JPH0913219A - 熱接着性繊維及びその製法 - Google Patents
熱接着性繊維及びその製法Info
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- JPH0913219A JPH0913219A JP7162374A JP16237495A JPH0913219A JP H0913219 A JPH0913219 A JP H0913219A JP 7162374 A JP7162374 A JP 7162374A JP 16237495 A JP16237495 A JP 16237495A JP H0913219 A JPH0913219 A JP H0913219A
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Abstract
優れた耐久性を持つ安全性が高く、蒸れ難く座り心地の
良いクッション材を容易に製造できる熱接着繊維を提供
する。 【構成】融点又は流動開始温度が100〜220℃の熱
可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維であり、摩擦係数
が2.5以下、捲縮度が5%以上、捲縮数が3個/25
mm以上20個/25mm以下、0.1g/デニ−ルの伸長
応力付与時の伸びが50%以下である熱接着性繊維とそ
の製法である。
Description
維と製法に関するものであり、特に繊維よりなるクッシ
ョン材を熱成形して得られたクッション材は優れたクッ
ション性、常温および加熱下での耐久性とが得られるエ
ラストマ−系熱接着繊維および製法に関する。
ン材の分野で、発砲ウレタン、ポリエステル繊維詰綿、
及びポリエステル繊維を接着した樹脂綿やポリエステル
硬綿が知られている。
としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿性
に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼時の発
生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物添加が
必要なため、火災時に有毒ガスの発生による中毒の問題
やリサイクルが困難なため焼却されるが、焼却炉の損傷
が大きく、かつ、有毒ガスの除去に経費が掛かる等の問
題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される
薬品の公害問題などもある。蒸れの改良法として特開昭
63−77482号公報等が提案されているが不充分な
ものである。また、ポリエステル繊維詰綿では繊維間が
固定されていないため、使用時形態が崩れたり、繊維が
移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性の低下や弾力性
の低下が問題になる。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維を改良方法として特開平4−240219号
公報で提案されている。この繊維に使われるポリエステ
ルエラストマ−はハ−ドセグメントの酸成分にテレフタ
ル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとし
てのポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重
量%に限定し、他の酸成分組成として、例えば、特公昭
60−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフ
タル酸等を含有させ非晶性を増すことにより融点を18
0℃以下として、熱接着成形温度を低く押さえ、低分子
量化により低溶融粘度として流動性を良くし、熱接着部
点の形成を良くすることが提案されているが、このよう
な組成では、元々加熱下では塑性変形しやすい組成のう
え、熱成形によりポリエステルエラストマ−が流動し
て、熱接着繊維の表面に止まらず脆い非弾性成分のみが
繊維構造体のマトリックス繊維と接合点間を繋いでお
り、大きい力や変形で容易に接合間を繋ぐ脆い非弾性成
分からなる繊維が破壊され、繊維構造体のクッション性
や耐久性が失われる問題がある。更には、熱接着繊維の
摩擦係数が大きくなり、混合開繊時に混繊しにくい問題
がある。また、製法からは、高融点の非弾性樹脂と低融
点のポリエステルエラストマ−を複合紡糸するために高
い紡糸温度で溶融接合するので、熱接着成分である低融
点のポリエステルエラストマ−が著しい熱劣化を生じて
低分子量化し、エラストマ−の回復性を低下させる問題
がある。
術の問題点を改良し、優れたクッション性、優れた耐熱
耐久性を有するクッション材を容易に製造するに適した
エラストマ−系熱接着繊維を提供することを目的とす
る。
の手段、即ち、本発明は、融点又は流動開始温度が10
0〜220℃の熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維
であり、繊維の摩擦係数が2.5以下、捲縮度が5%以
上、捲縮数が3〜20個/25mm、0.1g/デニ−ル
の伸長応力付与時の伸びが50%以下であることを特徴
とする熱接着性繊維である。更には、繊維の捲縮形態が
機械捲縮である熱接着性繊維であり、熱可塑性弾性樹脂
の融点又は流動開始温度が110〜200℃である熱接
着性繊維であり、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始
温度が130〜190℃である熱接着性繊維であり、捲
縮度が6〜20%であり、捲縮数が15個/25mm以下
であり、更には捲縮度が8〜15%の熱接着性繊維であ
り、捲縮数が8〜15個/25mmの熱接着性繊維であ
り、0.1g/デニ−ルの伸長応力付与時の伸びが5〜
30%である熱接着繊維であり、繊維の示差走査型熱量
計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−
クを有する熱接着性繊維であり、融点又は流動開始温度
が100〜220℃の熱可塑性弾性樹脂を前記融点又は
流動開始温度より20〜80℃高い温度で溶融紡糸し、
少なくとも50℃以下に冷却した後、収束し、1.0重
量%以上の水系油剤を付与して引き取り、機械捲縮を付
与する熱接着性繊維の製法であり、熱可塑性弾性樹脂を
溶融粘度が500ポイズ以上5000ポイズ以下となる
紡糸温度で紡糸する熱接着性繊維の製法であり、溶融紡
糸し、紡出糸条を一旦冷却した後、60〜(融点−1
0)℃の温度でアニ−リング処理する熱接着性繊維の製
法である。
フトセグメントとハ−ドセグメントのブロック共重合体
(架橋点を持つものも含む)で、ゴム弾性を有する熱可
塑性樹脂であり、例えば、ポリエステル系エラストマ
−、ポリアミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラス
トマ−、ポリオレフィン系エラストマ−、ポリスチレン
系エラストマ−、ポリフロロカ−ボン系エラストマ−、
シンジオタクチック1・2ポリブタジエン系エラストマ
−、塩素化ポリエチレン系エラストマ−、塩化ビニル系
エラストマ−などが挙げられる。ソフトセグメントとし
て、分子量300〜5000のポリエ−テル系グリコ−
ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−ボネ−ト系グ
リコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端をカルボン酸または
水酸基にしたオレフィン系化合物等をハ−ドセグメント
とブロック共重合した熱可塑性弾性樹脂とすることで、
再溶融により再生が可能となるため、リサイクルが容易
となる。例えば、ポリエステル系エラストマ−として
は、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、ポ
リアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリエ
ステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポリ
エステルをソフトセグメントとするポリエステルエステ
ルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−テ
ルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジカルボン
酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニル4・
4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シク
ロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀
酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1・4ブ
タンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチレングリ
コ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−
ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・4シクロ
ヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれ
らのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオ−ル成
分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5
000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリ
コ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキ
シド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレン
ジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される三元ブロ
ック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共
重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均
分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエ
ステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構成される
三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解
性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸とし
てはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・6ジカ
ルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジオ−
ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレ
ングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエス
テルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合
体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系の
ソフトセグメントを導入したものも使うこたができる。
また、上記エラストマ−に非エラストマ−成分をブレン
ドされたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分
をソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾
性樹脂に包含される。ポリアミド系エラストマ−として
は、ハ−ドセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12等及びそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフ
トセグメントには、平均分子量が約300〜5000の
ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、
ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プ
ロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオ−ル
のうち少なくとも1種から構成されるブロック共重合体
を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更に
は、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合
したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エラ
ストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下
に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水
酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと
(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシ
アネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基である
プレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリア
ミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表
例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−
テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、
好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−
ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリ
プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体か
らなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好まし
く、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知の
ポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニ
ルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシ
アネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ
−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミン
としては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミ
ン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のト
リアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポ
リウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合し
て用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融
点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、
160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するの
でより好ましい。なお、熱可塑性弾性樹脂のソフトセグ
メントは熱分解し易いので耐熱性を向上するため、抗酸
化剤を添加するのが好ましい。本発明の熱接着繊維に高
度の難燃性を付与する場合には燐系化合物を含有させる
が、熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るの
で必要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を
向上させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくは
ヒンダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル
系とヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒン
ダ−ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分
解を抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生
を抑えられるので特に好ましい。本発明の目的である振
動や応力の吸収機能をもたせる成分を構成する熱可塑性
弾性樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重
量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、耐熱
耐へたり性からは80重量%以下が好ましく、より好ま
しくは70重量%以下である。しかして、ソフトセグメ
ント量が増加すると繊維の摩擦係数が著しく高くなり開
繊等が困難になるので、摩擦係数からは、好ましくは6
0重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下、
最も好ましくは30重量%以下である。即ち、本発明の
熱接着繊維を構成する熱可塑性弾性樹脂中のソフトセグ
メント含有量は好ましくは15重量%以上60重量%以
下であり、より好ましくは20重量%以上40重量%以
下である。
より高度の難燃性を付与するためには、熱接着繊維に用
いる熱可塑性弾性樹脂は難燃剤を添加するのが好まし
く、添加される難燃剤は、特に燐含有組成物がハロゲン
系組成物よりより好ましい。難燃性を有する熱可塑性弾
性樹脂中に燐含有量(Bppm)がソフトセグメント含
有量(A重量%)に対し、60A+200以上を満足し
ない場合は難燃性が劣り、100000ppmを越える
と可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性弾性
樹脂の耐熱性が劣るので、60A+200≦B≦100
000の関係を満足するのが好ましい。より好ましい燐
含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量
%)に対し、30A+1800≦B≦100000であ
り、更に好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメ
ント含有量(A重量%)に対し、16A+2600≦B
≦50000である。難燃性は多量のハロゲン化物と無
機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、
燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発
生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉
の損傷が大きくなる問題がある。本発明では、ハロゲン
化物の含有量は少なくとも1重量%以下が好ましく、よ
り好ましくは、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以
下、最も好ましくはハロゲン化物を含有しないものであ
る。本発明の好ましい燐系難燃剤としては、例えば、ポ
リエステル系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、
ハ−ドセグメント部分に難燃剤として、例えば特開昭5
1−82392号公報等に記載された10〔2・3・ジ
(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9
・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレ
ンス・10オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグメント
の酸成分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑
性弾性樹脂とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程
で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を付
与することができる。その他、難燃性を付与できる難燃
剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホス
ホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する上
記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘導
される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性弾性樹
脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添
加できる。本発明の熱接着繊維は、好ましくは難燃性を
付与するために燐を含有させており、この理由は、上記
している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシ
アンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスを
できるだけ少なくすることにある。このため、本発明で
の好ましい難燃性熱接着繊維の燃焼ガスの毒性指数は好
ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下であ
る。また、繊維構造体の他の成分にポリエステル繊維を
使用される場合、好ましくはポリエステル系熱可塑性弾
性樹脂とすることで分別せずに再生リサイクルができ
る。同様に、他の成分にナイロン繊維を使用される場合
はナイロン系熱可塑性弾性樹脂、他の成分にオレフィン
繊維を使用される場合はオレフィン系熱可塑性弾性樹
脂、他の成分にウレタン繊維を使用される場合はウレタ
ン系熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサ
イクルができるので好ましい。
性繊維は、伸縮性機能を熱接着繊維以外の目的で使用す
る場合、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線におい
て、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点
以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱耐へたり性が吸
熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例えば、
本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性樹脂として、
ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸
やナフタレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上
含有するもの、より好ましくはテレフタル酸やナフタレ
ン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特に
好ましくは100モル%とグリコ−ル成分をエステル交
換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレ
ンジオ−ルとして、好ましくは平均分子量が500以上
5000以下、特に好ましくは1000以上3000以
下のポリテトラメチレングリコ−ルを15重量%以上7
0重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量
%以下共重合量させた場合、ハ−ドセグメントの酸成分
に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカル
ボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向
上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上
するが、溶融紡糸後一旦冷却し、更に60℃以上、融点
より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理
するとより耐熱抗へたり性が向上する。伸長歪みを付与
してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上
する。このような処理をした網状構造体の線条を示差走
査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温
度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リン
グしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−
クを発現しない。このことから類推するに、アニ−リン
グにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化
様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上している
のではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化
処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミ
ド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効であ
る。
接着性繊維は、マトリックス繊維間の接触部を熱接着成
分を溶融流動させて接着点を形成してクッション材を作
成する目的で使用するので、該熱接着成分は、熱溶融に
より少なくとも大部分のマトリックス繊維の交点で接着
点を形成する必要から、融点又は流動開始温度が100
℃以上220℃以下の熱可塑性弾性樹脂を用いる。10
0℃未満では、繊維構造物の耐熱性が劣るものしか得ら
れないので好ましくない。220℃を越えるとマトリッ
クス繊維の熱劣化を生じる場合があり好ましくない。本
発明の融点又は流動開始温度は、好ましくは120℃以
上200℃以下、より好ましくは130℃以上190℃
以下である。130℃以上のものを用いると、繊維構造
体のドライクリ−ニングでのタンブラ−乾燥も可能にな
り、又、120℃以上130℃未満で20分以上の蒸気
による殺菌処理が可能になるのでより好ましい。加工性
の面からも、熱接着するオ−ブンの温度は130℃以上
200℃以下がコントロ−ルが容易なので安定した繊維
構造体を得ることができる。本発明の好ましい熱接着繊
維を用いて形成したクッション材では、マトリックス繊
維間のネットワ−ク構造が伸縮性の優れた熱可塑性エラ
ストマ−を介し形成されるので、どの様な方向から大き
い力や大変形を与えられても、伸縮性の優れた熱接着点
がマトリックス繊維の接着点の3次元ネットワ−ク形成
部分が容易に変形して、マトリックス繊維は少ししか変
形しなくても、該接着点を介しネットワ−ク構造全体に
伝播して、構造体として力や歪みを吸収できるため、マ
トリックス繊維の受けるダメ−ジを著しく軽減すること
ができ、次いで変形力が解除されると、該熱可塑性エラ
ストマ−のゴム弾性が発現して元の形状に復元するため
耐久性がすぐれ、この挙動が適度の反発力として発現
し、優れたクッション性をしめす。熱接着繊維が熱可塑
性弾性樹脂と熱可塑性非弾性樹脂からなる複合繊維で
は、マトリックス繊維の接着点が少なくなり、かつ、芯
成分となる熱可塑性非弾性樹脂部分が脆くなり、接着点
は比較的伸縮性でも、大きい変形と応力を受けると芯成
分となる熱可塑性非弾性樹脂部分が破壊され三次元ネッ
トワ−ク構造が消失してクッション機能が劣るので好ま
しくない。熱接着成分が熱可塑性非弾性樹脂からなるも
のは、更に接着点も脆くなり、大きい変形で容易に構造
が破壊されるので最も好ましくない。
限定されないが、やや摩擦係数が高い場合、例えば繊維
間の静摩擦係数(μs)が2.5以上では捲縮形態は加
工時立体捲縮が発現しているとカ−ド開繊時開繊が不良
となるので、工程通過性からは捲縮がジグザグの機械捲
縮が好ましい。本発明繊維の捲縮数は3〜20個/25
mm、捲縮度は5%以上である。捲縮数が3個/25mm未
満、捲縮度が5%未満では開繊斑を生じて熱接着繊維が
マトリックス繊維中で分散不良となり繊維構造体中の接
着点をランダムに形成できないので好ましくない。捲縮
数が20個/25mmを越えると開繊時に開繊しにくいの
で伸長歪みを受け易く、伸長された熱接着繊維がウエッ
ブ内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネップを生
じて熱接着繊維がマトリックス繊維中で分散不良となる
ので好ましくない。好ましい捲縮特性は、捲縮数が5個
/25mm以上、捲縮度が6%以上20%以下であり、よ
り好ましくは、捲縮数が8個/25mm以上15個/25
mm、捲縮度が8%以上15%以下である。本発明の熱接
着性繊維は繊維間の静摩擦係数(μs)が1.5以上
2.5以下と高い場合は、カ−ド開繊時の伸長応力が
0.05g/デニ−ルから0.1g/デニ−ルと大きく
なるので、0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸びが6
0%以上を示す場合、伸長された熱接着繊維がウエッブ
内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネップを生じ
て熱接着繊維がマトリックス繊維中で分散不良となるの
で好ましくない。本発明では0.1g/デニ−ルの伸長
応力付与時の伸びが50%以下、好ましくは5〜30%
以下である。ここで、伸長応力付与時の伸びが50%を
越える場合にあってはマトリックスとの構造体とした時
に反発弾性が小さくなるので好ましくない。又5%を下
廻る場合にあってはマトリックスとの構造体とした時に
圧縮回復の対ヘタリ性が大きくなるので好ましくない。
かくして、本発明の要件を満たす熱接着繊維はマトリッ
クス繊維と混合開繊するとマトリックス繊維中に均一に
開繊、分散でき、該開繊ウェッブを所定の温度及び圧縮
率で熱接着処理するとマトリックス繊維間の接点で強固
な接着点をランダムに形成した3次元ネットワ−ク構造
の耐熱耐久性と優れたクッション性を持つ繊維構造体を
得ることができる。なお、強固な接着点を形成させる熱
接着処理は、熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着繊維が溶
融流動できる、融点より少なくとも20℃から50℃高
い温度で熱接着処理するのが好ましい。本発明の熱接着
繊維の繊度は特に限定されないが、繊度が太すぎると、
繊維構造体とするときの構成本数が減少してネットワ−
ク構造が粗くなり力の分散がしにくくなる。他方、マト
リックスの繊維が太い繊度の場合は、熱接着繊維の繊度
が細過ぎると混繊がしにくくなり、均一なネットワ−ク
構造を形成しにくくなる。極端に熱接着繊維の繊度が細
過ぎると開繊も困難となるので通常2〜15デニ−ルの
範囲が良い。断面形状は特に限定されないが、所望に応
じて各種断面形状のものが適用できる。繊維長もカ−ド
開繊やエア−開繊が可能な15mm以上150mm以下なら
特には限定されないが、マトリックスとなる繊維との差
が大きくなると混繊しにくくなるので、混繊が容易な所
定の繊維長、例えば、羊毛では100mmから150mm、
ポリエステル繊維では28mmから64mm、コットンでは
10mmから36mmとするのが好ましい。特別な場合、抄
紙用では5mmから10mmとするのが望ましい。油剤は熱
分解しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリ
ウム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト
塩を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる
油剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。が、
シリコ−ン系やフッ素系の離形効果の著しい油剤は熱接
着繊維に用いる場合、溶融接着しにくくなるので好まし
くない。しかして、熱接着繊維以外の用途では有用であ
る。
と混繊してクッション材、芯地、ブラジャ−カップや恥
部等の衣料用裏張材、パップ剤基布、抄紙材、パッド
材、インソール、おむつやパンツ及びナプキン等の衛生
材料等の繊維集合体にする場合、該熱接着繊維を5重量
%以上80重量%以下を混入してマトリックス繊維との
混合集合体にするのが好ましく、熱接着繊維単独でニー
ドルパンチやエンボス加工、水流交絡等により絡合処理
して上記の各種用途に使用しても良い。クッション材と
して好ましいマトリックス繊維は、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキ
サンジメチルテレフタレート等の高融点高結晶性のポリ
エステル及びポリブチレンテレフタレ−トからなる繊維
があり、接着性も良好であり、優れたクッション性、優
れた耐熱耐久性、着用時蒸れにくい、及びリサイクルが
可能なポリエステル系クッション材となる繊維集合体を
容易に製造することが可能である。なお、本発明の特に
好ましい熱接着繊維を含有する繊維集合体を熱成形前に
任意の密度に圧縮し、加熱処理して接点を融着一体化す
るには、熱接着成分の融点より10℃高く、好ましくは
20℃高く非熱接着成分の融点より少なくとも5℃低い
温度で熱成形して任意の密度や硬さの繊維成形体をえら
れる。次いで一旦冷却固化させた後、熱接着成分の融点
より少なくとも10℃以上低い温度で熱処理すると、好
ましくは10%以上の歪みを付与して熱処理すると、融
着処理のみのものよりクッション性、耐熱耐久性が格段
に向上する。なお、接着成分の酸成分に非晶性となる成
分が多く含まれるほどこの効果は著しく減少する。
着繊維は、融点又は流動開始温度が100℃以上220
℃以下の熱可塑性弾性樹脂を融点又は流動開始温度より
20℃以上80℃未満高い溶融温度で紡糸し、少なくと
も50℃以下に冷却後に収束して、1.0重量%以上の
水系油剤を付与して引取り、機械捲縮を付与する熱接着
繊維の製法である。本発明の繊維構造は100%同一の
熱可塑性弾性樹脂からなる繊維なので、公知の方法で紡
糸し、ついで延伸、巻縮付与して所望の繊維長さに切断
して簡単に得ることが出来るので安価に提供できる。な
お、紡糸の際、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始温
度より少なくとも20℃高い融点温度で溶融紡糸する。
20℃未満では、バラス効果が著しくなり、かつゴム弾
性が発現して紡糸張力が変動し、吐出糸条に太細斑が発
生して正常な紡糸が困難となる。他方、100℃以上融
点より高い紡糸温度ではソフトセグメントの熱分解が著
しくなり、熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性が著しく低下す
るので好ましくない。好ましい紡糸温度は融点より少な
くとも30℃以上80℃未満高い温度、より好ましくは
40℃〜60℃融点より高い温度で、溶融粘度が500
ポイズ以上5000ポイズ以下で溶融紡糸するのが最も
好ましい。本発明の熱接着繊維は融点又は流動開始温度
が100℃以上220℃以下の熱可塑性弾性樹脂を用い
るので、紡出後、冷却して糸温度を少なくとも50℃以
下に冷却後に収束する。糸温度が60℃以上で収束する
と繊維同志が融着し、延伸時の延伸斑や糸切れになり品
位の劣悪な繊維となるので好ましくない。次いで、本発
明では1.0重量%以上の水系油剤を付与して引取る。
本発明では、油剤濃度を5重量%以下の水でエマルジョ
ン化した油剤を水系油剤と言う。油剤が少ないと糸の冷
却が不十分な場合は融着する場合があるので、1重量%
以上付与して水で更に冷却させる。本発明の好ましい付
与量は2重量%以上5重量%以下である。油剤は熱分解
しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリウ
ム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト塩
を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる油
剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。が、シ
リコ−ン系やフッ素系の離形効果の著しい油剤は熱接着
繊維に用いる場合、溶融接着しにくくなるので好ましく
ない。引取速度が4000m/分以上の高速紡糸では、
次いで捲縮を付与することができる。低速紡糸で未だ伸
度が高い未延伸糸は、0.1g/デニ−ルの伸長応力付
与時の伸びを50%以下とするため延伸後に捲縮を付与
する。延伸条件は、延伸温度を温浴70℃以下で破断延
伸倍率の約0.8〜0.9倍で延伸し、収縮率を抑える
場合は、次いで融点より少なくとも30℃低い温度で定
長又は弛緩熱処理して機械巻縮を付与し、機械巻縮が伸
びないように低張力でカッタ−に供給切断して得ること
ができる。本発明の熱接着繊維をその伸縮性を利用する
場合は、前記の疑似結晶化処理をして伸長回復性をより
高めることが望ましい。疑似結晶化処理は、延伸時に延
伸張力を1g/デニ−ル以上掛けた状態で60℃以上融
点より少なくとも10℃は低い温度でアニ−リング処理
するのが好ましい。アニ−リング処理時間は1分以上3
0分未満である。アニ−リング温度は好ましくは80℃
以上融点より50℃低い温度で処理する。50℃未満の
温度では疑似結晶化効果が得にくいので好ましくない。
なお、疑似結晶化は紡糸後一旦冷却した後製品化するま
での任意の段階でできる。変形歪みを付与しない状態で
の処理でも相当著しい効果があり、パ−ンに巻き取った
繊維を熱処理する方法や、切断繊維をセッタ−で熱処理
しても効果があり、加工品化した段階での処理でも効果
は大きい。
る。
又は流動開始温度、摩擦係数、0.1g/デニールの伸
長応力付与時の伸びは下記の方法により測定した。 融点 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、溶融
による吸熱ピーク(Tm)を測定し、融点とする。融点
が出ないものは、配向させた試料を昇温速度10℃/分
で加熱し、偏向顕微鏡で配向の状態を観察し、配向が消
失した温度を流動開始温度とする。 捲縮度及び捲縮数 JIS−L−1015の方法で求めた捲縮数および捲縮
度である。 摩擦係数 JIS−L−1074の方法にる、糸の静摩擦係数を言
う。 0.1g/デニールの伸長応力付与時の伸び 熱接着繊維を取り出し、比重と断面写真から断面積を求
めてデニールに換算し、初荷重をきめる。JIS−L−
1063の方法により測定したSS曲線から、0.1g
/デニールの伸長応力が掛かった時の伸長を測定し、
0.1g/デニールの伸長応力付与時の伸びとする。
及びジメチルイソフタレ−ト(DMI)またはナフタレ
ン2・6ジカルボン酸(DMN)とグリコ−ル成分とし
て1・4・ブタンジオ−ル(BD)、ネオペンチルグリ
コ−ル(NPG)、エチレングリコ−ル(EG)および
ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を少量の触
媒と安定剤とともに仕込み、公知の方法でエステル交換
反応後昇温減圧しつつ重縮合してポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を生成した。該ポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を加熱真空乾燥し、抗酸化剤として1
・3・5・トリメチル・2・4・6・トリス(3・5・
ジ・t・ブチル・4・ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(TTtBHB)を2軸押出機にてソフトセグメント当
たり1重量%溶融練込みしたものをペレット化し、加熱
不活性ガスにて水分を充分除去し得られた熱可塑性樹脂
の処方および特性を表1に示す。
を単成分で常法により単孔吐出量2g/分にてφ0.3
mmのオリフィスより吐出し、糸温度が40℃以下の点で
収束し、濃度4%のラウリルフォスフェ−トカリウム水
溶液をピックアップで5%付与し、1300m/分で紡
糸した。得られた未延伸糸を次いで、50℃温浴で破断
延伸倍率の0.85倍で延伸し、連続して乾熱90℃で
定張熱処理し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて
機械捲縮を付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−
に供給し51mmに切断して得られた3デニ−ルから5デ
ニ−ルの熱接着繊維の特性を表2に示す。なお、A−6
の未延伸糸は脆くて延伸が困難であったので特性は測定
していない。0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸び
は、単繊維の100%伸長速度での歪み/荷重曲線から
求めた。
掛けた場合(B−7)と殆ど捲縮を掛けなかった場合
(B−8)の熱接着繊維の特性を表2に示す。又、B−
3の未延伸糸を延伸倍率を1.05として次いで弛緩熱
処理しなかった場合を(B−9)表2に示す。
エチレンテレフタレ−ト(PET)を芯成分にし、鞘/
芯の重量比を50/50で常法により紡糸温度を280
℃にて紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、50℃温浴で
3.4倍に延伸し、連続して乾熱90℃で定張熱処理
し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を
付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し5
1mmに切断して4デニ−ルの熱接着繊維(B−10及び
B−11)を作成した。得られた繊維の特性を表2に示
す。
重量%と常法にて作成した13デニ−ルの中空で外側に
3個の突起を有する断面で立体捲縮を有するPET短繊
維を70重量%とをカ−ドにて混繊−開繊して得たウエ
ッブを密度0.03g/cm3となるように圧縮し、15
0〜240℃の熱風を強制貫通させて5分間熱処理し、
次いで、一旦冷却し、一部は更に密度が0.04g/cm
3 となるように圧縮し、100℃で30分再熱処理し
て、平板状のクッション材を得た。得られたクッション
材の作成状況と特性を表3に示す。なお、70℃の圧縮
残留歪み、常温での繰返し圧縮残留歪み、及び反発弾性
はJIS−K−6401の方法による。カ−ドの開繊状
態は、カ−ドウェッブ中の熱接着繊維の開繊度と分散度
の状態で、非常に良好:◎、良好:○、やや不良:△、
不良:×で総合判断した。
熱耐久性に優れ、常温での耐久性にも優れ、クッション
材の性能も優れたものを得ることができる。比較例1は
熱接着繊維の摩擦係数が高く開繊状態が不良な例であ
る。比較例2は融点の高い熱接着繊維のため、高温での
熱接着が必要なため、PET短繊維の熱劣化を伴い耐熱
耐久性やクッション性が劣るものができる。比較例3は
融点(流動開始温度)が低く、耐熱耐久性の劣るクッシ
ョン材となる。比較例5及び比較例6は捲縮が不適切な
もので、開繊状態が悪くなり、クッション性能が低下す
るものである。比較例7は低応力での伸びが著しいた
め、カ−ド開繊時引きつりが生じ斑が著しいためクッシ
ョン性能が充分発現しない例である。比較例8は熱接着
成分が非弾性樹脂のため、接着点が脆く耐久性が著しく
劣る例である。比較例9は非弾性樹脂を芯成分にもつた
め、固くなるが、熱接着点が弾性樹脂にもかかわらず芯
成分の耐久性がおとり、クッション性能が劣る例であ
る。なお、参考のため、実施例1及び比較例8につい
て、30℃室内にてパネラ−10人に1時間座らせて、
床つき感、座り心地、蒸れ感を評価させた結果、実施例
1は、床つき感が無く、座り心地も良好で蒸れ感の少な
い快適なクッション材であったが、比較例8は臀部や大
腿部が痛くなり座り心地の悪いものであった。
線温度計で測定した糸温度が70℃の点で収束したとこ
ろ、未延伸糸が融着し、延伸時糸切れが著しく、延伸を
断念した。
45°アルコ−ルランプ法で難燃性の評価を行った結果
は全て合格した。比較にポリウレタンを評価した結果は
不合格であった。本発明の熱接着繊維を用いたクッショ
ン材は安全性も高いことが判る。
℃にて破断延伸倍率の0.85倍に延伸し、2段目を1
10℃の熱風オーブン中で1.2倍にて10分伸長熱処
理して得た延伸糸を合糸し、捲縮を付与後切断して示差
走査型熱量計にて測定した融解曲線の120℃付近に吸
熱ピ−クを示す、繊度4デニ−ル、捲縮数11個/25
mm、捲縮度13%、伸長応力0.1g/デニ−ル時の伸
びが12%の短繊維を得た。この短繊維をカ−ド開繊し
て目付50g/m2 のウェッブに積層し、10本/cm2
のニ−ドルパンチを打ち、50℃でエンボス加工して不
織布を得た。不織布の70℃雰囲気中での50%伸長歪
み付与22時間後の回復率は縦方向54%、横方向68
%であった。比較の為、2段目の延伸をしないで同様に
作成した不織布の70℃雰囲気中での50%伸長歪み付
与22時間後の回復率は縦方向29%、横方向38%で
あった。疑似結晶化効果は明らかである。
は、他繊維をマトリックスに用いてクッション材などに
熱接着成形した場合、マトリックス繊維間を耐熱耐久性
を持つ伸縮性の優れた熱接着点を形成し、得られた繊維
構造体は極めて優れたクッション性、常温および加熱下
での耐久性を持つ安全性の高いクッション材を提供でき
る。なお、透湿透水性も保持できるので蒸れの少ない快
適な座席を提供できる。本発明のエラストマ−系熱接着
繊維を用いて得られるクッション材の用途としては、車
両用、船舶用、家具、ベッド用に適するが、特には自動
車、電車用に適する。他の用途としては、伸縮性を生か
した不織布用途、例えば衛材基布、肩パッドやカップ、
合成皮革基布や立毛布帛類用基布、通気性良好で接着で
きるワディング層や内装材、70℃を越えない範囲の断
熱材や衝撃吸収材、更には紡績して伸縮性の編織物等々
に広く適用できる。
Claims (5)
- 【請求項1】 融点又は流動開始温度が100〜220
℃の熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維であり、繊
維の摩擦係数が2.5以下、捲縮度が5%以上、捲縮数
が3〜20個/25mm、0.1g/デニ−ルの伸長応力
付与時の伸びが50%以下であることを特徴とする熱接
着性繊維。 - 【請求項2】 繊維の捲縮形態が機械捲縮である請求項
1記載の熱接着性繊維。 - 【請求項3】 繊維の示差走査型熱量計にて測定した融
解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有する請求項
1記載の熱接着性繊維。 - 【請求項4】 融点又は流動開始温度が100〜220
℃の熱可塑性弾性樹脂を前記融点又は流動開始温度より
20〜80℃高い温度で溶融紡糸し、紡出糸条を50℃
以下に冷却した後、収束し、1.0重量%以上の水系油
剤を付与して引き取り、機械捲縮を付与することを特徴
とする熱接着性繊維の製法。 - 【請求項5】 溶融紡糸し、紡出糸条を一旦冷却した
後、60〜(融点−10)℃の温度でアニ−リング処理
する請求項4記載の熱接着性繊維の製法である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7162374A JPH0913219A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 熱接着性繊維及びその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7162374A JPH0913219A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 熱接着性繊維及びその製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0913219A true JPH0913219A (ja) | 1997-01-14 |
Family
ID=15753366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7162374A Pending JPH0913219A (ja) | 1995-06-28 | 1995-06-28 | 熱接着性繊維及びその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0913219A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003129356A (ja) * | 2001-10-23 | 2003-05-08 | Toyobo Co Ltd | 伸縮性起毛布帛及びその製造方法 |
JP2007182640A (ja) * | 2006-01-05 | 2007-07-19 | Kao Corp | 伸縮性不織布 |
JP2008163482A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Teijin Fibers Ltd | 不織布およびシート |
-
1995
- 1995-06-28 JP JP7162374A patent/JPH0913219A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003129356A (ja) * | 2001-10-23 | 2003-05-08 | Toyobo Co Ltd | 伸縮性起毛布帛及びその製造方法 |
JP2007182640A (ja) * | 2006-01-05 | 2007-07-19 | Kao Corp | 伸縮性不織布 |
JP2008163482A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | Teijin Fibers Ltd | 不織布およびシート |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060313 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060518 |