JP5511860B2 - 伸縮性不織布 - Google Patents

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本発明は伸縮性不織布に関する。
使い捨ておむつ等に用いられる伸縮性シートとして、波状凹凸が部分的に形成された不織布シート(下記特許文献1参照)や、弾性シート及びその一面に配置された不織布を備えた通気性シート状構造体(下記特許文献2参照)等が知られている。
ところで、使い捨ておむつの外面を構成するシート等においては、非伸長状態において襞がなく、見栄えに優れると共に、伸長状態において、透けずに使用者に安心感を与えることでき、また破断強度が高いことが求められている。
しかしながら、特許文献1,2に記載の伸縮性シートにおいては、非伸長状態において襞が形成されており、見栄えに劣り、また、特許文献1,2には、伸長状態において透けを防止すること及び破断強度を向上させることについて何ら記載されていない。
特開2004−76178号公報 特開平6−328601号公報
従って、本発明の目的は、非伸長状態において大きな襞がなく、見栄えに優れると共に、伸長状態において、透けずに使用者に安心感を与えることでき、破断強度が高い伸縮性不織布を提供することにある。
本発明は、少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性不織布であって、最大伸度が50%以上であり、伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいては、伸縮方向に、相対的に光の隠蔽性の低い低隠蔽部分と相対的に光の隠蔽性の高い高隠蔽部分とが交互に配列しており、伸縮方向に伸長させていないときにおいては、伸縮方向に、光の隠蔽性の差が実質的に存在していない伸縮性不織布を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の伸縮性不織布によれば、非伸長状態において大きな襞がなく、見栄えに優れると共に、伸長状態において、透けずに使用者に安心感を与えることでき、破断強度が高い。
図1(a)は、本発明の伸縮性不織布の一実施形態についての非伸長状態の断面構造を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す伸縮性不織布の断面構造について、便宜的に低隠蔽部分に対応する部分と高隠蔽部分に対応する部分とに区分した模式図であり、図1(c)は、図1(b)に示す伸縮性不織布の断面構造について、伸長状態で示す模式図である。 図2は、図1に示す伸縮性不織布の製造に用いられる製造装置を示す模式図である。 図3は、延伸加工を施す繊維シートの一例を示す平面図である。 図4は、図2に示す製造装置における延伸装置の要部を示す斜視図である。 図5は、図4に示す延伸装置における刃溝ロールによってシートが延伸される状態を示す模式図である。 図6(a)は、図3に示す繊維シートのMD方向のa−a線に沿う断面図、図6(b)は、刃溝ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図6(a)に対応する断面図、図6(c)は、図3に示す繊維シートのMD方向のc−c線に沿う断面図、図6(d)は、刃溝ロール間で変形した状態(延伸させている状態)の図6(c)に相当する断面図である。
以下、本発明の伸縮性不織布について、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の伸縮性不織布の一実施形態についての非伸長状態の断面構造を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す伸縮性不織布の断面構造について、便宜的に低隠蔽部分に対応する部分と高隠蔽部分に対応する部分とに区分した模式図であり、図1(c)は、図1(b)に示す伸縮性不織布の断面構造について、伸縮方向へ1.5倍伸長させた状態で示す模式図である。
本実施形態の伸縮性不織布10は、1方向に伸縮性を有する伸縮性不織布であって、最大伸度が50%以上であり、図1(c)に示すように、伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいては、伸縮方向に、相対的に光の隠蔽性の低い低隠蔽部分12と相対的に光の隠蔽性の高い高隠蔽部分13とが交互に配列している。
本発明の伸縮性不織布10は、その表裏面に微細な波状凹凸を有しており、高隠蔽部分13が山部及び谷部を形成し、低隠蔽部分12が山部と谷部との間に位置する。これに対し、特許文献1記載の不織布シートにおける波状凹凸は、賦形によるもので、蛇腹状を呈している。特許文献1記載の不織布シートは、この凹凸形状により伸縮性を持たせているため、高伸度のものが得られにくい。
そして、本発明は、伸長状態において低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13が存在している一方で、低隠蔽部分12の隠蔽性と高隠蔽部分13の隠蔽性との差が小さい点に特徴がある。
光の隠蔽性に差が生じる要因としては、例えば、低隠蔽部分12と高隠蔽部分13との間における坪量の差、繊維径の差、延伸による構成繊維の切断、延伸による構成繊維の白化が挙げられる。また、構成繊維が芯鞘型複合繊維である場合においては、芯と鞘との剥離によって隠蔽性が向上し、構成繊維が分割繊維である場合においては、延伸分割によって隠蔽性が向上する。この中で低隠蔽部分12の隠蔽性を上げる方法としては、低隠蔽部分12の坪量の増加、構成繊維の細径化、構成繊維の切断防止、構成繊維の白化、芯鞘型複合繊維における芯と鞘との剥離、分割繊維における延伸分割による繊維の細径化が挙げられる。延伸によって白化させるに際しては、酸化チタン等のフィラーを非弾性繊維中に含有させることで、効率的に白化させることが可能である。その場合、フィラーの含有量は、隠蔽性及び繊維の最大伸度の観点から、好ましくは0.1〜1wt%、更に好ましくは0.3〜0.5wt%である。
伸縮性不織布を使用する上で、隠蔽性は重要である。伸縮性不織布を肌に接触させて用いる場合や、吸収性物品などの構成部材として用いる場合には、伸縮性不織布の下に位置する部材への隠蔽性が要求されることが多い。
隠蔽性は光の透過率、吸収率、反射率に依存する。隠蔽性が高いとは、光の透過率が低く、光の吸収率が高く、光の反射率の高いことを意味する。これらの尺度として、便宜的に光の透過度又は隠蔽性に起因した輝度により評価することができる。輝度は、白色系の伸縮性不織布の場合には、高隠蔽部分13において高くなる。黒色系の伸縮性不織布の場合には、これとは逆となる。低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とが交互に配列する本発明の伸縮性不織布においては、隠蔽性の差の小ささを、輝度の標準偏差の小ささとして評価することができる。
伸縮性不織布を吸収性物品などに用いた場合の使用時の伸度を想定して、布様の外観を有する点及び隠蔽性の観点から、伸縮性不織布を伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいて、伸縮性不織布10の輝度についての標準偏差は、2〜15が好ましく、2〜6が一層好ましい。「伸縮性不織布の輝度についての標準偏差」とは、後述する輝度の測定方法の通り、低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13について特に区別することなく、輝度を測定し、測定された輝度のデータから標準偏差を算出したものである。また、より伸ばした場合の見栄えを向上させ、安心感を与える観点から、伸縮方向に2倍に伸長させたときにおいて、伸縮性不織布10の輝度についての標準偏差は、2〜15が好ましく、2〜8が一層好ましい。
一方、本実施形態の伸縮性不織布10は、図1(a)及び(b)に示すように、伸縮方向に伸長させていないときにおいては、伸縮方向に、光の隠蔽性の差が実質的に存在していない。「光の隠蔽性の差が実質的に存在していない」とは、不織布において通常生じる地合いムラによる隠蔽性の差を含まないこと、又は輝度におけるラインプロファイル(ラインに沿った輝度の変化をプロットしたもの)にて明確な輝度の差が見られないことを意味する。
尚、図1(a)及び(b)に示す非伸長状態においては、図1(c)に示す伸長状態とは異なり、低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13は形成されていないが、伸長時における低隠蔽部分12〔図1(c)参照〕と非伸長時に低隠蔽部分12に対応する部分〔図1(b)参照〕との対応関係、及び低伸長時における隠蔽部分13〔図1(c)参照〕と非伸長時における高隠蔽部分13に対応する部分〔図1(b)参照〕との対応関係を示すために、図1(b)においては、低隠蔽部分12に対応する部分及び高隠蔽部分13に対応する部分に、それぞれ符号「12’」及び「13’」を付してある。
非伸長時における低隠蔽部分12の厚みは、0.3〜1.5mm、特に0.5〜1.0mmであることが好ましい。高隠蔽部分13の厚みも同様に、0.3〜1.5mm、特に0.5〜1.0mmであることが好ましい。厚みの測定は、無荷重下において断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
低隠蔽部分12の構成繊維の繊維径は、隠蔽性及び伸縮特性の観点から、3μm以上、特に8μm以上が好ましく、また30μm以下、特に15μm以下であることが好ましい。高隠蔽部分13の構成繊維の繊維径は、通気性及び肌ざわりの観点から、5μm以上、特に10μm以上が好ましく、また30μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。
低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13の平面視形状は、その形成方法によって異なるが、本実施形態においては帯状である。本実施形態においては、各低隠蔽部分12は等幅であり、同様に、各高隠蔽部分13は等幅である。
製造時における機械方向(MD方向)に沿って、低隠蔽部分12の幅は、透け具合が目立たないようにするため長すぎないようにすると共に、伸縮部分が短くならないようにする観点から、1.5倍に伸長した状態において0.1〜2mmであることが好ましく、0.2〜1mmであることが更に好ましい。また、高隠蔽部分13の幅は、0.05〜2mmであることが好ましく、0.05〜0.8mmであることが更に好ましい。
低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とは、意匠性の観点から、一定の周期で交互に配列していることが好ましい。
低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13が交互に配列した伸縮性不織布10は、例えば、後述するように、非弾性繊維層の構成繊維に高伸度の繊維を用いたり、延伸加工を行う刃溝ロールとして歯のピッチが小さいロールを用いたり、延伸加工を加熱しながら行ったり(加熱延伸)、延伸加工を行う一対の刃溝ロールにおいて両ロールが駆動するもの(共回りロール)を用いることによって、得ることができる(詳細は後述)。
本実施形態の伸縮性不織布10をその繊維構造の面から詳述する。本実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層されて構成されている。弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とは、弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態で、繊維交点の熱融着によって接合されている。弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とは、全面接合されていることが好ましい。
弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とが全面接合されている形態においては、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との界面及びその近傍において、弾性繊維層1の構成繊維と非弾性繊維層2,3の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されている。全面で接合されていることによって、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。両層間に浮きが生じると、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との一体感がなくなり、伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とが全面接合されている形態によれば、あたかも一層の不織布ごとき一体感のある多層構造の伸縮性不織布が提供される。
「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」とは、弾性繊維層1の構成繊維のほとんどが、熱や圧力等を付与された場合であっても、フィルム状又はフィルム−繊維構造に変形していない状態をいう。弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態にあることで、伸縮性不織布に十分な通気性が付与されるという利点がある。なお、後述するように、本実施形態の伸縮性不織布10には、熱エンボス加工が施されて接合部4が形成される。この接合部4においては、熱エンボス加工の条件によっては、弾性繊維層1の構成繊維がフィルム状又はフィルム−繊維構造となっている場合がある。従って、前記の「弾性繊維層1の構成繊維が繊維形態を保った状態」であるか否かは、接合部4以外の部位に着目して判断する。
弾性繊維層1は、その層内において構成繊維の交点が熱融着している。同様に、非弾性繊維層2,3も、その層内において構成繊維の交点が熱融着している。
非弾性繊維層2,3においては、その構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維の一部が非弾性繊維層2,3に入り込んだ状態になっていることが好ましい。このような状態になっていることで、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との一体化が促進され、両層間に浮きが生じることが一層効果的に防止される。結果として、それぞれの層の表面に追従した形で、層と層とが組み合わさっている状態となる。一方の非弾性繊維層の構成繊維は、その一部が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっているか、あるいは弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している。例えば非弾性繊維層2,3において、2つの表面のうち弾性繊維層1に対向する側における表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、この面から層の内側に形成される繊維空間に、弾性繊維層1の構成繊維の一部が入り込んでいる。また、弾性繊維層の2つの表面において、表面繊維間を結ぶ面をマクロ的に想定したとき、これらの面から層の内側に形成される繊維空間に、非弾性繊維層2,3の構成繊維の一部が入り込んでいる。特に、非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1に入り込み、そこにとどまっている場合、非弾性繊維層の構成繊維は、更に弾性繊維層1の構成繊維と交絡していることが好ましい。同様に、一方の非弾性繊維層の構成繊維が弾性繊維層1を突き抜けて、他方の非弾性繊維層にまで到達している場合には、一方の非弾性繊維層の構成繊維は、他方の非弾性繊維層の構成繊維と交絡していることが好ましい。これは、伸縮性不織布の厚み方向断面をSEMやマイクロスコープなどで観察した際に、層間において実質的に空間が形成されていないことで確認される。また、ここでいう「交絡」とは、繊維同士が十分に絡み合っている状態を意味し、繊維層を単に重ね合わせただけの状態は、交絡に含まれない。交絡しているか否かは、例えば次の方法で判断できる。繊維層を単に重ね合わせた状態から、繊維層を剥離するときに要する力を測定する。これとは別に、繊維層を重ね合わせ、それに熱融着を伴わないエアスルー法を適用した後に、繊維層を剥離する力を測定する。二つの力を比較して、両者間に実質的に差異が認められる場合には、交絡していると判断できる。
非弾性繊維層の構成繊維を弾性繊維層に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層の構成繊維とを熱融着させる処理前において、非弾性繊維又は弾性繊維の少なくとも一方がウエブ状態(熱融着していない状態)であることが好ましい。構成繊維を他の層に入り込ませる観点から、ウエブ状態である繊維層は、短繊維の方が長繊維に比べ自由度が高いことから好ましい。
非弾性繊維層の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維を非弾性繊維層に入り込ませるには、エアスルー法を用いることが好ましい。エアスルー法を用いることで、相対する繊維層に構成繊維を入り込ませ、また、相対する繊維層から構成繊維を入り込ませることが容易となる。また、エアスルー法を用いることで、非弾性繊維層の嵩高さを維持しつつ、非弾性繊維層の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませることが容易となる。一方の非弾性繊維層の構成繊維を、弾性繊維層1を突き抜けさせて他方の非弾性繊維層にまで到達させる場合にも、同様にエアスルー法を用いることが好ましい。特に、ウエブ状態の非弾性繊維層を弾性繊維層と積層して、エアスルー法を用いることが好ましい。この場合、弾性繊維層は、その構成繊維同士が熱融着していてもよく、熱融着していなくてもよい。更に、後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことで、また、熱風の通りをよくするため伸縮性不織布の通気性、特に弾性繊維層の通気度を高いものとすることで、繊維をより均一に入り込ませることができる。エアスルー法以外の方法、例えばスチームを吹きかける方法(スチームジェット法)も使用することができる。また、スパンレース法、ニードルパンチ法などを用いることも可能であるが、その場合には、非弾性繊維層の嵩高さが損なわれたり、伸縮性不織布10の表面に弾性繊維層1の構成繊維が出てきてしまい、得られる伸縮性不織布10の風合いが低下する傾向にある。
特に、非弾性繊維層の構成繊維が、弾性繊維層1の構成繊維と交絡している場合には、エアスルー法のみによって交絡していることが好ましい。
エアスルー法によって繊維を交絡させるためには、気体の吹き付け圧、吹き付け速度、繊維層の坪量や厚み、繊維層の搬送速度等を適切に調整すればよい。通常のエアスルー不織布を製造するための条件を採用しただけでは、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを交絡させることはできない。後述する製造方法において説明するように、特定の条件下でエアスルー法を行うことによって、両構成繊維を交絡させることができる。
エアスルー法では一般に、所定温度に加熱された気体を、繊維層の厚み方向に貫通させている。その場合には、繊維の交絡及び繊維交点の融着が同時に起こる。しかし、本実施形態においては、エアスルー法によって各層内の構成繊維間で繊維交点を融着させることは必須ではない。換言すれば、エアスルー法は、非弾性繊維層の構成繊維を弾性繊維層1に入り込ませるために、あるいは、非弾性繊維層の構成繊維を弾性繊維層1の構成繊維と交絡させ、そして、非弾性繊維層の構成繊維と弾性繊維層1の構成繊維とを熱融着させるために必要な操作である。また、繊維が入り込む方向は、加熱された気体の通過方向、及び非弾性繊維層と弾性繊維層との位置関係によって変わる。非弾性繊維層は、風合いが良好な点から、エアスルー法によって、その構成繊維同士が繊維交点で融着されたエアスルー不織布となることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の伸縮性不織布においては、実質的に非弾性のエアスルー不織布の厚み方向内部に、構成繊維が繊維形態を保った状態の弾性繊維層1が含まれており、該エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1に入り込んだ状態、及び/又は、弾性繊維層1の構成繊維の一部が非弾性繊維層に入り込んだ状態になっている。更に好ましい形態においては、エアスルー不織布の構成繊維の一部が弾性繊維層1の構成繊維とエアスルー法によってのみ交絡している。弾性繊維層1がエアスルー不織布の内部に含まれていることによって、弾性繊維層1の構成繊維は、実質的に伸縮性不織布の表面には存在しないことになる。このことは、弾性繊維に特有のべたつき感が生じない点から好ましいものである。
弾性繊維層1は、伸ばすことができ且つ伸ばした力から解放したときに収縮する性質を有するものである。弾性繊維層1は、少なくとも面と平行な一方向において、100%伸長後に収縮させたときの残留歪みが20%以下、特に10%以下であることが好ましい。この値は、少なくとも、MD方向及びCD方向の何れか一方において満足することが好ましく、両方向において満足することがより好ましい。
弾性繊維層1は、弾性を有する繊維の集合体である。弾性繊維層1には、その弾性を損なわない範囲において、非弾性の繊維を好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、一層好ましくは10重量%以下の範囲で配合してもよい。弾性を有する繊維は、連続繊維でもよく、短繊維でもよい。弾性を有する繊維の成形方法には、例えば、溶融した樹脂をノズル孔より押し出し、この押し出された溶融状態の樹脂を熱風の吹き付けにより伸長させることによって繊維を細くするメルトブローン方法、半溶融状態の樹脂を冷風の吹き付けや機械的ドロー比によって延伸するスパンボンド法がある。また、溶融紡糸法の一種であるスピニングブローン法がある。
また、弾性繊維層1は、弾性を有する短繊維又連続フィラメントからなるウエブや不織布の形態であり得る。例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウエブや不織布であり得る。特に好ましくは、弾性繊維層1はスピニングブローン法で得られたウエブである。
スピニングブローン法においては、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に、一対の熱風吐出部を、前記吐出ノズルを中心に対向配置し、その下流側に一対の冷風吐出部を、前記吐出ノズルを中心に対向配置した紡糸ダイを用いる。スピニングブローン法によれば、溶融繊維の熱風による伸長と冷風による冷延伸とが連続的に行われるので、伸縮性繊維の成形を容易に行えるという利点がある。また、繊維が緻密になりすぎず、短繊維に類した太さの伸縮性繊維を成形できるので、通気性の高い不織布が得られるという利点もある。更にスピニングブローン法によれば、連続フィラメントのウエブを得ることができる。連続フィラメントのウエブは、溶融紡糸したフィラメントを、ウエブに直接又はニップさせながら積層させて形成することもできる。連続フィラメントのウエブは、短繊維のウエブに比較して高伸長時の破断が起こりにくく、弾性を発現させやすい。
スピニングブローン法に用いられる紡糸ダイとしては、例えば特公昭43−30017号公報の図1に記載されているもの、特開昭62−90361号公報の図2に記載されているもの、特開平3−174008号公報の図2に記載されているものを用いることができる。更に、特開平3−174008号公報の図2に示されるものや、特許第3335949号公報の図1ないし図3に示されるものを用いることができる。紡糸ダイから紡出された繊維は、捕集ネットコンベア上に堆積される。
弾性繊維層1の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。特に熱可塑性エラストマーを原料とする繊維は、通常の熱可塑性樹脂と同様に押出機を用いた溶融紡糸が可能であり、またそのようにして得られた繊維が熱融着させやすい点から、エアスルー不織布を基本構成とする本実施形態の伸縮性不織布に好適である。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。特にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、又はそれらを組み合わせて用いることが、弾性繊維の成形性、伸縮特性及びコストの面で好ましい。
弾性繊維層1の構成繊維は、通気性及び伸縮特性の観点から、その繊維径が5μm以上、特に10μm以上が好ましく、100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。
非弾性繊維層2,3は、伸長性を有するが、実質的に非弾性のものである。ここでいう、伸長性は、構成繊維自体が伸長する場合と、構成繊維自体は伸長しなくても、繊維同士の交点において熱融着していた両繊維同士が離れたり、繊維同士の熱融着等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたりして、繊維層全体として伸長する場合との何れでもよい。
非弾性繊維層2,3には、実質的に非弾性の繊維が含まれている。実質的に非弾性の繊維としては、その長さ方向において繊維の太さが一様になっていない繊維(以下「不定径繊維」という)が好ましい。換言すると、不定径繊維は、その長さ方向に沿って視たときに、繊維断面積(直径)が大きい部分もあれば、小さい部分もある繊維である。不定径繊維においては、その太さが最も細い部分から最も太い部分まで連続的に太さが変化していてもよい。あるいは、不定径繊維においては、未延伸糸の延伸工程で観察されるネッキング現象のように、繊維の太さが略ステップ状に変化していてもよい。
不定径繊維は、一定の繊維径を有する低延伸の繊維を原料とすることが好ましい。低延伸の繊維を原料として、後述する製造方法に従って本実施形態の伸縮性不織布を製造すると、その製造過程において低延伸の繊維が引き伸ばされることで、繊維に細い部分が生じて前記不定形繊維が形成される。その結果、本実施形態の伸縮性不織布の製造過程において、繊維間の接合点や、非弾性繊維層と弾性繊維層との接合点が破壊されにくくなるので、伸縮性能を維持しつつ伸縮性不織布の強度を高くすることができ、高伸度と高強度とが両立した伸縮性不織布が得られる。また、本実施形態の伸縮性不織布の製造過程において、不定径繊維間の接合も破壊されにくくなるので、非弾性繊維層が毛羽立ち様になりにくくなる。このことは、本実施形態の伸縮性不織布の外観(見栄え)を向上させる点から有利である。
更に、前記の低延伸の繊維を原料とすることで、繊維を引き伸ばす前と比較して、細い繊維の本数(長さ)が実質的に増加する。それによって本実施形態の伸縮性不織布の隠蔽性が向上する。不織布の隠蔽性が向上することは、例えば該不織布を生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートとして用いた場合、吸収体に吸収された体液が表面シート越しに見えづらくなるという点から有利である。低隠蔽部分12は液の透過性が高く、高隠蔽部分13は非弾性繊維が太いため、液の保持が無く、肌に触れた際にさらっとしており、さらに高隠蔽部分13が凸形状部分となるため、肌との接触面積が減り、肌が蒸れにくいことが挙げられる。
その上、不定径繊維の太さが周期的に変化していると、非弾性繊維層の表面が細かに波打った状態になり、その肌触りが良好になるという付加的な効果もある。この場合、変化の周期、つまり最も太い部分とそれに隣り合う最も太い部分までの距離は、0.5〜2.5mm、特に0.8〜1.5mmであることが好ましい。この周期は、非弾性繊維層の顕微鏡観察から測定できる。
以上の各効果を一層顕著なものとする観点から、不定径繊維の太さは、最も細い部分において、好ましくは2〜15μm、更に好ましくは5〜12μmであり、最も太い部分において、好ましくは10〜30μm、更に好ましくは12〜25μmである。不定形繊維の太さは、非弾性繊維層の顕微鏡観察から測定できる。
また、不定径繊維の繊維間融着点強度は、該非弾性繊維の100%伸長時強度よりも高いものであることが好ましい。これによって伸縮性不織布を引き伸ばしたときに、繊維間の融着点の破壊が起こりにくくなり、伸縮性不織布の強度が低下しにくくなる点から好ましい。融着点強度は、本出願人の先の出願に係る特開2004−218183号公報の段落〔0040〕の記載に従って測定される。100%伸長時強度は、引っ張り試験機を用い、チャック間距離が20mm、引張速度が20mm/minの条件で測定される。
先に述べた通り、不定径繊維は、一定の繊維径を有する低延伸の繊維を原料とすることが好ましい。この場合、低延伸の繊維は、単一の原料からなる繊維でもよく、あるいは2種以上の原料を用いた複合繊維、例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維であってもよい。不定径繊維同士の接合させやすさや、非弾性繊維層と弾性繊維層との接合させやすさを考慮すると、複合繊維を用いることが好ましい。芯鞘型の複合繊維の場合、芯がポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、鞘が低融点ポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)であることが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、ポリオレフィン系エラストマーを含む弾性繊維層の構成繊維との熱融着が強くなり、層剥離が起こりにくい点で好ましい。
不定径繊維は、ステープルファイバのような短繊維でもよく、あるいは連続フィラメントのような長繊維でもよい。後述する伸縮性不織布の製造方法に鑑みると、短繊維を用いることが好ましい。また、不定径繊維は親水性でも撥水性でも良い。
非弾性繊維層2,3は、不定径繊維のみから構成されていてもよく、あるいは不定径繊維に加えて他の一定径の非弾性繊維が含まれていてもよい。他の非弾性繊維としては、PE、PP、PET、PBT、ポリアミド等からなる繊維等が挙げられる。他の非弾性繊維は、短繊維でも長繊維でもよく、親水性でも撥水性でもよい。また、芯鞘型又はサイド・バイ・サイドの複合繊維、分割繊維、異形断面繊維、捲縮繊維、熱収縮繊維等を用いることもできる。これらの繊維は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。非弾性繊維層2,3に、不定径繊維に加えて他の一定径の非弾性繊維が含まれている場合、他の非弾性繊維の配合量は、1〜30重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。
非弾性繊維層2,3は、連続フィラメント、短繊維のウエブ又は不織布であり得る。特に、短繊維のウエブであると、厚みのある嵩高な非弾性繊維層2,3を形成し得る点から好ましい。2つの非弾性繊維層2,3は、構成繊維の材料、坪量、厚み等に関して同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。また、2つの非弾性繊維層2,3のうち、一方の非弾性繊維層にのみ不定径繊維が含まれていてもよい。
非弾性繊維層2,3の厚みは、弾性繊維層1の厚みの1.2〜20倍、特に1.5〜5倍になっていることが好ましい。一方、非弾性繊維層2,3の坪量よりも、弾性繊維層1の坪量の方が高くなっていることが好ましい。換言すれば、非弾性繊維層は、弾性繊維層よりも厚く且つ坪量が小さいことが好ましい。厚みと坪量とがこのような関係になっていることで、非弾性繊維層は、弾性繊維層に比較して厚みのある嵩高なものとなる。その結果、伸縮性不織布10は柔らかで風合いの良好なものとなる。
非弾性繊維層2,3の厚みは、0.05〜5mm、特に0.1〜1mmであることが好ましい。一方、弾性繊維層1の厚みは、非弾性繊維層2,3の厚みよりも小さいことが好ましく、具体的には0.01〜2mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。厚みの測定は、伸縮性不織布の断面をマイクロスコープにより50〜200倍の倍率で観察し、各視野において平均厚みをそれぞれ求め、3視野の厚みの平均値として求めることができる。
非弾性繊維層2,3の坪量は、風合い、厚み及び意匠性の観点から、それぞれ1〜60g/m2、特に5〜15g/m2であることが好ましい。一方、弾性繊維層1の坪量は、伸縮特性及び残留歪みの観点から、非弾性繊維層2,3の坪量よりも大きいことが好ましく、具体的には5〜80g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましい。
弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、非弾性繊維層2,3の構成繊維の繊維径の1.2〜5倍、特に1.2〜2.5倍であることが好ましい。これに加えて、弾性繊維層1の構成繊維の繊維径は、通気性及び伸縮特性の観点から、5μm以上、特に10μm以上が好ましく、また100μm以下、特に40μm以下であることが好ましい。一方、非弾性繊維層2,3の構成繊維の繊維径は、1〜30μm、特に10〜20μmであることが好ましい。つまり、非弾性繊維層2,3の構成繊維としては、弾性繊維層1の構成繊維よりも繊維径が細いものを用いることが好ましい。これによって、伸縮性不織布10の表層に位置する非弾性繊維層2,3の構成繊維の融着点が増加する。融着点の増加は、伸縮性不織布10の毛羽立ち発生の防止に有効である。更に、非弾性繊維層2,3の構成繊維として弾性繊維層1の構成繊維よりも繊維径が細いものを用いることで、肌触りの良い伸縮性不織布10が得られる。
本実施形態の伸縮性不織布10には、図1に示すように、非弾性繊維層2,3に、微小な凹部が形成されている。これによって、伸縮性不織布10は、その断面が、微視的には波形形状になっている。この波形形状は、後述する製造方法において説明するように、伸縮性不織布の10の延伸加工によって生じるものである。この波形形状は、伸縮性不織布10に伸縮性を付与した結果生じるものであり、不織布10の風合いそのものに大きな悪影響を及ぼすものではない。むしろ、より柔らかで良好な不織布が得られる点から有利である。
本実施形態の伸縮性不織布10は、図1(a)及び(b)に示すように、伸縮方向に、微視的に波形形状になっているが、弾性繊維層1の厚みはほぼ均一である。また、一方の非弾性繊維層2の外面における高隠蔽部分13のピッチと、他方の非弾性繊維層3の外面における高隠蔽部分13のピッチとは、伸縮方向に半ピッチずれている。つまり、一方の非弾性繊維層2の厚みと他方の非弾性繊維層3の厚みとの和は、伸縮方向にほぼ均一である。その結果、非伸長状態において、伸縮性不織布10全体の厚みは、どの縦断面においても、ほぼ同じになっている。そのため、非伸長状態において、伸縮性不織布10は、どの位置においても坪量がほぼ同じであり、延いては、伸縮性不織布10には、伸縮方向に、光の隠蔽性の差が実質的に存在していない。
一方、本実施形態の伸縮性不織布10は、図1(c)に示すように、伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいて、伸縮性不織布10の波形形状の頂部(一方の非弾性繊維層2側の頂部及び他方の非弾性繊維層3側の頂部の両方)の近傍(非伸長状態における高隠蔽部分に対応する部分13’)は、ほとんど伸長せず、そのため、光の隠蔽性がほとんど低下せず、高隠蔽部分13となる。また、隣接する頂部間(非伸長状態における低隠蔽部分12に対応する部分12’)は、大きく伸長し、光の隠蔽性が低下することで、低隠蔽部分12となる。
伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいて、低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13の繰り返し周期(隣接する低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13についての伸縮方向に沿う長さの和)は、好ましくは1〜5mm、更に好ましくは1.5〜3.5mmである。繰り返し周期が斯かる範囲にあると、布様の外観が得られるとともに低隠蔽部分12が目立たない点から好ましい。
また、低隠蔽部分12と高隠蔽部分13との繰り返し方向(本実施形態においては、伸縮方向と一致している)において、高隠蔽部分13の平均長さは、低隠蔽部分12の平均長さよりも短いことが好ましく、低隠蔽部分12の平均長さよりも0.3mm以上短いことが更に好ましい。低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13の長さは、輝度のラインプロファイルから得られる平均値に対して、輝度の低い部分を低隠蔽部分12の長さとし、輝度の高い部分を高隠蔽部分13の長さとして、それらの平均値として示される。同様にして、低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13の繰り返し周期も、低隠蔽部分12の平均長さと高隠蔽部分13の平均長さとの和として求められる。
低隠蔽部分12と高隠蔽部分13との繰り返し周期並びに低隠蔽部分12の平均長さ及び高隠蔽部分13の平均長さを前述の範囲にするには、例えば、延伸加工において用いられる刃溝ロールの歯のピッチ、歯先の面積等を適宜設定すればよい。
本実施形態の伸縮性不織布10における前記波形形状は、一対の刃溝ロールからなる延伸装置によって延伸されることによって形成される。延伸装置を構成する一対の刃溝ロールは、その両方が駆動するようになっていてもよく(共回りロール)、一方の刃溝ロールのみが駆動するようになっていてもよい(連れ回りロール)が、共回りロールの方が、伸縮性不織布10が両刃に挟まれないため伸縮性不織布10にダメージが少ない点、及び前記波形形状を容易に形成することができる点で好ましい。
図1には示していないが、本実施形態の伸縮性不織布10にはエンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工は、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との接合強度を一層高める目的で行われる。従って、エアスルー法によって弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを十分に接合できれば、エンボス加工を行う必要はない。なお、エンボス加工は、構成繊維同士を接合させるが、エアスルー法と異なり、構成繊維同士を交絡しない。
本実施形態の伸縮性不織布10は、その面内方向の少なくとも一方向に伸縮性を有する。本実施形態の伸縮性不織布10は、面内のすべての方向に伸縮性を有していてもよい。その場合には、方向によって伸縮性の程度が異なることは妨げられない。最も伸縮する方向に関し、伸縮性の程度は、100%伸長時の荷重が40〜1000cN/50mm、特に80〜300cN/50mmであることが好ましい。また100%伸長状態から収縮させたときの残留歪みは、15%以下、特に10%以下であることが好ましい。
本実施形態の伸縮性不織布10は、その良好な風合いや、毛羽立ち防止性、伸縮性、通気性の点から、外科用衣類や清掃シート等の各種の用途に用いることができる。特に生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の構成材料(表面材等)として好ましく用いられる。ここでいう表面材とは、吸収体よりも肌側に位置する液透過性のシート(サブレイヤー等を含む)を意味する。また、例えば、使い捨ておむつの外面を構成するシート、胴回り部やウエスト部、脚周り部等に弾性伸縮性を付与するためのシート等として用いることができる。また、ナプキンの伸縮性ウイングを形成するシート等として用いることができる。また、それ以外の部位であっても、伸縮性を付与したい部位等に用いることができる。
伸縮性不織布の坪量や厚みは、その具体的な用途に応じて適切に調整できる。例えば吸収性物品の構成材料として用いる場合には、坪量20〜160g/m2程度、厚み0.1〜5mm程度とすることが望ましい。また、本実施形態の伸縮性不織布は、弾性繊維層の構成繊維が繊維形態を保っていることに起因して、柔軟で、通気性が高くなっている。柔軟性の尺度である曲げ剛性に関し、本実施形態の伸縮性不織布は、曲げ剛性値が10g/30mm以下と低いものとなっていることが好ましい。通気度は16m/(kPa・s)以上であることが好ましい。また、伸度は100%以上であることが望ましい。
曲げ剛性は、JIS L1096に準拠して測定され、ハンドルオメーターによる押し込み量:8mm、スリット幅:10mmの条件において、それぞれMD方向とCD方向に曲げた際の平均値として得られる。通気度は、カトーテック株式会社製 AUTOMATIC AIR−PERMEABILITY TESTER KES−F8−AP1により通気抵抗を測定し、その逆数として求められる。
本実施形態の伸縮性不織布によれば、非伸長状態において大きな襞がなく、見栄えに優れると共に、伸長状態において、透けずに使用者に安心感を与えることでき、破断強度が高い。詳述すると、非伸長状態においては、伸縮方向に、光の隠蔽性の差が実質的に存在しておらず、坪量等の差が実質的に存在していないため、明確な襞は形成されず、見栄え(外観)に優れる。一方で、伸長状態においては、伸縮方向に、低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とが交互に配列しているが、両部分12,13における隠蔽性の差が少ない。そのため、透けにくく、使用者に安心感を与える。また、低隠蔽部分12は坪量が小さく伸長しやすいため、伸縮性不織布10全体として十分に伸長する一方で、高隠蔽部分13は引張強度が高いため、伸縮性不織布10全体として十分な破断強度を有する。
また、本実施形態の伸縮性不織布10を、ホットメルト接着剤等の接着剤により他の部材に接合した場合において、接着剤が滲み出しにくい。
伸長性の低い高隠蔽部分13の面積が小さいため、伸縮性不織布10全体として、モジュラスが低くなると共に、部分的に応力が集中しないため残留歪みが小さくなる。従って、伸縮特性に優れたものとなる。また、撥水性の非弾性繊維を用いた場合には、伸長時において耐水圧の高いものが得られる。
弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを部分接合する手段としては、例えば、熱エンボス、超音波エンボス、ネットをパターン状にした部分スパンレース、ピンをパターン状にした部分ニードルパンチ、部分エアスルー等が挙げられる。これらの手段により、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3とを、任意のパターンで間欠的に又は帯状に接合することができる。部分接合によれば、全面接合に比べ、両繊維層の一体感や接合強度は劣るが、弾性繊維層1から部分的に非弾性繊維層2,3が浮くため、立体感や厚みのある伸縮性不織布が得られる。
次に、本実施形態の伸縮性不織布10の一製造方法を、図2を参照しながら説明する。図2には、本実施形態の伸縮性不織布10の一製造方法に用いられる製造装置が模式的に示されている。図2に示す製造装置は、製造工程の上流側から下流側に向けて、ウエブ形成部100、熱風処理部200及び延伸部300をこの順で備えている。
ウエブ形成部100には、第1ウエブ形成装置21、第2ウエブ形成装置22及び第3ウエブ形成装置23が備えられている。第1ウエブ形成装置21及び第3ウエブ形成装置23としては、カード機が用いられている。カード機としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。一方、第2ウエブ形成装置22としては、スピニングブローン紡糸装置が用いられている。スピニングブローン紡糸装置は、溶融ポリマーの吐出ノズルの先端近辺に一対の熱風吐出部が前記吐出ノズルを中心に対向配置され、その下流側に一対の冷風吐出部が前記吐出ノズルを中心に対向配置された紡糸ダイを備えている。ウエブ形成部100によれば、互いに重ね合わされた3層のウエブが得られる。
熱風処理部200は熱風炉24を備えている。熱風炉24内では、所定温度に加熱された加熱ガス、特に加熱空気が吹き出すようになっている。熱風炉24内に、互いに重ね合わされた3層のウエブが導入されると、該ウエブの上方から下方に向けて若しくはその逆方向に向けて又は両方向に、加熱ガスが強制的に貫通する。熱風処理部200によれば、繊維シート10Bが得られる。
延伸部300は、弱接合装置25及び延伸装置30を備えている。弱接合装置25は、一対のエンボスロール26,27を備えている。弱接合装置25は、熱風処理部200によって形成された繊維シート10Bにおける各層のウエブの接合を確実にするためのものである。弱接合装置25によれば、繊維シート10Aが得られる。
弱接合装置25の下流側には、これに隣接して延伸装置30が配置されている。延伸装置30は一対の刃溝ロール31,32を備えている。各刃溝ロール31,32は、その周面部に、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う刃溝を有している。刃溝ロール31,32が回転しているときに繊維シート10Aがそれらの噛み合い部分に供給されて噛み込まれることで、繊維シート10Aが刃溝ロール31,32の周面方向(即ちシートの長手方向)へ延伸される。尚、この延伸工程は別工程とすることもできる。
以上の構成を有する製造装置を用いた伸縮性不織布の製造方法について説明する。先ず、弾性繊維からなるウエブの各面に、同一の又は異なる非弾性繊維からなる一対のウエブを配する。なお「弾性繊維からなるウエブ」とは、弾性繊維のみからなるウエブだけでなく、該ウエブから形成される弾性繊維層1(図1参照)の伸縮弾性を損なわない範囲において、弾性繊維に加えて非弾性繊維が含まれているウエブも包含する。
図2に示すように、ウエブ形成部100においては、非弾性の短繊維を原料として用い、第1ウエブ形成装置21であるカード機によって非弾性繊維ウエブ3’を製造する。この原料繊維としては、低延伸の非弾性繊維が用いられる。ここでいう「低延伸の繊維」とは、紡糸後に低延伸倍率で延伸された繊維と、延伸されていない繊維、即ち未延伸繊維との両方を包含する。低延伸の繊維としては、その伸度が80〜800%、特に120〜650%のものを用いることが好ましい。この範囲の伸度を有する低延伸の繊維を用いることで、該繊維が延伸装置30で首尾良く引き伸ばされて、先に述べた不定径繊維が容易に形成される。低延伸の繊維の繊維径は、10〜35μm、特に12〜30μmであることが好ましい。
低延伸の繊維の伸度は、JIS L 1015に準拠し、測定環境温湿度:20±2℃、65±2%RH、引っ張り試験機のつかみ間隔:20mm、引っ張り速度:20mm/minの条件で測定した。なお、既に製造された不織布から繊維を採取して伸度を測定するとき等のように、つかみ間隔を20mmにできない場合、つまり測定する繊維の長さが20mmに満たない場合には、つかみ間隔を10mm又は5mmに設定して測定する。
また、熱可塑性エラストマー等からなる弾性樹脂を原料として用い、第2ウエブ形成装置22であるスピニングブローン紡糸装置によって紡出された繊維は、捕集ネットコンベア上に堆積され、弾性繊維の連続フィラメントを含む弾性繊維ウエブ1’が製造される。これを、コンベアから剥離させ、第1ウエブ形成装置21によって形成されて一方向に連続搬送されている非弾性繊維ウエブ3’上に積層させる。
弾性繊維ウエブ1’上には、更に、第3ウエブ形成装置23であるカード機によって製造された非弾性繊維ウエブ2’が積層される。非弾性繊維ウエブ2’の詳細は、上述した非弾性繊維ウエブ3’と同様であり、非弾性繊維ウエブ3’に関する説明が適宜適用される。非弾性繊維ウエブ2’は、構成繊維、坪量、厚み等に関して非弾性繊維ウエブ3’と同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、弾性繊維層1を積層させる前に、非弾性繊維ウエブ3’を熱風処理により仮融着又は仮交絡させることが好ましい。熱風処理による仮融着としては、ヒートロール法、加圧カレンダーロール法、スチームジェット法、エアスルー法などが挙げられ、仮交絡としては、ニードルパンチ法、ウォータージェット法などが挙げられる。特にヒートロール及びエアスルー法を用いると、不織布の風合いを損ねることがない点及び設備スペースを小さくできる点で好ましい。 図2には、エアスルー方式の熱風炉を備えた仮融着装置Aが、第1ウエブ形成装置21と第2ウエブ形成装置22の間に設置されている状態が示されている。
非弾性繊維ウエブ3’は、仮融着後又は仮交絡後に巻き取らず、インラインにてその上に弾性繊維を直接堆積させることが好ましい。弾性繊維を非弾性繊維ウエブ3’上に直接堆積すると、弾性繊維の自由度が高くなり、風等によってお互いの繊維を一層入り込ませやすくなるので好ましい。また、一旦巻き取ってしまうと、巻き付き圧によって非弾性繊維ウエブ3’が潰れてしまう場合がある。仮融着又は仮交絡させる目的は、非弾性繊維ウエブ3’上に弾性繊維を直接溶融紡糸して堆積させるときに、非弾性繊維ウエブ3’が風等で吹き飛ばされないようにすることにある。
尚、弾性繊維ウエブ1’は、直接紡糸に代えて、別のラインにおいて予め不織布状に製造されたものを、非弾性繊維ウエブ3’の上に合流させることで形成することもできる。
3つのウエブの積層体は、エアスルー方式の熱風炉24に送られ、そこで熱風処理が施される。熱風処理によって、繊維同士の交点が熱融着し、弾性繊維ウエブ1’はその全面において非弾性繊維ウエブ2’,3’と接合する。熱風処理前においては、各層のウエブが一体化していないことが好ましい。これによって各ウエブが有する嵩高で厚みのある状態が熱風処理後も維持されて、風合いの良好な伸縮性不織布が得られる。
熱風処理によって、繊維同士の交点を熱融着させ、各層のウエブを全面接合することに加えて、主として熱風の吹き付け面側に位置する非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’に入り込ませることが好ましい。また、熱風処理の条件を制御することによって、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’に入り込ませ、更に、非弾性繊維ウエブ1’の構成繊維と交絡させることが好ましい。あるいは、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を、弾性繊維ウエブ1’を突き抜けさせて、非弾性繊維ウエブ3’にまで到達させ、非弾性繊維ウエブ3’の構成繊維と交絡させることが好ましい。
非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部を弾性繊維ウエブ1’に入り込ませる、及び/又は、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維の一部を非弾性繊維ウエブ2’に入り込ませるための条件は、熱風風量:0.4〜3m/秒、温度:80〜160℃、搬送速度:5〜200m/分、熱風処理時間:0.5〜10秒であることが好ましい。ここでの熱風風量は、エアスルー法として一般的に行われる熱風風量よりも高いことが好ましく、具体的には1〜2m/秒であることが好ましい。エアスルー熱風処理に用いるネットに通気度の高いものを用いると、エアの通りによって繊維が一層入り込みやすくなる。同様に、非弾性繊維ウエブ3’上に弾性繊維ウエブ1’を直接紡糸する場合も、紡糸時の風によって弾性繊維ウエブ1’の構成繊維が非弾性繊維ウエブ3’に入り込み易くなる。熱風処理に用いるネット及び弾性繊維の直接紡糸に用いるネットは、それらの通気度が250〜800cm3/(cm2・s)、特に400〜750cm3/(cm2・s)であることが好ましい。上記条件は、繊維を軟化させて均一に入り込ませる点及び繊維を融着させる点においても好ましい。更に、繊維を交絡させるためには、熱風風量を3〜5m/秒とし、吹き付け圧を0.1〜0.3kPaとすることで可能となる。弾性繊維ウエブ1’の通気度が8m/(kPa・s)以上、更に好ましくは24m/(kPa・s)以上であると、熱風の通りがよくなり、繊維をより均一に入り込ませることができるので好ましい。また、繊維の融着が良好で最大強度が高くなり、毛羽立ちも防止される。
熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維の一部が弾性繊維ウエブ1’に入り込むのと同時に、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維及び/又は非弾性繊維ウエブ3’の構成繊維と、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維とが、それらの交点で熱融着することが好ましい。この場合、熱風処理を、該熱風処理後の弾性繊維が繊維形態を維持するような条件下に行うことが好ましい。即ち、熱風処理によって弾性繊維ウエブ1’の構成繊維がフィルム状又はフィルム−繊維構造にならないようにすることが好ましい。そして、熱風処理においては、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維同士が交点において熱融着し、同様に、弾性繊維ウエブ1’の構成繊維同士及び非弾性繊維ウエブ3’の構成繊維同士が交点において熱融着する。
エアスルー方式の熱風処理によって、3つのウエブが一体化された繊維シート10Bが得られる。繊維シート10Bは、一定幅を有して一方向に延びる長尺帯状のものである。繊維シート10Bは、次いで弱接合装置25に搬送される。弱接合装置25は、周面にエンボス用凸部が規則的に配置された金属製のエンボスロール26及びそれに対向配置された金属製又は樹脂製の受けロール27を備えたエンボス装置からなる。弱接合装置25によって繊維シート10Bには熱エンボス加工が施される。熱エンボス加工によって、図3に示すように、接合部4が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aが得られる。接合部4は、例えば、図3に示すように、繊維シート10Aの流れ方向(MD方向)及びその直交方向(CD方向)の両方向に不連続に形成されていることが好ましい。
なお、熱エンボス加工は、構成繊維同士を接合させるが、熱風処理部200によって行われるエアスルー方式の熱融着と異なり、構成繊維同士を交絡させない。この熱エンボス加工は必ずしも必要ではない。
繊維シート10Bを弱接合する方法としては、上述の熱エンボス加工の他、超音波接合、フラットロールによるカレンダー接合、スチームジェット接合が挙げられる。
弱接合装置25において熱エンボス加工が施された繊維シート10Aは、引き続き、延伸装置30へ送られる。延伸装置30は、図4に示すように、延伸加工される繊維シート10AのMD方向の滑りを防ぐ滑り防止手段33と、刃溝ロール31,32による延伸加工前後の繊維シート10Aに張力を加える張力付与手段34、35を備えている。
滑り防止手段33は、刃溝ロール31に接触するロールからなる。該ロールは、ゴムロールで構成されており、それらの周面部を刃溝ロール31に押し当てることで、刃溝ロール31,32間を通過する繊維シート10Aの滑りや収縮を抑制する。ロールからなる滑り防止手段33は、その周面部を刃溝ロール32に押し当てるように配置することもでき、このように配置しても、前記と同様の効果を奏させることができる。
上流側の張力付与手段34は、刃溝ロール31,32の上流側に配された一組のテンションロール34a、34bを備えている。下流側の張力付与手段35は、刃溝ロール31,32の下流側に配された一組のテンションロール35a、35bを備えている。
各刃溝ロール31,32における隣接する歯31a、32a同士のピッチは、好ましくは1.0mm〜5.0mmである。前記各歯の幅は、前記ピッチの好ましくは1/2未満である。前記歯の高さは、好ましくは隣接する歯のピッチ以上である。各ロールにおける刃溝の形態が斯かる範囲であると、本発明の伸縮性不織布10に低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13を容易に形成することができる。刃溝ロール31,32における隣接する歯同士のピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。刃溝ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯は、その幅が均等でなく、歯の根元から歯の先端部に向って細くなる台形型であってもよい。刃溝ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端部までの長さをいう。
各刃溝ロール31,32における隣接する歯同士のピッチは、繊維シート10Aの伸びの均一化を考慮すると、1.5〜3.5mmが更に好ましく、2.0〜3.0mmが一層好ましい。また、各ロールにおける歯の幅は、歯の強度を考慮すると、歯同士のピッチの1/4〜1/2が更に好ましく、1/3〜1/2が一層好ましい。さらに、各ロールの歯の高さは、繊維シート10Aに伸縮性を与えるために延伸倍率を高くすることを考慮すると、歯のピッチが例えば2.0mmの場合には、2.0(ピッチの1.0倍)〜4.0(ピッチの2.0倍)mmであることが好ましく、2.5(ピッチの1.25倍)〜3.5(ピッチの1.75倍)mmであることが一層好ましい。
図5には、延伸装置30による繊維シート10Aの延伸加工の状態が模式的に示されている。詳細には、延伸装置30における一対の刃溝ロール31,32を回転させながら、それらの噛み合い部分に繊維シート10Aを供給する。そして、図5に示すように、刃溝ロール31,32の間において、繊維シート10Aに延伸加工を施す。繊維シート10Aに一層効果的に伸縮性を付与する観点から、延伸加工前の繊維シート10Aに張力付与手段34によって張力を加えた状態で、刃溝ロール31,32間に繊維シート10Aを供給することが好ましい。繊維シート10Aに加える張力は、延伸加工前の繊維シート10Aの破断応力の10%〜80%が好ましく、20%〜70%が一層好ましい。
同様の観点から、延伸加工済みの繊維シート10Aに張力付与手段35によって張力を加えた状態で、刃溝ロール31,32の間から、繊維シート10Aを引き出すことが好ましい。繊維シート10Aに加える張力は、延伸加工後の繊維シート10Aの破断応力の5%〜80%が好ましく、10%〜70%が一層好ましい。シートの破断応力は、刃溝延伸加工の加工前に比べて、加工後では小さくなる。また、刃溝延伸加工によって伸縮性を付与された延伸加工済みの繊維シート10Aは、わずかな張力でも伸びやすい。そのような観点から、延伸加工済みの繊維シート10Aに加える張力を、延伸加工前の繊維シート10Aに加える張力よりも弱くすることが好ましい。
この延伸工程においては、図3及び図6に示すように、繊維シート10Aの接合部4のMD方向位置と、刃溝ロール31,32の歯31a,32aの位置とを一致させることが好ましい。具体的には、図3に示すように、繊維シート10Aには、MD方向に接合部4が直列に且つ直線状に複数個並んで形成されている接合部列が、複数本形成されており(図3には10本図示)、図3において、最も左側に位置する接合部列R1を始めとして、そこから一つおきの接合部列R1のそれぞれに含まれる接合部4については、一方の刃溝ロール31の歯31aの位置が一致し、左から2つ目の接合部列R2を始めとして、そこから一つおきの接合部列R2のそれぞれに含まれる接合部4については、他方の刃溝ロール32の歯32aの位置が一致するようにしてある。図3中、符号31a,32aで示す範囲は、繊維シート10Aが、両刃溝ロール31,32間に挿入されている状態の一時点において、各ロールの歯31a,32aの周面と重なる範囲を示したものである。接合部4と刃溝ロール31,32の歯31a、32aとの位置関係を一致させるため、接合部4のピッチと刃溝ロール31,32の歯31a、32aのピッチとは同じであるが、繊維シート10AのMD方向の伸びやネックインのため、両ピッチの比(前者/後者)が0.8倍〜1.2倍の範囲内であれば、接合部4の位置と刃溝ロール31,32の歯31a、32aの位置とを一致させることが可能である。
更に、繊維シート10Aに低隠蔽部分12及び高隠蔽部分13を形成するには、加熱しながら延伸加工を行うこと(加熱延伸)が好ましい。この場合、賦形ではなく、非弾性繊維を軟化させる点で、繊維シート10Aの表面から加熱するのが好ましい。加熱温度は、弾性繊維が塑性変形しない40℃〜60℃が好ましい。カレンダーロール等により延伸直前に繊維シート10Aを表面から予備加熱すると更に好ましい。
本製造方法によれば、繊維シート10Aが刃溝ロール31,32間を通過する際には、図6(b)及び(d)に示すように、接合部4と、何れかの刃溝ロールの歯31a,32aとが重なる一方で、歯31a,32aと重ならない歯同士間の領域、即ち上述した接合部列間の領域が積極的に引き伸ばされる。従って、接合部4の破壊(層間の剥離等)を防止しつつ、繊維シート10Aの接合部4以外の部分を効率的に延伸させることができる。また、この延伸により、非弾性繊維層2,3には、繊維シート10Aが収縮しても回復しない変化が生じる。その変化により、非弾性繊維層2,3が、弾性繊維層1の自由な伸縮を阻害する程度が大きく低下する。
延伸装置30から送り出された繊維シート10Aは、MD方向への延伸状態が解放される。即ち伸長が緩和される。その結果、繊維シート10AにMD方向への伸縮性が発現し、繊維シート10AはMD方向へ収縮する。これによって目的とする伸縮性不織布10が得られる。なお、延伸状態を解放する場合、延伸状態が完全に解放されるようにしてもよく、あるいは伸縮性が発現する限度において、延伸状態がある程度維持された状態で延伸状態を解放してもよい。
本製造方法によれば、高伸縮性であり、また、破れや毛羽立ちの少ない外観の良好な伸縮性不織布10を効率的に製造することができる。
刃溝ロール31,32による噛み合いによって、非弾性繊維層2,3に含まれる低延伸の繊維が引き伸ばされて細くなり、不定径繊維が形成されることは先に述べた通りであるが、この噛み合いを利用することで、不定径繊維は、その太さが周期的に変化したものとなる。詳細には、低延伸の繊維は、刃溝ロール31,32における隣り合う歯の間において引き伸ばされる。低延伸の繊維の引き伸ばしは、歯のピッチに応じて変化する。従って、歯のピッチを調整することで不定径繊維の太さの変化の周期をコントロールすることができる。
前記の延伸加工によって、原反である繊維シート10Aの強度に対する、延伸後に得られた伸縮性不織布の強度は、伸縮方向において30〜100%、特に60〜100%となることが好ましい。伸縮方向と直交する方向においては、25〜100%、特に60〜100%となることが好ましい。即ち、延伸後に得られた伸縮性不織布の強度は、原反である繊維シート10Aの強度に比べて大きく低下しないことが好ましい。このようにするためには、例えば非弾性繊維として低延伸の繊維を用いればよい。
また前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの厚みは、延伸加工前後で1.1倍〜4倍、特に1.3倍〜3倍に増すことが好ましい。厚みが増す理由は、延伸加工により伸びた繊維がループをなすからである。特に、非弾性繊維層2,3の繊維が塑性変形して伸びることで繊維が細くなると同時に、非弾性繊維層2,3が一層嵩高となり、肌触りが良く、クッション性が良好になる。
延伸加工される前の繊維シート10Aの厚みが薄いと、繊維シート10Aのロール原反を運搬及び保管するスペースを小さくできるメリットがある。
更に、前記の延伸加工によって、繊維シート10Aの曲げ剛性は、延伸加工前に比較して30〜80%、特に40〜70%に変化することが好ましい。これによって、ドレープ性が良く柔らかな不織布が得られる。また、延伸加工される前の繊維シート10Aの曲げ剛性が高いことで、搬送ラインで繊維シート10Aに皺が入りにくくなるので好ましい。その上、延伸加工時にも繊維シート10Aに皺が入らず、加工しやすいものとなるので好ましい。
延伸加工前後での繊維シート10Aの厚みや曲げ剛性は、非弾性繊維層2,3に用いられる繊維の伸度、エンボスロールのエンボスパターン、刃溝ロール31,32のピッチや先端部の厚み、噛み合わせ量によって制御することができる。
<伸縮性不織布の厚みの測定方法>
伸縮性不織布の厚みは、伸縮性不織布を20±2℃、65±2%RHの環境下に無荷重にて、2日以上放置した後、次の方法にて求める。先ず伸縮性不織布を0.5cN/cm2の荷重にて平板間に挟む。その状態下にマイクロスコープにて断面を25〜200倍の倍率で観察し、各層の平均厚みを求める。また、平板間の距離から全体の厚みを求める。繊維の入り込みについては相互の入り込みの中間点を厚みとする。
本発明は、前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態の伸縮性不織布10は、弾性繊維層1の両面に、同一の又は異なる、実質的に非弾性の非弾性繊維層2,3が積層された形態のものであったが、本発明の伸縮性不織布においては、弾性繊維層の一面に非弾性繊維層が積層された2層構造の形態であってもよい。2層構造の伸縮性不織布を、吸収性物品の構成材料として用いる場合、肌触りやべたつき防止等の観点から、特に使用者の肌に触れる箇所に使用する場合には、非弾性繊維層が着用者の肌側に向くように(弾性繊維層が着用者の肌側に向かないように)使用することが好ましい。
また、本発明の伸縮性不織布は、4層以上の構造を有していてもよい。その場合、弾性繊維層と非弾性繊維層とが交互に積層した形態が一般的であるが、弾性繊維層が隣接して積層した形態及び非弾性繊維層が隣接して積層した形態を含む形態でもよい。
低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とは2方向に交互に配列していてもよい。その場合、低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とが、MD方向のみならずCD方向にも交互に配列した(換言すると、低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とが面方向に格子縞状に配列した)伸縮性不織布となる。このような配列形態は、例えば、MD方向に低隠蔽部分12と高隠蔽部分13とが交互に配列した伸縮性不織布10に対し、CD方向への延伸加工を更に行うことで得ることができる。
また、前述の製造方法においては、繊維シート10AをMD方向に延伸させているが、これに代えてCD方向に延伸させることもできる。
また、図5に示す方法においては、一方の刃溝ロールの歯先(歯の先端部)と他方の刃溝ロールの歯底とによって繊維シート10Aが挟まれていない状態で延伸が行われているが、歯先と歯底との間の間隔を狭くして、歯先と歯底との間に繊維シート10Aを挟んだ状態で延伸を行うこともできる。つまり、繊維シート10Aを介して歯先と歯底とが底つきした状態で延伸することもできる。また、延伸工程は、特開平6−133998号公報に記載の方法を用いることもできる。
また、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との接合は、エアスルー法に制限されず、例えば、以下の方法が挙げられる。弾性繊維層の構成繊維が紡糸直後で溶融状態又は半溶融状態のときに、その溶融状態又は半溶融状態の弾性繊維層の構成繊維を、非弾性繊維層ウエブの上に導入し、溶融状態又は半溶融状態の弾性繊維層の構成繊維の固化結合力又は粘着力を利用して、弾性繊維層1と非弾性繊維層2,3との接合を行う。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
下記実施例1〜6及び比較例について、以下の各評価項目をそれぞれ評価した。その評価結果については下記〔表1〕に示す。
<輝度>
株式会社プラネトロン製:画像解析ソフト Image−Pro Plus(Ver.4.0)を用い、ラインプロファイル(水平シックプロファイル)にて、輝度の測定を行った。伸縮性不織布のサンプルとして、伸長方向に50mm、伸長方向と直交する方向に25mmにカットしたものを用いた。黒色台紙上に、次に述べる伸度になるように、伸縮性不織布のサンプルの伸長方向の両端をテープにて貼り付けた。サンプルが非伸長状態において、テープの間隔は30mmとした。
輝度の測定は、黒色台紙の個体差の影響を排除するため、1つの台紙上に上記サンプルを並べ、黒色台紙のみ(LB)、黒色台紙上に非伸長状態のサンプルを貼り付けたもの(L0)、黒色台紙上に50%(1.5倍)に伸長させたサンプルを貼り付けたもの(L50)、黒色台紙上に100%(2倍)に伸長させたサンプルを貼り付けたもの(L100)それぞれについて行う。そして、1200dpi、8ビットグレースケールの条件で、スキャナーより伸縮性不織布毎に各伸長倍率のサンプルの画像を同時に取り込み、取り込まれた画像を画面上で横方向に伸ばした状態になるようにして、輝度の測定を、伸長方向に20mm、伸長方向と直交する方向に5mmの範囲にて行った。データ点数は約900点とし、サンプル数nは3とした。輝度の標準偏差及び平均輝度は、下記式〔数1〕により求め、3サンプルの平均値とした。〔数1〕における「L50’」は、1.5倍伸長時の測定値と黒色台紙の差を非伸長状態のサンプルを100として補正した値である。伸縮性不織布の輝度は、この補正後の値(L50’)を意味する。
Figure 0005511860
<最大強度、最大伸度、100%伸長時強度、50%戻り強度、残留歪み>
伸縮性不織布の伸縮方向へ200mm、それと直交する方向へ50mmの大きさで矩形の試験片を切り出した。株式会社オリエンテック製:テンシロン RTC1210Aに試験片を装着した。チャック間距離は150mmであった。試験片を不織布の伸縮方向へ300mm/分の速度で伸長させ、そのときの荷重を測定した。そのときの最大点の荷重を「(伸縮方向の)最大強度」とした。
また、そのときの試験片の長さをBとし、もとの試験片の長さをAとしたとき、{(B−A)/A}×100を「(伸縮方向の)最大伸度」(%)とした。
また、100%伸長サイクル試験を行い、「100%伸長時強度」を100%伸長時の荷重から求めた。
また、100%伸長後、直ちに同速にて50%伸長状態に戻したときの強度(「50%戻り強度」)を、50%伸長時の荷重から求めた。50%戻り強度は、例えば使用時の締め付け力に相当するもので、伸縮性能として重要である。
また、100%伸長後、同速にて原点に戻して行ったときの戻らない長さの割合を測定し、その値を「残留歪み」とした。
<未延伸方向の最大強度、未延伸方向の最大伸度、繊維径、厚み、外観>
未延伸方向とは、伸縮方向に対して直交する方向であり、従って、未延伸方向の最大強度及び最大伸度は、前述の伸縮方向の最大強度及び最大伸度の測定方法を、伸縮方向に対して直交する方向(未延伸方向)へ引っ張り試験を行う形で援用して測定される。例えば、試験片は、伸縮方向へ50mm、それと直交する方向(未延伸方向)へ200mmの大きさで矩形に切り出す。
繊維径は、弾性繊維について、ランダムに選んだ10本の繊維径を、光学顕微鏡により200〜500倍にて測定し、その平均値として求めた。
厚みは、前述の<伸縮性不織布の厚みの測定方法>に記載された方法により測定した。
また、伸縮性不織布を伸縮方向に1.5倍に伸長させたときの外観を、以下の基準で判定した。判定は3人で行い、2人以上同じ意見であればその意見を判定結果とし、3人がそれぞれ別の意見であれば真ん中の意見を判定結果とした。
×:透け感があり、強度的に弱そうに見える。
△:やや透け感がある。
○:問題の無い範囲の透け感である。
◎:布様の外観を有し、安心感がある。
〔実施例1〕
図1に示す伸縮性不織布を、図2に示す装置を用いて製造した。まず直径21μm、最大伸度200%、繊維長44mmの高伸度の短繊維(芯がPETで、鞘がPEの芯鞘型複合繊維)をカード機21に供給し、カードウエブからなる非弾性繊維ウエブ3’を形成した。この非弾性繊維ウエブ3’を仮融着装置Aに導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け、熱風処理を行い、構成繊維を仮融着した。熱風処理の条件は、ネット上温度が137℃であった。この熱風処理によって、構成繊維が仮融着された坪量10g/m2の非弾性繊維ウエブ3’を得た。この非弾性繊維ウエブ3’上に、連続繊維からなる弾性繊維ウエブ1’を直接積層した。
弾性繊維ウエブ1’は次の方法で形成した。スチレン系エラストマー樹脂からなる弾性樹脂を原料として用いた。押出機を用い、溶融した樹脂をダイス温度290℃で紡糸ノズルから押し出し、メルトブローン法によって樹脂及び熱風を共に吹き出させ、弾性繊維ウエブ1’を非弾性繊維ウエブ3’上に直接成形した。成形ネットとして、通気度420cm3/(cm2・s)のものを用いた。弾性繊維の直径は10μmであった。弾性繊維ウエブ1’の坪量は15g/m2であった。
弾性繊維ウエブ1’上に、非弾性繊維ウエブ3’と同様の短繊維からなる非弾性繊維ウエブ2’を積層した。非弾性繊維ウエブ2’の坪量は10g/m2であった。ここで、非弾性繊維ウエブ2’の構成繊維は仮融着されていない。
これら3層のウエブの積層体を熱風炉24に導入し、エアスルー方式で熱風を吹き付け、熱風処理を行った。熱風処理の条件は、ネット上温度:137℃、熱風風量:2m/秒、吹き付け圧:0.2kPa、吹き付け時間:15秒間、ネットの通気度:500cm3/(cm2・s)であった。この熱風処理によって3層のウエブが一体化された繊維シート10Bが得られた。
次いで、繊維シート10Bに熱エンボス加工を施した。熱エンボス加工は、エンボス凸ロール26とフラット金属ロール(受けロール)27とを備えた弱接合装置25を用いて行った。エンボス凸ロール26として、CD方向、MD方向とも各方向に隣り合うドットのピッチが2.0mmである多数の凸部を有するドット状凸ロールを用いた。各ロールの温度は120℃に設定した。この熱エンボス加工によって接合部4が規則的なパターンで形成された繊維シート10Aが得られた。この繊維シート10Aを巻き取り、不織布原反とした。
繊維シート10Aをその原反から繰り出し、繊維シート10Aに対して延伸加工を施した。延伸加工は、図5に示す一対の刃溝ロール31,32を用いて行った。刃溝ロール31,32における歯のピッチは2mmであった。一対の刃溝ロール31,32は、両方の刃溝ロール31,32が駆動する「共回り」方式の延伸ロールである。延伸倍率は、MD方向に3倍であった。白色を有する伸縮性不織布が得られた。
〔実施例2〕
実施例1に比して、延伸加工に用いる一対の刃溝ロール31,32として、実施例1における「共回り」方式の延伸ロールに代えて、一方の刃溝ロール32のみが駆動し、他方の刃溝ロール31が刃溝ロール32の回転に伴って従動する「連れ回り」方式の延伸ロールを用いた。それ以外は、実施例1と同様である。
〔実施例3〕
実施例1に比して、非弾性繊維ウエブ3’及び2’を構成する短繊維として、酸化チタンを0.3wt%含む短繊維を用いた。それ以外は、実施例1と同様である。
〔実施例4〕
実施例1に比して、MD方向へ延伸を行う一対の刃溝ロール31,32に代えて、大径部と小径部とが軸長方向に交互に形成された一対の凹凸ロールを備えた延伸装置を用いてCD方向へ3倍延伸を行った。それ以外は、実施例1と同様である。
〔実施例5〕
実施例1に比して、非弾性繊維ウエブ3’及び2’を構成する短繊維として、最大伸度35%の低伸度の短繊維を用いた。それ以外は、実施例1と同様である。
〔実施例6〕
実施例2に比して、伸縮性不織布10を、3層のウエブの積層体から形成されたものに代えて、図2に示す装置を用いて以下の通り、伸縮性不織布を製造した。弾性樹脂としてスチレン系エラストマー樹脂からなる弾性樹脂を用いた。非弾性樹脂としてホモタイプのポリプロピレン樹脂(PP)を用いた。これらの樹脂を用いて2種の樹脂の混合繊維からなる弾性繊維ウエブ1’を成形した。弾性繊維ウエブ1’の形成には2台の押出機を用い、各樹脂をダイス温度290℃にてそれぞれの押出機で溶融させ、紡糸ノズルから押し出し、スピニングブローン法によってネット上に繊維を堆積させた。紡糸ノズルはそれぞれの樹脂を交互に押し出す形状のものであった。弾性樹脂と非弾性樹脂との重量比(前者/後者)は5/5であった。弾性繊維の繊維径は20μmであった。非弾性繊維の繊維径は15μmであった。弾性繊維ウエブ1’の坪量は40g/m2であった。
そして、実施例2と同様に熱エンボス加工及び延伸加工を行った。
〔比較例〕
実施例6に比して、延伸加工に用いる一対の刃溝ロール31,32として、歯のピッチが3mmのものを用いた。それ以外は、実施例6と同じである。
Figure 0005511860
前記実施例及び比較例の評価結果から例えば以下のことがわかる。実施例1〜4においては、非弾性繊維が延伸することにより、低隠蔽部分は、繊維径が細くなるのと同時に白化し、隠蔽性が増す。そのため、低隠蔽部分と高隠蔽部分との差が小さくなり、透け感がなく、見た目のよいものが得られた。延伸時に両刃溝ロールが駆動する「共回りロール」を用いた方が、伸縮性不織布へのダメージが少なく、また平均輝度の高いものが得られた。
1 弾性繊維層
2,3 非弾性繊維層
4 接合部
10A,10B 繊維シート
10 伸縮性不織布
12 低隠蔽部分
12’ 低隠蔽部分に対応する部分
13 高隠蔽部分
13’ 高隠蔽部分に対応する部分

Claims (6)

  1. 少なくとも1方向に伸縮性を有する伸縮性不織布であって、
    最大伸度が50%以上であり、伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいては、伸縮方向に、相対的に光の隠蔽性の低い低隠蔽部分と相対的に光の隠蔽性の高い高隠蔽部分とが交互に配列しており、伸縮性不織布の輝度についての標準偏差が2〜15であり、
    伸縮方向に伸長させていないときにおいては、伸縮方向に、光の隠蔽性の差が実質的に存在しておらず、
    弾性繊維及び非弾性繊維を含み、原料としての該非弾性繊維は未延伸繊維又は低延伸繊維であり、該非弾性繊維は、その繊維の太さが、長さ方向において一様になっておらず、周期的に変化している不定形繊維を形成し、
    前記不定形繊維の太さは、最も細い部分において2〜15μmであり、最も太い部分において10〜30μmである伸縮性不織布。
  2. 伸縮方向に1.5倍に伸長させたときにおいて、前記低隠蔽部分及び前記高隠蔽部分の繰り返し周期は1〜5mmであり、
    この繰り返し方向において、高隠蔽部分の平均長さの方が低隠蔽部分の平均長さよりも短い請求項1記載の伸縮性不織布。
  3. 最大伸度が100%以上であり、伸縮方向に2倍に伸長させたときにおいて、伸縮性不織布の輝度についての標準偏差が2〜15である請求項1又は2記載の伸縮性不織布。
  4. 前記非弾性繊維にフィラーを0.1〜1.0wt%含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の伸縮性不織布。
  5. 一対の刃溝ロールでその両方が駆動するロールからなる延伸装置によって延伸されることにより形成される請求項1〜4の何れか1項に記載の伸縮性不織布。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の伸縮性不織布を用いた吸収性物品。
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