JP5548041B2 - 不織布 - Google Patents

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本発明は不織布及びその製造方法に関する。本発明の不織布は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料として特に好適に用いられる。
加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、本出願人は先に、融点の異なる2成分からなる熱融着性複合繊維と、非熱融着性繊維とを含み、該熱融着性複合繊維どうしの交点が熱融着しており、該熱融着性複合繊維と該非熱融着性繊維は熱融着していない不織布であって、熱融着性複合繊維の原料として、樹脂の配向指数が特定の範囲にある熱伸長性繊維を用いたものを提案した(特許文献1参照)。
これとは別に、熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、本出願人は先に、構成繊維が圧着又は接着されている多数の圧接着部を有するとともに、圧接着部以外の部分において構成繊維どうしの交点が圧接着以外の手段によって接合しており、圧接着部が凹部となっているとともに該凹部間が凸部となっている凹凸形状を少なくとも一方の面に有する立体賦形不織布も提案した(特許文献2参照)。この不織布は、熱伸長性繊維を原料とすることで、特殊な製造方法を用いなくても、三次元的な凹凸形状を有し、また柔軟であり、低坪量でもあるという利点を有する。
熱伸長性繊維を原料とする不織布について本発明者らが更に検討を重ねたところ、熱伸長性繊維は曲げ弾性率が、通常の熱融着性繊維のそれよりも低く、そのことによって、不織布をその厚み方向に荷重を加えると嵩が減じてしまう傾向にあることが判明した。
特開2005−350835号公報 特開2005−350836号公報
したがって本発明の課題は、熱伸長性繊維を原料とする不織布に関し、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る不織布を提供することにある。
本発明は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維を原料とする第1繊維と、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維を原料とする第2繊維とを含み、カード法によって製造されたウエブにおける繊維の交点を熱融着して得られた不織布であって、
第1繊維と第2繊維との混合比率(前者/後者)が重量比で20/80〜80/20であり、
第1繊維どうしの交点、第2繊維どうしの交点、及び第1繊維と第2繊維との交点がそれぞれエアスルー方式で熱融着しており、
不織布の流れ方向に沿う繊維の配向度と幅方向に沿う繊維の配向度との比率(流れ方向/幅方向)が1.0〜1.3である不織布を提供するものである。
また本発明は、 加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維と、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維とを原料として用い、カード機によってウエブを製造し、
該ウエブにエアスルー方式で熱風を吹き付けて該熱伸長性繊維を伸長させ、かつ該熱伸長性繊維どうしの交点、該熱融着性複合繊維どうしの交点、及び該熱伸長性繊維と該熱融着性複合繊維との交点を熱融着して、該ウエブから不織布を製造する工程を含み、
カード機を用いた該ウエブの製造において、該カード機におけるドッファーの周速に対するコンデンスの周速を20〜45%に設定する不織布の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、嵩高く、厚み方向での液体の通過速度を高めることが可能な不織布が提供される。
図1(a)及び(b)は、本発明の不織布を製造する過程におけるウエブの構成繊維の変化の状態を示す模式図である。 図2は、本発明の不織布を製造するために好適に用いられる装置を示す模式図である。 図3は、図2に示す装置におけるカード機の構造を示す模式図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の不織布は、その構成繊維として、(イ)加熱によってその長さが伸びる繊維である熱伸長性繊維を原料とする第1繊維と、(ロ)融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維を原料とする第2繊維を含むことによって特徴付けられる。
前記の第1繊維及び第2繊維を含む本発明の不織布は、前記の熱伸長性繊維及び熱融着性複合繊維を含むウエブにおける繊維の交点をエアスルー方式で熱融着することで得られる。このウエブはカード法によって製造されたものである。カード法によってウエブを製造すると、一般にはウエブの流れ方向に繊維が配向しやすく、ウエブの幅方向には繊維が配向しにくい。したがって、カード法によって得られたウエブから製造された不織布においても、その構成繊維は、幅方向よりも流れ方向に配向した状態になる。その結果、一般的な不織布においては、流れ方向における繊維の配向度をHMDとし、幅方向における繊維の配向度をHCDとすると、HMD/HCD(以下、HMD/HCDのことを配向度比ともいう。)の値は1を超えた大きな値になる。これに対して、本発明の不織布においては、カードウェブを原料としているにもかかわらず、HMD/HCDの値は1を超えるものの、その値は一般的な不織布よりも小さな値になっている。具体的には本発明の不織布は、HMD/HCDの値が1.0〜1.3、特に1.0〜1.2という小さな値になっている。このことによっても、本発明の不織布は特徴付けられる。
カードウェブを原料とした本発明の不織布におけるHMD/HCDの値が上述の範囲内であることによって、本発明の不織布は、嵩高く、厚み方向での液体の通過速度が高いものとなる。この理由は、次のとおりである。本発明の不織布の原料であるカードウェブにおいては、流れ方向と幅方向の繊維の配向度の比HMD/HCDの値が、本発明の不織布とほぼ同様になっている。つまり上述した範囲内になっている。このような配向度比を有するウエブにおいては、その構成繊維である熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との絡み合いの程度が高くなっている。これに対して、配向度比が上述の範囲外になるウエブにおいては、その流れ方向又は幅方向のどちらか一方に優先的に繊維が配向しているので、熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との絡み合いの程度は、本発明における場合よりも低い。熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との絡み合いの程度が高いウエブに熱処理を施すと、例えば該ウエブの厚み方向断面でみた場合、図1(a)に示すように、熱伸長性繊維が伸長し、その伸長が、該熱伸長性繊維と絡み合っている熱融着性複合繊維に効果的に伝わる。その結果、熱伸長性繊維の伸長に起因して、該熱伸長性繊維と絡み合っている熱融着性複合繊維が、熱伸長性繊維から離れる方向に移動し、繊維間距離が大きくなる。また、図1(b)に示すように熱伸長性繊維が伸長した場合には、熱融着性複合繊維が上向きに凸になるように変形し、それによっても熱融着性複合繊維が、熱伸長性繊維から離れる方向に移動し、繊維間距離が大きくなる。これらの理由によって、本発明の不織布は、その厚み方向でみたときの繊維間距離が大きくなり、同時に繊維が、不織布の厚み方向を一層向くようになる。そのことに起因して、厚み方向での液体の通過速度が高まる。特に経血や軟便等の高粘性液の通過速度が高まる。したがって本発明の不織布は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料、特に着用者の肌に当接する表面シートや、該表面シートと吸収体との間に配される中間シートとして好適に用いられる。従来、不織布の繊維の配向度比をコントロールすること自体は当該技術分野において行われていたが、そのようなコントロールは専ら流れ方向と幅方向での引張強度や引張弾性等の機械的特性を同じにすることを目的としていた。しかし、本発明のように熱伸長性繊維及び非熱伸長性の繊維を含むカードウェブの繊維の配向度比をコントロールすることで、不織布を嵩高にするということは全く考えられていなかった。また、エアスルー方式を用いた不織布において、不織布の流れ方向に沿う繊維の配向度と幅方向に沿う繊維の配向度との比率が本発明のように小さなものは、本発明者らの知る限りなかった。
上述の嵩高の効果を一層顕著なものとする観点から、本発明の不織布における第1繊維と第2繊維との混合比率(前者/後者)は、重量比で20/80〜80/20とすることが有効であり、特に50/50〜70/30とすることが好ましい。
本発明の不織布における繊維の配向度は、王子計測機器の高精度型分子配向計MOA−6004を用いて測定することができる。測定はGAIN=1.0として行う。試験片を流れ方向(MD)に90mm、幅方向(CD)に90mmの大きさに矩形に切る。それを専用のサンプルフォルダに、MD及びCDが指定の方向を向くように挟み、測定器に取り付ける。このとき、試験片の厚みに応じて適合するサンプルフォルダを用いる。本発明におけるHMD/HCDの値は、この測定条件により得られるMOR値である。
先に述べたとおり、第1繊維は、熱伸長性繊維を原料とするものであり、該熱伸長性繊維が熱の付与によって伸長した繊維から構成されている。したがって、前記のカードウェブに含まれている熱伸長性繊維と、該カードウェブを熱処理して得られる不織布に含まれている第1繊維とは、繊維としてみた場合、異なるものである。第2繊維は、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維を原料とするものである。この熱融着性複合繊維は、熱の付与の前後において実質的な変化はない。つまり、前記のカードウェブに含まれている熱融着性複合繊維と、該カードウェブを熱処理して得られる不織布に含まれている第2繊維とは、実質的に同じものである。
嵩高になっていることを特徴の一つとする本発明の不織布は、これを例えば吸収性物品の表面シートとして用いる場合には、その厚みが0.5〜3mm、特に0.7〜3mmであることが好ましい。また、厚みがこの範囲内であることを条件として、本発明の不織布は、その坪量が10〜80g/m2、特に15〜60g/m2であることが好ましい。嵩高さの指標となる不織布の見かけ密度は、坪量を厚みで除すことで求められる。不織布の厚みは、不織布の縦断面を観察することによって測定される。まず、不織布を100mm×100mmの大きさに裁断し測定片を採取する。その測定片の上に12.5g(直径56.4mm)のプレートを載置し、49Paの荷重を加える。この状態下に不織布の縦断面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX−900)で観察し厚みを測定する。
本発明の不織布においては、第1繊維どうしの交点、第2繊維どうしの交点、及び第1繊維と第2繊維との交点がそれぞれエアスルー方式で熱融着している。この熱融着によって構成繊維の三次元ネットワークが確実に保持され、本発明の不織布は、嵩高でありながら、厚み方向へ圧縮力が加わったときに厚みが減じにくくなる。繊維の交点がエアスルー方式で熱融着しているか否かは、不織布を走査型電子顕微鏡で観察することで判断できる。
本発明の不織布は、第1繊維と第2繊維との繊維径の大小関係にも特徴の一つを有する。具体的には、第1繊維はその繊維径が、第2繊維の繊維径よりも大きいものである。これによって、不織布の表面のざらつき感が低減し、不織布の肌触りが良好になる。一般に不織布の表面のざらつき感は、その構成繊維の太さに依存し、太いほどざらつき感が顕著になる。ところで、本発明者らの検討の結果、同じ太さで比較した場合、熱伸長性繊維を原料とする第1繊維は、熱融着性複合繊維を原料とする第2繊維よりもざらつき感を知覚しにくいことが判明した。逆に言えば、同じ太さで比較した場合、第2繊維は、第1繊維よりもざらつき感が知覚されやすいものである。そこで本発明においては、第1繊維の繊維径を、第2繊維の繊維径よりも大きくしている。第1繊維がざらつき感を知覚しづらい理由は、熱伸長性繊維を原料とする第1繊維は、熱融着性繊維を原料とする第2繊維よりも弾性率が低いことによるものではないかと本発明者らは推測している。なお、本発明の不織布においては、第1繊維は、熱伸長した後の熱伸長性繊維から構成されているので、ここで言う第1繊維の繊維径とは、加熱によって伸長した後の熱伸長性繊維の繊維径のことを指す。なお、熱伸長性繊維は一般に、加熱によって伸長すると、その繊維径が小さくなる。
本発明の不織布は、上述の第1繊維及び第2繊維に加え、それら以外の繊維を含んでいてもよい。そのような繊維としては、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)や、アクリル繊維等が挙げられる。これらの繊維は、例えばコットンの場合、吸湿性など繊維が持つ特性を不織布に付与することを目的として不織布に含有される。
本発明の不織布においては、その構成繊維の交点がエアスルー方式で熱融着していることで不織布の形態が保たれているところ、この熱融着に加えて他の手段を更に採用して不織布の形態を保つようにしてもよい。そのような手段としては、熱エンボス加工が挙げられる。熱エンボス加工によれば、不織布の構成繊維が、熱を伴う圧密化によって圧密化する。この圧密化によって不織布に形成されたエンボス部は、不織布の他の部位に比較してその厚みが減じられている。エンボス部は、例えば円形や矩形等の形状をしており、不織布の全域にわたって散点状に形成することができる。あるいは、複数条の直線状又は曲線状のエンボス部を形成することもできる。複数条の直線状又は曲線状のエンボス部は、互いに交差するように形成することもできる。
次に、本発明の不織布の好適な製造方法について図2を参照しながら説明する。まず、カード機11を用いてカードウェブ12を作製する。カードウェブ12は、伸長する前の状態の熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維を含むものである。
ウエブ12は、熱エンボス装置13に送られ、そこで熱エンボス加工が施される。熱エンボス装置13は、一対のロール14,15を備えている。ロール14は周面が凹凸加工されている凹凸ロール(彫刻ロール)である。一方、ロール15は周面が平滑となっている平滑ロール(アンビルロール)である。各ロール14,15は所定温度に加熱されている。
熱エンボス加工は、ウエブ12中の熱伸長性複合繊維における第2樹脂成分の融点−20℃以上で、かつ第1樹脂成分の融点未満の温度で行われることが好ましい。また、熱エンボス加工は、ウエブ12中の熱融着性複合繊維における低融点成分の融点−20℃以上で、かつ高融点成分の融点未満の温度で行われることが好ましい。更に、熱エンボス加工は、熱伸長性複合繊維が熱伸長を発現する温度未満で行われることが好ましい。熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維の第2成分の融点が異なる場合は、融点の低い方の温度範囲とする。熱エンボス加工によってウエブ12中の熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維が接合される。これによってウエブ12に多数のエンボス部が形成されて、ヒートボンド不織布16となる。ヒートボンド不織布16のエンボス部においては、熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維が圧密化されて接合されている。エンボス部以外の部位においては、熱伸長性複合繊維及び熱融着性複合繊維はいずれも非接合のフリーな状態になっている。また熱伸長性複合繊維の伸長はまだ生じていない。
次にヒートボンド不織布16はエアスルー装置17に搬送される。エアスルー装置17においてはヒートボンド不織布16にエアスルー加工が施される。すなわちエアスルー装置17は、所定温度に加熱された熱風がヒートボンド不織布16を貫通するように構成されている。エアスルー加工は、ヒートボンド不織布16中の熱伸長性複合繊維が加熱によって伸長する温度で行われる。かつ、ヒートボンド不織布16におけるエンボス部以外の部分に存するフリーな状態の熱伸長性複合繊維どうしの交点、熱融着性複合繊維どうしの交点、及び熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維との交点が熱融着する温度で行われる。尤も、かかる温度は、熱伸長性複合繊維の第1樹脂成分及び熱融着性複合繊維の高融点成分の融点未満の温度に設定する必要がある。
このようなエアスルー加工によって、エンボス部以外の部分に存する熱伸長性複合繊維が伸長する。熱伸長性繊維はその一部がエンボス部によって固定されているので、伸長するのはエンボス部間の部分である。そして、熱伸長性繊維はその一部がエンボス部によって固定されていることによって、伸長した熱伸長性複合繊維の伸び分は、ヒートボンド不織布16の平面方向への行き場を失い、該不織布16の厚み方向へ移動する。この移動とともに、先に図1(a)及び(b)に関して述べたとおり、熱伸長性繊維と絡み合っている熱融着性複合繊維も厚み方向へ移動する。これらの作用によって嵩高さが増す。更にエアスルー加工によって、不織布16の凸部における熱伸長性複合繊維どうしの交点、熱融着性複合繊維どうしの交点、及び熱伸長性複合繊維と熱融着性複合繊維との交点がそれぞれ熱融着によって接合する。このようにして、目的とする不織布10が得られる。
以上の製造方法において、不織布10の構成繊維の配合度比を上述した範囲内とするには、例えば該不織布10の原料となるカードウェブ12の製造において以下の操作を行えばよい。
図3にはカードウェブ12を製造するためのカード機11の構造が模式的に示されている。カード機11は、その中心部にメインシリンダ20と呼ばれる円筒状の部材が配置されている。メインシリンダ20は、その軸まわりに回転可能になっている。同図においては、矢印で示す方向にメインシリンダ20は回転している。メインシリンダ20の周面には、多数の櫛歯(図示せず)が立設されている。櫛歯の延びる方向は、メインシリンダ20の半径方向と一致している。メインシリンダ20は、その周面に設けられた櫛歯の作用によって、塊状の繊維の混合体12’を一旦ほぐして(開繊して)引き揃えるために用いられる。
メインシリンダ20の上流側には、フィード21及びブレスト22と呼ばれる円筒状の部材が配置されている。フィード21及びブレスト22は、図3中、矢印で示す方向に回転している。フィード21及びブレスト22は、熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との混合体12’をメインシリンダ20へ送る働きを有している。
カード機11は、更にストリッバー23及びワーカー24を有している。ストリッバー23及びワーカー24はいずれも円筒状の部材であり、メインシリンダ20の周面に対向する位置に配置されている。また、ストリッバー23及びワーカー24は、メインシリンダ20の周面に沿って、かつストリッバー23よりもワーカー24が回転の下流側に位置するように配置されている。ストリッバー23及びワーカー24は、複数組配置されていてもよい。
ストリッバー23及びワーカー24は、その周面に多数の櫛歯(図示せず)が立設されている。櫛歯の延びる方向は、ストリッバー23及びワーカー24の半径方向と一致している。カード機11に供給された繊維の混合体12’は、メインシリンダ20上で、ワーカー24及びストリッパー23により均一に整えられる。ワーカー24は、メインシリンダ20上に位置する余分な繊維を取り除き、これをストリッパー23がメインシリンダ20に戻す働きをしている。
メインシリンダ20から出てきた繊維の混合体12’は、ドッファー25へ受け渡される。ドッファー25は円筒状の部材であり、その周面がメインシリンダ20の周面と対向するように配置されている。ドッファー25は、メインシリンダ20から出てきた繊維の混合体12’を、ドッファー25の下流に位置するコンデンス26へ受け渡すために用いられる。
ドッファー25の下流には、円筒状の部材からなるコンデンス26が配置されている。コンデンス26は、その周面がドッファー25の周面と対向するように配置されている。コンデンス26は、ドッファー25から受け取った繊維の混合体12’中の繊維の整列状態を調整しカードウェブ12に形成しながら、該カードウェブ12を後工程に受け渡すために用いられる。
本製造方法は、コンデンス26の周速に対するドッファー25の周速を、従来の操作条件よりも速くする点に特徴の一つを有する。このような条件を設定することで、ドッファー25からコンデンス26へ供給される繊維の混合体12’の量が従来よりも多くなり、コンデンス26において繊維が詰め込まれたような状態になる。その結果、幅方向に配向している繊維の割合が、流れ方向に配向している繊維と比較して相対的に高くなる。この効果を一層顕著なものとする観点から、ドッファー25の周速に対するコンデンス26の周速の比(ドッファー25の周速を100としたときのコンデンス26の周速)を45%以下、特に20〜45%に設定することが好ましい。
更に、本製造方法においては、カードウェブ12がエアスルー装置17へ導入される速度に対する、熱エンボス装置13から送り出される速度の比(エアスルー装置17へ導入されるウエブ12の速度を100としたときの、熱エンボス装置13から送り出されるウエブ12の速度)を、90〜100%、特に95〜100%に設定することも好ましい。この速度比は、従来のエアスルー不織布の製造条件よりも大きいものである。この速度比を大きくすることで、カードウェブ12に加わる張力を減じることができる。その結果、カードウェブ12中において、繊維が流れ方向に配向することを防止できる。なお、本発明において、カードウェブは、1台のカード機で作ってもかまわないし、複数のカード機を連ねて作ってもかまわない。後者の場合、重ねるカードウェブの一部が、本発明の方法で作られていなくてもかまわない。
カード機11とエアスルー装置17との間には熱エンボス装置13が設置されているところ、この熱エンボス装置13においては、平滑ロール15の加熱温度を、凹凸ロール14の加熱温度よりも低く設定することが好ましい。このような条件設定によっても、カードウェブ12中において、繊維が流れ方向に配向することを防止できる。その理由は次のとおりである。平滑ロール15は凹凸ロール14に比較して、カードウェブ12との接触面積が大きい。したがって、平滑ロール15と凹凸ロール14を同じ加熱温度に設定すると、接触面積が大きいロールである平滑ロール15のカードウェブ12が貼り付きやすくなる。カードウェブ12の平滑ロール15への貼り付きは、不織布10の製造に支障を来すので、従来は、この貼り付きが起こらないようにするために、カードウェブ12が熱エンボス装置13から送り出される速度に対する、エアスルー装置17への導入速度の比を高くして、平滑ロール15からカードウェブ12を強制的に引きはがしていた。しかし、このような操作は、カードウェブ12中の繊維が流れ方向に配向する一因となり、本発明においては避けるべきものである。そこで、本製造方法においては、平滑ロール15の加熱温度を、凹凸ロール14の加熱温度よりも低く設定することで、カードウェブ12が平滑ロール15へ貼り付くことを防止している。併せて上述のとおり、カードウェブ12がカード機11から送り出される速度に対する、エアスルー装置17への導入速度の比を小さくすることで、カードウェブに過大な張力が加わることを防止して、カードウェブ12中の繊維が流れ方向に配向しないようにしている。
上述の観点から、平滑ロール15の加熱温度は、凹凸ロール14の加熱温度に対して5〜25度低く設定することが好ましく、10〜20度低く設定することが更に好ましい。
このようにして得られた不織布10は、その凹凸形状、嵩高さ及び高強度を生かした種々の分野に適用できる。例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの使い捨て衛生物品の分野における表面シート、セカンドシート(表面シートと吸収体との間に配されるシート)、裏面シート、防漏シート、あるいは対人用清拭シート、スキンケア用シート、更には対物用のワイパーなどとして好適に用いられる。
次に、第1繊維及び第2繊維の原料である熱伸長性繊維及び熱融着性複合繊維について説明する。第1繊維の原料である熱伸長性繊維としては、例えば加熱により樹脂の結晶状態が変化して伸びる繊維が挙げられる。特に好ましく用いられる熱伸長性繊維は、第1樹脂成分と、該第1樹脂成分の融点より低い融点又は軟化点を有する第2樹脂成分を含み、第2樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している複合繊維(以下、この繊維を「熱伸長性複合繊維」という)である。熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分は該繊維の熱伸長性を発現する成分であり、第2樹脂成分は熱融着性を発現する成分である。熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度まで加熱することによって伸長する。本発明の不織布の製造にあたっては、第2樹脂成分の融点以上で、かつ第1樹脂成分の融点未満の温度で熱処理を行うことより、熱伸長性複合繊維が伸長して第1繊維が生じる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分及び第2樹脂成分は、それらの配向指数が特定の値であることが、十分な熱伸長性の発現の点から好ましい。樹脂の配向指数は用いる樹脂により自ずと異なるが、例えば第1樹脂成分としてポリプロピレン樹脂を用いる場合は、配向指数が60%以下、特に40%以下、更には25%以下であることが好ましい。また、第1樹脂成分がポリエステルの場合は、配向指数が25%以下、特に20%以下、更には10%以下であることが好ましい。一方、第2樹脂成分はその配向指数が好ましくは5%以上、特に15%以上、更には30%以上であることが好ましい。配向指数は、繊維を構成する樹脂の高分子鎖の配向の程度の指標となるものである。そして、第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数がそれぞれ前記の値であることによって、熱伸長性複合繊維は、加熱によって伸長するようになる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の配向指数は、熱伸長性複合繊維における樹脂の複屈折の値をAとし、樹脂の固有複屈折の値をBとしたとき、以下の式(1)で表される。
配向指数(%)=A/B×100 (1)
固有複屈折とは、樹脂の高分子鎖が完全に配向した状態での複屈折をいい、その値は例えば「成形加工におけるプラスチック材料」初版、付表 成形加工に用いられる代表的なプラスチック材料(プラスチック成形加工学会編、シグマ出版、1998年2月10日発行)に記載されている。
熱伸長性複合繊維における複屈折は、干渉顕微鏡に偏光板を装着し、繊維軸に対して平行方向及び垂直方向の偏光下で測定する。浸漬液としてはCargille社製の標準屈折液を使用する。浸漬液の屈折率はアッベ屈折計によって測定する。干渉顕微鏡により得られる複合繊維の干渉縞像から、以下の文献に記載の算出方法で繊維軸に対し平行及び垂直方向の屈折率を求め、両者の差である複屈折を算出する。
「芯鞘型複合繊維の高速紡糸における繊維構造形成」第408頁(繊維学会誌、Vol.51、No.9、1995年)
熱伸長性複合繊維は、第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっている。そして熱伸長性複合繊維は、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点をもたない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での熱伸長率が0.5〜20%、特に3〜20%、とりわけ5.0〜20%であることが好ましい。このような熱伸長率の繊維を原料として不織布を製造すると、該繊維の伸長によって不織布が嵩高くなる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用いて測定する。細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とする。
繊維の熱伸長率は次の方法で測定される。セイコーインスツルメンツ(株)製の熱機械的分析装置TMA/SS6000を用いる。試料としては、繊維長さが10mm以上の繊維を繊維長さ10mmあたりの合計重量が0.5mgとなるように複数本採取したものを用意し、その複数本の繊維を平行に並べた後、チャック間距離10mmで装置に装着する。測定開始温度を25℃とし、0.73mN/dtexの一定荷重を負荷した状態で5℃/minの昇温速度で昇温させる。その際の繊維の伸び量を測定し、第2樹脂成分の融点より10℃高い温度、融点をもたない樹脂の場合は軟化点より10℃高い温度での伸び量を読み取る。その伸び量をXmmとすると、熱伸長率は、次の式で表される。
(X/10)×100(%)
熱伸長率を前記の温度で測定する理由は、後述するように、繊維の交点を熱融着させて不織布を製造する場合には、第2樹脂成分の融点又は軟化点以上で、かつそれらより10℃程度高い温度までの範囲で製造するのが通常だからである。
熱伸長性複合繊維が前記のような熱伸長率を達成するためには、例えば融点の異なる第1樹脂成分及び第2樹脂成分を用い、引き取り速度2000m/分未満の低速で溶融紡糸して複合繊維を得た後に、該複合繊維に対して加熱処理及び/又は捲縮処理を行えばよい。これに加えて、延伸処理を行わないようにすればよい。
捲縮処理としては、機械捲縮を行うことが簡便である。機械捲縮には二次元状及び三次元状の態様がある。また、偏芯タイプの芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維に見られる三次元の顕在捲縮などがある。本発明においてはいずれの態様の捲縮を行ってもよい。捲縮処理には加熱を伴う場合がある。また、捲縮処理後に加熱処理を行ってもよい。更に、捲縮処理後の加熱処理に加え、捲縮処理前に別途加熱処理を行ってもよい。あるいは、捲縮処理を行わずに別途加熱処理を行ってもよい。
捲縮処理に際しては繊維が多少引き伸ばされる場合があるが、そのような引き延ばしは本発明にいう延伸処理には含まれない。本発明にいう延伸処理とは、未延伸糸に対して通常行われる延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作をいう。
前記の加熱処理の条件は、複合繊維を構成する第1及び第2樹脂成分の種類に応じて適切な条件が選択される。加熱温度は、第2樹脂成分の融点より低い温度である。例えば熱伸長性複合繊維が芯鞘型であり、芯成分がポリプロピレン又はポリエステルで鞘成分が高密度ポリエチレンである場合、加熱温度は50〜120℃、特に70〜115℃であることが好ましく、加熱時間は10〜1800秒、特に20〜1200秒であることが好ましい。加熱方法としては、熱風の吹き付け、赤外線の照射などが挙げられる。この加熱処理は前述のとおり、捲縮処理の後に行うことができる。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の種類に特に制限はなく、繊維形成能のある樹脂であればよい。特に、両樹脂成分の融点差、又は第1樹脂成分の融点と第2樹脂成分の軟化点との差が20℃以上、特に25℃以上であることが、熱融着による不織布10の製造を容易に行い得る点から好ましい。熱伸長性複合繊維が芯鞘型である場合には、鞘成分の融点又は軟化点よりも芯成分の融点の方が高い樹脂を用いる。特にポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステルを芯とし、これらよりも融点の低い樹脂を鞘とする芯鞘型の熱伸長性複合繊維を用いることが好ましい。第1樹脂成分と第2樹脂成分との好ましい組み合わせとしては、第1樹脂成分をPPとした場合の第2樹脂成分としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられる。また、第1樹脂成分としてPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂を用いた場合は、第2樹脂成分として、前述した第2樹脂成分の例に加え、PP、共重合ポリエステルなどが挙げられる。更に、第1樹脂成分としては、ポリアミド系重合体や前述した第1樹脂成分の2種以上の共重合体も挙げられ、また第2樹脂成分としては前述した第2樹脂成分の2種以上の共重合体なども挙げられる。これらは適宜組み合わされる。
熱伸長性複合繊維における第1樹脂成分と第2樹脂成分との比率(重量比)は10:90〜90:10%、特に20:80〜80:20%、とりわけ50:50〜70:30%であることが好ましい。この範囲内であれば繊維の力学特性が十分となり、実用に耐え得る繊維となる。また融着成分の量が十分となり、繊維どうしの融着が十分となる。また、伸長性を損なうことなく、カード機により製造される不織布の原料として用いた場合のカード通過性を良好にする観点から、芯となる第1樹脂成分の比率が大きい方が好ましい。
熱伸長性繊維としては、上述の熱伸長性複合繊維のほかに、特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報等に記載の繊維を用いることもできる。
熱伸長性繊維とともに原料として用いられる非熱伸長性の熱融着性複合繊維は、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなるものである。この熱融着性複合繊維は、熱を付与してもその長さは実質的に伸びない。熱融着性複合繊維は、高融点成分と低融点成分とを含み、低融点成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して存在している二成分系の複合繊維である。複合繊維の形態には芯鞘型やサイド・バイ・サイド型など種々の形態があり、いずれの形態でも用いることができる。熱融着性複合繊維は原料の段階で(つまり、不織布に用いられる前の段階で)、延伸処理が施されている。ここで言う延伸処理とは、先に述べたとおり延伸倍率2〜6倍程度の延伸操作のことである。
熱融着性複合繊維の融着温度は、熱伸長性繊維の融着温度に近いことが好ましい。それによって、熱伸長性繊維どうし、熱融着性複合繊維どうし、及び熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維とを首尾良く融着することができる。この観点から、熱融着性複合繊維の融着温度をT1とし、熱伸長性繊維の融着温度をT2とした場合、T1とT2の差が20℃以内であることが好ましい。なお、繊維の融着温度を厳密に測定することは容易でないので、融着に関与する樹脂(すなわち低融点の樹脂)の融点をもって融着温度に代えることとする。融点の測定法は前述の方法を用いる。
熱伸長性繊維と熱融着性複合繊維との融着を首尾良く行う観点からは、熱融着性繊維における低融点成分と、熱伸長性複合繊維における第2樹脂成分とが同種の樹脂であるか、又は異種の場合には相溶性を有することが好ましい。
熱融着性複合繊維においては、高融点成分/低融点成分の重量比が6/4〜2/8、特に5/5〜3/7であることが好ましい。つまり低融点成分を多めに含むことが好ましい。これによって、エアスルー方式による熱融着が確実に起こるようになる。この重量比は、熱融着性複合繊維の断面観察によって測定される高融点成分及び低融点成分それぞれの断面積と、高融点成分及び低融点成分それぞれの密度とから算出することができる。エアスルー方式による熱融着を確実に起こすための別の手段として、熱融着性複合繊維における低融点成分のメルトインデックスが10〜40g/10min、特に10〜25g/10minであるものを用いることが好ましい。メルトインデックスは、JIS K7210に準じ、190℃、荷重2.16kgの条件下に測定される。
上述した熱伸長性複合繊維との関係で好適に用いられる熱融着性複合繊維の樹脂としては、高融点成分としてポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートを用い、低融点成分として高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエステルを用いる組み合わせ等が挙げられる。
熱伸長性繊維及び熱融着性複合繊維はいずれも、カード機の通過性を良好にする観点から、その繊維長が、30〜70mm程度であることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の製造方法においては、カードウェブ12に熱エンボス加工を施してヒートボンド不織布16を製造し、このヒートボンド不織布16に対してエアスルー加工を施したが、これに代えて、熱エンボス加工を行わず、カードウェブ12に直接にエアスルー加工を施してもよい。
また本発明の不織布は、第1繊維及び第2繊維を含む単層構造のものに限られず、第1繊維及び第2繊維を含む繊維層と、他の繊維を含む1又は2以上の他の繊維層との積層構造からなる多層構造の不織布であってもよい。更に、第1繊維及び第2繊維を含む単層構造の不織布に、他の不織布を積層一体化した複合不織布であっても良い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図2及び図3に示す装置を用い、単層の不織布を製造した。図2に示す装置におけるエンボスロール14は、線の幅が0.5mmである菱形格子状の凸部を有するものであった。この不織布におけるエンボス面積率は14%であった。第1繊維の原料である熱伸長性繊維及び第2繊維の原料である熱融着性複合繊維として表1に示すものを用いた。熱伸長性複合繊維は、引き取り速度1300m/分で溶融紡糸された後に親水性油剤の水溶液に浸漬し油剤を付着させ、次いで機械捲縮を施した後、加熱処理を行うことで繊維を乾燥させ、切断して短繊維(繊維長51mm)としたものである。なお、該繊維の製造時に延伸処理は行っていない(以下の実施例及び比較例においても同様)。なお、ここでいう延伸処理とは、前述のとおり、溶融紡糸後に得られる未延伸糸に対して通常行われる2〜6倍程度の延伸操作を意味する。
これらの繊維を原料として、表2に示す条件で不織布を製造した。得られた不織布においては、第1繊維どうしの交点、第2繊維どうしの交点、及び第1繊維と第2繊維との交点がそれぞれエアスルー方式で熱融着していた。
〔比較例1ないし3〕
表1に示す繊維を用い、かつ表2に示す条件を用いた。これら以外は実施例1と同様にして不織布を得た。
Figure 0005548041
Figure 0005548041
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた不織布について、繊維の配向度比、繊維径、坪量、厚みを前述の方法で測定した。また以下の方法で不織布の通液時間を測定した。これらの結果を以下の表3に示す。
〔通液時間の測定〕
内径35mmの2本の管を縦につなぎ、そのつなぎ目に不織布を挟む。このようにして組み立てた装置を、挟まれた不織布が水平になるように載置する。上側の管の上端部から不織布の上面に向けて試験液10ccを6秒間で滴下し、滴下し終わってから、試験液が不織布表面から不織布の中に入るまでの時間を、目視で確認しながら測定した。試験液はグリセリンとイオン交換水を1/9の重量比で均一に混ぜて作った。
Figure 0005548041
表3に示す結果から明らかなように、実施例の不織布は、比較例の不織布に比べて見かけ密度が低く嵩高であり、かつ通液時間が短いことが判る。したがって、この実施例の不織布を、着用者の肌に当接する表面シートや表面シートと吸収体との間に配される中間シートとして用いた吸収性物品は、着用者が吸収速度の速さを実感できる優れた物になる。
10 不織布
11 カード機
12 カードウェブ
20 メインシリンダ
21 フィード
22 ブレスト
23 ストリッバー
24 ワーカー
25 ドッファー
26 コンデンス

Claims (4)

  1. 加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維が熱伸長してなる第1繊維と、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維からなる第2繊維とを含み、カード法によって製造されたウエブを熱エンボス加工した後に、繊維の交点を熱融着して得られた不織布であって、
    第1繊維と第2繊維との混合比率(前者/後者)が重量比で20/80〜80/20であり、
    第1繊維どうしの交点、第2繊維どうしの交点、及び第1繊維と第2繊維との交点がそれぞれエアスルー方式で熱融着しており、
    不織布の流れ方向に沿う繊維の配向度と幅方向に沿う繊維の配向度との比率(流れ方向/幅方向)が1.0〜1.3である不織布。
  2. 請求項1記載の不織布の製造方法であって、
    加熱によってその長さが伸びる熱伸長性繊維と、融点の異なる2成分を含み、かつ延伸処理されてなり、加熱によってその長さが実質的に伸びない非熱伸長性の熱融着性複合繊維とを原料として用い、カード機によってウエブを製造し、
    該ウエブを熱エンボス加工してヒートエンボス不織布となし、
    ヒートエンボス不織布にエアスルー方式で熱風を吹き付けて該熱伸長性繊維を伸長させ、かつ該熱伸長性繊維どうしの交点、該熱融着性複合繊維どうしの交点、及び該熱伸長性繊維と該熱融着性複合繊維との交点を熱融着して、該ヒートエンボス不織布から不織布を製造する工程を含み、
    カード機を用いた該ウエブの製造において、該カード機におけるドッファーの周速に対するコンデンスの周速を20〜45%に設定する不織布の製造方法。
  3. カード機と、エアスルー方式で熱風を吹き付けるエアスルー装置との間に、凹凸ロールと平滑ロールとを備えた熱エンボス装置が配置された製造装置を用い、
    前記ウエブのエアスルー装置への導入速度に対する、熱エンボス装置から送り出される前記ウエブの速度の比を90〜100%に設定する請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記熱エンボス装置における平滑ロールの加熱温度を、凹凸ロールの加熱温度よりよりも低く設定する請求項3に記載の製造方法。
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