JP3430448B2 - 積層構造体と製法及びそれを用いた製品 - Google Patents

積層構造体と製法及びそれを用いた製品

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JP3430448B2
JP3430448B2 JP02977994A JP2977994A JP3430448B2 JP 3430448 B2 JP3430448 B2 JP 3430448B2 JP 02977994 A JP02977994 A JP 02977994A JP 2977994 A JP2977994 A JP 2977994A JP 3430448 B2 JP3430448 B2 JP 3430448B2
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thermoplastic elastic
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英夫 磯田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたクッション性と
耐熱耐久性及び振動吸収性とを有し、リサイクルが可能
な短繊維硬綿層を積層接合した熱可塑性弾性樹脂からな
る網状体との積層構造体と製法および積層構造体を用い
た布団、家具、ベッド、車両用クッション材等の製品に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、家具、ベッド、電車、自動車等の
クッション材に、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維詰綿、
及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などが使用
されている。
【0003】しかしながら、発泡−架橋型ウレタンはワ
ディング層やクッション材としての耐久性は極めて良好
だが、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、
かつ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼
却される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス
除去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多
くなったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が
限定され経費も高くなっていく問題がある。また、加工
性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題なども
ある。また、熱可塑性ポリエステル繊維詰綿では繊維間
が固定されていないため、使用時形態が崩れたり、繊維
が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性の低下や弾力
性の低下が問題になる。
【0004】ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架
橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−1377
32号公報等がある。これらのクッション材は耐久性に
劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリ
サイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製
造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】ポリエステル硬綿、例えば特開昭58−3
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
ある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−
を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊
維が特開平4−240219号公報で、同繊維を用いた
クッション材がWO−91/19032号公報、特開平
5−156561号公報、特開平5−163654号公
報等で提案されている。この繊維構造物に使われる接着
成分がポリエステルエラストマ−のソフトセグメントと
してはポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50
重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフタル酸を5
0〜80モル%含有し、他の酸成分組成として特公昭6
0−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフタ
ル酸を含有して非晶性が増すことになり、融点も180
℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の形成を良く
してアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形し
やいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、特
に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低
下する問題点がある。これらの改良法として、特開平5
−163654号公報にシ−ス成分にイソフタル酸を含
有するポリエステルエラストマ−、コア成分に非弾性ポ
リエステルを用いた熱接着複合繊維のみからなる構造体
が提案されているが上述の理由で加熱下での塑性変形が
著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下し、ワディング層やク
ッション材に使用するには問題がある。他方、硬綿の母
材にシリコ−ン油剤を付与して繊維の摩擦係数を下げて
耐久性を向上し、風合いを良くする方法が特開昭63−
158094号公報で提案されている。が、熱接着繊維
の接着性に問題があり、耐久性が劣るのでワディング層
やクッション材に使用するには好ましくない。
【0006】土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィ
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、細い繊維から構成したクッションとは異なり
表面が凸凹でタッチが悪く、素材がオレフィンのため耐
熱耐久性が著しく劣りワディング層やクッション材には
使用ができないものである。また、特公平3−1766
6号公報には繊度の異なる吐出線条を互いに融着してモ
−ル状物を作る方法があるがクッション材には適さない
網状構造体である。特公平3−55583号公報には、
ごく表面のみ冷却前に回転体等の細化装置で細くする方
法が記載されている。この方法では表面をフラット化で
きず、厚みのある細い線条層を作ることできない。した
がって座り心地の良好なクッション材にはならない。特
開平1−207462号公報では、塩化ビニ−ル製のフ
ロアマットの開示があるが、室温での圧縮回復性が悪
く、耐熱性は著しく悪いので、ワディング材やクッショ
ン材としては好ましくないものである。なお、上述構造
体は振動減衰に関する配慮が全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を解決し、
振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性
の優れた蒸れ難い、熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂から
なる短繊維硬綿を積層接合した熱可塑性弾性樹脂からな
る網状体で構成したクッション材に最適な積層構造体と
製法及び積層構造体を用いた布団、家具、ベッド、車両
用クッション等の製品と製法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するめの
手段、即ち本発明は、繊度が100〜100000デニ
−ルの熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条を曲がり
くねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した
3次元立体構造体を形成し、両面が実質的にフラット化
された網状体の片面に、熱可塑性非弾性樹脂と熱可塑性
弾性樹脂からなる熱接着性短繊維が開繊3次元構造化さ
れ、接触部の大部分が熱接着により融着一体化した面が
実質的にフラット化された不織布が接合一体化された密
度が0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の積層構造
体、複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾
性樹脂をその融点より20〜80℃高い溶融温度で、該
ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態で互いに接
触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り装置
で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、片面に、熱可塑性
非弾性樹脂と熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維を開繊し
たウエッブを積層し、圧縮しつつ熱成形する積層構造体
の製法および前記積層構造体を用いた製品である。
【0009】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端を
カルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等を
ブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリ
アミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、
ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可
塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能と
なるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエス
テル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルを
ハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフ
トセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重
合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメント
とするポリエステルエステルブロック共重合体が例示で
きる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具
体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカル
ボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダ
イマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエス
テル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少な
くとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ
−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ
−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリ
コ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメ
タノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環
族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体など
から選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平
均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルの
うち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合
体である。ポリエステルエステルブロック共重合体とし
ては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均分子量が約
300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオ
−ルのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロッ
ク共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、
耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタ
ル酸、または、及びナフタレン2・6ジカルボン酸、ジ
オ−ル成分としては1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキ
レンジオ−ルとしてはポリテトラメチレングリコ−ルの
3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオ−ルと
してポリラクトンの3元ブロック共重合体が特に好まし
い。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメン
トを導入したものも使うこたができる。また、上記エラ
ストマ−に非エラストマ−成分をブレンドされたもの、
共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメ
ントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含さ
れる。ポリアミド系エラストマ−としては、ハ−ドセグ
メントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、
ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等及びそ
れらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントに
は、平均分子量が約300〜5000のポリエチレング
リコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチ
レングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシ
ド共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ
−ルのうち少なくとも1種から構成されるブロック共重
合体を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更
には、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重
合したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エ
ラストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下
に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水
酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと
(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシ
アネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基である
プレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリア
ミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表
例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−
テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、
好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−
ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリ
プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体か
らなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好まし
く、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知の
ポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニ
ルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシ
アネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ
−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミン
としては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミ
ン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のト
リアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポ
リウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合し
て用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融
点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、
160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するの
でより好ましい。なお、必要に応じ、抗酸化剤や耐光剤
等を添加して耐久性を向上させることができる。本発明
の目的である振動や応力の吸収機能をもたせる成分を構
成する熱可塑性弾性樹脂のソフトセグメント含有量は好
ましくは15重量%以上、より好ましくは30重量%以
上であり、耐熱耐へたり性からは80重量%以下が好ま
しく、より好ましくは70重量%以下である。即ち、本
発明の積層構造体の振動や応力の吸収機能をもたせる成
分のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以
上80重量%以下であり、より好ましくは30重量%以
上70重量%以下である。
【0010】本発明の積層構造体を構成する熱可塑性弾
性樹脂からなる成分は、示差走査型熱量計にて測定した
融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが
好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱
耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上
する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑
性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあ
るテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸などを
90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタ
ル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は95モ
ル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−ル成
分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次い
で、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均分
子量が500以上5000以下、特に好ましくは100
0以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ルを
15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30重
量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ドセ
グメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタ
レン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメ
ントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱
抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より少
なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理すると
より耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してか
らアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。
このような処理をした積層構造体を示差走査型熱量計で
測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピー
クをより明確に発現する。なおアニ−リングしない場合
は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現しな
い。このことから類推するに、アニ−リングにより、ハ
−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が
形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないか
とも考えられる。(この処理を疑似結晶化処理と定義す
る)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド系弾性樹脂
やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0011】本発明は、繊度が100〜100000デ
ニ−ルの熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条を曲が
りくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着し
た3次元立体構造体を形成し、両面が実質的にフラット
化された網状体の片面に熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂
から短繊維が開繊3次元構造化され、接触部の大部分が
熱接着により融着一体化した面が実質的にフラット化さ
れた不織布(短繊維不織布)と接合一体化された密度が
0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の積層構造体であ
る。クッション材の機能は、クッション層は基本の繊度
を太くして少し硬くして体型保持を受け持つ層と振動減
衰性の良い成分で密度を少し高くし振動を吸収して振動
を遮断する層で構成し、表面層は繊度を細くし構成繊維
本数を多くした柔らかな層として適度の沈み込みにより
快適な臀部のタッチを与えて臀部の圧力分布を均一分散
化させると共にクッション層で吸収できなかった振動を
吸収して人体の共振部分の振動を遮断する層が一体化さ
れることで、応力や振動を一体で変形し吸収させ座り心
地を向上させることができる。本発明では、クッション
層の機能を熱可塑性弾性樹脂からなる融着した3次元立
体構造体を形成した網状体に持たせ、表面層の機能を熱
接着成分が熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維不織布に持
たせ、接合一体化して好ましいクッション材の機能を付
与できる積層構造体である。本発明の積層構造体を構成
する表面層機能を持つ短繊維不織布は柔らかな層として
適度の沈み込みにより快適な臀部のタッチを与えるた
め、熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂からなる(好ましく
は、振動吸収機能と変形応力吸収機能が充足できる40
重量%以上、70重量%を越えると短繊維の形態保持性
が低下し、沈み込みが大きくなるので70重量%以下)
繊度が20デニ−ル以下の短繊維で構成する。20デニ
−ルを越えると短繊維不織布の見掛け密度を好ましい表
面層機能を付与できる0.01g/cm3 以上0.05g
/cm3 以下にする場合、構成本数が少なくなり、緻密な
構造体としての特徴が出ず快適なタッチを損なうので好
ましくない。また、短繊維に非弾性樹脂を含む場合は繊
度が太くなるほど圧縮変形に対しての非弾性樹脂の機械
的変形が大きくなり、損傷が大きくなって耐へたり性が
低下するので好ましくない。他方、繊度が細すぎると嵩
高性が低下して変形応答性が悪くなり表面層の機能が低
下するので好ましくない。好ましい短繊維の繊度は1デ
ニ−ル〜10デニ−ル、より好ましくは3デニ−ル〜6
デニ−ルである。また、熱可塑性弾性樹脂からなる短繊
維が3次元構造化され、接触部の大部分が熱接着により
融着一体化した(好ましくは接触点の全てが融着一体化
した)面が実質的にフラット化された不織布とすること
で臀部の局部的な圧力を面で受け止め、圧力分布を均一
分散化させると共に、熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂か
らなる短繊維が3次元立体構造体を形成し融着一体化さ
れているので、熱接着点が大変形をしながら構造体全体
が変形してエネルギ−変換により変形応力を吸収し、変
形応力が解除されると熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性で容
易に元の形態に回復する機能があるので耐へたり性が良
好である。更には、クッション層へのダメ−ジを逓減で
き、構造体全体の耐へたり性も向上する。融着一体化さ
れていない場合は形態が保持できず、局部的な圧力を面
で受け止め、圧力分布を均一分散化できず、更に構造体
全体が変形してエネルギ−変換出来ないので耐久性が劣
り好ましくない。熱接着成分が振動吸収性の良好な熱可
塑性弾性樹脂を含有した繊維から構成されているので、
クッション層で吸収できなかった振動も吸収して人体の
共振部分の振動を遮断する層としての機能もはたす。短
繊維が熱可塑性非弾性樹脂からなる場合は、局部的な変
形応力に追随出来ないため、応力集中により構造が破壊
されていき回復性が劣るので好ましくない。また、熱可
塑性非弾性樹脂は振動吸収性が悪いので振動を遮断する
層としての機能が劣り好ましくない。短繊維不織布層の
厚みは特には限定されないが、表面層機能が発現できる
3mm〜30mmが好ましく、5mm〜20mmが特に好まし
い。他方、クッション層機能を持つ網状体は熱可塑性弾
性樹脂からなる連続した線条が接触部の大部分が融着し
た3次元立体構造体を形成し融着一体化され、両面が実
質的にフラット化されており、外部から与えられた振動
を熱可塑性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振動を吸
収減衰し、局部的に大きい変形応力を与えられた場合で
も網状体の表面が実質的にフラット化され接触部の大部
分が融着しており、表面は短繊維不織布と面で接合され
ているので、網状体の面で変形応力を受け止め変形応力
を分散させ体型保持機能を発現すると共に、熱可塑性弾
性樹脂からなる線条が3次元立体構造体を形成し融着一
体化されているので、構造体全体が変形してエネルギ−
変換により変形応力を吸収し、変形応力が解除されると
熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性で容易に元の形態に回復す
る機能があるので耐へたり性が良好である。公知の非弾
性樹脂のみからなる線条で構成した網状体では、表面層
で吸収できない大きい変形を受けるとゴム弾性を持たな
いので圧縮変形により塑性変形を生じて回復しなくなり
耐久性が劣る。網状体の表面が実質的にフラット化され
てない場合、短繊維不織布から伝達される局部的な外力
は、表面の線条及び接着点部分までに選択的に伝達さ
れ、応力集中が発生する場合があり、このような外力に
対しては応力集中による疲労が発生して耐へたり性が低
下する場合がある。なお、該線条が熱可塑性弾性樹脂か
らなる場合は3次元構造部分で構造全体が変形するので
応力集中は緩和されるが、非弾性樹脂では、そのまま応
力が接着点に集中して構造破壊を生じ回復しなくなる。
更には、表面が実質的にフラット化されてなく凸凹があ
ると座った時臀部に異物感を与えるため座り心地が悪く
なり好ましくない。なお、線状が連続していない場合
は、繊度が太い網状体では接着点が応力の伝達点となる
ため接着点に著しい応力集中が起こり構造破壊を生じ耐
熱耐久性が劣り好ましくない。融着していない場合は、
形態保持が出来ず、構造体が一体で変形しないため、応
力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣ると同時に、
形態が変形して体型保持ができなくなるので好ましくな
い。本発明のより好ましい融着の程度は、線条が接触し
ている部分の大半が融着した状態であり、もっとも好ま
しくは接触部分が全て融着した状態である。かくして、
振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からな
る連続した線条が接触部の大部分が融着した3次元立体
構造体を形成し融着一体化され表面が実質的にフラット
化されたクッション層機能を持つ網状体は、熱可塑性弾
性樹脂からなる短繊維不織布で構成する表面層から伝達
される変形応力を面で受け止め応力の分散を良くし、個
々の線状に掛かる応力を少なくして構造全体が変形して
変形応力を吸収し、且つ臀部を支えるクッション性も向
上させ、応力が解除されると回復し、フレ−ムから伝わ
る振動も振動吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹
脂からなるクッション層が吸収して人体の共振部分の振
動を遮断するため座り心地と耐久性を向上させることが
できる。この目的から、本発明の網状体を形成する振動
吸収性と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂からなる線
条の繊度は100〜100000デニ−ルである。見掛
け密度を0.2g/cm3 以下にした場合、100000
デニ−ルを越えると構成本数が少なくなり、密度斑を生
じて部分的に耐久性の悪い構造ができ、応力集中による
疲労が大きくなり耐久性が低下するので好ましくない。
本発明の熱可塑性弾性樹脂からなる線条の繊度は、繊度
が細すぎると抗圧縮性が低くなり過ぎて変形による応力
吸収性が低下するので100デニ−ル以上であり、構成
本数の低下による構造面の緻密性を損なわない5000
0デニ−ル以下である。より好ましくは500デニ−ル
以上、10000デニ−ル以下である。本発明の網状体
の見掛け密度は、0.005g/cm3 では反発力が失わ
れ、振動吸収能力や変形応力吸収能力が不充分となりク
ッション機能を発現させにくくなる場合があり、0.2
5g/cm3 以上では反発力が高すぎて座り心地が悪くな
る場合があるので、振動吸収能力や変形応力吸収機能が
生かせてクッション体としての機能が発現されやすい
0.01g/cm3 以上0.20g/cm3 以下が好まし
く、より好ましくは0.03g/cm3 以上0.08g/
cm3 以下である。本発明における網状体は繊度の異なる
線状を見掛け密度との組合せで最適な構成とする異繊度
積層構造とする方法も好ましい実施形態として選択でき
る。本発明の網状体の厚みは特に限定されないが、厚み
が5mm未満では応力吸収機能と応力分散機能が低下する
ので、好ましい厚みは力の分散をする面機能と振動や変
形応力吸収機能が発現できる厚みとして10mm以上であ
り、より好ましくは20mm以上である。本発明の網状体
と短繊維不織布が接合一体化された積層構造体としての
見掛け密度は0.01g/cm3 から0.2g/cm3 であ
る。0.01g/cm3 未満では体型保持や振動吸収など
のクッション機能が低下するので好ましくない。0.2
g/cm3 を越えると反発弾性が大きくなり座り心地が悪
くなるので好ましくない。好ましい見掛け密度は0.0
2g/cm3 〜0.1g/cm3 であり、より好ましくは
0.03g/cm3 〜0.06g/cm3 である。
【0012】本発明の網状体の線条の断面形状は特には
限定されないが、中空断面や異形断面にすることで好ま
しい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができ
るので特に好ましい。抗圧縮性は繊度や用いる素材のモ
ジュラスにより調整して、繊度を細くしたり、柔らかい
素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配を
調整できるし、繊度をやや太くしたり、ややモジュラス
の高い素材では中空率や異形度を低くして座り心地が良
好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の効
果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧
縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、自動車
等の座席に用いると省エネルギ−化ができ、布団などの
場合は、上げ下ろし時の取扱性が向上する。好ましい抗
圧縮性(反発力)やタッチを付与することができる他の
好ましい方法として、本発明の網状体の線条を複合構造
とする方法がある。複合構造としては、シ−スコア構造
またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造な
どが挙げられる。が、特にはクッション層が大変形して
もエネルギ−変換できない振動や変形応力をエネルギ−
変換して回復できる立体3次元構造とするために線状の
表面の50%以上を柔らかい熱可塑性弾性樹脂が占める
シ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及びそれら
の組合せ構造などが挙げられる。すなわち、シ−スコア
構造ではシ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ−変換
が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹
脂とし、コア成分は抗圧縮性を示すソフトセグメント含
有量が少ない熱可塑性弾性樹脂で構成し適度の沈み込み
による臀部への快適なタッチを与えることができる。サ
イドバイサイド構造では振動や変形応力をエネルギ−変
換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性
樹脂の溶融粘度をソフトセグメント含有量が少ない抗圧
縮性を示す熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度より低くして線
状の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑
性弾性樹脂の割合を多くした構造(比喩的には偏芯シ−
ス・コア構造のシ−スに熱可塑性弾性樹脂を配した様な
構造)として線状の表面を占めるソフトセグメント含有
量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を80%以上としたも
のが特に好ましく、最も好ましくは線状の表面を占める
ソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合
を100%としたシ−スコアである。ソフトセグメント
含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の線状の表面を占める割
合が多くなると、溶融して融着するときの流動性が高い
ので接着が強固になる効果があり、構造が一体で変形す
る場合、接着点の応力集中に対する耐疲労性が向上し、
耐熱性や耐久性がより向上する。
【0013】熱可塑性弾性樹脂からなる網状体と熱接着
成分が熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維不織布が接合一
体化されて、実質的に両面がフラット化された積層構造
体であるので、他の網状体、不織布、編織物、硬綿、フ
イルム、発泡体、金属等の被熱接着体とを接着するの
に、他の熱接着成分(熱接着不織布、熱接着繊維、熱接
着フィルム、熱接着レジン等)や接着剤等を用いて一体
積層構造体化し、車両用座席、船舶用座席、車両用、船
舶用、病院用等の業務用及び家庭用ベット、家具用椅
子、事務用椅子、布団類等の製品を得る場合、被接着体
面との接触面積を広くできるので、接着面積が広くなり
強固に接着した接着耐久性も良好な製品を得ることがで
きる。なお、網状体及び積層構造体形成段階から製品化
される任意の段階で上述の疑似結晶化処理を施すことに
より、構造体中の熱可塑性弾性樹脂からなる成分を示差
走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の
温度に吸熱ピークを持つようにすると製品の耐熱耐久性
が格段に向上するのでより好ましい。本発明の積層構造
体を形成する網状体の線条を複合構造とした場合、積層
構造体の裏面に熱接着機能も付与でき、補強材等を熱接
着一体構造化ができる。例えば、シ−スコア構造ではシ
−ス成分の振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソ
フトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂を熱接着
成分とし、コア成分の抗圧縮性を示すソフトセグメント
含有量が少ない熱可塑性弾性樹脂を網状形態の保持機能
をもたせるための高融点成分とする構成で、熱接着成分
の融点を高融点樹脂の融点より10℃以上低くしたもの
を用いることにより熱接着層の機能も付与できる。ま
た、本発明の積層構造体の表面層の短繊維不織布を振動
や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント
含有量が多い低融点の熱可塑性弾性樹脂を熱接着成分と
した熱接着繊維で構成することでも熱接着機能を付与で
きる。熱接着機能を発現させるに好ましい積層構造体中
の線条または繊維を形成する熱接着成分の融点は高融点
成分の融点より15℃から80℃低い融点であり、より
好ましくは20℃から60℃低い融点である。熱接着機
能を持つ本発明の積層構造体は実質的に表面がフラット
化されて、接触部の大部分が融着していることで、網状
体、不織布、編織物、硬綿、フイルム、発泡体、金属等
の被熱接着体面との接触面積を広くできるので、熱接着
面積が広くなり、強固に熱接着した新たな成形体及び車
両用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院用等の業
務用及び家庭用ベット、家具用椅子、事務用椅子、布団
類になった製品を得ることができる。なお、新たな成形
体及び製品が製品化されるまでの任意の段階で疑似結晶
化処理を施すことにより、構造体中の熱可塑性弾性樹脂
からなる線条を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に
室温以上融点以下の温度に吸熱ピークを持つようにする
と製品の耐熱耐久性が格段に向上したものを提供できる
のでより好ましい。熱接着時に被接着体を伸張した状態
で接着すると、被接着体は接着層のゴム弾性で伸張され
た状態が緩和しないので張りのある、皺になりにくい成
形体とすることもできる。
【0014】次に本発明の製法を述べる。本発明の製法
は複数のオリフィスを持つ多列ノズルより熱可塑性弾性
樹脂をその融点より20℃以上高く、80℃未満高い溶
融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状
態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつ
つ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、片
面に熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維を開
繊したウエッブを積層し、圧縮しつつ熱成形する積層構
造体の製法である。網状体は、熱可塑性弾性樹脂を一般
的な溶融押出機を用いて溶融し、複数のオリフィスを持
つ多列ノズルに供給し、オリフィスより下方へ吐出す
る。この時の溶融温度は、熱可塑性弾性樹脂の融点より
20℃〜80℃高い温度である。熱可塑性弾性樹脂の融
点より80℃を越える高い溶融温度にすると熱分解が著
しくなり熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性特性が低下するの
で好ましくない。他方、熱可塑性弾性樹脂の融点より1
0℃以上高くしないとメルトフラクチャ−を発生し正常
な線条形成が出来なくなり、また、吐出後ル−プ形成し
つつ接触させ融着させる際、線条の温度が低下して線条
同士が融着しなくなり接着が不充分な網状体となる場合
があり好ましくない。好ましい溶融温度は融点より20
℃から60℃高い温度、より好ましくは融点より25℃
から40℃高い温度である。オリフィスの形状は特に限
定されないが、中空断面(例えば三角中空、丸型中空、
突起つきの中空等となるよう形状)及び、又は異形断面
(例えば三角形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが
高くなる形状)とすることで前記効果以外に溶融状態の
吐出線条が形成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆
に接触点での流動時間を長く保持して接着点を強固にで
きるので特に好ましい。特開平1−2075号公報に記
載の接着のための加熱をする場合、3次元構造が緩和し
易くなり平面的構造化し、3次元立体構造化が困難とな
るので好ましくない。網状体の特性向上効果としては、
見掛けの嵩を高くでき軽量化になり、また抗圧縮性が向
上し、弾発性も改良できへたり難くなる。中空断面では
中空率が80%を越えると断面が潰れ易くなるので、好
ましくは軽量化の効果が発現できる10%以上70%以
下、より好ましくは20%以上60%以下である。オリ
フィスの孔間ピッチは線状が形成するル−プが充分接触
できるピッチとする必要がある。緻密な構造にするには
孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチ
を長くする。本発明の孔間ピッチは好ましくは3mm〜2
0mm、より好ましくは5mm〜10mmである。本発明では
所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間のピッチ
又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と孔間の両方
のピッチも変える方法などで異密度層を形成できる。ま
た、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力損失差を
付与すると、溶融した熱可塑性弾性樹脂を同一ノズルか
ら一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損失の大きい
オリフィスほど少なくなる原理を使って長手方向の区間
でオリフィスの断面積が異なる列を少なくとも複数有す
るノズルを用い異繊度線条からなる網状構造体を製造す
ることができる。次いで、該ノズルより下方に向けて吐
出させ、ル−プを形成させつつ溶融状態で互いに接触さ
せて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取りネットで
挟み込み、網状体の表面の溶融状態の曲がりくねった吐
出線条を45°以上折り曲げて変形させて表面をフラッ
ト化すると同時に曲げられていない吐出線条との接触点
を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常は室
温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面でも
安くなるので好ましい)で急冷して本発明の3次元立体
網状構造体化した網状体を得る。ノズル面と引取り点の
距離は少なくとも40cm以下にすることで吐出線条が冷
却され接触部が融着しなくなることを防ぐのが好まし
い。吐出線条の吐出量5g/分孔以上と多い場合は10
cm〜40cmが好ましく、吐出線条の吐出量5g/分孔未
満と少ない場合は5cm〜20cmが好ましい。網状体の厚
みは溶融状態の3次元立体構造体両面を挟み込む引取り
ネットの開口幅(引取りネット間の間隔)で決まる。本
発明では上述の理由から引取りネットの開口幅は5mm以
上とする。次いで水切り乾燥するが冷却媒体中に界面活
性剤等を添加すると、水切りや乾燥がしにくくなった
り、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり好ましくな
い。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設置
した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリフ
ィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径を
きめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な一
対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み停
留させることで互いに接触した部分を融着させつつ、連
続して冷却媒体中に引込み固化させ網状体を形成する
時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網
状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望
の厚みのものが得られる。コンベア速度も速すぎると、
接触点の形成が不充分になったり、融着点が充分に形成
されるまでに冷却され、接触部の融着が不充分になる場
合がある。また、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過
ぎ、密度が高くなるので、所望の見掛け密度に適したコ
ンベア速度を設定する必要がある。次いで本発明の製法
では、表面層の機能を持たせる短繊維不織布と接合一体
化する。熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂からなる繊度が
20デニ−ル以下の短繊維は、低融点の熱可塑性弾性樹
脂と高融点の熱可塑性非弾性樹脂とを個々に溶融し、公
知の複合紡糸により紡糸し、延伸して完成糸を得られ
る。が、この方法では、熱接着成分の融点が低いので、
延伸時に高温で熱セットできないため収縮率が30%か
ら80%と高いものしか得られないので、ウエッブを熱
成形する際ウエッブ収縮による成形寸法不良を生じる。
本発明ではこの問題を解決するため、3000m/分以
上の高速紡糸により収縮率を10%以下に低収縮化して
一気に完成糸にする方法で得るのが好ましい。次いで、
巻縮を付与し、所望のカット長に切断して短繊維を得
る。本発明に使用する短繊維の複合形態は特には限定さ
れないが、熱接着繊維としての機能が必要なのでサイド
バイサイドまたはシ−スコアで、低融点成分が繊維の表
面の50%以上を占めるのが好ましく、低融点成分が繊
維の表面の100%以上を占めるのがより好ましい。か
くして得られた短繊維はカ−ド等で開繊3次元化構造と
した開繊ウエッブを、該網状体の表面に積層圧縮して熱
成形により接合一体化するか、一旦単独で開繊ウエッブ
のみを積層圧縮して熱成形により構造体化して短繊維不
織布を作成し、次いで該網状体と短繊維不織布を接合一
体化することもできる。この場合、熱接着層又は接着剤
を別途該網状体と短繊維不織布間に使用して接合一体化
してもよく、該網状体または該短繊維不織布の熱接着機
能を使って接合一体化してもよい。本発明の好ましい方
法としては、該網状体を一旦冷却後、又は一体成形して
得られた積層構造体を製品化に至る任意の工程で熱可塑
性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以下の温度でア
ニ−リングよる疑似結晶化処理を行い積層構造体又は製
品を得るのがより好ましい製法である。疑似結晶化処理
温度は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、
Tanδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行
う。この処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結
晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より
耐熱耐へたり性が著しく向上する。本発明の好ましい疑
似結晶化処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−
20℃)である。単なる熱処理により疑似結晶化させる
と耐熱耐へたり性が向上する。が更には、10%以上の
圧縮変形を付与してアニ−リングすることで耐熱耐へた
り性が著しく向上するのでより好ましい。また、該網状
体を一旦冷却後、乾燥工程を経する場合、乾燥温度をア
ニ−リング温度とすることで同時に疑似結晶化処理を行
うができる。また、製品化する工程で別途疑似結晶化処
理を行うができる。次いで所望の長さまたは形状に切断
してクッション材に用いる。
【0015】本発明の積層構造体をクッション用いる場
合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、繊
度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例えば、
ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを
付与するためには、やや高密度で細い繊度の緻密な構造
が好ましく、中層のクッション機能を発現させるには、
共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時のヒステリシ
スを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を
保持させるために、中密度で太い繊度、やや大きいル−
プ径の層と低密度で細い繊度、細かいル−プ径の層を積
層一体化した構造にするのが好ましい。本発明の積層構
造体は表面層とクッション層の機能を同時に有するの
で、3次元構造を損なわない程度に成形型等を用いて使
用目的にあった形状に成形して側地を被せるのみで車両
用座席、船舶用座席、ベット、椅子、家具等に用いるこ
とができる。勿論、用途との関係で要求性能に合うべき
他の素材、例えば、異なる網状体、短繊維集合体からな
る硬綿クッション材、不織布等と組合せて用いることも
可能である。また、樹脂製造過程以外でも性能を低下さ
せない範囲で製造過程から成形体に加工し、製品化する
任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油
化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等の処理加工が
できる。
【0016】
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。
【0017】なお、実施例中の評価は以下の方法で行っ
た。 融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロン
DDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測
定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分
M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域へ
の転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。 見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示
す。(n=4の平均値) 線条の繊度 試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹
脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を
得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求
める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル
樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃
にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より
線状の9000mの重さを求める。(単位cgs) 繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000 融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)か
ら次式即ち(a−b)/a×100より算出する。単位
%(n=3の平均値) 繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の
厚み(a)から次式即ち(a−b)/a×100より算
出する。単位%(n=3の平均値) 座り心地 バケットシ−トの形状に切断成形した積層弾性構造体の
表面層側に東洋紡績製ハイムからなるポリエステルモケ
ットの側地を被って、座席用フレ−ムにセットして座部
は4か所、背部は6か所の側地止めを入れた座席を作成
し、30℃RH75%室内で作成した座席にパネラ−を
座らせ以下の評価をおこなった。(n=5) (1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった
感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆
ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;× (2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の
座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価し
た。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや
蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;× (3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられ
るか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;
○、4時間以上;◎ (4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的
に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲
れる;△、非常に疲れる;× (5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○
を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含
まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含む
もの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;や
や悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価し
た。
【0018】実施例1 ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触
媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつ
つ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エ
ラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤2%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得
られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方
向の孔間ピッチ5mm、長さ方向の孔間ピッチ10mmの千
鳥配列としたオリフィス形状は外径2mm、内径1.6mm
でトリプルブリッジの中空形成性断面としたノズルに、
得られた熱可塑性弾性樹脂原料を別々の押出機にて溶融
し、A−1をシ−ス成分に、A−2をコア成分となるよ
うにオリフィス直前で分配し、溶融温度245℃にて単
孔当たりの吐出量2.0g/分(A−1:1g/分、A
−2:1g/分)にてノズル下方に吐出させ、ノズル面
12cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エン
ドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベア
を水面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線
状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着さ
せつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の
両面を引取りコンベア−で挟み込みつつ毎分1mの速度
で25℃の冷却水中へ引込み固化させ両面をフラット化
した後、所定の大きさに切断して得た網状体は断面形状
がシ−スコア構造の三角おむすび型の中空断面で中空率
が40%、繊度が9000デニ−ルの線条で形成してお
り、平均の見掛け密度が0.046g/cm3 であった。
別途に、常法により公知の複合紡糸機にて、熱可塑性弾
性樹脂A−3をシ−ス成分、相対粘度1.0のPBTを
コア成分となるように個々に溶融してオリフィス直前で
分配し、各吐出量を50/50重量比で、単孔当たり
1.6g/分孔(0.8g/分:0.8g/分)として
紡糸温度265℃にて、紡糸速度3500m/分にて得
た繊度が4.1デニ−ル、乾熱160℃での収縮率4%
の糸を収束してトウ状でクリンパ−にて機械巻縮を付与
し、64mmに切断してシ−スコア断面の熱可塑性弾性樹
脂からなる短繊維を得た。該短繊維をオ−プナ−にて予
備開繊した後カ−ドで開繊して得たウエッブを目付け1
000g/m2 に積層し、該網状体に積層し、見掛け密
度が0.05g/cm3 となるように圧縮し、180℃の
熱風にて5分間熱処理後冷却して両面がフラットな積層
構造体を得た。次いで厚みの10%圧縮して、100℃
の熱風にて20分疑似結晶化処理して得た本発明の積層
構造体の特性を表2に示す。表2で明らかなごとく、実
施例1は柔らかい弾性樹脂の特性が生かせた積層構造体
のため耐熱性、常温での耐久性に優れ、座り心地ともに
優れたクッション材であった。評価用に作成した座席も
性能が優れていることが判る。
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 ジメチルイソフタレ−ト(DMI)20モル%とDMT
80モル%及び1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を
少量の触媒と仕込み、実施例1の方法と同様にして得た
ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の処方を表1に示す。
オリフィスの孔形状を孔径φ1mmの丸断面としたノズル
を用い、A−3のみを単成分で用いた以外実施例1と同
様にして得た網状体は中実丸断面で繊度9000デニ−
ルの線条から形成されており、平均の見掛け密度が0.
046g/cm3 であった。次いで実施例1と同様にして
得た積層構造体の特性を表2に示す。表2で明らかなご
とく、実施例2は耐熱性と常温での耐久性は実用上使用
可能で、座り心地の優れたクッション材であり、評価用
に作成した座席も優れていることが判る。
【0023】実施例3 ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖
延長剤として1・4BDを添加して重合し次いで抗酸化
剤2%を添加混合練込み後ペレット化し真空乾燥してポ
リエ−テル系ウレタンポリマ−の処方を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】得られた熱可塑性弾性樹脂(シ−ス成分:
B−1、コア成分:B−2)を溶融温度220℃とした
以外実施例1と同様にして得た網状体の線条のシ−スコ
ア構造の断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率
40%、繊度が9800デニ−ル、平均の見掛け密度が
0.047g/cm3 であった。他方、B−1をシ−ス成
分に、実施例2に使用したPBTをコア成分とし、紡糸
温度を260℃とした以外実施例1と同様にして得た複
合繊維の特性は、繊度が4.5デニ−ル、150℃での
収縮率が3%であった。この複合繊維を実施例1と同様
にして1000g/m2 の積層ウエッブにし、該網状体
と積層し、160℃の熱風にて5分間熱処理後冷却して
両面がフラットな積層構造体を得た。次いで厚みの10
%圧縮して、100℃の熱風にて20分疑似結晶化処理
して得た本発明の積層構造体の特性を表2に示す。実施
例3は柔らかいウレタンの特性を生かした積層構造体で
耐熱性、常温での耐久性、座り心地ともに優れたクッシ
ョン材であった。評価用に作成した座席も優れているこ
とが判る。
【0026】比較例1〜2 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)単成分のみ及びメルトインデックス12のポリプロ
ピレン(PP)単成分のみを溶融温度を280℃及び2
50℃とした以外、実施例2と同様にして得た比較例1
に用いる網状体は、繊度が8800デニ−ル、見掛け密
度が0.047g/cm3 、比較例2に用いる網状体の繊
度は23000デニ−ルで、見掛け密度が0.047g
/cm3 であった。次いで、疑似結晶化処理しなかった以
外、実施例2と同様にして得た積層構造体の特性を表2
に示す。なお、比較例2は非弾性オレフィンからなる網
状体のため、短繊維不織布との熱接着が不良なためウレ
タン系接着材で接着した。比較例1は非弾性ポリエステ
ルからなる網状体のため耐熱耐久性が悪く、熱接着成分
が熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維不織布を表面層に使
用しているにも係わらず、硬くて座り心地も悪いクッシ
ョン材である。比較例2は繊度がやや太い非弾性オレフ
ィンからなる網状体のため、短繊維不織布との熱接着が
不良なためウレタン系接着材で接着したが、耐熱耐久性
が悪く、熱接着成分が熱可塑性弾性樹脂からなる短繊維
不織布を表面層に使用しているにも係わらず、座り心地
の悪いクッション材であった。
【0027】比較例3 ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配して引き
取ったあと疑似結晶化処理をしなかった以外、実施例2
と同様の方法で得た網状体の特性の一部を表2に示す。
なお、接着状態が不良で形態保持が悪いため、積層構造
体にはできなかったので、50%圧縮時反発力、見掛け
密度、補強効果、70℃残留歪、繰返圧縮歪み、及び座
り心地の評価はしていない。比較例3は形態が固定され
ていないのでクッション材に適さない例である。
【0028】比較例4 疑似結晶化処理しない以外、実施例2と同様にして得た
線条は繊度9100デニ−ル、平均の見掛け密度は0.
045g/cm3 の網状体と、東洋紡績社製4−44−E
E7を用いて疑似結晶化処理しない以外、実施例1と同
様にして作成した熱接着成分が熱可塑性非弾性樹脂から
なる短繊維不織布を表面層に積層し、接合一体化した構
造体の特性を表2に示す。比較例4はクッション層が熱
可塑性弾性樹脂で構成されているので座り心地は良い
が、耐熱性と耐久性がやや不良なクッション材であっ
た。
【0029】比較例5 幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッ
チ10mm、長さ方向の孔間ピッチ20mmの千鳥配列とし
たオリフィス径φ2mmとしたノズルを用いて、単孔当た
りの吐出量25g/分にて吐出させて、ノズル面30cm
下に引取りコンベアネットを配して1m/分にて引き取
った以外、実施例2と同様にして得た線条の繊度は11
3000デニ−ルで、平均の見掛け密度は0.154g
/cm3 の網状体を用い、疑似結晶化処理しない以外実施
例2と同様にして作成した積層構造体の特性を表2に示
す。比較例5は繊度が著しく太く密度斑のある積層構造
体のため、耐熱耐久性が悪くなり、座り心地もやや悪く
なるクッション材であった。
【0030】比較例6 引取りコンベアネットの間隔(開口幅)を5cmとした以
外、実施例2と同様にして得た線条繊度が9000デニ
−ルで、網状体の平均見掛け密度が0.043g/cm3
の表面が実質的にフラット化されていない網状体を用
い、疑似結晶化処理しない以外実施例2と同様にして作
成した積層構造体の特性を表2に示す。比較例6は網状
体の表面が凹凸になっているため、見掛け密度が低いの
に耐久性が劣り、熱接着が不充分になり、少し異物感を
感じる座り心地のやや劣るクッション材であった。
【0031】比較例7 単孔当たりの吐出量3g/分にて吐出させ、引取りコン
ベアネットの速度を0.3m/分とし、疑似結晶化処理
しなかった以外実施例2と同様して得た線条繊度が13
000デニ−ルで、網状体の平均見掛け密度が0.21
g/cm3 の網状体を用い、疑似結晶化処理しない以外実
施例2と同様にして作成した積層構造体の特性を表2に
示す。比較例7は見掛け密度が高いため、タッチは良好
だが座り心地がやや劣り、耐熱性、耐久性が不充分なク
ッション材であった。
【0032】比較例8 幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッ
チ4mm、長さ方向の孔間ピッチ3mmの千鳥配列としたオ
リフィス径φ1mmとしたノズルを用いて単孔当たりの吐
出量0.012g/分にて吐出させて、ノズル面5cm下
に引取りコンベアネットを配して1.5m/分にて引き
取った以外、実施例2と同様にして得た線条の繊度が4
0デニール、見掛け密度が0.008g/cm3 の網状体
を用いて、積層構造体の見掛け密度を0.009g/cm
3 となるように圧縮した以外、比較例7と同様にして作
成した積層構造体の特性を表2に示す。比較例8は線状
の繊度が細い緻密な網状体をクッション層にした場合も
で、見掛け密度が低すぎて沈み込みが大きくなり床つき
感が大きくなり座り心地のやや劣るクッション材であっ
た。
【0033】実施例5 実施例1で得た積層弾性構造体を長さ120cmに切断し
て、厚み5cm、幅120cm、長さ50cm毎にキルティン
グした幅120cm、長さ200cmの側地に入れマットレ
スを作成した。このマットレスをベッドに設置し、25
℃RH65%室内にてパネラ−4人に7時間使用させて
寝心地を官能評価した。なお、ベットにはシ−ツを掛
け、掛け布団は1.8kgのダウン/フェザ−:90/1
0を中綿にしたもの、枕はパネラ−が毎日使用している
ものを着用させた。評価結果は、床つき感がなく、沈み
込みが適度で、蒸れを感じない快適な寝心地のベットで
あった。比較のため、密度0.04g/cm3 で厚み10
cmの発泡ウレタン板状体で同様のマットレスを作成し、
ベットに設置して寝心地を評価した結果、床つき感は少
ないが沈み込みが大きくやや蒸れを感じる寝心地の悪い
ベットであった。
【0034】実施例6 実施例1で得た不織布積層構造体を幅38cm、長さ40
cmでコ−ナ−をア−ル10cmとした形状に切断し、座り
心地評価用に用いたポリエステルモケットを側地にして
事務椅子フレ−ムに設置し、市販のポリウレタンをクッ
ションに使用した事務椅子と対比させて、座り心地を4
時間座らせ評価した結果、蒸れ感、床つき感、座ったま
ま我慢できる時間は、本発明の不織布積層構造体を用い
たものが著しく優れていた。
【0035】
【発明の効果】振動や応力吸収性の良い熱可塑性弾性樹
脂から成る線条が3次元立体構造を形成し融着一体化し
た表面が実質的にフラット化された網状体をクッション
層とし、熱接着成分が振動や応力吸収性の良い熱可塑性
弾性樹脂から成る短繊維不織布を表面層として接合一体
化した本発明の積層構造体は、振動遮断性、耐熱耐久
性、嵩高性、座り心地のより改善された、蒸れにくいク
ッション材であり、そのまま側地を被せて又は、他の素
材との併用して、上記の好ましい特性を付与した車両用
座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院やホテル等の
業務用ベット、家具用クッション、寝装用品等の製品を
提供できる。更には、車両用や建築資材としての内装材
や断熱材等にも有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // D01F 6/00 D01F 6/00 A 6/62 303 6/62 303D 6/86 301 6/86 301B (56)参考文献 特開 昭55−17527(JP,A) 特開 平1−213454(JP,A) 特開 昭58−109670(JP,A) 特開 昭58−149362(JP,A) 実開 平1−16326(JP,U) 実開 平2−18371(JP,U) 実開 平2−18300(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B68G 1/00 - 15/00 B32B 1/00 - 35/00 D01D 1/00 - 13/02 D01F 1/00 - 13/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊度が100〜100000デニ−ルの
    熱可塑性弾性樹脂からなる連続した線条を曲がりくねら
    せ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した3次元
    立体構造体を形成し、両面が実質的にフラット化された
    網状体の片面に、熱可塑性非弾性樹脂と熱可塑性弾性樹
    脂からなる熱接着性短繊維が開繊3次元構造化され、接
    触部の大部分が熱接着により融着一体化した面が実質的
    にフラット化された不織布が接合一体化された密度が
    0.01g/cm3 から0.2g/cm3 の積層構造体。
  2. 【請求項2】 連続した線条の断面形状が中空断面又は
    異形断面である請求項1記載の積層構造体。
  3. 【請求項3】 連続した線条を構成する熱可塑性弾性樹
    脂が示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融
    点以下の温度に吸熱ピークを有する請求項1記載の積層
    構造体。
  4. 【請求項4】 複数のオリフィスを持つ多列ノズルより
    熱可塑性弾性樹脂をその融点より20〜80℃高い溶融
    温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態
    で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、
    引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめた後、片面
    に、熱可塑性非弾性樹脂と熱可塑性弾性樹脂からなる短
    繊維を開繊したウエッブを積層し、圧縮しつつ熱成形す
    る積層構造体の製法。
  5. 【請求項5】 一旦冷却後、熱可塑性弾性樹脂の融点よ
    り少なくとも10℃以下の温度でアニ−リングを行なう
    請求項4に記載の積層構造体の製法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の積層構造体を用いた車
    両用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院用等の業
    務用及び家庭用ベット、家具用椅子、事務用椅子および
    布団のいずれかに記載の製品。
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