JP3344514B2 - 多成分網状構造体及びその製法 - Google Patents
多成分網状構造体及びその製法Info
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Description
車両用クッション材、断熱材等に適した優れたクッショ
ン性と耐熱耐久性とを有する多成分網状構造体及び、そ
の製法に関する。
車等のクッション材で、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維
詰綿、及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿など
が使用されている。
ッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性に劣
り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可塑性では無
いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉
の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。
このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安
定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くな
っていく問題がある。また、加工性は優れるが製造中に
使用される薬品の公害問題などもある。また、熱可塑性
ポリエステル繊維詰綿では繊維間が固定されていないた
め、使用時形態が崩れたり、繊維が移動して、かつ、捲
縮のへたりで嵩高性の低下や弾力性の低下が問題にな
る。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架
橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−1377
32号公報等がある。これらのクッション材は耐久性に
劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリ
サイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製
造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
ある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−
を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊
維が特開平4−240219号公報で、同繊維を用いた
クッション材がWO−91/19032号公報、特開平
5−156561号公報、特開平5−163654号公
報等で提案されている。この繊維構造物に使われる接着
成分がポリエステルエラストマ−のソフトセグメントと
してはポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50
重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフタル酸を5
0〜80モル%含有し、他の酸成分組成としてイソフタ
ル酸を含有して非晶性が増すことになり、融点も180
℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の形成を良く
してアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形し
やいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、特
に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低
下する問題点がある。なお、この繊維は特公昭60−1
404号公報に記載された繊維と同一と認められるので
従来技術を改良したものとは言えない。
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、細い繊維から構成したクッションとは異なり
表面が凸凹でタッチが悪く、素材がオレフィンのため耐
熱耐久性が著しく劣りクッション材には使用ができない
ものである。また、特公平3−17666号公報には繊
度の異なる吐出線条を互いに融着してモ−ル状物を作る
方法があるがクッション材には適さない網状構造体であ
る。特公平3−55583号公報には、ごく表面のみ冷
却前に回転体等の細化装置で細くする方法が記載されて
いる。この方法では表面をフラット化できず、厚みのあ
る細い線条層を作ることできない。したがって座り心地
の良好なクッション材にはならない。特開平1−207
462号公報では、塩化ビニ−ル製のフロアマットの開
示があるが、室温での圧縮回復性が悪く、耐熱性は著し
く悪いので、クッション材としては好ましくないもので
ある。
耐熱耐久性、クッション性の優れた蒸れにくいクッショ
ン材に適した多成分網状構造体及び製法を提供すること
を目的とする。
手段、即ち本発明は、熱可塑性弾性樹脂の組成が異なる
2以上の網状構造体が夫々の三次元ランダムループ形成
時に融着一体化された多成分網状構造体であり、上記網
状構造体は熱可塑性弾性樹脂からなる連続線条を曲がり
くねらせ多数のループを形成し、夫々のループを互いに
溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分が融着された
一定の幅と厚みを保形した三次元ランダムループ構造を
有していることを特徴とする多成分網状構造体および2
以上の組成が異なる熱可塑性弾性樹脂を各成分毎に単独
成分の層が複数形成されるように、ノズルから融点より
10〜80℃高い温度下に溶融状態の熱可塑性樹脂を下
方に向けて吐出させ、溶融状態で多数のループを形成
し、夫々のループを互いに接触し、融着させて一定の幅
と厚みを保形しつつ三次元ランダムループ構造を形成
し、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめて2以上
の組成が異なる網状構造体を一工程で一体化することを
特徴とする多成分網状構造体の製法である。
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリ
エステル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、
ポリウレタン系エラストマ−などが挙げられる。熱可塑
性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能とな
るため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエステ
ル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ
−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフト
セグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合
体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントと
するポリエステルエステルブロック共重合体が例示でき
る。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体
的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボ
ン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環
族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイ
マ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステ
ル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なく
とも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−
ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−
ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタ
ノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均
分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、
ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも
使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラス
トマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も
本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。なお、本発明
の熱可塑性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる1
40℃以上が好ましく、160℃以上のものを用いると
耐熱耐久性が向上するのでより好ましい。なお、必要に
応じ、抗酸化剤や耐光剤等を添加して耐久性を向上させ
ることができる。
差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以
下に吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点以下に吸熱
ピ−クを有するものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを
有しないものより著しく向上する。例えば、本発明の好
ましいポリエステル系エラストマ−として、酸成分とし
てテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸などを
90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタ
ル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95モ
ル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル成
分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次い
で、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分
子量が500以上5000以下、特に好ましくは100
0以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを
15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重
量%以上60重量%以下共重合量させた場合、テレフタ
ル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いと
ハ−ドセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにく
く、かつ、耐熱抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後
更に融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リ
ング処理するとより耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪
みを付与してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり
性が向上する。このような処理をした網状構造体の線条
を示差走査型熱量計(DSC)による融解曲線を測定す
ると、室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確
に発現する。なおアニ−リングしない場合は融点以下に
吸熱ピ−クを発現しない。このことから類推するに、ア
ニ−リングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑
似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上
しているのではないかとも考えられる。(この処理を疑
似結晶化処理と定義する)
からなる線条を曲がりくねらせ該線条同士を接触させ、
接触部を融着して3次元網状構造を形成している。この
ことで、非常に大きい応力で、大変形を与えても、融着
一体化した3次元網状構造全体が変形して応力を吸収
し、応力が解除されると弾性樹脂のゴム弾性が発現し
て、構造体は元の形態に回復することができる。公知の
非弾性樹脂からなる線条を含有するクッション材では、
塑性変形を生じ、このような回復が起こらないので耐熱
耐久性が劣る。融着していない場合は、形態保持が出来
ず、構造体が一体で変形しないため、応力集中による疲
労現象が起こり耐久性が劣ると同時に、形態が変形して
しまうので好ましくない。本発明のより好ましい融着の
程度は、線条が接触している部分の大半が融着した状態
であり、もっとも好ましくは接触部分が全て融着した状
態である。
造体を形成する線条の層は、異なる熱可塑性弾性樹脂か
らなる各単独成分の線条の層が複数一体化された多成分
3次元網状構造体である。本発明で言う異なる熱可塑性
弾性樹脂とは、上述の弾性樹脂の成分が異なるもので、
例えば、ハ−ドセグメントの酸成分が異なった場合や、
ポリエステル系とポリウレタン系等のように成分構造が
異なる場合、異なる熱可塑性弾性樹脂と言うが、更に、
テレフタル酸とブタンジオ−ルからなるハ−ドセグメン
トとポリテトラメチレングリコ−ルとのブロック共重合
した熱可塑性弾性樹脂の場合、ハ−ドセグメントの繰り
返し単位が異なった場合やソフトセグメントの分子量が
異なる場合も異なった成分を含有するので異なる熱可塑
性弾性樹脂と言う。同一の成分で同一の分子量のものは
異なる熱可塑性弾性樹脂とは言わない。クッション材に
用いる場合のクッション層の働きは振動吸収と体型保持
を受け持つ層(基本層と略す)と、少し柔らかな層とし
て適度の沈み込みにより快適な臀部のタッチを与えて臀
部の圧力分布を均一分散化する層(表面層と略す)が一
体化されることで、応力や振動を一体で変形し吸収させ
ることが座り心地の向上には必要である。また、複数の
表面層と基本層が融着一体化していることで、外力を構
造全体で変形し吸収できることで、耐へたり性や耐熱耐
久性の低下を防止できる。表面層と基本層が溶融接着さ
れていない場合は、表面層が選択的にへたり易くなるの
で好ましくない。本発明は、この基本層と表面層に、そ
の必要な機能に応じ任意に各層が異なる熱可塑性弾性樹
脂からなる線条で形成され、融着一体化された網状構造
体である。上述の機能を発現する好ましい構成は、基本
層には硬い(ややモジュラスの高い)回復性の良い、例
えば20%から50%のソフトセグメントを含有し、ハ
−ドセグメントは剛直なナフタレ−トを含有した熱可塑
性弾性樹脂からなる線条で形成し、表面層には柔らかさ
(モジュラスのやや低い)と回復性の良好な、例えば5
0%から70%のソフトセグメントを含有した熱可塑性
弾性樹脂からなる線条で形成すること等が例示できる。
なお、表面層や基本層は単層ではなく多層になっている
ことでクッション性の微妙なコントロールや圧縮応力の
均一分散が容易にできるので、柔らかい成分の熱可塑性
弾性樹脂と硬い成分の熱可塑性樹脂とを好ましくは2種
類以上、より好ましくは3種類以上で構成された線条の
層を多層一体化した表面層や基本層を形成することは本
発明のより好ましい例である。同一成分からなる網状構
造体に較べ、上述の機能付与が本発明は容易なことが特
徴である。なお、機能付与のため、線条成分との兼ね合
いで各層の繊度や密度との最適な組合せも任意に選択す
ることができる。
や断面形状は特には限定されないが、好ましい太さは
0.01〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmで
ある。断面形状は、中空断面や異形断面にすることで、
抗圧縮性や嵩だか性をを付与できるので特に好ましい。
抗圧縮性は、用いる熱可塑性弾性樹脂のモジュラスによ
り調整して、柔らかい熱可塑性弾性樹脂では中空率や異
形度を高くして、初期圧縮応力の勾配を調整できるし、
ややモジュラスの高い素材では中空率や異形度を低くし
て、または丸断面として断面2次モ−メントを低くする
ことで座り心地が良好な抗圧縮性を付与できる。中空断
面や異形断面の他の効果として中空率や異形度を高くす
ることで、同一の抗圧縮性を付与した場合、見掛けの密
度を低くできるのでより軽量化が可能となり、自動車等
の座席に用いると省エネルギ−化ができ、布団などの場
合は、上げ下ろし時の取扱性が向上する。
定されないが、クッション体としての機能が発現されや
すい0.005g/cm3 以上0.20g/cm3 以下が好
ましく、より好ましくは0.01g/cm3 以上0.10
g/cm3 以下である。しかして、本発明網状構造体は、
異なる熱可塑性弾性樹脂からなる各単独成分の線条から
なる層が複数一体化されているので、各層の見掛け密度
を変え好ましい特性を付与することができる。例えば、
表面層にややモジュラスの低い、回復性の良い熱可塑性
弾性樹脂を用いる場合は、線条の構成本数を多くするこ
とで表面層の密度をやや高くして線条の一本が受ける応
力を少なくして応力の分散を良くし、且つ臀部を支える
クッション性も向上させることで座り心地を向上させる
こともできる。基本層が、クッション層がややモジュラ
スの高い熱可塑性弾性樹脂の線条で0.04〜0.06
g/cm3 と中程度の密度で、座席フレ−ムと接する面に
モジュラスの高い形態保持性の良い熱可塑性弾性樹脂を
用いてより強固な層とするためにやや繊度の細い線条
で、且つ高密度とすることによりフレ−ム面から受ける
振動や反発応力をクッション層へ均一に伝達させ、クッ
ション層で一体化した全体が変形してエネルギ−変換で
きるようにし、座り心地を良くすると共にクッションの
耐久性も向上させることもできる。又、座席のサイドの
厚みと張りを付与させるために部分的に繊度をやや細く
して高密度化することもできる。このように繊度の異な
る線条からなる各層はその目的に応じ、熱可塑性弾性樹
脂特性との兼ね合わせも含めた好ましい密度と繊度を任
意に選択できる。なお、網状構造体の各層の厚みは、特
に限定されないが、クッション体としての機能が発現さ
れやすい3mm以上とするのが好ましい。又、ランダムな
ループの大きさは目的用途により任意に選定できるが、
直径1〜50mm、特に2〜15mmが好ましい。
弾性樹脂からなる線条が途中で厚み方向を水平線とした
時、その線からの角度が45°以上曲げられ、実質的に
面がフラット化されて、接触部の大部分が融着している
ことが、本発明の好ましい使用形態である、少し柔らか
な熱可塑性弾性樹脂を用い座り心地を向上させた表層部
を有する本発明においては好ましい。このことで、網状
構造体面の該線条の接触点が大幅に増加して接着点を形
成するため、局部的な外力も構造面で受け止めて面構造
が全体で変形して内部の構造体全体も変形して応力を吸
収し、応力が解除されると弾性樹脂のゴム弾性が発現し
て、構造体は元の形態に回復することができる。実質的
にフラット化されてない場合、表面に局部的な外力が掛
かると、表面の線条及び接着点部分にまで選択的に応力
集中が発生する場合があり、このような外力に対しては
応力集中による疲労が発生して耐へたり性が低下する場
合がある。非弾性樹脂では、表面が実質的にフラット化
していてもそのまま応力が接着点に集中して構造破壊を
生じ回復しにくくなる。
網状構造体は、複数の異なる熱可塑性樹脂を各成分毎に
単独成分の層が複数形成されるように、融点より10℃
以上、80℃以下の溶融温度でノズルより下方に向けて
吐出させ、溶融状態の吐出線条を曲がりくねらせて互い
に接触させて大部分の接触部を融着させ3次元構造を形
成しつつ、引取り装置で挟み込み、次いで冷却槽で冷却
せしめて、複数の異なる熱可塑性弾性樹脂からなる層を
一体化させた多成分網状体を一工程で形成する網状構造
体の製法である。本発明の網状構造体を得るには、少な
くとも2成分押出機、好ましくは3成分押出機を用い
て、異なる熱可塑性弾性樹脂を各単独成分毎に溶融し
て、ノズル背面で所望の配列に各成分を分配してノズル
のオリフィスより吐出させる。本発明の好ましい実施形
態では、表面層を形成する層は柔らかさと回復性の良好
な成分、基本層の内、クッション層はややモジュラスの
高い回復性の良い成分、フレ−ム面と接する層はモジュ
ラスの高い成分を、例えば、長手方向の有効幅50mm、
ノズルの幅方向の列の孔間ピッチは10mm一定、列間の
ピッチが5mm一定の丸断面のオリフィス形状の場合、1
列目から3列目を表面層を形成する成分、4列目から9
列目をクッション層を形成する成分、10列目と11列
目をフレ−ムと接する層を形成する成分に分配して、好
ましくは、各成分の融点より10℃以上、80℃以下の
同一の溶融温度で、各成分の層が所望の見掛け密度にな
る吐出量、例えば、単孔吐出量は、1列目から3列目を
2.5g/分、4列目から9列目を2g/分、10列目
と11列目を4g/分のように、好ましくは、各成分を
各ギヤポンプにてノズルへ溶融状態の弾性樹脂を送り、
下方に向けて各オリフィスより吐出させる。本発明のよ
り好ましい実施形態からは、構成本数を特定の層で増や
し、特定の層で少なくする方法として、例えば、1列目
から3列目の孔間ピッチを5mm、10列目と11列目の
孔間ピッチを6.67mmに変更して各成分の全吐出量を
同一で吐出させれば、見掛け密度を表面層0.0608
g/cm3 、クッション層0.0404g/cm3 、フレ−
ムと接する層0.1077g/cm3 のまま変えずに構成
本数は表面層を2倍、フレ−ムと接する層を約1.5倍
に増加してより緻密化した層にできる。また、オリフィ
スの断面積を変えて吐出時の圧力損失差を付与すると、
溶融した熱可塑性弾性樹脂を同一ノズルから一定の圧力
で押し出される吐出量が圧力損失の大きいオリフィスほ
ど少なくなる原理を用いると列内、列間で異繊度線条か
らなる網状構造体も製造できる。本発明に使うノズルの
オリフィス形状は丸断面でも良いが、本発明では、線条
を中空や異形断面化することで溶融状態の吐出線条が形
成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆に接触点での
流動時間を長く保持して接着点を強固にできるので特に
好ましい。特開平1−2075号公報に記載の接着のた
めの加熱をする場合、3次元構造が緩和し易くなり平面
的構造化し、3次元立体構造化が困難となるので好まし
くない。次いで、引取りネットで溶融状態の3次元立体
構造体両面を挟み込み、両面の溶融状態の曲がりくねっ
た吐出線条を45°以上折り曲げて変形させて表面をフ
ラット化すると同時に曲げられていない吐出線条との接
触点を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常
は室温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面
でも安くなるので好ましい)で急冷して本発明の3次元
立体網状構造体を得る。次いで水切り乾燥するが冷却媒
体中に界面活性剤等を添加すると、水切りや乾燥がしに
くくなったり、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり
好ましくない。本発明の好ましい方法としては、一旦冷
却後、疑似結晶化処理を行う。疑似結晶化処理温度は、
少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、Tanδ
のα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行う。この
処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化処理
しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より耐熱耐へ
たり性が著しく向上する。本発明の好ましい疑似結晶化
処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−20℃)
である。単なる熱処理により疑似結晶化させると耐熱耐
へたり性が向上する。が更には一旦冷却後、10%以上
の圧縮変形を付与してアン−リングすることで耐熱耐へ
たり性が著しく向上するのでより好ましい。また、一旦
冷却後、乾燥工程を経する場合、乾燥温度をアニ−リン
グ温度とすることで同時に疑似結晶化処理を行うができ
る。また、別途疑似結晶化処理を行うができる。次いで
所望の長さまたは形状に切断してクッション材に用い
る。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置
した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフ
ィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径を
きめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一
対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み停
留させることで互いに接触した部分を融着させ、連続し
て冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成する
時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網
状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望
の厚みのものが得られる。引取りコンベアとノズル面の
距離は好ましくは30cm以内であり、長過ぎると溶融線
条が冷却さて接触部が融着しなくなるので好ましくな
い。コンベア速度も速すぎると、接触点の形成が不充分
になったり、融着点が充分に形成されるまでに冷却さ
れ、接触部の融着が不充分になる場合がある。また、速
度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるの
で、所望の見掛け密度に適したコンベア速度を設定する
必要がある。
る場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、
繊度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例え
ば、表層のワディング部は、ソフトなタッチと適度の沈
み込みと張りのある膨らみを付与するために、低密度で
細い繊度、細かいル−プ径にするのが好ましく、中層の
クッション体としては、共振振動数を低くし、適度の硬
さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保
持性を良くし、耐久性を保持させるために、中密度で太
い繊度、やや大きいル−プ径が好ましい。また、3次元
構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目的にあ
った形状に成形して使用できる。また、樹脂製造過程以
外でも性能を低下させない範囲で製造過程から成形体に
加工する任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥
水撥油化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等の処理
加工ができる。
た。 融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロン
DDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測
定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分
M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域へ
の転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。 見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め、試料の重さを体積で徐した値で
示す。(n=4の平均値) 融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚みと処理前の厚みの比を%で示す(n=
3の平均値) 繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚みと処理前の厚みの比を%
で示す。(n=3の平均値) 座り心地 30℃RH75%室内で座席用フレ−ムにバケットシ−
ト状に成形したクッションにポリエステルモケットの側
地を掛けた座席にパネラ−を座らせ(n=5) (1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった
感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆
ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;× (2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の
座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価し
た。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや
蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;× (3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられ
るか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;
○、4時間以上;◎ (4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的
に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲
れる;△、非常に疲れる;× (5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○
を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含
まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含む
もの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;や
や悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価し
た。
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触
媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつ
つ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エ
ラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間乾燥して得られ
た熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
性弾性樹脂を3本の押出機にて溶融し、幅50cm、長さ
5cmのノズル有効面に長さ方向に列間ピッチを5mm、オ
リフィス径を0.7mmとし、1列目から3列目までの孔
間ピッチを5mm、4列目から9列目までの孔間ピッチを
10mm、10列目と11列目の孔間ピッチを6.67mm
としたノズルに、A−1を1列目から3列目までに分配
し、A−2を4列目から9列目までに分配し、A−3を
10列目と11列目に分配して、溶融温度240℃に
て、単孔吐出量をA−1は1.26g/分孔、A−2は
2.00g/分孔、A−3は2.67g/分孔にて吐出
させ、ノズル面12cm下に冷却水を配し、幅60cmのス
テンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の
引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上に引
取り、接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎
分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させ、次
いで100℃の熱風乾燥機中で20分疑似結晶化処理し
た後、所定の大きさに切断して得られた網状構造体の特
性を表3に示す。各層の見掛け密度は、A−1層0.0
608g/cm3 、A−2層0.0404g/cm3 、A−
3層0.1077g/cm3 で、A−1層とA−3層ハ構
成本数が多く緻密化した層であった。
ルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖
延長剤として1・4BDを添加して重合し、次いで抗酸
化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し乾燥してポリ
エ−テル系ウレタンを熱可塑性弾性樹脂原料とした。処
方を表2に示す。
性弾性樹脂をB−1を1列目から3列目までに分配し、
B−2を4列目から9列目までに分配し、B−3を10
列目と11列目に分配して、溶融温度215℃にて、単
孔吐出量をB−1は1.26g/分孔、B−2は2.0
0g/分孔、B−3は2.67g/分孔にて吐出させ、
疑似結晶化処理しなかった以外実施例1と同様にして得
た網状構造体の特性を表3に示す。
T)を1列目から3列目、固有粘度0.63のポリエチ
レンテレフタレ−ト(PET)を4列目から11列目に
分配し、溶融温度280℃にて各列での単孔吐出量は実
施例1と同様にして得た網状構造体、及びメルトインデ
ックス10のポリエチレン(PE)を1列目から3列
目、メルトインデックス35のポリプロピレン(PP)
を4列目から11列目に分配し、溶融温度220℃にて
各列での単孔吐出量は実施例1と同様にして得た網状構
造体の特性を表3に示す。
とし、オリフィス径をφ0.7mmとしたノズルより、A
−3の熱可塑性弾性樹脂のみを235℃にて単孔吐出量
を0.25g/分にて吐出させた以外、実施例2と同様
の条件にて得た網状構造体の特性を表3に示す。
取ったあと疑似結晶化処理をしなかった以外、実施例1
と同様の方法で得た網状構造体の特性の一部を表3に示
す。なお、接着状態が不良で形態保持が悪いため、見掛
け密度、70℃残留歪、繰返圧縮歪みの評価はしていな
い。
い、多成分で各層の構成を適性化したので、ソフトで適
度の沈み込みがあり、耐熱耐久性が良好なクッション材
に適した網状構造体であり、実施例2はポリウレタン系
ポリマ−を用いた疑似結晶化処理していない例で、多成
分で各層の構成を適性化したので、座り心地は非常に良
好なクッション性を示す例である。比較例1及び比較例
2は、熱可塑性非弾性樹脂を用いた例で、疑似結晶化処
理をしても融点以下に吸熱ピークを持たず、耐熱耐久性
が著しく劣り、且つ硬くて座り心地が極めて悪くクッシ
ョン材に適さない例である。比較例3は単成分の層から
なり本発明の範囲を外れる例で、座り心地は実施例1よ
りも著しく劣るものとなる。比較例4は繊維同士が互い
に融着していない例で、形態保持が極めて悪くクッショ
ン材に適さないものである。
を用いた線条の成分が異なる各層の構成を必要機能に応
じて適性化した複数の層が融着一体化して座り心地のよ
り改善された、耐熱耐久性、嵩高で、適度の圧縮反発力
を持ち、蒸れにくいクッション材に適したリサイクルが
容易な網状構造体であるので車両用座席、船舶用座席、
家具用クッション、寝装用品に有用である。単独での使
用や他の素材との併用も可能である。更には、伸縮不織
布用途にも種々の加工により使用できる。
Claims (4)
- 【請求項1】 熱可塑性弾性樹脂の組成が異なる2以上
の網状構造体が夫々の三次元ランダムループ形成時に融
着一体化された多成分網状構造体であり、上記網状構造
体は熱可塑性弾性樹脂からなる連続線条を曲がりくねら
せ多数のループを形成し、夫々のループを互いに溶融状
態で接触せしめて、接触部の大部分が融着された一定の
幅と厚みを保形した三次元ランダムループ構造を有して
いることを特徴とする多成分網状構造体。 - 【請求項2】 網状構造体を形成するループが、ループ
の途中において、該網状構造体の厚み方向を基線とし
て、該基線から45°以上押し曲げられて接触部の大部
分が融着しており、構造体は実質的にフラット化されて
いる請求項1に記載の多成分網状構造体。 - 【請求項3】 2以上の組成が異なる熱可塑性弾性樹脂
を各成分毎に単独成分の層が複数形成されるように、ノ
ズルから融点より10〜80℃高い温度下に溶融状態の
熱可塑性樹脂を下方に向けて吐出させ、溶融状態で多数
のループを形成し、夫々のループを互いに接触し、融着
させて一定の幅と厚みを保形しつつ三次元ランダムルー
プ構造を形成し、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せ
しめて2以上の組成が異なる網状構造体を一工程で一体
化することを特徴とする多成分網状構造体の製法。 - 【請求項4】 一旦冷却後、融点より少なくとも10℃
以上低い温度でアニーリングを行なう請求項3に記載の
多成分網状構造体の製法。
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JP33193293A JP3344514B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 多成分網状構造体及びその製法 |
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1993
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