JP6996868B2 - 不織布 - Google Patents

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Description

本発明は不織布に関する。
不織布などのシート材料に関し、様々な機能を付与する技術がある。
例えば、特許文献1には、熱可塑性組成物から形成される不織布用繊維の記載がある。前記熱可塑性組成物は、繊維の強度と延性との良好なバランスをとる観点から、複数の個別の主要領域及び空隙が連続相内に分散された形態とされている。特許文献2には、防漏シート用のフィルムについて、透湿性及びガス透過性の観点から、延伸により微細孔を形成したものが記載されている。また、特許文献3には、より低密度な繊維とするために、約800ナノメートル以下の平均断面寸法を持つ複数のナノ細孔を連続相内に含むポリオレフィン繊維が記載されている。
特開2015-508848号公報 特開昭58-149303号公報 特開2016-530404号公報
吸収性物品は、使用者の身体に装着して排泄液を吸収保持する。使用後に外して廃棄する際、肌に当接していた表面シートは露出して目に留まる。このとき、吸収した排泄液、例えば尿や経血等の色味が表面シート表面側から見えることがある。この色味は吸収性物品の汚れとして認識され、取り外し及び廃棄作業時の使用者等にとって不快に感じられやすい。特に、排泄液が経血である場合は、装着時の使用者の心情とも相まって精神的な負担をかけることにもなりかねない。
吸収性物品の他にも、マスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートなど、これらに付着したゴミが見えることは、使用者等にとって不快なものである。
このような汚れの付着しやすい物品においては、不快感などの精神的な負担をできるだけ軽減して、安心して使用でき、快適に新しい物品に取り換えられることが望まれる。
本発明は、上記の問題点に鑑み、吸収性物品やマスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートなど不織布を用いた物品について、使用後の物品の外見から排泄量や汚れ拭き取り量など物品の使用状態を目視で確認でき、かつ、使用後の物品の外見から受ける不快感などの精神的負担を軽減することができる不織布に関する。
本発明は、孔を有する繊維で構成された第1領域と、前記第1領域の繊維よりも孔の少ない繊維または孔を有さない繊維の少なくとも一方で構成された第2領域とが、不織布の平面方向に交互に配置され、前記第1領域を構成する繊維が有する孔の短軸の長さが100nm以上750nm以下である不織布を提供する。
本発明の不織布は、吸収性物品やマスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートなど不織布を用いた物品について、使用後の処理の際に、物品の外見から排泄量や汚れ拭き取り量など物品の使用状態を目視で確認でき、かつ、見る人が受ける不快感などの精神的負担を軽減することができる。
本発明に係る不織布の好ましい実施形態を模式的に示す平面図である。 (A)本実施形態の第1領域を構成する1本の繊維の一部を模式的に示す部分拡大図であり、(B)は(A)の断面図であり、(C)は(B)の断面における孔を模式的に示す部分拡大断面図である。 図2(C)における光の散乱状態を模式的に示す説明図である。 不織布の繊維が絡まった状態における孔の配置状態を模式的に示す説明図である。 第1領域と第2領域との別の好ましい配置態様を模式的に示す平面図である。 1本の繊維内に、第1領域6を構成する繊維26と第2領域7を構成する繊維27とが連続して存在する具体例を示す図面代用写真である。 扁平形状の繊維の断面図である。 本実施形態の不織布が凹凸形状を有する場合の好ましい態様を示す一部切欠斜視図である。 本発明の伸縮性不織布シートの製造方法の好ましい一実施形態におけるかみ合い工程として、歯溝ロールを用いた延伸加工工程を示す説明図である。 図9に示すかみ合い工程において、一対の歯溝ロールが、かみ合って複合シートを延伸処理する工程を模式的に示す説明図である。 かみ合い工程として、ピンロールを用いた延伸加工工程を示す説明図である。 対向するピンロールのピンがかみ合った状態における互いのピンの配置態様を示す断面図であり、(A)は千鳥状の配置態様を示しており、(B)は格子状の配置態様を示しており、(C)は六角形状の配置態様を示している。
以下、本発明の不織布について、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の不織布10を示している。不織布10は、孔を有する繊維で構成された第1領域6と、第1領域6の繊維よりも孔の少ない繊維または孔を有さない繊維の少なくとも一方で構成された第2領域7とを有する。第1領域6と第2領域7とは、不織布10の平面方向に交互に配置されている。より具体的には、不織布10は長手方向FYとこれに直交する幅方向FYとを有し、第1領域6と第2領域7とは、幅方向FYに交互に配置されている。なお、図1においては、第1領域6と第2領域7との配置態様を認識できるよう、第1領域6について模様を付して示した(以下に示す図面においても同様。)。しかし実際には、本発明に係る不織布において、このような模様を必要とするものではない。
図2は、第1領域6を構成する繊維20が有する孔1ついて模式的に示している。
孔1は、長軸1Yと短軸1Xとを有する形状であり、短軸1Xの長さを100nm以上750nm以下の範囲内としている。長軸1Y及び短軸1Xの長さは、孔1の外形を楕円で近似して求められる長さである。
第1領域6とは、短軸1Xの長さが100nm以上750nm以下の孔1を5つ以上有する繊維からなることを意味する。第1領域6においては、このような繊維が構成繊維の8割以上を占めることが好ましい。
また、第2領域7とは、第1領域6の繊維よりも短軸1Xの長さが100nm以上750nm以下の孔1の数が少ない繊維、または、孔1を有さない繊維から構成されている領域を意味する。孔1の数が少ない繊維とする場合、第2領域7の繊維が有する孔1の数が、第1領域6の繊維の孔1の数の1/2以下であることが好ましい。
孔1は、樹脂などの繊維成分2が部分的に断絶された部分である。孔1は、繊維表面にある場合は、表面の繊維成分2が裂けて形成された穴(開孔部)であり、繊維内部にある場合は、内部の繊維成分2を欠いた部分である。孔1は、繊維表面及び繊維内部のいずれにある場合も、空気相であることが好ましい。空気相は樹脂との間の屈折率差が大きいため、界面での散乱性が高くなり、後述する光を散乱させる作用がより強くなる。
孔1を有する繊維20は、孔1と繊維成分2との間の、光の屈折率差がある界面を備えることとなる。光の屈折率差がある界面では、図3に示すように、繊維へ入射した光が散乱する。この光の散乱性は、孔1の短軸1Xを100nm以上750nm以下の範囲内とすることによって、不織布10における汚れに対する高い隠蔽性を実現できる。
不織布10の第1領域6においては、孔1を有する繊維20を複数交絡させながら含んでいる。これにより、各繊維20が有する孔1は、第1領域6において、不織布10の平面方向及び厚み方向に分散して配置されている。すなわち、繊維の光を散乱させる部分が不織布10の平面方向及び厚み方向に分散配置される(図4参照)。この分散配置は、樹脂をシート状にした開孔フィルムが平面に孔が同じ高さで点在するのとは異なる、立体的な配置である。また、不織布10において、孔1の方向はフィルムのようには揃わず多方向である。さらに、不織布10は複数の繊維から構成されるため、フィルムに比べて表面積が大きく、光が散乱する界面を大きくとることができる。
不織布10において、第1領域6は、第2領域7よりも孔の数が相対的に多い繊維で構成されているため、第2領域7よりも光の屈折率差が大きくなる界面を多く有する。そのため、第1領域6では、光が散乱しやすく、不織布の下方及び不織布内部の汚れ等が不織布表面から見え難くされている。これにより、第1領域6は汚れ等に対する隠蔽性の高い領域(以下、汚れ隠蔽領域ともいう。)となっている。
一方、第2領域7は、第1領域6の繊維よりも孔の数が相対的に少ない繊維、孔を有さない繊維のいずれか、又は両方で構成されている。そのため、第1領域6よりも光の屈折率差が大きくなる界面が少ない。これにより、第2領域7は、不織布下及び不織布内の汚れ等が不織布表面から見えやすくされ、汚れ等に対する視認性の高い領域(以下、以下、汚れ視認領域ともいう。)となっている。
ここでいう汚れとは、不織布10を構成部材として備える物品を使用した結果、構成部材自体が有する色味とは異なる着色が生じた部分のことである。この着色は、不織布10自体に生じることもあれば、不織布10の下方に配される部材に生じることもある。
このような汚れとしては、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、不織布10を吸収性物品の肌当接部である表面シートとした場合、不織布10自体に加え、不織布10の下方に配される部材(吸収体やセカンドシート等)に生じる、尿や経血によって着色される汚れである。また、不織布10をマスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートなどに用いた場合、不織布10自体に生じる、付着したゴミなどによって着色される汚れである。
不織布10において、このような第1領域6と第2領域7とが、不織布10の平面方向に交互に配置されている。すなわち、第1領域6と第2領域7とが互いに隣接しながら複数配置されている。これにより、不織布10の平面について、汚れの見える領域が分断され、かつ、隣接する第1領域6と第2領域7との間で、汚れ(着色)の見え方にコントラストが生じる。
図1においては、第1領域6及び第2領域7が共に、不織布10の長手方向FY方向に延在し、不織布10の幅方向FXに沿って互いに隣接して交互に配置されている。なお、第1領域6及び第2領域7の配置はこの態様に限定されるものではなく、種々の形態をとり得る。例えば図5に示すように、汚れに対する視認性の高い第2領域7が、ドット(円)状にされて分散して配置され、その間に、汚れに対する遮蔽性の高い第1領域6が配置される態様でもよい。また、図5の態様において、第1領域6と第2領域7とを入れ換えた配置でもよい。さらに個々の第1領域6又は第7領域7の形状は、ドット状以外でもよく、例えば楕円状にされてもよい。また、ドット状や楕円状等にされた第1領域6又は第2領域7が、不織布10の平面方向に、千鳥状、格子状、六角形など規則的に配列されてもよい。
不織布10においては、前述のとおり、汚れ(着色)の見え方にコントラストが生じる。これにより、不織布10を平面視したとき、使用後の物品の外見から排泄量や汚れ拭き取り量など物品の使用状態を目視で確認でき、かつ、見る人が受ける不快感などの精神的負担を軽減することができる。
すなわち、前述した色味の差(コントラスト)によって、第1領域6の高い隠蔽性がより強く感じられる。また、第2領域7に関しても、隣接する第1領域6の存在によって錯視効果が得られて全体の色味が緩和される。これらによって、見る人が受ける不快感などの精神的負担が軽減され得る。しかも、第2領域7では、下方の色味の視覚的な印象を弱められながらも、その色味の存在から使用状態を確認することができる。例えば、不織布10を吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、複数の第2領域7に亘って視認される着色(汚れ)部分の外縁から、排泄液(尿や経血など)の排泄量を確認できる。これによって、吸収性物品の漏れの無い安心の吸収力を実感できる。また、不織布10をマスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートとして用いた場合に、複数の第2領域7に亘って広がる視認される着色(汚れ)部分の色味及び外縁から、ゴミ取りの程度を確認できる。
第1領域6は、汚れ隠蔽領域として、第2領域7よりも着色(汚れ)の色味を弱めるよう、繊維が有する孔1によって光の散乱が第2領域7よりも強く発現する領域である。孔1は、前述のとおり、短軸1Xを100nm以上750nm以下の範囲内としている。
第1領域6を構成する繊維は、繊維径×繊維径の平方視野範囲内の孔1の数(L1)を5以上とし、10以上とすることがより好ましく、20以上とすることが更に好ましい。また、前記孔1の数(L1)は、繊維の強度を保持する観点から、5000以下が好ましく、4000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。
一方、第2領域7を構成する繊維は、繊維径×繊維径の平方視野範囲内の孔1(短軸1Xの長さが100nm以上750nm以下)の数(L2)を、第1領域6を構成する繊維の孔1の数に対して、1/2以下とすることが好ましく、1/10以下とすることがより好ましく、1/20以下とすることが更に好ましく、0(ゼロ)とすることが特に好ましい。
なお、孔の確認は、後述の(孔1の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸1Yの長さの測定方法)に基づき、繊維表面について行われる。また、孔1を有する繊維で構成された第1領域6は、不織布の表面(一方の面又は表裏の両面)にあってもよく、不織布の厚み方向の一部の層にあってもよく、厚み方向全体にあってもよい。加えて、繊維が第1領域6と第2領域7とに跨って存在する場合は、部分的に第1領域6を構成する繊維となり、残りの部分が第2領域7を構成する繊維となる。図6の図面代用写真は、1本の繊維内に、第1領域6を構成する繊維26と第2領域7を構成する繊維27とが連続して存在する具体例を示している。この具体例においては、繊維26の表面について任意で設定した繊維径×繊維径(40μm×40μm)の平方視野範囲に、短軸1Xの長さが100nm以上750nm以下の孔1を少なくとも10個有することが確認されている。また、孔1は、1箇所の平方視野に留まらず全体に広がっている(図6の円で囲って示した部分)。一方、第2領域7を構成する繊維27部分の孔1の数が、第1領域6を構成する繊維26部分の孔1の数に対し1/2以下とされていた。
(孔の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸1Yの長さの測定方法)
孔については、次の方法により観察し、測定できる。
(i)測定対象が吸収性物品の表面材等に用いられている繊維である場合、吸収性物品にコールドスプレーを吹きかけて接着剤を固化し、表面材等を吸収性物品から丁寧に剥がす。剥がした表面材を赤色標準板(日本電子)の上において、交互に隠蔽性の違いがある2領域を目視で確認する。次いで、ピンセットを用いて繊維を3本取り出す。このとき繊維を抜き出す場所は任意だが、エンボス等で融着してフィルム化している領域は除く。また、測定対象が吸収性物品などに複合化されていない繊維である場合や、不織布である場合も任意に3本の繊維をピンセットで取り出す。
(ii)1本の繊維を観察しやすい長さに切り、試料台にカーボンテープ等を用いてセットする。走査型電子顕微鏡で電荷のチャージを防ぐため表面を金やオスミウム等でコーティングする。
(iii)走査型電子顕微鏡(JCM-5100 商品名、日本電子株式会社製)を用いて、印加電圧2.0kV以上、50倍の低倍率で繊維を測定画面の中央部分に移動させる。
(iv)繊維表面の任意の場所で、繊維の中央部分(繊維径の端点と端点を結んだ線分の中心)にピントを合わせ、倍率を増加させる。このとき、観察する倍率は繊維径によるものとし、繊維中のある点において繊維径が画面内に入るように倍率を変える(繊維が細い径の場合は、倍率を増加して観察し、太径の繊維では倍率を低減して観察する。)。測定視野は、孔の数を確認する場合は、縦80μm×横120μm、孔の短軸長さを測定する場合は、縦9μm×横12μmとする。
(v)繊維表面の観察結果を写真撮影する。
(vi)写真を印刷し、写真の上に紙をのせて孔の外形をトレースする、あるいはImage Jなどの画像解析ソフトで画像を2値化して、孔の外形がわかるようにする。
(vii)孔の外形のある一点から孔の中心を通り、孔の外形のある一点までを結ぶ線分を引いたとき、一番長い線分の方向を長軸、それに直交して、孔の外形のある点から中心を通り孔のある点を通過する線分方向を短軸と呼ぶ。
(viii)短軸と長軸の長さは、写真の上に、JIS番号7516の金属製定規をあてて、それぞれの長さを測定する。また、短軸1Xの長さが100nm以上750nmの孔1の数を確認する。
なお、後述する孔の形成のための延伸加工を行う場合、繊維内部と繊維表面の両方に張力がかかり延伸されるため、繊維表面の孔を観察及び測定することによって、内部でも同様であると判断できる。
不織布10に用いられる繊維の繊維径は、通常の不織布に用いられる繊維と同様のものとすることができ、例えば、0.4μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、また、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。
(繊維径の測定方法)
上記(孔1の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸の長さ1Yの測定方法)に示した(i)~(iv)処理を行う。観察視野は、繊維径が画面に入る視野、おおよそ画面の縦の長さに対し、繊維径が0.1倍~0.3倍となるような視野を選択する。次いで、
(v)繊維表面の観察結果を写真撮影し、繊維50本の平均値を繊維径とする。
(vi)3本の繊維につき、同様に観察して、繊維径とする。
不織布10における第1領域6の面積率は、次の範囲にあることが好ましい。
すなわち、不織布10を平面視したとき、不織布10の面積に対する第1領域6の面積率(M1)は、汚れに対する隠蔽性の効果を見る人に明確に認識させる観点から、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上が更に好ましい。また、前記面積率(M1)は、第1領域6と第2領域7との間における汚れ(着色)のコントラストの効果を見る人に明確に認識させ、見た目の安心感につなげる観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。
(第1領域6及び第2領域7の面積率の測定方法)
色のついた紙等の上に置き、隠蔽性の違う部分を領域1・2として、領域1を構成する交互に配されたパターンの形状や大きさ、ピッチ等を定規で測定して、面積率を算出する。
第1領域6の目付は、次の範囲にあることが好ましい。
すなわち、第1領域6の目付(g/m)の第2領域7の目付(g/m)に対する比(N1)は、繊維同士の重なりにより光の散乱効果をより高める観点から、1/5以上が好ましく、2/9以上がより好ましく、1/4以上が更に好ましい。また、前記比(N1)は、開孔させるために十分な延伸倍率の観点から、1/3以下が好ましく、2/7以下がより好ましく、5/18以下が更に好ましい。
一般的に、不織布の状態で延伸すると、通常目付が低減する。そこで、目付の低減部分を補うべく、延伸前に繊維量を変えた不織布を用いることで、第1領域6の目付を増加させることができる。巻き取り後など、圧力がかかった後の状態でも、第1領域6が第2領域7に覆いかぶさることを防ぐ観点から、前記比は、2以下が好ましく、1以下が好ましく、1/3以下がさらに好ましい。
(第1領域6及び第2領域7の目付の測定方法)
先ず、測定対象の不織布を、第1領域6及び第2領域7について、50mm×50mmの大きさに裁断し、これを各部位での測定サンプルとする。電子天秤(メーカー問わず)に、この測定サンプルを載置し、この状態での質量を測定し、その質量を面積で割ることにより、目付(g/m2)を求める。
50mm×50mmの大きさがない場合は、交互に配されたパターンに応じて、繰り返しの構成単位の部分の大きさに裁断して測定する。その場合、面積が小さすぎて誤差が大きくなると考えられるため、最大長さをとる、もしくは複数繰り返し領域をとって測定する。例えば、十分な長さを持ったストライプであれば、ストライプ幅×製品長さに裁断する、ドットであれば、ドット部分を複数切り取り、平均の目付を算出するなどする。
また、第1領域6の繊維として、扁平形状の繊維が含まれることが好ましい。
繊維が扁平な形状を有することにより、第1領域6における繊維同士の重なる体積が増加する。これにより、第1領域6の目付が同じであっても、繊維が扁平な形状を有する場合は、繊維が円形断面を有する場合よりも光の散乱性が高まり、汚れに対する隠蔽性がより高くなる。
上記の繊維が有する扁平形状は、次のように定義される。すなわち、図7に示すように、繊維断面において、断面の1点から繊維中心を通り、孔の外形のある1点までを結ぶ線分を引いき、一番短い線分の長さをK1、一番長い線分の長さをK2とし、一番長い線分の長さK2が一番短い線分の長さK1の1.1倍以上であるとき、その繊維は扁平であるとする。この観察方法は、具体的には次のとおりである。すなわち、不織布から任意の1箇所の繊維をピンセット又ははさみ等で取り出す。取り出した繊維を液体窒素に1分ほど入れて凍結した後、カッターで繊維を繊維径方向に切断する。該繊維断面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて上記の手順で観察する。
次に、第1領域6における孔1の好ましい態様について説明する。
孔1は、第1領域6において光の屈折率差を有する界面をより多く形成するものとして、図2に示すように、繊維の長さ方向(Y方向)に非連続的に複数配されることが好ましい。さらに、孔1は、繊維の長さ方向(Y方向)に対する垂直方向(X方向)に、非連続に複数配置されていることが好ましい。例えば、孔1が繊維の外周面の周方向に非連続に複数あると、繊維20に対し種々の方向から入射する光を散乱させることができる。また、孔1が、繊維の内部を通る太さ方向に非連続に複数あると、繊維内部からの様々な角度に反射する光が重なって複雑な散乱状態を作り出す(例えば、図3において矢印Lで示す光の散乱など。)。また、同様の理由から、繊維20が芯鞘構造の複合繊維である場合、芯部に孔1を有するものであってもよい。
ここでいう繊維の長さ方向Yとは繊維の延出する方向を意味する。繊維が蛇行、屈曲、捲縮などしている場合はそれに沿った方向である。繊維の長さ方向Yは、繊維の紡糸方向に一致する。また、繊維の長さ方向に対する垂直方向Xとは、繊維の内部を通る繊維径の方法(太さ方向)と、繊維の外周面の周方向と意味する。
また、孔1は、長軸1Yを繊維20の長さ方向Yに向け、短軸1Xを繊維20の長さ方向に直交する方向Xに向けた、繊維20の長さ方向に長い形状であることが好ましい。不織布10において、繊維の長さ方向(Y方向)は、繊維同士が複雑に絡みながらも、概ね不織布10の平面方向に向けられることが多い。そのため、孔1が上記の細長い形状であることで、不織布10の第1領域6に対して、孔1と繊維成分2との間の、光の屈折率差がある界面が多くみられることになる。これにより、第1領域6の繊維による光の散乱を効果的に発現させることができる。
孔1の短軸1Xの長さ100nm以上750nm以下の範囲は、可視光の波長の範囲を基にした範囲である。孔1が可視光の波長を基準にした幅を有することにより、入射光を効果的に散乱させることができる。この観点から、孔1の短軸1Xの長さは、180nm以上が好ましい。これにより、界面が小さすぎて透明になることなく、孔1に入射する可視光の散乱効率が高くなる。また、600nm以下が好ましく、415nm以下が更に好ましい。これにより、孔1に入射する可視光のうち500nm程度の波長である経血の色である赤色の散乱効率が高くなる。
とりわけ、孔1の短軸1Xの長さ180nm以上415nm以下は、可視光の波長域360nm以上830nm以下の半分の大きさにあたる。この場合、Mie散乱となり、光の散乱効率が高いものとなって好ましい。
孔1の長軸1Yの長さは、180nm以上が好ましく、200nm以上がより好ましく、250nm以上が更に好ましい。これにより、波長が近い可視光を散乱しやすくなり、また、繊維が積層している不織布に入射した光が、空孔の数が少なくても、孔を通過する確率が増加するため、より複数の孔の界面を散乱しながら通過するので、散乱効率が増大する。前記長軸の長さは、5000nm以下が好ましく、3000nm以下がより好ましく、2000nm以下が更に好ましい。これにより、界面の数が低減したり、糸切れの原因になることを防ぐことができる。
また、孔1の長軸1Yの長さの短軸1Xの長さに対する比(アスペクト比)(長軸1Yの長さ/短軸1Xの長さ)は、1/1以上が好ましく、1.5/1以上がより好ましく、3/1以上が更に好ましい。これにより、長軸が長くなることで、繊維が積層している不織布に入射した光が、複数の孔の界面を散乱しながら通過するので、散乱効率が増大することができる。前記アスペクト比は、15/1以下が好ましく、12/1以下がより好ましく、10/1以下が更に好ましい。これにより、糸切れを防ぎ、また、孔が非連続となることで、界面の数を増加させるとすることができる。
さらに、孔1の短軸1Xの長さの、繊維20の径に対する比(孔1の短軸1Xの長さ/繊維20の径)は、1/100以上が好ましく、1/50以上がより好ましく、1/20以上が更に好ましい。これにより、散乱効率を高めることができる。孔1の短軸1Xの長さの、繊維20の径に対する比は、1/2以下が好ましく、1/3以下がより好ましく、1/4以下が更に好ましい。これにより、糸切れを防ぎ、延伸倍率を低減させないことができる。
(孔1のアスペクト比の測定方法)
孔1のアスペクト比は、前述した(孔1の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸1Yの長さの測定方法)に基づいて、長軸の長さ/短軸の長さの比を算出する。
観察視野は、縦9μm×横12μmとし、繊維径と直行する方向に観察視野をずらして、任意の3ヶ所について測定して、平均値をアスペクト比とする。
孔1は粒状物3を含むことがさらに好ましい。これにより、孔1と繊維成分2との間、孔1と粒状物3との間、繊維成分2と粒状物3との間で、光の屈折率差がある界面ができる。すなわち、光を散乱させる界面の数が増加する。なお、粒状物3は、繊維成分2と一部溶融接着する部分があっても、孔1の中で粒状の形状が保持され、光の屈折率差がある界面を備えるものであればよい。また、粒状物3を囲むようにして孔1が存在することが多く、この場合、粒状物3を囲んで1つの孔1があると捉える。この場合、前述した孔1の長軸の長さは粒状物3を囲む孔1に対して決められる。例えば、孔1が粒状物3を挟んで繊維20の長さ方向の前後方向に延出している場合、全体を1つの孔として捉えて、孔1の長軸の長さが決められる。
粒状物3は、光の屈折率差の界面を増やす観点から、繊維成分2とは異なる素材(成分)からなることが好ましく、繊維成分2よりも光の屈折率が高い素材(成分)からなることがより好ましい。粒状物3の成分としては、無機物、有機物のいずれであってもよい。ただし、無機物は、有機物よりも光の屈折率が高く好ましい。無機物としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムなどが挙げられる。また、有機物としては、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリスチレン、飽和ポリエステル、ポリメチルペンテン、液晶樹脂(LCP)などが挙げられる。
粒状物3は、前述した短軸の長さに対応する平均粒径を有し、100nm以上700nm以下である。さらに、粒状物3の平均粒径は、180nm以上が好ましく、そして、600nm以下がより好ましく、415nm以下が更に好ましい。
粒状物3の平均粒径は、次の方法により測定することができる。
すなわち、前記(孔1の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸1Yの長さの測定方法)の(i)~(iv)と同様の手順でサンプルを調整し、観察を行う。その際、観察視野は、繊維径が画面に入る視野、おおよそ画面の縦の長さに対し、繊維径が0.8倍~0.9倍となるような視野を選択する。次いで、(v)繊維表面の観察結果を写真撮影する。さらに、写真に定規を用いて、粒状物の径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
また、本実施形態の不織布10は、凹凸形状を有することが好ましい。この凹凸形状は、少なくとも不織布10の第1領域6及び第2領域7が配置される層を含む面に配されていればよく、不織布10の両面にあってもよく、片面にあってもよい。このような凹凸形状の形態は、通常とり得る種々の形状とすることができる。例えば、図8に示す形状などが挙げられる。図8に示す不織布10は、一方の面に筋状の凸部31及び凹部32、他方の面に筋状の凸部33及び凹部34を交互に備えた両面凹凸形状を有する。
不織布10が凹凸形状を有することによって、平坦である場合よりも散乱した光が互いに交差しやすくなり、第1領域6の隠蔽性がより向上する。また、不織布10に対し角度を変えて見たときの汚れの見え方が変わり、見る人の印象が変化する。これにより、汚れの印象は軽減され、不織布10の本来の色(典型的には白色)を認識しやすくなり、汚れに対する隠蔽性を強く感じやすくなる。
不織布10が凹凸形状を有する場合、第1領域6が凹凸形状の斜面部分にあることがより好ましい。斜面部分とは、図8に示すように、凸部31の頂部31Tと凹部32の底部32Tを結ぶ繊維層の部分のことである(以下斜面部分35という。)。第1領域6が角度のついた斜面部分35同士にあることにより、頂部31Tや底部32Tにある場合よりも、散乱した光同士がより交差しやすくなるため、汚れに対する隠蔽性が更に高まる。
不織布10の形態としては、通常用いられる種々のものを採用できる。例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ヒートロール不織布などが挙げられる。また、単層、複数層いずれの形態であってもよい。複数層とする場合、1種類の不織布からなる積層体、複数種の不織布からなる積層体、不織布と他の素材(例えばフィルム)との積層体などであってもよい。特に不織布10が粒状物3を含有する場合、メルトブローン不織布とし、該メルトブローン不織布の上下にスパンボンド不織布を積層した積層不織布とすることが好ましい。これにより粒状物3の脱落が抑えられ、前述の光の屈折率差がある界面が保持される。
不織布の繊維成分としては、通常用いられる素材を特に制限なく採用することができる。後述の孔を有する繊維とする観点から、種々の樹脂成分からなる合成繊維であることが好ましい。樹脂繊維分としては、不織布に用いられるものを特に制限なく採用でき、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などが挙げられる。繊維の構成としては、1種類の樹脂からなるものであってもよく、複数種類の樹脂からなるものであってもよい。複数種類の樹脂からなるものとしては、例えば、芯鞘構造やサイド・バイ・サイド構造の複合繊維などが挙げられる。
不織布10を吸収性物品に適用する場合、次のような構成部材として用いることが好ましい。すなわち、吸収性物品における汚れの隠蔽性をより効果的に発現させる観点から、不織布10は、吸収性物品の液保持部を構成する吸収体よりも肌側にある部材に組み込むことが好ましい。具体的には、不織布10が、肌に触れる液透過性の表面シート、表面シートと吸収体との間に配される中間シートなどであることが好ましい。上記吸収性物品としては、排泄液を吸収保持するものであれば特に制限されない。例えば、大人用や子供用のおむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティーライナー、吸収性パッドなど種々挙げられる。
本発明の不織布は、種々の物品に適用できる。上記の吸収性物品以外にも、薬事等の関係から着色することが難しい物品に適用することができる。例えば、マスク、掃除用シート、髪のくせを直すシートが挙げられる。
次に、本発明の不織布の製造方法の好ましい形態について説明する。
本発明の不織布は、前述した光の散乱に有効な特定の大きさの孔を繊維に形成するための延伸加工工程を含む製造方法によって製造することができる。
延伸加工工程は、不織布化後の処理工程において、いずれの段階で行ってもよく、また、複数の段階で行ってもよい。延伸加工工程をどの段階で行うかは不織布の製造方法に合わせて決めることができる。そのため、種々の不織布の製造方法においても、本発明の不織布を製造することができる。いずれの場合でも、延伸加工の条件を適宜調整することにより、上記の光の散乱に有効な特定の大きさの孔を形成することができる。後述するように繊維の延伸倍率3倍以上となるよう制御して延伸加工を行うことが好ましい。
加えて、孔を明確に形成する観点から、繊維を形成する前の溶融樹脂に離間剤および粒状物を添加する工程があってもよく、繊維を形成する前の溶融樹脂に、発砲する界面活性剤を添加させる工程があってもよい。
本実施形態の製造方法は、前記延伸加工工程に加えて、繊維を形成する前の溶融樹脂に離間剤および粒状物を添加する工程を有する。
まず、溶融樹脂に離間剤および粒状物を添加する。離間剤とは、後述の延伸加工によって樹脂と粒状物とが剥離しやすくように作用する剤である。
このような離間剤としては、例えば、ジステアリルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート、ジステアリルアジペート、ジステアリルセバテート、トリメチロールプロパントリラウレート、ペンタエリスリトールテトラカプレートなどのエステル化合物、シリコン、シリコン-ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、アルキレングリコール(例えば、エチエングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなど)、アルカンジオール(例えば、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6 ヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなど)、アミンオキシド(例えば、オクチルジメチルアミン・オキシド)、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、エルカ酸アミド等が挙げられる
離間剤の溶融樹脂への添加量は、樹脂内で十分いきわたらせる観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましい。また、繊維表面へ剤がブリードアウトせず、さらさらとした感触を保ち、また、不織布化する際の接着性を保つ観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
添加する粒状物の成分としては、前述したものが挙げられる。粒状物の平均粒径は、形成したい孔1の短軸の長さに合わせて設定することが好ましい。不織布においては、フィルムと違って、溶融樹脂は、直ぐに繊維化して不織布化する(又は繊維ウエブ化する)ために急冷される。急冷により、フィルムと違って、添加した粒状物が結晶(凝集)して二次粒子となる割合が低く抑えられる。そのため、粒状物の平均粒径は、形成したい孔1の大きさに合わせて設定することができる。具体的には、粒状物の平均粒径は100nm以上700nm以下であり、前述した範囲にあることが好ましい。
粒状物の溶融樹脂への添加量は、添加量に応じて散乱される体積が増加することから、製造する繊維における散乱効率を向上して、不織布の隠蔽性を向上させる観点から、1.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。また、散乱体積どうしが合体、もしくは、粒状物自体どうしで凝集ことを防いで、製造する不織布の隠蔽性の効果を添加量に応じて向上することができ、また、糸切れせず良好な紡糸性を得る観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
離間剤は、粒状物の表面に処理されて添加されることが好ましい。これにより、延伸加工時に、粒状物と樹脂とが効果的に剥離されやすくなる。また、離間剤が粒状物の分散性を高め、粒状物が凝集することを抑えることができる。これにより所望の大きさの孔1を精度よく形成することできる。

延伸加工工程は、不織布化後に行われる。なお、紡糸後の繊維の不織布化は、不織布の形成に用いられる種々の方法により行うことができる。例えば、紡糸した繊維からなるウエブをエンボス処理、熱風処理、接着剤を用いた処理などにより不織布化することができる。
不織布化後の延伸加工工程としては、例えば、対向する一対の凹凸ロールによるかみ合い加工等が挙げられる。かみ合い加工としは、不織布の延伸加工の方法として通常用いられる方法を採用することができ、例えば、ギアによる歯溝ロールを用いた延伸加工、ピンロールを用いた延伸加工などが挙げられる。
歯溝ロールを用いた延伸加工としては、図9に示すような対向する一致の歯溝ロール91及び92のかみ合いにより行うことができる。具体的には、互いにかみ合う歯溝(凹凸)が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロール91、92を回転させ、それらのかみ合い部分に原料不織布100を供給し、その流れ方向に延伸加工を施す。より具体的には、図10に示すように、ロール91の歯(凸部)91Aの先端、ロール92の歯(凸部)92Aの先端が互いに反対方向に原料不織布100を押し込んで原料不織布100を部分的に延伸する。特に、領域(93-94)及び領域(95-96)が、歯(凸部)91A、92Aが対向する溝に深く入り込んで延伸する力が強い。この領域の原料不織布部分において、繊維が延伸されて孔1が形成される(この領域を延伸部101という。)。このとき延伸部101以外の部分は、延伸されないか又は延伸の程度が延伸部101よりも低く抑えられる。これにより、延伸部101とこれに隣接する延伸部101以外の部分とで、不織布10における第1領域6第2領域7が交互に形成される。
なお、図9に示すように、歯溝ロール91、92の前後に、一対のインフィードロール97、97及び一対のアウトフィードロール98、98を配していてもよい。この場合、インフォードロールとアウトフィードロールとの回転周速度を異ならせる等により、原料不織布100に適度なテンションを与えて延伸加工の強さを設定することができる。
なお、歯溝ロールは、図9においてはロール軸に沿う歯91Aを周面に複数有しており、これにより原料不織布100を機械流れ方向(MD、Machine Direction)に延伸している。しかし、歯溝ロールはこれに限定されるものでない。例えば、特開2016-79551号公報の段落[0088]及び図5に示すように、ロール周方向に沿う歯をロール軸方向に複数有するものであってもよい(図示せず)。この場合、原料不織布100を、機械流れ方向に直交する方向(CD、Cross Direction)に延伸することができる。この延伸においては、図1に示す不織布10の長手方向FYは延伸工程における機械流れ方向(MD)に一致しており、図1の不織布10の長手方向FYを吸収性物品の長手方向と一致させて用いることが好ましい。
歯溝ロールを用いた延伸加工においては、歯溝ロールの凹凸パターンによって、延伸する部分を制御することができる。これにより、得られる不織布10において、隠蔽性の高い面と、隠蔽性の低い面とを交互のストライプ状にしてパターン化して隠蔽性のコントラストを形成することもできる。このコントラストがある場合、隠蔽性を高めつつ、部分的に経血等の色味が吸収体で吸収されたことを確認して、安心の吸収力を実感することができる。
ピンロールを用いた延伸加工においては、前述のロール91、92の表面を、歯91A及び92Aに代えて、ピン(凸部)91B及び92Bを配したものを用いる。ピン(凸部)91B及び92Bをそれぞれのロール91、92の表面にパターン配置してかみ合わせることで、原料不織布100に延伸加工を施す。具体的には、図11に示すように、対向するピン(凸部)91Bとピン(凸部)92Bとを原料不織布100を反対方向に押し込むことで、ピン(凸部)91Bとピン(凸部)92Bとの間にある原料不織布部分が延伸部101となる。このとき、ピン(凸部)91B及びピン(凸部)92Bの配置パターンによって、種々の態様で延伸部101を形成することができる。すなわち、ピンの配置によって、不織布10における第1領域6と第2領域7との交互配置のパターンを適宜自由に形成することができる。
例えば、ピン(凸部)91Bとピン(凸部)92Bとが、かみ合わせ時に、千鳥状の配列となるようにしたり(図12(A))、格子状にしたり(図12(B))、六角形状にしたり(図12(C)にすることができる。この場合も、ピン(凸部)91Bとピン(凸部)92Bとの間で、原料不織布100に延伸部101が形成される(図12(A)~(C)において一点鎖線で示す領域)。
このピンロールを用いた延伸加工においては、第1領域6と第2領域7との交互配置をドット状にする場合に、ピンの先端を、不織布が破れない程度に鋭くすることが好ましい。また、ドット状にするために、ピン(凸部)91Bとピン(凸部)92Bとの間の間隔を調整することもできる。
前記かみ合い加工においては、原料不織布100に対し、交互に延伸しない領域を作製するようガイドロール等をかみ合わせた状態で、通常のロール延伸機、テンター延伸機等の延伸機を用いて一軸又は二軸に延伸することもできる。また、押し込み深さや種々の条件の設定によって、延伸部における孔1を有する繊維を、扁平形状にすることができる。
延伸加工工程においては、繊維成分である樹脂と粒状物との間の相溶性が低いことによって、延伸による力が加わったときに、該延伸の力が粒状物と樹脂との間で剥離性を高める作用をして、孔が形成される。このとき、粒状物が離間剤と結合し(例えば粒状物の表面を離間剤が被覆し)、空間的に樹脂との絡み合いを低減して前記剥離性を高めることができる。さらに、樹脂を切れにくくする剤として可塑剤を入れると、高延伸倍率においても繊維の形成性を高めることができ好ましい。前記可塑剤としては、この種の物品において通常用いられるものと特に制限なく採用できる。

延伸加工工程においては、繊維の延伸倍率3倍以上の延伸を行うことが好ましい。これにより、粒状物の周りにおいて、離間剤が樹脂と粒状物の間を剥離しやすくして、溶融した樹脂が粒状物の表面から剥離しやすくなり、延伸方向への張力によって剥離し、効果的な孔形成ができる。延伸倍率が3倍以上であることにより、この倍率未満の場合に比べて、開孔数が増加し、また短軸の大きさを望ましい長さにすることができる。また、同様の観点から、繊維の延伸倍率は、3.5倍以上がより好ましく、3.6倍以上が更に好ましく、3.8倍以上が特に好ましい。また、繊維の延伸倍率は、糸切れを防止する観点から、15倍以下が好ましく、12倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましい。
上記の倍率とするには、不織布の製造工程における各種の設定を調整することにより実現することができる。例えば、かみ合い加工における凸部の押し込み量を制御したりすることで実現できる。また、前述のとおり樹脂を切れにくくする剤として可塑剤を入れると、延伸しやすくなり、好ましい。
また、かみ合い加工において、繊維の延伸倍率を上記の範囲とし、不織布10の第1領域6及び第2領域7を目視で認識し得る幅で形成する観点から、凸部(歯91A及び92A、ピン91B及び92B)の長さは、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.5mm以上が更に好ましく、そして、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下が更に好ましい。
(延伸倍率の測定方法)
(1)
不織布化後の延伸倍率に関しては、下記の通りに測定する。
例えばギアの押し込みによる延伸倍率、ピンロールの押し込みによる延伸倍率は、不織布に延伸処理を施す、ロール91の凸部91A又は91Bと、ロール92の凸部92A又は92Bとのかみ合い形状により求めた値のうち、延伸倍率が最も高い部分の延伸倍率を意味する。
複数箇所それぞれの機械延伸倍率は、ロール91における周方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチP1)、ロール91における回転軸方向に隣り合う凸部同士の距離(ピッチP2)、及びロール91の各凸部とロール92の各凸部とのかみ合いの深さD、及びロール91における凸部の頂点の周方向の距離(ドット直径A1)、ロール91における凸部頂点の回転軸方向の距離(ドット直径A2)により、下記(式1)、(式2)に示す数式で求められる(図10参照。なお、図10は周方向について示し、回転軸方向については省略している。)。(式1)は周方向の機械延伸倍率を示し、(式2)は回転軸方向の機械延伸倍率を示す。
ロール91の凸部の形状とロール92の凸部の形状が異なる場合は、ドット直径A1をロール91とロール92それぞれの頂点の周方向の距離の平均値として求められる。ドット直径A2も同様にロール91とロール92それぞれの頂点の回転軸方向の距離の平均値として求められる。また、ドット上面の形状が長方形以外に円形、楕円、そして多角形の場合も同様に求められる。このときの機械延伸倍率は、延伸倍率が最も高い部分(ロール91の凸部とロール92の凸部が最も接近した部位)の延伸倍率とする。これを延伸倍率とする。周方向の機械延伸場率と回転軸方向の機械延伸倍率が異なる場合は、高い方の機械延伸倍率を不織布化後の延伸倍率とする。なお、ロールにおける歯の配列が、周方向又は回転軸方向のいずれか1方のみである場合は、歯の配列方向の機械延伸倍率を不織布化後の延伸倍率とする。
Figure 0006996868000001
Figure 0006996868000002
(2)
孔の有無や繊維形状から延伸されていることを確認できた場合に、延伸されているであろう部分と、延伸されていないと思われる部分の坪量比を次の方法により測定し、延伸倍率を算出する。
すなわち、不織布を色のついた紙の上で、肉眼で観察することにより、隠蔽性の高い延伸部分と隠蔽性の低い非延伸部分を区別し、それぞれの領域から一定面積の不織布を切り取って、それぞれの単位面積あたりの重量を測定し、比を計算することで、延伸倍率を求める。切り取れないほどの小さな幅での延伸の場合、不織布断面の顕微鏡撮影を行い、厚みを測定し、厚みの比から幾何的に計算する。
本発明の不織布の製造方法としては、上記の、繊維を形成する前の溶融樹脂に離間剤および粒状物を添加する工程及び不織布化後の延伸加工工程を行う限り、メルトブローン不織布の製造方法に限らず、他の不織布の製造方法を採用することができる。例えば、同じ紡糸直結型の不織布であるスパンボンド不織布の製造方法においても、同様の種々の延伸加工を施すことができる。また、カーディング等により形成した繊維ウエブから不織布化する製造方法、例えばエアースルー不織布の製造方法等では、カーディングする前の繊維素材を形成する際に、繊維の素材である樹脂に離間剤および粒状物を添加する工程を行い、上記のかみ合い加工による延伸加工を施すなど不織布化後に延伸することができる。離間剤および粒状物は芯鞘繊維の鞘部でも芯部でも全体でもよいが、脱落を防ぐ上では芯部が望ましい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
二酸化チタンからなる平均粒径230nmの粒状物3質量%と、離間剤としてステアリン酸3質量%とを、溶融したポリプロピレン(PP)樹脂に添加し、ラボブラストミル(2軸押し出し機)を用いて190℃5分混練りした。これを基に、キャピログラフを用いて繊維径40μmの繊維を作製(紡糸)し、得た繊維を基にエンボスで加熱・加圧することにより、5cm×5cmの原料不織布を作製した。
作製した原料不織布に対し、かみ合い加工により、不織布全体の延伸倍率4.1倍、繊維の延伸倍率4.1倍の延伸加工処理を施し、実施例1の不織布試料を作製した。
該不織布試料においては、図8に示す凹凸形状を備え、凹凸の斜面に第1領域が配されるようにして、図1に示すストライプ状のパターンで第1領域6と第2領域7とを、不織布試料の幅方向に交互に形成した。第1領域6及び第2領域における、孔1の数、孔1の開孔部の短軸長さ及び長軸長さ、面積率、並びに目付比は、表1に示すとおりのものとした。ここで、実施例1、2、3は、原料が同じで延伸倍率も同じ、孔の数、大きさも同じであるが、延伸した繊維を幅方向に寄せる、もしくは、広げることで面積率を調整した。
なお、上記「繊維の延伸部分の延伸倍率」は、前述した(延伸倍率の測定方法)の(1)に記載の方法に基づき測定した。また、孔の有無、孔の短軸の長さ及び長軸の長さ、第1領域6及び第2領域7の面積率、並びに第1領域6の第2領域7に対する目付の比は、前述した(孔1の存在の確認方法、並びに孔1の短軸1Xの長さ及び長軸1Yの長さの測定方法)、(第1領域6及び第2領域7の面積率の測定方法)及び(第1領域6及び第2領域7の目付の測定方法)に基づき測定した。その際、繊維表面のうち、繊維の中心(繊維径の端点と端点を結んだ線分の中心)が画面の中央にくる位置で、繊維表面にピントを合わせ、10000倍の倍率で観察した。測定視野が縦80μm×横120μmの視野内にうつる粒状物の周囲に界面が生じて孔となっているかを確認し、確認された孔について上記の測定を行った。以下、実施例及び比較例についても同様にして測定を行った。
(実施例2)
第1領域6における孔1の数、第1領域6及び第2領域7の面積率を表1のとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の不織布試料を作製した。
(実施例3)
第1領域6における孔1の数、第1領域6及び第2領域7の面積率を表1のとおりとした以外は実施例1と同様にして、実施例3の不織布試料を作製した。
(実施例4)
第1領域6における孔1の数を表1のとおりとし、不織布の形状を凹凸では無く平坦なものとした以外は実施例1と同様にして、実施例4の不織布試料を作製した。
(実施例5)
二酸化チタンの代わりに、炭酸カルシウムからなる平均粒径230nmの粒状物3質量%を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例5の不織布試料を作製した。
(実施例6)
離間剤として、ステアリン酸3質量%の代わりに、エルカ酸アミド5質量%を添加した以外は実施例2と同様にして、実施例6の不織布試料を作製した。
(比較例1)
不織布の両端を固定して左右に引っ張る方法の方法によって延伸加工処理を行い、第1領域6及び第2領域7の領域区分なく全面に孔1を形成した以外は、実施例4と同様にして、比較例1の不織布試料を作製した。
(比較例2)
粒状物及び離間剤を添加せず、延伸加工処理を施さなかった以外は比較例1と同様にして、比較例2の不織布試料を作製した。
(比較例2)
粒状物及び離間剤を添加せず、延伸加工処理を施さなかった以外は比較例1と同様にして、比較例2の不織布試料を作製した。
(比較例3)
二酸化チタンからなる平均粒径900nmの粒状物3質量%を添加し、孔1の開孔部の短軸長さ及び長軸長さを表1のとおりとした以外は、実施例4と同様にして、比較例3の不織布試料を作製した。
上記の各不織布試料について、下記の評価試験を行い、下記表1に示す結果を得た。
(隠蔽性の評価試験)
隠蔽率は、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333を用いて、次のようにして測定を行った。初めに、付属の標準板(赤色面を測定面とする)について測定した。得られた吸収波長の中でも特に500cm-1を選択し、この際の反射率を記録した(Ra)。次に標準板(赤色板)を外して、試料台に不織布試料を置き、更に不織布試料裏面(測定面とは逆の面)と標準板(赤色板)の赤色面が向き合うように標準板(赤色板)を置いた。測定は1サンプルについて異なる部位で計5回測定し、500cm-1の反射率の平均値(Rb)を算出した。得られたRa、Rbの値より、赤色隠蔽率を下記式(6)により求めた。
赤色色隠隠蔽率(%)=〔(Rb-Ra)/(100-Ra)〕×100 (式6)
上記の結果得られた値が高い値であるほど、不織布の隠蔽性として高い性能を示し、白色の不織布越しに見た赤みを隠蔽することができる。
(印象評価試験)
不織布試料を吸収性物品の表面シートとして用いた場合の吸収力をどの程度実感できるか(印象評価)を下記の方法により試験した。
まず、各不織布試料を用いて吸収力評価用の吸収性物品試料を作製した。具体的には、吸収性物品の一例として生理用ナプキン(花王株式会社製:スリムガード、2016年製)から表面シートを取り除き、その代わりに各不織布試料を表面シートとして積層し、その周囲を固定して得た評価用のサンプルを作製した。
次いで、経血を模擬した、色見本として、赤色標準板(日本電子)を吸収体と表面シートの間に入れ、表面シートの上から見た時の赤みを経血として考えたときに見た目をどう感じるか(吸収力を実感することによる不快感のなさや自身の排泄量を確認できるのに十分か)を点数化してもらった。その際、生理用ナプキン(花王株式会社製:スリムガード、2016年製)の表面シートで評価を実施した際の見た目を基準(3点)とした。
パネル(成人女性)5人が、標準版(赤色板)の赤色を比較基準にして、不織布の白色の印象を以下の基準で評価した。パネル5人の平均点(小数点以下を四捨五入)を印象評価点とした。
5点:不快感が軽減され、よく吸収されていることが分かる。
4点:不快感が軽減され、吸収されていることがわかる。
3点:日常で使用している程度の見た目である。
2点:日常で使用しているときより、不快な見た目である。
1点:吸収性が悪く感じられる、もしくは、漏れを想起する。
Figure 0006996868000003
表1に示すとおり、比較例1は第2領域を有さず、比較例2は孔を有さず、比較例3は孔の短軸の長さが750nmを超えていた。これに対し、実施例1~6の不織布試料はいずれも、孔の短軸長さ100nm以上750nm以下とする繊維で構成された第1領域と該第1領域よりも孔の数が少ない第2領域とを交互に有するものであった。
これにより、実施例1~6は、比較例1~3よりも、隠蔽率及び印象評価(吸収力の実感)の結果が優れていた。すなわち、実施例1~6は、比較例1~3では達成できない、物品の外見から排泄量や汚れ拭き取り量など物品の使用状態を目視で確認でき、かつ、見る人が受ける不快感などの精神的負担を軽減することができていた。
1 孔
2 繊維成分
6 第1領域
7 第2領域
10 不織布
20 繊維

Claims (9)

  1. 繊維径×繊維径の平方視野範囲内に5個以上の孔を有し、該孔は短軸の長さを100nm以上750nm以下とし、前記孔に粒状物及び離間剤が含有されている繊維で構成された、第1領域と、
    前記第1領域を構成する繊維の前記孔の数に対して該孔の数が1/2以下である繊維または該孔を有さない繊維の少なくとも一方で構成された、第2領域とが、
    不織布の平面方向に互いに隣接して交互に配置されており、
    前記粒状物が酸化チタン又は炭酸カルシウムよりなり、
    前記離間剤がステアリン酸又はエルカ酸アミドよりなる、不織布。
  2. 前記不織布を平面視したとき、前記不織布の面積に対する前記第1領域の面積率が5%以上90%以下である請求項1記載の不織布。
  3. 前記第1領域の目付の前記第2領域の目付に対する比が、1/5以上である請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記第1領域が扁平形状の繊維を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記第1領域及び前記第2領域が配置される層を含む面に凹凸形状を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記凹凸形状の斜面部に前記第1領域を有する請求項5記載の不織布。
  7. 樹脂に、平均粒径100nm以上700nm以下の酸化チタン又は炭酸カルシウムよりなる粒状物と、ステアリン酸又はエルカ酸アミドよりなる離間剤とを添加して紡糸する工程と、
    紡糸した繊維を不織布化する工程と、
    不織布化された原料不織布を一対の凹凸ロールのかみあい加工により延伸加工して、繊維径×繊維径の平方視野範囲内に5個以上の孔を有し、該孔は短軸の長さを100nm以上750nm以下とし、前記孔に粒状物及び離間剤が含有されている繊維で構成された、第1領域と、前記第1領域を構成する繊維の前記孔の数に対して該孔の数が1/2以下である繊維または該孔を有さない繊維の少なくとも一方で構成された、第2領域とを、前記原料不織布の平面方向に互いに隣接して交互に配置して形成する工程と、
    を有する、不織布の製造方法。
  8. 前記かみ合い加工に用いるロールの不織布と接する凸部の長さが、0.1mm以上10mm以下である、請求項記載の不織布の製造方法。
  9. 前記延伸加工における繊維の延伸倍率が3倍以上である請求項7又は8記載の不織布の製造方法。
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