JP4033698B2 - ポリ乳酸系複合繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌や大気中で生分解し、詰め綿用途、クッション材用途、不織布用途等に好適に使用されるポリ乳酸系複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生活資材、農業資材、漁業資材、土木資材、工業資材等に使用されている繊維としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド等の合成繊維が挙げられる。これらの繊維は、使用後自然界に放置されても分解され難く、そのために種々の問題が生じている。例えば、これらの生活資材、農業資材、土木資材等は分解され難いため、使用後は土中に埋める、焼却する等の処理が必要となり、土中に埋めても、生分解性が低いためにその廃棄には制限があった。また、漁業資材は、水中に放置されることがあり、海洋を汚染する等の問題があった。このような問題を解決するために、土中又は水中で分解される素材を用いることが考えられてきたが、未だ十分なものは得られていない。
【0003】
従来の生分解性ポリマーとしては、セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の多糖類、タンパク質、ポリ3−ヒドロキシブチレートや3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体等の微生物により作られるポリマー、ポリグリコリド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステルが知られている。主に使用されているセルロース系のコットン、再生セルロースは安価であるが、熱可塑性でないためバインダーを必要とし、このバインダー繊維としてポリオレフィン、ポリエステル繊維等を用いるため、生分解され難いという問題があった。
【0004】
微生物により作られるポリ3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共重合体等は、高価であるため用途が限定され、強度が低いという問題もあった。また、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサシサクシネートは、溶融紡糸可能な熱可塑性の生分解性ポリマーであるが、融点が低く、耐熱性という点で問題があった。さらに、同様に熱可塑性の生分解性ポリマーであるポリ乳酸は、溶融紡糸が容易で耐熱性もあるが、嵩高性、風合いなどの面で不満足な点があり、その改善が望まれている。
【0005】
一方、ポリエステル繊維の中でも、中心部を空洞にした中空繊維は嵩高性に優れており、掛布団や敷布団等の詰め綿用途、クッション用等の分野において広く用いられている。さらに、溶融粘度の異なる二種類のポリエステルをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維は、スパイラル捲縮を発現し、優れた嵩高性及び嵩の耐久性を有しているが、生分解性を有していないため、これらのポリエステル繊維を使用した掛布団、敷布団、クッション等を廃棄した場合には、焼却により処分するのが一般的であり、これらの製品は、自然環境に対して負荷が高いのが現状である。
【0006】
これらの問題を解決するために、特開平9−209216号公報では、溶融時の吸熱量が異なる脂肪族ポリエステルを単繊維内で偏心的に接合させた自発捲縮複合繊維が提案されているが、この繊維は結晶性の低い樹脂を用いているため、耐熱性において問題があり、また、ポリ乳酸にポリエチレングリコール等を共重合するため重合コストが高く、さらに、繊維の嵩高性も十分なレベルではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、土壌や大気中で生分解性を有し、紡糸性が良好で、かつ、この繊維を使用した製品に優れた嵩高性を付与することができ、詰め綿用途、クッション材用途、不織布用途などに好適に使用されるポリ乳酸系複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(a)高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイドバイサイド型に配した複合繊維であり、前記複合繊維の断面において中空度10〜40%の中空部を有しており、かつ、スパイラル状捲縮発現後の初荷重時比容積が80cm/g以上、荷重時比容積が10cm/g以上であり、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記式 (1) (3) を満足することを特徴とするポリ乳酸系複合繊維。
10000≦MA−MB≦40000 (1)
60000≦MA≦90000 (2)
50000≦MB≦80000 (3)
ただし、MA:ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量
MB:ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量
(b)ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記式 (4) を満足することを特徴とする上記( a )記載のポリ乳酸系複合繊維。
ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度≧98% (4)
(c)繊維表面にシリコン系油剤が付着していることを特徴とする上記(a)又は(b)記載のポリ乳酸系複合繊維。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系複合繊維は、高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとを、サイドバイサイド型に配した複合繊維である。
本発明でいうポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物である。ポリ乳酸を製造するための乳酸としては、D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。ポリ乳酸を主体とする共重合物としては、乳酸(D体のみ、L体のみ、D体とL体の混合物のいずれでもよい。)と、例えばε−カプロラクトン等の環状ラクトン類、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸等のα−オキシ酸類、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類、コハク酸、セバシン酸等のジカルボン酸類から選ばれるモノマーの一種又は二種以上とを共重合したものが挙げられる。共重合の割合としては、乳酸100質量部に対して、共重合させるモノマーは10質量部以下が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0010】
本発明の複合繊維は、横断面における中空度が10〜40%であることが必要である。中空度とは、中空複合繊維の中空部を含む全断面積に占める中空部の比率である。中空度が10%未満では嵩高性に乏しくて目的の性能が得られず、中空度が40%を超えると、中空割れを生じたり中空部分が潰れやすくなり、この繊維を使用した製品のクッション性が低下する傾向を示す。
【0011】
また、本発明の複合繊維は、スパイラル状捲縮発現後の初荷重時比容積が80cm3 /g以上、好ましくは100cm3 /g以上であることが必要であり、荷重時比容積は10cm3 /g以上、好ましくは25cm3 /g以上であることが必要である。これらの両比容積が上記値未満では、繰り返し使用したり、人などの高い荷重が加わった場合の嵩回復性に劣るものとなる。
【0012】
前述したように、本発明の複合繊維は、高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとを、サイドバイサイド型に配した繊維であり、両樹脂間の分子量の差により生じる、延伸や熱処理時の収縮率差を利用して、スパイラル状の捲縮を発現させるものである。ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bの分子量の差は大きい程、捲縮発現には有利であるが、分子量の差が大きすぎると、紡糸時にニーリングが生じ、紡糸安定性が悪くなる。また分子量の差が小さすぎると、捲縮の発現性が低下する。
【0013】
本発明において、紡糸性と捲縮発現性ともに良好な複合繊維とするには、ポリ乳酸樹脂A、Bが前記(1) 〜(4) 式を満足することが好ましい。
まず、複合繊維が良好な捲縮性能を有するためには、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差は前記(1) 式のように10000〜40000、特に15000〜35000とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差が10000未満になると、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bの分子量差が小さく、発現するスパイラル捲縮が不十分となり好ましくない。また、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差が40000より大きいと、溶融時の粘度差が大きくなり、ニーリングにより紡糸性が悪くなるため好ましくない。
【0014】
また、高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量は、前記(2) 式のように60000〜90000とすることが好ましい。高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が90000より大きいと、溶融時に高粘度となり、製糸性が悪くなるので好ましくない。また、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が60000より小さいと、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差を10000以上とするためには、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量が50000未満となり、製糸性が悪くなるので好ましくない。
【0015】
さらに、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量は、前記(3) 式のように50000〜80000とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量が50000未満になると、溶融時に低粘度となり、製糸性が悪くなるので好ましくない。また、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量が80000より大きいと、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差を10000以上とするためには、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が90000より大きくなり、製糸性が悪くるので好ましくない。
【0016】
複合繊維におけるポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bの複合比率は、体積比で30:70〜70:30、特に40:60〜60:40とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Aの複合比率が30体積%より少ないと嵩高性と耐ヘタリ性に優れた中空複合繊維が得られ難くなり、ポリ乳酸樹脂Aの複合比率が70体積%よりも多い(ポリ乳酸樹脂Bの複合比率が30体積%よりも少ない)と、中空複合繊維に潜在捲縮能が付与され難くなる。
【0017】
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度を前記(4) 式のように98%以上とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度が98%に満たないとポリ乳酸樹脂の融点が低下し、耐熱性が低下するので好ましくない。本発明でいうポリ乳酸樹脂の光学純度とは、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸が、L−乳酸を主体とする場合には、全乳酸におけるL−乳酸の含有率で表し、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸が、D−乳酸を主体とする場合には、全乳酸におけるD−乳酸の含有率で表す。例えば、ポリ乳酸がL−乳酸を95%、D−乳酸5%からなる場合には、このポリ乳酸樹脂の光学純度は95%となる。
【0018】
本発明のポリ乳酸系複合繊維の形態は、長繊維、短繊維のいずれでもよいが、短繊維として詰め綿用途、クッション材用途、不織布用途等に用いれば、繊維の特徴を最大限に発揮させることができる。
【0019】
本発明の複合繊維を枕や布団用途などの寝装寝具用途などに使用する場合は、繊維の摩擦を下げ、ソフトな風合いと良好なクッション性を得るために、繊維にシリコン系油剤を付与して繊維表面を前記油剤で被覆することが好ましい。シリコン系油剤の付着量は、用途に応じて適宜設定すればよいが、一般に繊維質量に対して0.05〜0.50質量%、特に0.15〜0.40質量%が好ましい。
【0020】
また、本発明の複合繊維には、各種顔料、染料、着色剤、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、無機化合物粒子、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を混合することができる。
【0021】
次に、本発明のポリ乳酸系複合繊維を短繊維とする場合の製法例について説明する。
まず、通常のサイドバイサイド型の中空繊維用複合紡糸装置を用いて、高分子量ポリ乳酸樹脂Aと低分子量ポリ乳酸樹脂Bとを溶融して別々の計量孔にて計量し、口金背面でサイドバイサイドになるように合流させ、同一吐出孔から吐出させ、紡出糸条を横吹付装置や環状吹付装置等の公知の冷却装置を用いて吹付風により糸条を冷却した後、油剤を付与し、引取ローラを介して捲取機に捲取る。曳糸性を考慮すると、引取ローラの速度は500〜2000m/分であることが好ましい。
【0022】
次いで、得られた未延伸糸を延伸後のトウ繊度が40万〜130万dtexになるように引き揃え、公知の延伸機にて周速の異なるローラ群間で延伸、熱処理を行う。引き続き、延伸、熱処理後のトウにシリコン系の油剤を付与した後、無緊張下で熱処理を施し、所定の繊維長に切断して目的とするポリ乳酸系複合繊維を得る。
【0023】
上記の製造法において、溶融紡糸時のポリ乳酸樹脂の温度は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸樹脂の融点以上、230℃以下、特にポリ乳酸樹脂の融点以上、220℃以下であるであることが望ましい。溶融紡糸時のポリ乳酸樹脂の温度が230℃を超えると、ラクチドを再生成して熱劣化しやすくなる。また、複合繊維の熱処理によるスパイラル状捲縮の発現度合いは、延伸、熱処理の条件によっても調整することができる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における特性値等の測定は、次の方法で行った。
(1)相対粘度(ηR)
フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶液を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃で測定した。
(2)数平均分子量
テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。充填剤として、waters社製のStyragel HR #54460、及び#44225、Ultrastyragel #10571の3種類を使用し、屈折率計を使用して測定した。
(3)光学純度(%)
超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。カラムには、sumichiral OA6100を使用し、UV吸収測定装置により検出した。
(4)単糸繊度(dtex)
JIS L−1015 7−5−1−1Aの方法により測定した。
(5)繊維強度(cN/dtex)
JIS L−1015 7−7−1の方法により測定した。
(6)紡糸性
8時間の紡糸を行い、次の4段階で評価した。
◎:1錘当たりの糸切れが0.01回未満/時間
○:1錘当たりの糸切れが0.01〜0.1回未満/時間
△:1錘当たりの糸切れが0.1〜1回未満/時間
×:1錘当たりの糸切れが1回/時間以上又はニーリング等により紡糸不可(7)中空度(%)
次式により中空部の中空度を算出した。
中空度(%)=〔(中空部の断面積)/(繊維の全断面積)〕×100
(8)初荷重時比容積(cm3 /g)と荷重時比容積(cm3 /g)
熱処理によりスパイラル捲縮を発現させた繊維を、カード開繊機にかけてシート状ウェブにした後、20×20cmの大きさに切り、質量が80gになるように積み重ね、初荷重(測定板20×20cm、質量170g)時の比容積を測定したものを初荷重時比容積とし、荷重(測定板20×20cm、質量170g+5.23kg)時の比容積を測定したものを荷重時比容積とする。
今回の試験においては、初荷重時比容積が100cm3 /g以上、荷重時比容積が25cm3 /g以上を◎、初荷重時比容積が80cm3 /g以上、荷重時比容積が10cm3 /g以上を○、初荷重時比容積が80cm3 /g未満、荷重時比容積が10cm3 /g未満を×とした。
(9)風合い
短繊維を試料とし、10人での官能テストを行い、10人中5人以上がきしみ感があると答えたものを、きしみ感有とした。
【0025】
実施例1
光学純度が98.7%であり、数平均分子量が88200、〔ηR〕が1.870であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂Aと、光学純度が98.7%であり、数平均分子量が50000、〔ηR〕が1.610であるL−乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂Bとを、孔数が139である通常のサイドバイサイド型の中空繊維用のノズルを用いて、複合比率50:50、吐出量270g/分、温度220℃で紡糸し、引取速度1000m/分で引き取り、未延伸糸を得た。この時、紡糸断糸はなく、工程調子は良好であった。
【0026】
得られた未延伸糸を集束して糸条束とし、延伸温度60℃、延伸速度100m/分で2.90倍に延伸し、単糸繊度8.7dtex、強度3.1cN/dtexの延伸糸を得た。次いで、付着量を0.30質量%となるようにシリコン系油剤を付与した後、無緊張下で140℃の熱処理を施し、次いで75mmに切断して短繊維とした。
【0027】
実施例〜10、比較例1〜
ポリ乳酸樹脂の分子量、光学純度、複合繊維中の分子量差、中空度、シリコン系油剤の有無を表1のように変更し、その他は実施例1の方法と同様にして、ポリ乳酸複合繊維を得た。実施例〜10、比較例1〜で得られた複合繊維の評価結果を併せて表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
表1から明らかなように、実施例1では、分子量が異なるポリ乳酸を使用することにより、本発明の要件を満たす、嵩高性が良好なポリ乳酸複合繊維が得られた。
【0030】
実施例5〜9では、紡糸操業性、不織布の嵩性能ともに優れたポリ乳酸複合繊維が得られた。また、実施例10において、非シリコン系油剤を繊維表面に付着したポリ乳酸短繊維では、原綿の風合いにきしみ感があったが、シリコン系油剤を付着した実施例1、5〜9の原綿は、きしみ感がなく、ソフトな風合いであった。
【0031】
一方、比較例1では、中空度が低いので初荷重時比容積が小さく、また、中空度が高い比較例2では、中空割れや中空部分が潰れることにより初荷重時比容積が小さくなり、嵩高性に劣る原綿となった。次に、比較例3では、ポリ乳酸樹脂A、Bの数平均分子量の差が小さいため、発現するスパイラル捲縮が少なく、初荷重時比容積、荷重時比容積ともに小さい値であり、本発明の要件を満たすものではなかった。さらに、比較例4では、ポリ乳酸樹脂A、Bの数平均分子量の差が大きく、ポリマー紡出時の溶融粘度差が大きいためニーリングが多発し、紡糸不可能であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、土壌や大気中で生分解性を示し、紡糸性が良好で、かつ、この繊維を使用した製品に優れた嵩高性を付与することができ、詰め綿用途、クッション材用途、不織布用途などに好適に使用されるポリ乳酸系複合繊維が提供され、この繊維は、生活資材、農業資材、漁業資材、土木資材、工業資材などに好適に利用可能となる。

Claims (3)

  1. 高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイドバイサイド型に配した複合繊維であり、前記複合繊維の断面において中空度10〜40%の中空部を有しており、かつ、スパイラル状捲縮発現後の初荷重時比容積が80cm/g以上、荷重時比容積が10cm/g以上であり、ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記式 (1) (3) を満足することを特徴とするポリ乳酸系複合繊維。
    10000≦MA−MB≦40000 (1)
    60000≦MA≦90000 (2)
    50000≦MB≦80000 (3)
    ただし、MA:ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量
    MB:ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量
  2. ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記式 (4) を満足することを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系複合繊維。
    ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度≧98% (4)
  3. 繊維表面にシリコン系油剤が付着していることを特徴とする請求項1又は2記載のポリ乳酸系複合繊維。
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