JP3430444B2 - クッション用網状構造体、その製造法およびクッション製品 - Google Patents
クッション用網状構造体、その製造法およびクッション製品Info
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Description
耐熱耐久性とを有する網状構造体及び、その製造法と網
状構造体を用いた布団、家具、ベッド、車両用クッショ
ン材等の製品に関する。
車等のクッション材で、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維
詰綿、及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿など
が使用されている。
ッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性に劣
り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可塑性では無
いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉
の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。
このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安
定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くな
っていく問題がある。また、加工性は優れるが製造中に
使用される薬品の公害問題などもある。また、熱可塑性
ポリエステル繊維詰綿では繊維間が固定されていないた
め、使用時形態が崩れたり、繊維が移動して、かつ、捲
縮のへたりで嵩高性の低下や弾力性の低下が問題にな
る。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架
橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−1377
32号公報等がある。これらのクッション材は耐久性に
劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリ
サイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製
造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
ある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−
を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊
維が特開平4−240219号公報で、同繊維を用いた
クッション材がWO−91/19032号公報、特開平
5−156561号公報、特開平5−163654号公
報等で提案されている。この繊維構造物に使われる接着
成分がポリエステルエラストマ−のソフトセグメントと
してはポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50
重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフタル酸を5
0〜80モル%含有し、他の酸成分組成としてイソフタ
ル酸を含有して非晶性が増すことになり、融点も180
℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の形成を良く
してアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形し
やすいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、
特に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が
低下する問題点がある。なお、この繊維は特公昭60−
1404号公報に記載された繊維と同一で従来技術を改
良したものにはなっていない。
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、細い繊維から構成したクッションとは異なり
表面が凸凹でタッチが悪く、素材がオレフィンのため耐
熱耐久性が著しく劣りクッション材には使用ができない
ものである。また、特公平3−17666号公報には繊
度の異なる吐出線条を互いに融着してモ−ル状物を作る
方法があるがクッション材には適さない網状構造体であ
る。特公平3−55583号公報には、ごく表面のみ冷
却前に回転体等の細化装置で細くする方法が記載されて
いる。この方法では表面をフラット化できず、厚みのあ
る細い線条層を作ることできない。したがって座り心地
の良好なクッション材にはならない。特開平1−207
462号公報では、塩化ビニ−ル製のフロアマットの開
示があるが、室温での圧縮回復性が悪く、耐熱性は著し
く悪いので、クッション材としては好ましくないもので
ある。
耐熱性、形態保持性、クッション性の優れた蒸れ難い、
クッション材に適した網状構造体と製造法及び網状構造
体を用いたクッション製品を提供することを目的とす
る。
の手段、即ち本発明は、100〜100000デニ−ル
の連続線状体を曲がりくねらせランダムル−プを形成
し、夫々のル−プを互いに溶融状体で接触せしめて、接
触部の大部分を融着させてなる見掛け密度が0.005
〜0.20/cm3 の三次元ランダムル−プ接合構造体で
あり、上記連続線状体自体が、2種類の熱可塑性弾性樹
脂で複合構造化されていることを特徴とするクッション
用網状構造体、2種類の熱可塑性弾性樹脂が複合化され
るようにノズルオリフィス前で分配し、該熱可塑性弾性
樹脂のうち最も低融点の樹脂の融点〜融点+120℃の
温度から、最も高融点の樹脂の融点〜融点+10℃の温
度で両方の樹脂を溶融複合化し、ノズルから下方に向け
て吐出させ、溶融状態で多数のル−プを形成し、夫々の
ル−プを互いに接触し融着させて三次元のランダムル−
プを形成し、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめ
て網状構造体を一体化することを特徴とするクッション
用網状構造体の製造法および前記網状構造体をクッショ
ン材として用いたクッション製品である。
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリ
エステル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、
ポリウレタン系エラストマ−などが挙げられる。熱可塑
性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能とな
るため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエステ
ル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ
−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフト
セグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合
体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントと
するポリエステルエステルブロック共重合体が例示でき
る。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体
的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボ
ン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環
族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイ
マ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステ
ル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なく
とも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−
ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−
ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタ
ノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均
分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、
ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも
使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラス
トマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も
本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系
エラストマ−としては、ハ−ドセグメントにナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12等及びそれらの共重合ナイ
ロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が
約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプ
ロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、
エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポ
リアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成さ
れるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して
用いてもよい。更には、非エラストマ−成分をブレンド
されたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。
ポリウレタン系エラストマ−としては、通常の溶媒(ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在
または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜60
00の末端に水酸基を有するポリエ−テル及び又はポリ
エステルと(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とする
ポリイソシアネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−
ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分と
するポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラスト
マ−を代表例として例示できる。(A)のポリエステ
ル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が約1000
〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチ
レンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエチレングリ
コ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレ
ングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド
共重合体等のポリアルキレンジオ−ルが好ましく、
(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知のポリ
イソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニルメ
タン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシアネ
−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ−ト
等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミンとし
ては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミン等
公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のトリア
ミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポリウ
レタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合して用
いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融点は
耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、16
0℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するのでよ
り好ましい。なお、必要に応じ、抗酸化剤や耐光剤等を
添加して耐久性を向上させることができる。
性弾性樹脂からなる線条は、示差走査型熱量計にて測定
した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有する
のが好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、
耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく
向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱
可塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性
のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸な
どを90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレ
フタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は9
5モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−
ル成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次
いで、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均
分子量が500以上5000以下、特に好ましくは10
00以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ル
を15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30
重量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ド
セグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグ
メントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐
熱抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より
少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理する
とより耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与して
からアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上す
る。このような処理をした網状構造体の線条を示差走査
型熱量計(DSC)で測定した融解曲線に室温以上融点
以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおア
ニ−リングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に
吸熱ピ−クを発現しない。このことから類推するに、ア
ニ−リングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑
似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上
しているのではないかとも考えられる。(この処理を疑
似結晶化処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、
ポリアミド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有
効である。
弾性樹脂で複合構造化された線状で構成された複合網状
構造体である。本発明で言う複合構造とは、シ−スコア
構造やサイドバイサイド構造及び海島構造であり、少な
くとも2種類の熱可塑性弾性樹脂で構成されている。1
種類の熱可塑性弾性樹脂は著しいゴム弾性による変形回
復性の優れた成分で、他の1種類の熱可塑性弾性樹脂は
比較的モジュラスの高い形態保持性の良い成分を選択
し、高回復性と抗圧縮性を同時に満足しようとするもの
である。高回復性の成分は比較的モジュラスが低く、抗
圧縮性が悪いため座席の沈み込みが大きくなり、座り心
地が悪くなる。他方、抗圧縮性の成分は比較的モジュラ
スは高いが応力集中で大きい変形を受けた場合は回復し
にくい場合がある。単成分からなる線条のこの問題点を
改良するため、例えば2種類の熱可塑性弾性樹脂で両方
の成分を線条に付与する場合、シ−スコア構造やサイド
バイサイド構造にすると、単一成分で構成された線条に
較べ2成分で構成された線条の各単成分の断面積は必ず
少なくなり、圧縮によるル−プの曲げ変形に対する線条
が受ける圧縮力と伸張力は単成分からなる線条に較べ少
なくなり、従って抗圧縮成分は回復性が向上し、高回復
成分のみの線条より柔らか過ぎも改良することができ
る。本発明における高回復成分としては、ソフトセグメ
ントとなる成分が少なくとも40重量%〜80重量%、
抗圧縮成分としては、ソフトセグメントとなる成分が少
なくとも5重量%〜50重量%とするのが好ましく、よ
り好ましくは高回復成分のソフトセグメン成分は50重
量%〜70重量%、抗圧縮成分のソフトセグメン成分は
10重量%〜40重量%である。なお、複合構造化され
た線条を構成する複数の熱可塑性弾性樹脂の融点差は低
融点成分の熱分解を抑制できる80℃未満が好ましく、
50℃未満がより好ましい。また、低融点成分が線状表
面の少なくとも50%以上を占める線状からなる複合網
状構造体とすることで線条が形成するル−プが互いに接
触して熱融着する際に低融点成分が高融点成分より溶融
状態で流動できる時間が長くなり融着が充分にできるの
で接着力を向上できるので好ましい。低融点成分が線状
表面の100%を占めるシ−スコア構造がより好まし
い。このような効果を保持するには、低融点成分の融点
は高融点成分の融点より少なくとも5℃低いことが好ま
しく、15℃以上低いことがより好ましい。
デニ−ル以上100000デニ−ル以下の少なくとも2
種類の熱可塑性弾性樹脂からなる複合構造化された線条
を、曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分
を融着せしめて3次元網状構造を形成した見掛け密度が
0.005g/cm3 以上0.20g/cm3 以下の複合網
状構造体である。少なくとも2種類の熱可塑性弾性樹脂
からなる複合構造化された線条を、曲がりくねらせ互い
に接触させて該接触部の大部分を融着せしめて3次元網
状構造を形成させることで、非常に大きい応力で、大変
形を与えても、融着一体化した3次元網状構造全体が変
形して応力を吸収し、応力が解除されると弾性樹脂のゴ
ム弾性が発現して、構造体は元の形態に回復することが
できる。融着していない場合は、構造体が一体で変形し
ないため、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣
ると同時に、形態が変形して形態保持が出来ず好ましく
ない。本発明のより好ましい融着の程度は、線条が接触
している部分の大半が融着した状態であり、もっとも好
ましくは接触部分が全て融着した状態である。公知の非
弾性樹脂からなる線条で構成したクッション材では、著
しい反発力を示し床つき感が大きくなり、圧縮変形によ
る塑性変形も生じて回復性が不充分となり耐熱耐久性も
劣る。なお、線状が連続していない場合は、接着点が応
力の伝達点と成るため接着点に著しい応力集中が起こり
構造破壊を生じ前記従来技術にも例示した特開昭60−
11352号公報、特開昭61−137732号公報、
WO91−19032号公報NO如く耐熱耐久性が劣り
好ましくない。なお、本発明の構造体を形成する線状の
繊度は100デニ−ル以下では抗圧縮強力が低くなり反
発力が低下するので好ましくない。100000デニ−
ル以上では線状体の個々の抗圧縮性は大きいが構成本数
が少なくなり力の分散が悪くなり100kg/cm2以上の
著しく大きい圧縮力を受けた場合応力集中によるへたり
が発生するので使用部分が制限される場合がある。好ま
しくは300〜50000デニ−ル、より好ましくは5
00〜30000デニ−ルである。なお、本発明におい
ては繊度の異なる線状を見掛け密度との組合せで最適な
構成とする方法も好ましい構成として選択できる。本発
明複合網状構造体の平均の見掛け密度はクッション材と
しての機能が発現できる0.005g/cm3 〜0.20
g/cm3 以下である。0.005g/cm3 未満では反発
力が失われるのでクッション材には不適当であり、0.
20g/cm3 を越えると反発力が高すぎて座り心地が悪
くなり好ましくない。本発明の好ましい見掛け密度は
0.01g/cm3 〜0.10g/cm3 、より好ましくは
0.03g/cm3 〜0.06g/cm3 である。しかし
て、本発明網状構造体は、繊度の異なる線条からなる各
層の見掛け密度を変え好ましい特性を付与することがで
きる。例えば、繊度の細い表面層と繊度の太い基本層か
らなる場合は、表面層の密度はやや高くして構成本数を
多くし線条の一本が受ける応力を少なくして応力の分散
を良くし、且つ臀部を支えるクッション性も向上させる
ことで座り心地を向上させることもできる。基本層は繊
度を太くして少し硬くし、振動吸収と体型保持を受け持
つ層、座席フレ−ムが接する面はより緻密な層とするた
め、やや繊度の細い線条で、且つ高密度とすることによ
りフレ−ム面から受ける振動や反発応力をクッション層
に均一に伝達し、クッション層で一体化した全体が変形
してエンルギ−変換できるようにし、座り心地を良くす
ると共にクッションの耐久性も向上させることもでき
る。又、座席のサイドの厚みと張りを付与させるために
部分的に繊度をやや細くして高密度化することもでき
る。このように各層はその目的に応じ好ましい密度と繊
度を任意に選択できる。なお、網状構造体の各層の厚み
は、特に限定されないが、クッション体としての機能が
発現されやすい3mm以上とするのが好ましく5mm以上と
するのが特に好ましい。
中において、該網状構造体の厚みの方向を垂線とした
時、垂線から45°以上曲げられ接触部の大部分が融着
しており、構造体は実質的に面がフラット化されている
複合網状構造体とすることが本発明においては好まし
い。このことで、網状構造体面の該線条の接触点が大幅
に増加して接着点を形成するため座った時の臀部の局部
的な外力も臀部に異物感を与えずに、局部的な外力も構
造面で受け止めて面構造が全体で変形して内部の構造体
全体も変形して応力を吸収し、応力が解除されると弾性
樹脂のゴム弾性が発現して、構造体は元の形態に回復す
ることができる。実質的にフラット化されてない場合臀
部に異物感を与え、表面に局部的な外力が掛かると、表
面の線条及び接着点部分までに選択的に応力集中が発生
する場合があり、このような外力に対しては応力集中に
よる疲労が発生して耐へたり性が低下する場合がある。
なお、該線条が熱可塑性弾性樹脂からなる場合は3次元
構造部分で構造全体が変形するので応力集中は緩和され
るが、非弾性樹脂では、そのまま応力が接着点に集中し
て構造破壊を生じ回復しなくなる。表面がフラット化さ
れた場合、ワディング層を使用しないで、又は非常に薄
いワディング層を積層し、側地で表面を覆い自動車用、
鉄道用等の座席や椅子又はベット用、ソファ−用、布団
用等のクッションマットにすることができる。がフラッ
ト化されていない場合は、網状構造体の表面に比較的厚
め(好ましくは10mm以上)のワディング層を積層して
側地で表面を覆って座席やクッションマットを形成する
必要がある。必要に応じてワディング層との接着または
側地との接着は表面がフラットな場合は容易であるが、
フラット化されていない場合は凸凹なため接着が不完全
になる。
は特に限定されないが中空断面及び又は異形断面にする
ことで抗圧縮性や嵩高性が付与できるので好ましく、5
000デニ−ル以下に低繊度化したい場合特に好まし
い。抗圧縮性は用いる素材のモジュラスにより調整し
て、柔らかい素材では中空率(好ましくは5%以上80
%未満、より好ましくは20%以上60%未満)や異形
度を高くし初期圧縮応力の勾配を調整できるし、ややモ
ジュラスの高い素材では中空率や異形度を低くして座り
心地が良好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面
の他の効果として中空率や異形度を高くすることで、同
一の抗圧縮性を付与した場合、より軽量化が可能とな
り、自動車等車両用の座席や鉄道、船舶用ベットに用い
ると省エネルギ−化ができ、布団などの場合は、上げ下
ろし時の取扱性が向上する。
合線条構造体とすることで、側地をポリエステルのもの
を用いた場合、及びワディング層にポリエステルステ−
プルからなる硬綿クッション材を積層した車両用座席、
船舶用座席、各種ベット、家具用椅子、事務用椅子にさ
れた製品をリサイクルする場合、側地やワディング層を
分別せずに再生が可能になるので好ましい。ワディング
層に熱可塑性弾性ポリエステルステ−プルからなる硬綿
クッション材を積層したものは、耐へたり性も向上する
のでより好ましい。
とも2種類の熱可塑性弾性樹脂を複合化できる様に各ノ
ズルオリフィス前で分配し該熱可塑性樹脂の低融点成分
の融点より120℃以下で高融点成分の融点より10℃
以上高い溶融温度で該ノズルより下方に向けて吐出さ
せ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を
形成しつつ、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめ
網状構造を形成することを特徴とする複合網状構造体の
製法である。複数の熱可塑性弾性樹脂は一般的な溶融押
出機を用いて別々に溶融し、一般的な複合紡糸の方法と
同様にオリフィス直前で複合化するように分配合流させ
吐出する。シ−スコアではコア成分を中心から供給し、
その回りからシ−ス成分を合流させ吐出する。サイドバ
イサイドでは左右または前後から各成分を合流させて吐
出する。このときの溶融温度は、低融点の成分の融点よ
り120℃以下の温度で溶融させないと熱分解が著しく
なり熱可塑性樹脂の特性が悪くなるので好ましくない。
他方高融点成分の融点より10℃以上高い溶融温度にし
ないとメルトフラクチャ−が発生し正常な線状形成がで
きなくなる。また、サイドバイサイドの場合は線状の接
着が不良になる場合がある。好ましい溶融温度は低融点
成分の融点より20℃以上100℃以下、より好ましく
は30℃以上80℃以下、高融点成分の融点より15℃
以上40℃以下、より好ましくは20℃以上30℃以下
の範囲となる同一溶融温度で合流させ吐出させる。合流
直前の溶融温度差は10℃以下にしないと異常流動を発
生し複合化形態の形成が損なわれる場合がある。オリフ
ィスの形状は特に限定されないが、異形断面(例えば三
角形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが高くなる形
状)や中空断面(例えば三角中空、丸型中空、突起つき
の中空等となるよう形状)とすることで溶融状態の吐出
線条が形成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆に接
触点での流動時間を長く保持して接着点を強固にできる
ので特に好ましい。特開平1−2075号公報に記載の
接着のための加熱をする場合、3次元構造が緩和し易く
なり平面的構造化し、3次元立体構造化が困難となるの
で好ましくない。構造体の特性向上効果としては、見掛
けの嵩を高くでき軽量化になり、また抗圧縮性が向上
し、弾発性も改良できへたり難くなる。中空断面では中
空率が80%を越えると断面が潰れ易くなるので、好ま
しくは軽量化の効果が発現できる10%以上70%以
下、より好ましくは20%以上60%以下である。オリ
フィスの孔間ピッチは線状が形成するル−プが充分接触
できるピッチとする必要がある。緻密な構造にするには
孔間ピッチを短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチ
を長くする。本発明の孔間ピッチは好ましくは3mm〜2
0mm、より好ましくは5mm〜10mmである。本発明では
所望に応じ異密度化や異繊度化もできる。列間のピッチ
又は孔間のピッチも変えた構成、及び列間と孔間の両方
のピッチも変える方法などで異密度層を形成できる。ま
た、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力損失差を
付与すると、溶融した熱可塑性弾性樹脂を同一ノズルか
ら一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損失の大きい
オリフィスほど少なくなる原理を用いて異繊度化でき
る。次いで、引取りネットで溶融状態の3次元立体構造
体両面を挟み込み、両面の溶融状態の曲がりくねった吐
出線条を45°以上折り曲げて変形させて表面をフラッ
ト化すると同時に曲げられていない吐出線条との接触点
を接着して構造を形成後、連続して冷却媒体(通常は室
温の水を用いるのが冷却速度を早くでき、コスト面でも
安くなるので好ましい)で急冷して本発明の3次元立体
網状構造体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少なく
とも40cm以下にすることで吐出線条が冷却され接触部
が融着しなくなることを防ぐのが好ましい。吐出線条の
吐出量5g/分孔以上と多い場合は10cm〜40cmが好
ましく、吐出線条の吐出量5g/分孔未満と少ない場合
は5cm〜20cmが好ましい。次いで水切り乾燥するが冷
却媒体中に界面活性剤等を添加すると、水切りや乾燥が
しにくくなったり、熱可塑性弾性樹脂が膨潤することも
あり好ましくない。本発明の好ましい方法としては、一
旦冷却後、疑似結晶化処理を行う。疑似結晶化処理温度
は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、Ta
nδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行う。
この処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結晶化
処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より耐熱
耐へたり性が著しく向上する。本発明の好ましい疑似結
晶化処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−20
℃)である。単なる熱処理により疑似結晶化させると耐
熱耐へたり性が向上する。が更には一旦冷却後、10%
以上の圧縮変形を付与してアン−リングすることで耐熱
耐へたり性が著しく向上するのでより好ましい。また、
一旦冷却後、乾燥工程を経する場合、乾燥温度をアニ−
リング温度とすることで同時に疑似結晶化処理を行うが
できる。また、別途疑似結晶化処理を行うができる。次
いで所望の長さまたは形状に切断してクッション材に用
いる。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設
置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリ
フィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径
をきめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な
一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み
停留させることで互いに接触した部分を融着させ、連続
して冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成する
時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網
状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望
の厚みのものが得られる。コンベア速度も速すぎると、
接触点の形成が不充分になったり、融着点が充分に形成
されるまでに冷却され、接触部の融着が不充分になる場
合がある。また、速度が遅過ぎると溶融物が滞留し過
ぎ、密度が高くなるので、所望の見掛け密度に適したコ
ンベア速度を設定する必要がある。
用いる場合、その使用目的、使用部位により使用する樹
脂、繊度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例
えば、表層のワディングに用いる場合は、ソフトなタッ
チと適度の沈み込みと張りのある膨らみを付与するため
に、低密度で細い繊度、細かいル−プ径にするのが好ま
しく、中層のクッション体としては、共振振動数を低く
し、適度の硬さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化
させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるため
に、中密度で太い繊度、やや大きいル−プ径が好まし
い。また、3次元構造を損なわない程度に成形型等を用
いて使用目的にあった形状に成形して側地を被せ車両用
座席、船舶用座席、ベット、椅子、家具等に用いること
ができる。勿論、用途との関係で要求性能に合うべく他
の素材、例えば短繊維集合体からなる硬綿クッション
材、不織布等と組合せて用いることも可能である。ま
た、樹脂製造過程以外でも性能を低下させない範囲で製
造過程から成形体に加工し、製品化する任意の段階で難
燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香等
の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。本発明に
言うクッション製品とは、本発明のクッション性能が要
求される物品であれば、いかなる物品でも良いが具体例
としては、車両用座席、船舶用座席、マットレス、ベッ
ド、ソファー、椅子、寝装具家具等が挙げられる。
た。 融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロン
DDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測
定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分
M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域へ
の転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。 見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め、試料の重さを体積で徐した値で
示す。(n=4の平均値) 線条の繊度 試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹
脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を
得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求
める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル
樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃
にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より
線状の9000mの重さを求める。(単位cgs) 繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000 融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)か
ら、次式、即ち(a−b)/(a)×100より算出す
る:単位%(n=3の平均値) 繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚みと処理前の厚み(b)を
求め、処理前の厚み(a)から、次式、即ち(a−b)
/(a)×100より算出する:単位%(n=3の平均
値) 座り心地 30℃RH75%室内で座席用フレ−ムにバケットシ−
ト状に成形したクッションにポリエステルモケットの側
地を掛けた座席にパネラ−を座らせ(n=5) (1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった
感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆
ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;× (2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の
座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価し
た。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや
蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;× (3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられ
るか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;
○、4時間以上;◎ (4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的
に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲
れる;△、非常に疲れる;× (5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○
を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含
まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含む
もの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;や
や悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価し
た。
レ−ト(DMN)と1・4ブタンジオ−ル(1・4B
D)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換
後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加
して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエステル
ブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで抗酸化
剤2%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時
間真空乾燥して得たポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の
処方を表1に示す。
押出機にて溶融し、溶融温度を248℃にて、オリフィ
ス直前でシ−ス成分としてA−1を、コア成分としてA
−2を合流させ、ノズルは幅50cm、長さ5cmのノズル
有効面に長さ方向に列間ピッチを5mm、幅方向に孔間ピ
ッチを10mmのオリフィス形状がトリプルブリッジの丸
型中空形成ノズルより、全吐出量を1100g/分にて
吐出させ、ノズル面12cm下に冷却水を配し、幅60cm
のステンレス製エンドレスネットを平行に5cm間隔で一
対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配した上
に引取り、接触部分を融着させつつ、両面を挟み込みつ
つ毎分1mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化さ
せ、次いで100℃の熱風乾燥機中で20分疑似結晶化
処理した後、所定の大きさに切断して繊度が9000デ
ニ−ル、中空率36%の複合線状からなる見掛け密度
0.043g/cm3 の複合網状構造体を得た。得られた
複合網状構造体の特性を表2に示す。実施例1は線状の
断面形態が三角おむすびの中空シ−スコア型で耐熱耐久
性も良く、適度の沈み込みと中空異形効果による適度の
反発力を持ち、座り心地の良いクッション材に適した例
である。
ルイソフタレ−ト(DMI)20モル%及び1・4ブタ
ンジオ−ル(1・4BD)を少量の触媒と仕込み、常法
によりエステル交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル
(PTMG)を添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポ
リエ−テルエステルブロック共重合エラストマ−を生成
させ、次いで抗酸化剤2%を添加混合練込み後ペレット
化し、50℃48時間真空乾燥して得たポリエステル系
熱可塑性弾性樹脂の処方を表−1に示す。得られた熱可
塑性弾性樹脂(A−3)と前記A−2の弾性樹脂を個々
に通常の押出機にて溶融し、溶融温度を248℃にて、
オリフィス直前でシ−ス成分としてA−3を、コア成分
としてA−2を合流させ、ノズルは幅50cm、長さ5cm
のノズル有効面に長さ方向に列間ピッチを5mm、幅方向
に孔間ピッチを10mmのオリフィス形状が丸断面ノズル
より、全吐出量を1100g/分にて吐出させ、ノズル
面12cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エ
ンドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベ
アを水面上に一部出るように配した上に引取り、接触部
分を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分1mの速度
で25℃の冷却水中へ引込み固化させ、次いで100℃
の熱風乾燥機中で20分疑似結晶化処理した後、所定の
大きさに切断して繊度が9100デニ−ルの複合線状か
らなる見掛け密度0.044g/cm3 の複合網状構造体
を得た。得られた複合網状構造体の特性を表2に示す。
実施例2は線状の断面形態が丸断面ではあるが耐熱耐久
性はクッション材に使用可能で、適度の沈み込みと適度
の反発力を持ち、座り心地の良いクッション材に使用可
能な例である。
とPTMG及び鎖延長剤として1・4BDを添加して重
合し、次いで抗酸化剤2%を添加混合練込み後ペレット
化し、50℃48時間真空乾燥して得られたポリウレタ
ン系熱可塑性弾性樹脂の処方を表3に示す。
押出機にて溶融し、溶融温度を210℃にて、オリフィ
ス直前でB−1をシ−ス成分、B−2をコア成分となる
ように合流させ、幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に
長さ方向に列間ピッチを5mm、幅方向に孔間ピッチを1
0mmのオリフィス形状がY型のノズルより、全吐出量を
1100g/分にて吐出させ、ノズル面12cm下に冷却
水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを
平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部
出るように配した上に引取り、接触部分を融着させつ
つ、両面を挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却
水中へ引込み固化させ、次いで100℃の熱風乾燥機中
で20分疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断し
て繊度が9000デニ−ルの三角断面シ−スコア構造の
複合線状からなる、見掛け密度0.043g/cm3 の複
合網状構造体を得た。得られた複合線状構造体の特性を
表2に示す。実施例3は線状の断面形態が三角シ−スコ
ア型で耐熱耐久性も良く、適度の沈み込みと異形効果に
よる反発力が働き、座り心地の良いクッション材に適し
た例である。
ポリエチレンテレフタレ−ト−ポリエチレンイソフタレ
−ト共重合ポリエステル(PES)をシ−ス成分にし、
固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)をコア成分に及びメルトインデックス15のポリエ
チレン(PE)をシ−ス成分に、メルトインデックス1
2のポリプロピレン(PP)をコア成分に分配し、押し
出し温度280℃及び250℃で孔配列は実施例2と同
一で孔形状が丸断面のオリフィスより吐出し、疑似結晶
化処理しなかった以外は実施例2と同様の条件で得られ
た複合線状の繊度が比較例1は7500デニ−ル、比較
例2は13000デニ−ルで見掛け密度が0.045g
/cm3 の複合線状構造体の特性を表2に示す。比較例1
は繊度のやや低い非弾性ポリエステルからなる複合線状
構造体のため耐熱耐久性が悪く、硬くて座り心地も悪い
クッション材に適さない例である。比較例2は繊度がや
や太い非弾性オレフィンからなる複合線状構造体のた
め、耐熱耐久性が悪く、比較例1より少し柔らかいが、
座席に必要な柔らかさに比較して硬くクッション材に適
さない例である。
りコンベアネットを配して引き取ったのみで疑似結晶化
処理をしなかった以外、実施例2と同様の方法で得た網
状構造体の特性の一部を表2に示す。なお、接着状態が
不良で形態保持が悪いため、見掛け密度、70℃残留
歪、繰返圧縮歪み及び座り心地の評価はしていない。比
較例3は形態が固定されていないので体型保持機能が付
与できないクッション材に適さない例である。
ッチを3mm、幅方向に孔間ピッチを4mmとした丸断面の
オリフィスをもつノズルより、溶融温度を285℃にて
全吐出量を50g/分で吐出し、ノズル面4cm下に引取
りコンベアネットを配して0.1m/分にて引き取った
以外、比較例3と同様にして得た複合線状の繊度が95
デニ−ル、見掛け密度が0.024g/cm3 の複合線状
構造体の特性を表2に示す。比較例4は緻密な構造で繊
度が著しく細いため柔らか過ぎてクッション材としては
そのまま使えない例である。
ッチを8mm、幅方向に孔間ピッチを20mmとした丸断面
のオリフィスをもつノズルより、溶融温度を28℃にて
全吐出量を5600g/分で吐出し、ノズル面25cm下
に引取りコンベアネットを配して1.5m/分にて引き
取った以外、比較例3と同様にして得た複合線状の繊度
が146000デニ−ル、見掛け密度が0.15g/cm
3 の複合線状構造体の特性を表2に示す。比較例5は繊
度が太過ぎて硬くなり座り心地の悪くなるクッション材
の例である。
全吐出量280g/分及び1100g/分にて吐出し、
ノズル面6cm及び25cm下に引取りコンベアネットを配
して引取り速度2m/分及び0.2m/分にて引き取っ
た以外比較例3と同様にして得た複合線状構造体の特性
を表2に示す。比較例6は複合線状の繊度が2300デ
ニ−ル、見掛けの密度が0.0045g/cm3 と低いた
め耐熱耐久性は良いが柔らか過ぎて極めて座り心地の悪
いクッション材に適さない例である。比較例7は複合線
状の繊度が9400デニ−ル、見掛けの密度が0.22
g/cm3 と見掛け密度が高いため耐熱耐久性がやや劣
り、硬いため座り心地もやや劣るクッション材に適さな
い例である。
化しないで、溶融温度220℃にて吐出させ、疑似結晶
化処理しない以外、実施例3と同様にして得た繊度が9
200デニ−ルの複合線状からなる見掛け密度0.04
4g/cm3 の複合網状構造体を得た。得られた複合網状
構造体の特性を表2に示す。比較例8は線状が複合構造
化されていなく、且つ疑似結晶化処理しない場合で、熱
可塑性弾性樹脂を使用しているので座り心地は良いが耐
熱耐久性が劣る例である。
り1.98g/分孔の吐出量にて吐出し、引取りコンベ
アのステンレス製エンドレスネット幅を140cmとし平
行に12cm間隔で引取った以外実施例2と同様にして得
られた長さ2mに切断した網状構造体の特性及び線状体
の繊度とル−プの平均直径は実施例2と同じであった。
この網状構造体を幅110cmに切断して、難燃ポリエス
テル繊維からなる幅110cm、長さ200cm、厚み12
cmに縫製されたキルティング側地に入れてマットレスを
作成した。このマットレスをベッドに設置し、25℃R
H65%室内にてパネラ−4人に7時間使用させて寝心
地を官能評価した。なお、ベットにはシ−ツを掛け、掛
け布団は1.8kgのダウン/フェザ−:90/10を中
綿にしたもの、枕はパネラ−が毎日使用しているものを
着用させた。評価結果は、床つき感がなく、沈み込みが
適度で、蒸れを感じない快適な寝心地のベットであっ
た。比較のため、密度0.04g/cm3 で厚み10cmの
発泡ウレタン板状体で同様のマットレスを作成し、ベッ
トに設置して寝心地を評価した結果、床つき感は少ない
が沈み込みが大きくやや蒸れを感じる寝心地の悪いベッ
トであった。
ンベアのステンレス製エンドレスネット幅を140cmと
し平行に12cm間隔で引取った以外比較例1と単孔当た
りの吐出量で同様にして得られた長さ2mに切断した網
状構造体の特性及び線状体の繊度とル−プの平均直径は
比較例1と同じであった。この網状構造体を幅110cm
に切断して、難燃ポリエステル繊維からなる幅110c
m、長さ200cm、厚み12cmに縫製されたキルティン
グ側地に入れてマットレスを作成した。このマットレス
をベッドに設置し、実施例8と同様に寝心地の官能評価
を行った結果、沈み込みが少なく硬い為か床つき感が大
きく且つベットマットと接する部分が痛くなってすぐ目
覚め、しかも蒸れを感じ寝苦しい寝心地の悪いベットで
あった。
断してポリエステル繊維からなるモケットの側地を掛
け、座部は4か所、背部は2か所のキルトを入れたクッ
ションを作成し、ソファ−の座部と背部に設置し、実施
例7と同様に座り心地を評価した結果、背部はもたれた
時に適度の反発を示し、座部は床つき感、蒸れ感は殆ど
感じず、腰の疲れをあまり感じない座り心地の良好なソ
ファ−であった。
ンを作成し、ソファ−の座部と背部に設置し、実施例9
と同様に座り心地を評価した結果、背部はもたれた時に
硬く異物感を感じ、座部は床つき感、蒸れ感が著しく、
臀部が痛くなり長時間座れない座り心地の劣悪なソファ
−であった。
を丸くア−ルをつけて切断してポリエステル繊維からな
るモケットの側地を掛け、事務用椅子に設置し、実施例
7と同様に座り心地を評価した結果、床つき感、蒸れ感
は殆ど感じず、腰の疲れをあまり感じない座り心地の良
好な事務用椅子であった。
を用いた複合構造化した線条が融着一体化して座り心地
のより改善された、耐熱耐久性、嵩高で、適度の圧縮反
発力を持ち、蒸れにくいクッション材に適したリサイク
ルが容易な網状構造体であるので車両用座席、船舶用座
席、各種ベット、家具用クッション、寝装用品に有用で
ある。単独での使用や他の素材との併用も可能である。
Claims (11)
- 【請求項1】 100〜100000デニ−ルの連続線
状体を曲がりくねらせランダムル−プを形成し、夫々の
ル−プを互いに溶融状体で接触せしめて、接触部の大部
分を融着させてなる見掛け密度が0.005〜0.20
/cm3 の三次元ランダムル−プ接合構造体であり、上記
連続線状体自体が、2種類の熱可塑性弾性樹脂で複合構
造化されていることを特徴とするクッション用網状構造
体。 - 【請求項2】 連続線状体を構成する熱可塑性弾性樹脂
が示差走査型熱量計(DSC)で測定した融解曲線に室
温以上融点以下の温度に吸熱ピークを有する請求項1の
クッション用網状構造体。 - 【請求項3】 網状構造体を形成するル−プがル−プの
途中において、該網状構造体の厚みの方向を基線とし
て、該基線から45°以上押し曲げられて接触部の大部
分が融着しており、構造体は実質的にフラット化されて
いる請求項1記載のクッション用網状構造体。 - 【請求項4】 2種類の熱可塑性弾性樹脂が複合構造化
されている連続線状体の夫々の熱可塑性弾性樹脂の融点
差が5〜80℃であり、低融点側の熱可塑性弾性樹脂が
連続線状体の表面の少なくとも50%以上を占める様に
複合構造化されている請求項1記載のクッション用網状
構造体。 - 【請求項5】 連続線状体が中空断面である請求項1記
載のクッション用網状構造体。 - 【請求項6】 連続線状体が異形断面である請求項1記
載のクッション用網状構造体。 - 【請求項7】 連続線状体の複合構造がシ−ス・コア型
構造である請求項1記載のクッション用網状構造体。 - 【請求項8】 2種類の熱可塑性弾性樹脂が複合化され
るようにノズルオリフィス前で分配し、該熱可塑性弾性
樹脂のうち最も低融点の樹脂の融点〜融点+120℃の
温度から、最も高融点の樹脂の融点〜融点+10℃の温
度で両方の樹脂を溶融複合化し、ノズルから下方に向け
て吐出させ、溶融状態で多数のル−プを形成し、夫々の
ル−プを互いに接触し融着させて三次元のランダムル−
プ構造を形成し、引取り装置で挟み込み冷却槽で冷却せ
しめて網状構造体を一体化することを特徴とするクッシ
ョン用網状構造体の製造法。 - 【請求項9】 一旦冷却後、熱可塑性弾性樹脂の融点よ
り少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リングを行な
う請求項8記載のクッション用網状構造体の製造法。 - 【請求項10】 一旦冷却後、10%以上の圧縮歪みを
付与して熱可塑性弾性樹脂融点より少なくとも10℃以
上低い温度でアニ−リングを行なう請求項8記載のクッ
ション用網状構造体の製造法。 - 【請求項11】 請求項1記載の網状構造体をクッショ
ン材として用いたクッション製品。
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