JPH08158154A - 生分解性長繊維およびその製造方法 - Google Patents

生分解性長繊維およびその製造方法

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JPH08158154A
JPH08158154A JP29358494A JP29358494A JPH08158154A JP H08158154 A JPH08158154 A JP H08158154A JP 29358494 A JP29358494 A JP 29358494A JP 29358494 A JP29358494 A JP 29358494A JP H08158154 A JPH08158154 A JP H08158154A
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section
biodegradable
cross
spinning
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JP29358494A
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English (en)
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Naoji Ichinose
直次 一瀬
So Yamaguchi
創 山口
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
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  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】生分解性を有し、かつ紡出糸条の冷却性および
繊維の機械的性能に優れ、また、熱接着性を有する長繊
維を提供する。 【構成】メルトフローレート値が(1)式を満足する生
分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、中空断
面用あるいは多葉断面用の紡糸口金を介して、(2)式
を満足する紡糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を
満足する延伸倍率で延伸し、引張強度が4.0g/d以
上である中空断面の糸1あるいは多葉断面の糸を得る。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70
…(1) 但し、ASTM D1238(L)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150
…(2) 但し、Tm ;融点 0.5×DRT ≦延伸倍率DR≦0.85×DRT
…(3) 但し、DRT ;全延伸倍率

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性を有し、か
つ、紡出糸条の冷却性および繊維の機械的性能に優れ、
また熱接着性を有し、不織布素材として好適な生分解性
長繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、不織布は衛生材、一般生活資
材、産業資材用の素材として広く使用されており、不織
布を構成する繊維素材としてはポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミドなどの重合体から構成される。しか
し、これらの素材からなる不織布には、自己分解性が無
く、普通の自然環境下では化学的に非常に安定である。
従って、使い捨て型の不織布は使用後、焼却あるいは埋
め立てといった方法で処理されているのが現状である。
我が国では、焼却処理が広く行なわれているが、多大の
費用が必要とされ、廃棄プラスチックスによる公害が発
生しつつあり、廃棄プラスチックスの処理をどのように
解決してゆくかが、自然環境保護や生活環境保護の点で
大きな社会問題となっている。一方埋め立てに関して
は、素材が化学的に安定であるため土中で長期間にわた
って、元の状態のまま残るという問題がある。
【0003】このような問題を解決する方法として、生
分解性を有する素材を用いて、短期間のうちに、自然に
分解される新しい不織布が要望されている。一般に生分
解性を有する繊維としては、木綿、麻に代表されるセル
ロース系繊維あるいは、絹に代表される蛋白質繊維が挙
げられる。しかし、これらのいわゆる天然繊維は、非熱
可塑性であることから、繊維間を熱接着させて不織布と
するいわゆるエンボス法やサーマルボンド法を採用する
ことができないと同時に短期間では分解されず、長期間
にわたり不織布形態が保持され、自然環境保護や生活環
境保護の点で好ましくない。
【0004】また、生分解性長繊維として、湿式紡糸法
により得られるキュプラレーヨン長繊維やビスコースレ
ーヨン長繊維、またはキチンやコラーゲンなどの天然物
の化学繊維が知られている。しかしながら、これら従来
の生分解性長繊維は、機械的強度が低いうえに、親水性
であるため、吸水・湿潤時の機械的強度低下が著しく、
さらに素材自体が非熱可塑性であるため熱接着性を有し
ないなど、種々の問題を抱えていた。
【0005】また、最近、生分解性のフイルムとして、
ポリエチレンに澱粉を配合したものがあり、そのフイル
ムは買い物袋の素材として使用されている。しかし、ポ
リエチレンは将来的にも分解することがないので、本来
の意味での生分解性フイルムとは言えない。しかも、不
織布に適用するような繊維を得ることは容易ではなく、
現在、澱粉入りの繊維は得られていない。
【0006】さらに、生分解性複合繊維が、例えば特開
平5−93316号公報「微生物分解性複合繊維」、特
開平5−93318号公報「微生物分解性複合繊維及び
その不織布」で提案されている。しかし、これら生分解
性複合繊維は、樹脂の融点や結晶化温度が低いことか
ら、紡出糸条の冷却性が劣り、糸条同志が密着するなど
のトラブルが発生し、これに起因して得られる繊維は均
斉度に劣るものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決するもので、生分解性を有し、紡出糸条の冷却性
および繊維の機械的性能に優れ、また熱接着性を有する
生分解性長繊維およびその製造方法を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
を解決すべく日々鋭意検討の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の構成を要旨とするものであ
る。
【0009】1.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルからなり、繊維断面が中空断面であることを特
徴とする生分解性長繊維。 2.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルから
なり、繊維断面が多葉断面であることを特徴とする生分
解性長繊維。
【0010】3.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルが、ポリブチレンサクシネートであることを特
徴とする生分解性長繊維。 4.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルが、
ブチレンサクシネートを主繰り返し単位とし、かつブチ
レンサクシネートの共重合量比が70モル%以上の共重
合体であることを特徴とする生分解性長繊維。 5.引張強度が4.0g/d以上であることを特徴とす
る生分解性長繊維。
【0011】6.メルトフローレート値が(1)式を満
足する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル
を、中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足す
る紡糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する
延伸倍率で延伸し、中空断面の生分解性長繊維を得るこ
とを特徴とする生分解性長繊維の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(L)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×DRT ≦延伸倍率DR≦0.85×DRT …(3) 但し、DRT ;全延伸倍率
【0012】7.メルトフローレート値が(1)式を満
足する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステル
を、多葉断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足す
る紡糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する
延伸倍率で延伸し、多葉断面の生分解性長繊維を得るこ
とを特徴とする生分解性長繊維の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(L)に記載の方法に準じ
る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×DRT ≦延伸倍率DR≦0.85×DRT …(3) 但し、DRT ;全延伸倍率
【0013】8.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルがポリブチレンサクシネートであることを特徴
とする生分解性長繊維の製造方法。 9.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルが、
ブチレンサクシネートを主繰り返し単位とし、かつブチ
レンサクシネートの共重合量比が70モル%以上の共重
合体であることを特徴とする生分解性長繊維の製造方
法。
【0014】次に本発明を詳細に説明する。本発明にお
ける生分解性熱可塑性脂肪族ポリエステルをまず説明す
る。例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ
(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを構成する繰り返し
単位要素による共重合体が、また、ポリ(ε−カプロラ
クトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ
(ω−ヒドロキシアルカノエート)が、さらに、ポリ−
3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシ
ブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプラレート、ポリ
−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキ
シオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキシアルカ
ノエート)およびこれらを構成する繰り返し単位要素と
ポリ−3−ヒドロキシバルレートやポリ−4−ヒドロキ
シブチレートを構成する繰り返し単位要素との共重合体
が挙げられる。またグリコールとジカルボン酸の縮重合
体からなるものとして、例えば、ポリエチレンオキサレ
ート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペ
ート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレンオキサレ
ート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペ
ート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセ
バケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれら
を構成する繰り返し単位要素による共重合体が挙げられ
る。
【0015】本発明における熱可塑性脂肪族ポリエステ
ルは、数平均分子量が約20,000以上、好ましくは
40,000以上、さらに好ましくは60,000以上
のものが、製糸性および得られる糸条の特性の点で好ま
しい。また、重合度を高めるために少量のジイソシアネ
ートやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したもの
でも良い。
【0016】また、本発明において、生分解性を有する
熱可塑性脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサ
クシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り返
し単位とする共重合体が好適に用いられる。このとき、
ブチレンサクシネートの共重合量比が70モル%以上で
あるのが特に好ましい。ブチレンサクシネートの共重合
量比が70モル%未満であると、融点、結晶化温度が低
下し、断面を中空化あるいは異形化しても、または、結
晶核剤の添加などを行っても、紡出糸条を十分に冷却す
ることが困難であり、さらに、得られた糸の寸法安定性
および機械的強度が低下するため好ましくない。この理
由により、ブチレンサクシネートの共重合量比は75モ
ル%以上がより好ましい。
【0017】重合体のメルトフローレート値(以降MF
R値と呼称する)は、20〜70g/10分であること
が重要である。但し、本発明のMFR値は全て、AST
MD1238(L)に記載の方法に準じて測定したもの
である。MFR値が20g/10分未満であるとあまり
にも高粘度であるために、紡出糸条の細化がスムーズに
行われず、得られる繊維は太繊度で均斉度に劣るものと
なる。逆に、MFR値が70g/10分を超えるとあま
りにも低粘度であるために、紡糸工程において糸切れが
発生し、操業性を損なうとともに、得られる繊維も均斉
度に劣るものとなる。
【0018】さらに、本発明においては、前述したとこ
ろの生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルに必
要に応じて、例えば光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤な
どの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添
加することができる。
【0019】また、本発明の生分解性長繊維を製造する
際には、以下の紡糸温度ならびに延伸倍率を満足しなけ
ればならない。 紡糸温度(℃)=Tm+40〜Tm+150 但し、Tm;融点 延伸倍率DR=0.5 ×DRT 〜0.85×DRT 但し、DRT ;全
延伸倍率 紡糸温度が(Tm+40)℃未満であると重合体中に未溶融
物を多く含有するため、製糸性が低下し、操業性を著し
く損なうことになる。逆に、紡糸温度が(Tm+150 )℃
を越えると重合体が熱分解し、紡出糸条が密着し易くな
り好ましくない。また、延伸倍率が全延伸倍率の0.5
倍未満であると延伸時における延伸張力が均一に付与で
きず、得られる延伸糸の寸法安定性に劣るため好ましく
ない。逆に、延伸倍率が全延伸倍率の0.85倍を越え
ると延伸時に糸切れが発生し、操業性を著しく損なうこ
とになる。
【0020】ところで、本発明において、繊維断面は中
空断面でなければならない。中空断面は丸断面に比較し
て、単位時間当りに冷却領域を通過するポリマー重量が
少ないため、また、内部に比熱が小さい空気を含んでい
るため、紡糸口金より紡出した糸条の冷却性を向上させ
るに著しく効果がある。さらに、中空率すなわち(a 2
/A2 )×100で示される値が5〜30%の範囲にあ
ることが好ましい。但し、ここでAは中空断面の糸の直
径、aは中空断面の中空部の直径を示す。中空率が5%
未満であると紡出糸条の冷却性に劣り、密着の無い糸を
得にくくなる。逆に、中空率が30%を越えると、冷却
性には優れるものの、経時的に中空部がパンクしやすく
なり、製糸性および得られる繊維の機械的性能が低下す
る。この理由により、中空率は10〜25%がより好ま
しい。
【0021】本発明は、中空断面の代わりに多葉断面で
あってもよい。多葉断面において単位ポリマー重量当り
の表面積は丸断面と比較し大きくなるため、中空断面と
同様、紡出糸条の冷却性を向上させるに効果がある。こ
の断面においては異形度すなわちB/bで示される値が
2〜4の範囲にあることが好ましい。但し、ここでBは
多葉断面の外接円の直径、bは多葉断面の内接円の直径
を示す。異形度が2未満であると紡出糸条の冷却性に劣
り、密着の無い糸を得にくくなる。逆に、異形度が4を
越えると、冷却性には優れるものの製糸性および得られ
る繊維の機械的性能が低下する。この理由により、異形
度は2.5〜3.5がより好ましい。また、葉数は異形
度の関係上3〜8の範囲が良い。
【0022】本発明は、繊度が2〜10デニールである
ことも必要である。繊度が2デニール未満であると、高
い中空率、異形度が得られないばかりか生産量の低下お
よび製糸性に劣り好ましくない。逆に、繊度が10デニ
ールを越えると、いかに中空断面あるいは多葉断面であ
っても、太くなり過ぎて冷却性に劣り均斉度に優れた繊
維を得ることは困難となる。この理由により、繊度は
2.5〜8デニールがより好ましい。
【0023】本発明の生分解性長繊維は、引張強度が
4.0g/d以上であることが重要である。引張強度が
4.0g/d未満であると用途により実使用に耐え難
く、好ましくない。
【0024】次に本発明の製造方法について説明する。
生分解性を有する前述の重合体すなわち、ポリブチレン
サクシネート、あるいはブチレンサクシネートを主繰り
返し単位とし、かつブチレンサクシネートの共重合量比
が70モル%以上の共重合体であり、しかも、重合体の
MFR値が20〜70g/10分である重合体を好適材
料として用い、紡糸温度(Tm +40)℃〜(Tm +1
50)℃で溶融し、中空断面あるいは多葉断面用の紡糸
口金より吐出した紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却
し、仕上げ油剤を付与した後、紡糸速度350〜200
0m/分の引き取りローラーを介して未延伸糸とする。
この未延伸糸をいったん巻き取った後、1段あるいは複
数段延伸機を用いて延伸処理を施す。延伸温度は使用す
る重合体により適宜選択して行い、全延伸倍率の0.5
〜0.85倍の延伸倍率で延伸を施し、目的とする延伸
糸を得る。なお、前記未延伸糸は、巻き取ることなく連
続して延伸することもできる。
【0025】
【作用】本発明の生分解性長繊維は、優れた機械的特性
さらに優れた生分解性を合わせ有するものである。中空
断面、多葉断面を選択することにより、紡出糸条の冷却
性は向上し、それによって紡出糸条同志の密着を防止
し、均斉度に優れた生分解性長繊維を得ることができ
る。また、中空断面繊維においては、外周部分から侵食
をはじめた微生物は中空部分に侵入し、貫通する孔が形
成される結果、単位ポリマー重量当りの表面積が大きく
なるため、微生物による生分解速度は促進される。多葉
断面繊維においても、単位ポリマー重量当りの表面積は
丸断面と比較し大きくなるため、微生物による生分解速
度は促進される。
【0026】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性長繊維を得ることができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定され
るものではない。
【0028】実施例において、各特性値の測定を次の方
法により実施した。 ・MFR値(g/10分);ASTM D1238
(L)に記載の方法に準じて測定した。 ・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走差型熱量計D
SC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定
し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を
融点とした。 ・結晶化温度(℃);パーキンエルマ社製示差走差型熱
量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で
測定し、得られた固化発熱曲線において極値を与える温
度を結晶化温度とした。
【0029】・中空率(%);日本光学社製光学顕微鏡
を用い、糸断面写真を撮影し、図1に示す如く、中空断
面の糸1の直径(A)および中空断面の中空部2の直径
(a)を求め、次式より中空率を求めた。 中空率(%)=(a2 /A2 )×100 ・異形度;日本光学社製光学顕微鏡により糸断面写真を
撮影し、図2に示す如く、多葉断面の糸3の内接円の直
径(b)および外接円の直径(B)を求め、次式より異
形度を求めた。 異形度=B/b
【0030】・引張強度;JIS−L−1013に記載
の方法に準じて測定した。 ・生分解性能;得られた繊維10gの試料を土中に埋設
し、1,6,12ヶ月の引張強度を標準状態で測定し、
土中埋設前の引張強度に対する強度保持率(%)を次式
で示しこれを比較した。 強度保持率(%)=(埋設後の引張強度/埋設前の引張
強度)×100
【0031】実施例1 MFR値が30g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて、糸断面
が図1に示す中空断面の長繊維を製造した。すなわち、
前記重合体チップをエクストルーダ型押出し機を用いて
180℃で溶融し、これを中空断面となる紡糸孔を48
個有する図4(イ)に示す紡糸口金を通して単孔吐出量
を1.18g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却し
た後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取った。
さらに、この糸を延伸温度70℃、延伸倍率2.9倍で
延伸し、銘柄150d/48fの延伸糸を得た。なお、
中空率は16%であった。製造条件、糸の物性、生分解
性能を表1に示す。
【0032】実施例2 実施例1と同一原料を用い、同一の方法で溶融紡出した
後に、一工程法で延伸糸を得た。すなわち、紡糸速度1
200m/分の引取りローラーと、温度75℃、速度3
360m/分の延伸ローラー間で延伸倍率2.8倍の条
件で延伸し、銘柄150d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は16%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表1に示す。
【0033】実施例3 MFR値が20g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.18g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度75℃、延伸倍率3.0
倍で延伸し、銘柄145d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は20%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表1に示す。
【0034】実施例4 MFR値が70g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて、180
℃で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐
出量を1.18g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷
却した後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度65℃、延伸倍率2.8
倍で延伸し、銘柄155d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は11%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表1に示す。
【0035】実施例5 MFR値が25g/10分で、融点99℃、結晶化温度
49℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=85/15モル%の共重合ポリエステルチップを用い
て160℃で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通し
て単孔吐出量を1.05g/分として溶融紡出した。紡
出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分とし
て巻き取った。さらに、この糸を延伸温度55℃、延伸
倍率2.6倍で延伸し、銘柄150d/48fの延伸糸
を得た。なお、中空率は18%であった。製造条件、糸
の物性、生分解性能を表1に示す。
【0036】実施例6 MFR値が35g/10分で、融点91℃、結晶化温度
35℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=70/30モル%の共重合ポリエステルチップを用い
て160℃で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通し
て単孔吐出量を1.02g/分として溶融紡出した。紡
出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分とし
て巻き取った。さらに、この糸を延伸温度50℃、延伸
倍率2.5倍で延伸し、銘柄150d/48fの延伸糸
を得た。なお、中空率は13%であった。製造条件、糸
の物性、生分解性能を表1に示す。
【0037】実施例7 実施例1と同一原料を用いて155℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取った。さらに、この糸
を延伸温度70℃、延伸倍率2.7倍で延伸し、銘柄1
65d/48fの延伸糸を得た。なお、中空率は20%
であった。製造条件、糸の物性、生分解性能を表1に示
す。
【0038】実施例8 実施例1と同一原料を用いて260℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取った。さらに、この糸
を延伸温度70℃、延伸倍率2.5倍で延伸し、銘柄1
75d/48fの延伸糸を得た。なお、中空率は7%で
あった。製造条件、糸の物性、生分解性能を表1に示
す。
【0039】実施例9 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、中空断
面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通して単孔吐
出量を0.61/分として溶融紡出した。紡出糸条を冷
却した後で、紡糸温度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度70℃、延伸倍率2.5
倍で延伸し、銘柄90d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は8%であった。製造条件、糸の物性、生分
解性能を表2に示す。
【0040】実施例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、中空断
面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通して単孔吐
出量を2.24/分として溶融紡出した。紡出糸条を冷
却した後で、紡糸温度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度75℃、延伸倍率3.3
倍で延伸し、銘柄250d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は28%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表2に示す。
【0041】実施例11 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図2に
示す三角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を1.21g/分として溶融紡出した。
紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分と
して巻き取った。さらに、この糸を延伸温度70℃、延
伸倍率3.0倍で延伸し、銘柄150d/48fの延伸
糸を得た。なお、異形度は2.8であった。製造条件、
糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0042】実施例12 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図2に
示す三角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を0.63g/分として溶融紡出した。
紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分と
して巻き取った。さらに、この糸を延伸温度70℃、延
伸倍率2.6倍で延伸し、銘柄90d/48fの延伸糸
を得た。なお、異形度は2.0であった。製造条件、糸
の物性、生分解性能を表2に示す。
【0043】実施例13 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図2に
示す三角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を2.31g/分として溶融紡出した。
紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分と
して巻き取った。さらに、この糸を延伸温度70℃、延
伸倍率3.4倍で延伸し、銘柄250d/48fの延伸
糸を得た。なお、異形度は4.0であった。製造条件、
糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0044】実施例14 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、図3に
示す六角断面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通
して単孔吐出量を1.21g/分として溶融紡出した。
紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200m/分と
して巻き取った。さらに、この糸を延伸温度70℃、延
伸倍率3.0倍で延伸し、銘柄150d/48fの延伸
糸を得た。なお、異形度は2.9であった。製造条件、
糸の物性、生分解性能を表2に示す。
【0045】比較例1 MFR値が15g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.18g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度70℃、延伸倍率2.0
倍で延伸し、銘柄220d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は24%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表3に示す。
【0046】比較例2 MFR値が80g/10分で、融点114℃、結晶化温
度74℃のポリブチレンサクシネートを用いて180℃
で溶融し、実施例1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出
量を1.18g/分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却
した後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取っ
た。さらに、この糸を延伸温度60℃、延伸倍率2.5
倍で延伸し、銘柄175d/48fの延伸糸を得た。な
お、中空率は10%であった。製造条件、糸の物性、生
分解性能を表3に示す。
【0047】比較例3 MFR値が25g/10分で、融点86℃、結晶化温度
28℃のブチレンサクシネート/エチレンサクシネート
=65/35モル%の共重合ポリエステルチップを用い
て140℃で溶融し、実施例1と同一条件下にて未延伸
糸を採取した。この未延糸を観察したところ糸条間で密
着が発生しており、延伸することができなかった。な
お、密着して得た未延伸糸の中空率は17%であった。
製造条件を表3に示す。
【0048】比較例4 実施例1と同一原料を用いて125℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸切れが多発し、未延伸糸を得ることができなかっ
た。なお、糸切れして得た未延伸糸の中空率は26%で
あった。製造条件を表3に示す。
【0049】比較例5 実施例1と同一原料を用いて290℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取ったが、紡糸工程にお
いて糸条間に融着が多発し、未延伸糸を得ることができ
なかった。なお、融着して得た未延伸糸の中空率は16
%であった。製造条件を表3に示す。
【0050】比較例6 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、本発明
の断面の範囲外である丸断面となる紡糸孔を48個有す
る紡糸口金を通して、単孔吐出量を1.18g/分とし
て溶融紡出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を
1200m/分として未延伸糸として巻き取った。この
未延伸糸を観察したところ糸条間で密着が発生してお
り、延伸することができなかった。製造条件を表4に示
す。
【0051】比較例7 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、中空断
面となる紡糸孔を48個有する図4(ロ)に示す紡糸口
金を通して、単孔吐出量を1.18g/分として溶融紡
出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200
m/分として未延伸糸として巻き取った。この未延伸糸
を観察したところ糸条間で密着が発生しており、延伸す
ることができなかった。なお、密着して得た未延伸糸の
中空率は2%であった。製造条件を表4に示す。
【0052】比較例8 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、中空断
面となる紡糸孔を48個有する図4(ハ)に示す紡糸口
金を通して、単孔吐出量を1.18g/分として溶融紡
出した。紡出糸条を冷却した後で、紡糸速度を1200
m/分として巻き取ったが、経時的に中空部がパンクし
てしまい、未延伸糸を得ることができなかった。なお、
糸切れして得た未延伸糸の中空率は35%であった。製
造条件を表4に示す。
【0053】比較例9 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、三角断
面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通して単孔吐
出量を1.18g/分として溶融紡出した。紡出糸条を
冷却した後で、紡糸速度を1200m/分として未延伸
糸として巻き取った。この未延伸糸を観察したところ糸
条間で密着が発生しており、延伸することができなかっ
た。なお、密着して得た未延伸糸の異形度は0.8であ
った。製造条件を表4に示す。
【0054】比較例10 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、三角断
面となる紡糸孔を48個有する紡糸口金を通して単孔吐
出量を1.18g/分として溶融紡出した。紡出糸条を
冷却した後で、紡糸速度を1200m/分として巻き取
った。さらに、この糸を延伸温度70℃、延伸倍率2.
3倍で延伸し、銘柄190d/48fの延伸糸を得た。
なお、異形度は5.0であった。製造条件、糸の物性、
生分解性能を表4に示す。
【0055】比較例11 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取った。さらに、この糸
を延伸温度70℃、延伸倍率4.4倍で延伸し、銘柄1
00d/48fの延伸糸を得た。なお、中空率は16%
であった。製造条件、糸の物性、生分解性能を表4に示
す。
【0056】比較例12 実施例1と同一原料を用いて180℃で溶融し、実施例
1と同一の紡糸口金を通して単孔吐出量を1.18g/
分として溶融紡出し、紡出糸条を冷却した後で、紡糸速
度を1200m/分として巻き取った。さらに、この糸
を延伸温度70℃、延伸倍率2.2倍で延伸し、銘柄2
00d/48fの延伸糸を得た。なお、中空率は16%
であった。製造条件、糸の物性、生分解性能を表4に示
す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】 表1から明らかなように、実施例1は、生分解性を有す
る熱可塑性脂肪族ポリエステルからなる長繊維を中空断
面形状とし、そのMFR値、共重合量比ならびに紡糸条
件、延伸条件ともに本発明の範囲内であるので、紡出糸
条の冷却性および製糸性も良好で、得られた長繊維は十
分な機械的強度を有し、かつ、優れた生分解性能を有す
るものであった。実施例2は、一工程法で長繊維を採取
したが、実施例1と同様に紡出糸条の冷却性および製糸
性は良好で、得られた長繊維は、十分な機械的強度を有
し、かつ、優れた生分解性能を有するものであった。実
施例3は、本発明のMFR値の範囲の下限であるMFR
値が20g/10分の高粘度重合体を用いた以外は実施
例1と同様の条件で紡糸し、実施例1より少し高い延伸
温度、延伸倍率で長繊維を得た。MFR値が20g/1
0分と高粘度の重合体ではあるが、紡出糸条の細化もス
ムーズに行われ、製糸性、糸条の冷却性ともに良好で、
得られた長繊維は均斉度にも問題なく、また高粘度のた
めに機械的強度は実施例1よりも優れ、かつ、実施例1
よりは若干劣るものの十分な生分解性能を有するもので
あった。実施例4は、本発明のMFR値の範囲の上限で
あるMFR値が70g/10分の低粘度重合体を用いた
以外は実施例1と同様の条件で紡糸し、実施例1より少
し低い延伸温度、延伸倍率で長繊維を得た。MFR値が
70g/10分と低粘度の重合体ではあるが、紡糸工程
での糸切れもなく製糸性、糸条の冷却性ともに良好で、
得られた長繊維は均性度にも問題なく、また低粘度のた
めに実施例1よりも若干劣るものの十分な機能的強度を
有し、生分解性能は実施例1よりも優れるものであっ
た。実施例5は、ブチレンサクシネート/エチレンサク
シネート=85/15モル%の共重合ポリエステルであ
るので、実施例1と同様に紡出糸条の冷却性および製糸
性も良好で、得られた長繊維の機械的強度は実施例1の
長繊維よりやや低いものの、生分解性能は実施例1の長
繊維より優れたものであった。実施例6は、ブチレンサ
クシネート/エチレンサクシネート=70/30モル%
の共重合ポリエステルであり、実施例5のブチレンサク
シネートの共重合量比より低いが、実施例5と同様に紡
出糸条の冷却性および製糸性も良好で、得られた長繊維
は実施例5の長繊維よりやや低いものの十分な機械的強
度を有し、生分解性能は特に優れていた。実施例7は、
紡糸温度が本発明の紡糸温度範囲内の下限に近い155
℃と低温にした以外は実施例1と同様の条件で紡糸し長
繊維を得た。中空率が20%と高いが、製糸中に中空部
がパンクすることもなく製糸性は良好であり、紡出糸条
の冷却性も優れ、得られた長繊維は中空率が高い分だけ
実施例1よりやや低いものの十分な機械的強度を有し、
生分解性は中空率が高い分だけ特に優れていた。実施例
8は、紡糸温度が本発明の紡糸温度範囲内の上限に近い
260℃と高温にした以外は実施例1と同様の条件で紡
糸し長繊維を得た。中空率が7%と低いが、紡出糸条の
冷却性も問題なく密着のない糸を得ることができ、しか
も製糸性も良好であった。得られた長繊維は十分な機械
的強度を有し、また、中空率が低い分だけ実施例1より
はやや低いが十分に優れた生分解性能を有するものであ
った。
【0059】また、表2から明らかなように、実施例9
は、単孔吐出量を0.61g/分と下げた以外は、実施
例1と同様の条件で紡糸し長繊維を得た。単孔吐出量を
下げたことにより、中空率が8%と低い値となったが、
紡出糸条の冷却性も問題なく密着のない糸条を得るこが
でき、しかも製糸性も良好であった。得られた長繊維は
十分な機械的強度を有し、かつ繊度が細い分だけ実施例
1より優れた生分解性能を有するものであった。実施例
10は、単孔吐出量を2.24g/分と上げた以外は、
実施例1と同様の条件で紡糸し長繊維を得た。単孔吐出
量を上げたことにより、中空率が28%と高い値とな
り、紡出糸条の冷却性が極めて優れ、密着のない糸条を
得ることができ、しかも製糸性においては、中空部がパ
ンクすることもなく良好であった。得られた長繊維は、
中空率が28%と高い値であるため、実施例1よりも低
い値を示すものの十分な機械的強度を有し、極めて優れ
た生分解性能を有するものであった。実施例11は、多
葉断面として三角断面を用いたが、実施例1と同様に紡
出糸条の冷却性および製糸性も良好で、得られた長繊維
の機械的強度および生分解性能は優れたものであった。
実施例12は、多葉断面として三角断面を用いたが、単
孔吐出量を0.63g/分と下げた以外は、実施例11
と同様の条件で紡糸し長繊維を得た。単孔吐出量を下げ
たことにより、異形度は2.0と低い値を示したが、紡
出糸条の冷却性も優れ、密着のない糸条を得ることがで
き、製糸性も良好であった。得られた長繊維は十分な機
械的強度を有し、優れた生分解性能を有するものであっ
た。実施例13は、多葉断面として三角断面を用いた
が、単孔吐出量を2.31g/分と上げた以外は、実施
例11と同様の条件で紡糸し長繊維を得た。単孔吐出量
を上げたことにより、異形度は4.0と高い値を示し、
紡出糸条の冷却性も優れ、密着のない糸条を得ることが
でき、製糸性も良好であった。得られた長繊維は十分な
機械的強度を有し、優れた生分解性能を有するものであ
った。実施例14は、多葉断面として六角断面を用いた
が、実施例1と同様に紡出糸条の冷却性および製糸性も
良好で、得られた長繊維の機械的強度および生分解性能
は優れたものであった。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】 これに対して、表3から明らかなように、比較例1は、
MFR値が本発明の範囲外である15g/10分と低い
ため、重合体の粘度があまりにも高くなり、紡出糸条の
細化がスムーズでなく、得られた長繊維は均斉度に劣る
ものであった。比較例2は、MFR値が本発明の範囲外
である80g/10分と高いため、重合体の粘度があま
りにも低くなり、紡糸工程において糸切れが発生し、操
業性が悪かった。しかも、得られた長繊維は均斉度に劣
るものであった。比較例3は、ブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=65/35モル%の共重合ポリ
エステルで、ブチレンサクシネートの共重合量比が本発
明の範囲外である65%と低いため、結晶化温度があま
りにも低く、紡糸温度を低下させ、他を実施例1と同一
条件下にて溶融紡糸を行ったが、紡出糸条の冷却性が悪
く、未延伸糸を観察したところ、糸条間で密着が発生し
ており、延伸糸を得ることができなかった。比較例4
は、紡糸温度が本発明の範囲外である125℃と低いた
め、重合体中に未溶融物を含有し、紡糸工程において糸
切れが多発し、紡糸操作性が著しく損なわれ、未延伸糸
を得ることができなかった。比較例5は、紡糸温度が本
発明の範囲外である290℃と高いため、重合体が分解
し、また、紡出糸条間に融着が多発し紡糸操作性が著し
く損なわれ、未延伸糸を得ることができなかった。
【0062】また、表4から明らかなように、比較例6
は、糸断面が本発明の範囲外である丸断面であるため
に、実施例1と同一条件下にて溶融紡糸を行ったが、紡
出糸条の冷却性が悪く、未延伸糸を観察したところ、糸
条間で密着が発生しており、延伸糸を得ることができな
かった。比較例7は、中空率が2%と低いため、紡出糸
条の冷却性が悪く、未延伸糸を観察したところ、糸条間
で密着が発生しており、延伸糸を得ることができなかっ
た。比較例8は、中空率が35%と高いため、冷却性に
は優れるものの、経時的に中空部がパンクしてしまい、
糸切れが多発し製糸性が著しく悪化した。比較例9は、
異形度が0.8と低いため、紡出糸条の冷却性が悪く、
未延伸糸を観察したところ、糸条間で密着が発生してお
り、延伸糸を得ることができなかった。比較例10は、
異形度が5.0と高いため、紡出糸条の冷却性には優れ
ものの、紡糸工程において糸切れ発生し、製糸性の悪い
ものであった。得られた長繊維は優れた生分解性能を有
するものの、十分な機械的強度を有していなかった。比
較例11は、延伸倍率の全延伸倍率に対する比が、本発
明の範囲外である0.88と高いため、糸切れが発生
し、延伸操業性が著しく悪かった。比較例12は、延伸
倍率の全延伸倍率に対する比が、本発明の範囲外である
0.44と低いため、延伸時における延伸張力が均一に
付与できず、延伸糸も寸法安定性に劣るものであった。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、紡出糸条
の冷却性、可紡性に優れ、機械的強度に優れる生分解性
長繊維を提供することができる。
【0064】特に繊維断面形状として、中空断面、多葉
断面を選択することにより、紡出糸条の冷却性は向上
し、それによって糸条同志の密着を防止し、均斉度に優
れた生分解性長繊維を得ることができる。
【0065】また、中空断面繊維においては、外周部分
から侵食をはじめた微生物は中空部分に侵入し、貫通す
る孔が形成される結果、単位ポリマー重量当りの表面積
が大きくなるため、微生物による生分解速度は促進され
る。多葉断面繊維においても、単位ポリマー重量当りの
表面積は丸断面と比較し大きくなるため、微生物による
生分解速度は促進される。
【0066】さらに、中空断面を選択した場合は軽量
性、保温性に、多葉断面を選択した場合は光沢性に、各
々優れた生分解性長繊維を得ることができる。本発明に
よる長繊維は、衛生材料、生活関連用素材、産業用素材
として極めて好適である。しかもこの長繊維は、生分解
性を有するので、その使用後に完全に生分解消失するた
め、自然環境保護の観点からも有益であり、あるいは、
例えば堆肥化して肥料とするなど再利用を図ることもで
きるため資源の再利用の観点からも有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空断面糸のモデル図である。
【図2】本発明の多葉断面糸のモデル図である。
【図3】本発明の多葉断面糸のモデル図である。
【図4】本発明の中空断面糸を製造する際に使用する紡
糸口金のモデル図である。
【符号の説明】
1 中空断面の糸 2 中空部 3 多葉断面の糸 4 多葉断面の糸

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が中空断面であることを特徴
    とする生分解性長繊維。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、繊維断面が多葉断面であることを特徴
    とする生分解性長繊維。
  3. 【請求項3】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ポリブチレンサクシネートであることを特徴
    とする請求項1または2記載の生分解性長繊維。
  4. 【請求項4】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ブチレンサクシネートを主繰り返し単位と
    し、かつブチレンサクシネートの共重合量比が70モル
    %以上の共重合体であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の生分解性長繊維。
  5. 【請求項5】 引張強度が4.0g/d以上であること
    を特徴とする請求項1または2または3または4記載の
    生分解性長繊維。
  6. 【請求項6】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    中空断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足する紡
    糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する延伸
    倍率で延伸し、中空断面の生分解性長繊維を得ることを
    特徴とする生分解性長繊維の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(L)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×DRT ≦延伸倍率DR≦0.85×DRT …(3) 但し、DRT ;全延伸倍率
  7. 【請求項7】 メルトフローレート値が(1)式を満足
    する生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを、
    多葉断面用の紡糸口金を介して、(2)式を満足する紡
    糸温度で溶融紡糸し、さらに、(3)式を満足する延伸
    倍率で延伸し、多葉断面の生分解性長繊維を得ることを
    特徴とする生分解性長繊維の製造方法。 20≦メルトフローレート値(g/10分)≦70 …(1) 但し、ASTM D1238(L)に記載の方法に準じ
    る。 Tm +40≦紡糸温度(℃)≦Tm +150 …(2) 但し、Tm ;融点 0.5×DRT ≦延伸倍率DR≦0.85×DRT …(3) 但し、DRT ;全延伸倍率
  8. 【請求項8】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルがポリブチレンサクシネートであることを特徴と
    する請求項6または7記載の生分解性長繊維の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ブチレンサクシネートを主繰り返し単位と
    し、かつブチレンサクシネートの共重合量比が70モル
    %以上の共重合体であることを特徴とする請求項6また
    は7記載の生分解性長繊維の製造方法。
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