JPH06306708A - エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法 - Google Patents
エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法Info
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- JPH06306708A JPH06306708A JP9783993A JP9783993A JPH06306708A JP H06306708 A JPH06306708 A JP H06306708A JP 9783993 A JP9783993 A JP 9783993A JP 9783993 A JP9783993 A JP 9783993A JP H06306708 A JPH06306708 A JP H06306708A
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Abstract
れたクッション材を容易に得ることが可能なポリエステ
ル系熱接着複合繊維を提供する。 【構成】 ソフトセグメントを30重量%以上含有した
ポリエステルエラストマ−を熱接着成分とし、熱接着成
分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポリエ
ステルエラストマ−を非熱接着成分とした複合繊維にお
いて、潜在捲縮能にもとずく立体捲縮が未発現であるこ
とを特徴とするエラストマ−系熱接着複合繊維と、ソフ
トセグメントを40重量%以上含有したポリエステルエ
ラストマ−を熱接着成分とし、熱接着成分の融点より少
なくとも30℃高い融点を有するポリエステルエラスト
マ−を非接着成分として、非接着成分の融点より少なく
とも20℃以上高い温度で複合紡糸で潜在捲縮能を付与
し、延伸後、または次いで機械捲縮を付与して、機械捲
縮を引き延ばさない程度の張力でカットすることを特徴
とする。
Description
合繊維に関するものであり、特にポリエステル繊維より
なる不織布、詰綿等のクッション材に用いたとき、優れ
たクッション性、常温および加熱下での耐久性とが得ら
れるポリエステル系熱接着複合繊維に関する。
ン材の分野で、発砲ウレタン、ポリエステル繊維詰綿、
及びポリエステル繊維を接着した樹脂綿やポリエステル
硬綿が知られている。
としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿性
に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼時の発
生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物添加が
必要なため、火災時に有毒ガスの発生による中毒の問題
やリサイクルが困難なため焼却されるが、焼却炉の損傷
が大きく、かつ、有毒ガスの除去に経費が掛かる等の問
題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される
薬品の公害問題などもある。また、ポリエステル繊維詰
綿では繊維間が固定されていないため、使用時形態が崩
れたり、繊維が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性
の低下や弾力性の低下が問題になる。
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維を改良方法として特開平4−240219号
公報で提案されている。この繊維に使われるポリエステ
ルエラストマ−はハ−ドセグメントの酸成分にテレフタ
ル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとし
てのポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重
量%を限定すると、他の酸成分組成として融点が180
℃以下となるには、特公昭60−1404号公報に記載
された繊維と同一と認められるので、イソフタル酸等を
含有し非晶性が増すことになり、低溶融粘度として熱接
着部分の形成を良くしても塑性変形しやすくなり、耐熱
抗圧縮性が低下する問題点がある。
術の問題点を改良し、優れたクッション性、優れた耐熱
耐久性、着用時蒸れにくい、及びリサイクルが可能なポ
リエステル系クッション材を容易に製造するに適したポ
リエステル系熱接着複合繊維を提供することを目的とす
る。
の手段、即ち本発明は、熱可塑性エラストマーよるなる
熱接着成分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着
成分がソフトセグメント含有量30重量%以上の熱可塑
性エラストマーであり、非熱接着成分が上記熱接着成分
の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性エラス
トマーよりなり、且つ潜在捲縮能にもとづく立体捲縮が
未発現であることを特徴とするエラストマー系熱接着複
合繊維およびソフトセグメントを30重量%以上含有し
たポリエステルエラストマーを熱接着成分とし、熱接着
成分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポリ
エステルエラストマーを非熱接着成分として、非接着成
分の融点より少なくとも20℃以上高い温度で複合紡糸
して潜在捲縮能を付与し、延伸後、または次いで機械捲
縮を付与して、機械捲縮を引き延ばさない程度の張力で
カットすることを特徴とするエラストマー系熱接着複合
繊維の製法である。
間を伸長回復性のある繊維でスパイラルコイルで連結し
た3次元ネットワ−ク構造を形成する目的のため、熱接
着成分と非熱接着成分は共に熱可塑性エラストマ−とす
る必要がある。熱可塑性エラストマ−としては、ソフト
セグメントとして分子量300〜5000のポリエ−テ
ル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−
ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリエス
テル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、ポリ
ウレタン系エラストマ−などが挙げられる。が、本発明
の最も好ましい利用形態から、クッション材のマトリッ
クスにポリエステル繊維を用いる場合が多いので、熱可
塑性エラストマ−を接着性の良いポリエステル系エラス
トマ−とするのが好ましい。ポリエステル系エラストマ
−としては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメント
とし、ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとす
るポリエステルエ−テルブロック共重合体、または、脂
肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステ
ルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリエステ
ルエ−テルブロック共重合体のより具体的な事例として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジ
カルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニ
ル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・
4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン
酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂
肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導
体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、
1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチ
レングリコ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメ
チレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪
族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・
4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、ま
たはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジ
オ−ル成分の少なくとも1種、および平均分子量が約3
00〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピ
レングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチ
レンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリア
ルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される
三元ブロック共重合体である。ポリエステルエステルブ
ロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル
及び平均分子量が約300〜3000のポリラクトン等
のポリエステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構
成される三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加
水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン
酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・
6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジ
オ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメ
チレングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリ
エステルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共
重合体が特に好ましい。
は、ソフトセグメントを30重量%以上含有したポリエ
ステルエラストマ−を熱接着成分にする。本発明の好ま
しい熱接着成分のエラストマーは、例えば、グリコ−ル
成分として1−4ブタンジオ−ルおよびポリアルキレン
ジオ−ルがブロック共重合され、且つ、ポリアルキレン
ジオ−ルの共重合量が30重量%以上、80重量%以下
である。エラストマ−とするには、ポリアルキレンジオ
−ルがブロック共重合される必要がある。その事で構造
体が変形を受ける時、比較的大きい応力を集中的に受け
る熱接着部分が変形しても、ゴム弾性が発現して変形力
が解除されると回復できるようにする。このゴム弾性に
由来する回復性はポリアルキレンジオ−ルの共重合量に
比例する。同時に融点と耐熱性が低下していく。ポリア
ルキレンジオ−ルの共重合量が30重量%以下ではゴム
弾性による回復性が劣るので好ましくない。他方80重
量%以上では融点が低下して耐熱性が劣ること、及び粘
着性が発現し加工時の障害になるので好ましくない。本
発明の好ましいポリアルキレンジオ−ルの共重合量は4
0重量%以上70重量%以下、より好ましくは50重量
%以上60重量%以下である。本発明に用いるポリアル
キレンジオ−ルは公知のものを使えるがポリテトラメチ
レングリコ−ルが特に好ましい。好ましい平均分子量は
500以上5000以下、特に好ましくは1000以上
3000以下である。酸成分としてテレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上含有す
るのが好ましい。より好ましくはテレフタル酸やナフタ
レン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特
に好ましくは100モル%である。テレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグ
メントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐
熱抗へたり性が向上する。テレフタル酸を90モル%未
満では、ハ−ドセグメントの結晶性が劣るので塑性変形
し易く、且つ、耐熱抗へたり性が劣る。溶融熱成形後更
に結晶化処理したときの耐熱抗へたり性が劣るので好ま
しくない。この理由は明らかではないが、テレフタル酸
含有量が多いと示差走査型熱量計(DSC)による融解
曲線において、融点以下の温度で吸熱ピークをより明確
に発現する。このことから類推するに、疑似結晶化様の
架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているので
はないかとも考えられる。
分は、熱接着成分を流動させ熱接着点を形成させる際、
流動させず、マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のあ
る3次元ネットワ−ク構造を形成させる目的のため、非
熱接着成分の融点は熱接着成分の融点より少なくとも3
0℃以上高くする。熱接着成分の融点より30℃未満高
い場合は、熱接着させる温度は、熱接着成分の融点より
10〜30℃高い温度で熱接着成分を流動させ熱接着点
を形成させるので、その際、非熱接着成分も流動して、
マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネッ
トワ−ク構造を形成できなくなるので好ましくない。本
発明の非熱接着繊維の融点は、熱接着成分の融点より3
5℃以上高くするのが好ましく、40℃以上高くするの
がより好ましい。なお、非熱接着成分が形成するマトリ
ックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネットワ−
ク構造は弾性回復限界歪みが非弾性ポリマ−繊維よりお
おきく、大きい力による大変形を受けてもゴム弾性の発
現による回復性が良好で、結晶構造形成による疑似架橋
点の耐熱性がよい必要からソフトセグメント含有量は少
なくとも5重量%とするのがよい。ソフトセグメント含
有量が5重量%未満ではエラストマ−特有のゴム弾性が
発現し難く、クッション材に成形した場合、マトリック
ス繊維間を繋ぐ3次元ネットワ−ク構造の伸縮機能が劣
り、クッション材としての繊維構造体のクッション性や
抗へたり性が劣り好ましくない。他方、ソフトセグメン
ト含有量が50重量%を越えると、融点の低下が大きく
なり、熱接着成分の融点を下げる必要から、溶融紡糸時
に融着の問題が発生すると共に、低温での回復性は向上
するがハ−ドセグメント含有量が少なくなり、結晶構造
形成による疑似架橋点の耐熱性が低下するためクッショ
ン材とした場合の耐熱抗へたり性が低下するので好まし
くない。本発明の非熱接着成分における好ましいソフト
セグメント含有量は5〜50重量%、より好ましくは1
0〜45重量%である。ソフトセグメントの平均分子量
はハ−ドセグメントの耐熱性を向上させるため、繰り返
し単位を大きくするのがよく、好ましくは500〜40
00、より好ましくは1000〜3000である。な
お、ハ−ドセグメントの酸成分に結晶性を低下させる成
分、例えばイソフタル酸等を含有させると塑性変形し易
く、かつ融点も低下するので、上述の理由からクッショ
ン材としたときの耐熱性や耐久性が低下する原因になる
ので極力少なくするのが好ましく、含有させないのがよ
り好ましい。
要がある。が潜在捲縮能は未発現の状態も必要である。
潜在巻縮能を付与されているため、熱接着成形直前に、
加熱されコイル状巻縮が発現して熱接着複合繊維同士及
び母材に巻きつき、次いで、更に高温に加熱され熱接着
成分が溶融して接触部が接着し、伸縮性の複合繊維で繋
がったコイル状の3次元ネットワ−ク構造が形成され
る。このため必要な本発明の好ましい複合繊維の潜在捲
縮能は110℃乾熱下でフリ−処理したときに発現する
潜在捲縮能(1/ρ)が2以上である。2以下では母材
への巻きつきが不充分となり、かつ、自身の持つコイル
径も大きくなって、スプリング効果が低下する。本発明
のより好ましい潜在捲縮能は1/ρが3以上である。こ
のような本発明の複合繊維を用いて得たクッション材は
繊維自身の伸縮性とコイルスプリングの伸縮性を兼ね備
えているため、弾力性に富み、かつ繊維クッションでは
従来不可能と思われていた発泡ポリウレタンに近い耐熱
抗へたり性を有することが可能となる。熱接着成分と非
熱接着成分の複合比は好ましくは10/90〜70/3
0である。熱接着成分成分が少ないと接着点のゴム弾性
機能が低下し、弾力性が低下するので好ましくない。他
方、非熱接着成分が少ないと3次元ネットワ−ク構造間
のコイルスプリング機能が低下し、回復性と弾力性が低
下するので少なくとも30%とするのが好ましい。より
好ましい構成比は30/70〜60/40である。潜在
捲縮能を付与する方法は従来公知の方法例えば、サイド
バイサイド型、偏芯シ−スコア型などの構造に紡糸して
得ることができる。次いで延伸する。好ましい延伸条件
は延伸温度を温浴70℃以下で破断延伸倍率の約0.8
〜0.9倍で延伸し、低温で機械捲縮を付与し、機械捲
縮が伸びないように低張力でカッタ−に供給切断するこ
とで得られる。高温で延伸すると潜在巻縮能が低下する
ので好ましくない。また、熱成形前に立体捲縮を発現さ
せてしまうと熱成形時に、巻きつき接着が困難となるの
で好ましくない。また、エラストマ−は粘着性があり、
糸糸の摩擦が高いためカ−ド開繊時開繊が不良となりや
すく、開繊し易い機械捲縮を保持する必要がある。機械
捲縮は捲縮数が5〜30山/インチ、捲縮率が5〜30
%の範囲であるば使用できるが、好ましくは捲縮数が1
0〜25山/インチ、捲縮率が10〜25%である。仕
上げ油剤は摩擦係数が低くなる油剤を使用するのが特に
好ましい。
テルの分子量は、40℃フェノ−ル/テトラクロルエタ
ン混合溶媒中で測定した相対粘度(ηsp/c)が、熱接着
成分では1.8以上である。1.8未満では、流動性は
良くなるが接着点の回復性が低下して繊維構造体とした
ときの耐熱性や耐久性が低下する。2.5以上では流動
性が低下し、熱接着点形成が不充分となりやすい。熱接
着成分のより好ましい相対粘度は2.0以上2.5以下
である。他方、伸縮性の3次元ネットワ−ク構造を形成
する非接着成分は、耐熱性を付与されるため、ハ−ドセ
グメント含有量が熱接着成分より多くなり、相対粘度は
やや低くなる。好ましい相対粘度は1.0以上、より好
ましくは1.5以上とすることで、回復性とタフさを付
与できる特開平4−240219号公報に記載される如
く、本発明ではポリアルキレンジオ−ルの共重合量が多
いため熱安定性が250℃以上の高温では熱分解による
分子量低下が著しくなる。このため本発明では積極的に
抗酸化剤を好ましくは1重量%以上、より好ましくは2
重量%以上5重量%以下含有させる。このような組成と
することで高温での紡糸も可能となり、非接着成分も高
融点のエラストマ−、例えばハ−ドセグメント成分をポ
リブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリブチレンナフタレ−トなどまたは、それらの共
重合成分の繰り返し単位を大きくした融点が220℃以
上のエラストマ−を用いることが可能である。更には、
熱接着を空気中で200℃以上の高温で溶融熱接着せし
めることが可能であり、この時の分子量低下を押さえら
れる。かくして、エラストマ−の分子量を高く保持出来
るので成形品はゴム弾性による回復性も著しく向上す
る。本発明に用いる好ましい抗酸化剤としては、従来公
知のヒンダ−ドフェノ−ル化合物やヒンダ−ドアミン化
合物がある。が特には燃焼時有毒ガスの出ないヒンダ−
ドフェノ−ル化合物が好ましい。なお、本発明の繊維に
用いるポリエステルエラストマ−は例えば特開昭55−
120626号公報等の従来公知の方法で得ることがで
きるが、抗酸化剤は重合時多量に添加すると昇華して重
合缶の詰まりなどのトラブルとなり、かつ添加効果が激
減するので、重合後加圧下で練込むか、一旦ペレット化
後2軸押出機などを用いて練り込むのが好ましい。
ション材等の繊維集合体にしてもよいが、該複合繊維を
5重量%以上含む他繊維(母材)との混合集合体にして
も良い。好ましい混合母材としては、PET、PEN,
PCHDT等の高融点高結晶性のポリエステル及びPB
Tからなる繊維があり、接着性も良好であり、優れたク
ッション性、優れた耐熱耐久性、着用時蒸れにくい、及
びリサイクルが可能なポリエステル系クッション材とな
る繊維集合体を容易に製造することが可能である。な
お、本発明の複合繊維を含有する繊維集合体を熱成形前
に任意の密度に圧縮し、加熱処理して捲縮発現によるに
よる絡まり点をつくり、絡まり点および接触点を融着一
体化するには、熱接着成分の融点より10〜120℃高
く、好ましくは前述の理由から20〜100℃高い温度
で熱成形して任意の密度や硬さの繊維成形体をえられ
る。次いで一旦冷却固化させた後、熱接着成分の融点よ
り少なくとも10℃以上低い温度で熱処理すると、好ま
しくは10%以上の歪みを付与して熱処理すると、融着
処理のみのものよりクッション性、耐熱耐久性が格段に
向上する。なお、接着成分の酸成分に非晶性となる成分
が多く含まれるほどこの効果は著しく減少する。
よびジメチルイソフタレ−ト(DMI)、ジメチレンナ
フタレ−ト(DMN)とグリコ−ル成分として1−4ブ
タンジオ−ルとソフトセグメントとしてポリテトラメチ
レングリコ−ル(PTMG)を少量の触媒と安定剤とと
もに仕込み、公知の方法にてエステル交換反応後昇温減
圧しつつ重縮合してポリエステルエ−テルブロック共重
合エラストマ−を生成した。生成したポリエステルエ−
テルブロック共重合エラストマ−をペレット化し後加熱
真空乾燥し、抗酸化剤としてチバガイギ−社製アイオノ
ックス330を3重量%混合して再度溶融混練りし、ペ
レット化したものを乾燥した加熱不活性ガスにて水分を
充分に除去し熱接着成分に供した。得られたポリエステ
ルエ−テルエラストマ−の処方及び融点を表1に示す。
比較のため、酸成分としてジメチルテレフタレ−ト(D
MT)とジメチルイソフタレ−ト(DMI)をグリコ−
ル成分としてエチレングリコ−ル(EG)を共重合した
非エラストマ−の低融点ポリエステルを作成した。特性
を表−1に併記する。
PET又はPBTを芯成分にし、鞘/芯の重量比を50
/50で偏芯になるように常法により紡糸温度を260
℃〜285℃にて紡糸し未延伸糸を得た。なお、偏芯の
程度は、繊維の中心から芯部の中心までの距離Lを繊維
の半径Rで徐した値(L/R)で0.15となるように
した。次いで、50℃の温浴で3.4倍に延伸し、仕上
げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を付与し、
機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し51mmに切
断して4デニ−ルの熱接着複合短繊維を作成した。得ら
れた繊維の特性を表2に示す。潜在捲縮能(1/ρ)は
110℃でフリ−処理したときの発現螺旋の曲率半径の
逆数で示す。なお、比較のため偏芯させないでエラスト
マ−を鞘成分及び芯成分にした複合繊維も作成した。特
性を表−2に併記する。
を30%と、常法にて作成した13デニ−ルの中空で外
側に突起を3個有する断面で立体捲縮を有するPET短
繊維を70%とをカ−ドにて混繊−開繊して得たウエッ
ブを密度0.04g/cm3 となるよう圧縮し、150℃
〜210℃の熱風で5分間熱処理し、平板のクッション
材を成形し、又は、密度0.03g/cm3 となるよう圧
縮し200〜210℃の熱風で5分間熱処理し、一旦冷
却後、密度が0.04g/cm3 となるよう圧縮し、10
0℃の熱風で30分熱処理し冷却してクッション材を成
形した。得られたクッション材の特性を表3に示す。な
お、70℃の圧縮残留歪み、常温での繰り返し圧縮残留
歪み及び、反発弾性はJISK−6401の方法によ
る。
クッション材(実施例1〜3)は優れたクッション性、
優れた高温の耐熱抗へたり性、及び常温でも優れた抗へ
たり性を示す。比較例1は、熱接着成分にエラストマ−
を用いているが、非熱接着成分に非エラストマ−を用い
ているため耐熱耐へたり性が劣る例である。比較例2は
融点差が少ないため、熱成形時に非熱接着成分も溶融
し、エラストマ−繊維の3次元ネットワ−クを形成出来
ないため耐熱耐へたり性が劣る例である。比較例3は熱
接着成分のソフトセグメント量が少ないため耐熱耐へた
り性が劣る例である。比較例4は非エラストマ−を使っ
た複合繊維の例で、エラストマ−使いのものに比べ耐熱
耐へたり性及び常温での抗へたり性が著しく劣る例であ
る。比較例5は潜在巻縮能を持たないため耐熱耐へたり
性が劣る例である。このように本発明の要件を外れるも
のは、耐熱耐へたり性及び常温での抗へたり性が劣るも
のとなる。
材などに他繊維を母材に用いたときに螺旋捲縮が母材の
巻きつき且つ接着して強固且つ伸縮性の良い接着点を形
成すると同時に発現した螺旋がスプリングの作用をし
て、従来にない優れたクッション性、優れた高温の耐熱
抗へたり性、及び常温でも優れた抗へたり性を示す。特
にポリエステル繊維とは接着性が良好であり、上記性能
がより向上できるとともに透湿透水性も保持できるので
蒸れの少ない快適な座席を提供できる。また、分離しな
くてもそのまま回収再加工が可能であり、特に、自動
車、電車、船舶等の座席に適している。さらには、ベッ
ド、家具にも適したものになる。クッション材用途以外
に、捲縮発現が著しく良好な特性と伸縮性の良好な接着
点形成を活用して、低目付け、高目付けを問わず伸縮可
能な不織布用途、例えば、衛材基布、肩パットやブラジ
ャ−カップ、合成皮革基布や立毛布帛用基布、衛材用パ
ッド類、伸縮性保温材、座席用伸縮可能で通気性良好な
接着ワデング層や内装材の接着不織布等等にも広く適用
できる。さらには、紡績が可能であり、紡績糸や飾り糸
等衣料用途途にも適用できる。
Claims (2)
- 【請求項1】 熱可塑性エラストマーよるなる熱接着成
分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着成分がソ
フトセグメント含有量30重量%以上高い融点を有する
熱可塑性エラストマーであり、非熱接着成分が上記熱接
着成分の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性
エラストマーよりなり、且つ潜在捲縮能にもとづく立体
捲縮が未発現であることを特徴とするエラストマー系熱
接着複合繊維。 - 【請求項2】 ソフトセグメントを30重量%以上含有
したポリエステルエラストマーを熱接着成分とし、熱接
着成分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポ
リエステルエラストマーを非熱接着成分として、非熱接
着成分の融点より少なくとも20℃以上高い温度で複合
紡糸して潜在捲縮能を付与し、延伸後、または次いで機
械捲縮を付与して、機械捲縮を引き延ばさない程度の張
力でカットすることを特徴とするエラストマー系熱接着
複合繊維の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09783993A JP3204344B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09783993A JP3204344B2 (ja) | 1993-04-23 | 1993-04-23 | エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法 |
Publications (2)
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