JP4926035B2 - 不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、吸液性に優れ、風合いが良好で、例えば生理用ナプキンやおむつ等の衛生用品の表面シート等として好適な不織布及びその製造方法に関する。
従来、柔軟性、風合い及び拭き取り性等の観点から、分割型複合繊維を含み、該分割型複合繊維をその構成樹脂間で分割離間させて極細繊維を発現させた不織布が知られている。
例えば特許文献1には、分割型複合繊維の含有量が異なる第1層及び第2層を有し、多数の開孔が形成されている不織布が記載されている。特許文献1に記載の不織布においては、開孔の周縁部に存する分割型複合繊維がその構成樹脂に分割離間されている一方で、該周縁部以外の他の部分に存する分割型複合繊維が極力分割離間されないようになされており、これにより、開孔の周縁部の外側の領域から該周縁部に向けて毛管力を向上せしめ、吸液性を高めている。
しかし、特許文献1に記載の不織布は、分割型複合繊維の含有量が相対的に多い第2層に熱融着性繊維が比較的多量に含有されており、また、特に、分割型複合繊維があまり分割していない、開孔の周縁部以外の他の部分において、液の引き込み性を高め得る、不織布厚み方向の繊維の粗密構造が形成されていないため、厚み方向の吸液性が充分とは言えず、例えばナプキンやおむつの表面シートとして用いた場合には、表面に液が残るおそれがある。また、特許文献1に記載の不織布は、分割型複合繊維由来の極細繊維が不織布の面方向の一部に局在しており、面方向全体には存在していないため、嵩が不足気味で柔軟性に欠け、風合いの点で問題がある。
特許文献2には、構成繊維の太さが異なる複数の繊維層で構成され、該構成繊維として、高圧水流等の物理的衝撃処理(非熱的処理)によって構成樹脂間を分割離間可能な分割型複合繊維を用いた不織布が記載されている。特許文献2に記載の不織布においては、各層の構成繊維の太さを変えることで、その厚み方向に繊維の粗密勾配を形成し、これにより吸液性を高めている。
しかし、特許文献2に記載の不織布は、物理的衝撃処理(非熱的処理)によって構成樹脂間を分割離間可能な分割型複合繊維を用いているため、低坪量に調整し難い。このため、特許文献2に記載の技術を用いても、嵩高で柔軟で風合いに優れる不織布を得ることは難しい。
また特許文献3には、親水化剤が練り込まれ且つ外周面に親水性付与油剤が付着された親水性の分割型複合繊維を含み、熱融着法によって形成された不織布が記載されている。
しかし、特許文献3に記載の不織布は、何れも分割型複合繊維を主体とした繊維層からなる単層構造の不織布であるため、毛羽立ちや毛羽抜けが起こり易く、風合いの点で問題がある。また、特許文献3に記載の不織布は、厚み方向における液の引き込み性の点でも充分とはいえず、ナプキンやおむつの表面シートとして用いた場合には、表面に液が残るおそれがある。
特開2004−100085号公報 特開2004−73619号公報 特開2004−100084号公報
従って本発明の目的は、吸液性に優れ、風合いが良好な不織布及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、熱融着繊維を含有する第1繊維層と、成分の異なる複数種の樹脂及び無機フィラーを含み且つ熱的作用によって各該樹脂間が分割離間可能な熱分割型複合繊維を含有する第2繊維層とが積層、一体化された不織布であって、前記第2繊維層の全域において、前記熱分割型複合繊維が各前記樹脂間で分割離間している不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、前記不織布の製造方法であって、前記熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブと、前記熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブとを重ね合わせて積層ウエブを得、該積層ウエブに熱処理を施して、該熱分割複合繊維を各前記樹脂間で分割離間させると同時に、両繊維ウエブを一体化させる不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、前記不織布の製造方法であって、前記熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブと、前記熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブとの各々に熱処理を施して、両繊維ウエブそれぞれを不織布化すると共に、該熱分割複合繊維を各前記樹脂間で分割離間させ、その後、不織布化した両繊維ウエブを重ね合わせて一体化させる不織布の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の不織布は、液の引き込み性が高く吸液性に優れており、例えば生理用ナプキン等の衛生用品(吸収性物品)において肌当接面を形成する表面シートとして用いた場合には、表面に吸収されない液が残る、いわゆる液残りが効果的に抑制される。また本発明の不織布は、風合いが良好であり、隠蔽性にも優れている。
以下、本発明の不織布を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の不織布は、熱融着繊維を含有する第1繊維層と、熱分割型複合繊維を含有する第2繊維層とが積層、一体化された不織布である。即ち、本発明の不織布は、第1繊維層と第2繊維層とを単に積層したものではなく、積層された両繊維層が更に一体化されている。該熱分割型複合繊維は、成分の異なる複数種の樹脂及び無機フィラーを含み且つ熱的作用によって各該樹脂間が分割離間可能になされている。即ち、第2繊維層に含有されている熱分割型複合繊維は、加熱処理等によって構成樹脂間で分割離間し、これら各構成樹脂からなる複数の極細繊維を発現する。そして、本発明の不織布においては、第2繊維層の全域において、この熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間している。つまり、第2繊維層の全域に、略満遍なく熱分割型複合繊維由来の極細繊維が存在している。
このように、本発明の不織布においては、第2繊維層の全域において熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間していることにより、第2繊維層における繊維の見掛け本数が、第1繊維層における繊維の見掛け本数よりも多くなっている。つまり、第2繊維層の繊維密度が相対的に密、第1繊維層の繊維密度が相対的に疎となっている。この結果、第2繊維層における繊維間距離が、第1繊維層における繊維間距離よりも小さくなり、両層間で毛管力に勾配が生じる。これにより、不織布の厚み方向(各繊維層の積層方向)において、第1繊維層から第2繊維層に向けて毛管力が大きくなり、第2繊維層に向けて液の引き込み力が生じる。従って、本発明の不織布は、厚み方向における吸液性に優れており、例えば生理用ナプキンやおむつの如き吸収性物品の表面シートとして用いた場合には、第1繊維層を肌当接面側、第2繊維層を非肌当接面側とすることで、該表面シートに液残りが生じにくくなる。また、第2繊維層の全域において熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間していることで、不織布に嵩高さと柔軟性が付与され、風合いが良好になる。
「第2繊維層の全域において、熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間している」ことは、下記〔分割指数の算出方法〕によって得られる分割指数によって確認される。
〔分割指数の算出方法〕
下記サンプル作製方法に基づき作製した5サンプルそれぞれについて、走査型電子顕微鏡によって倍率200倍の拡大写真を撮影する。各サンプルにつき、任意の5箇所の拡大写真を撮影する。各サンプルにおける任意の5箇所の拡大写真それぞれについて下記の手順で分割指数Pを算出し、得られた5つの分割指数Pの平均値を、当該サンプルの分割指数とする。そして、調製した5つのサンプルの何れにおいても、その分割指数が80以上の場合を、「第2繊維層の全域において、熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間している」と定義する。該分割指数はより高いほうが好ましく、90以上がより好ましい。
その拡大写真において断面が目視で観察できる繊維の全てを対象とし、先ず、撮影された繊維が分割型繊維であるか非分割型繊維であるかをその断面から判定する。正しく調製された分割型繊維であれば、この繊維断面の観察により、該分割型繊維の構成成分を区分する区分線が観察される。区分線の観察により、その繊維が単一成分からなるか、あるいは2成分以上からなるかの判定が可能であり、また、2成分以上の場合には、芯鞘型であるかサイドバイサイド型であるかの判定が可能である。また、分割型繊維がいくつかに分割された後の繊維(極細繊維)は、その断面が扇形などの形状を有するため、斯かる断面形状を有する繊維は、分割型繊維由来のものであると認定することができる。
前記繊維断面の観察において、1)区分線によって区分される領域の数が1又は2しかなく且つ断面形状が円形のもの、及び2)区分線によって区分される領域の数は3以上であるが、その区分線が、繊維外周と角度を持って交わっていないものは前記非分割繊維とし、分割指数の計算対象外とする。前記1)及び2)以外のものは、分割型繊維とする。
次に、上記のようにして分割型繊維と認定された繊維を更に観察し、互いに接している繊維どうしは1つの集合体とみなし、互いに接していない繊維、独立している繊維は別の1つの集合体とみなす。観察により、3)断面形状が円形のままのもの、及び4)断面形状は円形とは言い難い形状(円形が崩れた形状)であるが、断面において、繊維どうし互いに一部分が接しており、各区分の要素を組み合わせれば円形となるものは、繊維A(分割されていない分割型繊維)とし、それぞれ、1つの集合体と数える。一方、観察により、5)外周が円形で無いもの、及び6)一部が欠けており、互いに接している要素だけでは円形の外周を構成できないものは、繊維B(分割されている分割型繊維)とし、それぞれ1つの集合体と数える。
こうして、分割型繊維と認定された全ての繊維について、繊維A及び繊維Bの集合体数をそれぞれ数え、次式により分割指数Pを算出する。
繊維の分割指数P={繊維Bの数/(繊維Aの数+繊維Bの数)}×100
繊維Bの数が0、即ち、分割されている分割型繊維が無い場合は分割指数Pは0となり、全ての分割型繊維が分割されている場合は分割指数Pは100となる。
サンプル作製方法:
分割指数を算出する繊維層(第2繊維層)を、直径0.2〜1mmの円形形状の貫通口が厚み方向に形成された金属プレートの該貫通口に通す。この作業は、該貫通口に予め導糸を通しておき、そこに繊維層を通すことにより容易に行なうことができる。次に、鋭利なカッターを金属プレートの一面に沿わせて、該一面(貫通口の開口縁部)から突出している繊維層を切断する。金属プレートの他面から突出している繊維層も同様に切断することにより、貫通口の中に、繊維層の構成繊維が金属プレートの厚み方向に比較的揃ったサンプルが得られる。必要に応じて金属プレートを液体窒素で冷却し、該金属プレートの貫通口の中のサンプルを取り出す。以上の手順により、分割指数を算出する繊維層の任意の5箇所それぞれのサンプルを作製する。
尚、分割指数を算出する繊維層が他の繊維層と接合している場合は、両層を注意深く分離させる。この際には、拡大鏡で観察しながら、はさみやナイフを用いても良いし、容易に2層に分割できるときは、手で端部から引き剥がし、繊維層形態が良好な部分をサンプル作製対象とする。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維は、複数の成分(樹脂)がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した状態で単繊維内で相互接着している繊維である。これらの複合繊維は、成分の異なる2種類以上の樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得ることができる。以下、これらの複合繊維について更に説明する。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維は、上述したように成分の異なる複数種の樹脂を含み、熱的作用によって各該樹脂間が分割離間可能になされている。熱分割型複合繊維は、その横断面をみたときに、互いに異なる種類の樹脂が繊維の周方向に交互に配されていれば良く、芯鞘構造や中空構造であっても良い。また、熱分割型複合繊維の分割数は特に限定されず、例えば4分割、6分割、8分割、16分割あるいは32分割であっても良いが、繊維の分割性、カード機通過性、生産性、コスト等の観点から、4〜8分割が好ましい。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維は、上述したように無機フィラーを含有しており、これにより分割性が高められていると共に、該熱分割型複合繊維を含有する第2繊維層の隠蔽性、ひいては不織布全体の隠蔽性が高められている。分割型複合繊維の分割性を高める方法としては、従来、構成樹脂の結晶化度を制御する方法、構成樹脂に親水化剤を配合する方法等が採られてきたが、本発明のように無機フィラーを用いる方法は知られていない。分割型複合繊維に無機フィラーを含有させることで、熱処理により該分割型複合繊維が容易に分割するようになる。
無機フィラーとしては、二酸化チタン等の酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。本発明においては、これらの無機フィラーの1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらの無機フィラーの中でも、特に酸化チタン、とりわけ二酸化チタンが、不織布の隠蔽性の点で好ましい。
熱分割型複合繊維における無機フィラーの含有量は、該熱分割型複合繊維の重量に対して、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。無機フィラーの含有量が0.5重量%未満では、熱分割型複合繊維の分割性及び不織布の隠蔽性それぞれの向上効果に乏しく、10重量%超では、生産性が低下するおそれがある。無機フィラーは、熱分割型複合繊維を構成する複数種の樹脂の少なくとも1種に含有されていれば良く、複数種の樹脂の全てに含有されていても良い。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維の構成樹脂としては、成分の異なる2種以上の熱可塑性樹脂の組み合わせが用いられる。特に融点差の大きな熱可塑性樹脂の組み合わせを用いることが、効果的に熱融着を起こさせ得る点から好ましい。この観点、及び繊維の剛性が低下することに起因して不織布の風合いが良好になる点から、構成樹脂の少なくとも一つとして融点が100〜150℃のポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EP)などを用いることが好ましい。
尚、本明細書において、樹脂の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、サンプル重量1g、昇温速度10℃/分で測定するものである。
好ましい熱分割型複合繊維の一例としては、その構成樹脂として、熱収縮性を有する低融点樹脂と、該低融点樹脂よりも熱収縮性が低く且つ融点が高い低熱収縮性高融点樹脂との2種類の樹脂を含んでいるものが挙げられる。熱分割型複合繊維がこれら2種類の樹脂を含んで構成されていることにより、該熱分割型複合繊維の熱的作用による構成樹脂の分割離間が一層スムーズになされるようになり、極細繊維の発現が一層促進される。
この好ましい熱分割型複合繊維においては、前記無機フィラーは低融点樹脂又は低熱収縮性高融点樹脂の何れか一方に含有されていても良く、これら両方の樹脂に含有されていても良い。
また、この好ましい熱分割型複合繊維においては、低融点樹脂と低熱収縮性高融点樹脂との含有重量比(低融点樹脂:低熱収縮性高融点樹脂)は、好ましくは3:7〜7:3、更に好ましくは4:6〜6:4である。
前記低融点樹脂としては、その融点が110〜150℃、特に115〜145℃の熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE、融点130℃)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、融点115℃)、エチレン−プロピレン共重合体(EP、融点141℃)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、前記低熱収縮性高融点樹脂としては、特に制限は無いが、その融点が160〜270℃、特に160〜260℃の熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点251℃)、ポリプロピレン(PP、融点160℃)等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
また、前記低熱収縮性高融点樹脂の融点と前記低融点樹脂の融点との差(低熱収縮性高融点樹脂の融点−低融点樹脂の融点)は、特に制限は無いが、構成樹脂の分割の容易さの観点から、好ましくは10〜160℃、更に好ましくは15〜145℃である。
前記低融点樹脂と前記低熱収縮性高融点樹脂との好ましい組み合わせとしては、低融点樹脂/低熱収縮性高融点樹脂が、HDPE/PET、LLDPE/PET、EP/PET、HDPE/PP、LLDPE/PP、EP/PP等が挙げられる。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維には、上述した樹脂及び無機フィラーに加えて、更に親水化剤等の添加剤が含有されていても良い。該添加剤は、熱分割型複合繊維を構成する複数種の樹脂の少なくとも1種に含有されていれば良く、複数種の樹脂の全てに含有されていても良い。例えば親水化剤が含有された熱分割型複合繊維を用いた場合には、熱処理のみで高度に分割するだけでなく、永続的な親水性を有するという効果が奏される。親水化剤としては、例えば特許文献3の段落〔0016〕に記載の親水化剤を用いることができる。親水化剤の含有量は、熱分割型複合繊維の重量に対して、好ましくは0.2〜1.0重量%である。
また、本発明で用いられる熱分割型複合繊維の外周面には、親水性付与油剤が付着されていても良い。親水性付与油剤が付着されている熱分割型複合繊維を用いた場合には、永続的な親水性を有するという効果が奏される。親水性付与油剤としては、例えば特許文献3の段落〔0016〕に記載の親水性付与油剤を用いることができる。親水性付与油剤の付着量は、熱分割型複合繊維の重量に対して、好ましくは0.1〜0.5重量%である。
本発明で用いられる熱分割型複合繊維の繊度は、繊維の分割性、カード機通過性、生産性、コスト等の観点から、好ましくは1.0〜20.0dtex、更に好ましくは2.2〜8.0dtexである。ここでdtex(デシテックス)は、10,000m当りのグラム数で表した繊維の太さの単位である。
また、本発明で用いられる熱分割型複合繊維は、短繊維及び連続フィラメントの形態の何れでも用いることができ、繊維層の製造方法に応じて適宜選択することができる。例えば、カード法やエアレイド法によって繊維層を形成する場合には短繊維が適している。また紡糸口金から複合繊維を溶融紡糸してワイヤーメッシュ上に直接堆積させて繊維層を形成する場合には連続フィラメントが適している。短繊維を用いる場合は、芯鞘型複合繊維の繊維長は、カード機通過性、生産性、コスト等の観点から、好ましくは30〜80mm、更に好ましくは40mm〜60mmである。
本発明で用いられる熱融着繊維としては、本発明で用いられる熱分割型複合繊維を構成する低融点樹脂(該熱分割型複合繊維が1種類の樹脂からなる場合はその樹脂)の融点と同程度又はそれよりも低い融点を有する樹脂から構成されるものを用いることが、熱分割型複合繊維との融着の点から好ましい。そのような繊維としては、例えばポリエチレン系繊維やポリプロピレン系繊維、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリアミド系繊維が挙げられる。また、芯鞘型複合繊維やサイドバイサイド型複合繊維を用いることもできる。これらの複合繊維を用いる場合には、その低融点樹脂として、熱分割型複合繊維を構成する低融点樹脂の融点と同程度又はそれよりも低い融点を有する樹脂が用いられることが、前述した理由と同様の理由から好ましい。また、熱融着繊維として、芯鞘型複合繊維を用いることが好ましい。以下、好ましい熱融着繊維の一つである芯鞘型複合繊維について説明する。
本発明で好ましく用いられる芯鞘型複合繊維としては、不織布の強度の向上の観点から、熱の付与によって接着性を帯びる熱接着性芯鞘型複合繊維が好ましい。熱接着性芯鞘型複合繊維としては、芯部の構成樹脂の融点が、鞘部の構成樹脂の融点よりも高いものが好ましく用いられる。この場合、芯部の構成樹脂の融点と鞘部の構成樹脂の融点との差は、好ましくは10℃以上、更に好ましくは15〜145℃であることが、熱接着性芯鞘型複合繊維の熱接着性能を高め、得られる不織布の強度の向上を図る点で好ましい。
芯部の構成樹脂の融点は、好ましくは160〜270℃、更に好ましくは160〜260℃であり、鞘部の構成樹脂の融点は、好ましくは110〜150℃、更に好ましくは115〜145℃である。
また、熱分割型複合繊維として上述した低融点樹脂及び低熱収縮性高融点樹脂の2種類を含んでいるものを用いる場合、芯鞘型複合繊維における低融点樹脂(例えば鞘部の構成樹脂)の当該融点と、熱分割型複合繊維における低融点樹脂(例えば熱収縮性を有する低融点樹脂)の当該融点との差が、30℃以内、特に20℃以内であることが、両繊維間での熱融着を効果的に起こさせ得る点から好ましい。
同様の理由により、芯鞘型複合繊維における低融点樹脂(例えば鞘部の構成樹脂)が、熱分割型複合繊維における低融点樹脂(例えば熱収縮性を有する低融点樹脂)と相溶性のある樹脂からなることが好ましい。特に、芯鞘型複合繊維における低融点樹脂が、熱分割型複合繊維における低融点樹脂と同種の樹脂からなることが好ましい。例えば、熱分割型複合繊維における低融点樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、芯鞘型複合繊維における低融点樹脂もポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。これによって、両繊維における低融点樹脂同士がより確実に熱融着するようになり、第1繊維層と第2繊維層との間の接合強度が高まる。
好ましい芯鞘型複合繊維としては、例えば、1)芯部の構成樹脂がPET、鞘部の構成樹脂がHDPE、2)芯部の構成樹脂がPET、鞘部の構成樹脂がLLDPE、3)芯部の構成樹脂がPET、鞘部の構成樹脂がEP、4)芯部の構成樹脂がPP、鞘部の構成樹脂がHDPE、5)芯部の構成樹脂がPP、鞘部の構成樹脂がLLDPE、6)芯部の構成樹脂がPP、鞘部の構成樹脂がEP、等が挙げられる。前記第1繊維層においては、これら1)〜6)の1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらの中でも特に、前記1)の芯鞘型複合繊維が好ましい。
本発明で用いられる芯鞘型複合繊維は前記熱分割型複合繊維と同様に、親水化剤等の添加剤が含有されていても良く、また、外周面に親水性付与油剤が付着されていても良い。親水化剤、親水性付与油剤としては、それぞれ上述の熱分割型複合繊維に用いられるものと同様のものを用いることができ、また、これらの使用量についても熱分割型複合繊維における使用量と同様にすることができる。
本発明で用いられる芯鞘型複合繊維の繊度は、繊維の紡糸性やコスト、カード機通過性、生産性の観点から、好ましくは1.0〜10.0dtex、更に好ましくは1.7〜8.0dtexである。
また、本発明で用いられる芯鞘型複合繊維は、短繊維及び連続フィラメントの形態の何れでも用いることができ、繊維層の製造方法に応じて適宜選択することができる。芯鞘型複合繊維における繊維の形態及び繊維長の選択については、上述した熱分割型複合繊維と同様にすることができる。
本発明の不織布においては、前記芯鞘型複合繊維は、鞘部の構成樹脂のみが熱により溶融して接着成分として作用し、芯部の構成樹脂は接着成分として作用せずに該不織布中に存在するように用いられても良く、あるいは、芯部及び鞘部共にその構成樹脂が熱により溶融して接着成分として作用する、いわゆる全融タイプの芯鞘型複合繊維として用いても良いが、不織布の風合い及び不織布の嵩高性の観点から、前者が好ましい。
本発明に係る第1繊維層には、上述の如き熱融着繊維(芯鞘型複合繊維)が、該繊維層の重量に対して好ましくは80重量%以上、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%含有されている。
また、本発明に係る第2繊維層には、上述の如き熱分割型複合繊維が、該繊維層の重量に対して好ましくは80重量%以上、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%含有されている。
第1繊維層における熱融着繊維の含有量が80重量%未満、又は第2繊維層における熱分割型複合繊維の含有量が80重量%未満では、上述した、第1繊維層と第2繊維層との間の毛管力の勾配が生じ難くなり、吸液性に優れた不織布を得にくい。
また、第1繊維層における熱融着繊維の含有量が80重量%未満では、不織布の嵩が不十分になる、毛羽立ちや毛羽抜けが発生し易くなる、等の不都合が生じることによって、良好な風合いを得にくい。
また、第2繊維層における熱分割型複合繊維の含有量が80重量%未満では、毛管力が弱くなり、吸収性が低下する傾向にある。
第1繊維層及び第2繊維層それぞれには、上述した熱融着繊維又は熱分割型複合繊維に加えて、コットン、羊毛などの天然繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン、キュプラ、アセテート等の再生繊維、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維などの他の繊維を含有させてもよい。これらの繊維は、各繊維層の重量に対して5〜30重量%以下の量で含有させることが好ましい。
また、第1繊維層には、熱融着繊維に加えて、第2繊維層に含有可能な熱分割型複合繊維を含有させても良く、第2繊維層には、熱分割型複合繊維に加えて、第1繊維層に含有可能な熱融着繊維を含有させても良い。
第1繊維層における熱分割型複合繊維の含有量は、第1繊維層の重量に対して好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。また、第2繊維層における熱融着繊維の含有量は、第2繊維層の重量に対して好ましくは20重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。
本発明の不織布に係る、第1繊維層と第2繊維層とが積層された積層構造は、第1繊維層に含まれる熱融着繊維同士の交点、第2繊維層に含まれる熱分割型複合繊維(熱分割型複合繊維由来の極細繊維)同士の交点、及び第1繊維層と第2繊維層との境界近傍における熱融着繊維と熱分割型複合繊維(熱分割型複合繊維由来の極細繊維)との交点それぞれが、熱の付与等によって融着することでその形態を保っている。熱の付与手段としては、後述するように熱風を吹き付ける方法、ヒートロール間を通す方法、遠赤外線等の幅射熱による方法が挙げられる。嵩高で柔軟な不織布を得る観点から、熱風を吹き付ける方法、即ちエアースルー法によって前記積層構造を形成することが好ましい。
本発明の不織布の坪量は、液を引き込むための空隙を形成するのに必要な量の繊維の確保、生産性及びコストの観点から、好ましくは10〜80g/m2、更に好ましくは20〜40g/m2である。
また、本発明の不織布を構成する各層に関しては、液の引き込み性、毛羽抜けの抑制と肌触りとのバランス、コストの観点から、第1繊維層の坪量は、好ましくは5〜40g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2であり、第2繊維層の坪量は、好ましくは5〜40g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2である
本発明の不織布においては、風合い、クッション性、十分な嵩高さが発現する観点から、第1繊維層の見掛け厚みは、0.5mm〜2.0mmであることが好ましく、また、第2繊維層の見掛け厚みは、0.5mm〜2.0mmであることが好ましい。
前記見掛け厚みは、デジタルHFマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製、VH−8000)を用いて、不織布の厚み方向の断面の拡大写真を得、この断面の拡大写真にスケールを合わせ、該不織布の第1繊維層及び第2繊維層の厚みをそれぞれ測定することにより得られる。
本発明の不織布は、好ましくは次のようにして製造される。即ち、熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブと、熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブとを重ね合わせて積層ウエブを得、該積層ウエブに熱処理を施して、該熱分割複合繊維を各樹脂間で分割離間させると同時に、両繊維ウエブを一体化させることにより得られる。第1繊維層及び第2繊維層から構成される二層構造の不織布を例にとると、先ず、第1繊維層の前駆体である、前記熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブ、及び第2繊維層の前駆体である、前記熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブを、それぞれ製造する。第1繊維ウエブ及び第2繊維ウエブは何れも、例えばカード機を用いたカード法、紡糸ノズルから紡出された溶融状態の繊維をイジェクタで延伸しコンベアベルト上に堆積させる方法、エアレイド法等によって製造することができる。
上記のようにして得られた第1繊維ウエブと第2繊維ウエブとを重ね合わせて積層ウエブを得る。該積層ウエブにおいては、第1繊維ウエブと第2繊維ウエブとは単に重ねられているだけの状態であり、一体化していない。次いで、積層ウエブに熱処理を施して、熱分割型複合繊維を各樹脂間で分割離間させると共に第1繊維ウエブと第2繊維ウエブとを一体化させて、本発明の不織布を得る。第1繊維ウエブと第2繊維ウエブとの一体化は、主として、第1繊維ウエブと第2繊維ウエブとの境界近傍における芯鞘型複合繊維と熱分割型複合繊維との交点が、熱処理によって融着することによりなされる。
積層ウエブの熱処理としては、熱風を吹き付ける方法(エアースルー法)、加熱された一対のヒートロール間を通す方法、遠赤外線等の幅射熱を利用する方法等を利用することができ、特にエアースルー法が好ましい。エアースルー法は、スパンレース法やニードルパンチ法等の他の不織布製造方法に比べ、低坪量で柔らかい不織布を煩雑な工程無しに製造できる点で優れている。
また、本発明の不織布は、次のようにして製造することもできる。第1繊維ウエブと第2繊維ウエブの各々に熱処理を施して、両繊維ウエブそれぞれを不織布化すると共に、熱分割複合繊維を各樹脂間で分割離間させる。この熱処理は、主として第2繊維層の構成繊維として用いられる熱分割型複合繊維の分割性の向上、延いては不織布の吸収性や風合いの向上に特に有効である。その後、不織布化した両繊維ウエブを重ね合わせて一体化させて、本発明の不織布を得る。
上記の重ね合わされた両繊維ウエブの一体化は、例えば、該両繊維ウエブに所定のパターンで部分的に熱エンボス又は超音波エンボスを施すことにより行うことができる。これらのエンボスにより両繊維ウエブは部分的に接合され、一体化される。
このようにして得られる本発明の不織布は、第1繊維層と第2繊維層との間で毛管力に勾配が生じており、これにより、第1繊維層から第2繊維層に向けて厚み方向に強力な液の引き込み力を有している。このため、本発明の不織布は吸液性に優れており、例えば生理用ナプキンやおむつの如き吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、第1繊維層を肌当接面側、第2繊維層を非肌当接面側とすることで、該表面シートに液残りが生じにくくなる。
また本発明の不織布は、主として第2繊維層の全域において熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間していることにより、柔軟性に優れ、風合いが良好である。また、一般に、熱分割型複合繊維を主体とする繊維層を肌当接面側として用いると、毛羽立ちや毛羽抜け等の不都合が発生するおそれがあるが、本発明の不織布は、芯鞘型複合繊維を主体とする第1繊維層を有しているため、該第1繊維層を肌当接面側として用いることで、これらの不都合を防止することができる。
また本発明の不織布は、第2繊維層の構成繊維である熱分割型複合繊維が無機フィラーを含有しているため、無機フィラー自体の隠蔽性及び熱分割型複合繊維の分割性の向上に伴う該繊維の分割後の表面積の増大により、隠蔽性が高く、例えば吸収性物品において表面シートとして用いた場合には、吸収した経血や尿等の体液を外部から見えにくくすることができる。また、熱分割型複合繊維が無機フィラーを含有していることは、該熱分割型複合繊維の分割性の向上、延いては不織布の吸液性や風合いの向上に有効である。
また本発明の不織布を、前記積層ウエブにエアースルー方式にて熱処理を施すことにより製造した場合には、低坪量且つ嵩高で、柔軟性及び風合いに特に優れたものが得られる。
本発明の不織布は、特に吸液性、風合い及び隠蔽性が重要視される用途に好適であり、例えば、生理用ナプキンやおむつ等の衛生用品(吸収性物品)の表面シートの他、該衛生用品の吸収体、あるいは表面シートと吸収体との間に配されるセカンドシート、更にはスキンケア用品用材料、医療用材料、液の吸収を目的とした清掃シート等として好適に用いられる。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の不織布は、第1繊維層と第2繊維層とが積層された積層構造から構成される二層構造であっても良く、該積層構造の肌当接面側及び/又は非肌当接面側に1層以上の他の層が積層された、三層構造以上の多層構造であっても良い。また本発明の不織布には、該不織布を厚み方向に貫通する多数の開孔が形成されていても良い。
また、本発明の不織布は、第1繊維層を構成する繊維集合体と第2繊維層を構成する繊維集合体とが、所定のパターンで部分的に接合されていても良い。両繊維層を接合する方法としては、例えば、重ね合わされた両繊維層に、所定のパターンで部分的に熱エンボス又は超音波エンボスを施す方法が挙げられる。
また、互いに接合されていない第1繊維ウエブ及び第2繊維ウエブとを、互いに重ね合わせて積層構造ウエブを形成した後、該積層構造ウエブに所定のパターンで部分的に熱エンボス又は超音波エンボスを施し、しかる後、該積層構造ウエブに熱処理を施しても良い。この場合、第1繊維層と第2繊維層とが部分的に融着(接合)した不織布が得られる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜4及び比較例1〜3〕
下記表1に示す繊維を用いて、カード法によって第1繊維ウエブ及び第2繊維ウエブをそれぞれ形成した。両繊維ウエブの坪量は略同じであり、下記表1に記載されている不織布全体の坪量の半分に略等しい。両繊維ウエブを重ね合わせて積層ウエブを得、該積層ウエブにエアースルー法により、風速1m/sec、140℃の風で、10秒間熱処理を施し、エアースルー不織布を得た。これらを実施例1〜4及び比較例1のサンプルとした。また別途、第1繊維ウエブのみに対して上記と同様の条件でエアースルー法により熱処理を施し、得られたエアースルー不織布を比較例2のサンプルとした。また別途、前記積層ウエブに、熱処理の替わりにスパンレース法による繊維ウエブの一体化処理(非熱処理)を施し、自然乾燥して得られたスパンレース不織布を比較例3のサンプルとした。
下記表1に示す繊維の詳細は次の通りである。
<芯鞘型複合繊維A>
繊維組成(芯/鞘);PET/HDPE、繊維形態;同芯、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯部の融点251℃、鞘部の融点127℃。
<分割型複合繊維A>
繊維組成(芯/鞘);PET/EP、繊維形態;8分割型、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯部の融点251℃、鞘部の融点141℃、芯と鞘それぞれに酸化チタン(無機フィラー)を3重量%含有。
<分割型複合繊維B>
繊維組成(芯/鞘);PET/EP、繊維形態;8分割型、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯部の融点251℃、鞘部の融点135℃、無機フィラーを含有せず。
<分割型複合繊維C>
繊維組成(芯/鞘);PET/PE、繊維形態;8分割型、繊度3.3dtex、繊維長51mm、芯部の融点251℃、鞘部の融点130℃、無機フィラーを含有せず。
得られた不織布について、「第2繊維層の全域において、熱分割型複合繊維が各樹脂間で分割離間している」か否かを、前記〔分割指数の算出方法〕によって得られる分割指数ににより確認したところ、実施例1〜4及び比較例3は、何れも第2繊維層の分割指数が80以上であり、第2繊維層の全域において分割繊維が分割離間していたが、比較例1は、分割指数が80未満であり、第2繊維層において分割繊維が分割離間していない部分があった。尚、比較例2は単層構造の不織布であり、該単層(比較例2の不織布全体)について前記分割指数を算出したところ、70.5であった。
また、得られた不織布について、坪量を測定すると共に、上述した方法により各繊維層の見掛け厚みを測定した。また、得られた不織布について、以下の方法により、風合い、液吸い上げ残存量及び表層液残り量を測定した。これらの結果を下記表1に示す。
〔風合いの評価〕
不織布の表面を手で触り、毛羽立ちが感じられなかった場合を○、毛羽立ちが少し感じられた場合を△、毛羽立ちがかなり感じられた場合を×とした。毛羽立ちが感じられないものほど高評価となる。
〔液吸い上げ残存量の測定〕
市販の生理用ナプキン(花王製、商品名「ロリエさらさらクッション ウィング付き」)から、表面シートを取り除いて、ナプキン吸収体を作製する。また、測定対象の不織布をMD50mm×CD50mmに切断し、切断片を作製する。この切断片を、前記ナプキン吸収体における前記表面シートが存していた箇所(ナプキン吸収体の肌当接面上)に、その第2繊維層が該ナプキン吸収体との対向面となるように接着剤で接合固定して、測定対象の不織布を表面シートとして用いた生理用ナプキンを得る。
アクリル板の水平且つ平滑な表面上に、脱繊維馬血1.0gを滴下した後、この滴下部分に、前記ナプキンを、その不織布側(表面シート側)が該脱繊維馬血と接触するように重ね、更に、該ナプキンの上に重石(アクリル板)を重ねて、該ナプキンに0.36g/m2の荷重を掛ける。重石を重ねてから60秒後に該重石及びナプキンを取り除き、アクリル板の表面上に残存している脱繊維馬血の量を測定する。このアクリル板の表面に残存している脱繊維馬血の量は、市販のティッシュペーパーを用いて次のようにして行う。即ち、アクリル板の表面に残存している脱繊維馬血を、予め重量を測定したティッシュペーパーで吸収し、吸収後の該ティッシュペーパーの重量を測定する。脱繊維馬血吸収後のティッシュペーパーの重量から、予め測定した脱繊維馬血吸収前のティッシュペーパーの重量を差し引くことにより、アクリル板の表面に残存している脱繊維馬血の量(mg)を求める。以上の操作を3回行い、この3回の平均値を液吸い上げ残存量とする。液吸い上げ残存量は、液の引き込み性の指標となるものであり、液吸い上げ残存量が少ないほど、液の引き込み性が高く、吸液性に優れると評価できる。
〔表層液残り量の測定〕
前記〔液吸い上げ残存量の測定〕と同様にして、測定対象の不織布を表面シートとして用いた生理用ナプキンを得る。
前記ナプキンにおける前記不織布(表面シート)の表面上に、円筒状の通過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに1.1g/m2の荷重を掛ける。斯かる荷重下において、該アクリル板の通過孔から脱繊維馬血3.0gを流し込む。脱繊維馬血を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除き、次いで、ティッシュペーパーを前記不織布の表面上に重ね、更に、該ティッシュペーパーの上に重石を重ねて、該ナプキンに4g/m2の荷重を掛ける。重石を重ねてから5秒後に該重石及びティッシュペーパーを取り除き、該ティッシュペーパーの重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、前記不織布の表面上に重ねる前のティッシュペーパーの重量(W1)との差(W2−W1)を算出する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を表層液残り量(mg)とする。表層液残り量は、ナプキンに通常の装着圧(5〜10g/m2程度)が掛かった状態で、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、表層液残り量が少ないほど高評価となる。
Figure 0004926035
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4の不織布は、比較例1〜3の不織布に比べて、分割指数が高く80以上であることから、第2繊維層の全域において分割型複合繊維が熱分割されていることがわかる。このような良好な熱分割は、分割型複合繊維に含有されている無機フィラーや樹脂の縮む効果により、分割型複合繊維の界面剥離が起こりやすくなったことによるものと推察される。実施例1〜4の不織布は、このように第2繊維層の全域において分割型複合繊維が熱分割されていることにより、毛管力が大きく働き、液吸い上げ残存量及び表層液残り量が少なく、吸液性及び液残り防止性の点で優れていることがわかる。
また、実施例1〜4の不織布は、比較例3に比べると、厚みがあり、風合いが良い。また、比較例3は熱による分割ではないため地合が非常に悪いのに対し、実施例1〜4の不織布は地合が良好であった。

Claims (6)

  1. 熱融着繊維を含有する第1繊維層と、成分の異なる複数種の樹脂及び無機フィラーを含み且つ熱的作用によって各該樹脂間が分割離間可能な熱分割型複合繊維を含有する第2繊維層とが積層、一体化された不織布であって、前記第2繊維層の全域において、前記熱分割型複合繊維が各前記樹脂間で分割離間している不織布。
  2. 前記第1繊維層に含有される前記熱融着繊維が80重量%以上である請求項1記載の不織布。
  3. 前記第2繊維層に含有される前記熱分割型複合繊維が80重量%以上である請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記熱分割型複合繊維が前記無機フィラーを0.5〜10重量%含有する請求項1〜3の何れかに記載の不織布。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の不織布の製造方法であって、前記熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブと、前記熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブとを重ね合わせて積層ウエブを得、該積層ウエブに熱処理を施して、該熱分割複合繊維を各前記樹脂間で分割離間させると同時に、両繊維ウエブを一体化させる不織布の製造方法。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の不織布の製造方法であって、前記熱融着繊維を含有する第1繊維ウエブと、前記熱分割型複合繊維を含有する第2繊維ウエブとの各々に熱処理を施して、両繊維ウエブそれぞれを不織布化すると共に、該熱分割複合繊維を各前記樹脂間で分割離間させ、その後、不織布化した両繊維ウエブを重ね合わせて一体化させる不織布の製造方法。
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