JPH06306708A - エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法 - Google Patents

エラストマ−系熱接着複合繊維とその製法

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JPH06306708A
JPH06306708A JP9783993A JP9783993A JPH06306708A JP H06306708 A JPH06306708 A JP H06306708A JP 9783993 A JP9783993 A JP 9783993A JP 9783993 A JP9783993 A JP 9783993A JP H06306708 A JPH06306708 A JP H06306708A
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靖司 山田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 クッション性、常温及び高温での耐久性に優
れたクッション材を容易に得ることが可能なポリエステ
ル系熱接着複合繊維を提供する。 【構成】 ソフトセグメントを30重量%以上含有した
ポリエステルエラストマ−を熱接着成分とし、熱接着成
分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポリエ
ステルエラストマ−を非熱接着成分とした複合繊維にお
いて、潜在捲縮能にもとずく立体捲縮が未発現であるこ
とを特徴とするエラストマ−系熱接着複合繊維と、ソフ
トセグメントを40重量%以上含有したポリエステルエ
ラストマ−を熱接着成分とし、熱接着成分の融点より少
なくとも30℃高い融点を有するポリエステルエラスト
マ−を非接着成分として、非接着成分の融点より少なく
とも20℃以上高い温度で複合紡糸で潜在捲縮能を付与
し、延伸後、または次いで機械捲縮を付与して、機械捲
縮を引き延ばさない程度の張力でカットすることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル系熱接着複
合繊維に関するものであり、特にポリエステル繊維より
なる不織布、詰綿等のクッション材に用いたとき、優れ
たクッション性、常温および加熱下での耐久性とが得ら
れるポリエステル系熱接着複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、家具および車両用などのクッショ
ン材の分野で、発砲ウレタン、ポリエステル繊維詰綿、
及びポリエステル繊維を接着した樹脂綿やポリエステル
硬綿が知られている。
【0003】しかしながら、発泡ウレタンはクッション
としての耐久性は良好だが、床つき感が大きく、透湿性
に劣り蓄熱性があるため蒸れやすく、かつ、燃焼時の発
生熱量が大きいため難燃性付与にはハロゲン化物添加が
必要なため、火災時に有毒ガスの発生による中毒の問題
やリサイクルが困難なため焼却されるが、焼却炉の損傷
が大きく、かつ、有毒ガスの除去に経費が掛かる等の問
題がある。また、加工性は優れるが製造中に使用される
薬品の公害問題などもある。また、ポリエステル繊維詰
綿では繊維間が固定されていないため、使用時形態が崩
れたり、繊維が移動して、かつ、捲縮のへたりで嵩高性
の低下や弾力性の低下が問題になる。
【0004】ポリエステル繊維を接着剤で接着した樹脂
綿、例えば接着剤にゴム系を用いたものとして特開昭6
0−11352号公報、特開昭61−141388号公
報、特開昭61−141391号公報等がある。又、ウ
レタンを用いたものとして特開昭61−137732号
公報等がある。これらのクッション材は耐久性に劣り、
且つリサイクルも出来ない等の問題、及び加工性の煩雑
さや製造中に使用される薬品の公害問題などもある。
【0005】ポリエステル硬綿、例えば特開昭58−3
1150号公報、特開平2−154050号公報、特開
平3−220354号公報等があるが、用いている熱接
着繊維の接着成分が脆い非晶性のポリマ−を用いるため
(例えば特開昭58−136828号公報、特開平3−
249213号公報等)接着部分が脆く、使用中に接着
部分が簡単に破壊されて形態や弾力性が低下するなどの
耐久性に劣る問題がある。改良法として、交絡処理する
方法が特開平4−245965号公報等で提案されてい
るが、接着部分の脆さは解決されず弾力性の低下が大き
い問題がある。また、加工時の煩雑さもある。更には接
着部分が変形しにくくソフトなクッション性を付与しに
くい問題もある。このため、接着部分を柔らかい、且つ
変形しても回復するポリエステルエラストマ−を用いた
熱接着繊維を改良方法として特開平4−240219号
公報で提案されている。この繊維に使われるポリエステ
ルエラストマ−はハ−ドセグメントの酸成分にテレフタ
ル酸を50〜80モル%含有し、ソフトセグメントとし
てのポリアルキレングリコ−ルの含有量が30〜50重
量%を限定すると、他の酸成分組成として融点が180
℃以下となるには、特公昭60−1404号公報に記載
された繊維と同一と認められるので、イソフタル酸等を
含有し非晶性が増すことになり、低溶融粘度として熱接
着部分の形成を良くしても塑性変形しやすくなり、耐熱
抗圧縮性が低下する問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を改良し、優れたクッション性、優れた耐熱
耐久性、着用時蒸れにくい、及びリサイクルが可能なポ
リエステル系クッション材を容易に製造するに適したポ
リエステル系熱接着複合繊維を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち本発明は、熱可塑性エラストマーよるなる
熱接着成分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着
成分がソフトセグメント含有量30重量%以上の熱可塑
性エラストマーであり、非熱接着成分が上記熱接着成分
の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性エラス
トマーよりなり、且つ潜在捲縮能にもとづく立体捲縮が
未発現であることを特徴とするエラストマー系熱接着複
合繊維およびソフトセグメントを30重量%以上含有し
たポリエステルエラストマーを熱接着成分とし、熱接着
成分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポリ
エステルエラストマーを非熱接着成分として、非接着成
分の融点より少なくとも20℃以上高い温度で複合紡糸
して潜在捲縮能を付与し、延伸後、または次いで機械捲
縮を付与して、機械捲縮を引き延ばさない程度の張力で
カットすることを特徴とするエラストマー系熱接着複合
繊維の製法である。
【0008】本発明の熱接着繊維は、マトリックス繊維
間を伸長回復性のある繊維でスパイラルコイルで連結し
た3次元ネットワ−ク構造を形成する目的のため、熱接
着成分と非熱接着成分は共に熱可塑性エラストマ−とす
る必要がある。熱可塑性エラストマ−としては、ソフト
セグメントとして分子量300〜5000のポリエ−テ
ル系グリコ−ル、ポリエステル系グリコ−ル、ポリカ−
ボネ−ト系グリコ−ル等をブロック共重合したポリエス
テル系エラストマ−、ポリアミド系エラストマ−、ポリ
ウレタン系エラストマ−などが挙げられる。が、本発明
の最も好ましい利用形態から、クッション材のマトリッ
クスにポリエステル繊維を用いる場合が多いので、熱可
塑性エラストマ−を接着性の良いポリエステル系エラス
トマ−とするのが好ましい。ポリエステル系エラストマ
−としては、熱可塑性ポリエステルをハ−ドセグメント
とし、ポリアルキレンジオ−ルをソフトセグメントとす
るポリエステルエ−テルブロック共重合体、または、脂
肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステ
ルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリエステ
ルエ−テルブロック共重合体のより具体的な事例として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン2・6ジ
カルボン酸、ナフタレン2・7ジカルボン酸、ジフェニ
ル4・4’ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・
4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン
酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂
肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導
体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、
1・4ブタンジオ−ル、エチレングリコ−ル、トリメチ
レングリコ−ル、テトレメチレングリコ−ル、ペンタメ
チレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル等の脂肪
族ジオ−ル、1・1シクロヘキサンジメタノ−ル、1・
4シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族ジオ−ル、ま
たはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジ
オ−ル成分の少なくとも1種、および平均分子量が約3
00〜5000のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピ
レングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、エチ
レンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリア
ルキレンジオ−ルのうち少なくとも1種から構成される
三元ブロック共重合体である。ポリエステルエステルブ
ロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオ−ル
及び平均分子量が約300〜3000のポリラクトン等
のポリエステルジオ−ルのうち少なくとも各1種から構
成される三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加
水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン
酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2・
6ジカルボン酸、ジオ−ル成分としては1・4ブタンジ
オ−ル、ポリアルキレンジオ−ルとしてはポリテトラメ
チレングリコ−ルの3元ブロック共重合体または、ポリ
エステルジオ−ルとしてポリラクトンの3元ブロック共
重合体が特に好ましい。
【0009】本発明の複合繊維を構成する熱接着成分
は、ソフトセグメントを30重量%以上含有したポリエ
ステルエラストマ−を熱接着成分にする。本発明の好ま
しい熱接着成分のエラストマーは、例えば、グリコ−ル
成分として1−4ブタンジオ−ルおよびポリアルキレン
ジオ−ルがブロック共重合され、且つ、ポリアルキレン
ジオ−ルの共重合量が30重量%以上、80重量%以下
である。エラストマ−とするには、ポリアルキレンジオ
−ルがブロック共重合される必要がある。その事で構造
体が変形を受ける時、比較的大きい応力を集中的に受け
る熱接着部分が変形しても、ゴム弾性が発現して変形力
が解除されると回復できるようにする。このゴム弾性に
由来する回復性はポリアルキレンジオ−ルの共重合量に
比例する。同時に融点と耐熱性が低下していく。ポリア
ルキレンジオ−ルの共重合量が30重量%以下ではゴム
弾性による回復性が劣るので好ましくない。他方80重
量%以上では融点が低下して耐熱性が劣ること、及び粘
着性が発現し加工時の障害になるので好ましくない。本
発明の好ましいポリアルキレンジオ−ルの共重合量は4
0重量%以上70重量%以下、より好ましくは50重量
%以上60重量%以下である。本発明に用いるポリアル
キレンジオ−ルは公知のものを使えるがポリテトラメチ
レングリコ−ルが特に好ましい。好ましい平均分子量は
500以上5000以下、特に好ましくは1000以上
3000以下である。酸成分としてテレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸などを90モル%以上含有す
るのが好ましい。より好ましくはテレフタル酸やナフタ
レン2・6ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特
に好ましくは100モル%である。テレフタル酸やナフ
タレン2・6ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグ
メントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐
熱抗へたり性が向上する。テレフタル酸を90モル%未
満では、ハ−ドセグメントの結晶性が劣るので塑性変形
し易く、且つ、耐熱抗へたり性が劣る。溶融熱成形後更
に結晶化処理したときの耐熱抗へたり性が劣るので好ま
しくない。この理由は明らかではないが、テレフタル酸
含有量が多いと示差走査型熱量計(DSC)による融解
曲線において、融点以下の温度で吸熱ピークをより明確
に発現する。このことから類推するに、疑似結晶化様の
架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているので
はないかとも考えられる。
【0010】本発明の熱接着繊維を構成する非熱接着成
分は、熱接着成分を流動させ熱接着点を形成させる際、
流動させず、マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のあ
る3次元ネットワ−ク構造を形成させる目的のため、非
熱接着成分の融点は熱接着成分の融点より少なくとも3
0℃以上高くする。熱接着成分の融点より30℃未満高
い場合は、熱接着させる温度は、熱接着成分の融点より
10〜30℃高い温度で熱接着成分を流動させ熱接着点
を形成させるので、その際、非熱接着成分も流動して、
マトリックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネッ
トワ−ク構造を形成できなくなるので好ましくない。本
発明の非熱接着繊維の融点は、熱接着成分の融点より3
5℃以上高くするのが好ましく、40℃以上高くするの
がより好ましい。なお、非熱接着成分が形成するマトリ
ックス繊維間を繋ぐ伸長回復性のある3次元ネットワ−
ク構造は弾性回復限界歪みが非弾性ポリマ−繊維よりお
おきく、大きい力による大変形を受けてもゴム弾性の発
現による回復性が良好で、結晶構造形成による疑似架橋
点の耐熱性がよい必要からソフトセグメント含有量は少
なくとも5重量%とするのがよい。ソフトセグメント含
有量が5重量%未満ではエラストマ−特有のゴム弾性が
発現し難く、クッション材に成形した場合、マトリック
ス繊維間を繋ぐ3次元ネットワ−ク構造の伸縮機能が劣
り、クッション材としての繊維構造体のクッション性や
抗へたり性が劣り好ましくない。他方、ソフトセグメン
ト含有量が50重量%を越えると、融点の低下が大きく
なり、熱接着成分の融点を下げる必要から、溶融紡糸時
に融着の問題が発生すると共に、低温での回復性は向上
するがハ−ドセグメント含有量が少なくなり、結晶構造
形成による疑似架橋点の耐熱性が低下するためクッショ
ン材とした場合の耐熱抗へたり性が低下するので好まし
くない。本発明の非熱接着成分における好ましいソフト
セグメント含有量は5〜50重量%、より好ましくは1
0〜45重量%である。ソフトセグメントの平均分子量
はハ−ドセグメントの耐熱性を向上させるため、繰り返
し単位を大きくするのがよく、好ましくは500〜40
00、より好ましくは1000〜3000である。な
お、ハ−ドセグメントの酸成分に結晶性を低下させる成
分、例えばイソフタル酸等を含有させると塑性変形し易
く、かつ融点も低下するので、上述の理由からクッショ
ン材としたときの耐熱性や耐久性が低下する原因になる
ので極力少なくするのが好ましく、含有させないのがよ
り好ましい。
【0011】本発明の複合繊維は潜在捲縮能を有する必
要がある。が潜在捲縮能は未発現の状態も必要である。
潜在巻縮能を付与されているため、熱接着成形直前に、
加熱されコイル状巻縮が発現して熱接着複合繊維同士及
び母材に巻きつき、次いで、更に高温に加熱され熱接着
成分が溶融して接触部が接着し、伸縮性の複合繊維で繋
がったコイル状の3次元ネットワ−ク構造が形成され
る。このため必要な本発明の好ましい複合繊維の潜在捲
縮能は110℃乾熱下でフリ−処理したときに発現する
潜在捲縮能(1/ρ)が2以上である。2以下では母材
への巻きつきが不充分となり、かつ、自身の持つコイル
径も大きくなって、スプリング効果が低下する。本発明
のより好ましい潜在捲縮能は1/ρが3以上である。こ
のような本発明の複合繊維を用いて得たクッション材は
繊維自身の伸縮性とコイルスプリングの伸縮性を兼ね備
えているため、弾力性に富み、かつ繊維クッションでは
従来不可能と思われていた発泡ポリウレタンに近い耐熱
抗へたり性を有することが可能となる。熱接着成分と非
熱接着成分の複合比は好ましくは10/90〜70/3
0である。熱接着成分成分が少ないと接着点のゴム弾性
機能が低下し、弾力性が低下するので好ましくない。他
方、非熱接着成分が少ないと3次元ネットワ−ク構造間
のコイルスプリング機能が低下し、回復性と弾力性が低
下するので少なくとも30%とするのが好ましい。より
好ましい構成比は30/70〜60/40である。潜在
捲縮能を付与する方法は従来公知の方法例えば、サイド
バイサイド型、偏芯シ−スコア型などの構造に紡糸して
得ることができる。次いで延伸する。好ましい延伸条件
は延伸温度を温浴70℃以下で破断延伸倍率の約0.8
〜0.9倍で延伸し、低温で機械捲縮を付与し、機械捲
縮が伸びないように低張力でカッタ−に供給切断するこ
とで得られる。高温で延伸すると潜在巻縮能が低下する
ので好ましくない。また、熱成形前に立体捲縮を発現さ
せてしまうと熱成形時に、巻きつき接着が困難となるの
で好ましくない。また、エラストマ−は粘着性があり、
糸糸の摩擦が高いためカ−ド開繊時開繊が不良となりや
すく、開繊し易い機械捲縮を保持する必要がある。機械
捲縮は捲縮数が5〜30山/インチ、捲縮率が5〜30
%の範囲であるば使用できるが、好ましくは捲縮数が1
0〜25山/インチ、捲縮率が10〜25%である。仕
上げ油剤は摩擦係数が低くなる油剤を使用するのが特に
好ましい。
【0012】本発明における好ましいポリエステルエ−
テルの分子量は、40℃フェノ−ル/テトラクロルエタ
ン混合溶媒中で測定した相対粘度(ηsp/c)が、熱接着
成分では1.8以上である。1.8未満では、流動性は
良くなるが接着点の回復性が低下して繊維構造体とした
ときの耐熱性や耐久性が低下する。2.5以上では流動
性が低下し、熱接着点形成が不充分となりやすい。熱接
着成分のより好ましい相対粘度は2.0以上2.5以下
である。他方、伸縮性の3次元ネットワ−ク構造を形成
する非接着成分は、耐熱性を付与されるため、ハ−ドセ
グメント含有量が熱接着成分より多くなり、相対粘度は
やや低くなる。好ましい相対粘度は1.0以上、より好
ましくは1.5以上とすることで、回復性とタフさを付
与できる特開平4−240219号公報に記載される如
く、本発明ではポリアルキレンジオ−ルの共重合量が多
いため熱安定性が250℃以上の高温では熱分解による
分子量低下が著しくなる。このため本発明では積極的に
抗酸化剤を好ましくは1重量%以上、より好ましくは2
重量%以上5重量%以下含有させる。このような組成と
することで高温での紡糸も可能となり、非接着成分も高
融点のエラストマ−、例えばハ−ドセグメント成分をポ
リブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリブチレンナフタレ−トなどまたは、それらの共
重合成分の繰り返し単位を大きくした融点が220℃以
上のエラストマ−を用いることが可能である。更には、
熱接着を空気中で200℃以上の高温で溶融熱接着せし
めることが可能であり、この時の分子量低下を押さえら
れる。かくして、エラストマ−の分子量を高く保持出来
るので成形品はゴム弾性による回復性も著しく向上す
る。本発明に用いる好ましい抗酸化剤としては、従来公
知のヒンダ−ドフェノ−ル化合物やヒンダ−ドアミン化
合物がある。が特には燃焼時有毒ガスの出ないヒンダ−
ドフェノ−ル化合物が好ましい。なお、本発明の繊維に
用いるポリエステルエラストマ−は例えば特開昭55−
120626号公報等の従来公知の方法で得ることがで
きるが、抗酸化剤は重合時多量に添加すると昇華して重
合缶の詰まりなどのトラブルとなり、かつ添加効果が激
減するので、重合後加圧下で練込むか、一旦ペレット化
後2軸押出機などを用いて練り込むのが好ましい。
【0013】本発明の複合繊維は、単独で不織布、クッ
ション材等の繊維集合体にしてもよいが、該複合繊維を
5重量%以上含む他繊維(母材)との混合集合体にして
も良い。好ましい混合母材としては、PET、PEN,
PCHDT等の高融点高結晶性のポリエステル及びPB
Tからなる繊維があり、接着性も良好であり、優れたク
ッション性、優れた耐熱耐久性、着用時蒸れにくい、及
びリサイクルが可能なポリエステル系クッション材とな
る繊維集合体を容易に製造することが可能である。な
お、本発明の複合繊維を含有する繊維集合体を熱成形前
に任意の密度に圧縮し、加熱処理して捲縮発現によるに
よる絡まり点をつくり、絡まり点および接触点を融着一
体化するには、熱接着成分の融点より10〜120℃高
く、好ましくは前述の理由から20〜100℃高い温度
で熱成形して任意の密度や硬さの繊維成形体をえられ
る。次いで一旦冷却固化させた後、熱接着成分の融点よ
り少なくとも10℃以上低い温度で熱処理すると、好ま
しくは10%以上の歪みを付与して熱処理すると、融着
処理のみのものよりクッション性、耐熱耐久性が格段に
向上する。なお、接着成分の酸成分に非晶性となる成分
が多く含まれるほどこの効果は著しく減少する。
【0014】
【実施例】以下に実施例で本発明を具体的に詳述する。
【0015】実施例及び比較例 ポリエステルエラストマ−の作成 酸成分としてジメチルテレフタレ−ト(DMT)又はお
よびジメチルイソフタレ−ト(DMI)、ジメチレンナ
フタレ−ト(DMN)とグリコ−ル成分として1−4ブ
タンジオ−ルとソフトセグメントとしてポリテトラメチ
レングリコ−ル(PTMG)を少量の触媒と安定剤とと
もに仕込み、公知の方法にてエステル交換反応後昇温減
圧しつつ重縮合してポリエステルエ−テルブロック共重
合エラストマ−を生成した。生成したポリエステルエ−
テルブロック共重合エラストマ−をペレット化し後加熱
真空乾燥し、抗酸化剤としてチバガイギ−社製アイオノ
ックス330を3重量%混合して再度溶融混練りし、ペ
レット化したものを乾燥した加熱不活性ガスにて水分を
充分に除去し熱接着成分に供した。得られたポリエステ
ルエ−テルエラストマ−の処方及び融点を表1に示す。
比較のため、酸成分としてジメチルテレフタレ−ト(D
MT)とジメチルイソフタレ−ト(DMI)をグリコ−
ル成分としてエチレングリコ−ル(EG)を共重合した
非エラストマ−の低融点ポリエステルを作成した。特性
を表−1に併記する。
【0016】
【表1】
【0017】熱接着繊維の作成 得られたエラストマ−を鞘成分及び芯成分に、または、
PET又はPBTを芯成分にし、鞘/芯の重量比を50
/50で偏芯になるように常法により紡糸温度を260
℃〜285℃にて紡糸し未延伸糸を得た。なお、偏芯の
程度は、繊維の中心から芯部の中心までの距離Lを繊維
の半径Rで徐した値(L/R)で0.15となるように
した。次いで、50℃の温浴で3.4倍に延伸し、仕上
げ油剤を付与した後クリンパ−にて機械捲縮を付与し、
機械捲縮が伸びない張力でカッタ−に供給し51mmに切
断して4デニ−ルの熱接着複合短繊維を作成した。得ら
れた繊維の特性を表2に示す。潜在捲縮能(1/ρ)は
110℃でフリ−処理したときの発現螺旋の曲率半径の
逆数で示す。なお、比較のため偏芯させないでエラスト
マ−を鞘成分及び芯成分にした複合繊維も作成した。特
性を表−2に併記する。
【0018】
【表2】
【0019】得られた機械捲縮を持つ熱接着複合短繊維
を30%と、常法にて作成した13デニ−ルの中空で外
側に突起を3個有する断面で立体捲縮を有するPET短
繊維を70%とをカ−ドにて混繊−開繊して得たウエッ
ブを密度0.04g/cm3 となるよう圧縮し、150℃
〜210℃の熱風で5分間熱処理し、平板のクッション
材を成形し、又は、密度0.03g/cm3 となるよう圧
縮し200〜210℃の熱風で5分間熱処理し、一旦冷
却後、密度が0.04g/cm3 となるよう圧縮し、10
0℃の熱風で30分熱処理し冷却してクッション材を成
形した。得られたクッション材の特性を表3に示す。な
お、70℃の圧縮残留歪み、常温での繰り返し圧縮残留
歪み及び、反発弾性はJISK−6401の方法によ
る。
【0020】
【表3】
【0021】本発明の熱接着複合繊維を用いて作成した
クッション材(実施例1〜3)は優れたクッション性、
優れた高温の耐熱抗へたり性、及び常温でも優れた抗へ
たり性を示す。比較例1は、熱接着成分にエラストマ−
を用いているが、非熱接着成分に非エラストマ−を用い
ているため耐熱耐へたり性が劣る例である。比較例2は
融点差が少ないため、熱成形時に非熱接着成分も溶融
し、エラストマ−繊維の3次元ネットワ−クを形成出来
ないため耐熱耐へたり性が劣る例である。比較例3は熱
接着成分のソフトセグメント量が少ないため耐熱耐へた
り性が劣る例である。比較例4は非エラストマ−を使っ
た複合繊維の例で、エラストマ−使いのものに比べ耐熱
耐へたり性及び常温での抗へたり性が著しく劣る例であ
る。比較例5は潜在巻縮能を持たないため耐熱耐へたり
性が劣る例である。このように本発明の要件を外れるも
のは、耐熱耐へたり性及び常温での抗へたり性が劣るも
のとなる。
【0022】
【発明の効果】本発明の熱接着複合繊維は、クッション
材などに他繊維を母材に用いたときに螺旋捲縮が母材の
巻きつき且つ接着して強固且つ伸縮性の良い接着点を形
成すると同時に発現した螺旋がスプリングの作用をし
て、従来にない優れたクッション性、優れた高温の耐熱
抗へたり性、及び常温でも優れた抗へたり性を示す。特
にポリエステル繊維とは接着性が良好であり、上記性能
がより向上できるとともに透湿透水性も保持できるので
蒸れの少ない快適な座席を提供できる。また、分離しな
くてもそのまま回収再加工が可能であり、特に、自動
車、電車、船舶等の座席に適している。さらには、ベッ
ド、家具にも適したものになる。クッション材用途以外
に、捲縮発現が著しく良好な特性と伸縮性の良好な接着
点形成を活用して、低目付け、高目付けを問わず伸縮可
能な不織布用途、例えば、衛材基布、肩パットやブラジ
ャ−カップ、合成皮革基布や立毛布帛用基布、衛材用パ
ッド類、伸縮性保温材、座席用伸縮可能で通気性良好な
接着ワデング層や内装材の接着不織布等等にも広く適用
できる。さらには、紡績が可能であり、紡績糸や飾り糸
等衣料用途途にも適用できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマーよるなる熱接着成
    分と非熱接着成分との複合繊維であり、熱接着成分がソ
    フトセグメント含有量30重量%以上高い融点を有する
    熱可塑性エラストマーであり、非熱接着成分が上記熱接
    着成分の融点より30℃以上高い融点を有する熱可塑性
    エラストマーよりなり、且つ潜在捲縮能にもとづく立体
    捲縮が未発現であることを特徴とするエラストマー系熱
    接着複合繊維。
  2. 【請求項2】 ソフトセグメントを30重量%以上含有
    したポリエステルエラストマーを熱接着成分とし、熱接
    着成分の融点より少なくとも30℃高い融点を有するポ
    リエステルエラストマーを非熱接着成分として、非熱接
    着成分の融点より少なくとも20℃以上高い温度で複合
    紡糸して潜在捲縮能を付与し、延伸後、または次いで機
    械捲縮を付与して、機械捲縮を引き延ばさない程度の張
    力でカットすることを特徴とするエラストマー系熱接着
    複合繊維の製法。
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