JP4269387B2 - 熱接着繊維およびクッション材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱接着繊維およびこれを用いたクッション材に関し、詳しくは、本発明は、特定融点範囲を有する脂肪族ポリエステルが少なくとも繊維表面の一部に露出してなる熱接着繊維、およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッション材に関する。特に、本発明は、車両用などの高温度下に晒される機会の多い用途に対し、高熱耐へたり性と快適性を有するクッション材に好適に用いられる熱接着繊維およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッション材に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでクッション材には主としてポリウレタンフォームが使用されてきたが、リサイクルできない点や通気性が悪く快適性の面でも問題があり、近年ポリエステル繊維を主体とした繊維クッション材が提案されている。
【0003】
従来、繊維クッション材として、特開昭57−101018号公報、特開昭58−31150号公報および特開平3−220354号公報等で、ポリエステル系の繊維を溶融接着させたクッション材が提案されているが、これらのクッション材は、非晶性の低融点接着成分を接着剤に使うものであるために接着部分が脆く、40℃以上の雰囲気での塑性変形が激しい。このため、例えば70℃条件下等での高熱耐へたり性が著しく劣り、また残留歪みが低く、一般に車両用では使用不可能なものであった。
【0004】
また、車両用クッション材の高熱耐へたり性を向上させることを目的として、例えば、特開平5−247724号公報および特開平5−247819号公報等で、芯鞘構造からなり熱接着成分の鞘部にポリエステルエラストマーを用いた熱接着繊維と、その熱接着繊維を用いたクッション材が提案されているが、鞘部に用いられるポリエステルエラストマーの耐熱性が考慮されていないため、比較的高い温度雰囲気下に長時間晒されると接着部が劣化して耐久性が劣る欠点がある。
【0005】
更に、特開平6−165884号公報と特開平7−54253号公報には、ガラス転移温度が80℃以上、融点が150℃以上のポリエステル繊維を母材繊維として用い、融点が80℃以上の共重合ポリエステル系熱接着繊維で接合したポリエステル固綿が開示されているが、熱接着繊維については融点の記載のみである。クッション材の70℃耐へたり性を向上させるためには、クッション材を構成する母材繊維のガラス移転温度と融点も影響するが、耐へたり性を支配するのは、本発明者らの各種検討によれば、熱接着繊維が非晶性ポリマーの場合は、ガラス転移温度と融点の関係が重要であり、結晶性ポリマーの場合は、融点範囲が重要なものである。
【0006】
すなわち、一般的な非晶性ポリマーの場合は、結晶融点を有さず、融点よりかなり低温のガラス転移温度以上で軟化・融解が始まる。そのため、ガラス転移温度と融点の関係をより特定化した非晶性ポリマーであって初めて70℃耐へたり性を向上させ得ることが可能となる。
【0007】
一方、上記のような非晶性ポリマーの欠点を改良するため、結晶性を有するポリマーや共重合ポリエステルを用いた検討もなされてきたが、耐熱性や溶融紡糸時の糸切れの面で未だ十分な性能を満足するものが得られていなかった。
【0008】
従って、従来技術では、通常の雰囲気下で用いられる熱接着繊維およびクッション材は得られたとしても、特に高温に晒される車両用クッション材等の分野において高熱耐へたり性が満足したクッション材を提供することはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術では達成できなかった、高熱耐へたり性と快適性を有するクッション材に好適に用いられる熱接着繊維およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッション材を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明の熱接着性繊維は、鞘成分に融点130℃以上200℃以下のL−乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステルを用いた芯鞘型複合繊維であり、かつ180℃における乾熱収縮率が8.0%以上15%以下、収縮応力が200mg/d以下であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のクッション材は、母材繊維が上記熱接着繊維により点接合されており、好適には70℃耐へたり性が70%以上のクッション材である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の熱接着繊維は、融点130℃以上200℃以下の脂肪族ポリエステルが少なくとも繊維表面の一部に露出してなることを特徴とする熱接着繊維である。
【0014】
本発明の熱接着繊維において、少なくとも繊維表面の一部に露出して用いられる重合体は、融点が130℃以上200℃以下の脂肪族ポリエステルであることが重要である。一般に、脂肪族ポリエステルは融点が低く、結晶化速度が遅いため、紡糸時の冷却性が劣り、糸切れや糸条の融着が生じ易く、製糸性が著しく悪化する傾向にあった。従って、130℃未満の脂肪族ポリエステルを用いてクッション材を成形しても、高熱耐へたり性に劣り使用可能なものは得られなかった。
【0015】
一方、その融点範囲が130℃以上200℃以下であれば、脂肪族ポリエステルの有するシャープな融点ゆえにクッション材を容易に成形でき、且つ、70℃耐へたり性試験を行っても、接着部分に何ら変化を生ずることがなく、他の芳香族ポリエステルポリマーや芳香族ポリエステルポリマーに脂肪族成分を共重合させたポリマーなどと比べ、70℃耐へたり性の向上が認められるのである。 融点が130℃よりも低い脂肪族ポリエステルの場合には、製糸時、特に紡糸時に単糸間の融着が著しくなり、更に延伸性不良が発生するなど製品品位が著しく損なわれる。好ましくは融点は150℃以上である。また、融点が200℃を超えると、クッション材等の成形体を作成するときの成形温度を高く設定する必要が生じ、その結果、クッション材等の母材繊維が軟化・融解し、高熱耐へたり性が低下してしまうのである。また、クッション材の風合いも硬くなってしまう。
【0016】
ここで、融点とはDSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。
【0017】
本発明において、熱接着繊維の180℃における乾熱収縮率は8.0%以上15%以下である。乾熱収縮率が15%より大きいと、熱成形を行った場合の収縮が大きくなり、成形体の幅出しが困難となり、風合いも硬化する傾向がある。
【0018】
また、熱接着繊維の収縮応力は220mg/d以下であ。繊維の収縮は乾熱収縮率とともに収縮応力が肝要である。熱接着繊維の収縮応力が220mg/dを超えると、上記と同様に成形体の幅出しが困難となり、風合いも硬化する傾向にある。
【0019】
本発明の熱接着繊維は、複合繊維の形態で用いられる。断面形状としては、芯鞘型(同心、偏芯)である。この芯鞘型(同心、偏心)の場合、脂肪族ポリエステルが鞘部を構成している。
【0020】
本発明の熱接着繊維は、複合繊維等の形で紡糸後、次いで延伸、捲縮付与して、更に所望の繊維長に切断し得ることができる。
【0021】
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が130℃以上200℃以下であれば特段の制約はなく、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレンド物、変性物等を用いることができる。本発明ではこのような脂肪族ポリエステルを用いることによって、芳香族ポリエステル繊維とは異なり、良好なソフト感を呈する。この良好なソフト感は、脂肪族ポリエステル繊維のヤング率が芳香族ポリエステル繊維のヤング率に比べ明確に低いことに起因している。また、これら脂肪族ポリエステル類は生物分解性或いは加水分解性が高いため、自然環境中で容易に分解されるという利点をも有している。
【0022】
融点、ガラス転移温度の観点から最も望ましいポリマーとしては、L−乳酸を主成分とするポリエステルであるポリ乳酸を挙げることができる。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸よりなっていることを意味しており、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。
【0023】
ポリ乳酸の製造方法には、乳酸を原料として一旦環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られた物であってもよい。ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.1wt%以下とすることが望ましい。直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適であるといえる。
【0024】
ポリ乳酸の平均分子量は高いほど好ましく、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜30万である。平均分子量が5万よりも低い場合には、繊維の強度物性が低下するため好ましくない。
【0025】
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
【0026】
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートおよびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤、着色顔料等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
【0027】
本発明の熱接着繊維の横断面の形状は、円形であっても異形であっても良いが3葉以上の異形断面繊維であることが好ましい。3葉以上の異形断面繊維とすることで繊維の表面積が増えるため、成形体作製時の熱成形が容易に行える他、接着面積の増大により接着がより強固に行えるようになる。
【0028】
本発明で用いられる異形断面繊維は、公知の溶融紡糸装置にて口金孔をそれぞれ対応する異形断面用とすることにより製造することができる。例えば、3葉断面繊維を得る場合には、最終吐出孔を公知のT字型或いはY字型口金孔を有する口金を用いればよい。また、異形度をより大きくするためには口金面深度を小さくする方法、或いは冷却を強化する方法などを用いることができる。
【0029】
上述の本発明の熱接着繊維は、繊維クッション材を構成する繊維として好適に使用することができる。繊維クッション材は通常、母材繊維と熱接着繊維で構成される。
【0030】
熱接着繊維の繊維長は、通常のステープル長である30〜100mmであればよく、更にその単繊維繊度は通常1〜20デニールであればよい。また、熱接着繊維が芯鞘型等の複合繊維の場合には、例えば、芯部にポリエチレンテレフタレートを用い、鞘部に脂肪族ポリエステルを用いることができる。熱接着繊維の複合比率は10/90〜90/10が好ましく、更に好ましくは40/60〜60/40である。
【0031】
本発明のクッション材中における熱接着繊維の好ましい含有量は、5重量%以上40%重量以下、より好ましくは10重量%以上30重量%以下である。5重量%より少ないときには、クッション材中に熱接着点として形成される3次元網目構造が少なく、歪が加わったときに物理的変形が生じ、耐ヘタリ性、耐久性、クッション性が著しく低下してしまうので好ましくない。また、40重量%を超えると、熱接着点が増える点は好ましい。しかしながら、歪が加わったときの変形に対して、耐へたり性と耐久性を受け持つ母材繊維が60%未満となるので、歪が加わったときの変形に対して、耐ヘタリ性、および耐久性が著しく低下してしまう傾向がある。
【0032】
また、従来の熱接着繊維では、延伸後、クリンパーにてスチーム処理しながら機械捲縮を付与する際に膠着するため、捲縮付与を室温で行うことを余儀なくされ、捲縮も十分に付与できなかった。これに対し、本発明で用いられる好ましい熱接着繊維は、従来のものと異なり、高くてシャープな融点範囲を有しているため、上記の方法で十分な熱によりセットされた機械捲縮を付与することができる。
【0033】
すなわち、従来の非晶性の熱接着繊維では、軟化・融解範囲が低いため、捲縮を十分に付与することが困難であったため、捲縮率も低く、且つ、ウエブの作製時にも捲縮形態が変形し易い欠点があった。従って、母材繊維と熱接着繊維同士が絡み合うことにより形成される接着点を増やすことに限界があったのである。
【0034】
本発明においては、強固な捲縮が十分付与された熱接着繊維を用いることにより、母材繊維と熱接着繊維の熱接着点が増加し、接合点を一層強固ならしめることができる。また、下記するように繊維長を短くした際にも、抜け落ちることが少ない。
【0035】
このように本発明の熱接着繊維を使用すれば、クッション材全体が3次元コイルスプリング状網目構造となるので、どのような方向に大変形を与えられても個々の繊維のコイルが少しずつ変形して力や歪を吸収でき、高熱耐へたり性が維持できるのである。
【0036】
また、熱接着繊維にガラス転移温度が75℃以上の重合体を用いるのと同様に、母材繊維にもガラス転移温度が75℃以上の繊維を用いることが好ましい。更に、高い耐熱耐へたり性を得るためには、ガラス転移温度は80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上である。
【0037】
本発明でいう母材繊維を構成する重合体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましいが、PET以外に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびその共重合体などの高いガラス転移温度を持つポリエステルが好適に用いられる。
【0038】
また、本発明のクッション材は、70℃耐へたり性が70%以上の好ましい特性を有する。70%未満であれば、夏場など高温雰囲気下で荷重を受けたとき、クッション材がへたり易く歪回復しないため、本発明の所期の効果を十分に得ることができないことがある。
【0039】
本発明者らの知見によれば、本発明に係る熱接着繊維を少なくとも5%以上使用したクッション材は、70℃耐ヘタリ性は70%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。
【0040】
クッション材の密度は、特に限定されないが、0.02〜0.06(g/cc)の範囲内とすることが好ましい。
【0041】
本発明のクッション材は、母材繊維と熱接着繊維で構成され、これらを一定の混綿率で混ぜてカード機で一度開繊した後、ウエブを積層して一定の密度となるように圧縮し、熱処理機内200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却することによって得ることができる。
【0042】
本発明のクッション材は、特に高温下に晒される車両用途等に好適である。車両用途としては、主に電車、自動車などのシート用クッション材が挙げられるが、他の用途としては、自動車の天井材、ダッシュインシュレーター、およびフロアインシュレーターなどにも好適に用いることができる。
【0043】
【実施例】
本発明で定義する各特性値は以下の方法で求めた。
【0044】
(1)ガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、窒素気流下15℃/分の昇温温度で測定し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0045】
(2)融点(Tm)
パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC−7)を用いて、窒素気流下15℃/分の昇温温度で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点とした。
【0046】
(3)乾熱収縮率(%)
母材繊維試料の両端をクリップでつかみ、合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、原長L1(cm)を求める。クリップ間を十分ゆるめ、無荷重状態で180℃のオーブン中で15分間処理し、処理後の試料に合計が300mg/dとなる初荷重を掛け、処理後の長さL2(cm)を測定する。乾熱収縮率は次式によって求める。試験回数は15回とし、その平均値で求める。
【0047】
乾熱収縮率={(L1−L2)/L1}×100(%)
(4)収縮応力(mg/d)
カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速度150℃/分の条件で測定した。サンプルは10cm×2のループとし、初期張力は繊度(デニール)×(1/30)gfとした。
【0048】
(5)溶融粘度
東洋製機(株)社製キャピログラフを用いて260℃における専断速度と溶融粘度との関係を測定した。測定にはL/D=10/1(mm)のダイを使用し、専断速度1000sec-1のときの粘度をもって、その試料の溶融粘度とした。
【0049】
(6)70℃耐へたり性
クッション材を測定サンプルとして立方体(10×10×10cm)に切り出し、平行平面板(タテ×ヨコ=15×15cm)を用いて測定した。
【0050】
クッション材からの切り出し法は、クッション材内部の繊維配列からみて、クッション成形時に繊維が圧縮されてなる方向を判断し、その圧縮された方向と立方体の1面が実質的に平行となるように切り出す。但し、厚さ等が10cmに満たないもののときには、複数枚のものを重ねることなどにより、10cmになるようにして上記立方体を作製する。
【0051】
へたり試験での圧縮は、成型体を作製する際にウエブを圧縮した方向と同じ方向を有する面方向下において、厚さ50%になるまで圧縮し(側面は、フリー状態)、その状態で70℃乾熱中に22時間保持後、平行平面板よりはずして歪を開放し圧縮作用を止め、さらに、そのまま常温中(約30℃)に移し、そのままの状態で1日(24時間)放置(静置)した後の厚みli(cm)と処理前の元の厚みl0(cm)から、{(li/l0)×100)}(%)で求めた。
【0052】
厚みは、0.1cm単位で測定し、n数は5とした。
【0053】
(7)クッション性(ソフト性、弾力性)
10人のパネラーが手で押したときの風合い(ソフト性、弾力性)をランクづけで、非常に良好(10点)、良好(8点)、普通(5点)、不良(0点)として評価し、その平均点が8点を越える場合をクッション材の風合いとして非常に良好◎とし、7点以上8点以下を良好○、4点以上〜7点未満を普通△、4点未満を不良×として評価した。
【0054】
実施例1〜および比較例1〜3
複合繊維の1成分(鞘成分)として260℃、1000sec-1における溶融粘度が1200poiseであり、融点が168℃である表1、2に示した組成のポリ乳酸のチップを、60℃にて48時間真空乾燥したチップをブレッシャーメルター型紡糸機にて、メルター温度250℃にて溶融し、他成分(芯成分)として用いる重合体(ポリエチレンテレフタレート;PET)を290℃で溶融し、複合比率=50/50の重量比率で通常の紡糸機より紡糸温度292℃で紡糸口金より吐出し、1350m/minの速度で巻取った。続いて、得られた未延伸糸を合糸して80℃温浴中で延伸倍率3.0倍で延伸後、引き続き仕上油剤を付与後、機械捲縮を付与した後、51mmに切断した。なお、L−乳酸/D−乳酸の共重合率、融点、乾熱収縮率、収縮応力、および断面形状などを表1、2のように変えて熱接着繊維を得た。
【0055】
次に、母材繊維として6デニール、繊維長64mmの中空断面立体捲縮を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、上記で得られた熱接着繊維の混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを積層して目付4000g/m2となし、厚み10cmまで圧縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却してクッション材を得た。クッション材の評価結果も表1、2に併せて示した。
【0056】
【表1】
Figure 0004269387
【0057】
【表2】
Figure 0004269387
実施例1〜3は融点が本発明でいう130℃以上の熱接着繊維を用い、クッション材を作製したものである。これらのクッション材は、クッション性および70℃耐へたり性が共に良好であった。特に融点150℃を以上の水準(実施例1,2)で70℃耐へたり性が良好になる傾向を示した。
【0058】
一方、比較例1の融点110℃の熱接着繊維を用いたクッション材は、クッション性は良好なものの70℃耐へたり性が低く歪回復性に劣るものであった。また、製糸時に糸切れや糸条の融着が生じ製糸性が著しく悪化する傾向にあった。
【0059】
比較例2、3の熱接着繊維は乾熱収縮率、収縮応力が高く、成形後のクッション材のサイズが収縮してしまい幅出しが困難で、その上クッション風合いも硬化する傾向にあった。70℃耐へたり性は共に良好であったが、乾熱収縮率、収縮応力が高い水準(比較例3)は70℃耐へたり性の値が低くなる傾向にあった。
【0060】
実施例4、5は、断面形状を三葉と五葉とした水準であり、クッション性も良好な上、70℃耐へたり性の値にも向上が見られた。
【0061】
以上の結果から明らかなように、本発明で規定する熱特性を有する脂肪族ポリエステルを用いた熱接着繊維を使用したクッション材は、クッション性、及び70℃における耐ヘタリ性が共に良好であるが、本発明以外の熱接着繊維を用いたクッション材はクッション性、70℃耐ヘタリ性の双方を満足できないことが明らかである。
【0062】
比較例4〜7
複合繊維の1成分(鞘成分)として表3に示すPHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBS(ポリブチレンサクシネート)、PCL(ポリカプロラクトン)を用い、ブレッシャーメルター型紡糸機にて、他成分(芯成分)として用いる重合体(ポリエチレンテレフタレート;PET)とともに溶融し、複合比率=50/50の重量比率で通常の紡糸機より紡糸温度292℃で紡糸口金より吐出し、1350m/minの速度で巻取った。続いて、得られた未延伸糸を合糸して80℃温浴中で延伸倍率3.0倍で延伸後、引き続き仕上油剤を付与後、機械捲縮を付与した後、51mmに切断した。なお、融点、乾熱収縮率、収縮応力、断面形状などを表3に示した。
【0063】
次に、母材繊維として、6デニール、繊維長64mmの中空断面立体捲縮を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、得られた熱接着繊維の混綿率30%で混綿し、カードで開繊後、ウエブを積層して目付4000g/m2 となし、厚み10cmまで圧縮して200℃の熱風で30分間熱成形後、冷却してクッション材を得た。クッション材の評価結果も表3に併せて示した。
【0064】
【表3】
Figure 0004269387
比較例は融点が146℃の芳香族ポリエステルであるPHT(ポリヘキサメチレンテレフタレート)を鞘成分とした熱接着繊維である。成形したクッション材のクッション性は良好であったが、70℃耐ヘタリ性の値は低く性能を満足するクッション材は得られなかった。比較例は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)を鞘成分とした熱接着繊維である。成形したクッション材は柔らかすぎて、いわゆる接着力不足の状態であった。比較例は、PBS(ポリブチレンサクシネート)を鞘成分とした熱接着繊維である。成形したクッション材のクッション性は良好であったが、比較例と同様に70℃耐ヘタリ性の値は低く性能を満足するクッション材は得られなかった。比較例では、PCL(ポリカプロラクトン)を鞘成分として紡糸を行ったが、融着による糸切れが頻発し、紡糸ができなかった。
【0065】
以上の結果から明らかなように、本発明で規定する融点範囲を有する脂肪族ポリエステルを用いた熱接着繊維繊維を使用したクッション材は、クッション性、及び70℃における耐ヘタリ性が共に良好であるが、本発明で規定した以外の熱接着繊維を用いたクッション材はクッション性、70℃耐ヘタリ性の双方を満足できないことが明らかである。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、特に車両用などの高温度下に晒される機会の多い用途に対し、高熱耐へたり性と快適性を有するクッション材に好適に用いられる熱接着繊維およびその熱接着繊維を少なくとも一部に用いたクッション材が得られる。特に、本発明の熱接着繊維を好適な母材繊維と併用することによって、70℃耐へたり性が70%以上であるクッション材が得られる。

Claims (5)

  1. 鞘成分に融点130℃以上200℃以下のL−乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステルを用いた芯鞘型複合繊維であり、かつ180℃における乾熱収縮率が8.0%以上15%以下、収縮応力が200mg/d以下であることを特徴とする熱接着繊維。
  2. 断面形状が3葉以上の多葉断面形状である請求項1に記載の熱接着繊維。
  3. 母材繊維が請求項1または2に記載の熱接着繊維により点接合されているクッション材。
  4. 母材繊維のガラス転移温度が75℃以上である請求項3記載のクッション材。
  5. 熱成形により一体構造化されたクッション材であって、70℃における耐へたり性が70%以上である請求項3または4記載のクッション材。
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