JP3129557B2 - 耐熱性繊維構造体 - Google Patents
耐熱性繊維構造体Info
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Description
トリックスとし、その中に弾性複合繊維により接点を熱
接着されたネットワ−ク構造を形成した耐熱性を有する
繊維構造体に関する。更には、電車、自動車等の比較的
高い温度に曝される機会の多い用途のクッション材とし
たとき、蒸れ難く、優れた耐熱耐久性を有するリサイク
ルが可能な繊維構造体に関する。
クッション材で、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維詰綿、
及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などが使用
されている。
材としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿
透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼
時の発生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物
の添加が必要となり、火災時には多量の有毒ガス発生に
よる中毒の問題と、リサイクルが困難なため焼却される
場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経
費が掛かる。このため埋め立てされることが多くなった
が、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され
経費も高くなっていく問題がある。また、加工性は優れ
るが製造中に使用される薬品の公害問題などもある。ま
た、ポリエステル繊維詰綿では繊維間が固定されていな
いため、30℃程度の雰囲気でも使用時形態が崩れた
り、繊維が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性の低
下や弾力性の低下が問題になる。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維が特開平4−240219号公報で、同繊維
を用いたクッション材がWO−91/19032号公報
で提案されている。この繊維構造物に使われる接着成分
はポリエステルエラストマ−のハ−ドセグメントの酸成
分にテレフタル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセ
グメントとしてのポリアルキレングリコ−ルの含有量が
30〜50重量%を限定すると、他の酸成分組成として
融点が180℃以下となるには、特公昭60−1404
号公報に記載された繊維と同一と認められるので、イソ
フタル酸等を含有し非晶性が増すことになり、低溶融粘
度として熱接着部分の形成を良くしてアメーバー状の接
着部を形成しているが塑性変形しやいため、耐熱抗圧縮
性が低下する問題点がある。また、ポリエステルエラス
トマ−の耐熱性が配慮されていないため、比較的高い温
度雰囲気に長時間曝されると劣化して耐久性が劣る問題
がある。
術の問題点を改良し、優れた耐熱耐久性を付与すること
で、熱可塑性エラストマ−を接着成分とした優れたクッ
ション性、へたり性、及び着座時蒸れ難く座り心地の良
いクッション材機能を維持し、リサイクルが可能な耐熱
性繊維構造体を提供することを目的とする。
を達成するために鋭意検討を行った結果、熱可塑性エラ
ストマ−のソフトセグメントの耐熱性を向上させること
で目的を達成できるこを知見し、本発明に到達した。即
ち本発明は、非弾性捲縮繊維(A)と弾性複合繊維
(B)とを含み、弾性複合繊維(B)が非弾性捲縮繊維
(A)に巻き付いて接着してコイルスプリング状3次元
ネットワ−ク構造をなした繊維構造体であり、非弾性捲
縮繊維(A)と弾性複合繊維(B)とが交叉した接触部
分が熱融着され、交叉熱融着点が散在しており、密度が
0.005〜0.10g/cm3であり、上記非弾性捲
縮繊維(A)はガラス転移温度が65℃以上の熱可塑性
ポリマーからなり、弾性複合繊維(B)は熱可塑性エラ
ストマーと非エラストマーよりなり、上記熱可塑性エラ
ストマーは、ソフトセグメントとハードセグメントから
なり、全ソフトセグメントに対して抗酸化剤が1〜10
重量%含有されており、融点が非弾性捲縮短繊維を構成
するポリマーの融点より40℃以上低いことを特徴とす
る前述の耐熱性繊維構造体である。
略す)は非弾性捲縮繊維のマトリックスの中に熱可塑性
エラストマ−を熱接着成分とする複合繊維が交叉し、接
触した部分が熱融着により接着され、該複合繊維が3次
元ネットワ−ク構造を作っている。この構造体は接着点
が熱可塑性エラストマ−で形成されているので、変形歪
みを受けると先ず接着点が変形し、歪みが解除されると
ゴム弾性が発現して元の構造体に戻ることができる。こ
のような構造体をクッション材に用いると、優れたクッ
ション性、着座時蒸れ難く座り心地の良いクッション機
能を発現することは、WO91/19032号公報です
でに公知であり、その様な構造が本発明の構造体にも必
要である。しかして、この構造体は接着点間が直線で結
ばれており、大変形を受けると繊維自身に大きい伸張歪
みを受け、接着点または繊維の欠陥部分に大きな力が集
中して構造が破壊する場合もある。本発明では、該複合
繊維が立体捲縮を発現してコイルスプリング状3次元ネ
ットワ−ク構造を作った繊維構造体である。この構造で
は大変形を受けて伸張されても、まずコイルが伸ばさ
れ、コイルが伸び切るまでは構成繊維自身は極端に伸張
されず、単に接着された接着点でも破壊されないで構造
体として変形し、歪みを除去するとエラストマ−の伸縮
性が発現し元の構造に回復できるのでクッション材の抗
へたり性を向上できる。更に、該複合繊維が非弾性捲縮
短繊維と交叉し、巻きついた状態で接着されてたコイル
スプリング状3次元ネットワ−ク構造を作った構造体で
ある。この構造はコイルスプリン状の弾性複合繊維でネ
ットワ−クを形成していると共に、接着点が非弾性捲縮
短繊維に巻きついた状態で接着されているので、極端に
伸張されてコイルが伸び切っても、該複合繊維が切断さ
れるまで接着点は破壊されないため、WO91/190
32号公報記載の繊維構造体より耐へたり性、耐久性、
及びクッション性は優れたものとなる。本発明における
好ましい開巻円筒型コイル様螺旋捲縮は螺旋の曲率半径
(ρ)の逆数(1/ρ)の値で3〜30mm-1、より好ま
しくは4〜20mm-1である。また、本発明の好ましい開
巻円筒型コイル様螺旋捲縮を形成する該弾性複合繊維の
表面は熱可塑性エラストマ−で包まれて流動が不充分な
状態でマトリックスの非弾性捲縮繊維に巻きつき接着さ
れた状態であり、より好ましくは、非弾性捲縮繊維に巻
きつき接着された部分が少し流動した状態で、かつ、非
接触部は流動していない状態である。流動したと判断す
るには繊維径が繊維軸方向の太細比をみると判断でき
る。例えば、WO91/19032号公報記載の弾性複
合繊維は紡錘状の節になった部分の存在があり太細比は
約1.7倍であり、その様な紡錘状の節を生じてない状
態が流動不充分と言える。本発明の好ましい弾性複合繊
維の接着部以外での繊維径の繊維軸方向の太細比は1.
2以下で紡錘状の節を持たない、より好ましくは、1.
1以下で紡錘状の節を持たない状態である。
するには、密度が0.005〜0.1g/cm3 とす
る。1g/cm3 以上では繊維密度が過度に高くなり熱
可塑性エラストマ−同士が過密になり過ぎ相互融着しや
すくなり、厚み方向の弾力性が著しく低下し、通気性も
少なくなり蒸れやすくなるのでクッション材として適さ
ない。他方、この密度が0.005g/cm3 未満で
は、マトリックスとなる非弾性捲縮短繊維の構成本数が
少なくなりクッション材としての反発力が失われるので
好ましくない。また、クッション材は厚み方向に圧縮さ
れて反発する素材のため、その性能を発現させるに必要
な厚みは少なくとも5mm以上とするのが好ましく、10
mm以上とするのがより好ましい。
スの非弾性捲縮短繊維は、耐熱耐久性の保持のためガラ
ス転移点温度が65℃以上の熱可塑性ポリマ−を用いる
ことで再生が可能なものなら特には限定されないが、汎
用性があり、力学特性、耐熱特性、燃焼時の有毒ガス発
生等を考慮すると、好ましくはポリエステル繊維であ
り、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、
ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレ−ト(PCHDT)、ポリ
アリレ−ト等及びそれらの共重合ポリエステルなどから
選ばれた重合体を紡糸、延伸、捲縮を付与した捲縮短繊
維または、紡糸時、上記重合体から熱的性質の異なる2
種類の重合体を組み合わせ複合紡糸するか、非対称冷却
法を用いて潜在捲縮能を付与し、延伸後必要に応じ機械
捲縮を掛け、または、及び、そのまま立体捲縮を発現さ
せた捲縮短繊維である。本発明の繊維構造体マトリック
スの捲縮短繊維を構成する組成物のガラス転移点温度が
65℃未満では、70℃近い雰囲気温度下で歪みを付与
されると容易に組成変形を生じるので、耐熱耐久性が劣
る構造体となるので好ましくない。好ましい捲縮短繊維
を構成する組成物のガラス転移点温度は68℃以上、よ
り好ましくは70℃以上である。これらのポリエステル
捲縮短繊維の繊度や繊維断面形状、力学特性などは所望
する用途から決められるが、通常、繊度は3〜500デ
ニ−ル、好ましくは4〜200デニ−ルである。断面形
状は中空断面、多角形あるいは多葉形の中空異形断面等
の断面2次モ−メントの大きい断面形状、好ましくは丸
断面比の1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上の
ものを用いると高度の抗圧縮性や耐熱耐へたり性を保持
できるので特に好ましい。曲げ剛さの指標であるモジュ
ラスが高いと常温及び加熱下での塑性変形による捲縮の
へたりが少なくなるため高度の抗圧縮性や耐熱耐へたり
性を保持できる。例えばPETでは、好ましくは初期引
張り抵抗度で30g/デニ−ル以上、より好ましくは4
0g/デニ−ル以上である。また、結晶化度が高いとガ
ラス転移点温度が低く塑性変形しやすい非晶が少なくな
り、熱安定性が良好となるので好ましく、例えばPET
では、比重で1.39以上が好ましく、1.41以上と
することで、ガラス転移点温度が69℃を越えるので特
に好ましい。更には、本発明の特に好ましい実施形態の
1例として、立体捲縮を有する繊維、好ましくは捲縮度
で20%以上、より好ましくは25%以上のものを用い
ると耐へたり性やクッション性が良好となるので特に好
ましい。本発明の好ましい実施形態からこの理由考える
と、耐熱耐へたり性、抗圧縮性の立体捲縮を有する非弾
性捲縮短繊維とコイル状捲縮を有する弾性複合繊維とが
熱接着接合され、構造体全体が3次元コイルスプリング
状ネットワ−ク構造にできるのでどのような方向に大き
い力が掛かったり、大変形を与えられても個々の繊維の
コイルが少しずつ変形して力や歪みをネットワ−ク構造
で構造体全体に伝播し、構造体として力や歪みを吸収で
きるため、個々の繊維の受けるダメ−ジを著しく軽減す
ることで弾性複合繊維の伸縮性とあいまって耐熱耐へた
り性やクッション性が良好となる。
短繊維マトリックスとの3次元ネットワ−ク構造を形成
する弾性複合繊維は、熱可塑性エラストマ−と非弾性ポ
リマ−とで形成される。熱接着成分である熱可塑性エラ
ストマ−は、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマ−の
融点より40℃以上、特には60℃以上低いことが好ま
しい。融点差が40℃より少ないと、融着加工時の好ま
しい熱処理温度が熱可塑性エラストマ−の融点より少な
くとも10℃以上高い温度、より好ましくは20℃以上
80℃以下の温度とするため、該非弾性捲縮短繊維に対
して過酷な温度となり、該非弾性捲縮短繊維の捲縮のへ
たりや力学特性の低下を招き、繊維構造体としての特性
が劣るものとなる。かかる熱可塑性エラストマ−の融点
は140℃以上220℃以下が好ましい。更には、熱接
着成分である熱可塑性エラストマ−は、好ましくは少な
くとも繊維表面の1/2以上、より好ましくは繊維表面
全体を占めることで接触部の全てで熱接着でき、且つ、
本発明の好ましい実施形態のコイルスプリング状ネット
ワ−ク構造体とするときは、コイル状ネットワ−ク部分
が伸張回復性の良好な熱可塑性エラストマ−で包まれて
いるので、変形した全てのコイルが元の構造に回復でき
る。この理由から、構造体中の該弾性複合繊維は表面の
熱可塑性エラストマ−が流動不充分な状態に保持される
のが好ましい。該弾性複合繊維を構成する熱可塑性エラ
ストマ−と非弾性ポリマ−の複合比率は、20/80〜
70/30の範囲が適当である。該弾性複合繊維の形態
は、シ−スコア型やサイドバイサイド型でもよいが、好
ましくは立体捲縮が発現でき、熱接着点を確実に接触部
で形成できる偏芯シ−スコア型やシ−スコア型でコアが
サイドバイサイド型とすることが望ましい。また、より
捲縮能と曲げ剛さを向上できる中空の偏芯シ−スコア型
やシ−スコア型でコアがサイドバイサイド型とすること
でクッション性を弾発性の高いものとすることができ
る。このような繊維構造は公知の方法で複合紡糸により
形成でき、ついで延伸、巻縮付与して所望の繊維長に切
断して得ることができる。なお、本発明の繊維構造体中
における3次元ネットワ−ク構造を作っている該弾性複
合繊維の好ましい含有量は、10重量%以上70重量%
以下、より好ましくは20重量%以上50重量%以下で
ある。10重量%未満では、3次元ネットワ−ク構造が
少なくなり、耐へたり性、耐久性、クッション性が劣る
ので好ましくない。70重量%以上では非弾性捲縮繊維
の持つ剛直性に由来する嵩高性や反発力が低下し、床つ
き感が大きくなるのでクッション材としては適さなくな
る。
するため熱接着成分を構成する熱可塑性エラストマ−に
抗酸化剤を含有する事がソフトセグメントの熱劣化を抑
制し伸長回復性を維持させるため不可欠でる。そのこと
で、繊維集合体からなる優れたクッション性や抗へたり
性及び着座時蒸れ難く座り心地の良いクッション材機能
を維持しうる。本発明の繊維構造体の耐熱耐久性を向上
せしめる好ましい抗酸化剤としては、発生ラジカルをト
ラップできる立体障害性メチル基を多数含有するヒンダ
−ド系抗酸化剤がある。該ヒンダ−ド系抗酸化剤として
は、ヒンダ−ドフェノ−ル系とヒンダ−ドアミン系があ
り、好ましい平均分子量は300〜5000、より好ま
しくは600〜4000である。平均分子量が300未
満のものは、加熱時昇華して消失し易いので好ましくな
い。また、8000以上の高分子量化した重縮合物はエ
ラストマ−中でのランダムマイグレ−ションが不充分に
なりやすく練込み方法に工夫が必要となる。具体例とし
ては、ヒンダ−ドフェノ−ル系では、1・3・5・トリ
メチル・2・4・6・トリス(3・5・ジ・t・ブチル
・4・ヒドロキシベンジル)ベンゼン、メチルスチレン
/フェノ−ル系重縮合体等が特に好ましい。ヒンダ−ド
アミン系では、分子量1000以上の琥珀酸ジメチル・
1・(2・ヒドロキシエチル)4・ヒドロキシ・2・2
・6・6・テトラメチルピペリジン系重縮合体等が特に
好ましい。本発明の構造体の3次元ネットワ−ク構造を
形成する該複合繊維及び熱接着により接着点を構成する
熱可塑性エラストマ−中のソフトセグメント含有量当た
り含有すべき該抗酸化剤は1重量%以上であり、好まし
くは、加工上の理由から好ましいクッション特性を付与
できたものとして10重量%以下である。1重量%未満
では熱劣化抑制効果が少なくなり、クッション材を空気
中、60℃以上を越える温度で200時間を越えるよう
な過酷な条件に曝すと、エラストマ−の熱劣化が徐々に
進行し、発生ラジカルを消滅出来ない状態で連鎖的に増
加しだすことにより爆発的に分解し、クッション構造体
そのものが劣化物になるため、または、爆発的熱分解を
生じる前の段階においても、ゴム弾性を生むソフトセグ
メントの分子鎖は熱分解で短くなり、または、ネットワ
−ク構造が切断され伸縮性が低下していき、爆発的熱分
解直前では、低分子量化した全く伸縮性を持たないワッ
クス状物となるの好ましくない。エラストマ−組成によ
り異なるが、特にソフトセグメント含有量が多くなるほ
どより低温で、より短時間で爆発的熱分解を生じるの
で、クッション材としてのクッション性、常温および加
熱下での耐へたり性を保持することが極めて困難となる
ので好ましくない。他方、10重量%を越えると熱接着
繊維表面に該抗酸化剤がブリ−ドアウトし易くなり、ク
ッション材とするために混合開繊してウエッブに加工す
る際、析出した抗酸化剤が熱接着繊維の糸糸の摩擦係数
を著しく高くして開繊不良となり熱接着繊維をマトリッ
クスの繊維と均一に混繊することが困難となり、クッシ
ョン材としての特性が不均一になり、かつ、平均特性も
低下する。極端な場合には、糸間のきしみが大きくなり
予備開繊も出来なくなる等の問題があり、好ましくな
い。また、高分子量のものはブリ−ドアウトし難くなる
が、コストが著しく高くなるため一般的ではない。本発
明の繊維構造体を得る為の加工性が良好な好ましい熱接
着繊維を構成する熱可塑性エラストマ−中のソフトセグ
メント含有量当たりの抗酸化剤の含有量は2〜6重量
%、より好ましくは3〜5重量%である。本発明の特に
好ましい抗酸化剤付与条件の熱接着繊維を用い作成され
た繊維構造体は、ソフトセグメント含有量が60重量%
以上のエラストマ−においても、空気中50℃の温度で
300時間未満では爆発的熱分解を生じない。このこと
は、比較的過酷な条件でもソフトセグメントの分子鎖切
断が少ないため熱可塑性エラストマ−が良好な伸縮性を
保持できるので、優れたクッション機能を長時間保持で
きる。この挙動はクッション材の加工段階でも発現して
おり、熱分解が抑制される効果はエラストマ−のハ−ド
セグメントの繰り返し単位を多くして疑似架橋点の耐熱
性を向上させ、融点が高くなる割合に応じ、より高い加
工温度で熱接着できるため、作成したクッション材の接
着点の耐熱性を向上させ、そのうえ、高度の伸縮性をも
保持したものとできるので、極めて優れた性能のクッシ
ョン材を作成できる。このようなエラストマ−の耐熱性
を評価するための手段として、示差走査型熱量計(DS
C)により昇温させつつ、あるいは一定温度にホ−ルド
して、発熱開始温度または発熱開始時間を測定すること
でエラストマ−の耐熱性を知ることができる。なお、本
発明に於ける好ましい抗酸化剤の添加方法としては、重
合時多量に添加すると昇華して重合缶の詰まりなどのト
ラブルとなり、かつ、添加効果が激減するので、好まし
くは、重合後加圧下で練り込むか、単軸または2軸でダ
ルメ−ジ等の高い混合機能をもつスクリュウで練り込む
のが良い。このような耐熱性を有する熱可塑性エラスト
マ−を用いることで、本発明の好ましい繊維構造体を形
成するに必要な熱接着繊維の形態としてシ−スコア型構
造をとる場合、コア成分の非エラストマ−成分として
は、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)以外にポリ
エチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフ
タレ−ト(PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチルテ
レフタレ−ト(PCHDT)などの高いガラス転移点を
持つポリエステルと複合化できるため塑性変形しにく
く、クッション材としたときの耐熱耐久性が一段と向上
する。
トワ−ク構造を形成する熱接着繊維を構成する熱接着成
分は、熱溶融して熱接着点を形成している必要から共有
結合架橋点を有しない熱可塑性エラストマ−とする必要
がある。熱可塑性エラストマ−としては、ソフトセグメ
ントとして分子量300〜5000のポリエ−テル系グ
リコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−ボネ−
ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリエステル系
エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、ポリウレタ
ン系エラストマ−などが挙げられる。が、本発明の最も
好ましい実施形態から、クッション材のマトリックスに
ポリエステル繊維を用いる場合が多いので、熱可塑性エ
ラストマ−を接着性の良いポリエステル系エラストマ−
とするのが好ましい。ポリエステル系エラストマ−とし
ては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、
ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリ
エステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポ
リエステルをソフトセグメントとするポリエステルエス
テルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−
テルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジカルボ
ン酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニル4・
4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シク
ロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀
酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1・4ブ
タンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチレングリ
コ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−
ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・4シクロ
ヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれ
らのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオ−ル成
分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5
000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリ
コ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキ
シド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレン
ジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される三元ブロ
ック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共
重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均
分子量が約300〜3000のポリラクトン等のポリエ
ステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構成される
三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解
性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸とし
てはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・6ジカ
ルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジオ−
ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレ
ングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエス
テルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合
体が特に好ましい。
は結晶性の良好なものほど塑性変形しにくく、かつ、耐
熱抗へたり性が向上する。溶融熱成形後更に結晶化処理
すると耐熱抗へたり性が一段と向上する。この理由は明
らかではないが、テレフタル酸または、およびナフタレ
ン2・6ジカルボン酸の含有量が多いと示差走査型熱量
計(DSC)による融解曲線において、融点以下の温度
で吸熱ピークをより明確に発現する。このことから類推
するに、疑似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へた
り性が向上しているのではないかと考えられる。好まし
いテレフタル酸、または、およびナフタレン2・6ジカ
ルボン酸量は酸成分として90モル%以上、より好まし
くは100モル%である。テレフタル酸、または、およ
びナフタレン2・6ジカルボン酸が90モル未満では結
晶性が劣るので塑性変形し易く、且つ、耐熱抗へたり性
が劣る。溶融熱成形後更に結晶化処理しても耐熱抗へた
り性が向上しにくくなる。
は、グリコ−ル成分として1−4ブタンジオ−ルおよび
ポリテトラメチレングリコ−ルがブロック共重合され、
且つ、ポリテトラメチレングリコ−ルの共重合量が30
重量%以上、80重量%以下とするのが好ましい。ゴム
弾性に由来する回復性はポリテトラメチレングリコ−ル
の共重合量に比例する。同時に融点と耐熱性が低下して
いく。ポリテトラメチレングリコ−ルの共重合量が30
重量%以下ではゴム弾性による回復性が劣るので好まし
くない。他方80重量%以上では融点が低下して耐熱性
が劣ること、及び粘着性が発現し加工時の弾性複合繊維
を均一に分散開繊することが困難になるので好ましくな
い。本発明の好ましいポリテトラメチレングリコ−ルの
共重合量は40重量%以上70重量%以下、より好まし
くは50重量%以上60重量%以下である。耐熱性の保
持から、ハ−ドセグメントの繰り返し単位を大きくする
と、ゴム弾性に由来する回復性も保持するためポリテト
ラメチレングリコ−ルの平均分子量も大きくする必要が
あるが、大きくしすぎると相溶性を失い重合が進まなく
なるので適当な分子量を設定する必要がある。好ましい
平均分子量は500以上5000以下、特に好ましくは
1000以上3000以下である。5000以上のもの
を用いると低温での特性が著しく低下するので好ましく
ない。
テル共重合体の分子量は40℃フェノ−ル/テトラクロ
ルエタン混合溶媒中で測定した相対粘度(ηsp/c)が
1.8以上である。1.8未満ではエラストマ−成分の
回復性が劣り、また、流動性が良くなりすぎて、接着点
形成性は良くなるが、該弾性複合繊維を包むエラストマ
−成分が局部的に集中した紡錘状節部を形成し易くな
り、3次元ネットワ−クを形成するコイルスプリングの
伸縮性が低下して、繊維構造体の耐へたり性、耐久性が
劣るので好ましくない。本発明のより好ましい相対粘度
(ηsp/c)は2.0以上2.5以下である。2.5以上
では200℃以下での熱接着時に流動性がやや低下する
ので、接着点形成が不充分となる場合がある。
複合繊維を均一に散在させるには、以下の手段で達成で
きる。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、該弾
性複合繊維はコイルスプリング状3次元ネットワ−ク構
造を形成するため潜在捲縮能を有する必要がある。潜在
捲縮能を付与する方法は従来公知の方法例えば、サイド
バイサイド型、偏芯シ−スコア型などの構造に紡糸して
得ることができる。しかして、熱成形までの加工時立体
捲縮が発現していると、特にエラストマ−は粘着性があ
り、糸糸の摩擦係数が高いためカ−ド開繊時開繊が不良
となる。このため、開繊し易い機械捲縮を保持する必要
がある。機械捲縮は捲縮数が5〜30山/インチ、捲縮
率が5〜30%の範囲であれば使用できるが、好ましく
は捲縮数が10〜25山/インチ、捲縮率が10〜25
%である。仕上げ油剤は摩擦係数が低くなる油剤を使用
するのが特に好ましい。ゆえに、特開平4−24021
9号公報の如く潜在捲縮能を発現させ低収縮化した立体
捲縮繊維とするのは好ましくない。本発明の好ましい繊
維集合体構造にする複合繊維は潜在捲縮能を高く保持す
るため収縮率が高い状態で機械捲縮を付与され、非弾性
捲縮短繊維との開繊/混繊時は機械捲縮が引き伸ばされ
た状態で混繊され、次いで圧縮熱成形時に捲縮を発現せ
しめ、混繊した非弾性捲縮短繊維に絡み巻きついて熱接
着する能力をもつものである。このため必要な本発明の
好ましい繊維集合体構造にする複合繊維の潜在捲縮能は
130℃乾熱下でフリ−処理したときに発現する捲縮能
(1/ρ)が3以上である。3以下では母材への巻きつ
きが不充分となり、かつ、自身の持つコイル径も大きく
なって、スプリング効果が低下する。本発明のより好ま
しい繊維集合体構造にする複合繊維の潜在捲縮能は1/
ρが4以上である。このような本発明のより好ましい繊
維集合体構造にする複合繊維を得る好ましい延伸条件は
延伸温度を温浴40〜70℃で破断延伸倍率の0.8〜
0.9倍で延伸し、低温で機械巻縮を付与し、機械巻縮
が伸びないように低張力でカッタ−に供給、切断するこ
とで得られる。高温で延伸すると機械巻縮付与後や非弾
性捲縮短繊維との開繊/開繊時立体巻縮が発現して開繊
しにくくなると共に均一混繊が困難となるので好ましく
ない。この理由はよく判らないが、好ましい延伸の場
合、芯部が適度のモジュラスを保持していながら結晶化
不充分なため適度に塑性変形し、エラストマ−のゴム弾
性変形には耐えて立体巻縮の発現を抑制するのではない
かと類推される。なお、開繊/混繊は通常のカ−ドで行
い、得られた開繊/混繊散在されたウエッブは次いで積
層圧縮し、熱風や不活性ガスまたは蒸気にて加熱融着処
理され、冷却される。さらに本発明のより好ましい繊維
構造体を得るには、次いで、前述の理由から、熱可塑性
ポリエステルエ−テル共重合体の融点より少なくとも3
0℃以上低い温度で、好ましくは10%程度の圧縮歪み
を付与して再結晶化処理する。
維構造体は、従来不可能と思われていた発泡ポリウレタ
ンに近い耐熱耐久性と耐へたり性が付与されているた
め、繊維構造体特有の優れたクッション性と着座時蒸れ
にくく座り心地の良いクッション機能を従来の繊維構造
体より長期間維持することを可能としたので、使用条件
の過酷な汎用用途にも使える、回収してリサイクルもで
きるクッション材として供することが可能となった。
の昇温速度でポリマーの流動開始温度付近の最大吸熱ピ
ークの温度を測定した。(同様にして測定した際、融点
より10℃以上低い温度で吸熱量の少ないピ−クが認め
られる。この温度を疑似結晶融解温度とする。) (2)熱可塑性エラストマ−の耐熱性 示差走査型熱量計(DSC)で、空気中210℃に保持
してポリマ−の発熱開始時間として示す。 (3)ポリマ−の相対粘度 40℃のフェノ−ル/テトラクロルエタン混合溶媒中で
測定した溶媒比の粘度 (4)ガラス転移点温度(Tg) ポリマ−をシ−ト状に成形して、または、繊維を引き揃
えて試料とし、オリエテック社製バイブロンにて、ta
nδパタ−ンのα分散立ち上がり開始温度を測定した。 (5)偏芯度 繊維の中心から芯部の中心までの距離Lと繊維の半径R
を加えた値(L+R)をLで徐した値((L+R)/
L)でしめす。 (6)繊維中のポリエステルエ−テルブロック共重合体の
相対粘度 溶液粘度に加成 性が成立するとして、PETの紡糸条
件と同一の条件で両成分にPETを供給して得た繊維の
相対粘度と該複合繊維の組成比で補正した相対粘度とし
て求めた。 (7)繊維中の抗酸化剤量 繊維中の抗酸化剤を溶剤で抽出し、不純物を分離除去後
、添加組成物を比較ブランクに定量分析して組成比に
補正して求めた。 (8)ポリエステルエ−テルブロック共重合体の繊維表面
の専有率 繊維断面を位相差顕微鏡写真にとり、境界をみて、円周
より求めた。 (9)糸表面への抗酸化剤の析出 繊維とKBr粉末をまぶして、繊維表面の抗酸化剤をK
Br粉末に付着させ、赤外線スペクトルパタ−ンを取
り、抗酸化剤の存在を確認して、繊維表面を走査型電子
顕微鏡でその析出状態を観察した。 (10)粘着状態 繊維を手で開繊したときの繊維のばらけ易さで判断し
た。 (11)繊維構造体の密度 平板状に成形した繊維構造体の目付け(W)と容積
(V)を測定して、目付けと容積の比(W/V)で求め
た。 (12)ウエッブの発熱開始時間 開繊−混繊したウエッブを密度0.03g/cm3 とな
るように圧縮し、210℃の熱風を強制貫通させて、ウ
エッブ中の熱センサ−にて温度を測定し、210℃以上
に昇温する時までの時間で示す。 (13)70℃の圧縮残留歪み、常温での繰返し圧縮残留歪
み、及び反発弾性 JIS−K−6401の方法による。 (14)25%圧縮硬さ ボ−ルドウイン社製テンシロンにてφ150mmの円盤で
クッション材の厚みの25%圧縮時の圧縮力として測定
する。 (15)座り心地 30℃室内でパネラ−10人に各1時間座らせて、床つ
き感と座り心地、蒸れ感を評価した。なお、臀部や大腿
部が痛くなり1時間座れないものは座り心地は不良とし
た。 (16)繊維構造体の発熱開始温度 無機断熱材で繊維構造体をくるみ、温度検出端をその中
に挿入して、空気中で50℃または60℃の温度に加熱
した雰囲気(熱風乾燥機中)に置き、繊維構造体が雰囲
気温度以上に昇温する時までの時間でしめす。なお50
0時間を越えた場合は試験は打切り、500時間以上と
記載する。
MT)645部とグリコ−ル成分として1・4・ブタン
ジオ−ル(BD)449部およびポリテトラメチレング
リコ−ル(PTMG)1328部を少量の触媒と安定剤
とともに仕込み、公知の方法でエステル交換反応後昇温
減圧しつつ重縮合して融点が177℃、40℃のフェノ
−ル/テトラクロルエタン混合溶媒中で測定した相対粘
度2.4のポリエステルエ−テルブロック共重合物を生
成した。該ポリエステルエ−テルブロック共重合物を加
熱真空乾燥し、抗酸化剤として1・3・5・トリメチル
・2・4・6・トリス(3・5・ジ・t・ブチル・4・
ヒドロキシベンジル)ベンゼン(TTtBHB)を2軸
押出機にてソフトセグメント当たり5重量%溶融練込み
したものをペレット化し、加熱不活性ガスにて水分を充
分除去し熱接着成分に供した。得られたポリエステルエ
−テルブロック共重合体の発熱開始温度は31分と熱安
定性のよいものであった。得られたポリエステルエ−テ
ルブロック共重合体を鞘成分に、Tg68℃のPETを
芯成分にし、鞘/芯の重量比を50/50で偏芯度1.
15となるようにしたものを常法により紡糸温度を28
0℃にて紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、50℃温浴
で3.4倍に延伸し、クリンパ−にて機械捲縮を付与
し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し51mm
に切断して4デニ−ルの潜在巻縮能(1/ρ)が10.
3mm-1の熱接着繊維を作成した。得られた繊維中のエラ
ストマ−の相対粘度は2.3、抗酸化剤量は4.8重量
%、エラストマ−の繊維表面の専有率は100%、粘着
性は少なく、繊維表面への抗酸化剤の析出は認められな
かった。ついで、得られた機械捲縮を持つ熱接着繊維を
30重量%と常法にて作成したガラス転移点温度が69
℃の13デニ−ルの中空で外側に3個の突起を有する断
面で立体捲縮を有するPET短繊維を70重量%とをカ
−ドにて混繊−開繊して得たウエッブを密度0.03g
/cm3 となるように圧縮し、210℃の熱風を強制貫
通させて5分間熱処理し、次いで、一旦冷却し、密度が
0.04g/cm3 となるように圧縮し、100℃で3
0分再熱処理して、平板状の熱接着繊維がコイルスプリ
ング状に螺旋を発現し、マトリックスの非弾性巻縮繊維
に著しく巻きつき少し流動して接着した3次元ネットワ
−ク構造をもつ密度が0.036g/cm3 の繊維構造
体を得た。開繊性は良好でマトリックス繊維中にネット
ワ−ク構造は均一に分散していた。得られた繊維構造体
の特性は、70℃圧縮残留歪みは17%、繰返し圧縮残
留歪みは3%と極めて良好な耐へたり性をしめし、反発
弾性は78%と良好なクッション性を示し、25%圧縮
硬さは18kgと適度の反発力を示し、着座試験は、床つ
き感がなく、蒸れ感も少なく、座り心地の良好な繊維構
造体であった。この繊維構造体の50℃雰囲気で測定し
た発熱開始温度は500時間以上と耐熱耐久性が著しく
良好であった。なお、実施例1のクッション材を45°
メセナミン法および45°アルコ−ルランプ法で難燃性
の評価を行った結果合格した。比較に発泡ポリウレタン
を評価した結果は不合格であった。また、JISK−7
217の方法で燃焼ガスの毒性指数を測定した結果は実
施例1のクッション材は5.1であり、発泡ポリウレタ
ンは7.5と高く、本発明の好ましい実施形態での繊維
構造体が安全性の高いことを示す。
縮し熱処理した以外は実施例1と同様の方法で得た繊維
構造体は、密度が高すぎるため緻密化しゴムシ−ト状で
弾力性がなくクッション材には到底供しえないものであ
った。
圧縮し熱処理した以外は実施例1と同様の方法で得た繊
維構造体は、反発弾性が10%、25%圧縮硬さが0.
2kgとクッション性が著しく劣るものであった。
融練込んだ以外、実施例1と同様にして、熱接着繊維が
コイルスプリング状に螺旋を発現し、マトリックスの非
弾性巻縮繊維に著しく巻きつき、やや流動して接着した
3次元ネットワク構造をもつ密度が0.036g/cm
3 の繊維構造体をえた。得られた繊維構造体の特性は、
70℃圧縮残留歪みは25%、繰返し圧縮残留歪みは8
%と加熱下での耐へたり性が劣り、反発弾性は65%と
使用可能なクッション性を示し、25%圧縮硬さは17
kgと適度の反発力を示し、着座試験は、床つき感がな
く、蒸れ感も少なく、座り心地は良好な繊維構造体であ
った。しかし、ポリエステルエ−テルブロック共重合体
の発熱開始温度は5分と熱安定性が著しくわるく、繊維
構造体にした時の50℃の雰囲気で測定した発熱開始時
間は180時間とポリマ−同様に耐熱耐久性が劣るもの
であった。
練込んだ以外、実施例1と同様にして、熱接着繊維がコ
イルスプリング状に螺旋を発現し、マトリックスの非弾
性巻縮繊維に著しく巻きつき少し流動して接着した3次
元ネットワク構造が不均一に分散した形態をもつ密度が
0.035g/cm3 の繊維構造体をえた。得られた繊
維構造体の特性は、70℃圧縮残留歪みは29%、繰返
し圧縮残留歪みは11%と加熱下、常温での耐へたり性
が劣り、反発弾性は54%とやや劣るクッション性を示
し、25%圧縮硬さは11kgと柔らかい反発力を示し、
着座試験は、床つき感が大で、蒸れを少し感じる座り心
地のやや劣る繊維構造体であった。これは、抗酸化剤の
添加量が多すぎ抗酸化剤が繊維表面に析出したため、開
繊性が著しく悪かったためである。しかし、ポリエステ
ルエ−テルブロック共重合体の発熱開始温度は30分と
熱安定性は著しく良好で、繊維構造体にした時の50℃
の雰囲気で測定した発熱開始時間も500時間以上とポ
リマ−同様に耐熱耐久性は良好であった。なお、熱接着
繊維中のポリエステルエ−テルブロック共重合体の相対
粘度も2.3と熱劣化しにくい特性であった。
/イソフタレ−トを主成分とする、ガラス転移点温度5
3℃、融点221℃のポリエステルを用いた13デニ−
ルの中空断面で立体巻縮をもつ巻縮短繊維をマトリック
スとして、実施例1と同様にして得た、熱接着繊維がコ
イルスプリング状に螺旋を発現し、マトリックスの非弾
性巻縮繊維に著しく巻きつき少し流動して接着した3次
元ネットワ−ク構造が均一に分散した形態をもつ密度が
0.040g/cm3 の繊維構造体をえた。得られた繊
維構造体の特性は、70℃圧縮残留歪みは40%、繰返
し圧縮残留歪みは18%と加熱下でのへたりが著しく、
常温での耐へたり性も劣り、反発弾性は65%と使用可
能なクッション性を示し、25%圧縮硬さは25kgと少
し硬い反発力を示し、着座試験は床つき感が中で蒸れを
少し感じ、少し圧迫感を受ける座り心地の劣る繊維構造
体であった。
−ト678部及びエチレングリコ−ル944部を少量の
触媒と共に仕込み、公知の方法でエステル交換反応後昇
温減圧しつつ重縮合して融点110℃の非弾性共重合ポ
リエステルを得た。得られた非弾性共重合ポリエステル
を鞘成分に、PETを芯成分にし、鞘/芯の重量比を5
0/50となるように常法により紡糸温度を280℃に
て紡糸し、未延伸糸を得た。尚、偏芯はさせていない。
次いで、70℃温浴で3.2倍に延伸し、クリンパ−に
て機械捲縮を付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ
−に供給し51mmに切断して4デニ−ルの熱接着繊維を
作成した。得られた機械捲縮を持つ熱接着繊維を30重
量%と常法にて作成したガラス転移点温度69℃の13
デニ−ルの中空で外側に3個の突起を有する断面で立体
捲縮を有するPET短繊維を70重量%とをカ−ドにて
混繊−開繊して得たウエッブを密度0.03g/cm3
となるように圧縮し、160℃の熱風を強制貫通させて
5分間熱処理して熱接着成分が溶融流動し、交叉部が接
着したアメ−バ−状接着点で接合された密度0.03g
/cm3 の平板状の繊維構造体を得た。得られたクッシ
ョン材の特性は、70℃圧縮残留歪みは44%、繰返し
圧縮残留歪みは18%と塑性変形し易く、弾性回復性が
ない接着点のため加熱下でのへたりが著しく、常温での
耐へたり性も劣り、反発弾性は65%と使用可能なクッ
ション性を示し、25%圧縮硬さは28kgと硬い反発力
を示し、着座試験は床つき感が中で蒸れを少し感じ、か
なり圧迫感を受ける座り心地の劣る繊維構造体であっ
た。
69℃のPETとを50/50の分配率でサイドバイサ
イド型中空断面で立体捲縮を有し、初期引張り抵抗度が
120g/デニ−ルの非弾性短繊維70部と実施例1で
作成した熱接着繊維30部を混繊開繊して実施例1同様
に作成した平板状の密度0.032の繊維構造は、熱接
着繊維がコイルスプリング状に螺旋を発現し、マトリッ
クスの非弾性巻縮繊維に著しく巻きつき少し流動して接
着した3次元ネットワ−ク構造をもちマトリックス繊維
中にネットワ−ク構造は均一に分散していた。得られた
繊維構造体の特性は、70℃圧縮残留歪みは12%、繰
返し圧縮残留歪みは2%と極めて良好な耐へたり性をし
めし、反発弾性は82%と良好なクッション性を示し、
25%圧縮硬さは25kgと少し硬めの反発力で、着座試
験は、床つき感が無く、蒸れ感も少なく、座り心地の良
好な繊維構造体であった。この繊維構造体の50℃雰囲
気で測定した発熱開始温度は500時間以上と耐熱耐久
性が著しく良好であった。
度が65℃以上の加熱下では比較的塑性変形しにくい非
弾性捲縮短繊維のマトリックス中に抗酸化剤を添加し、
ソフトセグメントの熱劣化を抑制した熱可塑性エラスト
マ−からなる弾性複合繊維により、非弾性捲縮短繊維に
熱可塑性エラストマ−成分で熱接着され、極めて伸縮性
の優れた3次元ネットワ−ク構造を形成した繊維構造体
であるため、優れたクッション性、優れた耐熱耐久性、
優れた耐へたり性を示し、着用時蒸れにくく、床つき感
がなく座り心地の良いクッション材機能を熱的に安定に
長時間維持できる繊維構造体である。特に本発明の最も
好ましい実施形態の繊維構造体は発泡ポリウレタンに近
い優れた耐熱耐久性、優れた耐へたり性を示し、発泡ポ
リウレタンに比べ、安全性の高い快適なクッション材に
最適な繊維構造体である。また、該弾性複合繊維が熱可
塑性ポリマ−からなる繊維構造体であるので、開繊再成
形することで再び繊維構造体としてリサイクルができ、
地球環境の保全にも極めて有用である。本発明の繊維構
造体の有用な用途としては、特に使用条件が過酷な自動
車用、鉄道車両用及び船舶用に最適である。勿論、家
具、ベット用途にも適している。
Claims (1)
- 【請求項1】非弾性捲縮繊維(A)と弾性複合繊維
(B)とを含み、弾性複合繊維(B)が非弾性捲縮繊維
(A)に巻き付いて接着してコイルスプリング状3次元
ネットワ−ク構造をなした繊維構造体であり、弾性複合
繊維(B)が非弾性捲縮繊維(A)と交叉し、弾性複合
繊維(B)とが交叉した接触部分が熱融着され、交叉熱
融着点が散在しており、密度が0.005〜0.10g
/cm3であり、上記非弾性捲縮繊維(A)はガラス転
移温度が65℃以上の熱可塑性ポリマーからなり、弾性
複合繊維(B)は熱可塑性エラストマーと非エラストマ
ーよりなり、上記熱可塑性エラストマーは、ソフトセグ
メントとハードセグメントからなり、全ソフトセグメン
トに対して抗酸化剤が1〜10重量%含有されており、
融点が非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーの融点より
40℃以上低いことを特徴とする耐熱性繊維構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34929092A JP3129557B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 耐熱性繊維構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34929092A JP3129557B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 耐熱性繊維構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06200461A JPH06200461A (ja) | 1994-07-19 |
JP3129557B2 true JP3129557B2 (ja) | 2001-01-31 |
Family
ID=18402762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34929092A Expired - Fee Related JP3129557B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 耐熱性繊維構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3129557B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196223A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Kuraray Kuraflex Co Ltd | 不織繊維集合体及びクッション材 |
-
1992
- 1992-12-28 JP JP34929092A patent/JP3129557B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010196223A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Kuraray Kuraflex Co Ltd | 不織繊維集合体及びクッション材 |
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JPH06200461A (ja) | 1994-07-19 |
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