JPH07324271A - 多層積層網状体と製法及びそれを用いた製品 - Google Patents

多層積層網状体と製法及びそれを用いた製品

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JPH07324271A
JPH07324271A JP11119494A JP11119494A JPH07324271A JP H07324271 A JPH07324271 A JP H07324271A JP 11119494 A JP11119494 A JP 11119494A JP 11119494 A JP11119494 A JP 11119494A JP H07324271 A JPH07324271 A JP H07324271A
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英夫 磯田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッ
ション性の優れた蒸れ難い、難燃性を有すし燃焼ガスの
毒性指数が低く安全性の高い熱可塑性弾性樹脂層と熱可
塑性非弾性樹脂層が積層された網状体を不織布で補強し
たクッション材に適した多層積層網状体と製法及び多層
積層網状体を用いた製品を提供することを目的とする。 【構成】繊度が100000デニ−ル以下の連続した線
条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分
が融着した3次元立体構造体を形成した燐含有熱可塑性
弾性樹脂層と燐含有熱可塑性非弾性樹脂層とを融着接合
した表面側の熱可塑性弾性樹脂層面が実質的にフラット
化された網状体の片面に燐含有連続繊維不織布が接合さ
れた多層積層網状体とその製法およびそれを用いた製品
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたクッション性と
耐熱耐久性及び振動吸収性とを有し、難燃性でリサイク
ルが可能な不織布で補強された多層積層網状体と製法お
よび多層積層網状体を用いた布団、家具、ベッド、車両
用クッション材等の製品と製法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、家具、ベッド、電車、自動車等の
クッション材に、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維詰綿、
及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿などが使用
されている。
【0003】しかしながら、発泡−架橋型ウレタンはワ
ディング層やクッション材としての耐久性は極めて良好
だが、透湿透水性に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、
かつ、熱可塑性では無いためリサイクルが困難となり焼
却される場合、焼却炉の損傷が大きく、かつ、有毒ガス
除去に経費が掛かる。このため埋め立てされることが多
くなったが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が
限定され経費も高くなっていく問題がある。また、加工
性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題なども
ある。また、熱可塑性ポリエステル繊維詰綿では繊維間
が固定されていないため、使用時形態が崩れたり、繊維
が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性の低下や弾力
性の低下が問題になる。
【0004】ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架
橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−1377
32号公報等がある。これらのクッション材は耐久性に
劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリ
サイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製
造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】ポリエステル硬綿、例えば特開昭58−3
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
ある程度変形しても回復するポリエステルエラストマ−
を用い、芯成分に非弾性ポリエステルを用いた熱接着繊
維が特開平4−240219号公報で、同繊維を用いた
クッション材がWO−91/19032号公報、特開平
5−156561号公報、特開平5−163654号公
報等で提案されている。この繊維構造物に使われる接着
成分がポリエステルエラストマ−のソフトセグメントと
してはポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50
重量%、ハ−ドセグメントの酸成分にテレフタル酸を5
0〜80モル%含有し、他の酸成分組成として特公昭6
0−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフタ
ル酸を含有して非晶性が増すことになり、融点も180
℃以下となり低溶融粘度として熱接着部分の形成を良く
してアメーバー状の接着部を形成しているが塑性変形し
やいため、及び芯成分が非弾性ポリエステルのため、特
に加熱下での塑性変形が著しくなり、耐熱抗圧縮性が低
下する問題点がある。これらの改良法として、特開平5
−163654号公報にシ−ス成分にイソフタル酸を含
有するポリエステルエラストマ−、コア成分に非弾性ポ
リエステルを用いた熱接着複合繊維のみからなる構造体
が提案されているが上述の理由で加熱下での塑性変形が
著しくなり、耐熱抗圧縮性が低下し、ワディング層やク
ッション材に使用するには問題がある。他方、硬綿の母
材にシリコ−ン油剤を付与して繊維の摩擦係数を下げて
耐久性を向上し、風合いを良くする方法が特開昭63−
158094号公報で提案されている。が、熱接着繊維
の接着性に問題があり、耐久性が劣るのでワディング層
やクッション材に使用するには好ましくない。
【0006】土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィ
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、細い繊維から構成したクッションとは異なり
表面が凸凹でタッチが悪く、素材がオレフィンのため耐
熱耐久性が著しく劣りワディング層やクッション材には
使用ができないものである。また、特公平3−1766
6号公報には繊度の異なる吐出線条を互いに融着してモ
−ル状物を作る方法があるがクッション材には適さない
網状構造体である。特公平3−55583号公報には、
ごく表面のみ冷却前に回転体等の細化装置で細くする方
法が記載されている。この方法では表面をフラット化で
きず、厚みのある細い線条層を作ることできない。した
がって座り心地の良好なクッション材にはならない。特
開平1−207462号公報では、塩化ビニ−ル製のフ
ロアマットの開示があるが、室温での圧縮回復性が悪
く、耐熱性は著しく悪いので、ワディング材やクッショ
ン材としては好ましくないものである。なお、上述構造
体は難燃性と燃焼ガス毒性及び振動減衰に関する配慮が
全くなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を解決し、
振動を遮断し、耐熱耐久性、形態保持性、クッション性
の優れた蒸れ難い、難燃性を有すし燃焼ガスの毒性指数
が低く安全性の高い熱可塑性弾性樹脂層と熱可塑性非弾
性樹脂層が積層された網状体を不織布で補強したクッシ
ョン材に適した多層積層網状体と製法及び多層積層網状
体を用いた布団、家具、ベッド、車両用クッション等の
製品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち本発明は、ソフトセグメント量(A重量
%)と燐含有量(Bppm)が60A+200≦B≦1
00000の関係を満足する熱可塑性弾性樹脂層と燐含
有量が1000ppm以上の熱可塑性非弾性樹脂からな
る、それぞれ100000デニ−ル以下の連続した線条
を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が
融着した三次元立体構造体を形成し、それぞれの網状体
が積層融着して、その面面が実質的にフラット化されて
おり、その片面に燐含有量が1000ppm以上の連続
繊維からなる不織布が接合されており、見掛密度が0.
01〜0.2g/cm3 であることを特徴とする多層積層
網状体、複数のオリフィスを持つ多列ノズルより燐含有
量(Bppm)がソフトセグメント量(A重量%)とが
60A+200≦B≦100000を満足する熱可塑性
弾性樹脂と燐含有量が1000ppm以上の熱可塑性非
弾性樹脂を各層となるように各ノズルオリフィスに分配
し、該熱可塑性樹脂の融点より10〜120℃高い溶融
温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、溶融状態
で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、
片面に燐含有量が1000ppm以上の樹脂からなる連
続繊維からなる不織布を接合させて引取り装置で挟み込
み冷却槽で冷却せしめる多層積層網状体の製法および前
記多層積層網状体を用いた製品である。
【0009】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端を
カルボン酸または水酸基にしたオレフィン系化合物等を
ブロック共重合したポリエステル系エラストマ−、ポリ
アミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラストマ−、
ポリオレフィン系エラストマ−などが挙げられる。熱可
塑性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能と
なるため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエス
テル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルを
ハ−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフ
トセグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重
合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメント
とするポリエステルエステルブロック共重合体が例示で
きる。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具
体的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカル
ボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダ
イマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエス
テル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少な
くとも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ
−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ
−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリ
コ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメ
タノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環
族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体など
から選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平
均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、
ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも
使うこたができる。また、上記エラストマ−に非エラス
トマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの、ポ
リオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も
本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。ポリアミド系
エラストマ−としては、ハ−ドセグメントにナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12等及びそれらの共重合ナイ
ロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が
約300〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプ
ロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、
エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポ
リアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成さ
れるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して
用いてもよい。更には、非エラストマ−成分をブレンド
されたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。
ポリウレタン系エラストマ−としては、通常の溶媒(ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在
または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜60
00の末端に水酸基を有するポリエ−テル及び又はポリ
エステルと(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とする
ポリイソシアネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−
ト基であるプレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分と
するポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラスト
マ−を代表例として例示できる。(A)のポリエステ
ル、ポリエ−テル類としては、平均分子量が約1000
〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチ
レンアジペ−ト共重合ポリエステルやポリエチレングリ
コ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレ
ングリコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド
共重合体からなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−
ルが好ましく、(B)のポリイソシアネ−トとしては、
従来公知のポリイソシアネ−トを用いることができる
が、ジフェニルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体
としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のト
リイソシアネ−ト等を微量添加使用してもよい。(C)
のポリアミンとしては、エチレンジアミン、1・2プロ
ピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応
じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよ
い。これらのポリウレタン系エラストマ−は単独又は2
種類以上混合して用いてもよい。なお、本発明の熱可塑
性弾性樹脂の融点は耐熱耐久性が保持できる140℃以
上が好ましく、160℃以上のものを用いると耐熱耐久
性が向上するのでより好ましい。なお、本発明の網状体
は難燃性を付与するため燐系化合物を含有させるため、
熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るので必
要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を向上
させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくはヒン
ダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル系と
ヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒンダ−
ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分解を
抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生を抑
えられるので特に好ましい。本発明の目的である振動や
応力の吸収機能をもたせる成分を構成する熱可塑性弾性
樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%
以上、より好ましくは30重量%以上であり、耐熱耐へ
たり性からは80重量%以下が好ましく、より好ましく
は70重量%以下である。即ち、本発明の弾性網状体の
振動や応力の吸収機能をもたせる成分のソフトセグメン
ト含有量は好ましくは15重量%以上80重量%以下で
あり、より好ましくは30重量%以上70重量%以下で
ある。
【0010】本発明の難燃性を有する網状体は熱可塑性
弾性樹脂中に燐含有量(Bppm)がソフトセグメント
含有量(A重量%)に対し、60A+200≦B≦10
0000の関係を満足する必要がある。満足しない場合
は難燃性が劣るので好ましくない。100000ppm
を越えると可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可
塑性弾性樹脂の耐熱性が劣るので好ましくない。好まし
い燐含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A
重量%)に対し、30A+1800≦B≦100000
であり、より好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセ
グメント含有量(A重量%)に対し、16A+2600
≦B≦50000である。難燃性は多量のハロゲン化物
と無機物を添加して高度の難燃性を付与する方法がある
が、燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量
に発生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼
却炉の損傷が大きく好ましくない。本発明では、ハロゲ
ン化物の含有量は少なくとも1重量%以下、好ましく
は、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以下、より好
ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明
の燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル系熱可塑
性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、ハ−ドセグメント部
分に難燃剤として、例えば特開昭51−82392号公
報等に記載された10〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエ
トキシ)−カルボニルプロピル〕9・10・ジヒドロ・
9・オキサ・10ホスファフェナレンス・10オキシロ
等のカルボン酸をハ−ドセグメントの酸成分の一部とし
て共重合したポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とする方
法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程で、例えば、既存化学
物質番号(3)−3735等の燐系化合物を添加して難
燃性を付与することができる。その他、難燃性を付与で
きる難燃剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステ
ル、ホスホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含
有する上記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物
から誘導される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑
性弾性樹脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に
応じて添加できる。本発明の難燃性網状体は、難燃性を
付与するために燐を含有させており、この理由は、上記
している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシ
アンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスを
できるだけ少なくすることにある。このため、本発明の
難燃性網状体の燃焼ガスの毒性指数は好ましくは6以
下、より好ましくは5.5以下である。また、側地やワ
ディング層にポリエステル繊維を使用される場合が多い
ので、好ましくはポリエステル系熱可塑性弾性樹脂とす
ることで分別せずに再生リサイクルができる。
【0011】本発明の多層積層網状体を構成する熱可塑
性弾性樹脂からなる成分は、示差走査型熱量計にて測定
した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有する
のが好ましい。融点以下に吸熱ピ−クを有するものは、
耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく
向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱
可塑性樹脂として、ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性
のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸な
どを90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレ
フタル酸やナフタレン2・6ジカルボン酸の含有量は9
5モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコ−
ル成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次
いで、ポリアルキレンジオ−ルとして、好ましくは平均
分子量が500以上5000以下、特に好ましくは10
00以上3000以下のポリテトラメチレングリコ−ル
を15重量%以上70重量%以下、より好ましくは30
重量%以上60重量%以下共重合量させた場合、ハ−ド
セグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグ
メントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐
熱抗へたり性が向上するが、溶融熱接着後更に融点より
少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理する
とより耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与して
からアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上す
る。このような処理をした網状構造体の線条を示差走査
型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度
で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リング
しない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−ク
を発現しない。このことから類推するに、アニ−リング
により、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様
の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているの
ではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化処
理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミド
系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効である。
【0012】本発明における熱可塑性非弾性樹脂とは、
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等が例示で
きる。なお、本発明ではガラス転移点温度が少なくとも
40℃以上のものを使用するのが好ましい。例えば、ポ
リエステルでは、ポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシク
ロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト(PCHD
T)、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレ−ト
(PCHDN)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PB
T)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)、ポリアリ
レ−ト等、及びそれらの共重合ポリエステル等が例示で
きる。ポリアミドでは、ポリカプロラクタム(NY
6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(NY66)、ポ
リヘキサメチレンセバカミド(NY6−10)等が例示
できる。ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(P
P)、ポリブテン・1(PB・1)等が例示できる。本
発明に用いる熱可塑性非弾性樹脂としては、クッション
材の側地にポリエステルを用いる場合が多いので、廃棄
する場合に分離せずにリサイクルが可能なクッション素
材として、耐熱性も良好なPET、PEN、PBN、P
CHDT等のポリエステルが特に好ましい。本発明の難
燃性を有する網状体は熱可塑性非弾性樹脂中に燐含有量
1000ppm以上20000ppm以下含有する。1
000ppm未満では、難燃性が不充分であり、200
000ppmを越えると可塑化効果による塑性変形が大
きくなり熱可塑性非弾性樹脂の耐熱性が劣るので好まし
くない。好ましい燐含有量は2000ppm以上100
00ppm以下、より好ましくは3000ppm以上8
000ppmである。難燃性は多量のハロゲン化物と無
機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、
燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発
生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉
の損傷が大きく好ましくない。特に塩化ビニ−ルは自己
消火性を有するが燃焼すると有毒ガスを多く発生するの
で本発明に用いるのは好ましくない。本発明では、ハロ
ゲン化物の含有量は少なくとも1重量%以下、好ましく
は、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以下、より好
ましくはハロゲン化物を含有しないものである。本発明
の燐系難燃剤としては、例えば、ポリエステル系熱可塑
性非弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、難燃剤として、例
えば特開昭51−82392号公報等に記載された10
〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニル
プロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホス
ファフェナレンス・10オキシロ等のカルボン酸を酸成
分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑性非弾
性樹脂とする方法や、熱可塑性非弾性樹脂に後工程で、
例えば、既存化学物質番号(3)−3735等の燐系化
合物を添加して難燃性を付与することができる。その
他、難燃性を付与できる難燃剤としては、各種燐酸エス
テル、亜燐酸エステル、ホスホン酸エステル(必要に応
じハロゲン元素を含有する上記燐酸エステル類)、もし
くはこれら燐化合物から誘導される重合物が例示でき
る。本発明は、熱可塑性弾性樹脂中に各種改質剤、添加
剤、着色剤等を必要に応じて添加できる。本発明の難燃
性網状体は、難燃性を付与するために燐を含有させてお
り、この理由は、上記している如く、安全性の観点か
ら、火災時に発生するシアンガス、ハロゲンガス等の致
死量の少ない有毒ガスをできるだけ少なくすることにあ
る。このため、本発明の難燃性網状体の燃焼ガスの毒性
指数は好ましくは6以下、より好ましくは5.5以下で
ある。また、側地やワディング層にポリエステル繊維を
使用される場合が多いので、好ましくはポリエステル系
熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサイク
ルができる。
【0013】本発明は、繊度が100000デニ−ル以
下の連続線条を曲がりくねらせ互いに接触させて該接触
部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成した燐含
有熱可塑性弾性樹脂層と燐含有熱可塑性非弾性樹脂層と
を融着接合した表面側の熱可塑性弾性樹脂層面が実質的
にフラット化された網状体の裏面に燐含有連続繊維から
なる不織布が接合された密度が0.01g/cm3 から
0.2g/cm3 の多層積層網状体である。クッション材
の機能は、クッション層は基本の繊度を太くして少し硬
くして体型保持を受け持つ層と振動減衰性の良い成分で
密度を少し高くした振動吸収して振動を遮断する層で構
成し、表面層はやや繊度を細くし構成線条本数を多くし
た少し柔らかな層として適度の沈み込みにより快適な臀
部のタッチを与えて臀部の圧力分布を均一分散化させる
と共にクッション層で吸収できなかった振動を吸収して
人体の共振部分の振動を遮断する層が一体化されること
で、応力や振動を一体で変形し吸収させ座り心地を向上
させることができる。さらに、フレ−ムと接する面を補
強材で補強してクッション層と一体化し、クッション材
を支える面(補強層)とし、クッションの形態保持をは
かることにより座り心地と耐久性の良い座席となる。本
発明では、クッション層の機能を繊度が100000デ
ニ−ル以下の連続線条を曲がりくねらせ互いに接触させ
て該接触部の大部分が融着した3次元立体構造体を形成
した熱可塑性弾性樹脂層と熱可塑性非弾性樹脂層とを融
着接合した表面側の熱可塑性弾性樹脂層面が実質的にフ
ラット化された網状体に持たせ、補強層の機能を連続繊
維からなる不織布に持たせ、上記の好ましいクッション
機能を発現する多層積層網状体である。本発明の多層積
層網状体は、クッション層の補強材として薄くても強く
補強効果の高い連続繊維からなる不織布を接合一体化し
ている。クッション層と接合されていないとクッション
層の補強効果が無くなるので好ましくない。補強材が単
繊維不織布の場合は不織布の厚み当たりの補強効果が悪
いので重量が重くなり好ましくない。本発明の好ましい
不織布はスパンボンド不織布であり、目付けが20g/
2 〜500g/m2 である。目付けが20g/m2
満では補強効果がわるくなり、500g/m2 を越える
と成形性が劣るので好ましくない。連続繊維の繊度は形
態保持が可能な1デニ−ル以上、成形性を損なわない範
囲から100デニ−ル以下が好ましい。連続繊維からな
る補強層は、形態維持のためにニ−ドルパンチされた
り、さらに熱エンボス接着や接着剤で強固に補強された
不織布を用いるのが好ましい。なお、クッション層と補
強層の素材は例えばポリエステルに統一すると座席のリ
サイクル時に分別する必要がないので好ましい。他方、
クッション層機能を持つ網状体は、連続線条が3次元立
体構造体を形成し接触部の大部分で融着一体化された熱
可塑性弾性樹脂層と熱可塑性非弾性樹脂層が積層されて
両面が実質的にフラット化されており、裏面は補強層機
能を持つ連続繊維からなる不織布と面で接合されている
のでクッション層の形態を保持して、外部から与えられ
た振動を熱可塑性弾性樹脂の振動吸収機能で大部分の振
動を吸収減衰して振動遮断層として働く。又、局部的に
大きい変形応力を与えられた場合でも変形応力を網状体
の表面が実質的にフラット化され接触部の大部分が融着
した熱可塑性弾性樹脂からなる網状体の面で変形応力を
受け止め変形応力を分散させ、熱可塑性弾性樹脂層で変
形を生じて融着一体化した構造体全体が変形してエネル
ギ−変換して大部分の変形応力を吸収し、熱可塑性弾性
樹脂層で吸収出来なかった変形は、熱可塑性弾性樹脂層
を介して融着一体化した3次元網状構造体が補強層で形
態を保持しつつ全体で変形して熱可塑性非弾性樹脂で構
成した層での個々の線条への応力集中を回避できるので
熱可塑性非弾性樹脂線条の弾性限界内でも応力を吸収し
易くなり、熱可塑性非弾性樹脂が抗圧縮性を示しつつ弾
性限界を越えない範囲で変形し、応力が解除されると熱
可塑性非弾性樹脂線条の層も弾性回復し、熱可塑性弾性
樹脂層もゴム弾性を発現し容易に元の形態に回復するの
で耐へたり性が良好であると共に圧縮時の応力に対する
変形歪みが直線的に変化し、座ったとき、低い反発力で
臀部を支えつつ適度の沈み込みを生じるので床つき感を
与えず体型保持機能を発現する。熱可塑性弾性樹脂のみ
からなる網状体では柔らか過ぎて沈み込みがやや大きく
なる欠点を本発明は解決し体型保持機能を向上できた。
公知の非弾性樹脂のみからなる線条で構成した網状体で
は、表面層で吸収できない大きい変形を受けるとゴム弾
性を持たないので圧縮変形により塑性変形を生じて回復
しなくなり耐久性が劣る。網状体の表面が実質的にフラ
ット化されてない場合、局部的な外力は、表面の線条及
び接着点部分までに選択的に伝達され、応力集中が発生
する場合があり、このような外力に対しては応力集中に
よる疲労が発生して耐へたり性が低下する場合がある。
なお、外部から変形応力を伝達される層が熱可塑性弾性
樹脂からなる場合は3次元構造部分で構造全体が変形す
るので応力集中は緩和されるが、非弾性樹脂のみからな
る場合では、そのまま応力が接着点に集中して構造破壊
を生じ回復しなくなる。更には、表面が実質的にフラッ
ト化されてなく凸凹があると座った時臀部に異物感を与
えるため座り心地が悪くなり好ましくない。なお、線状
が連続していない場合は、繊度が太い網状体では接着点
が応力の伝達点となるため接着点に著しい応力集中が起
こり構造破壊を生じ耐熱耐久性が劣り好ましくない。融
着していない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体
で変形しないため、応力集中による疲労現象が起こり耐
久性が劣ると同時に、形態が変形して体型保持ができな
くなるので好ましくない。本発明のより好ましい融着の
程度は、線条が接触している部分の大半が融着した状態
であり、もっとも好ましくは接触部分が全て融着した状
態である。かくして、連続線条の接触部が大部分融着し
た3次元立体構造体を形成し融着一体化した振動吸収性
と弾性回復性の良い熱可塑性弾性樹脂の層と抗圧縮性を
もつ熱可塑性非弾性樹脂の層が積層融着し一体化され、
表面が実質的にフラット化されたクッション層機能を持
つ網状体は、表面層から伝達される変形応力を面で受け
止め応力の分散を良くし、個々の線状に掛かる応力を少
なくして、補強層が形態を保持しつつ構造全体が変形し
て変形応力を吸収し、且つ臀部を支えるクッション性も
向上させ、応力が解除されると回復し、補強層を介して
フレ−ムから伝わる振動も振動吸収性と弾性回復性の良
い熱可塑性弾性樹脂部分が吸収して人体の共振部分の振
動を遮断するため座り心地と耐久性を向上させることが
できる。この目的から、本発明の網状体を形成する線条
の繊度は熱可塑性弾性樹脂層及び熱可塑性非弾性樹脂層
共に100000デニ−ル以下である。見掛け密度を
0.2g/cm3 以下にした場合、100000デニ−ル
を越えると構成本数が少なくなり、密度斑を生じて部分
的に耐久性の悪い構造ができ、応力集中による疲労が大
きくなり耐久性が低下するので好ましくない。本発明の
網状体を構成する線条の繊度は、繊度が細すぎると抗圧
縮性が低くなり過ぎて変形による応力吸収性が低下する
ので100デニ−ル以上である。熱可塑性弾性樹脂層の
好ましい範囲は抗圧縮性の効果が出やすい300デニ−
ル以上、構成本数の低下による構造面の緻密性を損なわ
ない50000デニ−ル以下である。より好ましくは5
00デニ−ル以上、10000デニ−ル以下である。熱
可塑性非弾性樹脂層の好ましい範囲は抗圧縮性の効果が
出やすい500デニ−ル以上、構成本数の低下による構
造面の緻密性を損なわない50000デニ−ル以下であ
る。より好ましくは1000デニ−ル以上、10000
デニ−ル以下である。本発明の網状体の見掛け密度は、
熱可塑性弾性樹脂層及び熱可塑性非弾性樹脂層共に0.
005g/cm3 では反発力が失われ、振動吸収能力や変
形応力吸収能力が不充分となりクッション機能を発現さ
せにくくなる場合があり、0.25g/cm3 以上では反
発力が高すぎて座り心地が悪くなる場合があるので、振
動吸収能力や変形応力吸収機能が生かせてクッション体
としての機能が発現されやすい0.01g/cm3 以上
0.20g/cm3 以下が好ましく、より好ましくは0.
03g/cm3 以上0.08g/cm3 以下である。本発明
における網状体は繊度の異なる線状を見掛け密度との組
合せで最適な構成とする異繊度積層構造とする方法も好
ましい実施形態として選択できる。本発明の網状体の厚
みは特に限定されないが、熱可塑性弾性樹脂層の厚みは
5mm未満では応力吸収機能と応力分散機能が低下するの
で、好ましい厚みは力の分散をする面機能と振動や変形
応力吸収機能が発現できる厚みとして10mm以上であ
り、より好ましくは20mm以上である。熱可塑性非弾性
樹脂層の厚みは、体型保持性が発現できる5mm以上、網
状体の厚みが50mmとした場合、熱可塑性弾性樹脂層の
機能が発現できる厚みを残して30mm以下が好ましく、
より好ましくは10mm以上、20mm未満である。本発明
の網状体と連続繊維からなる不織布が融着接合された多
層網状体としての見掛け密度は0.01g/cm3 から
0.2g/cm3 である。0.01g/cm3 未満では体型
保持や振動吸収などのクッション機能が低下するので好
ましくない。0.2g/cm3 を越えると反発弾性が大き
くなり座り心地が悪くなるので好ましくない。好ましい
見掛け密度は0.02g/cm3 〜0.1g/cm 3 であ
り、より好ましくは0.03g/cm3 〜0.06g/cm
3 である。網状体と不織布が接合一体化されていない場
合は、ずり変形を受けると、補強層の形態保持機能のサ
ポ−トがないのでフレ−ムとの接合が不良になり、熱可
塑性非弾性層が破壊する場合があり好ましくない。
【0014】本発明の網状体の線条の断面形状は特には
限定されないが、中空断面や異形断面にすることで好ま
しい抗圧縮性(反発力)やタッチを付与することができ
るので特に好ましい。抗圧縮性は繊度や用いる素材のモ
ジュラスにより調整して、繊度を細くしたり、柔らかい
素材では中空率や異形度を高くし初期圧縮応力の勾配を
調整できるし、繊度をやや太くしたり、ややモジュラス
の高い素材では中空率や異形度を低くして座り心地が良
好な抗圧縮性を付与する。中空断面や異形断面の他の効
果として中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧
縮性を付与した場合、より軽量化が可能となり、自動車
等の座席に用いると省エネルギ−化ができ、布団などの
場合は、上げ下ろし時の取扱性が向上する。好ましい抗
圧縮性(反発力)やタッチを付与することができる他の
好ましい方法として、本発明の網状体の線条を複合構造
とする方法がある。複合構造としては、シ−スコア構造
またはサイドバイサイド構造及びそれらの組合せ構造な
どが挙げられる。が、特には熱可塑性弾性樹脂層が大変
形してもエネルギ−変換できない振動や変形応力をエネ
ルギ−変換して回復できる立体3次元構造とするために
線状の表面の50%以上を柔らかい熱可塑性弾性樹脂が
占めるシ−スコア構造またはサイドバイサイド構造及び
それらの組合せ構造などが挙げられる。すなわち、シ−
スコア構造ではシ−ス成分は振動や変形応力をエネルギ
−変換が容易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性
弾性樹脂とし、コア成分はソフトセグメント含有量の少
ない熱可塑性弾性樹脂とし、抗圧縮性を付与することで
適度の沈み込みによる臀部への快適なタッチを与えるこ
とができる。サイドバイサイド構造では振動や変形応力
をエネルギ−変換が容易なソフトセグメント含有量が多
い熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度を抗圧縮性を示すソフト
セグメント含有量の少ない熱可塑性弾性樹脂の溶融粘度
より低くして線状の表面を占めるソフトセグメント含有
量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を多くした構造(比喩
的には偏芯シ−ス・コア構造のシ−スに熱可塑性弾性樹
脂を配した様な構造)として線状の表面を占めるソフト
セグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の割合を80
%以上としたものが特に好ましく、最も好ましくは線状
の表面を占めるソフトセグメント含有量が多い熱可塑性
弾性樹脂の割合を100%としたシ−スコアである。ソ
フトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂の線状の
表面を占める割合が多くなると、溶融して融着するとき
の流動性が高いので接着が強固になる効果があり、構造
が一体で変形する場合、接着点の応力集中に対する耐疲
労性が向上し、耐熱性や耐久性がより向上する。
【0015】熱可塑性弾性樹脂層と熱可塑性非弾性樹脂
層とが融着接合した網状体層は実質的に表面がフラット
化されて、接触部の大部分が融着しており、裏面が補強
効果の高い連続繊維からなる不織布を接合一体化してお
り、両面が実質的にフラット化されているので、多層積
層網状体と他の網状体、不織布、編織物、硬綿、フイル
ム、発泡体、金属等の被熱接着体とを接着するのに、他
の熱接着成分(熱接着不織布、熱接着繊維、熱接着フィ
ルム、熱接着レジン等)や接着剤等を用いて一体積層構
造体化し、車両用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、
病院用等の業務用及び家庭用ベット、家具用椅子、事務
用椅子、布団類等の製品を得る場合、被接着体面との接
触面積を広くできるので、接着面積が広くなり強固に接
着した接着耐久性も良好な製品を得ることができる。こ
の場合、難燃性の被熱接着体を用いると難燃性の一体積
層構造体を得ることができるので、本発明では特に好ま
しい実施形態である。なお、多層積層網状体形成段階か
ら製品化される任意の段階で上述の疑似結晶化処理を施
すことにより、構造体中の熱可塑性弾性樹脂成分を示差
走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の
温度に吸熱ピークを持つようにすると製品の耐熱耐久性
が格段に向上するのでより好ましい。本発明の多層積層
網状体の熱可塑性弾性樹脂層の線条を複合構造化して、
振動や変形応力をエネルギ−変換が容易なソフトセグメ
ント含有量が多い低融点の熱可塑性弾性樹脂を熱接着成
分、形態保持成分にソフトセグメント含有量の少ない熱
可塑性弾性樹脂とすることで熱接着機能を付与できる。
好ましい熱接着機能付与には、例えば、シ−スコア構造
ではシ−ス成分の振動や変形応力をエネルギ−変換が容
易なソフトセグメント含有量が多い熱可塑性弾性樹脂を
熱接着成分とし、コア成分にソフトセグメント含有量の
少ない熱可塑性弾性樹脂を網状形態の保持機能をもたせ
るための高融点成分とする構成で、熱接着成分の融点を
高融点樹脂の融点より10℃以上低くしたものを用いる
ことにより熱接着層の機能が付与できる。好ましい熱接
着成分の融点は高融点成分の融点より15℃から50℃
低い融点であり、より好ましくは20℃から40℃低い
融点である。好ましい実施形態である熱接着機能を持つ
本発明の多層積層網状体は実質的に表面がフラット化さ
れて、接触部の大部分が融着していることで、網状体、
不織布、編織物、硬綿、フイルム、発泡体、金属等の被
熱接着体面との接触面積を広くできるので、熱接着面積
が広くなり、強固に熱接着した新たな成形体及び車両用
座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院用等の業務用
及び家庭用ベット、家具用椅子、事務用椅子、布団類に
なった製品を得ることができる。なお、新たな成形体及
び製品が製品化されるまでの任意の段階で疑似結晶化処
理を施すことにより、構造体中の熱可塑性弾性樹脂から
なる線条を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温
以上融点以下の温度に吸熱ピークを持つようにすると製
品の耐熱耐久性が格段に向上したものを提供できるので
より好ましい。熱接着時に被接着体を伸張した状態で接
着すると、被接着体は接着層のゴム弾性で伸張された状
態が緩和しないので張りのある、皺になりにくい成形体
とすることもできる。
【0016】次に本発明の製法を述べる。本発明の製法
は、複数のオリフィスを持つ多列ノズルよりソフトセグ
メント量(A重量%)と燐含有量(Bppm)が60A
+200≦B≦100000の関係を満足する熱可塑性
弾性樹脂と燐含有量が1000ppm以上含有する熱可
塑性非弾性樹脂とを各層にできる様に各ノズルオリフィ
スに分配し、該熱可塑性樹脂の融点より10℃以上、1
20℃未満高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて
吐出させ、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元
構造を形成しつつ、片面に燐含有量が1000ppm以
上含有する連続繊維からなる不織布を接合させて引取り
装置で挟み込み冷却槽で冷却せしめる多層網状体の製法
である。本発明では、前記の如く、燐化合物を重合時に
添加して共重合する方法と重合後に添加して混合練り込
みする方法ができる。混合練り込みは二軸混練押出機又
はダルメ−ジ、ピン等の混練機能をもつ単軸押出機を用
い、溶融押し出し前に行う場合と、溶融押し出し時に行
う場合を選択できる。難燃剤の定量供給が出来れば溶融
押し出し時に混練するのが最も安価な方法となる。固体
状の難燃剤は樹脂と共に乾燥混合して偏析しないように
押出機に供給すれば簡単であるが、液状の難燃剤は樹脂
を混練押出機に定量供給しつつ別途に液状の難燃剤も定
量供給しつつ混練する方法を取るのが最も望ましい。例
えば、二軸混練押出機のベント穴から液状難燃剤を定量
供給する方法等が例示できる。このような方法でソフト
セグメント量(A重量%)と燐含有量(Bppm)が6
0A+200≦B≦100000の関係を満足する燐含
有量を熱可塑弾性樹脂及び、1000ppm以上200
00ppm以下の燐含有量を熱可塑非弾性樹脂に添加し
て、次いで溶融押出しして網状体を形成する。網状体
は、多成分押出機を用い、熱可塑性弾性樹脂と熱可塑性
非弾性樹脂を各単独成分毎に別々に溶融し、ノズル背面
で熱可塑性弾性樹脂を網状体の片面又は両面を構成する
ように分配し、熱可塑性非弾性樹脂を他の部分に分配し
てオリフィスより下方へ吐出する。シ−スコアでは、コ
ア成分を中心から供給し、その回りからシ−ス成分を合
流させ吐出する。サイドバイサイドでは左右又は前後か
ら各成分を合流させ吐出する。本発明の好ましい実施形
態では、例えば、長手方向の有効幅50mm、ノズルの幅
方向の列の孔間ピッチは10mm一定、列間のピッチが5
mm一定の丸断面のオリフィス形状の場合、熱可塑性弾性
樹脂層を、片面に配する場合は1列目〜7列目、両面に
配する場合は1列目〜6列目と10列目〜11列目に分
配し、熱可塑性非弾性樹脂を他の列に分配して、好まし
くは、各成分の融点より10℃以上、120℃以下の同
一の溶融温度で、各成分の層が所望の見掛け密度になる
吐出量、例えば、単孔吐出量は、熱可塑性弾性樹脂層の
部分は2.5g/分、熱可塑性非弾性樹脂層となる部分
は2g/分のように、好ましくは、各成分を各ギヤポン
プにてノズルへ溶融状態の熱可塑性樹脂を送り、下方に
向けて各オリフィスより吐出させる。この時の溶融温度
は、熱可塑性樹脂の融点より10℃〜120℃高い温度
である。低融点成分の融点より120℃を越える高い溶
融温度にすると熱分解が著しくなり熱可塑性樹脂の特性
が低下するので好ましくない。他方、高融点成分の融点
より10℃以上高くしないとメルトフラクチャ−を発生
し正常な線条形成が出来なくなり、また、吐出後ル−プ
形成しつつ接触させ融着させる際、線条の温度が低下し
て線条同士が融着しなくなり接着が不充分な網状体とな
る場合があり好ましくない。好ましい溶融温度は低融点
成分の融点より20℃から100℃高い温度、より好ま
しくは融点より30℃から80℃高い温度であり、高融
点成分の融点より15℃から40℃高い温度、より好ま
しくは融点より20℃から30℃高い温度となる同一の
溶融温度で吐出する。しかして、本発明では、溶融状態
の線状を互いに接触させて融着させ3次元構造を形成し
つつ、片面に連続繊維からなる不織布を接合させるた
め、溶融状態の線状を互に融着させうる温度より5℃以
上高くしないと不織布と線状の融着接合が不充分にな
る。好ましい溶融温度は低融点成分の融点より20℃か
ら100℃高い温度、より好ましくは融点より30℃か
ら80℃高い温度であり、高融点成分の融点より15℃
から40℃高い温度、より好ましくは融点より20℃か
ら30℃高い温度となる同一の溶融温度で吐出させる。
複合紡糸の場合は合流直前の溶融温度差は10℃以下に
しないと異常流動を発生し複合形態の形成が損なわれる
場合がある。オリフィスの形状は特に限定されないが、
中空断面(例えば三角中空、丸型中空、突起つきの中空
等となるよう形状)及び、又は異形断面(例えば三角
形、Y型、星型等の断面二次モ−メントが高くなる形
状)とすることで前記効果以外に溶融状態の吐出線条が
形成する3次元構造が流動緩和し難くし、逆に接触点で
の流動時間を長く保持して接着点を強固にできるので特
に好ましい。特開平1−2075号公報に記載の接着の
ための加熱をする場合、3次元構造が緩和し易くなり平
面的構造化し、3次元立体構造化が困難となるので好ま
しくない。網状体の特性向上効果としては、見掛けの嵩
を高くでき軽量化になり、また抗圧縮性が向上し、弾発
性も改良できへたり難くなる。中空断面では中空率が8
0%を越えると断面が潰れ易くなるので、好ましくは軽
量化の効果が発現できる10%以上70%以下、より好
ましくは20%以上60%以下である。オリフィスの孔
間ピッチは線状が形成するル−プが充分接触できるピッ
チとする必要がある。緻密な構造にするには孔間ピッチ
を短くし、粗密な構造にするには孔間ピッチを長くす
る。本発明の孔間ピッチは好ましくは3mm〜20mm、よ
り好ましくは5mm〜10mmである。本発明のより好まし
い実施形態からは、構成本数を熱可塑性弾性樹脂層で増
やす場合、例えば、1列目から6列目の孔間ピッチを5
mm、10列目と11列目の孔間ピッチを6.67mmに変
更して各成分の全吐出量を同一で吐出させれば、熱可塑
性弾性樹脂層の見掛け密度を0.055g/cm3 、及び
0.067g/cm3 、熱可塑性非弾性樹脂層の見掛け密
度を0.041g/cm3 のまま変えずに構成本数を2
倍、及び約1.5倍に増加させた緻密な熱可塑性弾性樹
脂層にできる。勿論、熱可塑性非弾性樹脂層の特定部分
の孔密度をかえて、クッション特性を最適化することが
できる。本発明では所望に応じ異密度化や異繊度化もで
きる。列間のピッチ又は孔間のピッチも変えた構成、及
び列間と孔間の両方のピッチも変える方法などで異密度
層を形成できる。また、オリフィスの断面積を変えて吐
出時の圧力損失差を付与すると、溶融した熱可塑性樹脂
を同一ノズルから一定の圧力で押し出される吐出量が圧
力損失の大きいオリフィスほど少なくなる原理を用いる
と列内、列間で異繊度線条からなる網状構造体も製造で
きる。例えば上述のように7列目から9列目に熱可塑性
非弾性樹脂を分配する場合、7列目から8列目のオリフ
ィス径を0.7mm、孔間ピッチを5mmとし、他の列のオ
リフィス径を1.0mmとすることで非弾性樹脂の層を2
層形成して座り心地や変形応力の分散を良くすることが
できる。次いで、該ノズルより下方に向けて吐出させ、
ル−プを形成させつつ溶融状態で互いに接触させて融着
させ3次元構造を形成しつつ、片面に燐含有樹脂からな
る連続繊維不織布を連続的に供給し、溶融状態の3次元
立体構造体と接合させた、線状が溶融状態の多層積層網
状構造体両面を引取りネットで挟み込み、網状体の表面
の溶融状態の曲がりくねった吐出線条を45°以上折り
曲げて変形させて表面をフラット化すると同時に曲げら
れていない吐出線条との接触点を接着して構造を形成
後、連続して冷却媒体(通常は室温の水を用いるのが冷
却速度を早くでき、コスト面でも安くなるので好まし
い)で急冷して本発明の3次元立体網状構造体化した多
層積層網状体を得る。ノズル面と引取り点の距離は少な
くとも40cm以下にすることで吐出線条が冷却され接触
部が融着しなくなることを防ぐのが好ましい。吐出線条
の吐出量5g/分孔以上と多い場合は10cm〜40cmが
好ましく、吐出線条の吐出量5g/分孔未満と少ない場
合は5cm〜20cmが好ましい。多層積層網状体の厚みは
溶融状態の3次元立体構造体両面を挟み込む引取りネッ
トの開口幅(引取りネット間の間隔)で決まる。本発明
では上述の理由から引取りネットの開口幅は5mm以上と
する。次いで水切り乾燥するが冷却媒体中に界面活性剤
等を添加すると、水切りや乾燥がしにくくなったり、熱
可塑性弾性樹脂が膨潤することもあり好ましくない。次
いで所望の長さまたは形状に切断してクッション材に用
いる。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設
置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリ
フィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径
をきめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な
一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み
停留させることで互いに接触した部分を融着させつつ連
続的に供給される燐含有樹脂からなる連続繊維不織布と
も接合融着させ、連続して冷却媒体中に引込み固化させ
網状構造体を形成する時、上記コンベアの間隔を調整す
ることで、融着した網状体が溶融状態でいる間で厚み調
節が可能となり、所望の厚みのものが得られる。コンベ
ア速度も速すぎると、接触点の形成が不充分になった
り、融着点が充分に形成されるまでに冷却され、接触部
の融着が不充分になる場合がある。また、速度が遅過ぎ
ると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるので、所望の
見掛け密度に適したコンベア速度を設定する必要があ
る。なお、連続的に供給される連続繊維不織布の供給速
度は引取りコンベアの表面速度と同一にしないと引きつ
れや弛みを生じクッションの補強機能が低下するので好
ましくない。本発明の好ましい方法としては、一旦冷却
後、一体成形して製品化に至る任意の工程で熱可塑性弾
性樹脂の融点より少なくとも10℃以下の温度でアニ−
リングよる疑似結晶化処理を行い多層積層網状体又は製
品を得るのがより好ましい製法である。疑似結晶化処理
温度は、少なくとも融点(Tm)より10℃以上低く、
Tanδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上で行
う。この処理で、融点以下に吸熱ピ−クを持ち、疑似結
晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)より
耐熱耐へたり性が著しく向上する。本発明の好ましい疑
似結晶化処理温度は(Tαcr+10℃)から(Tm−
20℃)である。単なる熱処理により疑似結晶化させる
と耐熱耐へたり性が向上する。が更には、10%以上の
圧縮変形を付与してアニ−リングすることで耐熱耐へた
り性が著しく向上するのでより好ましい。また、一旦冷
却後、乾燥工程を経する場合、乾燥温度をアニ−リング
温度とすることで同時に疑似結晶化処理を行うができ
る。また、製品化する工程で別途疑似結晶化処理を行う
ができる。
【0017】本発明の多層網状体をクッション用いる場
合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、繊
度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例えば、
ソフトなタッチと適度の沈み込みと張りのある膨らみを
付与するためには、低密度で細い繊度、細かいル−プ径
にするのが好ましく、中層のクッション機能も発現させ
るには、共振振動数を低くし、適度の硬さと圧縮時のヒ
ステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、
耐久性を保持させるために、中密度で太い繊度、やや大
きいル−プ径の層と低密度で細い繊度、細かいル−プ径
の層を積層一体化した構造にするのが好ましい。また、
3次元構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目
的にあった形状に成形して側地を被せ車両用座席、船舶
用座席、ベット、椅子、家具等に用いることができる。
勿論、用途との関係で要求性能に合うべく他の素材、例
えば、異なる網状体、短繊維集合体からなる硬綿クッシ
ョン材、不織布等と組合せて用いることも可能である。
また、樹脂製造過程以外でも性能を低下させない範囲で
製造過程から成形体に加工し、製品化する任意の段階で
難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色、芳香
等の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。
【0019】なお、実施例中の評価は以下の方法で行っ
た。 1.融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 2.Tαcr ポリマ−を融点+10℃に加熱して、厚み約300μm
のフイルムを作成して、オリエンテック社製バイブロン
DDVII型を用い、110Hz、昇温速度1℃/分で測
定したTanδ(虚数弾性率M”と弾性率の実数部分
M’との比M”/M’)のゴム弾性領域から融解領域へ
の転移点温度に相当するα分散の立ち上がり温度。 3.見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め試料の重さを体積で徐した値で示
す。(n=4の平均値) 4.線条の繊度 試料を10箇所から各線条部分を切り出し、アクリル樹
脂で包埋して断面を削り出し切片を作成して断面写真を
得る。各部分の断面写真より各部の断面積(Si)を求
める。また、同様にして得た切片をアセトンでアクリル
樹脂を溶解し、真空脱泡して密度勾配管を用いて40℃
にて測定した比重(SGi)を求める。ついで次式より
線状の9000mの重さを求める。(単位cgs) 繊度=〔(1/n)ΣSi×SGi〕×900000 5.融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 6.補強効果 試料を30cm×30cmの大きさに切り出し、直径24cm
の鉄球に鎖を接続した鉄球が30cm上から試料の上に自
由落下できる装置にて、0.5Hzのサイクルで100回
鉄球を試料の中央上に落下させて、試料の損傷の程度を
以下の基準で判定した。◎:損傷なし。○:損傷軽度。
△:構造が部分的に破壊した。×:構造が殆ど破壊して
る。(n=3の平均値) 7.耐熱耐久性(70℃残留歪) 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、50%圧縮し
て70℃乾熱中22時間放置後冷却して圧縮歪みを除き
1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の厚み(a)か
ら次式、即ち(a−b)/a×100より算出する。単
位%(n=3の平均値) 8.繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚み(b)を求め、処理前の
厚み(a)から次式、即ち(a−b)/a×100より
算出する。単位%(n=3の平均値) 9.難燃性 F−MVSS302法により、難燃基準(60秒以下で
消炎する)を満たすものを合格、満たさないものを不合
格と判定した。 10. 燃焼ガスの毒性指数 JIS−K−7217の方法で測定した各燃焼ガス量
(mg)を10分間吸入した時の致死量(mg/10リ
ットル)で除した値の積算値で示す。 11. 座り心地 常法により公知の複合紡糸機にて、後述する熱可塑性弾
性樹脂A−1をシ−ス成分、A−2をコア成分となるよ
うに個々に溶融してオリフィス直前で分配し、各吐出量
を50/50重量比で、単孔当たり1.6g/分孔
(0.8g/分:0.8g/分)として紡糸温度245
℃にて吐出し、紡糸速度3500m/分にて得た繊度が
4.1デニ−ル、乾熱160℃での収縮率8%の糸を収
束してトウ状でクリンパ−にて機械巻縮を付与し、64
mmに切断してシ−スコア断面の熱可塑性弾性樹脂からな
る熱接着繊維を得た。母材繊維は、常法により、極限粘
度0.63と0.56のPETを重量比50/50にて
分配し、単孔当たりの吐出量3.0g/分(1.5g/
分:1.5g/分)として紡糸温度285℃にてC型オ
リフィスより吐出し、紡糸速度1300m/分で複合紡
糸し、次いで70℃及び180℃にて2段延伸して得た
延伸糸を64mmに切断し、乾熱160℃にて巻縮を発現
させて得た6デニ−ル、初期引張り抵抗度38g/デニ
−ルの立体巻縮糸を得た。得られた熱接着繊維(30重
量%)及び母材繊維(70重量%)を混合しオ−プナ−
にて予備開繊した後カ−ドで開繊して得たウエッブを目
付け500g/m2 に積層したカ−ドウエッブを、バケ
ットシ−トの形状に切断した多層網状体の表面側に、成
形したクッションの見掛けの嵩密度を0.05g/cm3
となるように積層して熱成形用雌金型に入れ、牡金型で
圧縮して詰め込み200℃の熱風にて5分間熱接着成形
してバケットシ−ト状に成形したクッションに東洋紡績
製ハイムからなるポリエステルモケットの側地を被っ
て、座席用フレ−ムにセットして座部は4か所、背部は
6か所の側地止めを入れた座席を作成し、30℃RH7
5%室内で作成した座席にパネラ−を座らせ以下の評価
をおこなった。(n=5) (1) 床つき感:座ったときの「どすん」と床に当たった
感じの程度を感覚的に定性評価した。感じない;◎、殆
ど感じない;○、やや感じる;△、感じる;× (2) 蒸れ感:2時間座っていて、臀部やふと股の内側の
座席と接する部分が蒸れた感じを感覚的に定性評価し
た。殆ど感じない:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや
蒸れを感じる;△、蒸れを著しく感じる;× (3) 8時間以内でどの程度我慢して座席に座っていられ
るか:1時間以内;×、2時間以内;△、4時間以内;
○、4時間以上;◎ (4) 4時間座席に座らせたときの腰の疲れ程度を感覚的
に定性評価した。無し;◎、殆ど疲れない;○、やや疲
れる;△、非常に疲れる;× (5) 総合評価: (1)から(4) までの評価の◎を4点、○
を3点、△を2点、×を1点として12点以上で△を含
まないもの;非常に良い(◎)、12点以上で△を含む
もの;良い(○)、10点以上で×を含まないもの;や
や悪い(△)、×を含むもの;悪い(×)として評価し
た。
【0020】実施例1 ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触
媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつ
つ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エ
ラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤2%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得
られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方
向の孔間ピッチを1列から6列を5mm、7列から9列を
10mm,10列と11列を6.67mmとし、長さ方向の
孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたオリフィス形状は外径
2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断
面としたノズルに、得られたA−1及びA−2を、2本
の混練り機能をもつ押出機にて、別々に定量供給しつ
つ、難燃剤として既存化学物質番号(3)−3735を
燐含有量10000ppmとなるように添加して溶融混
練りし、他方、酸成分としてジメチルテレフタル酸と1
0〔2・3・ジ(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニ
ルプロピル〕9・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホ
スファフェナレンス・10オキシロを燐含有量で800
0ppmとなる量と、グリコ−ル成分に1・4BDを少
量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減
圧しつつ重縮合せしめて得た相対粘度1.0の共重合P
BTを押出機にて溶融し、A−1とA−2をオリフィス
直前でA−1をシ−ス成分に、A−2をコア成分となる
ように(シ−ス/コア:50/50重量比)1列目から
6列目と10列目と11列目に分配し、PBTを7列目
から9列目に分配し、溶融温度280℃にて、1列目か
ら6列目の吐出量を758g/分、7列目から9列目の
吐出量を304g/分、10列目と11列目の吐出量を
253g/分にてノズル下方に吐出させ、ノズル面10
cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エンドレ
スネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベアを水
面上に一部出るように配して、該溶融状態の吐出線状を
曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつ
つ3次元網状構造を形成し、一方のコンベアにニップし
ながら、幅50cmにスリットした10〔2・3・ジ(2
・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9・1
0・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレンス
・10オキシロを共重合した燐含有量5000ppmの
PET繊維からなるニ−ドルパンチされた目付け100
g/m2 のスパンボンド不織布を連続的に片側から供給
した上に該溶融状態の吐出線状を引取り、接触部分を融
着させつつ、スパンボンド不織布とも融着させ、片側が
スパンボンド不織布からなる網状構造を形成した積層体
の両面を挟み込みつつ毎分1mの速度で25℃の冷却水
中へ引込み固化させ、次いで100℃の熱風乾燥機中で
20分疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断して
得られた多層網状体の特性を表−2に示す。実施例1の
表面の熱可塑性弾性樹脂層の網状体は断面形状がシ−ス
コア構造の三角おむすび型中空断面で中空率が38%、
繊度が5600デニ−ルの線条で形成しており、平均の
見掛け密度が0.055g/cm3 、燐含有量10000
ppm(60A+200=2780ppm)、裏面側の
熱可塑性弾性樹脂層の網状体は断面形状がシ−スコア構
造の三角おむすび型中空断面で中空率が38%、繊度が
7500デニ−ルの線条で形成しており、平均の見掛け
密度が0.067g/cm3 、燐含有量10000ppm
(60A+200=2780ppm)、中間の熱可塑性
非弾性樹脂層の網状体は断面形状が三角おむすび型の中
空断面で中空率が40%、繊度が9000デニ−ルの線
条で形成しており、平均の見掛け密度が0.041g/
cm3 、燐含有量8000ppmで、燐含有量5000p
pmのスパンボンド不織布とも融着一体化した多層積層
網状体全体の平均見掛け密度は0.056g/cm3 であ
った。表2で明らかなごとく、実施例1は柔らかい弾性
樹脂の特性とやや硬い弾性樹脂の特性を生かせた積層網
状構造のため耐熱性、常温での耐久性、座り心地ともに
優れたクッション機能を持ち、難燃性で燃焼ガスの毒性
指数も低く安全性の高いクッション材で補強効果も実用
使用に耐えるものであった。評価用に作成した座席も性
能が優れていることが判る。
【0023】
【表2】
【0024】実施例2 ジメチルイソフタレ−ト(DMI)20モル%とDMT
80モル%及び1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を
少量の触媒と仕込み、実施例1の方法と同様にして得た
ポリエステル系熱可塑性弾性樹脂の処方を表1に示す。
オリフィスの孔形状を孔径φ1mmの丸断面としたノズル
を孔形状を孔径φ1mmの丸断面とし、幅方向の孔間ピッ
チを10mm、長さ方向の孔間ピッチを5mmの千鳥配列と
したノズルを用い、熱可塑性弾性樹脂にA−3を燐含有
量9000ppmとなるように難燃剤を添加して、1列
目から7列目に分配し吐出量710g/分にて吐出し、
熱可塑性非弾性樹脂として実施例1のPBTを用いて8
列目から11列目に分配し、吐出量410g/分にて吐
出した以外実施例1と同様にして得た多層網状体のA−
3層の網状体は中実丸断面で繊度9000デニ−ル、平
均の見掛け密度が0.044g/cm3 、燐含有量900
0ppm(60A+200=3320ppm)で、PB
T層の網状体は中実丸断面で繊度9100デニ−ル、平
均の見掛け密度が0.047g/cm3 、燐含有量800
0ppmで、燐含有量5000ppmの補強層と融着一
体化した平均の見掛け密度は0.048g/cm3 の多層
積層網状体の特性を表2に示す。表2で明らかなごと
く、実施例2は耐熱性と常温での耐久性は実用上使用可
能で、体型保持性が改善され、座り心地の優れたクッシ
ョン機能をもち、難燃性で燃焼ガスの毒性指数も低く安
全性の高いクッション材であり、補強効果は実用使用が
可能なものであった。評価用に作成した座席も優れてい
ることが判る。
【0025】実施例3 ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖
延長剤として1・4BDを添加して重合し次いで抗酸化
剤2%を添加混合練込み後ペレット化し真空乾燥してポ
リエ−テル系ウレタンポリマ−の処方を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】得られた熱可塑性弾性樹脂(シ−ス成分:
B−1、コア成分:B−2)に燐含有量12000pp
mとなるように難燃剤を添加した以外実施例1と同様に
して得た多層網状体の特性を表2に示す。実施例3はB
−1とB−2の複合化した熱可塑性弾性樹脂層の表面側
の線状の断面形状はシ−スコア構造の三角おむすび型中
空断面で中空率40%、繊度は6200デニ−ル、平均
の見掛け密度が0.055g/cm3 、燐含有量1200
0ppm(60A+200=3260ppm)で、裏面
側は線条の断面形状がシ−スコア構造の三角おむすび型
の中空断面で中空率40%、繊度が8300デニ−ル、
平均の見掛け密度が0.066g/cm3、燐含有量12
000ppm(60A+200=3260ppm)で、
中間のPBT層は繊度が9000デニ−ル、平均の見掛
け密度が0.041g/cm3 で燐含有量8000pp
m、燐含有量5000ppmの補強材と融着一体化した
網状体全体の平均の見掛け密度が0.056g/cm3
あった。なお、B−1をシ−ス成分に、B−2をコア成
分とし、紡糸温度を200℃とした以外座り心地の評価
で作成した熱接着繊維の製法と同様にして得た、繊度が
4.5デニ−ル、150℃での収縮率が9%の熱接着繊
維を用いた以外座り心地の評価法と同様にして座り心地
を評価した。実施例4は熱可塑性弾性樹脂にウレタンを
用いた多層網状体で耐熱性、常温での耐久性、座り心地
ともに優れたクッション機能をもち、難燃性で燃焼ガス
の毒性指数も低く安全性の高いクッション材で、補強効
果も実用使用に耐えるものであった。評価用に作成した
座席も優れていることが判る。
【0028】比較例1 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)単成分のみを用い、燐含有量5000ppmとなる
ように難燃剤を添加して、溶融温度を280℃とし、疑
似結晶化処理しなかった以外、実施例2と同様にして得
た、繊度が8800デニ−ル、見掛け密度が0.047
g/cm3 、燐含有量5000ppmで、燐含有量500
0ppmの補強層と融着一体化した網状体の平均の見掛
け密度は0.048g/cm3 の積層網状体の特性を表2
に示す。比較例1は難燃性は合格するが、熱可塑性非弾
性樹脂からなるため耐熱耐久性が悪く、硬くて座り心地
も悪いクッション材で補強効果の試験では構造体がかな
り破壊した例である。
【0029】比較例2 補強層となる燐含有スパンボンド不織布を使わず、疑似
結晶化処理をしない以外、実施例2と同様にして得た積
層網状体の特性を表2に示す。比較例2は座り心地が良
く、難燃性も合格するが、耐熱耐久性がやや悪く、補強
層が無いため補強効果の試験では構造体が破壊した例で
ある。
【0030】比較例3 A−3に燐含有量200ppmとなるように難燃剤を添
加し、疑似結晶化処理しなかった以外、実施例2と同様
にして得た多層網状体のA−3層は中実丸断面で繊度9
000デニ−ル、平均の見掛け密度が0.044g/cm
3 、燐含有量200ppm(60A+200=3320
ppm)で、PBT層の網状体は中実丸断面で繊度91
00デニ−ル、平均の見掛け密度が0.047g/c
m3 、燐含有量8000ppmで、燐含有量5000p
pmの補強層と融着一体化した平均の見掛け密度は0.
048g/cm3 の多層積層網状体の特性を表2に示す。
表2で明らかなごとく、比較例3は座り心地は良好で補
強効果もあるが、耐熱性と常温での耐久性がやや劣り、
A−3層が難燃化されていないため難燃性が不合格にな
る例である。
【0031】比較例4 PBTの燐含有量が100ppmのものを用い、疑似結
晶化処理しなかった以外、実施例2と同様にして得た多
層網状体のA−3層は中実丸断面で繊度9000デニ−
ル、平均の見掛け密度が0.044g/cm3 、燐含有量
9000ppm(60A+200=3320ppm)
で、PBT層の網状体は中実丸断面で繊度9100デニ
−ル、平均の見掛け密度が0.047g/cm3 、燐含有
量100ppmで、燐含有量5000ppmの補強層と
融着一体化した平均の見掛け密度は0.048g/cm3
の多層積層網状体の特性を表2に示す。表2で明らかな
ごとく、比較例3は座り心地は良好で補強効果もある
が、耐熱性と常温での耐久性がやや劣り、PBT層が難
燃化されていないため難燃性が不合格になる例である。
【0032】比較例5 補強層のスパンボンド不織布に燐含有量が100ppm
のものを用い、疑似結晶化処理しなかった以外、実施例
2と同様にして得た多層網状体のA−3層は中実丸断面
で繊度9000デニ−ル、平均の見掛け密度が0.04
4g/cm3 、燐含有量9000ppm(60A+200
=3320ppm)で、PBT層の網状体は中実丸断面
で繊度9100デニ−ル、平均の見掛け密度が0.04
7g/cm 3 、燐含有量8000ppmで、燐含有量10
0ppmの補強層と融着一体化した平均の見掛け密度は
0.048g/cm3 の多層積層網状体の特性を表2に示
す。表2で明らかなごとく、比較例3は座り心地は良好
で補強効果もあるが、耐熱性と常温での耐久性がやや劣
り、補強層が難燃化されていないため難燃性が不合格に
なる例である。
【0033】比較例6 幅50cm、長さ5cmのノズル有効面に幅方向の孔間ピッ
チ10mm、長さ方向の孔間ピッチ20mmの千鳥配列とし
たオリフィス径φ2mmとしたノズルを用いて、1〜3列
目にA−3を、4〜7列目にPBTを分配し、単孔当た
りの吐出量25g/分にて吐出させて、ノズル面30cm
下に引取りコンベアネットを配して1m/分にて引き取
り、疑似結晶化処理しなかった以外、実施例2と同様に
して得た線条の繊度は113000デニ−ルで、平均の
見掛け密度は0.157g/cm3、燐含有量は、A−3
層が9000ppm(60A+200=3320pp
m)、PBT層が8000ppm、補強層が5000p
pmの多層積層網状体の特性を表2に示す。比較例6は
難燃性は合格するが、繊度が著しく太く密度斑のある多
層積層網状体のため、耐熱耐久性が悪くなり、座り心地
もやや悪くなるクッション材で、補強材の形態保持性も
劣る例である。
【0034】比較例7 1列目から7列目にA−3を140g/分、8列目から
11列目に共重合PBTを80g/分供給し、ノズル面
下5cmに引取りコンベアネットを配して引取り速度1.
2m/分にて引取り、疑似結晶化処理しなかった以外、
実施例2と同様にして得たA−3層とPBT層が共に繊
度が1800デニ−ル、平均の見掛け密度0.007g
/cm3 、構造体の平均の見掛け密度0.009g/c
m3 、燐含有量は、A−3層が9000ppm(60A
+200=3320ppm)、PBT層が8000pp
m、補強層が5000ppmの積層網状体は、難燃性は
合格するが、密度が低すぎて座り心地が著しく劣り、耐
熱性、耐久性も不充分なクッション材で、補強材の形態
保持性も劣る例である。
【0035】比較例8 単孔当たりの吐出量3g/分にて吐出させ、引取りコン
ベアネットの速度を0.3m/分とし、疑似結晶化処理
しなかった以外実施例2と同様して得たA−3層は線条
繊度が13000デニ−ル、見掛け密度が0.22g/
cm3 、PBT層は線条繊度が13000デニ−ル、見掛
け密度が0.23g/cm3 で、融着一体化した網状体の
平均の見掛け密度が0.223g/cm3 、燐含有量は、
A−3層が9000ppm(60A+200=3320
ppm)、PBT層が8000ppm、補強層が500
0ppmの多層網状体の特性を表2に示す。比較例8は
見掛け密度が高いため、座り心地がやや劣り、耐熱性、
耐久性が不充分なクッション材で、補強材の形態保持性
も劣る例である。
【0036】比較例9 スパンボンド不織布を供給しない側の引取りコンベアネ
ット表面が凸凹の引取りコンベア−を用い、疑似結晶化
処理しない以外、実施例2と同様にして得たA−3層の
線条繊度が9000デニ−ルで、網状体の平均見掛け密
度が0.043g/cm3 、燐含有量9000ppm(6
0A+200=3320ppm)、PBT層の繊度が9
100デニ−ル、平均の見掛け密度が0.047g/cm
3 で燐含有量8000ppm、補強層が5000ppm
の融着一体化した平均の見掛け密度は0.048g/cm
3 の積層網状体は網状体の表面が凹凸になっているた
め、見掛け密度が低いのに耐久性が劣り、熱接着が不充
分になり、臀部に異物感を与える座り心地の悪いクッシ
ョン材で、補強材の形態保持性も劣る例である。
【0037】比較例10 ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配して引き
取ったあと疑似結晶化処理をしなかった以外、実施例2
と同様の方法で得た網状体は接着状態が不良で不織布と
も接着せず形態保持が悪いため、50%圧縮時反発力、
見掛け密度、補強効果、70℃残留歪、繰返圧縮歪み、
及び座り心地の評価はしていない。比較例10は形態が
固定されていないのでクッション材に適さない例であ
る。
【0038】参考例1 A−3に燐含有量を121000ppmとなるように難
燃剤を添加し、疑似結晶化処理しなかった以外、実施例
2と同様にして得たA−3層は中実丸断面で繊度900
0デニ−ルの線条から形成されており、見掛け密度が
0.044g/cm 3 、燐含有量121000ppm(6
0A+200=3320ppm)でPBT層の網状体は
中実丸断面で繊度9100デニ−ル、平均の見掛け密度
が0.047g/cm3 で燐含有量8000ppm、燐含
有量が5000ppmの補強層と融着一体化した平均の
見掛け密度は0.048g/cm3 の多層積層網状体は難
燃性は合格するが、A−3層に添加した難燃剤の量があ
まりに多すぎて熱可塑性弾性樹脂の特性を劣化させてい
るため、70℃残留歪が41.2%、繰返し圧縮残留歪
みが17.2%と耐久性が悪く、座り心地もやや劣るク
ッション材で、補強効果も悪い例になる。
【0039】参考例2 PBTに燐含有量を21000ppmとなるように共重
合したものを用い、疑似結晶化処理しなかった以外、実
施例2と同様にして得たA−3層は中実丸断面で繊度9
000デニ−ルの線条から形成されており、見掛け密度
が0.044g/cm3 、燐含有量9000ppm(60
A+200=3320ppm)でPBT層の網状体は中
実丸断面で繊度9100デニ−ル、平均の見掛け密度が
0.047g/cm3 で燐含有量21000ppm、燐含
有量が5000ppmの補強層と融着一体化した平均の
見掛け密度は0.048g/cm3 の多層積層網状体は難
燃性は合格し、座り心地は問題ないが、PBT層に添加
した難燃剤の量があまりに多すぎて熱可塑性非弾性樹脂
の特性を劣化させているため、70℃残留歪が39.8
%、繰返し圧縮残留歪みが18.5%と耐久性が悪く、
座り心地もやや良いクッション材で、補強効果も悪い例
になる。
【0040】実施例4 常法により公知の複合紡糸機にて、実施例1で得た熱可
塑性弾性樹脂A−1をシ−ス成分、A−2をコア成分と
なるように個々に溶融してオリフィス直前で分配し、各
吐出量を50/50重量比で、単孔当たり1.6g/分
孔(0.8g/分:0.8g/分)として紡糸温度24
5℃にて吐出し、紡糸速度3500m/分にて得た繊度
が4.1デニ−ル、乾熱160℃での収縮率10%の糸
を収束してトウ状でクリンパ−にて機械巻縮を付与し、
64mmに切断してシ−スコア断面の熱可塑性弾性樹脂か
らなる熱接着繊維を得た。母材繊維は、常法により、極
限粘度0.63と0.56のPETを重量比50/50
に分配して単孔当たり3.0g/分孔(1g/分:1g
/分)として紡糸温度265℃にてC型オリフィスより
吐出し、紡糸速度1300m/分で複合紡糸し、次い
で、70℃及び180℃にて2段延伸して得た延伸糸を
64mmに切断し170℃にてフリ−熱処理して立体捲縮
を発現させ、中空断面で中空率32%のシ−スコア構造
の繊度6デニ−ル、初期引張り抵抗度38g/デニ−
ル、捲縮度20%、捲縮数18個/インチの母材繊維を
得た。得られた熱接着繊維と母材繊維を40/60重量
比で混合し、オ−プナ−にて予備開繊した後カ−ドで開
繊して得たウエッブを目付け1000g/m2 に積層
し、実施例1で得た多層積層網状体を長さ120cmに切
断した網状体表面に積層し、見掛け密度が0.05g/
cm3 となるように圧縮し、180℃の熱風にて5分間熱
処理後冷却して両面がフラットな不織布積層網状体を得
た。次いで厚みの10%圧縮して、100℃の熱風にて
20分疑似結晶化処理して厚み7cmのクッションを4枚
作成した。得られたクッションを厚み7cm、幅120c
m、長さ50cm毎にキルティングした幅120cm、長さ
200cmの側地に入れマットレスを作成した。このマッ
トレスをベッドに設置し、25℃RH65%室内にてパ
ネラ−4人に7時間使用させて寝心地を官能評価した。
なお、ベットにはシ−ツを掛け、掛け布団は1.8kgの
ダウン/フェザ−:90/10を中綿にしたもの、枕は
パネラ−が毎日使用しているものを着用させた。評価結
果は、床つき感がなく、沈み込みが適度で、蒸れを感じ
ない快適な寝心地のベットであった。比較のため、密度
0.04g/cm3 で厚み10cmの発泡ウレタン板状体で
同様のマットレスを作成し、ベットに設置して寝心地を
評価した結果、床つき感は少ないが沈み込みが大きくや
や蒸れを感じる寝心地の悪いベットであった。
【0041】実施例5 実施例1で得た多層積層網状体を実施例5と同様にして
不織布積層網状体を作成し、幅38cm、長さ40cmでコ
−ナ−をア−ル10cmとした形状に切断し、座り心地評
価用に用いたポリエステルモケットを側地にして事務椅
子フレ−ムに設置し、市販のポリウレタンをクッション
に使用した事務椅子と対比させて、座り心地を4時間座
らせ評価した結果、蒸れ感、床つき感、座ったまま我慢
できる時間は、本発明の不織布を積層した多層積層網状
体を用いたものが著しく優れていた。
【0042】
【発明の効果】連続線条が3次元網状構造を形成し融着
一体化した、振動や応力吸収性の良い燐含有熱可塑性弾
性樹脂層と抗圧縮性をもつ燐含有熱可塑性非弾性樹脂層
が融着接合した表面の熱可塑性弾性樹脂層が実質的にフ
ラット化され、裏面に燐含有樹脂からなる連続繊維の不
織布を補強した本発明の多層積層網状体は、振動遮断
性、耐熱耐久性、嵩高性、座り心地のより改善された、
蒸れにくいクッション機能を有し、難燃性で燃焼ガスの
毒性指数が低い安全性の高いクッション材であり、他の
素材との併用による上記の好ましい特性を付与した車両
用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院やホテル等
の業務用ベット、家具用クッション、寝装用品等の製品
を提供できる。更には、車両用や建築資材としての内装
材や断熱材等にも有用なものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソフトセグメント量(A重量%)と燐含
    有量(Bppm)が60A+200≦B≦100000
    の関係を満足する熱可塑性弾性樹脂層と燐含有量が10
    00ppm以上の熱可塑性非弾性樹脂からなる、それぞ
    れ100000デニ−ル以下の連続した線条を曲がりく
    ねらせ互いに接触させて該接触部の大部分が融着した三
    次元立体構造体を形成し、それぞれの網状体が積層融着
    して、その面面が実質的にフラット化されており、その
    片面に燐含有量が1000ppm以上の連続繊維からな
    る不織布が接合されており、見掛密度が0.01〜0.
    2g/cm3 であることを特徴とする多層積層網状体。
  2. 【請求項2】 連続した線条の断面形状が中空断面又は
    及び異形断面である請求項1記載の多層積層網状体。
  3. 【請求項3】 連続した線条を構成する熱可塑性弾性樹
    脂が示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融
    点以下の温度に吸熱ピークを有する請求項1記載の多層
    積層網状体。
  4. 【請求項4】 複数のオリフィスを持つ多列ノズルより
    燐含有量(Bppm)がソフトセグメント量(A重量
    %)とが60A+200≦B≦100000を満足する
    熱可塑性弾性樹脂と燐含有量が1000ppm以上の熱
    可塑性非弾性樹脂を各層となるように各ノズルオリフィ
    スに分配し、該熱可塑性樹脂の融点より10〜120℃
    高い溶融温度で、該ノズルより下方に向けて吐出させ、
    溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成
    しつつ、片面に燐含有量が1000ppm以上の樹脂か
    らなる連続繊維からなる不織布を接合させて引取り装置
    で挟み込み冷却槽で冷却せしめる多層積層網状体の製
    法。
  5. 【請求項5】 冷却後から一体成形して製品化に至る工
    程で熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以下
    の温度でアニ−リングする請求項4に記載の多層積層網
    状体の製法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の多層積層網状体を用い
    た車両用座席、船舶用座席、車両用、船舶用、病院用等
    の業務用及び家庭用ベット、家具用椅子、事務用椅子お
    よび布団のいずれかに記載の製品。
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