JPH1161561A - 生分解性高配向未延伸糸およびその製造方法 - Google Patents

生分解性高配向未延伸糸およびその製造方法

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JPH1161561A
JPH1161561A JP22692197A JP22692197A JPH1161561A JP H1161561 A JPH1161561 A JP H1161561A JP 22692197 A JP22692197 A JP 22692197A JP 22692197 A JP22692197 A JP 22692197A JP H1161561 A JPH1161561 A JP H1161561A
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yarn
spinning
highly oriented
biodegradable
undrawn yarn
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JP22692197A
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English (en)
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Naoji Ichinose
直次 一瀬
So Yamaguchi
創 山口
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、かつ紡出糸条の冷却性およ
び繊維の機械的性能に優れ、また、熱接着性を有する高
配向未延伸糸を提供する。 【解決手段】 メルトフローレート値が(1)式を満足
する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
中空断面用あるいは多葉断面用の紡糸口金を介して、
(2)式および(3)式を満足する紡糸温度および紡糸
速度で高速溶融紡糸し、中空断面の生分解性高配向未延
伸糸1あるいは多葉断面の生分解性高配向未延伸糸を得
る。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70
…(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150
…(2) 但し、Tm ;融点 2500≦紡糸速度(m/分)≦8000
…(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有し、
紡出糸条の冷却性および機械的性能に優れ、かつ熱接着
性を合わせもち、不織布の素材などとして好適な生分解
性高配向未延伸糸およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、生分解性を有する繊維として
は、木綿、麻に代表されるセルロース系繊維あるいは、
絹に代表される蛋白質繊維が知られている。しかし、こ
れらのいわゆる天然繊維は、非熱可塑性であるため熱接
着性を有しないと同時に、短期間では分解されず、長期
間にわたり製品形態が保持され、自然環境保護や生活環
境保護の点で好ましくない。
【0003】また、生分解性長繊維として、湿式紡糸法
により得られるキュプラレーヨン長繊維やビスコースレ
ーヨン長繊維、キチンやコラーゲンなどの天然物の化学
繊維などが知られている。しかしながら、これら従来の
生分解性長繊維は、機械的強度が低いうえに、親水性で
あるため、吸水・湿潤時の機械的強度低下が著しく、さ
らに素材自体が非熱可塑性であるため熱接着性を有しな
いなど、種々の問題を抱えていた。
【0004】そこで、生分解性複合繊維が、例えば特開
平5−93316号公報「微生物分解性複合繊維」、特
開平5−93318号公報「微生物分解性複合繊維及び
その不織布」で提案されている。しかし、これら生分解
性複合繊維は、樹脂の融点や結晶化温度が低いことか
ら、紡出糸条の冷却性が劣り、糸条同士が密着するなど
のトラブルが発生し、これに起因して得られる繊維は均
斉度に劣るものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決するもので、生分解性を有し、かつ、紡出糸条の
冷却性および繊維の機械的性能に優れ、また熱接着性を
有する生分解性高配向未延伸糸およびその製造方法を提
供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、以下の構成を要旨とするものである。 1.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルから
なり、繊維断面が中空断面であることを特徴とする生分
解性高配向未延伸糸。
【0007】2.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルからなり、繊維断面が多葉断面であることを特
徴とする生分解性高配向未延伸糸。 3.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルが、
ポリブチレンサクシネート、あるいはブチレンサクシネ
ートを主繰り返し単位としかつブチレンサクシネートの
共重合量比が70モル%以上の共重合体であることを特
徴とする生分解性高配向未延伸糸。
【0008】4.メルトフローレート値が(1)式を満
足する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル
を、中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式および
(3)式を満足する紡糸温度および紡糸速度で高速溶融
紡糸し、中空断面の生分解性高配向未延伸糸を得ること
を特徴とする生分解性高配向未延伸糸の製造方法。
【0009】 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 2500≦紡糸速度(m/分)≦8000 …(3) 5.メルトフローレート値が(1)式を満足する生分解
性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、多葉断面用
の紡糸口金を介して、(2)式および(3)式を満足す
る紡糸温度および紡糸速度で高速溶融紡糸し、多葉断面
の生分解性高配向未延伸糸を得ることを特徴とする生分
解性高配向未延伸糸の製造方法。
【0010】 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 2500≦紡糸速度(m/分)≦8000 …(3) 6.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルがポ
リブチレンサクシネート、あるいはブチレンサクシネー
トを主繰り返し単位としかつブチレンサクシネートの共
重合量比が70モル%以上の共重合体であることを特徴
とする生分解性高配向未延伸糸の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。本
発明における生分解性熱可塑性脂肪族ポリエステルをま
ず説明する。
【0012】例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のよ
うなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを構成する
繰り返し単位要素による共重合体が、また、ポリ(ε−
カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のよ
うなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)が、さら
に、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−
ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロエ
ート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3
−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロ
キシアルカノエート)およびこれらを構成する繰り返し
単位要素とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4
−ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素と
の共重合体が挙げられる。またグリコールとジカルボン
酸の縮重合体からなるものとして、例えば、ポリエチレ
ンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチ
レンアジペート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレ
ンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチ
レンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサ
メチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートま
たはこれらを構成する繰り返し単位要素による共重合体
が挙げられる。
【0013】また、本発明においては、前記の熱可塑性
脂肪族ポリエステルのなかでも、特に、ポリブチレンサ
クシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り返
し単位とする共重合体が好適に用いられる。このとき、
ブチレンサクシネートの共重合量比が70モル%以上で
あるのが好ましい。ブチレンサクシネートの共重合量比
が70モル%未満であると、融点、結晶化温度が低下
し、断面を中空化あるいは異形化しても、または、結晶
核剤の添加などを行っても、紡出糸条を十分に冷却する
ことが困難であり、さらに、得られた糸の寸法安定性お
よび機械的強度が低下するため好ましくない。この理由
により、ブチレンサクシネートの共重合量比は75モル
%以上がより好ましい。
【0014】本発明における熱可塑性脂肪族ポリエステ
ルは、数平均分子量が約20,000以上、好ましくは
40,000以上、さらに好ましくは60,000以上
のものが、製糸性および得られる糸条の特性の点で好ま
しい。また、重合度を高めるために少量のジイソシアネ
ートやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したもの
でも良い。
【0015】さらに、本発明においては、前述したとこ
ろの生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルに必
要に応じて、例えば光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤な
どの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添
加することができる。
【0016】ところで、本発明において、繊維断面は中
空断面でなければならない。中空断面は丸断面と比較し
て、内部に重合体よりも比熱が小さい空気を含んでいる
ため、紡糸口金より紡出した糸条の冷却性を向上させる
に著しく効果がある。また、中空断面の未延伸糸におい
ては、外周部分から侵食をはじめた微生物は中空部分に
侵入し、貫通する孔が形成される結果、単位ポリマー重
量当りの表面積が大きくなるため、微生物による生分解
速度は促進される。そこで、中空率すなわち(a2 /A
2 )×100で示される値が5〜30%の範囲にあるこ
とが好ましい。但し、ここでAは中空断面の糸の直径、
aは中空断面の中空部の直径を示す(図1参照)。中空
率が5%未満であると紡出糸条の冷却性に劣り、密着の
無い糸を得にくくなる。逆に、中空率が30%を超える
と、冷却性には優れるものの、経時的に中空部がパンク
しやすくなり、高速製糸性および得られる繊維の機械的
性能が低下する。この理由により、中空率は10〜25
%がより好ましい。
【0017】本発明は、中空断面の代わりに多葉断面で
あってもよい。多葉断面においても、単位ポリマー重量
当りの表面積は丸断面と比較し大きくなるため、中空断
面と同様、紡出糸条の冷却性は向上し、微生物による生
分解速度は促進される。そこで、この断面においては異
形度すなわちB/bで示される値が2〜4の範囲にある
ことが好ましい。但し、ここでBは多葉断面の外接円の
直径、bは多葉断面の内接円の直径を示す(図2参
照)。異形度が2未満であると紡出糸条の冷却性に劣
り、密着の無い糸を得にくくなる。逆に、異形度が4を
超えると、冷却性には優れるものの高速製糸性および得
られる繊維の機械的性能が低下する。この理由により、
異形度は2.5〜3.5がより好ましい。また、葉数は
異形度の関係上3〜8の範囲が良い。
【0018】本発明は、繊度が2〜10デニールである
ことが好ましい。繊度が2デニール未満であると、高い
中空率、異形度が得られないばかりか生産量の低下およ
び高速製糸性に劣り好ましくない。逆に、繊度が10デ
ニールを超えると、いかに中空断面あるいは多葉断面で
あっても、太くなり過ぎて冷却性に劣り均斉度に優れた
繊維を得ることは困難となる。この理由により、繊度は
2.5〜8デニールがより好ましい。
【0019】次に本発明の製造方法について説明する。
生分解性を有する前述の重合体すなわち、ポリブチレン
サクシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り
返し単位とし、かつブチレンサクシネートの共重合量比
が70モル%以上の共重合体であり、しかもMFR値が
20〜70g/10分である重合体を好適材料として用
い、紡糸温度(Tm +40)℃〜(Tm+150)℃で
溶融し、中空断面あるいは多葉断面用の紡糸口金より吐
出した紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し、仕上げ油
剤を付与した後、紡糸速度2500〜8000m/分と
して巻き取り、目的とする生分解性高配向未延伸糸を得
る。
【0020】本発明の生分解性高配向未延伸糸の製造に
おいて適用する重合体のメルトフローレート値(以降M
FR値と呼称する)は、20〜70g/10分であるこ
とが重要である。但し、本発明のMFR値は全て、AS
TM D1238(E)に記載の方法に準じて測定した
ものである。MFR値が20g/10分未満であるとあ
まりにも高粘度であるために、紡出糸条の細化がスムー
ズに行われず、得られる繊維は太繊度で均斉度に劣るも
のとなる。逆に、MFR値が70g/10分を超えると
あまりにも低粘度であるために、高速紡糸工程において
糸切れが発生し、操業性を損なうとともに、得られる繊
維も均斉度に劣るものとなる。
【0021】本発明の生分解性高配向未延伸糸を製造す
る際には、紡糸温度が(Tm +40)〜(Tm +15
0)℃を満足する範囲で溶融しなければならない。紡糸
温度が(Tm +40)℃未満であると、重合体中に未溶
融物を多く含有するため、製糸性が低下し操業性を著し
く損なうことになる。逆に、紡糸温度が(Tm +15
0)℃を超えると、重合体が熱分解し、または紡出糸条
が密着し易くなり好ましくない。
【0022】また、本発明の高配向未延伸糸を得るに
は、紡糸速度を2500〜8000m/分として高速溶
融紡糸しなければならない。紡糸速度が2500m/分
未満であると、あまりにも紡糸速度が低すぎるため、得
られる未延伸糸は機械的性能および寸法安定性に劣り、
使用に耐えるものではない。逆に、紡糸速度が8000
m/分を超えると、あまりにも紡糸速度が高すぎるた
め、糸切れが発生し操業性を損なうとともに、得られる
繊維の分子配向度が高すぎるため生分解性能に劣ること
となる。この理由により、紡糸速度は3500〜600
0m/分がより好ましい。
【0023】本発明の生分解性高配向未延伸糸は、優れ
た機械的特性さらに優れた生分解性能を合わせ有するも
のである。中空断面、多葉断面を選択することにより、
生分解性能は促進され、また、紡出糸条の冷却性も向上
し、それによって紡出糸条同士の密着を防止し、生分解
性能および均斉度に優れた生分解性高配向未延伸糸を得
ることができる。
【0024】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性高配向未延伸糸を得ることができる。
また、高速溶融紡糸することにより実用に供し得る繊維
を紡糸工程のみで直接製造でき、生産性の点で有利なう
えに、高タフネスかつ柔軟性、易染性に優れた性質を合
わせもつ生分解性高配向未延伸糸を得ることができる。
【0025】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定され
るものではない。
【0026】実施例において、各特性値の測定を次の方
法により実施した。 ・MFR値(g/10分);ASTM D1238
(E)に記載の方法に準じて測定した。
【0027】・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走
差型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の
条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与
える温度を融点とした。
【0028】・結晶化温度(℃);パーキンエルマ社製
示差走差型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃
/分の条件で測定し、得られた固化発熱曲線において極
値を与える温度を結晶化温度とした。
【0029】・中空率(%);日本光学社製光学顕微鏡
を用い、糸断面写真を撮影し、図1に示す如く、中空断
面の高配向未延伸糸1の直径(A)および中空断面の中
空部2の直径(a)を求め、次式より中空率を求めた。
【0030】中空率(%)=(a2 /A2 )×100
【0031】・異形度;日本光学社製光学顕微鏡を用
い、糸断面写真を撮影し、図2に示す如く、多葉断面の
高配向未延伸糸3の内接円の直径(b)および外接円の
直径(B)を求め、次式より異形度を求めた。
【0032】異形度=B/b
【0033】・引張強度(g/d)、伸度(%);定速
伸長型引張試験機(東洋ボールドウィン社製テンシロン
UTM−4−1−100)を用いて試料長が30cm、
つかみ間隔5cm、20回/5cmの撚りを加え、引張
速度5cm/分で伸長し、得られた切断時荷重値(g)
を単位太さ当りに換算し、その平均値を繊維の引張強度
(g/d)とした。また、同時に得られた切断時伸長率
(%)の平均値を伸度(%)とした。これらの処方にお
いてはいずれも測定回数20回とし、その値は平均値で
示した。
【0034】・繊度斑(U%);スイス・ツェルベーガ
社製ウースタ糸斑測定装置を用いて、ハーフイナートテ
ストによって測定した。
【0035】・生分解性能;得られた繊維10gの試料
を土中に埋設し、6ヶ月後に取り出し、この糸条の強力
が埋没前の強力初期値に対して50%以下に低下してい
る場合、生分解性能が良好(;○)であるとし、強力が
埋設前の強力初期値に対して50%を超える場合、生分
解性能が不良(;×)であると評価した。
【0036】実施例1 MFR値が30g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて、糸断面
が図1に示す中空断面の高配向未延伸糸を製造した。す
なわち、前記重合体チップをエクストルーダ型押出し機
を用いて180℃で溶融し、これを図4に示す中空断面
となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取り、
銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を得た。なお、
中空率は16%であった。製造条件および操業性、糸の
物性、生分解性能を表1に示す。
【0037】実施例2 MFR値が20g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取り、
銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を得た。なお、
中空率は20%であった。製造条件および操業性、糸の
物性、生分解性能を表1に示す。
【0038】実施例3 MFR値が70g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取り、
銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を得た。なお、
中空率は11%であった。製造条件および操業性、糸の
物性、生分解性能を表1に示す。
【0039】実施例4 MFR値が25g/10分で、融点99℃、結晶化温度
49℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=85/15モル%の共重合体チップを用いて160℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取り、
銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を得た。その中
空率は24%であった。製造条件および操業性、糸の物
性、生分解性能を表1に示す。
【0040】実施例5 MFR値が25g/10分で、融点91℃、結晶化温度
35℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=70/30モル%の共重合体チップを用いて150℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取り、
銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を得た。その中
空率は26%であった。製造条件および操業性、糸の物
性、生分解性能を表1に示す。
【0041】実施例6 実施例1と同一原料を用いて155℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.84g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を5300m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は23%で
あった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能
を表1に示す。
【0042】実施例7 実施例1と同一原料を用いて250℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.08g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を6000m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は7%であ
った。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能を
表1に示す。
【0043】実施例8 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.38g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を4000m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は14%で
あった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能
を表1に示す。
【0044】実施例9 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を0.86g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を2500m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は11%で
あった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能
を表2に示す。
【0045】実施例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.77g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を8000m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は19%で
あった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能
を表2に示す。
【0046】実施例11 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、これを
図4に示す中空断面となる紡糸孔を72個有する紡糸口
金を通して単孔吐出量を0.92g/分として溶融紡出
し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を4000m/
分として巻き取り、銘柄150d/72fの高配向未延
伸糸を得た。なお、中空率は13%であった。製造条件
および操業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0047】実施例12 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、これを
図4に示す中空断面となる紡糸孔を24個有する紡糸口
金を通して単孔吐出量を5.55g/分として溶融紡出
し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を8000m/
分として巻き取り、銘柄150d/24fの高配向未延
伸糸を得た。なお、中空率は28%であった。製造条件
および操業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0048】実施例13 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図2に
示す三角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を2.08g/分として溶融紡出し、紡
出糸条を冷却した後で、紡糸速度を6000m/分とし
て巻き取り、銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を
得た。なお、異形度は2.8であった。製造条件および
操業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0049】実施例14 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
13と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を4.16g
/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸
速度を6000m/分として巻き取り、銘柄300d/
48fの高配向未延伸糸を得た。なお、異形度は3.9
であった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性
能を表2に示す。
【0050】実施例15 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図3に
示す六角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を2.08g/分として溶融紡出し、紡
出糸条を冷却した後で、紡糸速度を6000m/分とし
て巻き取り、銘柄150d/48fの高配向未延伸糸を
得た。なお、異形度は2.1であった。製造条件および
操業性、糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0051】比較例1 MFR値が15g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸切れが多発し高配向未延伸糸を
得ることができなかった。なお、中空率は33%であっ
た。製造条件および操業性を表3に示す。
【0052】比較例2 MFR値が90g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸切れが多発し、高配向未延伸糸
を得ることができなかった。なお、中空率は6%であっ
た。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能を表
3に示す。
【0053】比較例3 MFR値が25g/10分で、融点86℃、結晶化温度
28℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=65/35モル%の共重合体チップを用いて160℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸条間の密着が発生し高配向未延
伸糸を得ることができなかった。なお、中空率は23%
であった。製造条件および操業性を表3に示す。
【0054】比較例4 実施例1と同一原料を用いて125℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.08g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を6000m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸切れが多発し高配向未延伸糸を得ることができな
かった。なお、中空率は28%であった。製造条件およ
び操業性を表3に示す。
【0055】比較例5 実施例1と同一原料を用いて290℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.08g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を6000m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸条間の密着が発生し高配向未延伸糸を得ることが
できなかった。なお、中空率は5%であった。製造条件
および操業性を表3に示す。
【0056】比較例6 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を0.62g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1800m/分として巻き取り、銘柄150d/4
8fの高配向未延伸糸を得た。なお、中空率は10%で
あった。製造条件および操業性、糸の物性、生分解性能
を表3に示す。
【0057】比較例7 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を2.95g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を8500m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸切れが多発し高配向未延伸糸を得ることができな
かった。なお、中空率は32%であった。製造条件およ
び操業性、糸の物性、生分解性能を表3に示す。
【0058】比較例8 MFR値が90g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例13と同一の紡糸口金を通して単孔吐
出量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取っ
たが、紡糸工程において糸条間の密着が発生し高配向未
延伸糸を得ることができなかった。なお、異形度は1.
3であった。製造条件および操業性を表4に示す。
【0059】比較例9 MFR値が15g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例13と同一の紡糸口金を通して単孔吐
出量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取っ
たが、紡糸工程において糸切れが多発し高配向未延伸糸
を得ることができなかった。なお、異形度は5.2であ
った。製造条件および操業性を表4に示す。 比較例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、丸断面
となる紡糸孔を48個有する紡糸口金に通して単孔吐出
量を2.08g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を6000m/分として巻き取った
が、紡糸工程において糸条間の密着が発生し、目標とす
る高配向未延伸糸を得ることができなかった。製造条件
および操業性を表4に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】表1および表2から明らかなように、実施
例1は、生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル
からなる高配向未延伸糸を中空断面形状とし、MFR
値、共重合量比および紡糸条件ともに本発明の範囲内で
あるので、紡出糸条の冷却性および製糸性が良好であ
り、得られた高配向未延伸糸は均斉度に優れ、さらに十
分な機械的特性を有し、かつ優れた生分解性能を有する
ものであった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染
性をおよび柔軟性を示した。
【0063】実施例2は、本発明のMFR値範囲の下限
であるMFR値が20g/10分の高粘度重合体を用い
たが、本発明の範囲内であるので、紡出糸条のパンク発
生および糸切れ等も無く、得られた高配向未延伸糸は均
斉度に優れ、さらに十分な機械的特性を有し、かつ優れ
た生分解性能を有するものであった。また、この高配向
未延伸糸は優れた易染性をおよび柔軟性を示した。
【0064】実施例3は、本発明のMFR値範囲の上限
であるMFR値が70g/10分の低粘度重合体を用い
たが、本発明の範囲内であるので、実施例1より機械的
特性にはやや劣るものの、紡出糸条の密着発生および糸
切れ等も無く、得られた高配向未延伸糸は優れた生分解
性能を有するものであった。また、この高配向未延伸糸
は優れた易染性をおよび柔軟性を示した。
【0065】実施例4は、本発明の共重合量比範囲のブ
チレンサクシネート/エチレンサクシネート=85/1
5モル%の共重合体チップを用いたが、共重合量比が本
発明の範囲内であり紡糸温度も低温であるので、実施例
1より機械的特性にはやや劣るものの、紡出糸条の密着
発生および糸切れ等も無く、得られた高配向未延伸糸は
実施例1よりさらに優れた生分解性能を有するものであ
った。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性をおよ
び柔軟性を示した。
【0066】実施例5は、本発明の共重合量比範囲の上
限であるブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=70/30モル%の共重合体チップを用いたが、共重
合量比が本発明の範囲内であり紡糸温度も低温であるの
で、実施例1より機械的特性にはやや劣るものの、紡出
糸条の密着発生および糸切れ等も無く、得られた高配向
未延伸糸は実施例4よりさらに優れた生分解性能を有す
るものであった。また、この高配向未延伸糸は優れた易
染性をおよび柔軟性を示した。
【0067】実施例6は、本発明の紡糸温度範囲の下限
である155℃を適用したが、紡糸温度が本発明の範囲
内であるので、紡出糸条のパンク発生および糸切れ等も
無く、得られた高配向未延伸糸は優れた機械的特性およ
び生分解性能を有するものであった。また、この高配向
未延伸糸は優れた易染性をおよび柔軟性を示した。
【0068】実施例7は、本発明の紡糸温度範囲の上限
である250℃を適用したが、紡糸温度が本発明の範囲
内であるので、実施例1より機械的特性にはやや劣るも
のの、紡出糸条の密着発生および糸切れ等も無く、得ら
れた高配向未延伸糸は優れた生分解性能を有するもので
あった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性をお
よび柔軟性を示した。
【0069】実施例8は、本発明の紡糸速度範囲の40
00m/分を適用したが、紡糸速度が本発明の範囲内で
あるので、実施例1より機械的特性にはやや劣るもの
の、紡出糸条の密着発生も無く、得られた高配向未延伸
糸は実施例1よりさらに優れた生分解性能を有するもの
であった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性を
および柔軟性を示した。
【0070】実施例9は、本発明の紡糸速度範囲の下限
である2500m/分を適用したが、紡糸速度が本発明
の範囲内であるので、実施例1より機械的特性にはやや
劣るものの、紡出糸条の密着発生も無く、得られた高配
向未延伸糸は実施例8よりさらに優れた生分解性能を有
するものであった。また、この高配向未延伸糸は優れた
易染性をおよび柔軟性を示した。
【0071】実施例10は、本発明の紡糸速度範囲の上
限である8000m/分を適用したが、紡糸速度が本発
明の範囲内であるので、紡出糸条の糸切れ発生も無く、
得られた高配向未延伸糸は、実施例1より生分解性能に
はやや劣るものの、機械的特性にはさらに優れるもので
あった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性をお
よび柔軟性を示した。
【0072】実施例11は、実施例1より単糸繊度が小
さくなっているが、単糸繊度が本発明の好ましい範囲内
であるので、紡出糸条の糸切れ発生も無く、得られた高
配向未延伸糸は、機械的特性にはやや劣るものの、実施
例1より生分解性能にはさらに優れるものであった。ま
た、この高配向未延伸糸は優れた易染性をおよび柔軟性
を示した。
【0073】実施例12は、実施例1より単糸繊度が大
きくなっているが、単糸繊度が本発明の好ましい範囲内
であるので、紡出糸条の密着発生も無く、得られた高配
向未延伸糸は、機械的特性および生分解性能に優れるも
のであった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性
をおよび柔軟性を示した。
【0074】実施例13は、糸断面形状を三角断面と
し、異形度および紡糸条件が本発明の範囲内であるの
で、紡出糸条の密着発生および糸切れ等も無く、得られ
た高配向未延伸糸は機械的特性および生分解性能には優
れるものであった。また、この高配向未延伸糸は優れた
易染性をおよび柔軟性を示した。
【0075】実施例14は、糸断面形状を三角断面と
し、本発明の好ましい異形度範囲上限である3.9とし
たが、異形度が本発明の好ましい範囲内であるので、紡
出糸条の糸切れ発生も無く、得られた高配向未延伸糸
は、機械的特性には実施例13よりやや劣るものの、生
分解性能には優れるものであった。また、この高配向未
延伸糸は優れた易染性をおよび柔軟性を示した。
【0076】実施例15は、糸断面形状を六角断面と
し、本発明の好ましい異形度範囲下限である2.1とし
たが、葉数および異形度が本発明の好ましい範囲内であ
るので、紡出糸条の密着発生も無く、得られた高配向未
延伸糸は、機械的特性および生分解性能には優れるもの
であった。また、この高配向未延伸糸は優れた易染性を
および柔軟性を示した。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】これに対して、表3および表4から明らか
なように、比較例1は、MFR値が本発明の範囲外であ
る15g/10分の高粘度重合体を用いたので、紡出糸
条の中空率が33%とあまりにも高いため、パンクの発
生および糸切れが多発し、目標とした高配向未延伸糸を
得ることができなかった。
【0080】比較例2は、MFR値が本発明の範囲外で
ある90g/10分の低粘度重合体を用いたので、紡出
糸条の中空率が6%とあまりにも低いため、紡出糸条間
の密着が発生し、目標とした高配向未延伸糸を得ること
ができなかった。
【0081】比較例3は、本発明の共重合量比範囲外の
ブチレンサクシネート/エチレンサクシネート=65/
35モル%の共重合体チップを用いたので、紡糸温度を
低温にしたが、あまりにも融点および結晶化温度が低い
ため、紡出糸条間の密着が発生し、目標とした高配向未
延伸糸を得ることができなかった。
【0082】比較例4は、本発明の紡糸温度範囲外の1
25℃を適用したので、あまりにも紡糸温度が低いた
め、重合体の未溶物が発生し紡出糸条の糸切れが多く、
目標とした高配向未延伸糸を得ることができなかった。
【0083】比較例5は、本発明の紡糸温度範囲外の2
90℃を適用したので、あまりにも紡糸温度が高いた
め、紡出糸条の密着が発生し、目標とした高配向未延伸
糸を得ることができなかった。
【0084】比較例6は、本発明の紡糸速度範囲外の1
800m/分を適用したので、あまりにも紡糸速度が低
いため、紡出糸条の製糸張力が低く少々密着気味であ
り、得られた未延伸糸も機械的性能および寸法安定性に
劣り、到底使用に耐えるものではなかった。
【0085】比較例7は、本発明の紡糸速度範囲外の8
500m/分を適用したので、あまりにも紡糸速度が高
いため、紡出糸条の製糸張力が大きく糸切れが発生し、
目標とした高配向未延伸糸を得ることができなかった。
【0086】比較例8は、糸断面形状が三角断面であ
り、MFR値が本発明の範囲外である90g/10分の
低粘度重合体を用いたので、紡出糸条の異形度が1.3
とあまりにも低いため、紡出糸条間の密着が発生し、目
標とした高配向未延伸糸を得ることができなかった。
【0087】比較例9は、糸断面形状が三角断面であ
り、MFR値が本発明の範囲外である15g/10分の
高粘度重合体を用いたので、紡出糸条の異形度が5.2
とあまりにも高いため、紡出糸条の糸切れが発生し、目
標とした高配向未延伸糸を得ることができなかった。
【0088】比較例10は、糸断面形状が丸断面であっ
たので、その冷却性が良好でなく、紡糸工程において糸
条間の密着が発生した。
【0089】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、紡出糸条
の冷却性、可紡性に優れ、機械的強度に優れる生分解性
高配向未延伸糸を提供することができる。
【0090】特に繊維断面形状として、中空断面、多葉
断面を選択することにより、紡出糸条の冷却性は向上
し、それによって糸条同士の密着を防止し、均斉度に優
れた生分解性高配向未延伸糸を得ることができる。
【0091】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性高配向未延伸糸を得ることができる。
また、高速溶融紡糸することにより実用に供し得る繊維
を紡糸工程のみで直接製造でき、生産性の点で有利なう
えに、高タフネスかつ柔軟性、易染性に優れた性質を合
わせもつ生分解性高配向未延伸糸を得ることができる。
【0092】本発明による高配向未延伸糸は、衛生材
料、生活関連用素材、産業用素材として極めて好適であ
る。しかもこの高配向未延伸糸は中空断面もしくは多葉
断面とすることにより優れた生分解性能を発揮し、この
未延伸糸を用いて作製された不織布などは使用後に完全
に生分解消失するため、自然環境保護の観点からも有益
であり、あるいは、例えば堆肥化して肥料とするなど再
利用を図ることもできるため資源の再利用の観点からも
有益である。さらに、本発明の高配向未延伸糸はその柔
軟性、易染性から、高度な質感、深みのある色調などを
有するニューシルキー素材としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空断面の高配向未延伸糸のモデル図
である。
【図2】本発明の多葉断面の高配向未延伸糸のモデル図
である。
【図3】本発明の多葉断面の高配向未延伸糸のモデル図
である。
【図4】本発明の中空断面の高配向未延伸糸の製造に用
いる紡糸口金のモデル図である。
【符号の説明】
1 中空断面の高配向未延伸糸 2 中空部 3 多葉断面の高配向未延伸糸 4 多葉断面の高配向未延伸糸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が中空断面であることを特徴
    とする生分解性高配向未延伸糸。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が多葉断面であることを特徴
    とする生分解性高配向未延伸糸。
  3. 【請求項3】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ポリブチレンサクシネート、あるいはブチレ
    ンサクシネートを主繰り返し単位としかつブチレンサク
    シネートの共重合量比が70モル%以上の共重合体であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の生分解性高
    配向未延伸糸。
  4. 【請求項4】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式および(3)
    式を満足する紡糸温度および紡糸速度で高速溶融紡糸
    し、中空断面の生分解性高配向未延伸糸を得ることを特
    徴とする生分解性高配向未延伸糸の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 2500≦紡糸速度(m/分)≦8000 …(3)
  5. 【請求項5】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    多葉断面用の紡糸口金を介して、(2)式および(3)
    式を満足する紡糸温度および紡糸速度で高速溶融紡糸
    し、多葉断面の生分解性高配向未延伸糸を得ることを特
    徴とする生分解性高配向未延伸糸の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(E)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 2500≦紡糸速度(m/分)≦8000 …(3)
  6. 【請求項6】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルがポリブチレンサクシネート、あるいはブチレン
    サクシネートを主繰り返し単位としかつブチレンサクシ
    ネートの共重合量比が70モル%以上の共重合体である
    ことを特徴とする請求項4または5記載の生分解性高配
    向未延伸糸の製造方法。
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