JP3275973B2 - エラストマ−系熱接着繊維およびその製法 - Google Patents
エラストマ−系熱接着繊維およびその製法Info
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Description
合繊維と製法に関するものであり、特に繊維よりなるク
ッション材を熱成形して得られたクッション材は優れた
クッション性、常温および加熱下での耐久性とが得られ
るエラストマ−系熱接着複合繊維および製法に関する。
ン材の分野で、発砲ウレタン、ポリエステル繊維詰綿、
及びポリエステル繊維を接着した樹脂綿やポリエステル
硬綿が知られている。
としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿性
に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼時の発
生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物添加が
必要なため、火災時に有毒ガスの発生による中毒の問題
やリサイクルが困難なため焼却されるが、焼却炉の損傷
が大きく、かつ、有毒ガスの除去に経費が掛かる等の問
題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される
薬品の公害問題などもある。また、ポリエステル繊維詰
綿では繊維間が固定されていないため、使用時形態が崩
れたり、繊維が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性
の低下や弾力性の低下が問題になる。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維を改良方法として特開平4−240219号
公報で提案されている。この繊維に使われるポリエステ
ルエラストマ−はハ−ドセグメントの酸成分にテレフタ
ル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとし
てのポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重
量%に限定し、他の酸成分組成として、例えば、特公昭
60−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフ
タル酸等を含有させ非晶性を増すことにより融点を18
0℃以下として、熱接着成形温度を低く押さえ、低分子
量化により低溶融粘度として流動性を良くし、熱接着部
点の形成を良くすることが提案されているが、このよう
な組成では、元々加熱下では塑性変形しやすい組成のう
え、熱成形によりポリエステルエラストマ−が流動し
て、熱接着繊維の表面に止まらず脆い非弾性成分のみが
繊維構造体のマトリックス繊維と接合点間を繋いでお
り、大きい力や変形で容易に接合間を繋ぐ脆い非弾性成
分からなる繊維が破壊され、繊維構造体のクッション性
や耐久性が失われる問題がある。
術の問題点を改良し、優れたクッション性、優れた耐熱
耐久性を有する座り心地の快適なクッション材を容易に
製造するに適したエラストマ−系熱接着繊維を提供する
ことを目的とする。
の手段、即ち本発明は、熱可塑性エラストマーよりなる
熱接着成分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着
成分がソフトセグメント含有量30重量%以上の熱可塑
性エラストマーであり、非熱接着成分が上記熱接着成分
の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性エラス
トマーであることを特徴とするエラストマー系熱接着繊
維および熱接着成分の熱可塑性エラストマ−と、熱接着
成分の融点より少なくとも30℃高い融点の非熱接着成
分の熱可塑性エラストマ−を、非熱接着成分の融点より
少なくとも20℃以上高い温度で複合紡糸することを特
徴とするエラストマ−系熱接着繊維の製法である。
間を伸長回復性のある3次元ネットワ−ク構造とする目
的のため、熱接着成分と非熱接着成分は共に熱可塑性エ
ラストマ−とする必要がある。熱可塑性エラストマ−と
しては、ソフトセグメントとして分子量300〜500
0のポリエ−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ
−ル、ポリカ−ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重
合したポリエステル系エラストマ−、ポリアミド系エラ
ストマ−、ポリウレタン系エラストマ−などが挙げられ
る。が、本発明の最も好ましい利用形態から、クッショ
ン材のマトリックスにポリエステル繊維を用いる場合が
多いので、熱可塑性エラストマ−を接着性の良いポリエ
ステル系エラストマ−とするのが好ましい。ポリエステ
ル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ
−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフト
セグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合
体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントと
するポリエステルエステルブロック共重合体が例示でき
る。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体
的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボ
ン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環
族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイ
マ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステ
ル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なく
とも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−
ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−
ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタ
ノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均
分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜3000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。
を成す熱可塑性エラストマ−は、弾性回復限界歪みがお
おきく、大きい力による大変形を受けても塑性変形を起
こしにくく、ゴム弾性の発現による回復性が良好で、結
晶構造形成による疑似架橋点の耐熱性がよい必要からソ
フトセグメント含有量は30〜80重量%である。ソフ
トセグメント含有量が30重量%未満では、エラストマ
−特有のゴム弾性が充分発現し難く、クッション材に成
形した場合、弾性回復限界歪みが少ないため、大きい力
による大変形を受けると変形しないマトリックス繊維と
の熱接着点に応力集中が起こり塑性変形を起こしやすい
ので、クッション材としての繊維構造体のクッション性
や抗へたり性が劣り好ましくない。他方、ソフトセグメ
ント含有量が80重量%を越えると、融点の低下が大き
くなり、低温での回復性は向上するが、ハ−ドセグメン
ト含有量が少なくなり、結晶構造形成による疑似架橋点
の耐熱性が低下するため、比較的低い温度、例えば40
℃を越える温度で塑性変形を起こし、クッション材とし
た場合の耐熱抗へたり性が低下するので好ましくない。
本発明の熱接着成分における好ましいソフトセグメント
含有量は40〜70重量%、より好ましくは45〜65
重量%である。なお、ソフトセグメントの平均分子量は
300〜5000が使用できるが特にハ−ドセグメント
の耐熱性を向上させるため、繰り返し単位を大きくする
場合、好ましくは500〜4000、より好ましくは1
000〜3000である。なお、本発明に好ましいポリ
エステルエラストマ−は例えば、特開昭55−1206
26号公報等の従来技術で得ることができる。
分は、熱接着成分を流動させ熱接着点を形成させる際、
流動させず、マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のあ
る3次元ネットワ−ク構造を形成させる目的のため、非
熱接着成分の融点は熱接着成分の融点より少なくとも3
0℃以上高くする。熱接着成分の融点より30℃未満高
い場合は、熱接着させる温度は、熱接着成分の融点より
10〜30℃高い温度で熱接着成分を流動させ熱接着点
を形成させるので、その際、非熱接着成分も流動して、
マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネッ
トワ−ク構造を形成できなくなるので好ましくない。本
発明の非熱接着繊維の融点は、熱接着成分の融点より3
5℃以上高くするのが好ましく、40℃以上高くするの
がより好ましい。なお、非熱接着成分が形成するマトリ
ックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネットワ−
ク構造は弾性回復限界歪みが非弾性ポリマ−繊維よりお
おきく、大きい力による大変形を受けてもゴム弾性の発
現による回復性が良好で、結晶構造形成による疑似架橋
点の耐熱性がよい必要からソフトセグメント含有量は少
なくとも5重量%とするのがよい。ソフトセグメント含
有量が5重量%未満ではエラストマ−特有のゴム弾性が
発現し難く、クッション材に成形した場合、マトリック
ス繊維間を繋ぐ3次元ネットワ−ク構造の伸縮機能が劣
り、クッション材としての繊維構造体のクッション性や
抗へたり性が劣り好ましくない。他方、ソフトセグメン
ト含有量が50重量%を越えると、融点の低下が大きく
なり、熱接着成分の融点を下げる必要から、溶融紡糸時
に融着の問題が発生すると共に、低温での回復性は向上
するがハ−ドセグメント含有量が少なくなり、結晶構造
形成による疑似架橋点の耐熱性が低下するためクッショ
ン材とした場合の耐熱抗へたり性が低下するので好まし
くない。本発明の非熱接着成分における好ましいソフト
セグメント含有量は5〜50重量%、より好ましくは1
0〜45重量%である。ソフトセグメントの平均分子量
はハ−ドセグメントの耐熱性を向上させるため、繰り返
し単位を大きくするのがよく、好ましくは500〜40
00、より好ましくは1000〜3000である。な
お、ハ−ドセグメントの酸成分に結晶性を低下させる成
分、例えばイソフタル酸等を含有させると塑性変形し易
く、かつ融点も低下するので、クッション材としたとき
の耐熱性や耐久性が低下する原因になるので極力少なく
するのが好ましく、含有させないのがより好ましい。
尚、本発明における好ましいポリエステルエ−テルの分
子量は、40℃フェノ−ル/テトラクロルエタン混合溶
媒中で測定した相対粘度(ηsp/c)が、熱接着成分では
1.8以上である。1.8未満では、流動性は良くなる
が接着点の回復性が低下して繊維構造体としたときの耐
熱性や耐久性が低下する。2.5以上では流動性が低下
し、熱接着点形成が不充分となりやすい。熱接着成分の
より好ましい相対粘度は2.0以上2.5以下である。
他方、伸縮性の3次元ネットワ−ク構造を形成する非接
着成分は、耐熱性を付与されるため、ハ−ドセグメント
含有量が熱接着成分より多くなり、相対粘度はやや低く
なる。好ましい相対粘度は1.0以上、より好ましくは
1.5以上とすることで、回復性とタフさを付与でき
る。
ラストマ−中のソフトセグメントの熱劣化を抑制するた
め、熱分解で発生するラジカルをトラップできる立体障
害性メチル基を多数含有するヒンダ−ド系抗酸化剤を含
有させるのが好ましい。該ヒンダ−ド系抗酸化剤として
は、ヒンダ−ドフェノ−ル系とヒンダ−ドアミン系があ
り、好ましい平均分子量は300〜5000、より好ま
しくは600〜4000である。平均分子量が300未
満のものは、加熱時昇華して消失し易いので好ましくな
い。また、8000以上の高分子量化した重縮合物はエ
ラストマ−中でのランダムマイグレ−ションが不充分に
なりやすく練込み方法に工夫が必要となる。具体例とし
ては、ヒンダ−ドフェノ−ル系では、1・3・5・トリ
メチル・2・4・6・トリス(3・5・ジ・t・ブチル
・4・ヒドロキシベンジル)ベンゼン、メチルスチレン
/フェノ−ル系重縮合体等が特に好ましい。ヒンダ−ド
アミン系では、分子量1000以上の琥珀酸ジメチル・
1・(2・ヒドロキシエチル)4・ヒドロキシ・2・2
・6・6・テトラメチルピペリジン系重縮合体等が特に
好ましい。本発明では、該抗酸化剤をソフトセグメント
含有量当たり0.5〜10重量%含有させるのが好まし
い。0.5重量%未満では熱劣化抑制効果が少なくな
り、クッション材に熱成形加工する際、通常、空気中、
200℃以上の温度で長時間熱処理すると、エラストマ
−が熱劣化により爆発的に分解し、クッション構造体そ
のものが劣化物になるため、または、爆発的熱分解を生
じる前の段階においても、ゴム弾性を生むソフトセグメ
ントの分子鎖は熱分解で短くなり、または、ネットワ−
ク構造が切断され伸縮性が低下していき、爆発的熱分解
直前では、低分子量化した全く伸縮性を持たないワック
ス状物となるので、エラストマ−組成や加工条件が極め
て制限される。特にソフトセグメント含有量が多くなる
ほどより低温で、より短時間で爆発的熱分解を生じるの
で、クッション材としてのクッション性、常温および加
熱下での耐久性を向上させるエラストマ−組成や加工条
件の最適化が極めて困難となるので好ましくない。他
方、10重量%を越えると繊維表面に該抗酸化剤がブリ
−ドアウトし易くなり、クッション材とするために混合
開繊してウエッブに加工する際、析出した抗酸化剤が熱
接着繊維の糸糸の摩擦係数を著しく高くして開繊不良と
なり熱接着繊維をマトリックスの繊維と均一に混繊する
ことが困難となり、クッション材としての特性が不均一
になり、かつ、平均特性も低下する。極端な場合には、
糸間のきしみが大きくなり予備開繊も出来なくなる等の
問題があり、好ましくない。また、高分子量のものはブ
リ−ドアウトし難くなるが、コストが著しく高くなるた
め一般的ではない。本発明の好ましいソフトセグメント
含有量当たりの抗酸化剤の含有量は0.5〜10重量
%、より好ましくは1〜3重量%である。本発明の特に
好ましい抗酸化剤付与条件においては、ソフトセグメン
ト含有量が60重量%以上のエラストマ−においても、
空気中210℃の温度で15分未満の時間では爆発的熱
分解を生じないため、極めて加工条件の選択幅が広く取
れ、かつ、ソフトセグメントの分子鎖切断が少ないため
良好な伸縮性を保持できるので、優れた性能のクッショ
ン材を作成できる。さらに熱分解が抑制される効果はエ
ラストマ−のハ−ドセグメントの繰り返し単位を多くし
て疑似架橋点の耐熱性を向上させ、融点が高くなる割合
に応じ、より高い加工温度で熱接着できるため、作成し
たクッション材の接着点の耐熱性を向上させ、そのう
え、高度の伸縮性をも保持したものとできるので、極め
て優れた性能のクッション材を作成できる。このような
エラストマ−の耐熱性を評価するための手段として、示
差走査型熱量計(DSC)による昇温させつつ、あるい
は一定温度にホ−ルドして発熱開始温度、または発熱開
始時間を測定することでエラストマ−の耐熱性を知るこ
とができる。なお、本発明に於ける好ましい抗酸化剤の
添加方法としては、重合時多量に添加すると昇華して重
合缶の詰まりなどのトラブルとなり、かつ、添加効果が
激減するので、好ましくは、重合後加圧下で練り込む
か、単軸または2軸でダルメ−ジ等の高い混合機能をも
つスクリュウで練り込むのが良い。しかして、本発明の
熱接着繊維を構成する熱可塑性エラストマ−には紫外線
吸収剤を含有させない。このため、本発明の熱接着繊維
を溶融紡糸する際および熱融着処理時にも、紫外線吸収
剤からなる有毒な発煙ガスは発生しないので作業環境を
著しく汚染することはない。
接着繊維は、マトリックス繊維との接触部を熱接着成分
を溶融流動させて接着点を形成してクッション材を作成
する目的で使用するので、該熱接着成分は、少なくとも
複合繊維表面の50%以上、好ましくは繊維表面全体を
占めることで、接触部の全てで熱接着でき、クッション
材としては、マトリックス繊維とのネットワ−ク構造が
伸縮性の優れた熱可塑性エラストマ−を介し形成される
ので、どの様な方向から大きい力や大変形を与えられて
も、伸縮性の優れた熱接着点と複合繊維の3次元ネット
ワ−ク形成部分が容易に変形して、マトリックス繊維は
少ししか変形しなくても、該接着点を介しネットワ−ク
構造全体に伝播して、構造体として力や歪みを吸収でき
るため、マトリックス繊維の受けるダメ−ジを著しく軽
減することができ、次いで変形力が解除されると、該熱
可塑性エラストマ−のゴム弾性が発現して元の形状に復
元するため耐久性がすぐれ、この挙動が適度の反発力と
して発現し、優れたクッション性をしめす。該熱接着成
分が弾性複合繊維表面の50%未満では、上記該接着点
が少なくなるので構造体の耐久性やクッション性が劣る
ものとなるので好ましくない。なお、本発明の繊維構造
は公知の方法、例えばサイドバイサイド型やシ−スコア
型等の複合紡糸により形成でき、ついで延伸、巻縮付与
して所望の繊維長さに切断して得ることが出来る。な
お、複合紡糸の際、熱接着成分の熱可塑性エラストマ−
と、熱接着成分の融点より少なくとも30℃高い融点の
非熱接着成分の熱可塑性エラストマ−を、非熱接着成分
の融点より少なくとも20℃以上高い温度で複合紡糸す
ることが必要である。20℃未満では、バラス効果が著
しくなり、かつゴム弾性が発現して紡糸張力が変動し、
吐出糸条に太細斑が発生して正常な紡糸が困難となる。
他方、100℃以上融点より高い紡糸温度ではソフトセ
グメントの熱分解が著しくなり、熱可塑性エラストマ−
のゴム弾性が著しく低下するので好ましくない。好まし
い紡糸温度は非熱接着成分の融点より少なくとも30℃
以上高い温度、より好ましくは40℃〜80℃融点より
高い温度である。
該熱接着繊維中の熱接着成分の含有量は10〜70重量
%ガ好ましい。10重量%未満では接着点を形成する熱
可塑性エラストマ−の量が不足し接着断面積が小さくな
るため、接着点の変形回復力が低下しクッション材とし
ての耐久性や弾力性が低下するので好ましくない。他
方、70重量%を越えると、伸縮性ネットワ−ク構造部
を形成する非熱接着成分が少なくなり、伸縮性ネットワ
−ク構造部の形状復元性が低下してくるので好ましくな
い。より好ましい熱接着成分の含有量は30重量%以
上、最も好ましくは40〜60重量%である。
加工時立体捲縮が発現していると、特にエラストマ−は
粘着性があり、糸糸の摩擦が高いためカ−ド開繊時開繊
が不良となるので、工程通過性からは捲縮がジグザグの
機械捲縮が好ましい。機械捲縮は捲縮数が5〜30山/
インチ、捲縮率が5〜30%の範囲が好ましい。より好
ましくは捲縮数が10〜25山/インチ、捲縮率が10
〜25%とすることでマトリックス繊維中に均一に開
繊、分散させ、繊維間の接点で3次元的に接着点を形成
させた伸縮性を有する3次元ネットワ−ク構造を作れ
る。接着点を通常のアメ−バ−状接着点とするには、熱
接着成分が溶融流動できる、融点より少なくとも20℃
以上高い温度で熱接着処理するのが好ましく、そのため
には、非接着成分の融点は熱接着成分の融点より少なく
とも30℃高くする必要がある。かくして得られた繊維
構造体はクッション性や弾発力が高く、性能の耐久性も
良好なものとすることができる。なお、本発明のより好
ましい巻縮能を付与する延伸条件は、延伸温度を温浴7
0℃以下で破断延伸倍率の約0.8〜0.9倍で延伸
し、収縮率を抑える場合は、次いで定長又は弛緩熱処理
して機械巻縮を付与し、機械巻縮が伸びないように低張
力でカッタ−に供給切断して得ることができる。
ないが、繊度が太すぎると、繊維構造体とするときの構
成本数が減少してネットワ−ク構造が粗くなり力の分散
がしにくくなる。他方、マトリックスの繊維が太い繊度
の場合は、熱接着繊維の繊度が細過ぎると混繊がしにく
くなり、均一なネットワ−ク構造を形成しにくくなる。
極端に熱接着繊維の繊度が細過ぎると開繊も困難となる
ので通常2〜15デニ−ルの範囲が良い。油剤は熱分解
しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリウ
ム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト塩
を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる油
剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。 本発
明の熱接着繊維は、単独で不織布、クッション材等の繊
維集合体にしてもよいが、該熱接着繊維を5重量%以上
含む他繊維(マトリックス繊維、または母材)との混合
集合体にしても良い。好ましい混合母材としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート等の高融点
高結晶性のポリエステル及びポリブチレンテレフタレ−
トからなる繊維があり、接着性も良好であり、優れたク
ッション性、優れた耐熱耐久性、着用時蒸れにくい、及
びリサイクルが可能なポリエステル系クッション材とな
る繊維集合体を容易に製造することが可能である。な
お、本発明の特に好ましい熱接着繊維を含有する繊維集
合体を熱成形前に任意の密度に圧縮し、加熱処理して接
点を融着一体化するには、熱接着成分の融点より10℃
高く、好ましくは20℃高く非熱接着成分の融点より少
なくとも5℃低い温度で熱成形して任意の密度や硬さの
繊維成形体をえられる。次いで一旦冷却固化させた後、
熱接着成分の融点より少なくとも10℃以上低い温度で
熱処理すると、好ましくは10%以上の歪みを付与して
熱処理すると、融着処理のみのものよりクッション性、
耐熱耐久性が格段に向上する。なお、接着成分の酸成分
に非晶性となる成分が多く含まれるほどこの効果は著し
く減少する。
及びジメチルイソフタレ−ト(DMI)またはナフタレ
ン2・6ジカルボン酸(DMN)とグリコ−ル成分とし
て1・4・ブタンジオ−ル(BD)およびポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)又はエチレングリコ−ル
(EG)を少量の触媒と安定剤とともに仕込み、公知の
方法でエステル交換反応後昇温減圧しつつ重縮合してポ
リエステルエ−テルブロック共重合物を生成した。該ポ
リエステルエ−テルブロック共重合物を加熱真空乾燥
し、抗酸化剤として1・3・5・トリメチル・2・4・
6・トリス(3・5・ジ・t・ブチル・4・ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン(TTtBHB)を2軸押出機にて
ソフトセグメント当たり3重量%溶融練込みしたものを
ペレット化し、加熱不活性ガスにて水分を充分除去し熱
接着成分に供した。得られたポリエステルエ−テルブロ
ック共重合体の処方および特性を表1に示す。
重合体を鞘成分および芯成分にし、比較のためポリブチ
レンテレフタレ−ト(PBT)またはポリエチレンテレ
フタレ−ト(PET)を芯成分にし、鞘/芯の重量比を
50/50で常法により紡糸温度を260℃〜285℃
にて紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、50℃温浴で
3.4倍に延伸し、連続して乾熱90℃で定張熱処理
し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を
付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し5
1mmに切断して4デニ−ルの熱接着繊維を作成した。得
られた繊維の特性を表2に示す。なお、繊維中のポリエ
ステルエ−テルブロック共重合体の相対粘度は溶液粘度
に加成性が成立するとして、PETの紡糸条件と同一の
条件で両成分にPETを供給して得た繊維の相対粘度と
該複合繊維の組成比で補正した相対粘度として求めた。
粘着状態は、繊維を手で開繊したときの繊維のばらけ易
さで判断した。
重量%と常法にて作成した13デニ−ルの中空で外側に
3個の突起を有する断面で立体捲縮を有するPET短繊
維を70重量%とをカ−ドにて混繊−開繊して得たウエ
ッブを密度0.03g/cm3となるように圧縮し、15
0〜210℃の熱風を強制貫通させて5分間熱処理し、
次いで、一旦冷却し、一部は更に密度が0.04g/cm
3 となるように圧縮し、100℃で30分再熱処理し
て、平板状のクッション材を得た。得られたクッション
材の作成状況と特性を表3に示す。なお、70℃の圧縮
残留歪み、常温での繰返し圧縮残留歪み、及び反発弾性
はJIS−K−6401の方法による。
熱耐久性に優れ、常温での耐久性にも優れ、クッション
材の性能も優れたものを得ることができる。比較例1は
熱接着成分に従来公知のエラストマ−を用い、非熱接着
成分に非エラストマ−を用いた従来公知の熱接着繊維の
例であり、塑性変形し易くなり、耐熱耐久性や常温での
耐久性がやや劣るものである。比較例2は熱接着成分と
非熱接着成分の融点差が少ない場合の例で、伸縮性の3
次元ネットワ−ク構造を作れないため接着点にダメ−ジ
を受けやすくなり、耐熱耐久性や常温での耐久性がやや
劣るものとなっている。比較例3は熱接着成分のソフト
セグメント量が少ない場合で、回復性が劣るため、耐熱
耐久性や常温での耐久性がやや劣るものとなっている。
比較例4は従来公知の非エラストマ−成分からなる熱接
着繊維の場合で、塑性変形が大きく、回復性も無いた
め、耐熱耐久性や常温での耐久性が著しく劣るものとな
っている。なお、参考のため、実施例1及び比較例4に
ついて、30℃室内にてパネラ−10人に1時間座らせ
て、床つき感、座り心地、蒸れ感を評価させた結果、実
施例1は、床つき感が無く、座り心地も良好で蒸れ感の
少ない快適なクッション材であったが、比較例4は臀部
や大腿部が痛くなり座り心地の悪いものであった。
て、紡糸温度240℃にて紡糸したところ、バラス効果
が大きく、レゾナンス様の太細斑が著しい未延伸糸しか
得られず紡糸を断念した。紡糸温度は芯成分の融点より
20℃以上高い温度が必要なことが判る。
45°アルコ−ルランプ法で難燃性の評価を行った結果
は全て合格した。比較にポリウレタンを評価した結果は
不合格であった。本発明の熱接着繊維を用いたクッショ
ン材は安全性も高いことが判る。
他繊維をマトリックスに用いてクッション材などに熱接
着成形した場合、マトリックス繊維間を伸縮性の優れた
熱接着点と伸縮性を保持した複合繊維とが3次元ネット
ワ−ク構造を形成できるため、極めて優れたクッション
性、常温および加熱下での耐久性を持つ安全性の高いク
ッション材を提供できる。なお、透湿透水性も保持でき
るので蒸れの少ない快適な座席を提供できる。本発明の
エラストマ−系熱接着繊維を用いて得られるクッション
材の用途としては、車両用、船舶用、家具、ベッド用に
適するが、特には自動車、電車用に適する。他の用途と
しては、伸縮性を生かした不織布用途、例えば衛材基
布、肩パッドやカップ、合成皮革基布や立毛布帛類用基
布、通気性良好で接着できるワディング層や内装材、7
0℃を越えない範囲の断熱材や衝撃吸収材、更には紡績
して伸縮性の編織物等々に広く適用できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 熱可塑性エラストマーよりなる熱接着成
分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着成分がソ
フトセグメント含有量30重量%以上の熱可塑性エラス
トマーであり、非熱接着成分が上記熱接着成分の融点よ
り30℃以上高い融点を有する熱可塑性エラストマーで
あることを特徴とするエラストマー系熱接着繊維。 - 【請求項2】 熱接着成分の熱可塑性エラストマ−と、
熱接着成分の融点より少なくとも30℃高い融点の非熱
接着成分の熱可塑性エラストマ−を、非熱接着成分の融
点より少なくとも20℃以上高い温度で複合紡糸するこ
とを特徴とするエラストマ−系熱接着繊維の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5868593A JP3275973B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | エラストマ−系熱接着繊維およびその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5868593A JP3275973B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | エラストマ−系熱接着繊維およびその製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06272111A JPH06272111A (ja) | 1994-09-27 |
JP3275973B2 true JP3275973B2 (ja) | 2002-04-22 |
Family
ID=13091413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5868593A Expired - Lifetime JP3275973B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | エラストマ−系熱接着繊維およびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3275973B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0811710B1 (en) * | 1995-12-25 | 2002-11-13 | Teijin Limited | Heat-bondable conjugated fiber and high-modulus fiber globoid made thereof |
KR20090006842A (ko) * | 2006-04-21 | 2009-01-15 | 아이치 프레펙츄러 | 엘라스토머계 심초 콘쥬게이트 섬유의 제조 방법 |
-
1993
- 1993-03-18 JP JP5868593A patent/JP3275973B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06272111A (ja) | 1994-09-27 |
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