JP2003306834A - 潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維 - Google Patents

潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維

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JP2003306834A
JP2003306834A JP2002114760A JP2002114760A JP2003306834A JP 2003306834 A JP2003306834 A JP 2003306834A JP 2002114760 A JP2002114760 A JP 2002114760A JP 2002114760 A JP2002114760 A JP 2002114760A JP 2003306834 A JP2003306834 A JP 2003306834A
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acid resin
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Daisuke Sakai
大介 酒井
Hiroyuki Watanabe
博之 渡邉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌や大気中で生分解性を示し、製糸性が良
好で、かつ、この繊維を使用した製品に優れた伸縮性を
付与することができ、さらには、遮光性(透け防止性)
を有する布帛を得るのに好適な潜在捲縮性ポリ乳酸複合
繊維を提供する。 【解決手段】 高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、
低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイドバイサイ
ド型に配した複合繊維である。この繊維は、140℃乾
熱処理後に50個/25mm以上のスパイラル捲縮が発
現する潜在捲縮能を有している。繊維を形成するポリ乳
酸樹脂Aの数平均分子量は60000〜90000、ポ
リ乳酸樹脂Bは10000〜40000、ポリ乳酸樹脂
AとBの差は10000〜40000であり、光学純度
は98%以上で、繊維中に二酸化チタンを0.10質量
%以上含有していることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌や大気中で生
分解し、伸縮性に優れ、かつ、遮光性(透け防止性)を
有する布帛を得るのに好適な潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊
維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、力学的性質、熱安
定性、ウォッシャブル性等に優れており、衣料用、産業
資材用、インテリア用等極めて広い分野に使用されてい
る。その中で、スポーツ衣料等の織編物あるいは貼付材
の基布用等の不織布には機能性やフィット性等の要求か
ら伸縮性を持つものが求められており、織編物や不織布
に伸縮性を持たせる方法が種々提案されている。
【0003】例えば、伸縮性を有する布帛を得る方法と
して、潜在捲縮能を有するポリエステル複合繊維を用い
る方法が知られている。伸縮性布帛用に適する繊維とし
て、例えば特開平9−157955号公報には、実質的
にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルと
イソフタル酸と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエ
トキシ)フェニル〕プロパンとを共重合したエチレンテ
レフタレート単位主体の共重合ポリエステルとからなる
潜在捲縮性複合繊維が開示されている。
【0004】しかし、ポリエステル繊維を含め、ポリオ
レフィン、ポリアミド等の合成繊維は、使用後自然界に
放置されると、分解され難く、そのために種々の問題が
生じている。例えば、これらの生活資材、農業資材、土
木資材等は、分解され難いので、使用後は土中に埋め
る、焼却する等の処理が必要となり、土中に埋めると生
分解性が低いため、その廃棄には制限があった。このよ
うな問題を解決するために、土中又は水中で分解される
素材を用いることが考えられてきたが、現在も充分なも
のは得られていない。
【0005】従来の生分解性ポリマーとしては、セルロ
ース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の多糖
類、タンパク質、ポリ3−ヒドロキシブチレートや3−
ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバリレートの共
重合体等の微生物により作られるポリマー、ポリグリコ
リド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエ
ステルが知られている。主に使用されているセルロース
系のコットン、再生セルロースは安価であるが、熱可塑
性でないためバインダーを必要とし、バインダー繊維と
してポリオレフィン、ポリエステル繊維等を用いるた
め、生分解され難いという問題があった。
【0006】微生物により作られるポリ3−ヒドロキシ
ブチレート、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキ
シバリレートの共重合体等は、高価であるため用途が限
定され、強度が低いという問題もあった。また、ポリカ
プロラクトン、ポリブチレンサシサクシネートは、溶融
紡糸可能な熱可塑性である生分解性ポリマーであるが、
融点が低く、耐熱性という点で問題があった。さらに、
同様に熱可塑性樹脂であるポリ乳酸は、溶融紡糸が容易
で耐熱性もあるが、ソフト性、風合いなどの面で不満足
な点があり、その改善が望まれている。
【0007】これらの問題を解決するために、特開平9
−209216号公報では、溶融時の吸熱量が異なる脂
肪族ポリエステルを単繊維内で偏心的に接合させた自発
捲縮複合繊維が提案されているが、この繊維は、結晶性
の低い樹脂を用いているため、耐熱性において問題があ
り、また、ポリ乳酸にポリエチレングリコール等を共重
合するため重合コストが高く、さらに、繊維の伸縮性も
十分なレベルではなかった。また、繊維製品の多様化と
コストダウンの要求により、目付の小さい薄地の布帛と
することが多いが、薄地にすると遮光性が低下し、透け
て見えるようになるという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、土壌や大気中で生分解性を示し、製糸性が良
好で、かつ、この繊維を使用した製品に優れた伸縮性を
付与することができ、さらには、遮光性を有する布帛を
得るのに好適な潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維を提供する
ことを技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到
達した。すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするも
のである。 (a) 高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、低分子量成
分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイドバイサイド型に配し
た複合繊維であり、140℃乾熱処理後に50個/25
mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有す
ることを特徴とする潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維。 (b) ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記式(1) 〜
(4) を満足することを特徴とする上記(a) 記載の潜在捲
縮性ポリ乳酸複合繊維。 10000≦MA−MB≦40000 (1) 60000≦MA≦90000 (2) 50000≦MB≦80000 (3) ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度≧98% (4) ただし、MA:ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量 MB:ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量 (c) 二酸化チタン含有量が0.10質量%以上であるこ
とを特徴とする上記(a)又は(b) 記載の潜在捲縮性ポリ
乳酸複合繊維。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維は、高分子
量成分であるポリ乳酸樹脂Aと低分子量成分であるポリ
乳酸樹脂Bとを、サイドバイサイド型に配した複合繊維
である。
【0011】本発明でいうポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸
及び/又はポリ乳酸を主体とする共重合物である。ポリ
乳酸を製造するための乳酸としては、D体のみ、L体の
み、D体とL体の混合物のいずれでもよい。ポリ乳酸を
主体とする共重合物としては、乳酸(D体のみ、L体の
み、D体とL体の混合物のいずれでもよい。)と、例え
ばε−カプロラクトン等の環状ラクトン類、α−ヒドロ
キシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉
草酸等のα−オキシ酸類、エチレングリコール、1,4
−ブタンジオール等のグリコール類、コハク酸、セバシ
ン酸等のジカルボン酸類から選ばれるモノマーの一種又
は二種以上とを共重合したものが挙げられる。共重合の
割合としては、乳酸100質量部に対して、共重合させ
るモノマーは10質量部以下が好ましく、1〜5質量部
がより好ましい。
【0012】また、本発明の複合繊維は、140℃にお
ける自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラ
ル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することが必要であ
る。伸縮性を有する織編物や不織布等の布帛を得るため
には、捲縮を発現させた時、布帛を構成する繊維が30
個/25mm以上、好ましくは40個/25mm以上の
スパイラル捲縮を有することが必要で、そのためには繊
維の状態で50個/25mm以上、好ましくは60個/
25mm以上、さらに好ましくは70個/25mm以上
のスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することが
必要である。
【0013】また、本発明の複合繊維を短繊維として用
いる場合、梳綿工程でネップや未開繊部の発生しない原
綿とすることが必要である。一般にネップや未開繊部の
発生は、捲縮数、捲縮形態と密接な関係にあり、機械捲
縮の場合、捲縮数が8個/25mm未満では未開繊部が
発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが発
生しやすい。また、梳綿工程以前でスパイラル捲縮を発
現させた場合、ネップが発生しやすく、ウエブの均斉度
が悪くなるほか、ウエブの素抜けが発生しやすい。した
がって、50個/25mm以上のスパイラル捲縮発現能
を有する潜在捲縮性複合繊維に8〜18個/25mmの
機械捲縮を付与すると好ましい原綿となる。機械捲縮を
付与する方法としては、スタッフィングボックス式、加
熱ギヤ式等が採用できるが、一般にスタッフィングボッ
クス式が採用される。
【0014】本発明は、高分子量成分であるポリ乳酸樹
脂Aと、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイド
バイサイド型に配した複合繊維であり、両樹脂間の分子
量の差により生じる延伸や熱処理時の収縮率差を利用し
て、スパイラル状の捲縮を発現させるものである。ポリ
乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bの分子量の差は大きい程、
捲縮発現には有利であるが、分子量の差が大きいと、紡
糸時にニーリングが生じ、紡糸安定性が悪くなる。また
分子量の差が小さいと、捲縮の発現性が低下する。
【0015】本発明において、紡糸性と捲縮発現性をと
もに良好な複合繊維とするには、ポリ乳酸樹脂A、Bが
前記(1) 〜(4) 式を満足することが好ましい。まず、複
合繊維が良好な捲縮性能を有するためには、ポリ乳酸樹
脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の
差は、前記(1) 式のように10000〜40000、特
に15000〜35000とすることが好ましい。ポリ
乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分
子量の差が10000未満になると、ポリ乳酸樹脂Aと
ポリ乳酸樹脂Bの分子量差が小さく、発現するスパイラ
ル捲縮が不十分となり好ましくない。また、ポリ乳酸樹
脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の
差が40000より大きいと、溶融時の粘度差が大きく
なり、ニーリングにより紡糸性が悪くなるため好ましく
ない。
【0016】次に、高分子量成分であるポリ乳酸樹脂A
の数平均分子量は、前記(2) 式のように60000〜9
0000とすることが好ましい。高分子量成分であるポ
リ乳酸樹脂Aの数平均分子量が90000より大きい
と、溶融時に高粘度となり、製糸性が悪くなるので好ま
しくない。また、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が60
000より小さいと、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量と
ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量の差を10000以上と
するためには、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量が500
00未満となり、製糸性が悪くなるので好ましくない。
【0017】さらに、低分子量成分であるポリ乳酸樹脂
Bの数平均分子量は、前記(3) 式のように50000〜
80000とすることが好ましい。ポリ乳酸樹脂Bの数
平均分子量が50000未満になると、溶融時に低粘度
となるため、製糸性が悪くなるので好ましくない。ま
た、ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量が80000より大
きいと、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量とポリ乳酸樹脂
Bの数平均分子量の差を10000以上とするために
は、ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量が90000より大
きくなり、製糸性が悪くなるので好ましくない。
【0018】また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂
A、Bの光学純度は、前記(4) 式のように98%以上と
することが好ましい。ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度が
98%に満たないとポリ乳酸樹脂の融点が低下し、捲縮
発現のための熱処理時に繊維の膠着や融解が生じやすい
ので好ましくない。
【0019】本発明でいうポリ乳酸樹脂の光学純度と
は、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸がL−乳酸を主体とす
る場合には、全乳酸におけるL−乳酸の含有率で表し、
ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸がD−乳酸を主体とする場
合には、全乳酸におけるD−乳酸の含有率で表す。例え
ば、ポリ乳酸がL−乳酸を95%、D−乳酸5%からな
る場合には、このポリ乳酸樹脂の光学純度は95%とな
る。
【0020】また、本発明においては、複合繊維に遮光
性を付与することを目的として、二酸化チタンを含有さ
せることができる。本発明の複合繊維に二酸化チタンを
含有させる場合には、ポリ乳酸樹脂Aのみ、ポリ乳酸樹
脂Bのみ、又はポリ乳酸樹脂AとBの両方のいずれに含
有させてもよいが、ポリ乳酸樹脂A又はBの片側のみに
含有させる場合には、低粘度であるポリ乳酸樹脂Bに含
有させることが好ましい。高粘度であるポリ乳酸樹脂A
のみに二酸化チタンを含有させた場合、二酸化チタン含
有による粘度低下でポリ乳酸樹脂A、B間の粘度差が小
さくなり、捲縮発現性が悪くなることがある。
【0021】二酸化チタン含有量は、複合繊維中におい
て、0.10質量%以上、好ましくは0.20質量%以
上とする。複合繊維中の二酸化チタン含有量が0.10
質量%未満では、遮光効果が不十分となる。また、片側
成分の二酸化チタンの含有量が4.0質量%を超える
と、製糸性が悪化するので好ましくない。
【0022】本発明のポリ乳酸複合繊維の形態は、長繊
維、短繊維のいずれでもよいが、短繊維として伸縮性が
要求される不織布用途に用いれば、繊維の特徴を最大限
に発揮させることができる。また、複合繊維の断面形状
は、円形、長円形、ひょうたん形、多角形、多葉形、ア
ルファベット形、その他各種の非円形(異形)、中空形
など任意に選択することができる。繊度も同様に使用目
的に応じて任意に選択すればよいが、通常の不織布用途
には、単糸繊度0.1〜50dtex程度の範囲、特に
1〜20dtexの範囲が好ましく用いられる。
【0023】本発明の複合繊維には、各種顔料、染料、
着色剤、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、金属粒子、無機化合物粒子、結晶核
剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を混合
することもできき。
【0024】次に、本発明の潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊
維を短繊維とする場合の製法例について説明する。ま
ず、通常のサイドバイサイド型複合繊維用の複合紡糸装
置を用いて、高分子量ポリ乳酸樹脂Aと低分子量ポリ乳
酸樹脂Bとを溶融して別々の計量孔にて計量し、口金背
面でサイドバイサイドになるように合流させ、同一吐出
孔から吐出させ、紡出糸条を横吹付装置や環状吹付装置
等の公知の冷却装置を用いて吹付風により糸条を冷却し
た後、油剤を付与し、引取ローラを介して捲取機に捲取
る。曳糸性を考慮すると、引取ローラの速度は500〜
2000m/分であることが好ましい。
【0025】次いで、得られた未延伸糸を延伸後のトウ
繊度が40万〜130万dtexになるように引き揃
え、公知の延伸機にて周速の異なるローラ群間で延伸、
熱処理を行う。引き続き、延伸、熱処理後のトウに油剤
を付与した後、無緊張下で熱処理を施し、所定の繊維長
に切断して目的とする潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維を得
る。
【0026】上記の製造法において、溶融紡糸時のポリ
乳酸樹脂の温度は、特に限定されるものではないが、ポ
リ乳酸樹脂の融点以上、230℃以下、特にポリ乳酸樹
脂の融点以上、210℃以下であるであることが望まし
い。溶融紡糸時のポリ乳酸樹脂の温度が230℃を超え
ると、ラクチドを再生成して熱劣化しやすくなる。
【0027】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例における特性値等の測定法は、次のとおりで
ある。 (1)相対粘度(ηR) フェノール/四塩化エタンの等質量混合溶液を溶媒と
し、ウベローデ粘度計を使用して温度20℃で測定し
た。 (2)数平均分子量 テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。充
填剤として、waters社製のStyragel H
R #54460、及び#44225、Ultrast
yragel#10571の3種類を使用し、屈折率計
を使用して測定した。 (3)光学純度(%) 超純水と1Nの水酸化ナトリウムのメタノール溶液の等
質量混合溶液を溶媒とし、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)法により測定した。カラムには、sumi
chiral OA6100を使用し、UV吸収測定装
置により検出した。 (4)単糸繊度(dtex) JIS L−1015 7−5−1−1Aの方法により
測定した。 (5)繊維強度(cN/dtex) JIS L−1015 7−7−1の方法により測定し
た。 (6)紡糸性 8時間の紡糸を行い、次の4段階で評価した。 ◎:1錘当たりの糸切れが0.1回未満/時間 ○ 1錘当たりの糸切れが0.1〜1回未満/時間 △ 1錘当たりの糸切れが1〜5回未満/時間 × 1錘当たりの糸切れが5回/時間以上又はニーリン
グ等による紡糸不可(7)捲縮数(個/25mm) JIS L−1015 7−12−1の方法により測定
した。なお、熱処理後の捲縮数は、短繊維を140℃で
15分間自由収縮可能な条件で熱処理することによって
行った。 (8)伸張率 不織布を幅5cmに切断し、30g荷重時の長さL0
240g荷重時の長さL1 を測定し、次式より伸張率を
算出した。 伸張率(%)=〔(L1 −L0 )/L0 〕×100 (9)遮光率 東京光学機械社製の光電池照度計SIP−5型を用いて
測定した。
【0028】実施例1 光学純度が98.7%であり、数平均分子量8820
0、〔ηR〕=1.870であるL−乳酸を主体とする
ポリ乳酸樹脂Aと、光学純度が98.7%であり、数平
均分子量50000、〔ηR〕=1.610であるL−
乳酸を主体とするポリ乳酸樹脂Bを、孔数が713であ
る通常のサイドバイサイド型の繊維用のノズルを用い
て、複合比率50:50、吐出量430g/分、温度2
20℃で紡糸し、引取速度1100m/分で引き取り、
未延伸糸を得た。この時、紡糸断糸はなく、工程調子は
良好であった。
【0029】得られた未延伸糸を集束して糸条束とし、
延伸温度60℃、延伸速度100m/分で3.00倍に
延伸後、110℃で緊張熱処理を行い、次いで、スタッ
フィングボックスで機械捲縮を付与した後、カット長5
1mmに切断して、繊度2.2dtexの短繊維を得
た。
【0030】次に、この短繊維をローラカードを用い
て、速度20m/分で開繊してウエブを形成し、ニード
ルパンチ処理を施した後、熱風通過式熱処理機を用い、
140℃で3分間熱処理して、目付150g/m2 の不
織布を作成した。得られた短繊維(原綿)と不織布の特
性値等を併せて表1に示す。
【0031】実施例2〜7、比較例1〜4 ポリ乳酸樹脂の分子量、光学純度を変更し、その他は実
施例1と同様にしてポリ乳酸複合繊維を得た。得られた
原綿と不織布の評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1から明らかなように、実施例1〜2で
は、分子量が異なるポリ乳酸を使用することにより、本
発明の要件を満たす、伸縮性が良好なポリ乳酸複合繊維
が得られた。しかし、実施例1では、分子量の差が大き
いため、紡糸時の操業性が若干悪く、また、実施例2で
は、分子量の差が小さいため、熱処理後の捲縮発現数が
やや小さい値であった。また、実施例3は、ポリ乳酸樹
脂Aの分子量が高く、ポリマーの溶融粘度が高いため
に、紡糸温度を230℃以上に上げる必要があり、ラク
チドの再生成により、紡糸操業性が不調であったが、得
られたポリ乳酸短繊維の捲縮発現性能は、本発明の要件
を満たすものであった。次に、実施例4は、ポリ乳酸樹
脂Bの分子量が低く、ポリマーの溶融粘度が低いため、
巻取りで切断が多発し、紡糸操業性は不調であったが、
得られたポリ乳酸短繊維の捲縮発現性能は、本発明の要
件を満たすものであった。これに対し、請求項2の要件
も満たす実施例5〜7では、紡糸操業性、捲縮発現性に
優れたポリ乳酸繊維が得られた。
【0034】一方、比較例1は、ポリ乳酸樹脂A、Bの
数平均分子量の差が小さいため、発現するスパイラル捲
縮が少なく、本発明の要件を満たすものではなかった。
また、比較例2は、ポリ乳酸樹脂A、Bの数平均分子量
の差が大きく、ポリマー紡出時の溶融粘度差が大きいた
めニーリングが多発し、紡糸不可能であった。次に、比
較例3〜4では、ポリ乳酸樹脂Aの光学純度が低く、1
40℃の熱処理において原綿の融着が発生し、実用可能
な原綿は得られなかった。
【0035】実施例8〜10、比較例5 二酸化チタンの含有量を表2のように変更した以外は、
実施例1と同様の方法で原綿と不織布を得た。得られた
原綿と不織布の特性値等を併せて表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、請求項3の要件
を満たす実施例8、9では、遮光性のよい複合繊維が得
られ、紡糸性、捲縮発現性能も良好であった。また、実
施例10は、二酸化チタンの含有量が高いため、紡糸操
業性はやや悪かったが、遮光性と捲縮発現性は良好であ
った。一方、二酸化チタン量の少ない比較例5(請求項
3の比較例で、請求項1,2では実施例に相当)では、
十分な遮光性が得られなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、土壌や大気中で生分解
性を示し、製糸性よく製造することができ、また伸縮性
に優れ、さらには遮光性(透け防止性)を有する布帛を
得るのに好適な潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維が提供され
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子量成分であるポリ乳酸樹脂Aと、
    低分子量成分であるポリ乳酸樹脂Bとをサイドバイサイ
    ド型に配した複合繊維であり、140℃乾熱処理後に5
    0個/25mm以上のスパイラル捲縮を発現する潜在捲
    縮能を有することを特徴とする潜在捲縮性ポリ乳酸複合
    繊維。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸樹脂Aとポリ乳酸樹脂Bが下記
    式(1) 〜(4) を満足することを特徴とする請求項1記載
    の潜在捲縮性ポリ乳酸複合繊維。 10000≦MA−MB≦40000 (1) 60000≦MA≦90000 (2) 50000≦MB≦80000 (3) ポリ乳酸樹脂A、Bの光学純度≧98% (4) ただし、MA:ポリ乳酸樹脂Aの数平均分子量 MB:ポリ乳酸樹脂Bの数平均分子量
  3. 【請求項3】 二酸化チタン含有量が0.10質量%以
    上であることを特徴とする請求項1又は2記載の潜在捲
    縮性ポリ乳酸複合繊維。
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