好ましくは30mm以上、より好ましくは38mm以上である。また、熱伝導性を高める観点から、短繊維である場合、好ましくは40mm以上、より好ましくは45mm以上である。また、短繊維である場合、工程性を損なわない観点から、好ましくは70mm以下、より好ましくは60mm以下である。
上述の繊維長は、不織布が複層構造である場合には、第1繊維層の構成繊維において少なくとも満たすことが好ましい。
繊維の繊維長は、捲縮がかかった状態であった場合はそのまま繊維を伸ばさずに、なるべく繊維の曲がりが生じないように静置し端点から端点までの距離を定規で10本測定した繊維長の算術平均値を、本発明の繊維の繊維長とする。
上述の繊維長は、不織布が複層構造である場合には、第1繊維層の構成繊維において少なくとも満たすことが好ましい。
繊維の繊維長は、捲縮がかかった状態であった場合はそのまま繊維を伸ばさずに、なるべく繊維の曲がりが生じないように静置し端点から端点までの距離を定規で10本測定した繊維長の算術平均値を、本発明の繊維の繊維長とする。
以上は本発明の衛生用不織布及び該衛生用不織布を備える衛生品に関する説明であったところ、以下に本発明の衛生用不織布の好適な製造方法を説明する。
本製造方法は、無機化合物粒子含有繊維を紡糸することで繊維を得る工程(紡糸工程)、無機化合物粒子含有繊維のウエブに対してエアスルー処理を行って、繊維集合体を得る工程(エアスルー工程)、及び、得られた繊維集合体に圧密化処理を行う工程(圧密化工程)に大別される。
本製造方法は、無機化合物粒子含有繊維を紡糸することで繊維を得る工程(紡糸工程)、無機化合物粒子含有繊維のウエブに対してエアスルー処理を行って、繊維集合体を得る工程(エアスルー工程)、及び、得られた繊維集合体に圧密化処理を行う工程(圧密化工程)に大別される。
まず、無機化合物粒子含有繊維を紡糸する。無機化合物粒子含有繊維は、例えば、熱の付与によって溶融させた熱可塑性樹脂と無機化合物粒子とを含む組成物を加熱しながら混練し、樹脂の溶融状態を維持した状態で、所定の径を有するノズル又は口金から吐出することによって得ることができる。この紡糸方法は、例えば、メルトブロー法又はスパンボンド法に採用される紡糸の一形態である。
加熱溶融状態の組成物は、例えば製造装置中で熱可塑性樹脂と無機化合物粒子とを加熱混練して得てもよい。あるいは、組成物のマスターバッチを予め製造しておき、紡糸時にマスターバッチを加熱溶融及び混練して、加熱溶融状態の組成物として使用してもよい。
加熱溶融状態の組成物は、例えば製造装置中で熱可塑性樹脂と無機化合物粒子とを加熱混練して得てもよい。あるいは、組成物のマスターバッチを予め製造しておき、紡糸時にマスターバッチを加熱溶融及び混練して、加熱溶融状態の組成物として使用してもよい。
繊維の紡糸に用いる組成物と、該組成物を用いて紡糸された繊維とは、その組成に実質的な変化はないので、組成物の組成は、無機化合物粒子含有繊維の組成と実質的に一致する。したがって、組成物の調製においては、目的とする無機化合物粒子含有繊維の組成と一致するように、熱可塑性樹脂や無機化合物粒子等の原料の配合量を調整することが好ましい。
特に、組成物における無機化合物粒子の配合量を、上述した無機化合物粒子の含有量となるように調整することによって、無機化合物粒子含有繊維の紡糸時において繊維の糸切れが生じにくくなり、目的とする繊維を生産性高く紡糸することができる。
特に、組成物における無機化合物粒子の配合量を、上述した無機化合物粒子の含有量となるように調整することによって、無機化合物粒子含有繊維の紡糸時において繊維の糸切れが生じにくくなり、目的とする繊維を生産性高く紡糸することができる。
また、無機化合物粒子含有繊維として、芯鞘繊維又はサイドバイサイド型などの2種以上の樹脂が繊維中に存在する複合繊維を得る場合には、原料となる樹脂のうち熱伝導性が低い樹脂に無機化合物粒子を添加して加熱混練した加熱溶融状態の第1の組成物と、第1の組成物に含まれる樹脂とは異なる樹脂を含む加熱溶融状態の第2の組成物(又は溶融樹脂そのもの)とを用いて、所定の方法で紡糸すればよい。
次いで、得られた無機化合物粒子含有繊維のウエブにエアスルー処理を行って、無機化合物粒子含有繊維を含有する繊維集合体を得る。本工程は、繊維のウエブを不織布化する工程であり、このように作製された繊維集合体は、一般的にエアスルー不織布と呼ばれるものである。
無機化合物粒子含有繊維のウエブは、例えば公知のカード機を用いたカード法によって形成してもよく、あるいは上述したメルトブロー法又はスパンボンド法の過程で形成された繊維ウエブをそのまま用いてもよい。
一般的に、芯鞘繊維等の複合繊維に対してエアスルー処理を行うことは、得られるエアスルー不織布の風合いや強度を高める点で有利であるが、熱伝導性の向上に起因して着用者に冷感を知覚させる点では改善の余地があった。
これらの改善点に関して本発明者が鋭意検討したところ、エアスルー工程における熱風の温度や風速を制御することによって、良好な風合い及び強度を有するエアスルー不織布を効率よく製造できることを見出した。
これらの改善点に関して本発明者が鋭意検討したところ、エアスルー工程における熱風の温度や風速を制御することによって、良好な風合い及び強度を有するエアスルー不織布を効率よく製造できることを見出した。
エアスルー工程において、繊維ウエブに吹き付ける熱風は、その温度及び風速を特定の範囲とすることが好ましい。詳細には、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、繊維ウエブを構成する繊維表面を構成する樹脂の融点Mp(℃)との関係において、繊維をフィルム化させずに繊維の形態を維持して、得られる衛生用不織布の風合いを良好にする観点から、好ましくは融点Mp+10℃以下、より好ましくは融点Mp+9℃以下、更に好ましくは融点Mp+8℃以下の範囲とすることができる。
また、繊維ウエブを構成する繊維どうしを適度に融着させて、使用に耐え得る強度を衛生用不織布に発現させる観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、好ましくは融点Mp-4℃以上、より好ましくは融点Mp-2℃以上、更に好ましくは融点Mpの温度以上の範囲とすることができる。
本製造方法において芯鞘複合繊維を用いる場合、芯鞘複合繊維における芯の構成樹脂の融点を鞘の構成樹脂の融点よりも高い構成とした繊維を用いることが、融着点の簡便な形成と、得られる不織布の風合いのさらなる向上と、冷感の知覚のさせやすさを兼ね備える点から好ましい。
また、繊維ウエブを構成する繊維どうしを適度に融着させて、使用に耐え得る強度を衛生用不織布に発現させる観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、好ましくは融点Mp-4℃以上、より好ましくは融点Mp-2℃以上、更に好ましくは融点Mpの温度以上の範囲とすることができる。
本製造方法において芯鞘複合繊維を用いる場合、芯鞘複合繊維における芯の構成樹脂の融点を鞘の構成樹脂の融点よりも高い構成とした繊維を用いることが、融着点の簡便な形成と、得られる不織布の風合いのさらなる向上と、冷感の知覚のさせやすさを兼ね備える点から好ましい。
エアスルー工程は、例えば、エアスルー炉を用いてネットコンベア上の繊維ウエブに熱風を吹き付けて行うことができる。この場合、上述した熱風の温度は、熱風の吹き出し口の平面視における図心の位置且つネットコンベアの直上での温度とする。この温度は、例えば熱電対を用いて測定することができる。
繊維ウエブを構成する無機化合物粒子含有繊維として、例えば、繊維表面を構成する鞘がHDPE(融点Mp:130℃)であり、芯がポリアミド樹脂であるナイロン6(融点:225℃)によって構成された芯鞘複合繊維を用いる場合、熱風の温度は、好ましくは126℃以上、より好ましくは128℃以上、更に好ましくは130℃以上とすることができる。
また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは140℃以下、より好ましくは139℃以下、更に好ましくは138℃以下とすることができる。
また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは140℃以下、より好ましくは139℃以下、更に好ましくは138℃以下とすることができる。
繊維ウエブを構成する無機化合物粒子含有繊維としてポリアミド樹脂からなる繊維を用いた場合、例えば、ナイロン6(融点Mp:225℃)であれば、熱風の温度は、好ましくは221℃以上、より好ましくは223℃以上、更に好ましくは225℃以上とすることができる。また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは235℃以下、より好ましくは234℃以下、更に好ましくは233℃以下とすることができる。
また無機化合物粒子含有繊維の構成樹脂としてナイロン66(融点Mp:265℃)を用いた場合、熱風の温度は、好ましくは261℃以上、より好ましくは263℃、更に好ましくは265℃以上とすることができる。また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは275℃以下、より好ましくは274℃以下、更に好ましくは273℃以下とすることができる。
また無機化合物粒子含有繊維の構成樹脂としてナイロン66(融点Mp:265℃)を用いた場合、熱風の温度は、好ましくは261℃以上、より好ましくは263℃、更に好ましくは265℃以上とすることができる。また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは275℃以下、より好ましくは274℃以下、更に好ましくは273℃以下とすることができる。
繊維を構成する樹脂の融点Mpは、示差走査熱量測定計(日立ハイテクサイエンス株式会社製、DSC7000x)を用いて測定することができる。まず、細かく裁断した繊維試料(1mg)を用いて、該試料の熱分析を昇温速度10℃/分で行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、一回目昇温時の融解ピーク温度で定義される。融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。融点を持たない樹脂である場合、軟化点を融点Mpとする。
またエアスルー工程において、繊維ウエブに吹き付ける熱風の風速は、繊維ウエブの厚み方向に熱風を十分に通過させて、繊維どうしの融着を形成させやすくする観点から、好ましくは0.6m/秒以上、より好ましくは1.0m/秒以上である。
また同様の観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の風速は、好ましくは2.0m/秒以下、より好ましくは1.8m/秒以下、更に好ましくは1.4m/秒以下である。
上述した温度及び風速の条件でエアスルー工程を行うことによって、繊維ウエブを構成する繊維表面に存在する樹脂を溶融又は軟化させて、繊維どうしが融着した融着点をランダムに形成することができるので、製造される衛生用不織布は、エアスルー不織布に起因する柔軟性及び良好な風合いを発現しつつ、使用に耐え得る強度が発現したものとなる。
また同様の観点から、繊維ウエブに吹き付ける熱風の風速は、好ましくは2.0m/秒以下、より好ましくは1.8m/秒以下、更に好ましくは1.4m/秒以下である。
上述した温度及び風速の条件でエアスルー工程を行うことによって、繊維ウエブを構成する繊維表面に存在する樹脂を溶融又は軟化させて、繊維どうしが融着した融着点をランダムに形成することができるので、製造される衛生用不織布は、エアスルー不織布に起因する柔軟性及び良好な風合いを発現しつつ、使用に耐え得る強度が発現したものとなる。
エアスルー工程における繊維ウエブの搬送速度は、上述の温度及び風速の範囲において、好ましくは3m/分以上、より好ましくは5m/分以上、更に好ましくは8m/分以上であり、好ましくは200m/分以下、より好ましくは160m/分以下、更に好ましくは100m/分以下、一層好ましくは60m/分以下である。
上述の工程を経て得られた繊維集合体は、不織布化されているので、これをこのまま本発明の衛生用不織布として用いてもよい。この衛生用不織布は、エアスルー不織布である。
所定の体積充填率を有する衛生用不織布を容易に得る観点から、上述の工程を経て得られた繊維集合体に対して圧密化処理を更に行うことが好ましい(圧密化工程)。本工程における圧密化処理は、繊維集合体をその厚み方向に加圧して圧縮することができる方法を採用することができる。
圧密化処理としては、例えば、表面がともに平滑な二つの金属平板の間に繊維集合体を配して加圧する方法(以下、この方法を「プレス法」又は「プレス処理」ともいう。)や、周面がともに平滑な一対のロール間に繊維集合体を導入して加圧する方法(以下、この方法を「カレンダー法」又は「カレンダー処理」ともいう。)によって行うことができる。
圧密化処理は、一回のみ行ってもよく、必要に応じて、同一の又は異なる方法で複数回行ってもよい。また圧密化処理における温度は、室温であってもよく、加熱状態であってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
製造効率を高める観点から、カレンダー法を採用することが好ましく、加熱状態における圧密化を温度ムラなく効率的に行う観点から、周面が金属等で構成された一対のロールを用いてカレンダー法に供することがより好ましい。
圧密化処理は、一回のみ行ってもよく、必要に応じて、同一の又は異なる方法で複数回行ってもよい。また圧密化処理における温度は、室温であってもよく、加熱状態であってもよく、あるいはこれらの組み合わせであってもよい。
製造効率を高める観点から、カレンダー法を採用することが好ましく、加熱状態における圧密化を温度ムラなく効率的に行う観点から、周面が金属等で構成された一対のロールを用いてカレンダー法に供することがより好ましい。
圧密化処理の条件は、加熱状態で加圧することが好ましい。詳細には、圧密化処理における加圧条件は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、プレス法を用いる場合、面圧で表して、好ましくは5MPa以上、より好ましくは7MPa以上である。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、圧密化処理における加圧条件は、プレス法を用いる場合、面圧で表して、好ましくは72MPa以下、より好ましくは32MPa以下とすることができる。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、圧密化処理における加圧条件は、プレス法を用いる場合、面圧で表して、好ましくは72MPa以下、より好ましくは32MPa以下とすることができる。
また、カレンダー法を採用したときの加圧条件は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、線圧で表して、好ましくは78.4N/cm(8kgf/cm)以上、より好ましくは127.4N/cm(13kgf/cm)以上である。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、カレンダー法を採用したときの加圧条件は、線圧で表して、好ましくは686N/cm(70kgf/cm)以下、より好ましくは490N/cm(50kgf/cm)以下である。
また、繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、カレンダー法を採用したときの加圧条件は、線圧で表して、好ましくは686N/cm(70kgf/cm)以下、より好ましくは490N/cm(50kgf/cm)以下である。
また、圧密化処理における加熱温度は、繊維集合体を十分に圧密化させて、体積充填率の高い衛生用不織布を得やすくする観点から、プレス法及びカレンダー法のいずれの場合であっても、好ましくは融点Mp-80℃以上、より好ましくは融点Mp-70℃以上、更に好ましくは融点Mp-60℃以上の範囲とすることができる。
繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、プレス法及びカレンダー法のいずれの場合であっても、好ましくは融点Mp以下、より好ましくは融点Mp-20℃以下の範囲とすることができる。
圧密化処理において加熱する場合は、プレス法であれば金属平板を上述の温度範囲に加熱すればよく、カレンダー法であればロールの周面を上述の温度範囲に加熱すればよい。
繊維集合体をフィルム化させずに、構成繊維どうしの境界が明瞭となっている繊維形状を保ちつつ、得られる衛生用不織布の風合いを良好なものとする観点から、プレス法及びカレンダー法のいずれの場合であっても、好ましくは融点Mp以下、より好ましくは融点Mp-20℃以下の範囲とすることができる。
圧密化処理において加熱する場合は、プレス法であれば金属平板を上述の温度範囲に加熱すればよく、カレンダー法であればロールの周面を上述の温度範囲に加熱すればよい。
圧密化処理における加圧時間は、繊維集合体を構成する繊維の繊維形状が保たれ、且つ圧密化可能な条件であれば、適宜設定可能である。
例えば、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上とすることができる。
また、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは25秒以下、より好ましくは20秒以下とすることができる。
例えば、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上とすることができる。
また、プレス法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは25秒以下、より好ましくは20秒以下とすることができる。
例えば、カレンダー法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.04秒以上とすることができる。
また、カレンダー法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは0.10秒以下、より好ましくは0.08秒以下とすることができる。
また、カレンダー法を用いた場合、上述した圧力及び温度条件における加圧時間は、一回の圧密化処理当たり、好ましくは0.10秒以下、より好ましくは0.08秒以下とすることができる。
以上の条件で圧密化処理を行うことによって、繊維集合体を厚み方向に圧縮して、所定の体積充填率や厚さを有する衛生用不織布を得ることができる。
特に、上述した圧力及び加熱温度の範囲では、繊維の構成樹脂の溶融が生じにくい状態でありながら、熱処理による形態安定性及び寸法安定性を高めることができるので、製造後も繊維形状を維持しつつ、所定の体積充填率を維持した衛生用不織布を得ることができる。
また、横断面形状が真円形である繊維を用いた場合、圧密化処理によって、繊維の横断面形状を扁平にすることができるので、体積充填率を高めることができるという利点もある。
上述の方法によって得られた衛生用不織布は、圧密化処理を経た場合でも、エアスルー不織布である。
特に、上述した圧力及び加熱温度の範囲では、繊維の構成樹脂の溶融が生じにくい状態でありながら、熱処理による形態安定性及び寸法安定性を高めることができるので、製造後も繊維形状を維持しつつ、所定の体積充填率を維持した衛生用不織布を得ることができる。
また、横断面形状が真円形である繊維を用いた場合、圧密化処理によって、繊維の横断面形状を扁平にすることができるので、体積充填率を高めることができるという利点もある。
上述の方法によって得られた衛生用不織布は、圧密化処理を経た場合でも、エアスルー不織布である。
目的とする衛生用不織布において、複層構造のものを製造する場合には、例えば、カード法等のウエブ製造方法によって形成した熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブを、無機化合物粒子含有繊維のウエブに積層して、繊維ウエブの積層体とする。そして、該積層体に対してエアスルー処理を施すことによって、複層構造の繊維集合体であるエアスルー不織布を得ることができる。この不織布は、各繊維層の境界が不明瞭である。このとき、吹き付ける熱風の温度は、最も融点の低い樹脂の融点を上述した融点Mpとして、熱風の温度を決定することが好ましい。
また上述の場合において、エアスルー処理における熱風を吹き付ける工程は、無機化合物粒子含有繊維のウエブ以外の繊維ウエブに対して熱風が吹き付けられるように繊維ウエブの積層体を配することが好ましい。このような方法を採用することによって、熱風の圧力によって、無機化合物粒子含有繊維どうしが熱融着しながら体積充填率が高い第1繊維層を有する繊維集合体が形成されるとともに、第2繊維ウエブ側は嵩高さが維持されて圧縮変形性に優れた構造を有する衛生用不織布を得ることができる。
このような方法としては、例えば積層体における無機化合物粒子含有繊維のウエブが配された側をエアスルー装置のネット側等の下面側に配する等して、エアスルー処理を行えばよい。
このような方法としては、例えば積層体における無機化合物粒子含有繊維のウエブが配された側をエアスルー装置のネット側等の下面側に配する等して、エアスルー処理を行えばよい。
複層構造の衛生用不織布を製造する別の形態としては、無機化合物粒子含有繊維を含むウエブと、熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブとをそれぞれエアスルー処理して繊維シートをそれぞれ得た後、これらの繊維シートを接着剤、あるいは各種のエンボス加工によって、融着、接着又は圧着等の方法で接合することによって得ることができる。
本発明の衛生用不織布は、上述した製造方法に代えて、スパンボンド法に基づく方法によっても製造することができる。すなわち、無機化合物粒子含有繊維のウエブにスパンボンド処理を行って、繊維集合体を得る工程(スパンボンド工程)を備えていてもよい。このように製造された衛生用不織布は、スパンボンド不織布である。
詳細には、無機化合物粒子及び原料樹脂を含む組成物を溶融状態で多数の細孔を有する紡糸口金から押し出すとともに、押し出された樹脂をロール等で延伸して長繊維とし、それらの長繊維をネットコンベア上に集積して、無機化合物粒子含有繊維の長繊維ウエブを得る。その後、周面に凸部を複数有するエンボスロール間に長繊維ウエブを導入して、加熱及び加圧による圧密化(熱圧着)を行い、本発明の衛生用不織布を得る。つまり、本方法は、構成繊維どうしの融着点の形成、長繊維ウエブの不織布化、及び圧密化処理を同時に行うものである。
エンボスロールにおける温度は、好ましくは融点Mp-40℃以上、より好ましくは融点Mp-35℃以上、更に好ましくは融点-30℃以上の範囲とすることができる。
エンボスロールによる加圧条件は、エンボス部を十分に融着する観点から、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、更に好ましくは1.0MPa以上の範囲とすることができる。
また前記加圧条件は、過度の加圧による穴あきを生じさせない観点から、好ましくは40MPa以下、より好ましくは35MPa以下、更に好ましくは30MPa以下の範囲とすることができる。
エンボスロールによる加圧条件は、エンボス部を十分に融着する観点から、好ましくは0.3MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、更に好ましくは1.0MPa以上の範囲とすることができる。
また前記加圧条件は、過度の加圧による穴あきを生じさせない観点から、好ましくは40MPa以下、より好ましくは35MPa以下、更に好ましくは30MPa以下の範囲とすることができる。
目的とする衛生用不織布において、複層構造のものを製造する場合には、例えば、カード法によって形成した熱可塑性樹脂を含む第2繊維ウエブを、無機化合物粒子含有繊維の長繊維ウエブに積層して、繊維ウエブの積層体とする。そして、該積層体に対して、上述した条件で加熱及び加圧による圧密化(熱圧着)を行えばよい。このように製造された衛生用不織布は、スパンボンド不織布である。
以上の工程を経て、本発明の衛生用不織布を得ることができる。この衛生用不織布は、好ましくは、以後の工程で、吸収性物品等の衛生品の構成部材として組み込まれる。
衛生用不織布を吸収性物品等の衛生品の構成材料とする場合、衛生品を製造する工程のうちのいずれかにおいて、上述の方法で製造された衛生用不織布を構成材料の一つとして用い、該衛生用不織布を切断する工程や、該衛生用不織布と衛生品を構成する他の構成材料(例えば吸収体やシート等)とを積層又は接合する等の各種操作を行う工程のうち一つ以上備えて、目的とする吸収性物品等の衛生品を製造することができる。
衛生用不織布を吸収性物品等の衛生品の構成材料とする場合、衛生品を製造する工程のうちのいずれかにおいて、上述の方法で製造された衛生用不織布を構成材料の一つとして用い、該衛生用不織布を切断する工程や、該衛生用不織布と衛生品を構成する他の構成材料(例えば吸収体やシート等)とを積層又は接合する等の各種操作を行う工程のうち一つ以上備えて、目的とする吸収性物品等の衛生品を製造することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。表中「-」で示す欄は、非含有を意味する。
〔実施例1~2〕
ナイロン6及び酸化亜鉛とを含む加熱溶融状態の組成物と、HDPEを含み且つ無機化合物粒子を含まない加熱溶融樹脂とを用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、芯部のみに無機化合物粒子を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。
ナイロン6及び酸化亜鉛とを含む加熱溶融状態の組成物と、HDPEを含み且つ無機化合物粒子を含まない加熱溶融樹脂とを用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、芯部のみに無機化合物粒子を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。
そして、得られた芯鞘複合繊維に油剤を塗布して捲縮をかけたのち、繊維長51mmにカットして、芯鞘複合繊維の短繊維を得た。その短繊維を開繊機で開繊後、カード機によって作製した繊維のウエブをエアスルー処理し、不織布化した繊維集合体を得た。エアスルー処理の条件は、以下の表1に示すとおりとした。次いで、プレス法により、以下の表1に示す加熱及び加圧条件で繊維集合体を圧密化処理して、目的とする衛生用不織布(坪量:40g/m2)を得た。これらの不織布はいずれも単層構造のものであり、無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となっているものである。
〔実施例3~4〕
ナイロン6、HDPE及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物を用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、鞘部のみに酸化亜鉛を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。これ以外は、実施例1及び2の条件と同様に行って、目的とする衛生用不織布を得た。これらの不織布はいずれも単層構造のものであり、無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となっているものである。
ナイロン6、HDPE及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物を用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、鞘部のみに酸化亜鉛を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。これ以外は、実施例1及び2の条件と同様に行って、目的とする衛生用不織布を得た。これらの不織布はいずれも単層構造のものであり、無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となっているものである。
〔実施例5〕
ナイロン6及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物と、HDPE及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物とを用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、芯部及び鞘部の双方に酸化亜鉛を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。これ以外は、実施例1の条件と同様に行って、目的とする衛生用不織布を得た。
これらの不織布はいずれも単層構造のものであり、無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となっているものである。
ナイロン6及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物と、HDPE及び酸化亜鉛を含む加熱溶融状態の組成物とを用いて、これらをノズルから吐出して、繊維を紡糸した。この繊維は、ナイロン6を芯とし、HDPEを鞘とした芯鞘複合繊維であり、芯部及び鞘部の双方に酸化亜鉛を含むものであった。繊維の物性を表1に示す。これ以外は、実施例1の条件と同様に行って、目的とする衛生用不織布を得た。
これらの不織布はいずれも単層構造のものであり、無機化合物粒子含有繊維のみが構成繊維となっているものである。
〔比較例1〕
無機化合物粒子を用いずに、芯をナイロン6とし、鞘をHDPEとした芯鞘複合繊維を紡糸し、圧密化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、目的とする衛生用不織布を得た。
無機化合物粒子を用いずに、芯をナイロン6とし、鞘をHDPEとした芯鞘複合繊維を紡糸し、圧密化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、目的とする衛生用不織布を得た。
〔比較例2〕
無機化合物粒子を用いずに、芯をナイロン6とし、鞘をHDPEとした芯鞘複合繊維を紡糸した以外は、実施例1と同様にして、目的とする衛生用不織布を得た。
無機化合物粒子を用いずに、芯をナイロン6とし、鞘をHDPEとした芯鞘複合繊維を紡糸した以外は、実施例1と同様にして、目的とする衛生用不織布を得た。
〔厚みの測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、厚みを測定した。厚みの測定は、測定対象の衛生用不織布に4.9mN/cm2(0.5gf/cm2)の荷重を負荷した状態で、レーザー変位計を用いて、5箇所以上測定し、それらの算術平均値を厚み(mm)とする。結果を表1に示す。
実施例及び比較例の衛生用不織布について、厚みを測定した。厚みの測定は、測定対象の衛生用不織布に4.9mN/cm2(0.5gf/cm2)の荷重を負荷した状態で、レーザー変位計を用いて、5箇所以上測定し、それらの算術平均値を厚み(mm)とする。結果を表1に示す。
〔体積充填率の測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、上述の方法にて体積充填率(%)を算出した。結果を表1に示す。
実施例及び比較例の衛生用不織布について、上述の方法にて体積充填率(%)を算出した。結果を表1に示す。
〔不織布の熱移動量の測定〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、熱移動量の測定を以下の方法で行った。
熱移動量の測定は、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)を用いて、以下の方法で行った。
まず、測定対象となる衛生用不織布を長さ23cm×幅14cmの寸法に切り取り、室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置し、試験片を得た。
次いで、この環境下で、試験片を発泡スチロール上に載せ、両面テープを用いて試験片を固定し、試験片の片面を断熱状態とした。
続いて、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、熱源との温度差を規定するために、測定対象の衛生用不織布を気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置を用いて、試験片が23℃になるようにした。
続いて、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱移動量qmaxを測定した。具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm2、質量9.8gの純銅(T-Box)製の測定端子を用い、該測定端子の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該測定端子の測定対象への接触圧を98mN/cm2(10gf/cm2)として、試験片に該測定端子を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定した。この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の熱移動量qmax(W/m2)とした。
熱移動量qmaxの値が大きいほど、熱の移動量が大きく、また熱の移動が速く、着用者に冷感を知覚させやすいものであることを指す。結果を以下の表1に示す。
実施例及び比較例の衛生用不織布について、熱移動量の測定を以下の方法で行った。
熱移動量の測定は、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)を用いて、以下の方法で行った。
まず、測定対象となる衛生用不織布を長さ23cm×幅14cmの寸法に切り取り、室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置し、試験片を得た。
次いで、この環境下で、試験片を発泡スチロール上に載せ、両面テープを用いて試験片を固定し、試験片の片面を断熱状態とした。
続いて、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、熱源との温度差を規定するために、測定対象の衛生用不織布を気体や液体を熱媒体として用いた恒温装置を用いて、試験片が23℃になるようにした。
続いて、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱移動量qmaxを測定した。具体的には、測定対象と接触させる熱板として、面積9.0cm2、質量9.8gの純銅(T-Box)製の測定端子を用い、該測定端子の初期温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)、該測定端子の測定対象への接触圧を98mN/cm2(10gf/cm2)として、試験片に該測定端子を接触させ、その接触の瞬間の前記熱流量の値をゼロとして、該熱流量の最大値を測定した。この測定を測定対象面につき5回行い、それら複数の測定値の算術平均値を、測定対象の熱移動量qmax(W/m2)とした。
熱移動量qmaxの値が大きいほど、熱の移動量が大きく、また熱の移動が速く、着用者に冷感を知覚させやすいものであることを指す。結果を以下の表1に示す。
〔冷感の評価〕
実施例及び比較例の衛生用不織布について、以下の方法で冷感の評価を行った。まず、20名の専門パネラーに、比較例1の不織布の表面を手の平で触れさせて、これを3点の評価とした。その後、実施例及び比較例の不織布に同様に触れてもらい、不織布の表面を手の平で触れたときの冷感を以下の基準で採点してもらい、その算術平均値を小数点第1位までとって、冷感の評価とした。結果を表1に示す。
5点:不織布に触れた瞬間、強い冷感が得られる。
4点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られる。
3点:不織布に触れた瞬間、弱い冷感が得られ、熱が指先にこもりにくい感じがする。
2点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られず、長時間触れ続けると温感が得られる。
1点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られず、むしろ温感が得られる。
実施例及び比較例の衛生用不織布について、以下の方法で冷感の評価を行った。まず、20名の専門パネラーに、比較例1の不織布の表面を手の平で触れさせて、これを3点の評価とした。その後、実施例及び比較例の不織布に同様に触れてもらい、不織布の表面を手の平で触れたときの冷感を以下の基準で採点してもらい、その算術平均値を小数点第1位までとって、冷感の評価とした。結果を表1に示す。
5点:不織布に触れた瞬間、強い冷感が得られる。
4点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られる。
3点:不織布に触れた瞬間、弱い冷感が得られ、熱が指先にこもりにくい感じがする。
2点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られず、長時間触れ続けると温感が得られる。
1点:不織布に触れた瞬間、冷感が得られず、むしろ温感が得られる。
表1に示すように、各実施例の衛生用不織布は、比較例のものと比較して、熱移動量qmaxも高く、冷感を強く知覚できるものであることが判る。特に、実施例5に示すように、芯部及び鞘部の双方に無機化合物粒子を含有する繊維を含む不織布は冷感を更に強く知覚できることも判る。
したがって、本発明の衛生用不織布は、肌に触れたときに冷感を知覚させて、心地よい使用感を与えることができる。
したがって、本発明の衛生用不織布は、肌に触れたときに冷感を知覚させて、心地よい使用感を与えることができる。
Claims (13)
- 熱可塑性樹脂及び走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子を含む繊維を構成繊維として含み、
構成繊維どうしが融着した融着点を有し、
体積充填率が3.5%以上
である、衛生用不織布。 - 前記無機化合物粒子が酸化亜鉛である、請求項1に記載の衛生用不織布。
- 前記繊維が2種以上の前記熱可塑性樹脂を含む複合繊維である、請求項1又は2に記載の衛生用不織布。
- 前記無機化合物粒子は、前記樹脂のうち最も熱伝導性の低い樹脂と少なくとも接触して存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の衛生用不織布。
- 前記繊維が、鞘が高密度ポリエチレン樹脂からなる芯鞘複合繊維である、請求項1~4のいずれか一項に記載の衛生用不織布。
- 前記芯鞘複合繊維が、芯がポリアミド樹脂からなる、請求項5に記載の衛生用不織布。
- 坪量が15g/cm2以上140g/cm2以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の衛生用不織布。
- 一方の面を断熱状態で測定した熱移動量qmaxが0.1W/m2以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の衛生用不織布。
- 前記無機化合物粒子の平均粒径(μm)に対する前記繊維の繊維径(μm)の比(繊維の繊維径/無機化合物の平均粒径)が15以上50以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の衛生用不織布。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の衛生用不織布を備える、衛生用物品。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の衛生用不織布を備える、吸収性物品。
- 前記衛生用不織布が、前記吸収性物品の外面に配されている、請求項11に記載の吸収性物品。
- 下記1)~3)の工程をこの順番で行う請求項1~8のいずれか一項に記載の衛生用不織布の製造方法。
1)熱可塑性樹脂と走査型電子顕微鏡観察による平均粒径が2.0μm以下であって熱伝導率が10W/mK以上の無機化合物粒子とを含む組成物を加熱しながら混錬後、紡糸することで繊維を得る工程。
2)前記繊維のウエブにエアスルー処理を行って繊維集合体を得る工程。
3)前記繊維集合体に対して圧密化処理を行う工程。
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JP7340821B1 (ja) | 2023-04-11 | 2023-09-08 | 青島紗支紡織科技有限公司 | 冷感生地用複合繊維、その製造方法、冷感生地、及び繊維製品 |
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