JP2022100819A - 吸収性物品用伸縮性シート及びその製造方法 - Google Patents

吸収性物品用伸縮性シート及びその製造方法 Download PDF

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Yugo Miyazawa
玲子 大西
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優輔 浦山
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Abstract

【課題】良好な外観の維持と高い引張強度とを両立でき、高伸長率化を可能にする吸収性物品用伸縮性シートを提供する。【解決手段】弾性繊維13が、エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12に挟持され、スパンボンド不織布12と同等以上の強さでエアスルー不織布11に融着している、吸収性物品用伸縮性シート10及びその製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収性物品用伸縮性シート及びその製造方法に関する。
おむつ等の吸収性物品においては、肌との密着性を高めるために、伸縮可能な伸縮性シートが用いられている。この伸縮性シートについては、これまでに種々の技術が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、伸縮によって孔が開閉し、伸長状態で弾性繊維及び非弾性繊維を所定の間隔で配置とする伸縮シートが記載されている。この伸縮シートは、伸縮特性に高く、実用上必要な強度を有する。
また、特許文献2には、弾性フィラメントと不織布との間の接合強度や、弾性フィラメントと不織布を構成する繊維との間の平均接合割合を規定した伸縮シートが記載されている。この伸縮シートは、伸縮特性に優れ、且つ伸縮シートを構成する各層間の接合強度が高く、風合いが良く、実用上要求される強度を有する。
このような伸縮性シートは、特許文献1及び2に記載のように、溶融状態にある弾性繊維を一対の不織布にて挟持して押圧し、その後、歯溝ロールを用いて歯溝延伸加工を施して得られる。歯溝延伸加工により不織布を部分延伸して伸長性を付与し、弾性繊維の伸縮性を発現し得る伸縮性シートとして製造することができる。
特開2015-113547号公報 特開2009-61743号公報
上記の伸縮性シートには、弾性繊維に融着させる不織布について、その使用目的に応じて種々のものが採用されている。この不織布に関し、例えば、エアスルー不織布に比べ、スパンボンド不織布は一般に薄い不織布で、多くの繊維が弾性繊維と接触するため弾性繊維との融着性が高く、伸縮性シートの伸長時における剥離を抑えて引張強度を高めやすい。しかし、融着性が高い分、歯溝延伸加工による不織布に対する延伸を強めすぎると、強固な融着部の周囲でスパンボンド不織布は強く引っ張られ、伸縮シートに穴開きが発生しやすくなる。この穴開きは、スパンボンド不織布と弾性繊維との融着強度が大きいほど生じやすい。この穴開きによる外観の悪化を防止する観点から、歯溝加工による不織布の延伸の程度が制約され、該不織布を含む伸縮性シートの高伸長率化が難しかった。
一方、エアスルー不織布は、前述の通りスパンボンド不織布よりも弾性繊維との融着性が低く、歯溝延伸による穴開きが生じ難い。そのため、伸縮性シートにおける外観を良好にすることができる。しかし、もともと強度の弱いエアスルー不織布の場合は、スパンボンド不織布を用いた場合のように引張強度を高めることができない。
また、歯溝延伸加工時及び伸縮性シートの使用場面である伸長時において、伸縮性シートを構成する2枚の不織布のうち、一方の不織布に穴開きが生じると、もう一方の不織布への穴開きを誘発することが多い。そのため、エアスルー不織布とスパンボンド不織布とで弾性繊維を挟んだ形態の伸縮性シートであっても、スパンボンド不織布に発生した穴開きが、エアスルー不織布の穴開きの発生を誘発し、伸縮性シートの外観が悪化することがあった。
このように、スパンボンド不織布及びエアスルー不織布のいずれを用いても、従来は良好な外観と高い引張強度とを両立することが困難であり、伸縮性シートの高伸長率化の観点から改善の余地があった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、良好な外観の維持と高い引張強度とを両立でき、高伸長率化を可能にする吸収性物品用伸縮性シートに関する。
また、本発明は、前記吸収性物品用伸縮性シートを好適に製造できる、吸収性物品用伸縮性シートの製造方法に関する。
本発明は、弾性繊維が、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布に挟持され、該スパンボンド不織布と同等以上の強さで該エアスルー不織布に融着している、吸収性物品用伸縮性シートを提供する。
また、本発明は、溶融状態の弾性繊維をエアスルー不織布と接触させて、第1積層体を形成する工程と、前記第1積層体を第1ニップロールで押圧する工程と、前記第1積層体において前記弾性繊維が存在する面をスパンボンド不織布と接触させて、第2積層体を形成する工程と、前記第2積層体に対して弾性発現処理を施す工程とを有する、吸収性物品用伸縮性シートの製造方法を提供する。
本発明の吸収性物品用伸縮性シートは、良好な外観の維持と高い引張強度とを両立でき、高伸長率化が可能となる。
また、本発明の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法によれば、前記吸収性物品用伸縮性シートを好適に製造できる。
本発明の吸収性物品用伸縮性シートの一実施形態を示す一部切欠斜視図である。 本発明に用いられる芯鞘繊維の断面の一例を示す断面図である。 本発明の吸収性物品用伸縮性シートの製造に用いられる製造装置の一例を示す概略正面図である。
本発明の吸収性物品用伸縮性シート(以下、単に「伸縮性シート」ともいう。)及びこれを有する吸収性物品について、その好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
(伸縮性シート)
図1に示すように、伸縮性シート10は、エアスルー不織布11とスパンボンド不織布12と、これらの間に挟まれた弾性繊維13とを有する。弾性繊維13がエアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12の両者と融着し、一体となって伸縮性シート10を形成している。
ここで「エアスルー不織布」とは、熱融着性繊維を含むウェブに熱風を貫通方式で吹き付けて、繊維同士の交点を融着させることで得られる不織布である。即ち、エアスルー法によって構成繊維同士の交点に融着点を形成して一体化させた不織布である。主に繊維長100mm未満の短繊維が用いられる。このようなエアスルー不織布は、厚みが厚く、強度が比較的弱いという特徴を有する。
また、「スパンボンド不織布」とは、紡糸ノズルから吐出された溶融状態にある樹脂を冷却延伸しながら分散、捕集し、エンボス処理による融着部(エンボス部)を形成して一体化させた不織布である。即ち、紡糸直結型のスパンボンド法により形成された不織布である。主に繊維長100mm以上の長繊維が用いられる。このようなスパンボンド不織布は、厚みが薄く、エンボスによる融着のため強度が高いという特徴を有する。
伸縮性シート10は、少なくとも一方向において伸縮性を有する。本実施形態においては、複数の弾性繊維13がX方向に延出し、伸縮性シート10の伸縮方向を付与している。また、複数の弾性繊維13は、互いに交差することなくY方向に離間して平行に配されている。このように伸縮性シート10は、伸縮方向Xと、該伸縮方向Xに垂直な直交方向Yとを有することが好ましい。伸縮方向X及び直交方向Yの用語は、伸縮性シート10の構成部材に関しても同様に用いる。
本発明の伸縮性シート10においては、下記に示すように、弾性繊維13はスパンボンド不織布12と同等以上の強さで、エアスルー不織布11に融着している。即ち、弾性繊維13とエアスルー不織布11との融着強度は、弾性繊維13とスパンボンド不織布12との融着強度以上である。言い換えると、伸縮性シート10の引張強度や剥離強度を損なわない範囲で、弾性繊維13に対するスパンボンド不織布12の融着の程度を、その高融着性の性質から通常生じ得る程度よりも低く制御している。同時に、エアスルー不織布11の弾性繊維13への融着を相対的に強めている。これにより、伸縮性シート10に高い倍率で歯溝延伸加工を施していても、スパンボンド不織布12の穴開きを抑制できる。
また、エアスルー不織布はスパンボンド不織布と比較して、伸長しても穴開きは一般的に発生しにくい。そのため、本発明のように弾性繊維13がエアスルー不織布11と相対的に強く融着していても、高い倍率の歯溝延伸加工が施されてもエアスルー不織布11に穴開きが発生することを抑制できている。同時に、伸縮性シート10の伸長時における引張強度を高めることができ、高い伸長倍率を可能にしている。
このように本発明の伸縮性シート10は、異なる性質の不織布間で上記の特定の融着強度を備えることで、全体として穴開きを抑制でき、良好な外観を維持することができる。同時に、高い引張強度と高い伸長倍率を備えたものとすることができる。
(融着強度比)
弾性繊維13がエアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とのどちらに強く融着しているかは、以下のいずれか1つの方法で算出される融着強度比に基づいて定められる。
(融着強度比の算出方法1)
融着強度比は、伸縮性シート10の剥離試験を行うことで、算出することができる。即ち、下記の剥離試験による剥離の後であっても、エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12それぞれに弾性繊維13が融着し続けて残っている量によって、弾性繊維13の各不織布との融着強度を算出する。具体的には、次の通りである。
伸縮方向Xに150mm、直交方向Yに25mmの大きさの矩形となるように、測定対象の伸縮性シート10を切り出し、測定片とする。この大きさで切り出すことができない場合は、伸縮方向Xに150mm、直交方向Yに25mmの大きさに可能な限り寸法を近づけ、ストロークとなる伸縮方向Xが可能な限り長くなるように切り出し、測定片とする。
伸縮方向Xの任意の位置で、直交方向Yに横切るように、一本の直線を測定片に描く。伸縮方向Xの一方の端について、エアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とを伸縮方向Xに20mmだけ引き剥がし、掴み代を作成する。測定片を引張試験機(商品名:AG-50NIS、株式会社島津製作所製)に装着する。引張速度を300mm/分、ストロークを160mmとし、エアスルー不織布11側の掴み代とスパンボンド不織布12側の掴み代とを引っ張ることで、剥離試験を行う。
このようにしてエアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とを剥離させると、弾性繊維13はエアスルー不織布11側又はスパンボンド不織布12側のいずれかに残る。予め描いておいた直線上に残った弾性繊維13の本数を、エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12それぞれにおいて数える。エアスルー不織布11側に残った弾性繊維13の本数をAT、スパンボンド不織布12側に残った弾性繊維13の本数をSBとし、ATをAT及びSBの合計で除することで融着強度比(AT/(AT+SB))を算出する。
以上の測定を4回行い、算出された値の平均値を、融着強度比とする。
なお、測定対象の伸縮性シート10が吸収性物品等の製品に接合されて組み込まれている場合、製品にコールドスプレー(例えば、商品名:battlewinコールドスプレー、ニチバン株式会社製)を十分に吹きかけ、20℃で放置して接着剤を固化し、その後、伸縮性シート10を製品から丁寧に剥がす。以下、他の測定方法においても、同様にして伸縮性シート10を取り出す。ヒートシールや超音波シール等で伸縮性シート10が他部材と固定されていて取り出せない場合には、剥がさずに他部材と固定された状態で測定に用いる。即ち、他部材と直接接合している伸縮性シート10が測定対象となる。
(融着強度比の算出方法2)
測定対象の伸縮性シート10の形態によっては、エアスルー不織布11側又はスパンボンド不織布12側に残った弾性繊維13の本数を数えることが困難な場合がある。かかる場合は代わりに、エアスルー不織布11側に付着している弾性繊維13の質量をAT、スパンボンド不織布12側に付着している弾性繊維13の質量をSBとして、融着強度比(AT/(AT+SB))を算出する。具体的には、次の通りである。
上記の剥離試験後の試験片において、剥離されなかった部分及び掴み代を切除し、剥離させた部分であるエアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とを取り出す。弾性繊維13が残っている状態で、エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12の質量をそれぞれ測定する。
エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12に残っている弾性繊維13を、有機溶媒で完全に溶解させ、弾性繊維13が付着していない状態のエアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12とし、質量をそれぞれ測定する。弾性繊維13の溶解の前後におけるエアスルー不織布11の質量差をAT、弾性繊維13の溶解の前後におけるスパンボンド不織布12の質量差をSBとして、融着強度比(AT/(AT+SB))を算出する。
(融着強度比の算出方法3)
また、融着の程度によっては、剥離試験でエアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とが剥離せず、スパンボンド不織布12が破断する場合がある。かかる場合、弾性繊維13はエアスルー不織布11と特に強く融着していると判断できるため、融着強度比の値は1とする。同様に、剥離試験でエアスルー不織布11が破断する場合、弾性繊維13はスパンボンド不織布12と特に強く融着していると判断できるため、融着強度比の値は0とする。
上記(融着強度比の算出方法1)~(融着強度比の算出方法3)のいずれか1つに記載の方法で算出される融着強度比に基づいて定められた値が0.5以上であれば、弾性繊維13がスパンボンド不織布12と同等以上の強さでエアスルー不織布11に融着していると判断できる。
ATがSBよりも大きいとき、融着強度比が0.5よりも大きい値となり、弾性繊維13がスパンボンド不織布12よりもエアスルー不織布11と強く融着していることを意味する。反対に、ATがSBよりも小さいとき、融着強度比が0.5よりも小さい値となり、弾性繊維13がエアスルー不織布11よりもスパンボンド不織布12と強く融着していることを意味する。また、ATとSBとが同じであるとき、融着強度比の値は0.5となる。
本発明の伸縮性シート10は、上記式で表される融着強度比(AT/(AT+SB))が0.5以上である。融着強度比が0.5以上であることで、前述の穴開き抑制の作用を発現する。
より良好な外観を維持する観点から、融着強度比は0.8以上が好ましく、0.85以上がより好ましい。
また、融着強度比の上限値は1である。外観を良くする観点から、融着強度比は1が好ましい。
なお、融着強度比は、弾性繊維13及びエアスルー不織布11の融着強度と、弾性繊維13及びスパンボンド不織布12の融着強度との、相対的な違いによる。融着強度比「1」は、スパンボンド不織布12が弾性繊維13と融着していないことを意味するものではない。例えば、スパンボンド不織布12と弾性繊維13とがある程度しっかりと融着していても、エアスルー不織布11と弾性繊維13とが圧倒的に強く接合していて、上記の剥離試験の際、全ての弾性繊維13がエアスルー不織布11側に残る場合、融着強度比の値は1になる。
(剥離強度)
本発明の伸縮性シート10は、上記の特定の融着強度を備えるものであるため、剥離自体が生じ難くされている。この剥離の生じ難さは、上記の融着強度比の算出に用いた剥離試験における剥離時点の荷重によって示され、これを剥離強度という。前記剥離時点とは、伸縮シート10からエアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12の少なくとも一方が剥離し始めてから、ストローク(160mm)分だけ両不織布を剥離させるまでをいう。剥離強度を測定するには、上記の剥離試験で検出される荷重の極大値の内、最も大きい値から5番目に大きい値まで(上位5つの値)を平均した値を算出する。4回の測定で4つの値を得ることができ、この4つの値の平均値を剥離強度とする。剥離試験でエアスルー不織布11又はスパンボンド不織布12が破断する場合は、上位5つの荷重の極大値を平均した値の代わりに、破断するときの荷重の値を用いて剥離強度を同様に算出する。
このようにして測定される伸縮性シート10の剥離強度は、10cN/25mm以上が好ましく、40cN/25mm以上がより好ましく、80cN/25mm以上が更に好ましい。エアスルー不織布11とスパンボンド不織布12とが剥離する際の剥離強度を一定以上に保つことで、伸縮性シート10が剥離しにくくなり、良好な外観を維持しやすくなる。
また、穴開き低減の観点から、前記剥離強度は300cN/25mm以下が好ましく、250cN/25mm以下がより好ましく、200cN/25mm以下が更に好ましい。
次に、伸縮性シート10の構成部材の詳細を説明する。
以下、エアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12を纏めて、単に「不織布」ともいうことがある。
不織布の構成繊維については、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。例えば、親水性の繊維でも撥水性の繊維でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、機械捲縮繊維、立体捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エアスルー不織布11においては、構成繊維が構造上の伸び代を備えて穴開きをより抑制しやすくする観点から、構成繊維として立体捲縮繊維を有することが好ましい。
上記立体捲縮繊維とは、偏芯度が15%以上の芯鞘繊維をいう。偏芯度とは、芯成分21と鞘成分22とからなる芯鞘繊維20において、芯成分21の中心点21Cが芯鞘繊維20の中心点20Cからずれている程度を表す指標である。具体的には、芯鞘繊維の断面において、芯鞘繊維20の半径Rと、芯成分21の中心点21Cから芯鞘繊維20の中心点20Cまでの距離Lとを用いて、以下の式により表す数値である(図2参照)。
偏芯度=L/R×100
立体捲縮繊維としては、偏芯度が15%以上のものが好ましく、30%以上のものがより好ましく、50%以上のものが更に好ましい。偏芯度が大きい繊維を有することで、エアスルー不織布11は構造上の伸び代の大きい繊維を有することとなり、伸縮シート10の穴開きをより抑制しやすくする。なお、偏芯度の上限としては、80%が実際的である。
(偏芯度の測定方法)
図1に示す伸縮性シート10では直交方向Yに沿って、測定対象の伸縮性シート10を切断し、測定片とする。走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM、商品名:JCM-600、日本電子株式会社製)を用いて、観察倍率1500倍で、測定片の切断面を観察する。芯鞘繊維20の断面が撮像できるように観察結果を撮像し、芯鞘繊維20の半径Rと、芯成分21の中心点21Cから芯鞘繊維20の中心点20Cまでの距離Lとを測定し、上記の式に基づいて偏芯度を算出する。
5本の任意の芯鞘繊維について同様に測定を行い、算出された値の平均値を、芯鞘繊維の偏芯度とする。
本発明に用いられるエアスルー不織布11においては、立体捲縮繊維を一定の範囲内の含有割合で有することで、不織布の穴開きをより効果的に抑制し、良好な外観をより一層維持できる伸縮性シート10とすることができる。かかる観点から、エアスルー不織布11の質量に対し、立体捲縮繊維の含有割合は30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。また、立体捲縮繊維の含有割合は70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
本発明に用いられるエアスルー不織布11は、繊維伸度の大きな繊維を有することで、伸長しても穴開きが発生しにくく、良好な外観をより維持しやすい伸縮性シート10とすることができる。具体的には、構成繊維として、繊維伸度が170%以上の繊維を有することが好ましく、400%以上の繊維を有することがより好ましく、500%以上の繊維を有することが更に好ましい。また、扱いやすさの観点から、不織布は構成繊維として、繊維伸度が1000%以下の繊維を有することが好ましく、800%以下の繊維を有することがより好ましく、600%以下の繊維を有することが更に好ましい。
なお、上記の繊維伸度の数値範囲は、前述の立体捲縮繊維にも当てはまる。
(繊維伸度の測定方法)
繊維伸度はJIS L-1015に準拠して測定することができる。具体的には次の通りである。
不織布から測定対象の繊維を取り出し、引張試験機(商品名:AG-50NIS、株式会社島津製作所製)に装着する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%とする。掴み間隔を20mm、引張速度を20mm/分として繊維を伸長させ、繊維を破断させる。破断までに要した移動距離を掴み間隔(20mm)で除した値の百分率を、繊維伸度とする。掴み間隔を20mmにできない場合(測定対象の繊維の長さが20mmに満たない場合)、掴み間隔を10mm又は5mmに設定し、同様に繊維伸度を測定する。
以上の測定を10回行い、算出された値の平均値を、繊維伸度とする。
なお、測定対象の繊維が立体捲縮繊維である場合、張った状態で引張試験機に装着し、繊維伸度を測定する。即ち、立体捲縮繊維の繊維伸度は、構造上の伸び代を含まない概念である。
上記のエアスルー不織布において述べた好ましい要件等は、スパンボンド不織布においても可能な範囲で満たしていることが好ましい。
不織布の構成繊維に用いられる樹脂の成分の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタラートをエアスルー不織布11の構成繊維に用いることが好ましい。ポリエチレンテレフタラートを用いることで、伸縮性シート10は伸長しても元の長さに戻りにくくなる。即ち、歯溝延伸加工等の延伸倍率を低くしても、所望の加工を行うことができるようになる。
(弾性繊維)
本発明に用いられる弾性繊維13は、少なくとも伸縮方向Xに伸縮性を有し、不織布と一体となって伸縮する部材である。
弾性繊維13の断面は、扁平よりも、円形であることが好ましい。円形に近い断面であることで、スパンボンド不織布12よりも融着しにくいエアスルー不織布11に、弾性繊維13が適度に融着するようになる。その結果、伸縮性シート10が剥離しにくくなり、良好な外観を維持しやすくなる。
弾性繊維13の断面が円形に近い程度は、後述の方法で測定される、アスペクト比を用いて判断することができる。アスペクト比は、弾性繊維13の断面における、短軸の長さに対する長軸の長さの比であり、アスペクト比の値が1に近いほど弾性繊維13の断面は円形に近いと判断できる。一方、アスペクト比の値が大きいほど、弾性繊維13の断面は扁平であると判断できる。
弾性繊維13をスパンボンド不織布12に穴開きしないよう融着させる観点から、弾性繊維13の断面のアスペクト比は、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。また、弾性繊維13をエアスルー不織布11に融着させる観点から、弾性繊維13の断面のアスペクト比は、1以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましい。
(アスペクト比の測定方法)
弾性繊維13の断面が現れる方向(図1に示す伸縮性シート10では直交方向Y)に沿って、測定対象の伸縮性シート10を切断し、測定片とする。前述の走査型電子顕微鏡を用いて、観察倍率200倍で、測定片の切断面を観察する。観察結果を撮像し、弾性繊維13の断面における短軸の長さ及び長軸の長さを測定し、アスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)を算出する。
5本の任意の弾性繊維13について同様に測定を行い、算出された値の平均値を、弾性繊維13の断面のアスペクト比とする。
次に、伸縮性シート10の製造方法について説明する。
本発明の伸縮性シート10の製造方法は、溶融状態の弾性繊維13をエアスルー不織布11と接触させて、第1積層体31を形成する工程(以下、第1積層体形成工程という。)と、第1積層体31において弾性繊維13が存在する面をスパンボンド不織布12と接触させて、第2積層体32を形成する工程(以下、第2積層体形成工程という。)とを有する。本発明の伸縮性シートの製造方法では、弾性繊維13をエアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12に同時に接触させるのではなく、2段階に分けて接触させる。具体的には、弾性繊維13に対してエアスルー不織布11のみを先に融着させ、その後にスパンボンド不織布を融着させる。これにより、弾性繊維13がスパンボンド不織布12と優先的に融着するのを防止し、弾性繊維13をエアスルー不織布11と十分融着させることができる。即ち、弾性繊維13に対する伸縮性シート全体の融着の強さを、エアスルー不織布11とスパンボンド不織布とで好適に分配することができる。その結果、良好な外観と高い引張強度とを両立した伸縮性シート10を好適に製造することができる。
これらの工程を有する本発明の伸縮性シート10の製造方法は、例えば図3に示すような、伸縮性シート10の製造装置を用いて行うことができる。以下、図3を参照しながら説明する。
(第1積層体形成工程及び第1積層体押圧工程)
第1積層体形成工程においては、例えば第1原反ロール51からエアスルー不織布11を繰り出し、キャストロール52に沿わせて搬送する。キャストロール52の周面上で、溶融状態の弾性繊維13をエアスルー不織布11に接触させ、第1積層体31を形成する。その後、キャストロール52の周面上の第1積層体31に対して、第1ニップロール33の押圧力で押圧処理を行う(第1積層体押圧工程)。第1積層体31を押圧することで、元来融着しにくい弾性繊維13とエアスルー不織布11とを、スパンボンド不織布12の融着性に配慮する必要なく、十分な押圧力でしっかりと融着させることができる。一方で、必要以上の強い力で押圧を行うと、弾性繊維13が潰れることで、弾性繊維13の断面が扁平になる(アスペクト比が大きくなる)。そのため、前記アスペクト比を良好にするよう、第1ニップロール33による押圧の強さを制御することが好ましい。
第1ニップロール33による押圧の強さは、第1ニップロール33とキャストロール52との距離を調節することによって、制御することができる。第1ニップロール33とキャストロール52との距離を大きくすると、弾性繊維13の潰れを抑制できる。その結果、円形に近い断面となる。具体的には、弾性繊維13を潰すことなくエアスルー不織布11に融着させる観点から、第1ニップロール33の周面とキャストロール52の周面との最短距離は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が更に好ましい。
また、第1ニップロール33は、弾性繊維13を適度に冷却する作用も有する。第1ニップロール33による押圧を強くするほど、加熱溶融された弾性繊維13から第1ニップロール33への熱伝達が生じ、冷却作用は大きくなる。即ち、第1ニップロール33とキャストロール52との距離を調節することで、第1ニップロール33による押圧の強さを制御し、弾性繊維13の冷却作用をも調節することができる。具体的には、弾性繊維13を適度に冷却し、後述の第2積層体形成工程における弾性繊維13とスパンボンド不織布12との過剰な融着を防止する観点から、第1ニップロール33の周面とキャストロール52の周面との最短距離は、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
図3に示すように、弾性繊維13は、第1ニップロール33の周面の最表面に位置して露出している。第1ニップロール33は、第1積層体において、弾性繊維13が存在する面を押圧する。そのため、第1ニップロール33としては、溶融状態の弾性繊維13に付着しにくいロールが好ましい。このような第1ニップロール33の具体例として、ゴムロールが挙げられる。
また、第1ニップロール33が加熱溶融された弾性繊維13を押圧し続ける内に、熱膨張等によって、第1ニップロール33の周面とキャストロール52の周面との最短距離が変わることがある。即ち、該最短距離が、前述の好ましい範囲から逸脱することがある。このような事態を防止するため、伸縮性シート10の製造の際には、図3に示すように、第1ニップロール33を冷却ロール35で冷却することが好ましい。冷却ロール35により第1ニップロール33の温度を一定の範囲に維持することで、第1ニップロール33とキャストロール52との周面間の最短距離を好ましい範囲に維持しやすくなる。即ち、押圧の強さの変動を抑制でき、安定的な加工が可能となる。
(第2積層体形成工程)
第1ニップロール33を通過した第1積層体31は、キャストロール52の周面上に沿わされたまま搬送される。第1積層体31の弾性繊維13が存在する面に対し、第2原反ロール53から繰り出されたスパンボンド不織布12を接触させて、第2積層体32を形成する。
この第2積層体形成工程に至るまでの間に、溶融状態にある弾性繊維13は、第1ニップロール33との接触及びキャストロール52による搬送により自然冷却されることとなる。即ち、弾性繊維13の固化が進み、溶融の程度が適度に弱まる。その結果、第2積層体形成工程においては、一定程度融着性が弱められた状態の弾性繊維13に対してスパンボンド不織布12が接触するため、弾性繊維13とスパンボンド不織布12とが過剰に融着するのを防止できる。更に、第1積層体形成工程において、第1ニップロール33を冷却ロール35で冷却することで弾性繊維13をより積極的に冷却でき、弾性繊維13とスパンボンド不織布12との融着をより好適に制御することができる。
(弾性発現処理工程)
本発明の伸縮性シート10の製造方法は、第2積層体32に対して弾性発現処理(図示せず)を施す工程(以下、弾性発現処理工程という。)を有する。弾性発現処理を施すことで、第2積層体32は、少なくとも一方向(例えば、図1に示す伸縮方向X)において伸縮性を備えるようになる。このようにして、伸縮性シート10を製造できる。
弾性発現処理工程における弾性発現処理の具体例としては、歯溝延伸加工が挙げられる。この歯溝延伸加工としては通常用いられる種々の方法で行うことができ、例えば特開2009-61743号の段落[0075]~[0078]に記載の方法が挙げられる。歯溝延伸加工では第2積層体32を部分的に延伸し、延伸部分が大きく引き伸ばされること等により高い伸縮性を獲得する。その結果、シート全体として高い伸縮性を備えた伸縮性シート10を製造することができる。
(第2積層体押圧工程)
本発明の伸縮性シート10の製造方法は、上記の弾性発現処理工程の前に、第2積層体32を第2ニップロール34で押圧する工程(第2積層体押圧工程)を有することが好ましい。第1ニップロール33に加えて第2ニップロール34でも押圧を行うことで、元来融着しにくい弾性繊維13とエアスルー不織布11とを、一層融着させることができる。また、第2積層体32の形態(弾性繊維13及びエアスルー不織布11に加え、スパンボンド不織布12も有する形態)において押圧を行うことで、弾性繊維13とスパンボンド不織布12とを、剥離しない程度に適度に融着させることができる。これにより、融着強度をより好適に制御することができる。即ち、剥離しにくく、良好な外観の維持が容易な伸縮性シート10をより好適に製造することができる。
弾性繊維13をエアスルー不織布11とは相対的に大きい強度で融着させ、スパンボンド不織布12とは相対的に小さい強度で融着させる観点から、第2ニップロール34による押圧の強さは、線圧として0.5N/cm以上が好ましく、1N/cm以上がより好ましく、5N/cm以上が更に好ましい。また、弾性繊維13とスパンボンド不織布12との過剰な融着を防止する観点から、第2ニップロール34による押圧の強さは、線圧として50N/cm以下が好ましく、30N/cm以下がより好ましく、15N/cm以下が更に好ましい。
(伸縮性シートの用途)
本発明の伸縮性シート10は、パンツ型使い捨ておむつの外包材として好適に用いられる。またこの用途以外に、その良好な肌触りや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性等の利点を生かし、医療用使い捨て衣類や清掃シート、眼帯、マスク、包帯等の各種の用途に用いることもできる。特に、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料として好ましく用いられる。該構成材料としては、例えば、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(表面シート、サブレイヤー等を含む)や、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に伸縮性を付与するためのシート等が挙げられる。また、生理用ナプキンのウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。伸縮性シート10の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20g/m以上60g/m以下、厚み0.5mm以上1.5mm以下とすることが望ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、伸縮性シート10はエアスルー不織布11及びスパンボンド不織布12に加え、別の不織布を有してもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品用伸縮性シート及び吸収性物品用伸縮性シートの製造方法を開示する。
<1>
弾性繊維が、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布に挟持され、該スパンボンド不織布と同等以上の強さで該エアスルー不織布に融着している、吸収性物品用伸縮性シート。
<2>
融着の強さが、上記(融着強度比の算出方法1)~(融着強度比の算出方法3)のいずれか1つに記載の方法で算出される融着強度比に基づいて定められる、<1>記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<3>
前記エアスルー不織布の構成繊維にポリエチレンテレフタラート樹脂成分が含まれている、<1>又は<2>記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<4>
前記弾性繊維の断面のアスペクト比が1以上4以下である、<1>~<3>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<5>
前記弾性繊維の断面のアスペクト比は、1以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましく、4以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい、<1>~<3>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<6>
前記エアスルー不織布は構成繊維として、繊維伸度が170%以上1000%以下の繊維を有する、<1>~<5>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<7>
前記エアスルー不織布は構成繊維として、繊維伸度が170%以上の繊維を有することが好ましく、400%以上の繊維を有することがより好ましく、500%以上の繊維を有することが更に好ましく、1000%以下の繊維を有することが好ましく、800%以下の繊維を有することがより好ましく、600%以下の繊維を有することが更に好ましい、<1>~<5>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<8>
前記エアスルー不織布は構成繊維として立体捲縮繊維を有する、<1>~<7>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<9>
前記立体捲縮繊維としては、偏芯度が15%以上のものが好ましく、30%以上のものがより好ましく、50%以上のものが更に好ましく、80%以下が好ましい、<8>記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<10>
前記エアスルー不織布は、立体捲縮繊維を含有割合30質量%以上70質量%以下で有する、<1>~<9>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<11>
前記エアスルー不織布は、立体捲縮繊維を含有割合30質量%以上で有することが好ましく、35質量%以上で有することがより好ましく、40質量%以上で有することが更に好ましく、70質量%以下で有することが好ましく、65質量%以下で有することがより好ましく、60質量%以下で有することが更に好ましい、<1>~<9>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<12>
前記融着強度比が0.8以上である、<2>~<11>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<13>
前記融着強度比が1以下である、<2>~<12>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<14>
前記エアスルー不織布と前記スパンボンド不織布とを剥離する際の剥離強度が10cN/25mm以上である、<1>~<13>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<15>
前記エアスルー不織布と前記スパンボンド不織布とを剥離する際の剥離強度は、10cN/25mm以上が好ましく、40cN/25mm以上がより好ましく、80cN/25mm以上が更に好ましく、300cN/25mm以下が好ましく、250cN/25mm以下がより好ましく、200cN/25mm以下が更に好ましい、<1>~<13>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
<16>
溶融状態の弾性繊維をエアスルー不織布と接触させて、第1積層体を形成する工程と、
前記第1積層体を第1ニップロールで押圧する工程と、
前記第1積層体において前記弾性繊維が存在する面をスパンボンド不織布と接触させて、第2積層体を形成する工程と、
前記第2積層体に対して弾性発現処理を施す工程とを有する、吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
<17>
前記第1ニップロールを冷却ロールで冷却する、<16>記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
<18>
前記第1ニップロールの周面とキャストロールの周面との最短距離は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上が更に好ましく、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい、<16>又は<17>記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
<19>
前記弾性発現処理を施す工程の前に、前記第2積層体を第2ニップロールで押圧する工程を有する、<16>~<18>のいずれか1に記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
<20>
前記第2ニップロールによる押圧の強さは、線圧として0.5N/cm以上が好ましく、1N/cm以上がより好ましく、5N/cm以上が更に好ましく、50N/cm以下が好ましく、30N/cm以下がより好ましく、15N/cm以下が更に好ましい、<19>記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
紡糸ヘッドの温度300℃、紡糸ノズルの径450μm、及び紡糸ノズルのピッチ1mmの紡糸条件で、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(重量平均分子量5万、MFR40g/10分(230℃,2.16kg))からなる溶融状態の弾性繊維を紡糸した。溶融状態にある弾性繊維が固化する前に、エアスルー不織布と接触させ、第1積層体を製造した。エアスルー不織布として、繊維伸度が330%で、芯成分がポリエチレンテレフタラート、鞘成分がポリエチレンの芯鞘繊維を構成繊維とするものを用いた。
第1積層体を第1ニップロールで押圧し、弾性繊維とエアスルー不織布とを融着させた。押圧の際には、冷却ロールを用いて第1ニップロールを冷却した。
その後、第1積層体において弾性繊維が存在する面をスパンボンド不織布と接触させ、第2積層体とした。次いで、第2積層体を第2ニップロールで押圧し、弾性繊維とスパンボンド不織布とを融着させた。このようにして、図3に示す製造装置を用い、第2積層体を製造した。製造の際、第1ニップロールとキャストロールとの隙間及び第2ニップロールの押圧の強さは、弾性繊維の断面のアスペクト比が3.00以上4.00以下となるように調節した。
この第2積層体に対して、歯と歯底が周方向に交互に形成された一対の歯溝ロールを用いて歯溝延伸加工を行った。このようにして第2積層体を部分的に延伸させ、図1に示すような実施例1の伸縮性シート試料を得た。
(実施例2)
弾性繊維の断面のアスペクト比が1.00以上2.00以下となるように、第1ニップロールとキャストロールの隙間を調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の伸縮性シート試料を得た。
(実施例3)
エアスルー不織布として、繊維伸度が521%の芯鞘繊維を構成繊維とするものを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の伸縮性シート試料を得た。
(実施例4)
エアスルー不織布として、繊維伸度が521%の芯鞘繊維(含有割合:50質量%)と繊維伸度が262%の立体捲縮繊維(含有割合:50質量%)とを構成繊維とするものを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例4の伸縮性シート試料を得た。
(実施例5)
融着強度比が0.8以上1.00以下となるように、第1ニップロールとキャストロールとの隙間及び第2ニップロールの押圧の強さを調節した以外は、実施例4と同様にして、実施例5の伸縮性シート試料を得た。
(比較例1)
スパンボンド不織布を、第1ニップロールで押圧した後ではなく、第1ニップロールで押圧する前に弾性繊維と接触させた以外は、実施例2と同様にして、比較例1の伸縮性シート試料を得た。
(比較例2)
エアスルー不織布とスパンボンド不織布とを入れ替えた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の伸縮性シート試料を得た。
(比較例3)
エアスルー不織布とスパンボンド不織布とを1枚ずつ用いる代わりに、2枚のスパンボンド不織布を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例3の伸縮性シート試料を得た。
(比較例4)
エアスルー不織布とスパンボンド不織布とを1枚ずつ用いる代わりに、2枚のエアスルー不織布を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例4の伸縮性シート試料を得た。
(アスペクト比及び剥離強度の測定)
各伸縮性シート試料について、前述の方法に従い、弾性繊維の断面のアスペクト比及び剥離強度を測定した。
(融着強度比の算出)
剥離強度を測定した後の測定片を用いて、前述の方法に従い、実施例1~5並びに比較例1及び2の伸縮性シート試料の融着強度比を算出した。
なお、比較例3及び4の伸縮性シート試料については、同種の不織布を2枚用いたものであり、融着強度比という指標は存在しない。
(伸長率の測定)
各伸縮性シート試料について、伸縮方向に200mm、直交方向に50mmの大きさで切り出し、矩形の試験片を得た。試験片を引張試験機(商品名:AG-50NIS、株式会社島津製作所製)に装着した。掴み間隔を150mm、引張速度を300mm/分として、3Nの荷重が観測されるまで試験片を伸縮方向へ伸長させた。3Nの荷重が観測されるまでに要した移動距離を掴み間隔(150mm)で除した値の百分率を、各伸縮性シート試料の伸長率とした。
(直交方向の引張強度の測定)
各伸縮性シート試料について、伸縮方向に50mm、直交方向に200mmの大きさで切り出し、矩形の試験片を得た。試験片を引張試験機(商品名:AG-50NIS、株式会社島津製作所製)に装着した。掴み間隔を150mm、引張速度を300mm/分として試験片を直交方向へ伸長させた。試験片が破断する時点までに観測された最大の荷重を、各伸縮性シート試料の直交方向の引張強度とした。
(穴面積の測定)
各伸縮性シート試料について、伸縮方向に100mm、直交方向に200mmの大きさで切り出し、伸縮方向へ170%伸長(伸長前の自然長に対して2.7倍に伸長)させた。この状態で、伸縮性シート試料に生じた穴の全てを透明なOHPシートに書き写した。画像解析ソフト(商品名:Image-Pro、伯東株式会社製)を用いて、穴毎に面積を算出した。
面積が大きい上位10個の穴について、算出した面積の値を平均し、各伸縮性シート試料の穴面積とした。
穴面積が小さいほど、伸縮性シートは外観に優れることを示す。
結果を表1及び2に示す。
Figure 2022100819000002
Figure 2022100819000003
表1及び2に示すように、実施例1~5の伸縮性シート試料では、融着強度比を0.5以上とすることによって穴面積を小さくすることができ、融着強度比が0.5未満であった比較例1及び2よりも外観が良好であった。
また、実施例1~5の伸縮性シート試料では、いずれも直交方向の引張強度が500cN/50mm以上であり、十分な強度を備えるものであった。
特に、実施例1~5の伸縮性シート試料の中でも、立体捲縮繊維を有するエアスルー不織布を用いた実施例4及び5の伸縮性シート試料では、穴面積を0.9cm以下に小さくすることができ、外観が一層良好であった。
このように、実施例1~5の伸縮性シート試料では、170%伸長という高伸長時における良好な外観の維持と、500cN/50mm以上という十分な引張強度とを両立できることが分かった。
10 伸縮性シート
11 エアスルー不織布
12 スパンボンド不織布
13 弾性繊維
20 芯鞘繊維
20C 芯鞘繊維の中心点
21 芯成分
21C 芯成分の中心点
22 鞘成分
31 第1積層体
32 第2積層体
33 第1ニップロール
34 第2ニップロール
35 冷却ロール
51 第1原反ロール
52 キャストロール
53 第2原反ロール
X 伸縮方向
Y 直交方向

Claims (12)

  1. 弾性繊維が、エアスルー不織布及びスパンボンド不織布に挟持され、該スパンボンド不織布と同等以上の強さで該エアスルー不織布に融着している、吸収性物品用伸縮性シート。
  2. 融着の強さが、明細書中の(融着強度比の算出方法1)~(融着強度比の算出方法3)のいずれか1つに記載の方法で算出される融着強度比に基づいて定められた値が、0.5以上である、請求項1記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  3. 前記エアスルー不織布の構成繊維にポリエチレンテレフタラート樹脂成分が含まれている、請求項1又は2記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  4. 前記弾性繊維の断面のアスペクト比が1以上4以下である、請求項1~3のいずれか1稿に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  5. 前記エアスルー不織布は構成繊維として、繊維伸度が170%以上1000%以下の繊維を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  6. 前記エアスルー不織布は構成繊維として立体捲縮繊維を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  7. 前記エアスルー不織布は、立体捲縮繊維を含有割合30質量%以上70質量%以下で有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  8. 前記融着強度比が0.8以上である、請求項2~7のいずれか1項に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  9. 前記エアスルー不織布と前記スパンボンド不織布とを剥離する際の剥離強度が10cN/25mm以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の吸収性物品用伸縮性シート。
  10. 溶融状態の弾性繊維をエアスルー不織布と接触させて、第1積層体を形成する工程と、
    前記第1積層体を第1ニップロールで押圧する工程と、
    前記第1積層体において前記弾性繊維が存在する面をスパンボンド不織布と接触させて、第2積層体を形成する工程と、
    前記第2積層体に対して弾性発現処理を施す工程とを有する、吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
  11. 前記第1ニップロールを冷却ロールで冷却する、請求項10記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
  12. 前記弾性発現処理を施す工程の前に、前記第2積層体を第2ニップロールで押圧する工程を有する、請求項10又は11記載の吸収性物品用伸縮性シートの製造方法。
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