JP3314838B2 - 熱接着性網状構造体及びその製造法 - Google Patents

熱接着性網状構造体及びその製造法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クッション材、断熱
材、内装材等に適した、熱接着加工が容易な熱接着性網
状構造体及び、その製法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、布団、家具、ベッド、電車、自動
車等のクッション材で、発泡ウレタン、非弾性捲縮繊維
詰綿、及び非弾性捲縮繊維を接着した樹脂綿や硬綿など
が使用されている。
【0003】しかしながら、発泡−架橋型ウレタンはク
ッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性に劣
り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、熱可塑性では無
いためリサイクルが困難となり焼却される場合、焼却炉
の損傷が大きく、かつ、有毒ガス除去に経費が掛かる。
このため埋め立てされることが多くなったが、地盤の安
定化が困難なため埋め立て場所が限定され経費も高くな
っていく問題がある。また、加工性は優れるが製造中に
使用される薬品の公害問題などもある。また、熱可塑性
ポリエステル繊維詰綿では繊維間が固定されていないた
め、使用時形態が崩れたり、繊維が移動して、かつ、捲
縮のへたりで嵩高性の低下や弾力性の低下が問題にな
る。
【0004】ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、架
橋性ウレタンを用いたものとして特開昭61−1377
32号公報等がある。これらのクッション材は耐久性に
劣り、且つ、熱可塑性でなく、単一組成でもないためリ
サイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑さや製
造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】ポリエステル硬綿、例えば特開昭58−3
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。
【0006】土木工事用に使用する熱可塑性のオレフィ
ン網状体が特開昭47−44839号公報に開示されて
いる。が、細い繊維から構成したクッションとは異なり
表面が凸凹でタッチが悪く、素材がオレフィンのため耐
熱耐久性が著しく劣りクッション材には使用ができない
ものである。また、特公平3−17666号公報には繊
度の異なる吐出線条を互いに融着してモ−ル状物を作る
方法があるがクッション材には適さない網状構造体であ
る。特公平3−55583号公報には、ごく表面のみ冷
却前に回転体等の細化装置で細くする方法が記載されて
いる。この方法では表面をフラット化できず、厚みのあ
る細い線条層を作ることできない。したがって座り心地
の良好なクッション材にはならない。特開平1−207
462号公報では、塩化ビニ−ル製のフロアマットの開
示があるが、室温での圧縮回復性が悪く、耐熱性は著し
く悪いので、クッション材としては好ましくないもので
ある。網状体が不織布や側地との自己熱接着性を有する
ものは無く、高次加工には接着剤を使用して、又は、発
泡体を含浸させているので、加工コストが高くなる問題
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点を解決し、
耐久性、クッション性の優れたクッション材に適した、
かつ、良好な自己熱接着性と接着耐久性のよい成形品を
提供できる熱接着性網状構造体及び製法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為の
手段、即ち本発明は、非弾性熱可塑性樹脂の融点より1
0℃以上融点が低い熱可塑性弾性樹脂からなる網状構造
体が熱接着層を形成し、非弾性熱可塑性樹脂からなる網
状構造地が基本層を形成し、両層が三次元ランダムルー
プ形成時に融着一体化されてなる熱接着性網状構造体で
あり、上記網状構造体は、連続線条体を曲がりくねらせ
多数のループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態
で接触せしめて、接触部の大部分が融着され、一定の幅
と厚みを保形した三次元ランダムループ構造であり、該
熱接着性網状構造の片面又は両面は実質的にフラット化
された熱接着層で形成され、該熱接着層の厚みが20mm
以下であることを特徴とする熱接着性網状構造体および
網状構造体の片面又は両面に熱可塑性弾性樹脂からなる
熱接着層が形成され、前記熱接着層以外の部分に前記熱
可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも10℃以上高い融
点を持つ非弾性熱可塑性樹脂からなる基本層が形成され
るように分配したノズルより、夫々の樹脂の融点より1
0〜120℃高い温度下に溶融状態の樹脂を下方に向
けて吐出させ、溶融状態で多数のループを形成し、夫々
のループを互いに接触し、融着させて一定の幅と厚みを
保形した三次元ランダムループ構造を形成しつつ、引取
装置で挟み込み、実質的に面をフラット化させ冷却槽で
冷却せしめて、前記熱接着層と前記基本層と融着一体
することを特徴とする熱接着性網状構造体の製法であ
る。
【0009】本発明における熱可塑性樹脂とは、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタン等
が例示できる。本発明の好ましい実施形態は熱接着され
る側地、不織布、硬綿等が汎用性のあるポリエステルが
多用されるので、一体成形品のリサイクルを容易にする
ためには熱接着性網状構造体の構成組成はポリエステル
が好ましい。なお、本発明において、高融点の非弾性樹
脂を使用する場合はガラス転移点温度が少なくとも40
℃以上で、融点が200℃以上300℃以下のものを使
用するのが成形品の耐熱性を保持できるので好ましい。
例えば、ポリエステルでは、ポリエチレンテレフタレ−
ト(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、
ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレ−ト(PC
HDT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンナフタレ−
ト(PCHDN)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PB
T)、ポリブチレンナフタレ−ト(PBN)等、及びそ
れらの共重合ポリエステル等が例示できる。ポリアミド
では、ポリカプロラクタム(NY6)、ポリヘキサメチ
レンアジパミド(NY66)、ポリヘキサメチレンセバ
カミド(NY6−10)等、及びそれらの共重合ポリア
ミド等が例示できる。なお、本発明網状構造体を座席に
使用する場合は、燐系、ハロゲン系、無機系等の難燃剤
を添加した非弾性樹脂を使用して構造体を難燃化するの
が特に好ましい。例えば、特開昭51−82392号公
報、特開昭55−7888号公報等に記載された難燃性
ポリエステル樹脂が例示できる。
【0010】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとして分子量300〜5000のポリエ
−テル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリ
カ−ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリ
エステル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、
ポリウレタン系エラストマ−などが挙げられる。熱可塑
性弾性樹脂とすることで、再溶融により再生が可能とな
るため、リサイクルが容易となる。例えば、ポリエステ
ル系エラストマ−としては、熱可塑性ポリエステルをハ
−ドセグメントとし、ポリアルキレンジオ−ルをソフト
セグメントとするポリエステルエ−テルブロック共重合
体、または、脂肪族ポリエステルをソフ*セグメントと
するポリエステルエステルブロック共重合体が例示でき
る。ポリエステルエ−テルブロック共重合体のより具体
的な事例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボ
ン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環
族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイ
マ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステ
ル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なく
とも1種と、1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−
ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチレングリコ−
ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ
−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタ
ノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族
ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種、および平均
分子量が約300〜5000のポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重
合体等のポリアルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種
から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエス
テルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボ
ン酸とジオ−ル及び平均分子量が約300〜5000の
ポリラクトン等のポリエステルジオ−ルのうち少なくと
も各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮する
と、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及び
ナフタレン2・6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては
1・4ブタンジオ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとして
はポリテトラメチレングリコ−ルの3元ブロック共重合
体または、ポリエステルジオ−ルとしてポリラクトンの
3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、
ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも
使うことができる。また、上記エラストマ−に非エラス
トマ−成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も
本発明の熱可塑性弾性樹脂に包含される。また、必要に
応じ、抗酸化剤や耐光剤等を添加して耐久性を向上させ
ることができる。なお、本発明の熱接着成分となる熱可
塑性低融点弾性樹脂の融点は、少なくとも10℃以上低
くしないと、熱接着時に高融点非弾性樹脂からなる網状
体構造が軟化変形したり、融点差がない場合は溶融して
網状体構造が無くなるので好ましくない。高融点非弾性
樹脂との融点差が100℃以上著しく低い場合は、網状
体を同一溶融温度で製造する場合、滞留時間が長いと低
融点弾性樹脂の熱分解が著しくなり接着機能に必要な分
子量を保持できなくなるので、高温での滞留時間を著し
く短くする必要がある。高融点非弾性樹脂からなる網状
体構造を保持するための低融点弾性樹脂の融点差は、1
0℃以上必要であり、好ましくは15℃以上100℃以
下、より好ましくは20℃以上80℃以下である。ま
た、熱接着する際の温度は低いほうが生産性からは好ま
しいが、耐熱性を保持するには高いほうが好ましい。耐
熱性を要求される自動車用のクッション材や天井材に必
要な耐熱性は70℃以上であるから、低融点弾性樹脂の
融点は、好ましくは80℃以上220℃以下、より好ま
しくは120℃以上200℃以下である。リサイクルの
し易さからの、本発明の好ましいポリエステル系弾性樹
脂としては、酸成分としてテレフタル酸やナフタレン2
・6ジカルボン酸などを90モル%以上含有するもの、
より好ましくはテレフタル酸やナフタレン2・6ジカル
ボン酸の含有量は95モル%以上、特に好ましくは10
0モル%とグリコ−ル成分をエステル交換後、必要な重
合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオ−ルとし
て、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、
特に好ましくは1000以上3000以下のポリテトラ
メチレングリコ−ルを15重量%以上70重量%以下、
より好ましくは30重量%以上60重量%以下共重合量
させた場合、テレフタル酸やナフタレン2・6ジカルボ
ン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向上
し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱性が向上する。が、
溶融熱接着後の成形品を更に融点より少なくとも10℃
以上低い温度でアン−リング処理すると熱接着成分の耐
熱抗へたり性が更に向上する効果も得られる。圧縮歪み
を付与してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性
が向上する。このような処理をした網状構造体の線条を
示差走査型熱量計(DSC)による融解曲線を測定する
と、ハードセグメントのガラス転移点温度以上、融点以
下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ
−リングしない場合は融点以下に吸熱ピ−クを発現しな
い。このことから類推するに、アン−リングにより、ハ
−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が
形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないか
とも考えられる。
【0011】本発明の網状構造体は、熱可塑性樹脂から
なる線条を曲がりくねらせ該線条同士を接触させ、接触
部を融着して3次元網状構造を形成している。このこと
で、外力による変形を与えても、弾性樹脂からなる熱接
着層で大部分の変形を吸収し、熱接着層で吸収出来なか
った変形は、熱接着層を介して融着一体化した3次元網
状構造全体が変形して非弾性樹脂で構成した層での個々
の線条への応力集中を回避できるので非弾性樹脂線条の
弾性限界内でも応力を吸収し易くなり、応力が解除され
ると非弾性樹脂線条の層も弾性回復し、熱接着層は弾性
樹脂のゴム弾性による回復力に助けられ構造体は元の形
態に回復し易くなる。熱接着層が非弾性樹脂からなる線
条で構成された網状構造体では、塑性変形を生じ、この
ような回復が起こらないので耐久性が劣る。融着してい
ない場合は、形態保持が出来ず、構造体が一体で変形し
ないため、応力集中による疲労現象が起こり耐久性が劣
ると同時に、形態が変形してしまうので好ましくない。
本発明のより好ましい融着の程度は、線条が接触してい
る部分の大半が融着した状態であり、もっとも好ましく
は接触部分が全て融着した状態である。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂からなる網状構造体
は、実質的に面がフラット化された網状構造体の片面ま
たは両面を構成する線条の融点がその面と接する高融点
樹脂の線条の融点より少なくとも10℃以上低い低融点
弾性樹脂からなる厚み20mm以下、好ましくは10mm以
下の熱接着層であり、熱接着加工を可能にする。網状
体、不織布、編織物、硬綿、フイルム、発泡体、金属、
粉体、繊維状物等を片面に接着したい場合は片面に熱接
着成分の層を形成し、両面に接着したい場合は両面に熱
接着成分を形成した構成にすることで、接着剤の塗布や
接着層を追加しなくても熱接着して新たな成形体を得る
ことができる。前記した如く、低融点弾性樹脂と高融点
非弾性樹脂の融点差は10℃以上、好ましくは15℃以
上80℃以下、より好ましくは20℃以上50℃以下で
ある。熱可塑性弾性樹脂からなる線条で構成された熱接
着層は実質的に面がフラット化されて、接触部の大部分
が融着していることで、網状体、不織布、編織物、硬
綿、フイルム、発泡体、金属等の被熱接着体面との接触
面積が広くできるので、熱接着面積が広くなり、強固に
熱接着した新たな成形体を得ることができる。このこと
は、高融点非弾性樹脂からなる網状構造体層と熱接着層
の該線条で接着点を形成するため、被接着体面からの局
部的な外力も構造面で受け止めて面構造が弾性樹脂から
なる熱接着層で大部分の変形を吸収し、熱接着層で吸収
出来なかった変形は、熱接着層を介して融着一体化した
3次元網状構造全体が変形して非弾性樹脂で構成した層
での個々の線条への応力集中を回避できるので非弾性樹
脂線条の弾性限界内でも応力を吸収し易くなり、応力が
解除されると非弾性樹脂線条の層も弾性回復し、熱接着
層は弾性樹脂のゴム弾性による回復力に助けられ構造体
は元の形態に回復し易くなり耐久性が保持された成形体
を得ることができる。即ち、被接着体と高融点非弾性樹
脂層との間の低融点熱接着層は応力吸収ができるショッ
クアブソ−バ−の働きをする特徴を有する。また、熱接
着時に被接着体を伸張した状態で接着すると、被接着体
は接着層のゴム弾性で伸張された状態が緩和しないので
張りのある、皺になりにくい成形体とすることができ
る。片面が高融点非弾性樹脂で形成されている場合も接
着面は同様の効果が発現する。実質的にフラット化され
てない場合、凹凸のある接着面では被熱接着体面及び高
融点弾性樹脂からなる網状構造体層との接触面積が少な
くなるので接着力不足で熱接着点の面積も少なくなり外
力の伝達が熱接着点に集中して応力集中による疲労が発
生して接着耐久性が劣り、剥離の原因になるので好まし
くない。更に、構造面で受け止める接着が不充分となる
為、局部的な応力集中は非弾性樹脂層にまで達しそのま
ま応力が接着点に集中して非弾性樹脂層の構造破壊を生
じ回復しなくなるので好ましくない。熱接着層が非弾性
樹脂で構成される場合、充分な接着がなされても構造破
壊されやすく耐久性が著しく劣るので好ましくない。本
発明網状体をもちいて熱接着成分の表面のみ加熱して、
接着成分層の網状構造を保持できるような方法を用いて
熱接着を行う場合には、熱接着成分層を10mm以上20
mm以下のように少し厚くすればクッション材の少し柔ら
かな層として適度の沈み込みにより快適な臀部のタッチ
を与えて臀部の圧力分布を均一分散化する層(表面層)
の機能も合わせて持たせることができる。クッション材
に用いる場合のクッション層の働きは振動吸収と体型保
持を受け持つ層(基本層)と、表面層が一体化されるこ
とで、応力や振動を一体で変形し吸収させることが座り
心地の向上には必要である。また、表面層と基本層が融
着一体化していることで、外力を構造全体で変形し吸収
できることで、耐へたり性や耐熱耐久性の低下を防止で
きる。表面層と基本層が溶融接着されていない場合は、
表面層が選択的にへたり易くなるので好ましくない。本
発明は、この基本層と表面層に、その必要な機能に応じ
任意に各層が異なる熱可塑性非弾性樹脂からなる線条で
形成され、融着一体化された網状構造体とすることがで
きる。上述の機能を発現する好ましい構成は、表面層に
は柔らかさ(モジュラスのやや低い例えばポリブチレン
テレフタレ−トやポリシクロヘキシレンジメチレンテレ
フタレ−トなど)と回復性の良好な熱可塑性樹脂(本発
明では熱接着層を兼ねる層では低融点弾性樹脂である)
からなる線条で形成すること等が例示できる。基本層に
は硬い(ややモジュラスの高い例えばポリエチレンテレ
フタレ−トやポリエチレンナフタレ−トなど)回復性の
良い熱可塑性非弾性樹脂からなる線条で形成し、なお、
表面層や基本層は単層ではなく多層になっていることで
クッション性の微妙なコントロールや圧縮応力の均一分
散が容易にできるので、柔らかい成分の熱可塑性非弾性
樹脂(本発明では熱接着層を兼ねる層では低融点弾性樹
脂を含む)と硬い成分の熱可塑性樹脂とを好ましくは2
種類以上、より好ましくは3種類以上で構成された線条
の層を多層一体化した表面層や基本層を形成することは
本発明のより好ましい例である。表面層とは反対の面も
本発明では熱接着層を持つことができる。このためにク
ッション材のフレ−ムと接する面にモジュラスの高い形
態保持性の良い補強材を熱接着せしめてフレ−ム面から
受ける振動や反発応力をクッション層へ均一に伝達さ
せ、クッション層で一体化した全体が変形してエンルギ
−変換できるようにし、座り心地を良くすると共にクッ
ションの耐久性も向上させることができる。振動吸収層
をもつ補強材を熱接着せしめればより乗り心地が向上す
るので好ましい。なお、機能付与のため、線条成分との
兼ね合いで各層の繊度や密度との最適な組合せも任意に
選択することができる。
【0013】本発明の網状構造体を構成する線条の太さ
や断面形状は特には限定されないが、細過ぎると柔らか
くなり過ぎ体型保持や適度の抗圧縮反発性が低下するの
で、本発明の高融点非弾性樹脂からなる網状構造体を構
成する線条の太さは好まくは0.001〜10mm、より
好ましくは0.01〜5mmである。接着層を形成する低
融点弾性樹脂は太すぎると加熱溶融させにくく、接着面
の接着点数が低下するので5mm以下とするのが好まし
く、0.001mm〜2mmとするのがより好ましい。又、
ランダムなループの大きさは、目的用途により任意に選
定できるが直径1〜50mm、特に2〜15mmが好まし
い。本発明の高融点非弾性樹脂からなる網状構造体を構
成する線条(本発明では表面層を熱接着層が兼ねる層で
は低融点弾性樹脂を含む)の断面形状は、中空断面や異
形断面にすることで、抗圧縮性や嵩だか性をを付与でき
るので特に好ましい。抗圧縮性は、用いる熱可塑性非弾
性樹脂のモジュラスにより調整して、柔らかい熱可塑性
非弾性樹脂では中空率や異形度を高くして、初期圧縮応
力の勾配を調整できるし、ややモジュラスの高い素材で
は中空率や異形度を低くして、または丸断面として断面
2次モ−メントを低くすることで座り心地が良好な抗圧
縮性を付与できる。中空断面や異形断面の他の効果とし
て中空率や異形度を高くすることで、同一の抗圧縮性を
付与した場合、見掛けの密度を低くできるのでより軽量
化が可能となり、自動車等の座席に用いると省エネルギ
−化ができ、布団などの場合は、上げ下ろし時の取扱性
が向上する。接着層を形成する低融点弾性樹脂の断面形
状も異形断面にすることで接着面積の増加により接着力
を向上できるので好ましい。
【0014】本発明網状構造体の見掛け密度は特には限
定されないが、高融点非弾性樹脂から構成される網状構
造体は、クッション体としての機能が発現されやすい
0.005g/cm3 以上0.20g/cm3 以下が好まし
く、より好ましくは0.01g/cm3 以上0.10g/
cm3 以下である。低融点弾性樹脂から構成される接着層
の見掛け密度は、片面又は両面に網状体、不織布、編織
物、硬綿、フイルム、発泡体、金属、粉体、繊維状物等
の熱接着させる層と接着層との界面での多少のマイグレ
−ションをおこして強固に熱接着した新たな成形体を得
ることができる0.01g/cm3 以上0.20g/cm3
以下とするのが好ましい。高融点非弾性樹脂からなる網
状構造体が2種類以上の層で一体化されている場合、各
層の見掛け密度を変え好ましい特性を付与することがで
きる。例えば、表面層にややモジュラスの低い、回復性
の良い熱可塑性非弾性樹脂(本発明では表面層を熱接着
層が兼ねる層では低融点弾性樹脂を含む)を用い線条の
構成本数を多くすることで表面層の見掛け密度を0.0
4〜0.06g/cm3 とやや高くして線条の一本が受け
る応力を少なくして応力の分散を良くし、クッション層
がややモジュラスの高い熱可塑性非弾性樹脂の線条で
0.04〜0.06g/cm3 と中程度の密度にして、臀
部を支えるクッション性の向上とフレ−ム面から受ける
振動や反発応力をクッション層へ均一に伝達させ、クッ
ション層と表面層が一体化した全体が変形してエンルギ
−変換できるようにし、座り心地を良くすると共にクッ
ションの耐久性も向上させることもできる。又、座席の
サイドの厚みと張りを付与させるために部分的に繊度を
やや細くして高密度化することもできる。このように繊
度の異なる線条からなる各層はその目的に応じ、熱可塑
性弾性樹脂からなる接着層の特性との兼ね合わせも含め
た好ましい密度と繊度を任意に選択できる。なお、網状
構造体の各層の厚みは、特に限定されないが、高融点非
弾性樹脂から構成される網状構造体は、クッション体と
しての機能が発現されやすい3mm以上とするのが好まし
い。低融点弾性樹脂から構成される接着層の厚みは、接
着機能を持ち成形時の厚み変化を少なくするために2mm
以上20mm以下とするのが好ましい。
【0015】次に本発明の製法について述べる。本発明
の熱接着性網状構造体は網状構造体の片面または両面に
低融点熱可塑性弾性樹脂の層が形成されるように、及
び、他の部分に低融点弾性樹脂の融点より少なくとも1
0℃以上高い融点をもつ熱可塑性非弾性樹脂の層が形成
されるように分配したノズルより、各樹脂を融点より1
0℃以上、120℃以下の溶融温度でノズルより下方に
向けて吐出させた線条を曲がりくねらせ溶融状態で互い
に接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取り
装置で挟み込み実質的に面をフラット化させ冷却槽で冷
却せしめて網状構造体を形成することを特徴とする熱接
着性網状構造体の製法である。本発明の網状構造体を得
るには、少なくとも2成分押出機、好ましくは3成分押
出機を用いて、熱接着成分となる低融点熱可塑性弾性樹
脂及びクッション体となる高融点熱可塑性非弾性樹脂を
各単独成分毎に溶融して、ノズル背面で低融点弾性樹脂
を網状構造体の片面または両面を構成するように分配
し、他の部分に高融点熱可塑性弾性樹脂を分配してノズ
ルのオリフィスより吐出させる。本発明の好ましい実施
形態では、例えば、長手方向の有効幅50mm、ノズルの
幅方向の列の孔間ピッチは10mm一定、列間のピッチが
5mm一定の丸断面のオリフィス形状の場合、熱接着層を
形成する低融点弾性樹脂を、片面に配する場合は1列目
又は1列目〜3列目、両面に配する場合は1列目と11
列目又は1列目〜3列目と11列目又は10列目〜11
列目に分配し、高融点非弾性樹脂を他の列に分配して、
好ましくは、各成分の融点より10℃以上、120℃以
下の同一の溶融温度で、各成分の層が所望の見掛け密度
になる吐出量、例えば、単孔吐出量は、熱接着層の部分
は2.5g/分、クッション体となる部分は2g/分の
ように、好ましくは、各成分を各ギヤポンプにてノズル
へ溶融状態の熱可塑性樹脂を送り、下方に向けて各オリ
フィスより吐出させる。本発明のより好ましい実施形態
からは、構成本数を熱接着層で増やす場合、例えば、1
列目から3列目の孔間ピッチを5mm、10列目と11列
目の孔間ピッチを6.67mmに変更して各成分の全吐出
量を同一で吐出させれば、熱接着層の見掛け密度を0.
0608g/cm3 、クッション体を形成する層0.04
04g/cm3 のまま変えずに構成本数を2倍、及び約
1.5倍に増加させた緻密な熱接着層にできる。勿論、
クッション体となる高融点非弾性樹脂の層の特定部分の
孔密度をかえて、クッション特性を最適化することがで
きる。また、オリフィスの断面積を変えて吐出時の圧力
損失差を付与すると、溶融した熱可塑性樹脂を同一ノズ
ルから一定の圧力で押し出される吐出量が圧力損失の大
きいオリフィスほど少なくなる原理を用いると列内、列
間で異繊度線条からなる網状構造体も製造できる。例え
ば上述のように4列目から9列目に高融点非弾性樹脂を
分配する場合、4列目から6列目のオリフィス径を0.
7mm、孔間ピッチを5mmとし、他の列のオリフィス径を
1.0mmとすることで非弾性樹脂の層を2層形成して座
り心地や変形応力の分散を良くすることができる。本発
明に使うノズルのオリフィス形状は丸断面でも良いが、
本発明では、線条を中空や異形断面化することで溶融状
態の吐出線条が形成する3次元構造が流動緩和し難く
し、逆に接触点での流動時間を長く保持して接着点を強
固にできるので特に好ましい。特開平1−2075号公
報に記載の接着のための加熱をする場合、3次元構造が
緩和し易くなり平面的構造化し、3次元立体構造化が困
難となるので好ましくない。次いで、引取りネットで溶
融状態の3次元立体構造体両面を挟み込み、両面の溶融
状態の曲がりくねった吐出線条を45°以上折り曲げて
変形させて表面をフラット化すると同時に曲げられてい
ない吐出線条との接触点を接着して構造を形成後、連続
して冷却媒体(通常は室温の水を用いるのが冷却速度を
早くでき、コスト面でも安くなるので好ましい)で急冷
して本発明の3次元立体網状構造体を得る。次いで水切
り乾燥するが冷却媒体中に界面活性剤等を添加すると、
水切りや乾燥がしにくくなったり、熱可塑性弾性樹脂が
膨潤することもあり好ましくない。かくして得られた熱
接着性網状構造体は所望のの長さまたは形状に切断して
成形品用途例えばクッション材、断熱材、内装材等に用
いる。尚、ノズル面と樹脂を固化させる冷却媒体上に設
置した引取りコンベアとの距離、樹脂の溶融粘度、オリ
フィスの孔径と吐出量などにより所望のループ径や線径
をきめられる。冷却媒体上に設置した間隔が調整可能な
一対の引取りコンベアで溶融状態の吐出線条を挟み込み
停留させることで互いに接触した部分を融着させ、連続
して冷却媒体中に引込み固化させ網状構造体を形成する
時、上記コンベアの間隔を調整することで、融着した網
状体が溶融状態でいる間で厚み調節が可能となり、所望
の厚みのものが得られる。引取りコンベアとノズル面の
距離は好ましくは30cm以内であり、長過ぎると溶融線
条が冷却さて接触部が融着しなくなるので好ましくな
い。コンベア速度も速すぎると、接触点の形成が不充分
になったり、融着点が充分に形成されるまでに冷却さ
れ、接触部の融着が不充分になる場合がある。また、速
度が遅過ぎると溶融物が滞留し過ぎ、密度が高くなるの
で、所望の見掛け密度に適したコンベア速度を設定する
必要がある。
【0016】本発明の網状構造体をクッション材に用い
る場合、その使用目的、使用部位により使用する樹脂、
繊度、ル−プ径、嵩密度を選択する必要がある。例え
ば、表層のワディング部は、ソフトなタッチと適度の沈
み込みと張りのある膨らみを付与するために、低密度で
細い繊度、細かいル−プ径にするのが好ましく、中層の
クッション体としては、共振振動数を低くし、適度の硬
さと圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保
持性を良くし、耐久性を保持させるために、中密度で太
い繊度、やや大きいル−プ径が好ましい。また、クッシ
ョン体となる層及び、被熱接着物との接着強度を得るた
めに相溶性の良い熱接着成分を選択するのが好ましい。
3次元構造を損なわない程度に成形型等を用いて使用目
的にあった形状に成形して使用できる。また、樹脂製造
過程以外でも性能を低下させない範囲で製造過程から成
形体に加工する任意の段階で難燃化、防虫抗菌化、耐熱
化、撥水撥油化、着色、芳香等の機能付与を薬剤添加等
の処理加工ができる。
【0017】
【実施例】以下に実施例で本発明を詳述する。
【0018】なお、実施例中の評価は以下の方法で行っ
た。 融点(Tm)および融点以下の吸熱ピ−ク 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸
熱ピ−ク(融解ピ−ク)温度を求めた。 見掛け密度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、4か所の高さ
を測定し、体積を求め、試料の重さを体積で徐した値で
示す。(n=4の平均値) 融着 試料を目視判断で融着しているか否かを接着している繊
維同士を手で引っ張って外れないか否かで外れないもの
を融着していると判断する。 繰返し圧縮歪 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、島津製作所製
サ−ボパルサ−にて、25℃65%RH室内にて50%
の厚みまで1Hzのサイクルで圧縮回復を繰り返し2万
回後の試料を1日放置後の厚みと処理前の厚みの比を%
で示す。(n=3の平均値) 熱接着強度 試料を15cm×15cmの大きさに切断し、熱接着面に離
形シ−トを挟んで折り返したポリエステルの織物を、折
り返し側が試料の中央にくる様に2枚を配して、ヒ−ト
プレスで挟み、低融点弾性樹脂の融点より10℃高い温
度で織物及び熱接着面を余熱し、次いで、圧縮して熱接
着させ得られた熱接着成形品を用い、離形シ−トを挟ん
で折り返し、熱接着していない側の織物の部分をチャッ
クに挟み、両側から織物を引っ張って織物と熱接着した
網状構造体との剥離力を測定し、幅1cm当たりの剥離力
に換算し、熱接着強度を求め、n=5の平均値が、1kg
/cm未満;×、1kg/cm以上3kg/cm未満;△、3kg/
cm以上5kg/cm未満;○、5kg/cm以上;◎で示す。 座り心地 30℃RH75%室内で座席用フレ−ムにバケットシ−
ト状に成形したクッションにポリエステルモケットの側
地を掛けた座席にパネラ−を座らせ(n=5)(1) 床つ
き感:座ったときの「どすん」と床に当たった感じの程
度を感覚的に定性 評価した。感じない;◎、殆ど感じ
ない;○、やや感じる;△、感じる;×(2) 蒸れ感:2
時間座っていて、臀部やふと股の内側の座席と接する部
分が蒸れた感じを感覚的に定性評価した。殆ど感じな
い:◎、僅かに蒸れを感じる;○、やや蒸れを感じる;
△、蒸れを著しく感じる;×
【0019】実施例1及び2 ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)又は、ジメチルナフタレ−ト(DM
N)と1・4ブタンジオ−ル(1・4BD)を少量の触
媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメ
チレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつ
つ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エ
ラストマ−を生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合
練込み後ペレット化し、50℃48時間乾燥して得られ
た熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】得られたポリエステル系の熱可塑性弾性樹
脂(A−1)と熱可塑性非弾性樹脂として相対粘度1.
08、融点239℃のポリブチレンテレフタレ−ト(P
BT)を2本の押出機にて溶融し、幅50cm、長さ5cm
のノズル有効面に長さ方向に列間ピッチを5mm、1列目
から6列目及び11列目の孔間ピッチを5mm、オリフィ
ス径を0.8mmとし、7列目から10列目までの孔間ピ
ッチを10mm、オリフィス径を1.0mmとしたノズル
に、A−1を1列目から3列目及び11列目に分配し、
PBTを4列目から10列目に分配して、溶融温度26
5℃にて、単孔吐出量をA−1は1.26g/分孔、P
BTは4列目から6列目を0.82g/分孔、7列目か
ら10列目は2.00g/分孔にて吐出させ、ノズル面
10cm下に冷却水を配し、幅60cmのステンレス製エン
ドレスネットを平行に5cm間隔で一対の引取りコンベア
を水面上に一部出るように配した上に引取り、接触部分
を融着させつつ、両面を挟み込みつつ毎分1mの速度で
25℃の冷却水中へ引込み固化させ、次いで所定の大き
さに切断して得られた網状構造体の特性を表3に示す。
平均の見掛け密度は0.047g/cm3 、各層の見掛け
密度と厚みは、A−1層の1列から3列目の層(表)は
0.061g/cm3 で約12.5mm、11列目の層
(裏)は0.102g/cm3 で約3mm、PBT層の4列
目から6列目は0.033g/cm3 で約15mmと7列目
から10列目は0.041g/cm3 で約20mm、熱接着
層となる低融点弾性樹脂からなるA−1層は面が実質的
にフラット化された構成本数の多い緻密化した層であっ
た。
【0022】実施例2 得られたポリエステル系の熱可塑性弾性樹脂(A−2)
と熱可塑性非弾性樹脂として極限粘度0.63、融点2
65℃のポリエチレンテレフタレ−ト(PET)を2本
の押出機にて溶融し、溶融温度280℃にて吐出させた
以外実施例1と同様にして得た網状構造体の特性を表3
に示す。平均の見掛け密度は0.046g/cm3 、各層
の見掛け密度と厚みは、A−2層の1列から3列目の層
(表)は0.061g/cm3 で約12.5mm、11列目
の層(裏)は0.102g/cm3で約3mm、PBT層の
4列目から6列目は0.033g/cm3 で約15mmと7
列目から10列目は0.041g/cm3 で約20mm、熱
接着層となる低融点弾性樹脂からなるA−2層は面が実
質的にフラット化された構成本数の多い緻密化した層で
あった。
【0023】実施例3 ノズルの孔配列を列間ピッチ5mm、孔間ピッチを10mm
とし、オリフィス径をφ0.7mmとしたノズルより、A
−2の熱可塑性弾性樹脂を1列目から3列目及び11列
目の分配し、PETを4列目から10列目に分配し、A
−2及びPETの単孔吐出量を2g/分孔とした以外実
施例2と同様にして得た網状構造体の特性を表3に示
す。平均の見掛け密度は0.045g/cm3 、各層の見
掛け密度と厚みは、A−2層の1列から3列目の層
(表)は0.049g/cm3 で約12.5mm、11列目
の層(裏)は0.082g/cm3 で約3mm、PET層の
4列目から10列目は0.041g/cm3 で約35mm、
熱接着層となる低融点弾性樹脂からなるA−2層は面が
実質的にフラット化された構成本数の多い緻密化した層
であった。
【0024】実施例4 ポリエステル系エラストマ−として、ジメチルテレフタ
レ−ト(DMT)80モル%とジメチルイソフタレ−ト
(DMI)20モル%、及び1・4ブタンジオ−ル(1
・4BD)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル
交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を
添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエス
テルブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで抗
酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃4
8時間乾燥して得られた熱可塑性弾性樹脂原料(A−
3)の処方を表1に示す。次いで、熱接着層となる低融
点弾性樹脂にA−3を用いた以外、実施例3と同様にし
て得た網状構造体の特性を表3に示す。平均の見掛け密
度は0.044g/cm3 、各層の見掛け密度と厚みは、
A−3層の1列から3列目の層(表)は0.049g/
cm3 で約12.4mm、11列目の層(裏)は0.082
g/cm3 で約3mm、PET層の4列目から10列目は
0.041g/cm3 で約35mm、熱接着層となる低融点
弾性樹脂からなるA−3層は面が実質的にフラット化さ
れた構成本数の多い緻密化した層であった。
【0025】実施例5 ポリウレタン系エラストマ−として、4・4’ジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト(MDI)とPTMG及び鎖
延長剤として1・4BDを添加して重合し、次いで抗酸
化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し乾燥してポリ
エ−テル系ウレタンを熱可塑性弾性樹脂原料とした。処
方を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】得られたポリウレタン系の熱可塑性弾性樹
脂(B−1)を1列目から3列目及び11列目に分配し
た以外、実施例3と同様にして得た網状構造体の特性を
表−3に示す。得られた網状構造体は実施例3と同様に
熱接着層となる低融点弾性樹脂からなるB−1層は面が
実質的にフラット化された構成本数の多い緻密化した層
であった。見掛け密度と厚みは実施例2とほぼ同じであ
った。
【0028】比較例1及び2 固有粘度0.61のイソフタル酸を45モル%とテレフ
タル酸55モル%およびエチレングリコ−ルを共重合し
た融点115℃のポリエステル(PEIT)を1列目か
ら3列目及び11列目に分配し、固有粘度0.63のポ
リエチレンテレフタレ−ト(PET)を4列目から10
列目に分配し、溶融温度280℃にて各列での単孔吐出
量は実施例3と同様にして得た網状構造体、及びメルト
インデックス10のポリエチレン(PE)を1列目から
3列目及び11列目に分配し、メルトインデックス35
のポリプロピレン(PP)を4列目から10列目に分配
し、溶融温度220℃にて各列での単孔吐出量は実施例
3と同様にして得た網状構造体の特性を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】比較例3 ノズルの孔配列を列間ピッチ5mm、孔間ピッチを10mm
とし、オリフィス径をφ0.7mmとしたノズルより、A
−3の熱可塑性弾性樹脂を1列目から5列目に分配し、
PETを7列目から11列目に分配した以外、実施例3
と同様にして得た網状構造体の特性を表−3に示す。平
均の見掛け密度は0.044g/cm3 、厚みは約50m
m、各層の見掛け密度と厚みは、A−3層の1列から6
列目の層は0.044g/cm3 で約27.5mm、PET
層の4列目から11列目は0.045g/cm3 で約22
mm、熱接着層となる低融点弾性樹脂からなるA−3層及
びPET層の面は実質的にフラット化されていた。な
お、熱接着強度を測定するために接着処理をした時、厚
みが約43mmに減少して回復しなかった。
【0031】比較例4 ノズル面60cm下に引取りコンベアネットを配して引き
取った以外、実施例3と同様の方法で得た網状構造体の
特性の一部を表3に示す。なお、接着状態が不良で形態
保持が悪いため、見掛け密度、繰返圧縮歪み、熱接着強
度の評価はしていない。座り心地は成形が不充分な状態
で評価した。
【0032】比較例5 引取りコンベアネットの幅を10cmとして吐出線条を挟
み込まずに引き取った以外、実施例4と同様の方法で得
た網状構造体の特性の一部を表3に示す。なお、得られ
た網状構造体はル−プ形成が不充分で接着状態もやや不
良な表面がフラット化していない網状構造体であったた
め形態保持が少し悪く、座り心地は成形が不充分な状態
で評価した。
【0033】実施例1及び2はポリエステル系ポリマ−
を熱接着成分に用いて接着層を緻密化し、非弾性樹脂層
を2層にした例で、ソフトで適度の沈み込みがあり座り
心地がよく、耐久性の良好なクッション材に適した好ま
しい網状構造体であり、熱接着強度も良好である。実施
例3は実施例2の素材で、熱接着層の密度を少し低く
し、非弾性樹脂層を1層にした例で、耐久性、座り心
地、熱接着強度の良いものである。実施例4は熱接着成
分の融点を少し低くした弾性樹脂を用いて実施例3と同
様に構成した例で、耐久性が少し低下するが問題のない
範囲であり、座り心地、熱接着強度の良いものである。
実施例5は熱接着成分にポリウレタン系ポリマ−を用い
た例で、耐久性、座り心地、接着強度も良好であった。
比較例1及び比較例2は、熱接着成分に非弾性樹脂を用
いた例で、耐久性が著しく劣り、且つ硬くて座り心地が
極めて悪くクッション材に適さない例である。但し、接
着強度は実用上の使用に耐える能力を示した。比較例3
は弾性樹脂からネル熱接着層の厚みが厚い本発明の範囲
を外れる例で、耐久性や座り心地は実施例4よりも劣
り、接着時に部分的に溶融してクッション層の厚みが低
下するという成形時の問題も大なるものとなる。比較例
4は繊維同士が互いに融着していない例で、形態保持が
極めて悪くクッション材に適さないものである。比較例
5は熱接着層の両面がフラット化していない例で、接着
点の形成も不充分になり、耐久性、座り心地、接着強度
がやや劣るものである。
【0034】
【発明の効果】本発明の網状構造体は熱可塑性樹脂を用
いた線条が融着一体化した熱可塑性低融点弾性樹脂から
なる熱接着性を有する層を片面または両面に有するの
で、熱接着による新たな成形体を容易に形成でき、接着
された被接着体面の外力の変形を面で受けてショックア
ブソ−バ−の働きを持つ熱接着層と高融点非弾性樹脂か
らなるクッション機能層とが一体で構造全体で変形し応
力を吸収し易く、外力が除去されると接着層の弾性樹脂
特有のゴム弾性で表面が元の形態に回復することができ
る、構造体全体も回復性が良好となるので、座り心地の
よい、耐久性の良い、蒸れにくいクッション材に適し
た、且つ、リサイクルが容易で、非弾性樹脂を用いるこ
とでコストが安価になるので、汎用性の高い車両用座
席、船舶用座席、家具用クッション、寝装用品等に有用
な熱接着性網状構造体である。単独での使用や他の素材
との併用も可能である。更には、断熱材や内装材、保温
材、伸縮不織布用途等にも有用な熱接着性網状構造体で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00 B68G 1/00 - 15/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非弾性熱可塑性樹脂の融点より10℃以
    上融点が低い熱可塑性弾性樹脂からなる網状構造体が熱
    接着層を形成し、非弾性熱可塑性樹脂からなる網状構造
    地が基本層を形成し、両層が三次元ランダムループ形成
    時に融着一体化されてなる熱接着性網状構造体であり、
    上記網状構造体は、連続線条体を曲がりくねらせ多数の
    ループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触
    せしめて、接触部の大部分が融着され、一定の幅と厚み
    を保形した三次元ランダムループ構造であり、該熱接着
    性網状構造の片面又は両面は実質的にフラット化された
    熱接着層形成され、該熱接着層の厚みが20mm以下で
    あることを特徴とする熱接着性網状構造体。
  2. 【請求項2】 非弾性熱可塑性樹脂がポリエステルであ
    る請求項1に記載の熱接着性網状構造体。
  3. 【請求項3】 熱接着性網状構造体が難燃性を有してい
    る請求項1に記載の熱接着性網状構造体。
  4. 【請求項4】 網状構造体の片面または両面に熱可塑性
    弾性樹脂からなる熱接着層が形成され、前記熱接着層以
    外の部分に前記熱可塑性弾性樹脂の融点より少なくとも
    10℃以上高い融点をもつ非弾性熱可塑性樹脂からなる
    基本層が形成されるように分配したノズルより、夫々の
    樹脂の融点より10〜120℃高い温度下に溶融状態
    の樹脂を下方に向けて吐出させ、溶融状態で多数のルー
    プを形成し、夫々のループを互いに接触し、融着させて
    一定の幅と厚みを保形した三次元ランダムループ構造を
    形成しつつ、引取装置で挟み込み、実質的に面をフラッ
    ト化させ冷却槽で冷却せしめて、前記熱接着層と前記基
    本層と融着一体することを特徴とする熱接着性網状
    構造体の製法。
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