JPH0913219A - 熱接着性繊維及びその製法 - Google Patents

熱接着性繊維及びその製法

Info

Publication number
JPH0913219A
JPH0913219A JP7162374A JP16237495A JPH0913219A JP H0913219 A JPH0913219 A JP H0913219A JP 7162374 A JP7162374 A JP 7162374A JP 16237495 A JP16237495 A JP 16237495A JP H0913219 A JPH0913219 A JP H0913219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
heat
melting point
temperature
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7162374A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Isoda
英夫 磯田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP7162374A priority Critical patent/JPH0913219A/ja
Publication of JPH0913219A publication Critical patent/JPH0913219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたクッション性、常温および加熱下での
優れた耐久性を持つ安全性が高く、蒸れ難く座り心地の
良いクッション材を容易に製造できる熱接着繊維を提供
する。 【構成】融点又は流動開始温度が100〜220℃の熱
可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維であり、摩擦係数
が2.5以下、捲縮度が5%以上、捲縮数が3個/25
mm以上20個/25mm以下、0.1g/デニ−ルの伸長
応力付与時の伸びが50%以下である熱接着性繊維とそ
の製法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエラストマ−系熱接着繊
維と製法に関するものであり、特に繊維よりなるクッシ
ョン材を熱成形して得られたクッション材は優れたクッ
ション性、常温および加熱下での耐久性とが得られるエ
ラストマ−系熱接着繊維および製法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、家具およびベッドなどのクッショ
ン材の分野で、発砲ウレタン、ポリエステル繊維詰綿、
及びポリエステル繊維を接着した樹脂綿やポリエステル
硬綿が知られている。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンはクッション
としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿性
に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼時の発
生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物添加が
必要なため、火災時に有毒ガスの発生による中毒の問題
やリサイクルが困難なため焼却されるが、焼却炉の損傷
が大きく、かつ、有毒ガスの除去に経費が掛かる等の問
題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される
薬品の公害問題などもある。蒸れの改良法として特開昭
63−77482号公報等が提案されているが不充分な
ものである。また、ポリエステル繊維詰綿では繊維間が
固定されていないため、使用時形態が崩れたり、繊維が
移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性の低下や弾力性
の低下が問題になる。
【0004】ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】ポリエステル硬綿、例えば特開昭58−3
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維を改良方法として特開平4−240219号
公報で提案されている。この繊維に使われるポリエステ
ルエラストマ−はハ−ドセグメントの酸成分にテレフタ
ル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとし
てのポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重
量%に限定し、他の酸成分組成として、例えば、特公昭
60−1404号公報に記載された繊維と同様にイソフ
タル酸等を含有させ非晶性を増すことにより融点を18
0℃以下として、熱接着成形温度を低く押さえ、低分子
量化により低溶融粘度として流動性を良くし、熱接着部
点の形成を良くすることが提案されているが、このよう
な組成では、元々加熱下では塑性変形しやすい組成のう
え、熱成形によりポリエステルエラストマ−が流動し
て、熱接着繊維の表面に止まらず脆い非弾性成分のみが
繊維構造体のマトリックス繊維と接合点間を繋いでお
り、大きい力や変形で容易に接合間を繋ぐ脆い非弾性成
分からなる繊維が破壊され、繊維構造体のクッション性
や耐久性が失われる問題がある。更には、熱接着繊維の
摩擦係数が大きくなり、混合開繊時に混繊しにくい問題
がある。また、製法からは、高融点の非弾性樹脂と低融
点のポリエステルエラストマ−を複合紡糸するために高
い紡糸温度で溶融接合するので、熱接着成分である低融
点のポリエステルエラストマ−が著しい熱劣化を生じて
低分子量化し、エラストマ−の回復性を低下させる問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を改良し、優れたクッション性、優れた耐熱
耐久性を有するクッション材を容易に製造するに適した
エラストマ−系熱接着繊維を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち、本発明は、融点又は流動開始温度が10
0〜220℃の熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維
であり、繊維の摩擦係数が2.5以下、捲縮度が5%以
上、捲縮数が3〜20個/25mm、0.1g/デニ−ル
の伸長応力付与時の伸びが50%以下であることを特徴
とする熱接着性繊維である。更には、繊維の捲縮形態が
機械捲縮である熱接着性繊維であり、熱可塑性弾性樹脂
の融点又は流動開始温度が110〜200℃である熱接
着性繊維であり、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始
温度が130〜190℃である熱接着性繊維であり、捲
縮度が6〜20%であり、捲縮数が15個/25mm以下
であり、更には捲縮度が8〜15%の熱接着性繊維であ
り、捲縮数が8〜15個/25mmの熱接着性繊維であ
り、0.1g/デニ−ルの伸長応力付与時の伸びが5〜
30%である熱接着繊維であり、繊維の示差走査型熱量
計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピ−
クを有する熱接着性繊維であり、融点又は流動開始温度
が100〜220℃の熱可塑性弾性樹脂を前記融点又は
流動開始温度より20〜80℃高い温度で溶融紡糸し、
少なくとも50℃以下に冷却した後、収束し、1.0重
量%以上の水系油剤を付与して引き取り、機械捲縮を付
与する熱接着性繊維の製法であり、熱可塑性弾性樹脂を
溶融粘度が500ポイズ以上5000ポイズ以下となる
紡糸温度で紡糸する熱接着性繊維の製法であり、溶融紡
糸し、紡出糸条を一旦冷却した後、60〜(融点−1
0)℃の温度でアニ−リング処理する熱接着性繊維の製
法である。
【0008】本発明における熱可塑性弾性樹脂とは、ソ
フトセグメントとハ−ドセグメントのブロック共重合体
(架橋点を持つものも含む)で、ゴム弾性を有する熱可
塑性樹脂であり、例えば、ポリエステル系エラストマ
−、ポリアミド系エラストマ−、ポリウレタン系エラス
トマ−、ポリオレフィン系エラストマ−、ポリスチレン
系エラストマ−、ポリフロロカ−ボン系エラストマ−、
シンジオタクチック1・2ポリブタジエン系エラストマ
−、塩素化ポリエチレン系エラストマ−、塩化ビニル系
エラストマ−などが挙げられる。ソフトセグメントとし
て、分子量300〜5000のポリエ−テル系グリコ−
ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−ボネ−ト系グ
リコ−ルまたは長鎖の炭化水素末端をカルボン酸または
水酸基にしたオレフィン系化合物等をハ−ドセグメント
とブロック共重合した熱可塑性弾性樹脂とすることで、
再溶融により再生が可能となるため、リサイクルが容易
となる。例えば、ポリエステル系エラストマ−として
は、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメントとし、ポ
リアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとするポリエ
ステルエ−テルブロック共重合体、または、脂肪族ポリ
エステルをソフトセグメントとするポリエステルエステ
ルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエ−テ
ルブロック共重合体のより具体的な事例としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジカルボン
酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニル4・
4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シク
ロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀
酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などか
ら選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1・4ブ
タンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチレングリ
コ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメチレング
リコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−
ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・4シクロ
ヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれ
らのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオ−ル成
分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5
000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリ
コ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキ
シド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレン
ジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される三元ブロ
ック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共
重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル及び平均
分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエ
ステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構成される
三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解
性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸とし
てはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・6ジカ
ルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジオ−
ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメチレ
ングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリエス
テルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共重合
体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系の
ソフトセグメントを導入したものも使うこたができる。
また、上記エラストマ−に非エラストマ−成分をブレン
ドされたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分
をソフトセグメントにしたもの等も本発明の熱可塑性弾
性樹脂に包含される。ポリアミド系エラストマ−として
は、ハ−ドセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロ
ン12等及びそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフ
トセグメントには、平均分子量が約300〜5000の
ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、
ポリテトラメチレングリコ−ル、エチレンオキシド−プ
ロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオ−ル
のうち少なくとも1種から構成されるブロック共重合体
を単独または2種類以上混合して用いてもよい。更に
は、非エラストマ−成分をブレンドされたもの、共重合
したもの等も本発明に使用できる。ポリウレタン系エラ
ストマ−としては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下
に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水
酸基を有するポリエ−テル及び又はポリエステルと
(B)有機ジイソシアネ−トを主成分とするポリイソシ
アネ−トを反応させた両末端がイソシアネ−ト基である
プレポリマ−に、(C)ジアミンを主成分とするポリア
ミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマ−を代表
例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエ−
テル類としては、平均分子量が約1000〜6000、
好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペ−
ト共重合ポリエステルやポリエチレングリコ−ル、ポリ
プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−
ル、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体か
らなるグリコ−ル等のポリアルキレンジオ−ルが好まし
く、(B)のポリイソシアネ−トとしては、従来公知の
ポリイソシアネ−トを用いることができるが、ジフェニ
ルメタン4・4’ジイソシアネ−トを主体としたイソシ
アネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネ
−ト等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミン
としては、エチレンジアミン、1・2プロピレンジアミ
ン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のト
リアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポ
リウレタン系エラストマ−は単独又は2種類以上混合し
て用いてもよい。なお、本発明の熱可塑性弾性樹脂の融
点は耐熱耐久性が保持できる140℃以上が好ましく、
160℃以上のものを用いると耐熱耐久性が向上するの
でより好ましい。なお、熱可塑性弾性樹脂のソフトセグ
メントは熱分解し易いので耐熱性を向上するため、抗酸
化剤を添加するのが好ましい。本発明の熱接着繊維に高
度の難燃性を付与する場合には燐系化合物を含有させる
が、熱安定性が難燃剤を含有しないものよりやや劣るの
で必要に応じ、抗酸化剤等を添加して耐熱性や耐久性を
向上させるのが特に好ましい。抗酸化剤は、好ましくは
ヒンダ−ド系抗酸化剤としては、ヒンダ−ドフェノ−ル
系とヒンダ−ドアミン系があり、窒素を含有しないヒン
ダ−ドフェノ−ル系抗酸化剤を1%〜5%添加して熱分
解を抑制すると燃焼時の致死量が少ない有毒ガスの発生
を抑えられるので特に好ましい。本発明の目的である振
動や応力の吸収機能をもたせる成分を構成する熱可塑性
弾性樹脂のソフトセグメント含有量は好ましくは15重
量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、耐熱
耐へたり性からは80重量%以下が好ましく、より好ま
しくは70重量%以下である。しかして、ソフトセグメ
ント量が増加すると繊維の摩擦係数が著しく高くなり開
繊等が困難になるので、摩擦係数からは、好ましくは6
0重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下、
最も好ましくは30重量%以下である。即ち、本発明の
熱接着繊維を構成する熱可塑性弾性樹脂中のソフトセグ
メント含有量は好ましくは15重量%以上60重量%以
下であり、より好ましくは20重量%以上40重量%以
下である。
【0009】本発明の熱接着繊維を用いた繊維構造物に
より高度の難燃性を付与するためには、熱接着繊維に用
いる熱可塑性弾性樹脂は難燃剤を添加するのが好まし
く、添加される難燃剤は、特に燐含有組成物がハロゲン
系組成物よりより好ましい。難燃性を有する熱可塑性弾
性樹脂中に燐含有量(Bppm)がソフトセグメント含
有量(A重量%)に対し、60A+200以上を満足し
ない場合は難燃性が劣り、100000ppmを越える
と可塑化効果による塑性変形が大きくなり熱可塑性弾性
樹脂の耐熱性が劣るので、60A+200≦B≦100
000の関係を満足するのが好ましい。より好ましい燐
含有量(Bppm)はソフトセグメント含有量(A重量
%)に対し、30A+1800≦B≦100000であ
り、更に好ましい燐含有量(Bppm)はソフトセグメ
ント含有量(A重量%)に対し、16A+2600≦B
≦50000である。難燃性は多量のハロゲン化物と無
機物を添加して高度の難燃性を付与する方法があるが、
燃焼時に致死量の少ない有毒なハロゲンガスを多量に発
生し、火災時の中毒の問題があり、焼却時には、焼却炉
の損傷が大きくなる問題がある。本発明では、ハロゲン
化物の含有量は少なくとも1重量%以下が好ましく、よ
り好ましくは、ハロゲン化物の含有量は0.5重量%以
下、最も好ましくはハロゲン化物を含有しないものであ
る。本発明の好ましい燐系難燃剤としては、例えば、ポ
リエステル系熱可塑性弾性樹脂の場合、樹脂重合時に、
ハ−ドセグメント部分に難燃剤として、例えば特開昭5
1−82392号公報等に記載された10〔2・3・ジ
(2・ヒドロキシエトキシ)−カルボニルプロピル〕9
・10・ジヒドロ・9・オキサ・10ホスファフェナレ
ンス・10オキシロ等のカルボン酸をハ−ドセグメント
の酸成分の一部として共重合したポリエステル系熱可塑
性弾性樹脂とする方法や、熱可塑性弾性樹脂に後工程
で、例えば、トリス(2・4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フスファイト等の燐系化合物を添加して難燃性を付
与することができる。その他、難燃性を付与できる難燃
剤としては、各種燐酸エステル、亜燐酸エステル、ホス
ホン酸エステル(必要に応じハロゲン元素を含有する上
記燐酸エステル類)、もしくはこれら燐化合物から誘導
される重合物が例示できる。本発明は、熱可塑性弾性樹
脂中に各種改質剤、添加剤、着色剤等を必要に応じて添
加できる。本発明の熱接着繊維は、好ましくは難燃性を
付与するために燐を含有させており、この理由は、上記
している如く、安全性の観点から、火災時に発生するシ
アンガス、ハロゲンガス等の致死量の少ない有毒ガスを
できるだけ少なくすることにある。このため、本発明で
の好ましい難燃性熱接着繊維の燃焼ガスの毒性指数は好
ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下であ
る。また、繊維構造体の他の成分にポリエステル繊維を
使用される場合、好ましくはポリエステル系熱可塑性弾
性樹脂とすることで分別せずに再生リサイクルができ
る。同様に、他の成分にナイロン繊維を使用される場合
はナイロン系熱可塑性弾性樹脂、他の成分にオレフィン
繊維を使用される場合はオレフィン系熱可塑性弾性樹
脂、他の成分にウレタン繊維を使用される場合はウレタ
ン系熱可塑性弾性樹脂とすることで分別せずに再生リサ
イクルができるので好ましい。
【0010】本発明の熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着
性繊維は、伸縮性機能を熱接着繊維以外の目的で使用す
る場合、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線におい
て、融点以下に吸熱ピ−クを有するのが好ましい。融点
以下に吸熱ピ−クを有するものは、耐熱耐へたり性が吸
熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例えば、
本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性樹脂として、
ハ−ドセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸
やナフタレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上
含有するもの、より好ましくはテレフタル酸やナフタレ
ン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特に
好ましくは100モル%とグリコ−ル成分をエステル交
換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレ
ンジオ−ルとして、好ましくは平均分子量が500以上
5000以下、特に好ましくは1000以上3000以
下のポリテトラメチレングリコ−ルを15重量%以上7
0重量%以下、より好ましくは30重量%以上60重量
%以下共重合量させた場合、ハ−ドセグメントの酸成分
に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2・6ジカル
ボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向
上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上
するが、溶融紡糸後一旦冷却し、更に60℃以上、融点
より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理
するとより耐熱抗へたり性が向上する。伸長歪みを付与
してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上
する。このような処理をした網状構造体の線条を示差走
査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温
度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リン
グしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−
クを発現しない。このことから類推するに、アニ−リン
グにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化
様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上している
のではないかとも考えられる。(この処理を疑似結晶化
処理と定義する)この疑似結晶化処理効果は、ポリアミ
ド系弾性樹脂やポリウレタン系弾性樹脂にも有効であ
る。
【0011】本発明の熱可塑性エラストマ−からなる熱
接着性繊維は、マトリックス繊維間の接触部を熱接着成
分を溶融流動させて接着点を形成してクッション材を作
成する目的で使用するので、該熱接着成分は、熱溶融に
より少なくとも大部分のマトリックス繊維の交点で接着
点を形成する必要から、融点又は流動開始温度が100
℃以上220℃以下の熱可塑性弾性樹脂を用いる。10
0℃未満では、繊維構造物の耐熱性が劣るものしか得ら
れないので好ましくない。220℃を越えるとマトリッ
クス繊維の熱劣化を生じる場合があり好ましくない。本
発明の融点又は流動開始温度は、好ましくは120℃以
上200℃以下、より好ましくは130℃以上190℃
以下である。130℃以上のものを用いると、繊維構造
体のドライクリ−ニングでのタンブラ−乾燥も可能にな
り、又、120℃以上130℃未満で20分以上の蒸気
による殺菌処理が可能になるのでより好ましい。加工性
の面からも、熱接着するオ−ブンの温度は130℃以上
200℃以下がコントロ−ルが容易なので安定した繊維
構造体を得ることができる。本発明の好ましい熱接着繊
維を用いて形成したクッション材では、マトリックス繊
維間のネットワ−ク構造が伸縮性の優れた熱可塑性エラ
ストマ−を介し形成されるので、どの様な方向から大き
い力や大変形を与えられても、伸縮性の優れた熱接着点
がマトリックス繊維の接着点の3次元ネットワ−ク形成
部分が容易に変形して、マトリックス繊維は少ししか変
形しなくても、該接着点を介しネットワ−ク構造全体に
伝播して、構造体として力や歪みを吸収できるため、マ
トリックス繊維の受けるダメ−ジを著しく軽減すること
ができ、次いで変形力が解除されると、該熱可塑性エラ
ストマ−のゴム弾性が発現して元の形状に復元するため
耐久性がすぐれ、この挙動が適度の反発力として発現
し、優れたクッション性をしめす。熱接着繊維が熱可塑
性弾性樹脂と熱可塑性非弾性樹脂からなる複合繊維で
は、マトリックス繊維の接着点が少なくなり、かつ、芯
成分となる熱可塑性非弾性樹脂部分が脆くなり、接着点
は比較的伸縮性でも、大きい変形と応力を受けると芯成
分となる熱可塑性非弾性樹脂部分が破壊され三次元ネッ
トワ−ク構造が消失してクッション機能が劣るので好ま
しくない。熱接着成分が熱可塑性非弾性樹脂からなるも
のは、更に接着点も脆くなり、大きい変形で容易に構造
が破壊されるので最も好ましくない。
【0012】本発明の熱接着性繊維の捲縮形態は特には
限定されないが、やや摩擦係数が高い場合、例えば繊維
間の静摩擦係数(μs)が2.5以上では捲縮形態は加
工時立体捲縮が発現しているとカ−ド開繊時開繊が不良
となるので、工程通過性からは捲縮がジグザグの機械捲
縮が好ましい。本発明繊維の捲縮数は3〜20個/25
mm、捲縮度は5%以上である。捲縮数が3個/25mm未
満、捲縮度が5%未満では開繊斑を生じて熱接着繊維が
マトリックス繊維中で分散不良となり繊維構造体中の接
着点をランダムに形成できないので好ましくない。捲縮
数が20個/25mmを越えると開繊時に開繊しにくいの
で伸長歪みを受け易く、伸長された熱接着繊維がウエッ
ブ内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネップを生
じて熱接着繊維がマトリックス繊維中で分散不良となる
ので好ましくない。好ましい捲縮特性は、捲縮数が5個
/25mm以上、捲縮度が6%以上20%以下であり、よ
り好ましくは、捲縮数が8個/25mm以上15個/25
mm、捲縮度が8%以上15%以下である。本発明の熱接
着性繊維は繊維間の静摩擦係数(μs)が1.5以上
2.5以下と高い場合は、カ−ド開繊時の伸長応力が
0.05g/デニ−ルから0.1g/デニ−ルと大きく
なるので、0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸びが6
0%以上を示す場合、伸長された熱接着繊維がウエッブ
内でゴム弾性が発現して縮みウェッブ斑やネップを生じ
て熱接着繊維がマトリックス繊維中で分散不良となるの
で好ましくない。本発明では0.1g/デニ−ルの伸長
応力付与時の伸びが50%以下、好ましくは5〜30%
以下である。ここで、伸長応力付与時の伸びが50%を
越える場合にあってはマトリックスとの構造体とした時
に反発弾性が小さくなるので好ましくない。又5%を下
廻る場合にあってはマトリックスとの構造体とした時に
圧縮回復の対ヘタリ性が大きくなるので好ましくない。
かくして、本発明の要件を満たす熱接着繊維はマトリッ
クス繊維と混合開繊するとマトリックス繊維中に均一に
開繊、分散でき、該開繊ウェッブを所定の温度及び圧縮
率で熱接着処理するとマトリックス繊維間の接点で強固
な接着点をランダムに形成した3次元ネットワ−ク構造
の耐熱耐久性と優れたクッション性を持つ繊維構造体を
得ることができる。なお、強固な接着点を形成させる熱
接着処理は、熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着繊維が溶
融流動できる、融点より少なくとも20℃から50℃高
い温度で熱接着処理するのが好ましい。本発明の熱接着
繊維の繊度は特に限定されないが、繊度が太すぎると、
繊維構造体とするときの構成本数が減少してネットワ−
ク構造が粗くなり力の分散がしにくくなる。他方、マト
リックスの繊維が太い繊度の場合は、熱接着繊維の繊度
が細過ぎると混繊がしにくくなり、均一なネットワ−ク
構造を形成しにくくなる。極端に熱接着繊維の繊度が細
過ぎると開繊も困難となるので通常2〜15デニ−ルの
範囲が良い。断面形状は特に限定されないが、所望に応
じて各種断面形状のものが適用できる。繊維長もカ−ド
開繊やエア−開繊が可能な15mm以上150mm以下なら
特には限定されないが、マトリックスとなる繊維との差
が大きくなると混繊しにくくなるので、混繊が容易な所
定の繊維長、例えば、羊毛では100mmから150mm、
ポリエステル繊維では28mmから64mm、コットンでは
10mmから36mmとするのが好ましい。特別な場合、抄
紙用では5mmから10mmとするのが望ましい。油剤は熱
分解しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリ
ウム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト
塩を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる
油剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。が、
シリコ−ン系やフッ素系の離形効果の著しい油剤は熱接
着繊維に用いる場合、溶融接着しにくくなるので好まし
くない。しかして、熱接着繊維以外の用途では有用であ
る。
【0013】本発明の熱接着繊維は、マトリックス繊維
と混繊してクッション材、芯地、ブラジャ−カップや恥
部等の衣料用裏張材、パップ剤基布、抄紙材、パッド
材、インソール、おむつやパンツ及びナプキン等の衛生
材料等の繊維集合体にする場合、該熱接着繊維を5重量
%以上80重量%以下を混入してマトリックス繊維との
混合集合体にするのが好ましく、熱接着繊維単独でニー
ドルパンチやエンボス加工、水流交絡等により絡合処理
して上記の各種用途に使用しても良い。クッション材と
して好ましいマトリックス繊維は、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキ
サンジメチルテレフタレート等の高融点高結晶性のポリ
エステル及びポリブチレンテレフタレ−トからなる繊維
があり、接着性も良好であり、優れたクッション性、優
れた耐熱耐久性、着用時蒸れにくい、及びリサイクルが
可能なポリエステル系クッション材となる繊維集合体を
容易に製造することが可能である。なお、本発明の特に
好ましい熱接着繊維を含有する繊維集合体を熱成形前に
任意の密度に圧縮し、加熱処理して接点を融着一体化す
るには、熱接着成分の融点より10℃高く、好ましくは
20℃高く非熱接着成分の融点より少なくとも5℃低い
温度で熱成形して任意の密度や硬さの繊維成形体をえら
れる。次いで一旦冷却固化させた後、熱接着成分の融点
より少なくとも10℃以上低い温度で熱処理すると、好
ましくは10%以上の歪みを付与して熱処理すると、融
着処理のみのものよりクッション性、耐熱耐久性が格段
に向上する。なお、接着成分の酸成分に非晶性となる成
分が多く含まれるほどこの効果は著しく減少する。
【0014】次に本発明の製法を述べる。本発明の熱接
着繊維は、融点又は流動開始温度が100℃以上220
℃以下の熱可塑性弾性樹脂を融点又は流動開始温度より
20℃以上80℃未満高い溶融温度で紡糸し、少なくと
も50℃以下に冷却後に収束して、1.0重量%以上の
水系油剤を付与して引取り、機械捲縮を付与する熱接着
繊維の製法である。本発明の繊維構造は100%同一の
熱可塑性弾性樹脂からなる繊維なので、公知の方法で紡
糸し、ついで延伸、巻縮付与して所望の繊維長さに切断
して簡単に得ることが出来るので安価に提供できる。な
お、紡糸の際、熱可塑性弾性樹脂の融点又は流動開始温
度より少なくとも20℃高い融点温度で溶融紡糸する。
20℃未満では、バラス効果が著しくなり、かつゴム弾
性が発現して紡糸張力が変動し、吐出糸条に太細斑が発
生して正常な紡糸が困難となる。他方、100℃以上融
点より高い紡糸温度ではソフトセグメントの熱分解が著
しくなり、熱可塑性弾性樹脂のゴム弾性が著しく低下す
るので好ましくない。好ましい紡糸温度は融点より少な
くとも30℃以上80℃未満高い温度、より好ましくは
40℃〜60℃融点より高い温度で、溶融粘度が500
ポイズ以上5000ポイズ以下で溶融紡糸するのが最も
好ましい。本発明の熱接着繊維は融点又は流動開始温度
が100℃以上220℃以下の熱可塑性弾性樹脂を用い
るので、紡出後、冷却して糸温度を少なくとも50℃以
下に冷却後に収束する。糸温度が60℃以上で収束する
と繊維同志が融着し、延伸時の延伸斑や糸切れになり品
位の劣悪な繊維となるので好ましくない。次いで、本発
明では1.0重量%以上の水系油剤を付与して引取る。
本発明では、油剤濃度を5重量%以下の水でエマルジョ
ン化した油剤を水系油剤と言う。油剤が少ないと糸の冷
却が不十分な場合は融着する場合があるので、1重量%
以上付与して水で更に冷却させる。本発明の好ましい付
与量は2重量%以上5重量%以下である。油剤は熱分解
しにくいもの、例えば、ラウリルホスフェ−トカリウ
ム、セチルホスフェ−トカリウムなどのホスフェ−ト塩
を使用するのが好ましい。また、摩擦係数が低くなる油
剤を使うと開繊性が向上するので特に好ましい。が、シ
リコ−ン系やフッ素系の離形効果の著しい油剤は熱接着
繊維に用いる場合、溶融接着しにくくなるので好ましく
ない。引取速度が4000m/分以上の高速紡糸では、
次いで捲縮を付与することができる。低速紡糸で未だ伸
度が高い未延伸糸は、0.1g/デニ−ルの伸長応力付
与時の伸びを50%以下とするため延伸後に捲縮を付与
する。延伸条件は、延伸温度を温浴70℃以下で破断延
伸倍率の約0.8〜0.9倍で延伸し、収縮率を抑える
場合は、次いで融点より少なくとも30℃低い温度で定
長又は弛緩熱処理して機械巻縮を付与し、機械巻縮が伸
びないように低張力でカッタ−に供給切断して得ること
ができる。本発明の熱接着繊維をその伸縮性を利用する
場合は、前記の疑似結晶化処理をして伸長回復性をより
高めることが望ましい。疑似結晶化処理は、延伸時に延
伸張力を1g/デニ−ル以上掛けた状態で60℃以上融
点より少なくとも10℃は低い温度でアニ−リング処理
するのが好ましい。アニ−リング処理時間は1分以上3
0分未満である。アニ−リング温度は好ましくは80℃
以上融点より50℃低い温度で処理する。50℃未満の
温度では疑似結晶化効果が得にくいので好ましくない。
なお、疑似結晶化は紡糸後一旦冷却した後製品化するま
での任意の段階でできる。変形歪みを付与しない状態で
の処理でも相当著しい効果があり、パ−ンに巻き取った
繊維を熱処理する方法や、切断繊維をセッタ−で熱処理
しても効果があり、加工品化した段階での処理でも効果
は大きい。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に詳述す
る。
【0016】なお、本発明で言う捲縮度、捲縮数、融点
又は流動開始温度、摩擦係数、0.1g/デニールの伸
長応力付与時の伸びは下記の方法により測定した。 融点 島津製作所製TA50,DSC50型示差熱分析計を使
用し、昇温速度20℃/分で300℃まで昇温し、溶融
による吸熱ピーク(Tm)を測定し、融点とする。融点
が出ないものは、配向させた試料を昇温速度10℃/分
で加熱し、偏向顕微鏡で配向の状態を観察し、配向が消
失した温度を流動開始温度とする。 捲縮度及び捲縮数 JIS−L−1015の方法で求めた捲縮数および捲縮
度である。 摩擦係数 JIS−L−1074の方法にる、糸の静摩擦係数を言
う。 0.1g/デニールの伸長応力付与時の伸び 熱接着繊維を取り出し、比重と断面写真から断面積を求
めてデニールに換算し、初荷重をきめる。JIS−L−
1063の方法により測定したSS曲線から、0.1g
/デニールの伸長応力が掛かった時の伸長を測定し、
0.1g/デニールの伸長応力付与時の伸びとする。
【0017】実施例1〜3、比較例1〜4 酸成分としてジメチルテレフタレ−ト(DMT)または
及びジメチルイソフタレ−ト(DMI)またはナフタレ
ン2・6ジカルボン酸(DMN)とグリコ−ル成分とし
て1・4・ブタンジオ−ル(BD)、ネオペンチルグリ
コ−ル(NPG)、エチレングリコ−ル(EG)および
ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を少量の触
媒と安定剤とともに仕込み、公知の方法でエステル交換
反応後昇温減圧しつつ重縮合してポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を生成した。該ポリエステルエ−テル
ブロック共重合物を加熱真空乾燥し、抗酸化剤として1
・3・5・トリメチル・2・4・6・トリス(3・5・
ジ・t・ブチル・4・ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(TTtBHB)を2軸押出機にてソフトセグメント当
たり1重量%溶融練込みしたものをペレット化し、加熱
不活性ガスにて水分を充分除去し得られた熱可塑性樹脂
の処方および特性を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】得られたA−1からA−6の熱可塑性樹脂
を単成分で常法により単孔吐出量2g/分にてφ0.3
mmのオリフィスより吐出し、糸温度が40℃以下の点で
収束し、濃度4%のラウリルフォスフェ−トカリウム水
溶液をピックアップで5%付与し、1300m/分で紡
糸した。得られた未延伸糸を次いで、50℃温浴で破断
延伸倍率の0.85倍で延伸し、連続して乾熱90℃で
定張熱処理し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて
機械捲縮を付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−
に供給し51mmに切断して得られた3デニ−ルから5デ
ニ−ルの熱接着繊維の特性を表2に示す。なお、A−6
の未延伸糸は脆くて延伸が困難であったので特性は測定
していない。0.1g/デニ−ルの伸長応力での伸び
は、単繊維の100%伸長速度での歪み/荷重曲線から
求めた。
【0020】
【表2】
【0021】B−3の延伸糸を用い、機械捲縮を著しく
掛けた場合(B−7)と殆ど捲縮を掛けなかった場合
(B−8)の熱接着繊維の特性を表2に示す。又、B−
3の未延伸糸を延伸倍率を1.05として次いで弛緩熱
処理しなかった場合を(B−9)表2に示す。
【0022】A−6及びA−7の樹脂を鞘成分に、ポリ
エチレンテレフタレ−ト(PET)を芯成分にし、鞘/
芯の重量比を50/50で常法により紡糸温度を280
℃にて紡糸し、未延伸糸を得た。次いで、50℃温浴で
3.4倍に延伸し、連続して乾熱90℃で定張熱処理
し、仕上げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を
付与し、機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し5
1mmに切断して4デニ−ルの熱接着繊維(B−10及び
B−11)を作成した。得られた繊維の特性を表2に示
す。
【0023】得られた機械捲縮を持つ熱接着繊維を30
重量%と常法にて作成した13デニ−ルの中空で外側に
3個の突起を有する断面で立体捲縮を有するPET短繊
維を70重量%とをカ−ドにて混繊−開繊して得たウエ
ッブを密度0.03g/cm3となるように圧縮し、15
0〜240℃の熱風を強制貫通させて5分間熱処理し、
次いで、一旦冷却し、一部は更に密度が0.04g/cm
3 となるように圧縮し、100℃で30分再熱処理し
て、平板状のクッション材を得た。得られたクッション
材の作成状況と特性を表3に示す。なお、70℃の圧縮
残留歪み、常温での繰返し圧縮残留歪み、及び反発弾性
はJIS−K−6401の方法による。カ−ドの開繊状
態は、カ−ドウェッブ中の熱接着繊維の開繊度と分散度
の状態で、非常に良好:◎、良好:○、やや不良:△、
不良:×で総合判断した。
【0024】
【表3】
【0025】本発明の要件を満足する実施例1〜2は耐
熱耐久性に優れ、常温での耐久性にも優れ、クッション
材の性能も優れたものを得ることができる。比較例1は
熱接着繊維の摩擦係数が高く開繊状態が不良な例であ
る。比較例2は融点の高い熱接着繊維のため、高温での
熱接着が必要なため、PET短繊維の熱劣化を伴い耐熱
耐久性やクッション性が劣るものができる。比較例3は
融点(流動開始温度)が低く、耐熱耐久性の劣るクッシ
ョン材となる。比較例5及び比較例6は捲縮が不適切な
もので、開繊状態が悪くなり、クッション性能が低下す
るものである。比較例7は低応力での伸びが著しいた
め、カ−ド開繊時引きつりが生じ斑が著しいためクッシ
ョン性能が充分発現しない例である。比較例8は熱接着
成分が非弾性樹脂のため、接着点が脆く耐久性が著しく
劣る例である。比較例9は非弾性樹脂を芯成分にもつた
め、固くなるが、熱接着点が弾性樹脂にもかかわらず芯
成分の耐久性がおとり、クッション性能が劣る例であ
る。なお、参考のため、実施例1及び比較例8につい
て、30℃室内にてパネラ−10人に1時間座らせて、
床つき感、座り心地、蒸れ感を評価させた結果、実施例
1は、床つき感が無く、座り心地も良好で蒸れ感の少な
い快適なクッション材であったが、比較例8は臀部や大
腿部が痛くなり座り心地の悪いものであった。
【0026】参考例1 実験 No.A−2を紡糸温度245℃にて紡糸し、遠赤外
線温度計で測定した糸温度が70℃の点で収束したとこ
ろ、未延伸糸が融着し、延伸時糸切れが著しく、延伸を
断念した。
【0027】参考例2 実施例1〜2のクッション材を45°メセナミン法及び
45°アルコ−ルランプ法で難燃性の評価を行った結果
は全て合格した。比較にポリウレタンを評価した結果は
不合格であった。本発明の熱接着繊維を用いたクッショ
ン材は安全性も高いことが判る。
【0028】実施例3 B−2の未延伸糸を1段目の延伸を熱ロ−ラ−温度56
℃にて破断延伸倍率の0.85倍に延伸し、2段目を1
10℃の熱風オーブン中で1.2倍にて10分伸長熱処
理して得た延伸糸を合糸し、捲縮を付与後切断して示差
走査型熱量計にて測定した融解曲線の120℃付近に吸
熱ピ−クを示す、繊度4デニ−ル、捲縮数11個/25
mm、捲縮度13%、伸長応力0.1g/デニ−ル時の伸
びが12%の短繊維を得た。この短繊維をカ−ド開繊し
て目付50g/m2 のウェッブに積層し、10本/cm2
のニ−ドルパンチを打ち、50℃でエンボス加工して不
織布を得た。不織布の70℃雰囲気中での50%伸長歪
み付与22時間後の回復率は縦方向54%、横方向68
%であった。比較の為、2段目の延伸をしないで同様に
作成した不織布の70℃雰囲気中での50%伸長歪み付
与22時間後の回復率は縦方向29%、横方向38%で
あった。疑似結晶化効果は明らかである。
【0029】
【発明の効果】本発明の熱可塑性弾性樹脂系熱接着繊維
は、他繊維をマトリックスに用いてクッション材などに
熱接着成形した場合、マトリックス繊維間を耐熱耐久性
を持つ伸縮性の優れた熱接着点を形成し、得られた繊維
構造体は極めて優れたクッション性、常温および加熱下
での耐久性を持つ安全性の高いクッション材を提供でき
る。なお、透湿透水性も保持できるので蒸れの少ない快
適な座席を提供できる。本発明のエラストマ−系熱接着
繊維を用いて得られるクッション材の用途としては、車
両用、船舶用、家具、ベッド用に適するが、特には自動
車、電車用に適する。他の用途としては、伸縮性を生か
した不織布用途、例えば衛材基布、肩パッドやカップ、
合成皮革基布や立毛布帛類用基布、通気性良好で接着で
きるワディング層や内装材、70℃を越えない範囲の断
熱材や衝撃吸収材、更には紡績して伸縮性の編織物等々
に広く適用できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点又は流動開始温度が100〜220
    ℃の熱可塑性弾性樹脂からなる熱接着性繊維であり、繊
    維の摩擦係数が2.5以下、捲縮度が5%以上、捲縮数
    が3〜20個/25mm、0.1g/デニ−ルの伸長応力
    付与時の伸びが50%以下であることを特徴とする熱接
    着性繊維。
  2. 【請求項2】 繊維の捲縮形態が機械捲縮である請求項
    1記載の熱接着性繊維。
  3. 【請求項3】 繊維の示差走査型熱量計にて測定した融
    解曲線において、融点以下に吸熱ピ−クを有する請求項
    1記載の熱接着性繊維。
  4. 【請求項4】 融点又は流動開始温度が100〜220
    ℃の熱可塑性弾性樹脂を前記融点又は流動開始温度より
    20〜80℃高い温度で溶融紡糸し、紡出糸条を50℃
    以下に冷却した後、収束し、1.0重量%以上の水系油
    剤を付与して引き取り、機械捲縮を付与することを特徴
    とする熱接着性繊維の製法。
  5. 【請求項5】 溶融紡糸し、紡出糸条を一旦冷却した
    後、60〜(融点−10)℃の温度でアニ−リング処理
    する請求項4記載の熱接着性繊維の製法である。
JP7162374A 1995-06-28 1995-06-28 熱接着性繊維及びその製法 Pending JPH0913219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7162374A JPH0913219A (ja) 1995-06-28 1995-06-28 熱接着性繊維及びその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7162374A JPH0913219A (ja) 1995-06-28 1995-06-28 熱接着性繊維及びその製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0913219A true JPH0913219A (ja) 1997-01-14

Family

ID=15753366

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7162374A Pending JPH0913219A (ja) 1995-06-28 1995-06-28 熱接着性繊維及びその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0913219A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129356A (ja) * 2001-10-23 2003-05-08 Toyobo Co Ltd 伸縮性起毛布帛及びその製造方法
JP2007182640A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 Kao Corp 伸縮性不織布
JP2008163482A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Teijin Fibers Ltd 不織布およびシート

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129356A (ja) * 2001-10-23 2003-05-08 Toyobo Co Ltd 伸縮性起毛布帛及びその製造方法
JP2007182640A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 Kao Corp 伸縮性不織布
JP2008163482A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Teijin Fibers Ltd 不織布およびシート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0913219A (ja) 熱接着性繊維及びその製法
JPH10310965A (ja) ポリエステル短繊維不織布
JP3596623B2 (ja) 座席及び製法
JP3646814B2 (ja) クッション材とその製法
JP3275973B2 (ja) エラストマ−系熱接着繊維およびその製法
JP3541969B2 (ja) ベットマット
JP2002000408A (ja) 乗物用座席
JP3589307B2 (ja) 座席と製法
JPH06306708A (ja) エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法
JP3431097B2 (ja) 多層積層網状体と製法及びそれを用いた製品
JP2001061605A (ja) 車両用座席
JP3454363B2 (ja) 繊維構造体及びその製法
JPH08851A (ja) 繊維系ワディング材およびその製法
JP3473711B2 (ja) ポリエステル系ワディング材とその製法
JP3620604B2 (ja) 難燃性座席と製法
JP3352022B2 (ja) バインダー繊維を用いてなる高温雰囲気下での耐へたり性に優れる固綿
JP3627826B2 (ja) マット及びその製法
JP3431098B2 (ja) 難燃性補強網状体と製法及びそれを用いた製品
JP3444368B2 (ja) 不織布積層網状体と製法及びそれを用いた製品
JP3496724B2 (ja) 繊維構造体及びその製造法
JPH06192916A (ja) 耐熱性エラストマ−系熱接着繊維
JP3431096B2 (ja) 不織布積層網状体と製法及びそれを用いた製品
JPH0716975A (ja) 積層構造体
JPH04357990A (ja) クツシヨン材用ポリエステル固綿
JP3351490B2 (ja) 不織布積層網状体と製法及びそれを用いた製品

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050120

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060313

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060518