JP2023065153A - 衛生用不織布、これを備えた吸収性物品、及び該不織布の製造方法 - Google Patents

衛生用不織布、これを備えた吸収性物品、及び該不織布の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肌に触れたときに冷感を知覚させるとともに、風合い及び通気性に優れる衛生用不織布、これを備えた吸収性物品及び該不織布の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の衛生用不織布10は、体積充填率が70%以上である高充填部を有している。高充填部は、不織布10の表面における該高充填部の面積率が3%以上30%未満である。高充填部は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含有している。高充填部が含有する繊維は、芯にポリアミド樹脂を含む芯鞘複合繊維であることが好ましく、鞘に高密度ポリエチレン樹脂を含む芯鞘複合繊維であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、衛生用不織布、これを備えた吸収性物品、及び該不織布の製造方法に関する。
冷感を知覚させ得るシートや該シートを含む部材を備えた物品が知られている。例えば特許文献1には、夏場の暑熱感を解消するための衣料に用いられることを目的とした快適性布帛が開示されている。この布帛は、20℃から30℃における繊維軸方向の熱伝導率が5W/mK以上の有機高分子繊維を少なくとも1種類含み、20℃から30℃における布帛の厚み方向の熱伝導率が0.08W/mK以上で、接触冷温感が0.13W/cm以上であることが同文献に開示されている。
特許文献2には、吸収体の横方向両側部から外側に延出するサイドフラップに冷感剤が塗布された吸収性物品が開示されている。
特許文献3には、吸湿性及び接触冷感を発現させることを目的として、鞘部ポリマーがポリアミド、芯部ポリマーがポリエーテルエステルアミド共重合体で構成され、無機粒子を繊維全体で0.1~5重量%含有する繊維及びこれを用いた布帛が開示されている。
また特許文献4には、鞘層がポリエチレンで、芯層がナイロン又はポリエステルである複合繊維の糸を編立てたニット生地が開示されている。
特開2010-236130号公報 特開2016-120208号公報 特開2016-204784号公報 実用新案登録第3226090号公報
生理用ナプキン等の吸収性物品や、目を覆うアイマスク、口や鼻を覆うフェイスマスク等を始めとする衛生品は、一般的に不織布を含む複数の構成部材を含んで構成されている。斯かる衛生品において着用者等の肌と接触したときに冷感を知覚させ得ることは、蒸れ感の軽減を感じ易くなる点で有効であり、特に暑熱環境下において冷感を知覚させ得る衛生品の開発が望まれている。また、肌に触れて使用される衛生品は、肌触りに影響する風合いや、蒸れを外部に逃がすための通気性が良好であることも望まれている。
特許文献1、3及び4に記載の技術は、衣類などの衛生品以外の物品に適用されるものであり、衛生品への適用については何ら検討されていない。
特許文献2は、冷感を知覚させるとともに、風合い及び通気性を両立させるための技術を開示するものではない。
したがって、本発明は、肌に触れたときに冷感を知覚させるとともに、優れた風合い及び通気性を有する衛生用不織布とその製造方法に関する。
本発明は、衛生用不織布に関する。
前記衛生用不織布は、体積充填率が70%以上である高充填部を有していることが好ましい。
前記高充填部は、表面における面積率が3%以上30%未満であることが好ましい。
前記高充填部は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含有していることが好ましい。
また本発明は、吸収性物品に関する。
前記吸収性物品は、前記衛生用不織布を構成部材として備えていることが好ましい。
また本発明は、前記衛生用不織布の製造方法に関する。
前記製造方法は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブにエンボス加工を施す工程と、
前記エンボス加工後の前記ウエブにエアスルー処理を施す工程とを具備することが好ましい。
また本発明は、前記衛生用不織布の製造方法に関する。
前記製造方法は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブにエアスルー処理を施す工程と、
前記エアスルー処理後の前記ウエブにエンボス加工を施す工程とを具備することが好ましい。
本発明によれば、肌に触れたときに冷感を知覚させるとともに、風合い及び通気性に優れる衛生用不織布及びその製造方法が提供される。
図1は、本発明の衛生用不織布の一実施形態を示す平面図である。 図2は、図1のII-II線断面図である。 図3は、図1の不織布を示す斜視図である。 図4は、本発明の衛生用不織布の別の実施形態を示す平面図である。 図5は、本発明の衛生用不織布のさらに別の実施形態を示す平面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の衛生用不織布は、衛生品の構成部材として好適に用いられる。衛生品の典型例は、フェイスマスクやアイマスク等の衛生用物品や、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の尿や経血等の体液を吸収する吸収性物品等の衛生品であり、好ましくは吸収性物品である。
本発明の衛生用不織布は、衛生品の着用時において着用者の肌と当接する面である肌当接面側に配されたり、あるいは、衛生品を取り扱う際に着用者の手等に触れる部位に配されたりする。
本発明の衛生用不織布は、ここに記載された用途に特に限定されず適用可能である。
以下本発明の衛生用不織布10(以下、単に「不織布10」ともいう。)を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の不織布10は、図1~図3に示すように、高充填部22a,22b,24a,24bを有している。
不織布10における高充填部は、体積充填率が70%以上である部分である。本実施形態において高充填部は、該高充填部以外の部分に比して、不織布10を構成する繊維が密に詰まっており、該繊維が高密度に充填された部分となっている。
後述する肌に触れたときの冷感をより知覚させる観点から、不織布10における高充填部は、体積充填率が好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ま
しくは90%以下、より好ましくは85%以下であり、また好ましくは75%以上90%以下、より好ましくは80%以上85%以下である。
本実施形態の不織布10は、体積充填率が70%以上である高充填部22a,22b,24a,24bと、体積充填率が70%未満である低充填部31,32a,32b,33とを有している(図1及び図2参照)。
高充填部は、圧密化加工により形成される部分、好ましくは後述するエンボス加工により形成される部分であり、低充填部は該エンボス加工が施されなかった部分である。すなわち、高充填部は低充填部よりも厚みが小さい凹部であるので、通常、不織布10において相対的に厚みが小さい部分を高充填部として区別することができる。
体積充填率は、不織布10の高充填部又は低充填部における実体積に対する見かけの体積の百分率として表すことができ、以下の方法により測定される。
不織布10を所定面積で切り取って測定サンプルとし、その質量(g)を測定する。測定サンプルを切り取る際の所定面積は10cm四方が好ましいが、その寸法にて測定サンプルを切り出せない場合は、測定対象となる衛生用不織布の坪量が目視にて均一である領域の中で、できる限り大きな領域となる幅及び長さで切り取る。そして、測定サンプルの坪量A(g/cm)を算出する。
次いで測定サンプルにおける高充填部の厚みB(cm)を測定する。
斯かる測定方法は以下のとおりである。
まず、高充填部を横断するように剃刀で切断し、高充填部の厚みを測定するための断面を露出させる。その後、当該断面において厚みが他の部分よりも小さい部分を高充填部として特定し、該高充填部をSEM(走査型電子顕微鏡 日本電子株式会社製、JCM-6000Plus)で拡大観察して、該高充填部の厚みを測定する。斯かる厚みの測定を、前記断面における任意の異なる3箇所の高充填部で繰り返し、これらの算術平均値を高充填部の厚みB(cm)とする。高充填部は圧密化した部分であり、他の部分に比べて厚みが薄く、見た目も隠蔽性が高い。そのため、不織布を一方の面側から視たときに、他方の面側が透かして見え難くなっている。これにより、目視で低充填部と高充填部との区別が可能である。
次いで不織布10を構成する繊維の構成成分の比重C(g/cm)を用いて、以下の式(I)から、体積充填率(%)を算出する。複合繊維等の二種以上の樹脂が含まれている繊維である場合は、各構成成分の質量割合に基づく比重の和を比重Cとして用いる。例えば、比重C1(g/cm)の構成成分と、比重C2(g/cm)の構成成分とが30:70の質量割合である二成分系の繊維を含んでいる場合は、比重C(g/cm)は、「0.3×比重C1+0.7×比重C2」と算出される。
体積充填率(%)=100×(A)/(B×C) ・・・(I)
体積充填率は、坪量A、高充填部の厚みB及び繊維の構成成分の比重Cの各値によっては、100%超となる場合がある。体積充填率が100%超となった場合、その体積充填率は100%とする。
低充填部の体積充填率は、低充填部を測定部位とし、該低充填部の厚みの測定を下記のとおりに測定する点以外は、高充填部と同様の方法により測定できる。
斯かる測定方法は以下のとおりである。
まず、12.59g(直径55mm)のプレートのみをレーザー変位計(株式会社キーエンス製、LK-080。本明細書におけるレーザー変位計は全てこれである。)に載置して、測定された厚みをゼロとしてゼロ点調整を行う。そして、測定サンプル(不織布)の上に前記プレートを載置し、その状態で他の部分よりも厚みが大きい低充填部の厚みを
レーザー変位計を用いて測定する。斯かる厚みの測定を、測定サンプル(不織布)における任意の異なる3箇所で繰り返し、これらの算術平均値を低充填部の厚み(mm)とする。厚みの測定では、プレートの載置によって、4.9mN/cmの荷重が測定サンプルに付与される。
また、測定対象の衛生用不織布が吸収性物品等の衛生品に組み込まれている場合は、該衛生品にコールドスプレーを吹きかけ、ホットメルト接着剤を固化させてから、測定対象の衛生用不織布を丁寧に剥がす。
本実施形態の不織布10は、図1に示すように、一方向(MD方向)及び該一方向に直交する方向(CD方向)を有しており、これら方向と交差する複数の高充填部22a,22b,24a,24bを有している。具体的には、直線状の長高充填部22aと、該長高充填部22aよりも短い直線状の短高充填部22bとが、長手方向が同一方向を向くように交互に且つ間欠的に配置されている。これにより、長高充填部22aと短高充填部22bとが交互に直列した高充填部列23が形成されている。斯かる高充填部列23は、MD方向及びCD方向それぞれと交差するとともに、該高充填部列23において隣り合う高充填部22a,22bどうし間が離間した不連続線となっている。
本実施形態の不織布10は、高充填部列23と交差する複数の別の高充填部列25が形成されている。これら高充填部列23,25を、以下、第1高充填部列23及び第2高充填部列25ともいう。
第1高充填部列23と同様に、第2高充填部列25も、MD方向及びCD方向それぞれと交差する複数の高充填部を有している。具体的には、直線状の長高充填部24aと、該長高充填部24aよりも短い直線状の短高充填部24bとが、長手方向が同一方向を向くように交互に且つ間欠的に配置されている。これにより、長高充填部24aと短高充填部24bとが交互に直列した高充填部列25が形成されている。斯かる高充填部列25は、MD方向及びCD方向それぞれと交差するとともに、該高充填部列25において隣り合う高充填部24a,24bどうし間が離間した不連続線となっている。
本実施形態の不織布10において第1高充填部列23は、互いに平行に多数本形成されている。平行して隣り合う第1高充填部列23,23間の間隔が狭い箇所と広い箇所が交互に配されている。すなわち、複数本の第1高充填部列23において、平行して隣り合う高充填部22a,22b間の間隔が広い箇所と該間隔が狭い箇所とが存在している。
本実施形態の不織布10において第2高充填部列25は、互いに平行に多数本形成されている。平行して隣り合う第2高充填部列25,25間の間隔が狭い箇所と広い箇所が交互に配されている。すなわち、複数本の第2高充填部列25において、平行して隣り合う高充填部24a,24b間の間隔が広い箇所と該間隔が狭い箇所とが存在している。
第1高充填部列23と第2高充填部列25とは互いに交差している。換言すると、第1方向に延びる第1高充填部列23と、第1方向に交差する第2方向に延びる第2高充填部列25とが形成されている。
図1に示す第1高充填部列23は、右上から左下へ向かって直線状に延びており、第2高充填部列25は、左上から右下へ向かって直線状に延びている。すなわち、第1方向は右上から左下へ向かう斜め方向であり、第2方向は左上から右下へ向かう斜め方向である。
本実施形態の不織布10は、複数の第1高充填部列23及び複数の第2高充填部列25によって画成された複数の低充填部が形成されている。前述したように、第1高充填部列23及び第2高充填部列25は互いに交差するように延びているので、本実施形態の不織
布10は、複数の第1高充填部列23及び複数の第2高充填部列25が交差して形成された複数の多角形(具体的にはひし形や平行四辺形)の低充填部を有する。具体的には、不織布10は、面積が相違する3種類の低充填部31,32a,32b,33を有している。これら低充填部のうち、面積が最も大きい低充填部を「大低充填部31」、次に面積が大きい低充填部を「中低充填部32a,32b」、最も面積が小さい低充填部を「小低充填部33」ともいう。
本実施形態の不織布10では、平面視において、大低充填部31及び小低充填部33それぞれがひし形となっており、中低充填部32a,32bが平行四辺形となっている。
これら低充填部31,32a,32b,33は、高充填部22a,22b,24a,24bよりも不織布10の厚み方向Z外方に突出する凸部を形成している(図2参照)。
本実施形態の不織布10は、第1高充填部列23と第2高充填部列25との交点に、低充填部(以下、「交点低充填部35」ともいう。)を有している。交点低充填部35は、高充填部22a,22b,24a,24bが存在しない領域である。交点低充填部35は、その最大厚みが、他の低充填部31,32a,32b,33の最大厚みよりも小さく、且つ高充填部22a,22b,24a,24bの最大厚みよりも大きい領域である(図示せず)。
大低充填部31、中低充填部32a,32b、及び小低充填部33は、交点低充填部35を介してMD方向又はCD方向に隣り合っている。
交点低充填部35は、第1高充填部列23を構成する高充填部22a,22bどうし間、及び第2高充填部列25を構成する高充填部24a,24bどうし間に形成される。これら高充填部どうし間の間隔は同じであってもよく、異なっていてもよい。
高充填部は、不織布10の表面における面積率が3%以上30%未満である。不織布10における高充填部の面積率とは、不織布10の片表面の面積に対する、高充填部の総面積の割合のことであり、後述する方法により測定できる。肌に触れたときの冷感と、肌触りとをより両立させる観点から、不織布10の表面における高充填部の面積率は、好ましくは6%以上、より好ましくは9%以上であり、また好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下であり、また好ましくは6%以上15%以下、より好ましくは9%以上13%以下である。
不織布10の表面における高充填部の面積率と同様に、後述する肌に触れたときの冷感と、肌触りとをより両立させる観点から、不織布10の表面における低充填部の面積率は、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは87%以上であり、また好ましくは97%以下、より好ましくは94%以下、更に好ましくは91%以下であり、また好ましくは70%以上97%以下、より好ましくは85%以上94%以下、更に好ましくは87%以上91%以下である。
また後述する肌に触れたときの冷感と、肌触りとをより両立させる観点から、不織布10の表面における低充填部の面積率に対する高充填部の面積率の比(高充填部の面積率/低充填部の面積率)は、好ましくは0.05~1.00、より好ましくは0.08~0.50、更に好ましくは0.09~0.30、更により好ましくは0.10~0.20である。
〔面積率の測定方法〕
不織布10の表面における高充填部の面積率は、以下の測定方法により求められる。不織布10から、50mm×50mmの大きさのサンプル片を切り出す。温度20±2℃、相対湿度65±5%の条件下でマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-6000)を用いて、サンプル片表面の平面視画像を得る。該平面視画像からサンプル片における高充填部の面積を測定する。斯かる面積は、上記マイクロスコープにデフォルトで実
装された画像処理ソフト(面積計測ソフト)により測定できる。サンプル片における高充填部の総面積を、サンプル片の面積2500mmで除した(高充填部の総面積/サンプル片の面積)の割合(%)を求める。以上の測定を3枚のサンプル片について行い、それらの平均値を、不織布10の表面における高充填部の面積率(%)とする。
本実施形態の高充填部は、熱伝導率が0.15W/mK以上、好ましくは0.16W/mK以上、より好ましくは0.18W/mK以上である繊維を含有している。
また、本実施形態の高充填部は、熱伝導率が0.4W/mK以下である繊維を含有することが現実的である。
熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含有することで、高充填部が肌に触れたときに冷感を知覚させることができる。
本実施形態の高充填部における繊維の全質量に対する、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維の含有量の割合は、肌に触れたときに冷感をより知覚させやすくする観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
上述した熱伝導率は、例えば不織布から切り出した高充填部における繊維を溶融させて、厚み1mm程度のフィルム状試料の形態にして測定することができる。詳細な測定方法を以下に示す。
不織布から高充填部を切り出し、該高充填部における繊維を、プレス機等の加温加圧設備に導入して、繊維原料の融点以上の温度で加熱しながら加圧し、厚み1mm程度のフィルム状試料とする。このとき、試料中に空気が残存しないように、加圧条件を適宜調整する。そして、定常熱伝導率測定装置(KES-F7 サーモラボII、カトーテック株式会社製)を用いて、33℃の熱板から試料を介して23℃の熱板へ移動した熱移動量に基づいて、熱伝導率を測定する。この測定を一つのフィルム状試料につき3箇所測定し、これらのうち最も高い熱伝導率の値を、本発明における熱伝導率(W/mK)とする。
なお、高充填部から採取し得る繊維の量を十分確保することが難しい場合、以下の方法で熱伝導率の測定用サンプルを得てもよい。まず、不織布から高充填部及び低充填部それぞれを切り出して切片を得る。次いで、得られた切片について、示差走査熱量測定(「DSC測定」ともいう。)を行う。斯かるDSC測定により、高充填部における繊維と、低充填部における繊維とが同じ構成樹脂であると判断される場合には、低充填部及び高充填部の双方を含む部位を不織布から切り出し、これを熱伝導率の測定用サンプルとする。
また、DSC測定により、高充填部における繊維と、低充填部における繊維とが異なる構成樹脂であると判断される場合には、高充填部を切り出した切片のみを熱伝導率の測定用サンプルとする。
不織布10は、高充填部以外の部分、すなわち低充填部が上述した範囲の熱伝導率を具備する繊維を含有してもよい。例えば、不織布10全域が上述した範囲の熱伝導率を具備する繊維を含有してもよい。
本実施形態の不織布10において高充填部が、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含有するので、該高充填部が肌に触れたときに冷感を知覚させることができ、しかも不織布10の表面における高充填部の面積率が3%以上30%未満であるので、不織布10における風合い及び通気性を確保できる。換言すると、本実施形態の不織布10は、高充填部において肌に触れたときの冷感を知覚させる一方、低充填部において形成される凸部によって良好な手触り(風合い)が奏されるとともに、該低充填部において繊維間の空隙が確保されることによって良好な通気性が得られる。このようにして、本実施形態の不織布10は、肌に触れたときに冷感を知覚させるとともに、優れた風合い及び通気性を有する。
本実施形態の不織布10の構成繊維どうしは、融着によって繊維シートの形態を維持している。風合いや通気性をより向上させる観点から、不織布10の構成繊維は、これらの繊維どうしが融着した融着点を有する。
融着とは、複数の繊維に熱のみ又は熱及び圧力を付与して、繊維が溶融する等して、繊維間の境界が不明瞭となった態様である。斯かる融着点は、例えば後述するように、繊維ウエブに熱風の吹き付けを行うことによって形成することができる。
高充填部が含有し得る、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維としては、ポリエチレン樹脂を含む繊維を用いることが好ましい。
不織布10の構成繊維に用いられるポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、並びにエチレン-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して若しくは組み合わせて用いることができる。
熱伝導率をより高くして、接触時の冷感をより向上させる観点から、ポリエチレン樹脂としてHDPEを含むことが好ましく、HDPEのみを用いることがより好ましい。すなわち、ポリエチレン樹脂としてHDPE単独で用いることがより好ましい。
上記と同様の観点から、高充填部が含有する繊維は、ポリエチレン樹脂としてHDPEを主成分とする繊維であることが好ましい。より詳細には、ポリエチレン樹脂の50質量%超がHDPEである繊維が好ましく、ポリエチレン樹脂の100質量%がHDPEである繊維がより好ましい。
ポリエチレン樹脂を含む繊維としては、例えば繊維表面の少なくとも一部にポリエチレン樹脂を有する繊維が挙げられる。斯かる繊維におけるポリエチレン樹脂の存在態様としては、(i)繊維の外表面及び内部がともにポリエチレン樹脂からなる態様、すなわち繊維の構成樹脂がポリエチレン樹脂のみである態様や、(ii)ポリエチレン樹脂からなる低融点成分と、低融点成分よりも融点の高い高融点成分とを含み、低融点成分の少なくとも一部が繊維表面において長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維の態様等が挙げられる。
一般的に、ポリエチレン樹脂は、有機高分子材料の中でも熱伝導性が高いことが知られている。ポリエチレン樹脂自体が有する高い熱伝導性を発揮させるとともに、ポリエチレン樹脂とポリエチレン樹脂以外の樹脂との間に生じる界面に起因する熱伝導性の低下を抑制して、使用者に冷感を知覚させ易くする観点から、前記(i)の態様を採用することが好ましい。
また、低融点成分であるポリエチレン樹脂よりも融点の高い高融点成分を含むことにより、これら成分を含む繊維ウエブをエアスルー加工等の加熱処理で不織布化する際、低融点成分どうしのみが融着し、一方の高融点成分は溶融せずにその形状を保持できるため、繊維形状が良好に維持されて感触や通気性をより向上できる他、使用者に冷感を知覚させ易くすることができる。このエアスルー不織布の形成性や該不織布の冷感の観点から、前記(ii)の態様を採用することが好ましい。この(ii)の態様を採用する場合、上記と同様の観点から、ポリエチレン樹脂を主成分とする繊維を用いることが好ましい。ここで、ポリエチレン樹脂を主成分とする繊維とは、繊維におけるポリエチレン樹脂の含有量が50質量%超の繊維であり、ポリエチレン樹脂のみからなる繊維(ポリエチレン樹脂100質量%の繊維)も包含される。また(ii)の態様を採用する場合、ポリエチレン樹脂の含有量が50質量%未満である繊維を用いてもよい。
前記(i)の具体例としては、構成樹脂として単一種類のポリエチレン樹脂のみからなる繊維や、構成樹脂として複数種類のポリエチレン樹脂からなる繊維が挙げられる。
前記(ii)の具体例としては、(ii-a)ポリエチレン樹脂と他の樹脂とが練り込みにより混合された樹脂からなる繊維、(ii-b)高融点成分としてポリエチレン樹脂以外の樹脂を芯とし、芯の表面を覆うように、低融点成分としてポリエチレン樹脂の鞘が形成された芯鞘複合繊維や、(ii-c)ポリエチレン樹脂を低融点成分とし、ポリエチレン樹脂以外の樹脂を高融点成分とし、低融点成分及び高融点成分の各々が繊維表面において繊維長さ方向に沿って連続して存在するサイドバイサイド複合繊維等が挙げられる。
不織布10に用いられる繊維は、中実であってもよく、中空であってもよい。熱伝導性を高めて着用者に冷感を知覚させやすくする観点から、好ましくは中実の繊維である。
繊維におけるポリエチレン樹脂の存在態様のうち、繊維の少なくとも外表面全域にポリエチレン樹脂を有していることが好ましく、又は繊維全体がポリエチレン樹脂で形成されていることが好ましい。つまり、(i)の一実施形態であるポリエチレン樹脂のみからなる中実の繊維であるか、又は(ii-b)の一実施形態であるポリエチレン樹脂を鞘とした芯鞘構造を有する繊維であることが好ましい。斯かる構成により、熱伝導性の高いポリエチレン樹脂が肌に直接接触するので、接触時の冷感をより向上できる。
ポリエチレン樹脂の中でも特に、HDPEが繊維表面に存在する繊維は、後述する製造方法において繊維どうしの融着点をより簡便に形成できる点で有利である。斯かる観点及び繊維形状をより良好に維持する観点から、高充填部が含有する繊維は、(ii-b)ポリエチレン樹脂を鞘とした芯鞘構造を有する芯鞘複合繊維であることが好ましく、鞘にHDPE樹脂を含む芯鞘複合繊維であることがより好ましい。
また、高充填部が芯鞘複合繊維を含有する場合、該芯鞘複合繊維は、芯にポリアミド樹脂を含むことが好ましい。このポリアミド樹脂を含む複合繊維を用いる場合、融点の異なる樹脂を併せて用いることで、繊維どうしを完全に融着させずに不織布化することができ、製造時における加工性が向上し、得られる不織布の風合いが向上する。また複合繊維に捲縮を発現させて、風合いを更に高めることができる。これに加えて、不織布がさらさらとした触感(滑らかな触感)になり、不織布に触れたときに冷感を知覚した場合でも、使用者に不快な濡れ感を感じにくくさせることができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等が挙げられる。繊維形成の容易性の観点から、ポリアミド樹脂としてナイロン6を用いることが好ましい。
例えば、高い熱伝導率と良好な風合いとをより容易に具備させる観点から、高充填部が含有する繊維は、芯にポリアミド樹脂を含み、且つ鞘にHDPE樹脂を含む芯鞘複合繊維であることが好ましい。斯かる構成は、汗、尿、経血、呼気等の体液に起因する水分によりポリアミド樹脂が吸湿してもポリアミド樹脂が着用者の肌に直接触れないので、不快な湿り感を防止することができる点で好ましい。また、製造時において繊維の交点のみで融着させやすくすることができるので、手触りをより向上できる。すなわち、不織布10の良好な風合いを維持し易くなるので、該不織布10表面がさらさらとしたより良好な触感(滑らかな触感)となるとともに、心地よい冷感を着用者に知覚させることができる。
冷感と優れた風合いとをより発現する観点から、高充填部が、芯にポリアミド樹脂を含み、且つ鞘にHDPE樹脂等のポリエチレン樹脂を含む芯鞘複合繊維を含む場合、当該繊維におけるポリエチレン樹脂に対するポリアミド樹脂の質量比(ポリアミド樹脂/ポリエチレン樹脂)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、一層好ましくは0.8以上であり、不織布加工性の観点から、好ましくは2.
0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下、一層好ましくは1.2以下である。
不織布10が含有する樹脂の質量比が、斯かる質量比であることも好ましい。
繊維中の構成樹脂の種類は、示差走査熱量測定によって、繊維の構成する樹脂の融点を確認するとともに、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)の一種以上を用いて樹脂種を確認する。これに加えて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、繊維の表面形状・断面形状から、紡糸方法を推定し、繊維中の樹脂の種類を特定する。
構成樹脂の含有量は、まず、測定対象の不織布の質量と、無荷重下での厚みを測定する。その後、液体窒素等を用いて繊維構造を固定して、繊維の長手方向に直交する方向に繊維断面が観察できるように不織布の断面を作成し、SEM等を用いて体積比を確認する。得られた体積比と樹脂の比重から、樹脂の含有量を算出する。測定対象の不織布が衛生用品に組み込まれている場合には、コールドスプレーで衛生用品から不織布を剥離して測定に供する。
本実施形態の不織布10は、上述した芯鞘複合繊維等のポリエチレン樹脂を含む繊維を含有する。不織布10は、斯かる繊維を単独で、あるいは他の繊維と混綿されて単一の繊維層からなる繊維集合体として構成されていてもよい。例えば、不織布10は、HDPEのみを構成繊維とする単一の繊維層により構成されていてもよい。
また、不織布10は、ポリエチレン樹脂を含む繊維を含有する繊維集合体の層と、当該層以外の他の繊維集合体の層とが積層されて複数の繊維層からなる繊維集合体として構成されていてもよい。
不織布10に用いられる繊維は、前記樹脂以外の樹脂を含んでもよい。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリエチレン樹脂以外のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリパーフルオロエチレン等のフッ素樹脂などの各種熱可塑性繊維が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
冷感をより知覚させるとともに、風合い及び通気性をより向上させる観点から、不織布10に含まれる繊維の全質量に対するポリアミド樹脂の含有量は、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
上記と同様の観点から、不織布10の構成繊維がポリエチレン樹脂を含む場合、該不織布10に含まれる繊維の全質量に対するポリエチレン樹脂の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
熱伝導率の低い空気の含有量を低減し、不織布10全体の熱伝導率を向上させる観点から、低充填部の体積充填率は、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2.0%以上である。
また、風合い及び通気性を向上させる観点から、低充填部の体積充填率は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、更に好ましくは12.0%以下、一層好ましくは8.0%以下である。斯かる構成により、熱伝導性の低い空気の含有量が不織布10内で少なくなるので、熱の移動性を高めることができ、これに起因して、着用者に冷感をより強く知覚させることができる。
すなわち、低充填部の体積充填率は、好ましくは1.5%以上20.0%以下、より好ましくは2.0%以上15.0%以下、更に好ましくは2.0%以上12.0%以下、一
層好ましくは2.0%以上8.0%以下である。
上述した構成は、例えば後述する製造方法のように、不織布の製造過程において得られる繊維集合体を圧密化処理等することによって得ることができる。
冷感を十分に知覚させる観点から、不織布10の坪量は、好ましくは20g/m以上、より好ましくは30g/m以上、更に好ましくは40g/m以上であり、また好ましくは120g/m以下、より好ましくは100g/m以下、更に好ましくは90g/m以下であり、また好ましくは20g/m以上120g/m以下、より好ましくは30g/m以上100g/m以下、更に好ましくは40g/m以上90g/m以下である。
上記と同様の観点から、特に、高充填部が高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂を主成分とする繊維を含有する場合、不織布10の坪量が上述した範囲内であることが好ましい。
不織布10の風合いをより向上させる観点から、低充填部における不織布10の厚みは、好ましくは0.6mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.8mm以上である。
また、不織布10全体の熱伝導性を高める観点から、低充填部における不織布10の厚みが、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。
上述した厚みを具備することによって、衛生用不織布の熱容量を高めて、着用者に冷感を効率よく知覚させることができる。
高充填部における不織布10の厚みは特に限定されないが、現実的には10μm以上200μm以下である。
上述した低充填部における不織布10の厚み(以下、「低充填部の厚み」ともいう。)は、低充填部が存在する位置での不織布の最大となる厚みである。例えば、図2における不織布10の厚みとは、低充填部31において最大の厚みとなる箇所の厚みのことである。斯かる低充填部における不織布の厚みは、4.9mN/cm(0.5gf/cm)荷重下において、レーザー変位計等を用いて測定したものとする。
高充填部は、不織布10の厚み方向全域に存在してもよい。不織布10の厚み方向全域に高充填部が存在する場合、不織布10における両面(表裏)に高充填部が存在する。不織布10における全ての高充填部が、該不織布10の厚み方向全域に形成されている場合、高充填部の面積率は、不織布10の両面で同じとなる。
また高充填部は、不織布10の厚み方向の一部に存在してもよい。不織布10の厚み方向の一部に高充填部が存在する場合、すなわち高充填部が不織布10の何れか一方の面(表面)に存在する場合、他方の面において同高充填部に対応する位置に同高充填部は存在しない。この場合、高充填部の面積率は、不織布10の両面で異なっていてもよく、同じであってもよい。
何れの形態においても不織布10は、熱伝導率が0.15W/mK以上の原料からなる繊維を含有する高充填部が、面積率3%以上30%未満で形成されている表面を少なくとも一方の面に有するものとする。不織布10は、前記表面を両面に有するものであってもよい。
本実施形態の不織布10は、単層構造を有してもよく、複数の層が積層された積層構造を有していてもよい。不織布10は、構成繊維が異なる層が積層された積層構造を有していてもよい。
本実施形態の不織布10は、平面視において高充填部が線状に形成されている。具体的には、図1に示すように、第1高充填部列23では線状の長高充填部22aと線状の短高充填部22bとが直列且つ間欠的に配され、第2高充填部列25では線状の長高充填部2
4aと線状の短高充填部24bとが直列且つ間欠的に配されている。
高充填部が線状である場合、該高充填部の線幅W1(図1参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.0mm以下である。線状の高充填部の線幅W1を斯かる範囲にすることにより、不織布10の風合い及び通気性をより向上できる。
高充填部どうしの最大間隔は、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは1.5mm以上30mm以下、より好ましくは2.0mm以上20mm以下である。高充填部どうしの最大間隔を斯かる範囲にすることにより、不織布10の風合い及び通気性をより向上できる。
高充填部どうしの最大間隔は、任意の一方向に隣り合う高充填部の図心どうしをMD方向又はCD方向に直線で結んだときの、これら高充填部間の最大間隔である。形状が異なる高充填部が存在する場合、隣り合う同一形状の高充填部の図心どうしをMD方向又はCD方向に直線で結んだときの最大間隔が、「高充填部どうしの最大間隔」となる。斯かる直線は、仮想直線であり、該直線上に他の高充填部が存在しないように設定する。
本実施形態の不織布10は、高充填部22a,22b,24a,24bどうしの間隔が位置によって異なっている。この場合、MD方向における高充填部どうしの間隔の最大値、及びCD方向における高充填部どうしの間隔の最大値のうちいずれか大きい方、すなわちMD方向又はCD方向における高充填部どうしの最大離間距離が、上述した「高充填部どうしの最大間隔」の範囲内であることが好ましい。例えば、図1の場合、低充填部31を跨ぐMD方向における高充填部どうしの間隔が最大離間距離となり、図5の場合、隣り合う同一形状の高充填部28a、28b及び28cどうしのMD方向における間隔が最大離間距離となる。当該距離が上述した「高充填部どうしの最大間隔」の範囲内であることが好ましい。
MD方向は、不織布10を製造する際の流れ方向(機械方向)であり、CD方向はMD方向に直交する方向である。不織布10におけるMD方向及びCD方向は、不織布が製造される際に、繊維がMD方向に配向するため、目視やマイクロスコープで繊維の配向方法を観察することで区別することができる。
本実施形態の不織布10は、各高充填部列23,25において長高充填部22a,24aと短高充填部22b,24bとが交点低充填部35を介して交互に直列に配されていたが、線状の高充填部22a,22b,24a,24bは一方向に連続していてもよい。すなわち不織布10は、交点低充填部35を有していなくともよい。この場合、第1高充填部列23と第2高充填部列25との交点は、高充填部となる。
構成繊維が肌にまとわりつかず、着用者の触感や使用感を良好に保つ観点から、不織布10に用いられる繊維の繊維径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは12μm以上である。
また、不織布10における繊維間隙を小さくし、不織布10中の空気の含有量を低減して、熱伝導性を高める観点から、不織布10に用いられる繊維の繊維径は、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは27μm以下である。
繊維の繊維径は、繊維の横断面形状における長軸及び短軸の各長さにおける測定方法と同様に、測定サンプルの作製及びSEM観察を行い、1サンプルあたり10本の繊維の繊維径を測定して、その算術平均値を本発明の繊維径とする。繊維が非真円形である場合には、繊維の長軸及び短軸の各長さを上述の方法で測定し、繊維一本での長軸長さと短軸長さとの算術平均値を繊維径とし、該繊維径の10本の算術平均値を、繊維の繊維径とする。
着用者の触感や使用感を良好に保つ観点から、不織布10に用いられる繊維が短繊維である場合、該繊維の繊維長は、好ましくは30mm以上、より好ましくは38mm以上である。熱伝導性を高める観点から、不織布10に用いられる繊維が短繊維である場合、該繊維の繊維長は、好ましくは40mm以上、より好ましくは45mm以上である。
また工程性を損なわない観点から、不織布10に用いられる繊維が短繊維である場合、該繊維の繊維長は、好ましくは70mm以下、より好ましくは60mm以下である。
繊維の繊維長は、捲縮がかかった状態であった場合はそのまま繊維を伸ばさずに、なるべく繊維の曲がりが生じないように静置し端点から端点までの距離を定規で10本測定した繊維長の算術平均値を、本発明の繊維の繊維長とする。
本発明の効果が奏される限りにおいて、本実施形態の不織布10は、熱伝導率を高めるためのフィラーを更に含んでいてもよい。このようなフィラーとしては、例えば酸化チタン、アルミナ、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、酸化亜鉛、及びカーボンナノチューブ等の少なくとも一種が挙げられる。フィラーは、繊維内に存在していてもよく、繊維どうしの間に存在していてもよく、繊維表面に一部露出し且つ繊維内部に繊維に埋め込まれて存在していてもよい。
本発明の衛生用不織布は、図1~3に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る衛生用不織布の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、図1~3に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、図1~3に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
上述した実施形態の不織布10は、平面視において線状の高充填部を有するものであったが、高充填部の形状はこれに限定されない。図4に示す不織布10aは、平面視において円形型高充填部26が散点状に形成されている。この場合、斯かる高充填部26以外の領域が低充填部36となる。
高充填部が散点状に配されている場合、1個当たりの高充填部の大きさは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上であり、また好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上2.5mm以下、より好ましくは0.4mm以上2.0mm以下である。1個当たりの高充填部の大きさを斯かる範囲にすることにより、肌に触れたときの冷感をより知覚させ得るとともに、不織布10の風合い及び通気性をより向上できる。
図4に示す不織布10aは、MD方向に間隔を空けて直列した複数の円形型高充填部26からなる高充填部列27が、CD方向に間隔を空けて配列されている。CD方向に隣り合う高充填部列27どうしは、円形型高充填部26の配置位置が、MD方向に半ピッチ分ずれている。すなわち、円形型高充填部26は千鳥状に配置されている。
散点状に配された高充填部は、任意の形状とすることができる。前記形状として、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、星形、ハート形、後述するX字形やY字形等が挙げられる。
図5に示す不織布10bのように、異なる形状の高充填部が形成されていてもよい。図5に示す不織布10bでは、X字型の大高充填部28aと、Y字型の小高充填部28bとが散点状に形成されている。この場合も、高充填部28a,28b以外の領域が低充填部38となる。
図5に示す不織布10bは、CD方向に間隔を空けて直列した複数の大高充填部28a
からなる大高充填部列29aが、MD方向に間隔を空けて配列されている。また、CD方向に間隔を空けて直列した複数の小高充填部28bからなる小高充填部列29bが、MD方向に間隔を空けて配列されている。隣り合う大高充填部列29aどうしは、該列29aをなす大高充填部28aのCD方向における位置が同じである。隣り合う小高充填部列29bどうしも、該列29bをなす小高充填部28bのCD方向における位置が同じである。一方、大高充填部28aと、小高充填部28bとは、CD方向における位置が異なっている。
MD方向における大高充填部列29aどうしの間には、2列の小高充填部列29bが配されており、1列の大高充填部列29aと2列の小高充填部列29bとがMD方向に交互に配されている。また、MD方向において大高充填部列29aどうし間に位置する2列の小高充填部列29bは、これら2列の間をCD方向に直交する線に対して小高充填部28bが線対称となるように配されている。
なお、図5における不織布10bは、高充填部28a,28bどうしの間隔が位置によって異なっている。この場合、MD方向における隣り合う同一形状の高充填部どうしの間隔の最大値、及びCD方向における隣り合う同一形状の高充填部どうしの間隔の最大値のうちいずれか大きい方、すなわちMD方向又はCD方向における隣り合う同一形状の高充填部どうしの最大離間距離が、上述した「高充填部どうしの最大間隔」の範囲内であることが好ましい。図5の場合、隣り合う同一形状の高充填部28aどうしのMD方向における間隔が最大離間距離となり、当該距離が上述した範囲内であることが好ましい。
図4及び図5に示すように、高充填部が散点状に配されている場合、不織布の表面における高充填部の面積率が3%以上30%未満となる範囲で、平面視における高充填部の粗密を調整することができる。
本発明の衛生用不織布は、これがこのままで用いられてもよく、あるいは、衛生品の構成部材として用いられてもよい。
本発明の衛生用不織布を衛生品に組み込む場合には、該不織布において高充填部が形成され、且つ該高充填部の面積率が3%以上30%未満である表面が、着用者の肌に対向する面を形成することが好ましく、該肌に接触する肌当接面を形成することがより好ましい。
いずれの場合にも、それらは典型的には使い捨てである。
本発明の衛生用不織布を備える衛生品としては、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、わき汗パッド、尿取りパッド、パンティライナー等の吸収性物品や、フェイスマスクやアイマスク等のマスク類等の衛生用物品が挙げられるが、衛生品はこれらに限定されるものではない。例えば、衛生用不織布を備える吸収性物品は、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
本発明の衛生用不織布は、吸収性物品等の構成部材として好適に用いることができる。
吸収性物品は、典型的には、表面シートと、裏面シートとを備え、表面シートと裏面シートとの間に配された吸収体を備えている。本発明の衛生用不織布を構成部材として備える吸収性物品は、例えば表面シート若しくは裏面シートそのものとして該衛生用不織布が配される。
本発明の衛生用不織布を吸収性物品等の構成部材として用いる場合、衛生用不織布は、吸収性物品等の衛生品の使用時、あるいは吸収性物品等の衛生品を包装から取り出す等の取扱い時において、着用者の肌に直接接触する部位に配することができる。つまり、前記衛生用不織布は、吸収性物品等の衛生品の外面に配されていることが好ましい。
吸収性物品等の衛生品の外面とは、パッケージを開封して吸収性物品等の衛生品を取り
出した後に、着用者が手に触れることができる吸収性物品等の衛生品の面(表裏を含有しているが、厚み方向に進んだ内部の面ではなく、表面側)を意味する。つまり、衛生品の外面とは、好ましくは肌対向面又は非肌対向面である。
詳細には、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、例えば使い捨ておむつに本発明の衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シート、サイド不織布、腰回りギャザーや鼠径部近傍に配されるギャザー、並びに外装体等の構成部材として用いることができる。これらのうち、外装体に前記衛生用不織布を用いた場合、吸収性物品等の衛生品を取り出したときに該衛生用不織布を着用者の手に触れることができるので、肌触りが良好で、衛生品の優れた品質を着用者に想起させやすくすることができる。
また、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、尿漏れパッド及び生理用ナプキンに前記衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シートや、サイド不織布、ヒップガード、あるいは個包装用の袋等の構成部材として用いることができる。
また、衛生品の一実施形態である吸収性物品として、尿漏れパッド及び生理用ナプキンに前記衛生用不織布を用いる場合、例えば表面シートや鼠径部近傍に配されるギャザー等の構成部材として用いることができる。
吸収性物品等の衛生品の使用時において、冷感を知覚させて、蒸れ等による不快感を低減させる観点から、本発明の衛生用不織布は、吸収性物品の衛生品を適正な位置で着用した場合において、吸収性物品の衛生品を着用する着用者の肌に対向する面(以下、これを「肌対向面」ともいう。)側に位置するように配されていることが好ましい。また、肌対向面のうち、肌と接触する面を「肌当接面」ともいう。
吸収性物品に用いられる吸収体は、吸収性コアを備えている。吸収性コアは例えばパルプをはじめとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸水性ポリマーとの混合積繊体、吸水性ポリマーの堆積体、2枚のシート間に吸水性ポリマーが保持された吸収性シートなどから構成され、典型的には親水性繊維と吸水性ポリマーとを含む。前記吸収性シートとしては、例えば特開平8-246395号公報に記載の吸収性シートなどを用いることができる。
吸収性コアは、コアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートの被覆態様としては、例えば、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。
本発明の衛生用不織布をマスクの態様として用いる場合、例えば、衛生用不織布を単独で、あるいは該衛生用不織布に他の不織布を積層した形態として用いることができる。これに加えて、衛生用不織布を含む部材に耳掛け部を設けて、衛生用不織布を含む部材を口、鼻あるいは目の被覆状態を保持できるように構成することができる。
この形態であっても、衛生用不織布は肌対向面に配されることが好ましく、着用者の肌と直接当接する部位に配されること、すなわち肌当接面に配されることが更に好ましい。
次に本発明の衛生用不織布の製造方法を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の製造方法は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブを形成するウエブ形成工程と、該ウエブにエンボス加工を施すエンボス加工工程と、該エンボス加工後のウエブにエアスルー処理を施すエアスルー処理工程とを具備する。
ウエブ形成工程では、熱伝導率が0.15W/mK以上である原料を含む繊維でウエブ(以下、単に「ウエブ」ともいう。)を形成する。斯かるウエブは、例えば公知のカード
機を用いたカード法によって形成することができる。
ウエブを構成する繊維には、上述した高充填部が含有する繊維、例えばポリアミド樹脂やポリアミド樹脂を含む繊維を用いることができる。高充填部において冷感を知覚させ易くするとともに、低充填部における風合い及び通気性をより向上させる観点から、ウエブを構成する繊維に、芯にポリアミド樹脂を含む芯鞘複合繊維を用いることが好ましい。
次にエンボス加工工程では、ウエブ形成工程で得られたウエブにエンボス加工を施す。斯かるエンボス加工により形成される圧密化されたエンボス部が高充填部となり、該エンボス部以外の部分が低充填部となる。すなわち当該エンボス加工では、ウエブに複数のエンボス部(高充填部)を部分的に形成する。
エンボス加工には、例えば公知のエンボスロールを備えたエンボス装置等を用いることができる。エンボス装置は、一対のロールを備えており、これらのうち一方のロールが周面に多数のエンボス凸部が形成された彫刻ロール(エンボスロール)であり、他方のロールが平滑な表面を有する受けロールである。斯かる彫刻ロールのエンボス凸部のパターンが、高充填部の形成パターンに対応する。
また、彫刻ロールのエンボス凸部の面積率は、不織布における高充填部の面積率に対応する。不織布における高充填部の面積率を上述した範囲にし易くする観点から、エンボス加工には、周面に形成されたエンボス凸部の面積率が3%以上30%未満であるエンボスロールを用いることが好ましく、該エンボス凸部の面積率が6%以上15%以下であるエンボスロールを用いることがより好ましい。
エンボス加工工程では、エンボス装置が備える一対のロール間にウエブを導入することで、該ウエブにエンボス加工を施す。エンボス加工工程では、単層のウエブにエンボス加工を施してもよく、複数のウエブを積層した積層ウエブにエンボス加工を施してもよい。
積層ウエブにエンボス加工を施す場合、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含む層側から、エンボス凸部による圧密化が行われるように、エンボス加工を施す。すなわち、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含む層を、積層ウエブにおけるエンボス加工を施す面とする。
エンボス装置は、熱を伴うエンボス加工を施すものであってもよく、熱を伴わないエンボス加工を施すものであってもよく、超音波エンボス加工を施すものであってもよい。すなわち、高充填部において、不織布の構成繊維が溶融固化して繊維形態を喪失した状態であってもよく、該構成繊維の一部が溶融固化した状態であってもよく、該構成繊維が繊維形態を維持した状態であってもよい。高充填部における構成繊維が何れの状態であっても、体積充填率が70%以上であれば該高充填部において冷感を知覚させることができる。
高充填部を効率的に形成する観点から、エンボス加工における加圧条件は、好ましくは0.98MPa(1.0kgf/cm)以上147.00MPa(150kgf/cm)以下、より好ましくは1.96MPa(2.0kgf/cm)以上98.00MPa(100kgf/cm)以下である。
加熱条件下でエンボス加工を行う場合、その加熱条件は特に限定されない。高充填部を効率的に形成する観点から、下記の範囲内にすることが好ましい。
エンボス加工における加熱条件は、ウエブにおける構成繊維の樹脂の融点に対し、好ましくは50℃以上180℃以下、より好ましくは80℃以上140℃以下である。
構成繊維の樹脂の融点は、示差走査熱量測定計(日立ハイテクサイエンス株式会社製、DSC7000x)を用いて測定することができる。まず、細かく裁断した繊維試料(1mg)を用いて、該試料の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク
温度を測定する。融点は、一回目昇温時の融解ピーク温度で定義される。融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。融点を持たない樹脂である場合、軟化点を融点とする。
また、ウエブの構成繊維が複数種類の樹脂を含んで構成される場合は、融点の最も低い樹脂の融点を、ウエブにおける構成繊維の融点とする。
エアスルー処理工程では、エンボス加工を施したウエブにエアスルー処理を施す。斯かるエアスルー処理工程は、ウエブに対して熱風を吹き付けて、ウエブに含まれる繊維どうしを交点で熱融着させることにより、該ウエブを不織布化する工程である。斯かる処理によって得られる繊維集合体は、一般的にエアスルー不織布と呼ばれるものである。
エアスルー処理工程において、エンボス加工が施された面とは反対側の面に熱風が吹き付けられるように、ウエブを配することが好ましい。これにより、低充填部における凸部が直接熱風で潰されないため、より良好な風合いが得られる。この場合、例えばウエブにおけるエンボス加工が施された面の反対側の面を熱風の吹き付け面とし、該エンボス加工が施された面を、エアスルー装置のネット側(例えば下面側)に配する等して、エアスルー処理を行えばよい。
上記と同様の効果を得る観点から、積層ウエブが、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含む層と、該繊維を含まない層とを有する場合、エアスルー処理工程では、該繊維を含まない層に熱風が吹き付けられるように、積層ウエブを配することが好ましい。
エアスルー処理工程において、ウエブに吹き付ける熱風は、その温度及び風速を特定の範囲とすることが好ましい。詳細には、繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、繊維ウエブを構成する繊維表面を構成する樹脂の融点(℃)との関係において、好ましくは融点+40℃以下、より好ましくは融点+20℃以下である。斯かる範囲とすることで、繊維をフィルム化させずに繊維の形態を維持できるので、不織布の風合いをより向上できる。
また、繊維ウエブを構成する繊維どうしを適度に融着させた後、融着の度合いを調整すること、毛羽立ち抑えること、及び不織布厚みの調整を衛生用不織布で実施する観点から、ウエブに吹き付ける熱風の温度は、好ましくは融点-30℃以上、より好ましくは融点-15℃以上に調整してもよい。
本製造方法において芯鞘複合繊維を用いる場合、芯鞘複合繊維における芯の構成樹脂の融点を鞘の構成樹脂の融点よりも高い構成とした繊維を用いることが好ましい。これにより、融着点の簡便な形成と、得られる不織布の風合いのさらなる向上と、冷感の知覚のさせやすさを兼ね備えることができる。
エアスルー処理工程は、例えば、エアスルー炉を用いてネットコンベア上の繊維ウエブに熱風を吹き付けて行うことができる。この場合、上述した熱風の温度は、熱風の吹き出し口の平面視における図心の位置且つネットコンベアの直上での温度とする。この温度は、例えば熱電対を用いて測定することができる。
繊維ウエブを構成する繊維として、例えば、繊維表面を構成する鞘がHDPE樹脂(融点:125℃~130℃)であり、芯がポリアミド樹脂であるナイロン6(融点:220℃~230℃)によって構成された芯鞘複合繊維を用いる場合、あるいはHDPE樹脂からなる繊維を用いる場合、熱風の温度は、好ましくは126℃以上、より好ましくは128℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
また上述の条件における熱風の温度は、好ましくは140℃以下、より好ましくは139℃以下、更に好ましくは138℃以下である。
ウエブの厚み方向に熱風を十分に通過させて、繊維どうしの融着を形成させやすくする観点から、エアスルー処理工程においてウエブに吹き付ける熱風の風速は、好ましくは0
.6m/秒以上、より好ましくは1.0m/秒以上である。
上記と同様の観点から、ウエブに吹き付ける熱風の風速は、好ましくは2.0m/秒以下、より好ましくは1.4m/秒以下である。
上述した温度及び風速の条件でエアスルー処理工程を行うことによって、繊維ウエブを構成する繊維表面に存在する樹脂を溶融又は軟化させて、繊維どうしが融着した融着点をランダムに形成することができるので、製造される衛生用不織布は、エアスルー不織布に起因する柔軟性及び良好な風合いを発現しつつ、使用に耐えうる強度が発現したものとなる。
エアスルー処理工程におけるウエブの搬送速度は、上述の温度及び風速の範囲において、好ましくは3m/分以上、より好ましくは10m/分以上であり、好ましくは200m/分以下、より好ましくは160m/分以下である。
上述した実施形態の製造方法では、エンボス加工工程の後にエアスルー処理工程を行うものであったが、ウエブ形成工程の後に、エアスルー処理工程を行い、その後にエンボス加工工程を行ってもよい。すなわち、本発明の製造方法は、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブにエアスルー処理を施すエアスルー処理工程と、該エアスルー処理後のウエブにエンボス加工を施すエンボス加工工程とを具備するものであってもよい。この場合においても、矛盾しない限り、上述した実施形態の製造方法の説明が適宜適用される。
低充填部における凸部を潰すことを抑制して、より良好な風合いを得る観点から、エアスルー処理工程の後にエンボス加工工程を行う場合、エアスルー処理工程を以下のようにして行うことが好ましい。
エアスルー処理工程において、エンボス加工における彫刻ロール当接面とは反対側の面に熱風が吹き付けられるように、ウエブを配することが好ましい。
積層ウエブが、熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含む層と、該繊維を含まない層とを有する場合、エアスルー処理工程では、該繊維を含まない層に熱風が吹き付けられるように、積層ウエブを配することが好ましい。
以上の工程を経て、本発明の衛生用不織布を得ることができる。得られた衛生用不織布は、好ましくは、以後の工程で、吸収性物品等の衛生品の構成部材として組み込まれる。
衛生用不織布を吸収性物品等の衛生品の構成材料とする場合、衛生品を製造する工程のうちのいずれかにおいて、上述の方法で製造された衛生用不織布を構成材料の一つとして用い、該衛生用不織布を切断する工程や、該衛生用不織布と衛生品を構成する他の構成材料(例えば吸収体やシート等)とを積層又は接合する等の各種操作を行う工程のうち一つ以上備えて、目的とする吸収性物品等の衛生品を製造することができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態の不織布は、平面視において高充填部が散点状に形成されているものや、平面視において高充填部が線状に形成されているものであったが、前述した面積率を満たす限り、散点状に形成された高充填部及び線状に形成された高充填部の双方が形成されたものであってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1~3〕
HDPE(融点:125-130℃)の単一樹脂からなる繊維(繊度2.4dtex、繊維長51mm)を用いてカード法によりウエブを形成した。次いで、ウエブにエアスルー処理を施した後、さらに超音波エンボス加工を施して不織布を得た。エアスルー処理は、熱風温度128℃、風速1.2m/秒、ウエブ搬送速度5m/分で行った。超音波エンボス加工は、周面に円形型のエンボス凸部が千鳥状に形成されたエンボスロールを用いて、加圧条件1.96MPa(2.0kgf/cm)で行った。得られた不織布は、表面に円形型高充填部26が千鳥状に形成され、且つ単層構造を有するものであった。
実施例1~3では、エンボス加工に用いたエンボスロールについて、エンボス凸部の面積率を異ならせた。
〔実施例4及び5〕
芯がナイロン6(Ny、融点:220-230℃)樹脂であり且つ鞘(繊維表面)がH
DPE樹脂である芯鞘複合繊維(繊度2.4dtex、繊維長51mm)を用いてカード
法によりウエブを形成した。この繊維のHDPE樹脂含有量は、50質量%であった。この繊維からなるウエブにエアスルー処理を施した後、さらに超音波エンボス加工を施して不織布を得た。エアスルー処理は、熱風温度134℃、風速1.0m/秒、ウエブ搬送速度10m/分で行った。エンボス加工には、エンボス凸部の面積率が実施例1と異なるエンボスロールを用いた。以上の点以外は実施例1と同様の方法により不織布を製造した。得られた不織布は、表面に円形型高充填部26が千鳥状に形成され、且つ単層構造を有するものであった。
〔実施例6及び7〕
実施例6では、周面に線状のエンボス凸部が形成されたエンボスロールを用いて、加圧条件2.45MPa(2.5kgf/cm)でエンボス加工を行った。斯かる点以外は、実施例4と同様の方法により不織布を製造した。得られた不織布は、図1に示すパターンで線状の高充填部が形成され、且つ単層構造を有するものであった。
実施例7では、周面にX字型の大エンボス凸部とY字型の小エンボス凸部とが形成されたエンボスロールを用いて、加圧条件3.92MPa(4.0kgf/cm)でエンボス加工を行った。斯かる点以外は、実施例4と同様の方法により不織布を製造した。得られた不織布は、図5に示すパターンでX字型の大高充填部28aと、Y字型の小高充填部28bとが形成され、且つ単層構造を有するものであった。
〔実施例8及び9〕
実施例8では、ウエブに対しエンボス加工工程を行った後、エアスルー処理工程を行った。斯かる点以外は実施例6と同様の方法により不織布を製造した。
実施例9では、ウエブに対しエンボス加工工程を行った後、エアスルー処理工程を行った。斯かる点以外は実施例7と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例1及び2〕
比較例1では、エンボス加工工程を行わなかった点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
比較例2では、エンボス加工工程を行わなかった点以外は、実施例4と同様の方法により不織布を製造した。
比較例1及び2の不織布は、高充填部を有しないものであった。
〔比較例3〕
芯がHDPEであり且つ鞘(繊維表面)がHDPEである芯鞘複合繊維(繊度2.4dtex、繊維長51mm)を用いてカード法によりウエブを形成した。斯かるウエブに対
しエアスルー処理工程を行った後、エンボス加工工程に代えて、加圧条件64MPa、1
00℃で第1プレス加工を1分間行い、さらに加圧条件64MPaで第2プレス加工を3秒間行って、不織布を製造した。これら第1及び第2プレス加工は、二つの金属平板の間に繊維集合体を配して加圧する加工法である。第2プレス加工は、水冷したプレス板どうしの間に挟んで行った。比較例3の不織布は、高充填部を有しないものであった。
〔比較例4〕
比較例4では、実施例4と同じウエブに対してエアスルー処理工程を行った後、前記の第1プレス加工及び第2プレス加工を行って、不織布を製造した。比較例4の不織布は、高充填部を有しないものであった。
〔比較例5〕
比較例5では、実施例1で用いたウエブに対しラボプレス(東洋精機製)を用いて、該ウエブの構成繊維の融点以上の温度(130℃)で且つ64MPaで1分加圧し、その後水冷されている冷却板間に挟んで64MPaで3秒加圧することにより、該ウエブの構成繊維の樹脂をフィルム化して、フィルムシートを製造した。
〔比較例6〕
比較例6では、スパンボンド法によってポリプロピレン(PP、融点:155℃~165℃)からなる繊維のウエブを形成した後、該ウエブに対してエンボス加工工程を行い、スパンボンド不織布を製造した。斯かるエンボス加工工程では、周面に正方形の形状のエンボス凸部が散点状に形成されたエンボスロールを用いた。スパンボンド法によって得られた繊維の長さは実質的に無限長のものであった。
各実施例及び比較例におけるウエブを形成する繊維及び得られた不織布の諸元を下記表1に示す。
下記表1の製造方法の欄において、ウエブに対しエアスルー処理工程を行った後、エンボス加工工程を行った場合を「A」と示し、ウエブに対しエンボス加工工程を行った後、エアスルー処理工程を行った場合を「B」と示す。
また、下記表1の製造方法の欄において、ウエブに対しエアスルー処理工程のみを行った場合を「C」と示し、ウエブに対しエアスルー処理工程を行った後に前述のプレス加工を行った場合を「D」と示し、前述のラボプレスによりフィルムシートを形成した場合を「E」と示し、スパンボンド法によりウエブを形成した後、該ウエブにエンボス加工工程を行った場合を「F」と示す。
〔低充填部の厚みの測定〕
実施例及び比較例の不織布について、低充填部における厚みを測定した。厚みの測定は、測定対象の衛生用不織布に4.9mN/cm(0.5gf/cm)の荷重を負荷した状態で、レーザー変位計を用いて、不織布の最大の厚みとなる5箇所以上測定し、それらの算術平均値を、低充填部の厚み(mm)とした。結果を表1に示す。
〔体積充填率の測定〕
実施例及び比較例の不織布について、上述の方法にて体積充填率(%)を算出した。結果を表1に示す。
〔不織布の熱伝導率〕
実施例及び比較例で用いた不織布について、熱伝導率を以下の方法で行った。
(1.サンプル作成)
実施例及び比較例の各不織布は、一種類の繊維からなるウエブを用いて製造されたものであるので、不織布のどの部位においても同じ構成樹脂の繊維を取り出すことができる。そのため、高充填部及び低充填部を有する不織布については、これら高充填部及び低充填
部の双方が含まれる部位を10g分切り出し、これをサンプルとした。また、高充填部がない不織布については、該不織布における任意の部位を10g分切り出し、これをサンプルとした。次いで、取り出したサンプルを2枚のステンレス板間にステンレス板の中央に保持し、無加圧条件にて1分間加熱し、融着物を得た。加熱温度は、上述した示差走査熱量測定計で測定した融点Mp+20℃とし、複数の樹脂材料を含む積層体又は繊維の場合には、融点の最も高い樹脂の融点を基準として加熱した。具体的には、245℃で加熱した。
次いで、得られた融着物に対して、上述の加熱温度を維持したまま、ゲージ圧200kgf(天板込みの総質量:21848kg;圧力を面圧として計算する場合、融着物の面積が樹脂の溶融とともに変化するため、面圧は、最終的に得られた円形樹脂板の面積に基づいて計算する。例えば円形樹脂板が15cmの直径である場合、面圧は12MPaである。)の圧力をかけて1分間保持した後、加圧状態を維持したまま20℃まで水冷して、直径約15~20cmの円形樹脂板を得た(樹脂の溶融粘度により、得られる円形樹脂板の直径は変化しうる)。
続いて、得られた円形樹脂板について、中心を通る放射線状に円形樹脂板を切断し、また最大差し渡し長さが5cm以上であれば5cm以下になるように更に切断した。そして、樹脂の配向の影響がなくなるように、最大差し渡し長さにおける仮想線分の延在方向がランダムになるように、切断した樹脂板をステンレス板の中央へ重ねて置いた後、厚み1mmのシムをステンレス板の中央から10cmの場所に2枚平行に配し、その上にステンレス板を重ねた。その後、上述と同様の操作で無加圧下での加熱、並びに加圧下での加熱、冷却を行った。気泡が入ってしまった場合は、同様の動作を繰り返した。2回加熱溶融する目的は、サンプルを一度溶融させて、繊維の紡糸過程で変化する樹脂の結晶化などの影響を除外し、熱履歴を一定にするためである。これによって、フィルムを得た。
(2.熱伝導率の測定)
熱伝導率の測定は、測定装置(カトーテック株式会社製、KES-F7 サーモラボII)を用いて、以下の方法で行った。
まず、作製したフィルムを長さ10cm×幅10cmの寸法となるように切り取り、室温23℃、相対湿度50%の環境下に24時間放置した。次いで、上述の測定装置及び該装置の測定マニュアルに従って、測定対象の熱伝導率を測定した。具体的には、測定用の熱源体(BT-BOX、縦5cm×横5cmで厚み1mmのアルミニウム板と、ヒーターなどとが一体化されている)の温度を33℃(測定対象の表面温度より10℃高い温度)に設定し、フィルムが反って、接触する面積が低減することを防止するために、フィルムに面積0.25m当たり1kgの荷重を付加するように該熱源体を接触させた。測定器の表示板において、熱源体から測定対象への熱流量が一定になった時点を測定開始時点とし、該時点から60秒間の平均熱流量を測定した。測定条件と、測定された熱流量から、以下の式(III)に基づいて算出した。フィルムの厚みDは、レーザー変位計によって無荷重下で3箇所以上測定した厚みの算術平均値とした。上述の測定を測定対象一つにつき3回行い、それらの測定値の最大値を、サンプルの熱伝導率(W/mK)とした。結果を表1に示す。
k=100×(W×D)/(A×ΔT) ・・・(III)
(k:熱伝導率[W/mK]、W:熱流量[W/m]、D:フィルムの厚み[cm]
、A:アルミニウム板面積(25cm)、ΔT:熱源体とフィルムとの温度差(10℃))
実施例及び比較例の各不織布について、肌に触れたときの冷感、風合いの性能評価を以下の方法で行った。また、各不織布の通気度を測定した。
〔冷感の評価〕
実施例及び比較例の不織布について、以下の方法で冷感の評価を行った。まず、5名の専門パネラーに不織布の表面を触れさせた。実施例の不織布については、高充填部が形成された表面を触れさせた。次いで、不織布に触れたときの冷感を以下の基準で評価し、各パネラーの評価点の算術平均値を冷感の評価とした。結果を表1に示す。
5点:冷感が非常に強く感じられる。(接触冷感q-maxが0.20以上の接触冷感布と同等に冷感が強く感じられる。)
4点:冷感が強く感じられる。
3点:やや冷感があり、熱がこもっていないように感じられる。
2点:やや冷感が感じられる。
1点:冷感が全く感じられない。
接触冷感q-maxは、肌が物体に触れたときに冷たく感じる皮膚感覚を数値化したものである。この接触冷感は、肌が物体に触れたときの、肌から物体への熱の移動量によって異なり、熱の移動量が多いほど、触れたときに冷たく感じる。接触冷感q-maxは、この肌から物体への熱の移動量の最大値に対応するものであり、接触冷感q-maxの値は、物体に触れたときに冷たく感じる場合ほど大きく、温かく感じる場合ほど小さくなる。通常、接触冷感q-maxが0.20以上であると、肌に触れたときの冷感が十分に感じられる。接触冷感q-maxは、特開2020-121202号公報に記載の方法により測定できる。
〔風合いの評価〕
実施例及び比較例の不織布の表面について、以下の方法で風合いの評価を行った。まず、20名の専門パネラーに不織布の表面を触れさせた。実施例の不織布については、高充填部が形成された表面を触れさせた。次いで、不織布に触れたときの風合いを以下の基準で評価し、各パネラーの評価点の算術平均値を風合いの評価とした。結果を表1に示す。
5点:大変良い。
4点:良い。
3点:どちらでもない。
2点:悪い。
1点:大変悪い。
〔通気度の測定〕
実施例及び比較例の不織布から5cm×5cmのサンプル片を切り出し、通気性試験機(カトーテック株式会社製、KES-F8)の通気穴を閉塞するようにして、該サンプル片を固定した。次いで、定流量空気を通気穴に送り、サンプル片の通気抵抗R(kPa・秒/m)を測定した。この測定された通気抵抗Rを次式に代入し、通気度Qを算出した。
Q(cc/cm/秒)=12.5/R
Figure 2023065153000002
表1に示すように、各実施例の不織布は、比較例と比較して、肌に触れたときの冷感が良好に知覚されるとともに、風合いが良好でありながら、通気度が50cc/cm/秒超であった。特に、実施例6~9の不織布は、通気度が高い値となり、優れた通気性を具備することが示された。一方、各比較例の不織布は、肌に触れたときの冷感を知覚させつ
つ、風合い及び通気性を良好に維持し得るものではなかった。
したがって、本発明の衛生用不織布は、肌に触れたときに冷感を知覚させるとともに、優れた風合い及び通気性を有することが示された。
10,10a,10b 衛生用不織布(不織布)
20 高充填部
22a 長高充填部
22b 短高充填部
23 第1高充填部列
24a 長高充填部
24b 短高充填部
25 第2高充填部列
26 円形型高充填部
27 高充填部列
28a 大高充填部
28b 小高充填部
29a 大高充填部列
29b 小高充填部列
31 大低充填部
32a,32b 中低充填部
35 交点低充填部
36,38 低充填部

Claims (15)

  1. 体積充填率が70%以上である高充填部を有しており、
    前記高充填部は、表面における面積率が3%以上30%未満であり、且つ熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含有している、衛生用不織布。
  2. 前記繊維が、芯にポリアミド樹脂を含む芯鞘複合繊維である、請求項1に記載の衛生用不織布。
  3. 前記繊維が、鞘に高密度ポリエチレン樹脂を含む芯鞘複合繊維である、請求項1又は2に記載の衛生用不織布。
  4. 坪量が20g/m以上120g/m未満であり、
    前記繊維が、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする、請求項1~3の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  5. 前記高充填部の体積充填率が75%以上90%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  6. 前記高充填部は、前記面積率が6%以上15%以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  7. 前記高充填部どうしの最大間隔が1.5mm以上30mm以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  8. 前記高充填部が散点状に配されている場合、1個当たりの該高充填部の大きさが0.5mm以上である、請求項1~7の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  9. 平面視において前記高充填部が線状に形成されており、該高充填部の線幅が0.3mm以上1.5mm以下である、請求項1~7の何れか1項に記載の衛生用不織布。
  10. 請求項1~9の何れか1項に記載の衛生用不織布を構成部材として備えた、吸収性物品。
  11. 熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブにエンボス加工を施す工程と、
    前記エンボス加工後の前記ウエブにエアスルー処理を施す工程とを具備する、衛生用不織布の製造方法。
  12. 熱伝導率が0.15W/mK以上である繊維を含むウエブにエアスルー処理を施す工程と、
    前記エアスルー処理後の前記ウエブにエンボス加工を施す工程とを具備する、衛生用不織布の製造方法。
  13. 前記繊維が、芯にポリアミド樹脂を含む芯鞘複合繊維である、請求項11又は12に記載の衛生用不織布の製造方法。
  14. 前記エンボス加工に、周面に形成されたエンボス凸部の面積率が3%以上30%未満であるエンボスロールを用いる、請求項11~13の何れか1項に記載の衛生用不織布の製造方法。
  15. 前記エンボス加工に、周面に形成されたエンボス凸部の面積率が6%以上15%以下であるエンボスロールを用いる、請求項11~14の何れか1項に記載の衛生用不織布の製造方法。
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