JPH0913259A - 生分解性短繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents

生分解性短繊維不織布およびその製造方法

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JPH0913259A
JPH0913259A JP7160223A JP16022395A JPH0913259A JP H0913259 A JPH0913259 A JP H0913259A JP 7160223 A JP7160223 A JP 7160223A JP 16022395 A JP16022395 A JP 16022395A JP H0913259 A JPH0913259 A JP H0913259A
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woven fabric
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JP7160223A
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So Yamaguchi
創 山口
Chikayuki Fukushima
周之 福島
Fumio Matsuoka
文夫 松岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 嵩高性および柔軟性に富み、かつ機械的強力
に優れ、さらに熱接着性を有し、しかも溶融紡糸の際の
紡出糸条の冷却性に優れた生分解性短繊維不織布および
その製造方法を提供する。 【構成】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステ
ルからなり、かつ異形断面である短繊維1を溶融紡糸
し、この短繊維をウエブ化し、得られた不織ウエブにエ
ンボス加工を施して、部分的に点圧接し、生分解性短繊
維不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、嵩高性や柔軟性が要求
される医療・衛生材料、使い捨て用途としての拭き取り
布や包装材料あるいは家庭・業務用の生ごみ捕集用袋な
どの生活関連材、あるいは農業・園芸・土木用に代表さ
れる産業資材などの各素材として好適な生分解性短繊維
不織布およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、医療・衛生材料や一般生活関
連材あるいは一部の産業資材用の素材としてポリエチレ
ンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミドなどの
熱可塑性重合体からなる不織布が知られている。これら
の不織布は、通常の自然環境下では化学的に安定な前記
のような重合体から構成されるため自己分解性がなく、
したがって使い捨て用途では、焼却あるいは埋め立てと
いう方法で処理されているのが実情である。焼却処理に
関しては、プラント建設や公害防止設備の設置に多大の
費用が必要とされ、しかも焼却時に生じる排ガスにより
公害を発生するなど、自然・生活環境保護の観点からも
問題である。一方、埋め立てに関しては、前述したよう
に素材が通常の自然環境下で化学的に安定であるため土
中で長期間にわたって元の状態のまま保持されるという
問題がある。したがって、これらの問題を解決するよう
な、生分解性を有する素材からなる不織布が要望されて
いる。
【0003】生分解性不織布としては、例えば乾式法あ
るいは溶液浸漬法により得られるビスコースレーヨン短
繊維不織布、キチンやコラーゲンのような天然物の再生
繊維からなる不織布、コットンからなるスパンレース不
織布などが知られている。しかしながら、これらは機械
的強度が低くかつ親水性であるため吸水・湿潤の時の機
械的強度の低下が著しい。また、素材自体が非熱可塑性
であるため熱接着性を有しないなど、種々の問題を抱え
ていた。
【0004】そこで、これらの問題を解決する生分解性
不織布として、例えば、特開平5−214648号公報
が開示されている。この生分解性不織布は、生分解性を
有する熱可塑性の重合体を用いることにより前記問題点
を解決するものであるが、重合体の融点や結晶化温度が
低いことから、溶融紡糸の際に紡出糸条の冷却性および
可紡性に劣り、しかもウエブのボンディングに際して全
融タイプである繊維で構成されたウエブを熱圧接するこ
とから得られる不織布は柔軟性に劣るものであった。そ
こで、これらの欠点を改善すべく、特開平7−3436
9号公報が提案されたが、衛生材料用素材などの嵩高性
や柔軟性がより要求される用途においては、これらの要
求を十分に満足する不織布は得られていないのが現状で
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するもので、嵩高性および柔軟性に富み、か
つ機械的強力に優れ、さらに熱接着性を有し、しかも溶
融紡糸の際の紡出糸条の冷却性に優れた生分解性短繊維
不織布およびその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の問題を解決するた
めに、本発明は以下の構成を要旨とするものである。 1.短繊維から構成される不織ウエブが点圧接部におい
て部分的に熱圧接されて所定の形態を保持している不織
布であって、前記短繊維が生分解性を有する熱可塑性脂
肪族ポリエステルからなり、かつ、異形断面であること
を特徴とする生分解性短繊維不織布。
【0007】2.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルが、ポリブチレンサクシネ−ト若しくはポリエ
チレンサクシネート、又はブチレンサクシネ−ト若しく
はエチレンサクシネートを主繰り返し単位とする共重合
体であることを特徴とする生分解性短繊維不織布。
【0008】3.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルが、主繰り返し単位の共重合量比が70モル%
以上である共重合体であることを特徴とする生分解性短
繊維不織布。
【0009】4.短繊維の単糸繊度が、1.5〜10デ
ニールであることを特徴とする生分解性短繊維不織布。
【0010】5.圧縮剛軟度が0.10〜0.40g/
(g/m2) であり、嵩密度が0.10〜0.30g/c
3 であることを特徴とする生分解性短繊維不織布。
【0011】6.生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリ
エステルからなり、かつ異形断面である短繊維を溶融紡
糸し、この短繊維をウエブ化し、得られた不織ウエブに
エンボス加工を施して、部分的に点圧接させることを特
徴とする生分解性短繊維不織布の製造方法。
【0012】7.エンボス加工を、熱可塑性脂肪族ポリ
エステルの融点をTmとしたときに(Tm−20)℃〜
(Tm−5)℃の加工温度で行い、エンボス加工ロール
間のクリアランスを0〜0.2mmとして行うことを特
徴とする生分解性短繊維不織布の製造方法。
【0013】次に本発明を詳細に説明する。まず、本発
明の生分解性短繊維不織布を構成する短繊維について説
明する。本発明に適用される短繊維を形成する熱可塑性
脂肪族ポリエステルとしては、たとえば、ポリグリコ−
ル酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)また
はこれらを構成する繰り返し単位要素による共重合体
が、また、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プ
ロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカ
ノエート)が、さらに、ポリ−3−ヒドロキシプロピオ
ネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−
ヒドロキシカプロエート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタ
ノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのよう
なポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)およびこれら
を構成する繰り返し単位要素とポリ−3−ヒドロキシバ
リレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートを構成する
繰り返し単位要素との共重合体が挙げられる。またグリ
コールとジカルボン酸の縮重合体からなるものとして、
例えば、ポリブチレンサクシネ−ト、ポリエチレンオキ
サレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンア
ジペート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレンオキ
サレート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバ
ケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペン
チルオキサレートまたはこれらを構成する繰り返し単位
要素による共重合体が挙げられる。
【0014】本発明においては、前記熱可塑性脂肪族ポ
リエステルのなかで、特に、ポリブチレンサクシネート
若しくはポリエチレンサクシネート、又はブチレンサク
シネ−ト若しくはエチレンサクシネートを主繰り返し単
位とする共重合体が好適に用いられる。また、熱可塑性
脂肪族ポリエステルとして共重合体を用いるときは、主
繰り返し単位の共重合量比が70モル%以上であること
が好ましい。例えば、ブチレンサクシネートを主繰り返
し単位とする場合、ブチレンサクシネートの共重合量比
が70モル%未満であると、生分解性能には優れるもの
の、断面を異形化しても、あるいは結晶核剤を添加する
などしても紡出糸条の冷却性に劣り、得られる短繊維ひ
いては不織布の機械的性能が低下するため好ましくな
い。
【0015】本発明において適用される熱可塑性脂肪族
ポリエステルは、数平均分子量が約20,000以上、
好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,
000以上のものが、製糸性および得られる糸条の特性
の点で良い。また、重合度を高めるために少量のジイソ
シアネートやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長し
たものでも良い。
【0016】また、本発明において適用される熱可塑性
脂肪族ポリエステルに、必要に応じて、例えば艶消し
剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤
などの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で
添加しても良い。
【0017】本発明で適用される短繊維の繊維横断面形
状は、異形断面でなければならない。異形断面とするこ
とにより初めて、得られる不織布の嵩高性を十分に向上
させることができるのである。さらに、本発明において
は、一般に融点および結晶化温度の低い、生分解性を有
する重合体を用いるので、短繊維を溶融紡糸する際の紡
出糸条の冷却性には劣ることとなるが、繊維横断面を異
形化することにより、単位ポリマー重量当りの表面積を
丸断面よりも大きくさせて紡出糸条の冷却性を向上さ
せ、糸条の密着を防止することができる。
【0018】異形断面においては、異形度、すなわち図
1に示すA/aで示される値が2.0〜4.0の範囲に
あることが好ましい。但し、ここでAは異形断面の外接
円の直径、aは異形断面の内接円の直径を示す。異形度
が2.0未満であると、短繊維を紡出するに際し、紡出
糸条の冷却性に劣り、密着の無い糸を得にくくなる。逆
に、異形度が4.0を超えると、短繊維を紡出するに際
し、冷却性には優れるものの、得られる短繊維、延いて
は不織布の機械的強力が低下することとなる。この理由
により、異形度は2.5〜3.5がより好ましい。ま
た、葉数は異形度の関係上8以下であるのが良い。
【0019】本発明の不織布を構成する短繊維は、その
単糸繊度が1.5〜10デニ−ルであることが好まし
い。単糸繊度が1.5デニ−ル未満であると、得られる
不織布の柔軟性には優れるものの、製糸時の糸切れが多
く、しかも不織ウエブを作成するに際してのカード通過
性が劣り、操業性に劣ることとなる。逆に、単糸繊度が
10デニ−ルを超えると、生産性は向上するものの、紡
出糸条の冷却性および生分解性能に劣り、又は、繊維が
太いために繊維同士の圧接点が容易にはずれてしまった
り、さらには、得られた不織布の風合いが硬くなり柔軟
性に劣ることとなる。
【0020】本発明の生分解性短繊維不織布は、圧縮剛
軟度が0.10〜0.40g/(g/m2)であること
が好ましい。但し、圧縮剛軟度は、試料長が10cm、
試料幅が5cmの試料片を横方向に曲げて円筒状物とし
たものを、その軸方向について、圧縮速度5cm/分で
圧縮し、得られた最大荷重値(g)を目付けで割った値
を5回平均して求めたものである。圧縮剛軟度が0.1
0g/(g/m2)未満であると、不織布があまりにも
柔らかすぎるため機械的性能に劣り、実使用に耐えない
ものとなる。逆に、圧縮剛軟度が0.40g/(g/m
2)を超えると、不織布の風合いが硬くなり、柔軟性を
要求される衛生材等の用途には不適当であり、本発明の
目的とするところではない。
【0021】本発明の生分解性短繊維不織布は、嵩密度
が0.10〜0.30g/cm3であることが好まし
い。但し、嵩密度は、試料長が10cm、試料幅が10
cmの試料片について4.5g/cm2の荷重の印加に
より試料片の厚みを5回測定し、それらの平均値を平均
厚みとして、次式により求めたものである。 嵩密度(g/cm3)=[目付け(g/m2 )/平均厚
み(mm)]/1000 嵩密度が0.10g/cm3未満であると、繊維同士の
圧接が十分でないため圧接点がはずれ易く、機械的強力
に劣るとともに、不織布があまりにも嵩高くなりすぎ、
しかも毛羽立ちが多くなるため、実使用に耐えないもの
となる。逆に、嵩密度が0.30g/cm3を超える
と、嵩高性が不十分であるため、嵩高性を要求される衛
生材等の用途には不適当であり、本発明の目的とすると
ころではない。
【0022】次に、本発明の生分解性短繊維不織布の製
造方法について説明する。まず、前述したところの生分
解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエステルを溶融し、異
形断面となる紡糸口金より吐出した紡出糸条を冷却空気
流などを用いた公知の冷却装置にて冷却する。仕上げ油
剤を付与した後、紡糸速度300〜2000m/分の引
き取りローラーにより一旦巻き取って未延伸糸条とし、
あるいは一旦巻き取ることなく連続して、1段あるいは
複数段延伸機を用いて冷延伸または熱延伸処理を施す。
得られた延伸糸条に、例えばスタッフイングボックスを
用いて機械捲縮を付与した後、所定長に切断することに
より短繊維を得る。次いで、この短繊維をカード機等を
用いてカーディングしてカードウエブを作成し、得られ
たカードウエブに熱圧接処理を施して構成繊維同士を部
分的に熱圧接させ、目的とする短繊維不織布を得る。
【0023】重合体のメルトフローレート値(以降MF
R値と呼称する)は、10〜70g/10分であること
が好ましい。但し、本発明のMFR値は全て、ASTM
D1238(E)に記載の方法に準じて測定したもの
である。MFR値が10g/10分未満であると、紡出
糸条の細化がスムーズに行われず、得られる短繊維は太
繊度で均斉度に劣るものとなり、延いては不織布の柔軟
性を損なうこととなる。逆に、MFR値が70g/10
分を超えると、紡糸工程において糸切れが発生し、操業
性を損なうとともに、得られる短繊維も均斉度に劣り、
延いては不織布の強力にムラが生じることとなる。
【0024】溶融紡糸に際しての紡糸温度は、用いる重
合体により適宜選択して行うが、通常は120〜300
℃とすることが0ましい。紡糸温度が120℃未満であ
ると、未溶融物が発生したり、重合体の溶融粘度が高す
ぎるため溶融押出機を用いて重合体を押し出すことが困
難となり、逆に、紡糸温度が300℃を超えると、重合
体が熱分解をし始めるため、いずれも好ましくない。
【0025】溶融紡糸に際しての紡糸速度は、300〜
2000m/分とすることが好ましい。紡糸速度が30
0m/分未満であると、糸条の配向が不十分なために、
得られる不織布は実使用に供し得るだけの機械的強力を
損なうこととなり、逆に、2000m/分を超えると、
糸条の配向が高くなりすぎ得られる不織布は生分解性能
に劣る結果となるため、いずれも好ましくない。
【0026】未延伸糸条に延伸を施すに際しての延伸倍
率および延伸温度は使用する重合体により適宜選択して
行うことができる。カーディングによるウエブの作成に
際して、ウエブの繊維方向性は、構成繊維がカード機の
機械方向に配列したパラレル繊維ウエブ、構成繊維がラ
ンダムに配列したランダム繊維ウエブ、あるいは両者の
中程度に構成繊維が配列したセミランダム繊維ウエブの
いずれであっても良い。
【0027】なお、ウエブの作成において用いる原綿、
すなわち本発明の不織布の構成繊維としては、少なくと
も前述の短繊維を一定量含有していれば良く、従って前
述の短繊維を単独で用いても良いし、あるいは前述の短
繊維と他の繊維を混合して用いても良い。
【0028】本発明における生分解性短繊維不織布は、
構成する単繊維間の点圧接部において部分的に熱圧接さ
れたものである。不織ウエブに部分的な熱圧接処理を施
すに際しては、加熱されたエンボスロールと表面が平滑
な金属ロールとを用いて、エンボスパターン部において
単繊維間に点状融着区域を形成する方法が採用される。
【0029】本発明においては、熱圧接処理を施すに際
の加工温度、すなわちエンボスロールと金属ロールとの
温度は、用いる重合体の融点をTmとしたときに、(T
m−20)℃〜(Tm−5)℃とすることが好ましい。
加工温度が(Tm−20)℃未満であると、得られる不
織布の機械的強力に劣るとともに、毛羽立ちが生じ易く
実使用に耐えないものとなる。逆に、加工温度が(Tm
−5)℃を超えると、熱圧接装置に重合体が固着し操業
性を損なうばかりか、得られる不織布は硬直化し、柔軟
性および嵩高性に劣るとともに、生分解性能にも劣るこ
ととなる。
【0030】本発明においては、熱圧接処理を施す際の
エンボスロールと金属ロール間のクリアランスは、0〜
0.2mmであることが好ましい。クリアランスが0.
2mmを超えると、繊維同士の圧接が十分でないため圧
接点がはずれ易く、得られる不織布の機械的強力に劣る
とともに、不織布があまりにも嵩高くなりすぎ、また毛
羽立ちが多くなるため、実使用に耐えないものとなる。
【0031】また、熱圧接処理を施すに際して、ウエブ
の全表面積に対する全熱圧接領域の面積の比、すなわち
圧接面積率は2〜30%、さらに好ましくは4〜20%
であるのが良い。この圧接面積率が2%未満であると、
点状融着区域が少ないため得られる不織布の機械的強力
および寸法安定性に劣ることとなり好ましくない。逆
に、圧接面積率が30%を超えると、得られる不織布が
硬直化し、柔軟性や嵩高性に劣るとともに、生分解性能
にも劣るため好ましくない。
【0032】部分的に熱圧接した場合の点圧接部の形態
は、エンボスロールの突起部先端面の彫刻模様の形状に
よって決定されるのであるが、その形状は丸型,楕円
型,菱型,三角型,T字型,井型,格子型など任意の形
状であって良い。しかし、このとき、点圧接部の面積は
0.1〜1.0mm2 とするのが好ましい。また、ウエ
ブの全表面積に対するエンボスロールの突起部数、すな
わち圧接点密度が2〜80点/cm2 、さらに好ましく
は4〜60点/cm2であるのが良い。圧接点密度が2
点/cm2 未満であると不織布の機械的特性や形態保持
性が向上せず、逆に、圧接点密度が80点/cm2 を超
えると柔軟性と嵩高性が向上せず、いずれも好ましくな
い。
【0033】本発明の生分解性短繊維からなる不織布の
目付けは、使用目的により選択されるため特に限定され
るものではないが、一般的には10〜200g/m2
範囲が好ましく、さらに好ましくは15〜150g/m
2 の範囲が良い。目付けが10g/m2 未満では柔軟性
および生分解速度には優れるものの機械的強力に劣り実
用的ではない。逆に、目付けが200g/m2 を超える
と、不織布が硬い風合いのものとなるため、特に柔軟性
が要求される医療・衛生材料などの分野においては不適
当となり好ましくない。
【0034】
【作用】本発明によれば、構成繊維として異形断面の短
繊維を用いるので、嵩高性に富み、かつ柔軟性に優れる
とともに、構成繊維を部分的に熱圧接しているので、優
れた機械的強力を併せもつ不織布を得ることができる。
【0035】また、本発明の不織布は、生分解性を有す
る熱可塑性重合体からなる短繊維で構成されるため、生
分解性能に優れ、かつ熱接着性を有するものである。さ
らに、本発明によれば、一般に融点および結晶化温度の
低い、生分解性の熱可塑性脂肪族ポリエステルを用いて
いるにもかかわらず、繊維横断面を異形断面としている
ので、紡糸の際の紡出糸条の冷却性を向上させ、糸条の
密着などを防止することができる。
【0036】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0037】実施例において、各物性値の測定を次の方
法により実施した。 ・メルトフローレート値(g/10分);ASTM−D
−1238(E)に記載の方法に準じて温度190℃で
測定した。
【0038】・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走
査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5mg、昇
温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の
最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0039】・単糸繊維引張り強度;JIS−L−10
13に記載の方法に準じて測定した。
【0040】・目付け(g/m2 );標準状態の試料か
ら縦10cm×横10cmの試料片各10点を作製し平
衡水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量
し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、目
付け(g/m2 )とした。
【0041】・不織布の引張り強力(kg/2.5cm
幅);JIS−L−1096Aに記載の方法に準じて測
定した。すなわち、試料長が15cm、試料幅が2.5
cmの試料片各10点を作製し、各試料片毎に不織布の
縦および横方向について、定速伸張型引張り試験機(東
洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−4−1−10
0)を用い、試料のつかみ間隔10cmとし、引張り速
度10cm/分で伸張し、得られた最大荷重値(kg/
2.5cm幅)の平均値を引張り強力(kg/5cm
幅)とした。
【0042】・不織布の圧縮剛軟度(g/ (g/m2));
試料長が10cm、試料幅が5cmの試料片計5点を作
製し、各試料片毎に横方向に曲げて円筒状物とし、各々
その端部を接合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。
次いで、測定試料毎に各々その軸方向について、定速伸
長型引張り試験機(東洋ボールドウィン社製テンシロン
UTM−4−1−100)を用い、圧縮速度5cm/分
で圧縮し、得られた最大荷重値(g)を目付けで割った
値の平均を圧縮剛軟度(g/ (g/m2))とした。従っ
て、この圧縮剛軟度の値が低いほど柔軟性が優れること
を意味する。
【0043】・嵩密度(g/cm3);試料長が10c
m、試料幅が10cmの試料片を計5個作製し、大栄科
学精機製作所社製の厚み測定器を用い、4.5g/cm
2の荷重の印加により各試料片の厚み(mm)を測定
し、それらの平均値を平均厚み(mm)として、次式よ
り嵩密度(g/cm3)を求めた。 嵩密度(g/cm3)=[目付け(g/m2 )/平均厚
み(mm)]/1000
【0044】・異形度;電界放射形走査電子光学顕微鏡
を用い繊維断面写真を撮影し、図1に示すように、異形
断面の短繊維1の繊維横断面の内接円の直径(a)およ
び外接円の直径(A)を求め、次式より異形度を求め
た。 異形度=A/a
【0045】・生分解性能;不織布を土中に埋設し、6
ヶ月後に取り出し、不織布がその形態を保持していない
場合、あるいは、その形態を保持していても引張り強力
が埋設前の引張り強力初期値に対して50%以下に低下
している場合は、生分解性能が良好(;○)であると
し、引張り強力が埋設前の引張り強力初期値に対して5
0%を超える場合は、生分解性能が不良(;×)である
と評価した。
【0046】実施例1 MFR値が25g/10分、融点114℃のポリブチレ
ンサクシネートを用いて、短繊維よりなる不織布を製造
した。
【0047】すなわち、前記重合体チップをエクストル
ーダ型溶融押出し機を用いて紡糸温度180℃で溶融
し、図1に示すような三葉型の異形断面となるような孔
数800の紡糸口金を通して単孔吐出量0.82g/分
で溶融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷
却した後、紡糸速度800m/分で巻き取って未延伸糸
を得た。次いで、得られた未延伸糸を複数本合糸して、
3.2倍で冷延伸し、スタッフイングボックスにて捲縮
数22ケ/インチの機械捲縮を施した後、繊維長51m
mに切断して、異形度2.8、単糸繊度3.0デニー
ル、単糸繊維引張り強度5.9g/デニールの短繊維を
得た。この短繊維をカード機を用いてカーディングして
ウエブを作成し、得られた不織ウエブをエンボスロール
からなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが50g/
2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧接条件として
は、面積が0.6mm2 の彫刻模様が、圧接点密度が2
0点/cm2 、圧接面積率が13.2%で配設されたエ
ンボスロールと表面が平滑な金属ロールとを、クリアラ
ンスを0mmとして用い、加工温度、すなわちエンボス
ロールと金属ロールとの表面温度を100℃として行っ
た。製造条件、不織布物性および生分解性能を表1に示
す。
【0048】実施例2 MFR値が25g/10分、融点104℃のポリエチレ
ンサクシネートを用い、3.3倍で冷延伸すること以外
は実施例1と同様にして、異形度2.7、単糸繊度2.
9デニール、単糸繊維引張り強度5.1g/デニールの
短繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこの短
繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブをエン
ボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付け
が50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧接
条件は、加工温度を90℃とすること以外は実施例1と
同様の方法で行った。製造条件、不織布物性および生分
解性能を表1に示す。
【0049】実施例3 MFR値が30g/10分、融点92℃のブチレンサク
シネート/エチレンサクシネート=70/30(モル
%)の共重合体を用い、紡糸温度170℃、単孔吐出量
0.85g/分、紡糸速度800m/分、3.5倍で冷
延伸すること以外は実施例1と同様にして、異形度2.
6、単糸繊度2.9デニール、単糸繊維引張り強度5.
5g/デニールの短繊維を得た。次いで、実施例1と同
様の方法でこの短繊維によりウエブを作成し、得られた
不織ウエブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱
圧接して、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織
布を得た。熱圧接条件は、加工温度を80℃とすること
以外は実施例1と同様の方法で行った。製造条件、不織
布物性および生分解性能を表1に示す。
【0050】実施例4 MFR値が30g/10分、融点108℃のブチレンサ
クシネート/ブチレンアジペート=80/20(モル
%)の共重合体を用い、単孔吐出量0.85g/分、紡
糸速度800m/分、3.5倍で冷延伸すること以外は
実施例1と同様にして、異形度2.6、単糸繊度2.9
デニール、単糸繊維引張り強度5.4g/デニールの短
繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこの短繊
維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブをエンボ
スロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが
50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧接条
件は、加工温度を95℃とすること以外は実施例1と同
様の方法で行った。製造条件、不織布物性および生分解
性能を表1に示す。
【0051】実施例5 図2に示すような六葉型の異形断面となるような孔数8
00の紡糸口金を通し、単孔吐出量0.84g/分、紡
糸速度800m/分、3.1倍で冷延伸すること以外は
実施例1と同様にして、異形度3.0、単糸繊度3.2
デニール、単糸繊維引張り強度5.8g/デニールの短
繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこの短繊
維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブをエンボ
スロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが
50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧接条
件は、実施例1と同様の方法で行った。製造条件、不織
布物性および生分解性能を表1に示す。
【0052】実施例6 図3に示すような二葉型の異形断面となるような孔数8
00の紡糸口金を通し、単孔吐出量0.84g/分、紡
糸速度800m/分、3.6倍で冷延伸すること以外は
実施例1と同様にして、異形度3.5、単糸繊度2.8
デニール、単糸繊維引張り強度5.6g/デニールの短
繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこの短繊
維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブをエンボ
スロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付けが
50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧接条
件は、実施例1と同様の方法で行った。製造条件、不織
布物性および生分解性能を表1に示す。
【0053】実施例7 単孔吐出量0.36g/分、2.8倍で冷延伸すること
以外は実施例1と同様にして、異形度2.8、単糸繊度
1.5デニール、単糸繊維引張り強度6.0g/デニー
ルの短繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこ
の短繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブを
エンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目
付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱
圧接条件は、実施例1と同様の方法で行った。製造条
件、不織布物性および生分解性能を表2に示す。
【0054】実施例8 単孔吐出量3.33g/分、3.9倍で冷延伸すること
以外は実施例1と同様にして、異形度2.2、単糸繊度
10デニール、単糸繊維引張り強度6.3g/デニール
の短繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方法でこの
短繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウエブをエ
ンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して、目付
けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。熱圧
接条件は、実施例1と同様の方法で行った。製造条件、
不織布物性および生分解性能を表2に示す。
【0055】実施例9 実施例1と同様にして、不織ウエブを作成し、得られた
ウエブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接
して、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を
得た。熱圧接条件は、クリアランスを0.2mmとする
こと以外は実施例1と同様の方法で行った。製造条件、
不織布物性および生分解性能を表2に示す。
【0056】実施例10 実施例1と同様にして、不織ウエブを作成し、得られた
ウエブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接
して、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を
得た。熱圧接条件は、加工温度を94℃とすること以外
は実施例1と同様の方法で行った。製造条件、不織布物
性および生分解性能を表2に示す。
【0057】実施例11 実施例1と同様にして、不織ウエブを作成し、得られた
ウエブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接
して、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を
得た。熱圧接条件は、加工温度を109℃とすること以
外は実施例1と同様の方法で行った。製造条件、不織布
物性および生分解性能を表2に示す。
【0058】比較例1 丸断面となるような孔数800の紡糸口金を通し、3.
5倍で冷延伸すること以外は実施例1と同様にして、単
糸繊度2.7デニール、単糸繊維引張り強度6.0g/
デニールの短繊維を得た。次いで、実施例1と同様の方
法でこの短繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウ
エブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接し
て、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得
た。熱圧接条件は、実施例1と同様の方法で行った。製
造条件、不織布物性および生分解性能を表3に示す。
【0059】比較例2 丸断面となるような孔数800の紡糸口金を通し、3.
3倍で冷延伸すること以外は実施例2と同様にして、単
糸繊度2.9デニール、単糸繊維引張り強度5.3g/
デニールの短繊維を得た。次いで、実施例2と同様の方
法でこの短繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウ
エブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接し
て、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得
た。熱圧接条件は、実施例2と同様の方法で行った。製
造条件、不織布物性および生分解性能を表3に示す。
【0060】比較例3 丸断面となるような孔数800の紡糸口金を通し、紡糸
温度170℃、3.5倍で冷延伸すること以外は実施例
3と同様にして、単糸繊度2.9デニール、単糸繊維引
張り強度5.6g/デニールの短繊維を得た。次いで、
実施例3と同様の方法でこの短繊維によりウエブを作成
し、得られた不織ウエブをエンボスロールからなる熱圧
接装置にて熱圧接して、目付けが50g/m2 の生分解
性短繊維不織布を得た。熱圧接条件は、実施例3と同様
の方法で行った。製造条件、不織布物性および生分解性
能を表3に示す。
【0061】比較例4 丸断面となるような孔数800の紡糸口金を通し、3.
5倍で冷延伸すること以外は実施例4と同様にして、単
糸繊度2.9デニール、単糸繊維引張り強度5.5g/
デニールの短繊維を得た。次いで、実施例4と同様の方
法でこの短繊維によりウエブを作成し、得られた不織ウ
エブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接し
て、目付けが50g/m2 の生分解性短繊維不織布を得
た。熱圧接条件は、実施例4と同様の方法で行った。製
造条件、不織布物性および生分解性能を表3に示す。
【0062】比較例5 ウエブを得るに際し、スパンボンド法で長繊維よりなる
不織ウエブを得ること以外は実施例1と同様にして不織
布を得た。すなわち、実施例1と同様の重合体に、結晶
核剤としてタルクを1.5重量%添加し、これをエクス
トルーダ型溶融押出し機を用いて紡糸温度180℃で溶
融し、図1に示すような三葉型の異形断面となるような
孔数180の紡糸口金を通して単孔吐出量1.35g/
分で溶融紡出した。この紡出糸条を公知の冷却装置にて
冷却した後、この紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却し
た後、口金の下方に設置したエアーサッカーを用いて、
牽引速度が4000m/分で牽引細化して引き取った。
次いで、公知の開繊器具にて開繊し、移動するスクリー
ンコンベア上に捕集・堆積させて、異形度2.8、単糸
繊度3.0デニール、単糸繊維引張り強度5.6g/デ
ニールの長繊維からなる不織ウエブとした。この不織ウ
エブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接し
て目付けが50g/m2 の生分解性長繊維不織布を得
た。熱圧接条件としては、実施例1と同様にして行っ
た。製造条件、不織布物性および生分解性能を表3に示
す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】表1および表2から明らかなように、実施
例1は、ポリブチレンサクシネートを用いた本発明の短
繊維を適用しているので、得られた不織布は十分な機械
的強力を保持するとともに、柔軟性および嵩高性に優
れ、かつ十分な生分解性能を有するものであった。
【0066】実施例2は、ポリエチレンサクシネートを
用いた本発明の短繊維を適用しているので、得られた不
織布は十分な機械的強力を保持するとともに、柔軟性お
よび嵩高性に優れ、かつ十分な生分解性能を有するもの
であった。
【0067】実施例3は、本発明の好ましい共重合量比
範囲であるブチレンサクシネ−ト/エチレンサクシネ−
ト=70/30(モル%)の共重合体を用いた本発明の
短繊維を適用しているので、得られた不織布は、実施例
1よりもやや劣るものの十分な機械的強力を保持すると
ともに、柔軟性および嵩高性に特に優れ、かつ十分な生
分解性能を有するものであった。
【0068】実施例4は、本発明の好ましい共重合量比
範囲であるブチレンサクシネ−ト/ブチレンアジペ−ト
=80/20(モル%)の共重合体を用いた本発明の短
繊維を適用しているので、得られた不織布は、実施例1
よりもやや劣るものの十分な機械的強力を保持するとと
もに、柔軟性および嵩高性に特に優れ、かつ十分な生分
解性能を有するものであった。
【0069】実施例5は、本発明の六葉型断面の短繊維
を適用しているので、得られた不織布は、実施例1より
もやや優れた機械的強力を保持するとともに、柔軟性お
よび嵩高性に優れ、かつ十分な生分解性能を有するもの
であった。
【0070】実施例6は、本発明の二葉型断面の短繊維
を適用しているので、得られた不織布は、実施例1より
もやや劣るものの十分な機械的強力を保持するととも
に、柔軟性および嵩高性に特に優れ、かつ十分な生分解
性能を有するものであった。
【0071】実施例7は、本発明の好ましい単糸繊度範
囲の下限である短繊維を適用しているので、得られた不
織布は、実施例1よりもやや優れた機械的強力を保持す
るとともに、十分な生分解性能を有するものであった。
また、繊度が細いため柔軟性には特に優れるものの、緻
密性が増すため嵩高性にはやや劣るものであった。
【0072】実施例8は、本発明の好ましい単糸繊度範
囲の上限である短繊維を適用しているので、得られた不
織布は、実施例1よりもやや劣るものの十分な機械的強
力を保持するとともに、十分な生分解性能を有するもの
であった。また、繊度が太いため柔軟性にはやや劣るも
のの、嵩高性には特に優れるものであった。
【0073】実施例9は、熱圧接の際のクリアランスを
本発明の好ましいクリアランス範囲上限としたので、得
られた不織布は、実施例1よりもやや劣るものの十分な
機械的強力を保持するとともに、柔軟性および嵩高性に
特に優れ、かつ十分な生分解性能を有するものであっ
た。
【0074】実施例10は、熱圧接の際の加工温度を本
発明の好ましい熱圧接加工温度範囲下限としたので、得
られた不織布は、実施例1よりもやや劣るものの十分な
機械的強力を保持するとともに、十分な生分解性能を有
するものであった。また、加工温度が低いため、柔軟性
に特に優れるものであった。
【0075】実施例11は、熱圧接の際の加工温度を本
発明の好ましい熱圧接加工温度範囲上限としたので、得
られた不織布は、柔軟性が実施例1よりもやや劣るもの
の、十分な生分解性能を有するものであった。また、加
工温度が高いため、機械的強力に特に優れるものであっ
た。
【0076】
【表3】
【0077】これに対して、表3から明らかなように、
比較例1は、実施例1と同一条件であるが短繊維断面を
本発明の範囲外である丸断面としたので、得られた不織
布は、実施例1とほぼ同等の機械的強力を保持するもの
の、柔軟性および嵩高性には著しく劣るものであった。
また、短繊維製造時に紡出糸条の密着が時折発生するた
め、操業性にやや劣る結果となった。
【0078】比較例2は、実施例2と同一条件であるが
短繊維断面を本発明の範囲外である丸断面としたので、
得られた不織布は、実施例2とほぼ同等の機械的強力を
保持するものの、柔軟性および嵩高性には著しく劣るも
のであった。また、短繊維製造時に紡出糸条の密着が時
折発生するため、操業性にやや劣る結果となった。
【0079】比較例3は、実施例3と同一条件であるが
短繊維断面を本発明の範囲外である丸断面としたので、
得られた不織布は、実施例3とほぼ同等の機械的強力を
保持するものの、柔軟性および嵩高性には著しく劣るも
のであった。また、短繊維製造時に紡出糸条の密着が時
折発生するため、操業性にやや劣る結果となった。
【0080】比較例4は、実施例4と同一条件であるが
短繊維断面を本発明の範囲外である丸断面としたので、
得られた不織布は、実施例4とほぼ同等の機械的強力を
保持するものの、柔軟性および嵩高性には著しく劣るも
のであった。また、短繊維製造時に紡出糸条の密着が時
折発生するため、操業性にやや劣る結果となった。
【0081】比較例5は、不織布構成繊維として本発明
の範囲外である長繊維を用いたので、得られた不織布
は、実施例1よりも優れた機械的強力を保持するもの
の、柔軟性および嵩高性には著しく劣るものであった。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、嵩高性および柔軟性に
富み、かつ機械的強力に優れ、さらに熱接着性を有し、
しかも溶融紡糸の際の紡出糸条の冷却性に優れた生分解
性短繊維不織布およびその製造方法を提供することがで
きる。
【0083】本発明の不織布は、おむつや生理用品その
他の医療・衛生材料素材、使い捨ておしぼりやワイピン
グクロスなどの拭き取り布、使い捨て包装材、家庭・業
務用の生ごみ捕集用袋その他廃棄物処理材などの生活関
連用素材、あるいは、農業・園芸・土木用に代表される
産業用資材の各素材として好適である。しかも、この不
織布は生分解性を有するので、その使用後に完全に分解
消失するため、自然環境保護の観点からも有益であり、
あるいは、例えば堆肥化して肥料とするなど再利用を図
ることもできるため資源の再利用の観点からも有益であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三葉型異形断面の短繊維のモデル図で
ある。
【図2】本発明の六葉型異形断面の短繊維のモデル図で
ある。
【図3】本発明の二葉型異形断面の短繊維のモデル図で
ある。
【符号の説明】
1 三葉型異形断面の短繊維 2 六葉型異形断面の短繊維 3 二葉型異形断面の短繊維

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短繊維から構成される不織ウエブが点圧
    接部において部分的に熱圧接されて所定の形態を保持し
    ている不織布であって、前記短繊維が生分解性を有する
    熱可塑性脂肪族ポリエステルからなり、かつ、異形断面
    であることを特徴とする生分解性短繊維不織布。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、ポリブチレンサクシネ−ト若しくはポリエチ
    レンサクシネート、又はブチレンサクシネ−ト若しくは
    エチレンサクシネートを主繰り返し単位とする共重合体
    であることを特徴とする請求項1記載の生分解性短繊維
    不織布。
  3. 【請求項3】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルが、主繰り返し単位の共重合量比が70モル%以
    上である共重合体であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の生分解性短繊維不織布。
  4. 【請求項4】 短繊維の単糸繊度が、1.5〜10デニ
    ールであることを特徴とする請求項1から3までのいず
    れか一項に記載の生分解性短繊維不織布。
  5. 【請求項5】 圧縮剛軟度が0.10〜0.40g/
    (g/m2) であり、嵩密度が0.10〜0.30g/c
    3 であることを特徴とする請求項1から4までのいず
    れか一項に記載の生分解性短繊維不織布。
  6. 【請求項6】 生分解性を有する熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルからなり、かつ異形断面である短繊維を溶融紡糸
    し、この短繊維をウエブ化し、得られた不織ウエブにエ
    ンボス加工を施して、部分的に点圧接させることを特徴
    とする生分解性短繊維不織布の製造方法。
  7. 【請求項7】 エンボス加工を、熱可塑性脂肪族ポリエ
    ステルの融点をTmとしたときに(Tm−20)℃〜
    (Tm−5)℃の加工温度で行い、エンボス加工ロール
    間のクリアランスを0〜0.2mmとして行うことを特
    徴とする請求項6記載の生分解性短繊維不織布の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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