JPH08260320A - 生分解性複合短繊維からなる不織布 - Google Patents

生分解性複合短繊維からなる不織布

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JPH08260320A
JPH08260320A JP7068468A JP6846895A JPH08260320A JP H08260320 A JPH08260320 A JP H08260320A JP 7068468 A JP7068468 A JP 7068468A JP 6846895 A JP6846895 A JP 6846895A JP H08260320 A JPH08260320 A JP H08260320A
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sheath
core
biodegradable
nonwoven fabric
melting point
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JP7068468A
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Hiroshi Nishimura
弘 西村
Naoji Ichinose
直次 一瀬
Shigetaka Nishimura
重孝 西村
Koichi Nagaoka
孝一 長岡
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衛生材料等に用いても柔軟性についての問題
が生じない、生分解性複合短繊維からなる不織布を提供
する。 【構成】 芯部が生分解性熱可塑性重合体成分からな
り、鞘部が前記芯部の重合体成分よりも融点の低い生分
解性熱可塑性重合体成分からなる生分解性芯鞘複合短繊
維を構成繊維とする。これらの構成繊維どうしが部分的
に熱接着されて不織布を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生分解性複合短繊維から
なる不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、乾式法あるいは溶液浸漬法に
より得られるビスコースレーヨン短繊維不織布、湿式ス
パンボンド法により得られるキュプラレーヨン長繊維不
織布やビスコースレーヨン短繊維不織布、キチンやアテ
ロコラーゲン等の天然物の化学繊維からなる不織布、コ
ットンからなるスパンレース不織布等、種々の生分解性
不織布が知られている。
【0003】しかしながら、これら従来の生分解性不織
布は、不織布の構成素材自体の機械的強度が低くかつ親
水性であるため、吸水・湿潤時の機械的強力低下が著し
いという問題を有していた。また、乾燥・湿潤の繰り返
し時に収縮が大きいため寸法安定性が劣る、柔軟性が劣
る、さらに素材自体が非熱可塑性であるため熱接着性を
有しない等、種々の問題を有していた。
【0004】そこで上記問題を解決するために、特開平
6−207324号公報にて、生分解性熱可塑性重合体
を用いた芯鞘型の複合長繊維からなる不織布が開示され
ており、これによって強力や寸法安定性を必要とする分
野においてはかなりの改良が加えられた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】生分解性不織布の市場
としては衛生材料関連分野があるが、上記従来の芯鞘型
複合長繊維不織布を衛生材料に用いると、柔軟性に劣
り、装着した時に使用者にやや違和感を感じさせるとい
う問題があった。
【0006】そこで本発明は、このような問題点を解決
し、衛生材料等に用いても柔軟性についての問題が生じ
ないようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、上
記課題を解決するもので、芯部が生分解性熱可塑性重合
体成分からなり、鞘部が前記芯部の重合体成分よりも融
点の低い生分解性熱可塑性重合体成分からなる生分解性
芯鞘複合短繊維を構成繊維とし、これらの構成繊維どう
しが部分的に熱接着されていることを特徴とする生分解
性複合短繊維からなる不織布を要旨とする。
【0008】このようなものであると、従来に比べて柔
軟性が向上した不織布が得られる。次に、本発明を詳細
に説明する。本発明における生分解性熱可塑性重合体と
は、生分解性を有する熱可塑性の脂肪族ポリエステル系
重合体をいい、例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のよ
うなポリグリコール酸やポリ乳酸からなる重合体または
これらの共重合体が挙げられる。また、ポリ(ε−カプ
ロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のような
ポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)が挙げられる。
さらに、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−
3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプ
ロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ
−3−ヒドロキシオクタノエート及びこれらとポリ−3
−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレ
ートとの共重合体のようなポリ(β−ヒドロキシアルカ
ノエート)が挙げられる。またグリコールとジカルボン
酸の縮重合体からなるものが挙げられ、これには、例え
ば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネ
ート、ポリエチレンアジペード、ポリエチレンアゼレー
ト、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネ
ート、ポリブチレンアジペード、ポリブチレンセバケー
ト、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチル
オキサレートまたはこれらの共重合体が挙げられる。さ
らに、前記脂肪族ポリエステルと、ポリカプラミド(ナ
イロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン
46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6
6)、ポリウンデカナミド(ナイロン11)、ポリラウ
ロラクタミド(ナイロン12)のような脂肪族ポリアミ
ドとの共縮重合体である、脂肪族ポリエステルアミド系
共重合体が挙げられる。また、生分解性を有する熱可塑
性重合体として前述した以外の熱可塑性重合体であって
も、それが生分解性を有するものであれば用いることが
できる。
【0009】なお、前述したところの生分解性を有する
熱可塑性重合体には、必要に応じて、例えば艶消し剤、
顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤
を、本発明の不織布に必要な効果を損なわない範囲内で
添加することができる。
【0010】前記生分解性を有する熱可塑性重合体から
なる芯鞘構造の複合短繊維は、前記重合体の内から選択
されたところの、好ましくは融点を3℃以上かつ150
℃以下異にする2種の重合体成分をそれぞれ芯成分及び
鞘成分として構成されるものである。そして、芯部が高
融点の生分解性熱可塑性重合体成分からなり、かつ鞘部
が低融点の生分解性熱可塑性重合体成分からなるごとく
両重合体成分が配されて同心芯鞘型の複合形態を有し、
これら芯部と鞘部とが互いに接合されたものである。
【0011】この複合短繊維において、両重合体成分の
融点差が3℃未満であると、得られた繊維を用いて不織
ウエブを作製しこれに加熱処理を施して不織布とするに
際して、低融点の重合体成分のみならず高融点の重合体
成分も軟化溶融するため、好ましくない。したがって前
述のように融点差を3℃以上とするのが好ましく、また
5℃以上さらに10℃以上とするのがより好ましい。一
方、この融点差が150℃を超えると、両重合体成分の
融点差が余りにも大きく異なるため、両重合体成分を用
いて複合紡糸をする際に紡糸ノズルパック内において紡
糸温度の制御が困難となるので好ましくない。なお、鞘
部の生分解性を有する熱可塑性重合体成分として、融点
が60℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましく
は100℃以上のものを採用すると、この鞘部を有する
短繊維にて形成した不織布に一定の耐熱性を具備させる
ことができるので好ましい。
【0012】この複合短繊維においては、複合比すなわ
ち芯部の重合体成分に対する鞘部の重合体成分の重量比
を1/5〜5/1とするのがよい。芯部の重合体成分1
に対し鞘部の重合体成分の比が5を超えると、短繊維の
強度が低下したり、あるいはこの短繊維を用いて得られ
る不織布が硬くなって風合いが悪化したりする。一方、
芯部の重合体成分5に対し鞘部の重合体成分の比が1未
満であると、この短繊維を用いて得られる不織布がその
構成繊維間の熱接着部において強度低下を生じる。した
がって、この複合比を1/2〜2/1とするのがより好
ましい。
【0013】不織布を構成する複合短繊維は、その単繊
維繊度が0.5〜10デニールであるのが好ましい。単
繊維繊度が0.5デニール未満であると、溶融紡糸時に
紡糸ノズル面で吐出されたフィラメントが糸曲がりを生
じるなど、繊維の製糸性が低下する。一方、単繊維繊度
が10デニールを超えると、この繊維を用いて得られる
不織布が粗硬な地合いの粗いものとなって、その品位が
劣ることになる。
【0014】本発明の不織布は、前記芯鞘構造の複合短
繊維から構成され、かつ構成繊維どうしが部分的に熱接
着されているものである。この部分的熱接着は公知の熱
接着処理により形成されるものであって、これにより不
織布としての形態が保持され、しかも不織布に優れた機
械的強度と寸法安定性が発現される。
【0015】本発明の不織布は、その剛軟度が4g以下
であるのが好ましい。剛軟度が4gを越えると、衛生材
料などとして利用した場合に柔軟性に劣ることになるた
め、好ましくない。
【0016】本発明の不織布は、その目付けが10g/
2 以上であるのが好ましい。目付けが10g/m2
満であると、不織布自体の強度が低く、また不織布の地
合いが粗くなるなどその品位が劣り、あるいは不織布を
製造するに際しての生産性が低下したりするため、好ま
しくない。
【0017】本発明の不織布は、次の方法により製造す
ることができる。まず、常法により、前記生分解性を有
する熱可塑性重合体を溶融紡出し、紡出糸条を冷却空気
流又は冷却水を用いて冷却した後にいったん巻き取って
未延伸糸条とし、あるいはいったん巻き取ることなく引
き続いて、これに1段又は2段以上で冷延伸又は熱延伸
を施し、次いで得られた延伸糸条に例えばスタッフイン
グボックスを用いて機械捲縮を付与し、あるいは加熱収
縮処理により捲縮を付与し、所定長に切断して短繊維を
得る。溶融紡出に際しての紡糸温度は、用いる重合体の
融点や重合度によるが、通常は120〜300℃とする
のが望ましい。紡糸温度が120℃未満であると重合体
の溶融押出しが困難となり、一方、紡糸温度が300℃
を超えると重合体の熱分解が著しくなって高強度の繊維
を得ることができず、いずれも好ましくない。未延伸糸
条に延伸を施すに際しての全延伸倍率は、目的とする短
繊維の強度水準によるが、通常は2.0〜4.0倍と
し、これにより3.0g/デニール以上の引張強度を有
する短繊維を得ることができる。
【0018】次に、上述のようにして得られた短繊維を
梳綿機に通し、カーディングを施してカードウエブを作
成する。そして、得られたカードウエブに熱接着処理を
施して構成繊維どうしを部分的に熱接着させる。この部
分的な熱接着処理を施すに際しては、公知の方法を採用
することができる。例えば、ウエブを加熱されたエンボ
スローラと表面が平滑な金属ローラ等とからなるローラ
間に通す方法や、熱風乾燥装置を用いる方法や、超音波
融着装置を用いる方法などがある。
【0019】加熱されたエンボスローラを用いてエンボ
スパターン部に存在する繊維どうしを部分的に熱接着さ
せる場合は、エンボスローラの圧接面積率を5〜50%
とするのが好ましい。この圧接面積率が5%未満である
と、点状融着区域が少なく不織布の機械的強度が低下
し、また良好な寸法安定性を得ることができない。一
方、この圧接面積率が50%を超えると、不織布が硬直
化して柔軟性が損なわれる。また、ローラ温度は、通常
は前記生分解性を有する鞘成分の熱可塑性重合体の融点
よりも30℃低い温度以上かつその融点未満の温度とす
るのがよく、この温度を適宜選択することにより、繊維
間の接着力が高く、すなわち機械的強度と寸法安定性が
優れ、しかも柔軟性に富む不織布を得ることができる。
熱エンボスローラを用いる場合のエンボスパターンは、
その圧接面積率が5〜50%の範囲内であれば特に限定
されるものではなく、丸型、楕円型、菱型、三角型、T
字型、井型等、任意の形状でよい。
【0020】熱風乾燥装置を用いて繊維の交差部位で繊
維どうしを部分的に熱接着させる場合は、その処理時間
にもよるが、通常はその処理温度を前記生分解性を有す
る鞘成分の熱可塑性重合体の融点よりも40℃低い温度
以上かつその融点よりも10℃低い温度未満とするのが
よい。
【0021】なお、これらの、例えば熱エンボスロー
ラ、熱風乾燥装置あるいは超音波融着装置を用いる部分
的熱接着処理は、連続工程あるいは別工程のいずれであ
ってもよい。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0023】下記の実施例において、各特性値の測定は
次の方法により実施した。 ・メルトフローレート値(g/10分):ASTM−D
−1238(E)に記載の方法に準じて温度190℃で
測定した。
【0024】・融点(℃):パーキンエルマ社製示差走
査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5mg、昇
温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の
最大値を与える温度を融点(℃)とした。
【0025】・目付け(g/m2 ):標準状態の試料か
ら縦10cm×横10cmの試料片各10点を作製し、
平衡水分に至らしめた後、各試料片の重量(g)を秤量
し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算して目
付け(g/m2 )とした。
【0026】・KGSM引張強力(kg/5cm幅)及び引
張伸度(%):JIS−L−1096に記載のストリッ
プ法に準じ、試料長10cm、試料幅5cmの試料片各
10点を作製し、各試料片毎に不織布の経及び緯方向に
ついて、定速伸長型引張り試験機(東洋ボールドウィン
社製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて引張
速度10cm/分で伸長し、得られた切断時荷重値(k
g/5cm幅)の平均値を100g/m2 の目付け当た
りに換算した値をKGSM引張強力(kg/5cm幅)とし
た。また切断時伸長率(%)の平均値を引張り伸度
(%)とした。
【0027】・剛軟度(g):試料長10cm、試料幅
5cmの試料片計5個を作製し、各試料片毎に横方向に
曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合したものを剛
軟度測定試料とした。測定試料毎に、各々その軸方向に
ついて定速伸長型引張り試験機(東洋ボールドウィン社
製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて圧縮速
度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重値(g)の平
均を剛軟度(g)とした。したがって、この剛軟度の値
が低いほど柔軟な不織布であることを意味する。
【0028】・生分解性:不織布を土中に埋設して3カ
月後に取り出し、不織布がその形態を保持していない場
合、あるいはその形態を保持していても引張り強力が埋
設前の50%以下に低下している場合を、生分解性が良
好であると評価した。 (実施例1)融点が102℃でメルトフローレート値が
30g/10分のエチレンサクシネート重合体を鞘部用
の低融点成分とし、また融点が118℃でメルトフロー
レート値が20g/10分のブチレンサクシネート重合
体を芯部用の高融点成分とした。そして、これら両重合
体を溶融し、孔径0.5mmの複合紡糸孔を1080孔
有する紡糸口金を通して、紡糸温度210℃かつ複合比
(重量比)1/1の条件で同心芯鞘型に溶融複合紡糸し
た。次に紡出糸条を20℃の冷却空気流を用いて冷却し
た後、油剤を付与し、巻取速度1000m/分でいった
ん巻き取って未延伸糸条を得た。次いで、得られた未延
伸糸条に全延伸倍率を3.8として温度60℃の加熱ロ
ールを用いて1段熱延伸を施し、得られた延伸糸条にス
タッファボックスを用いて18個/25mmの機械捲縮
を付与し、長さ51mmに切断して、単繊維度3.0デ
ニールの芯鞘型複合短繊維の原綿を得た。続いてこの原
綿を梳綿機に通してカーディングを行い、目付け25g
/m2 のカードウェブとした。その後このカードウェブ
を、圧接面積率17%のエンボスローラと平滑ローラと
の間に、熱処理温度90℃、線圧30kg/cmの加工
条件にて通布し、目付け30g/cm2 の生分解性芯鞘
型短繊維不織布を得た。
【0029】以上のようにして得られた生分解性芯鞘型
短繊維不織布の特性値は、下記の通りであった。 KGSM引張強力(MD,CD ):7.5(kg/5cm幅)/3.9
(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :46.2%/52.6% 剛軟度 :1.2g 生分解性 :良好(形態保持無し) (実施例2)鞘部用の重合体として、ブチレンサクシネ
ートとエチレンサクシネートとの共重合体であって、共
重合比が(ブチレンサクシネート)/(エチレンサクシ
ネート)=70/30モル%、融点が92℃、メルトフ
ローレート値が30g/10分のものを用いた。また紡
糸温度を190℃とした。そして、それ以外は実施例1
と同じ条件として、短繊維不織布を製造した。その不織
布の特性値は、下記の通りであった。
【0030】 KGSM引張強力(MD,CD ):11.3(kg/5cm幅)/5.
8(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :44.2%/50.1% 剛軟度 :2.5g 生分解性 :良好(形態保持無し) (実施例3)鞘部用の重合体として、ブチレンサクシネ
ートとブチレンアジペートとの共重合体であって、共重
合比が(ブチレンサクシネート)/(ブチレンアジペー
ト)=80/20モル%、融点が108℃、メルトフロ
ーレート値が30g/10分のものを用いた。そして、
それ以外は実施例1と同じ条件として、短繊維不織布を
製造した。その不織布の特性値は、下記の通りであっ
た。
【0031】 KGSM引張強力(MD,CD ):11.9(kg/5cm幅)/6.
2(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :44.0%/49.5% 剛軟度 :3.0g 生分解性 :良好(形態保持無し) (比較例1)実施例1と同一の2種類の重合体を用い、
これら両重合体を溶融し、孔径0.5mmの複合紡糸孔
を有する紡糸口金を通して紡出温度210℃かつ複合比
(重量比)1/1の条件で同心芯鞘型に溶融複合紡出し
た。次に紡出糸条を20℃の冷却空気流を用いて冷却し
た後、引き続きエアーサッカーを用いて引取速度350
0m/分で引取り、移動する補集面上に補集・堆積させ
てウェブを作製した。そして、得られたウェブを、90
℃に加熱されかつ圧接面積率が17%のエンボスローラ
と、同温度の平滑ローラとの間に通布して、繊維どうし
を部分的に熱圧着させた。これによって、単繊維繊度が
3.0デニールの、同心芯鞘型複合長繊維からなる、目
付けが30g/m2 の不織布を得た。このようにして得
られた生分解性芯鞘型長繊維不織布の特性値は、下記の
通りであった。
【0032】 KGSM引張強力(MD,CD ):11.5(kg/5cm幅)/7.
7(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :63.5%/66.4% 剛軟度 :8.6g 生分解性 :良好(形態保持無し) (比較例2)融点が118℃、メルトフローレート値が
20g/10分のブチレンサクシネート重合体のみを用
い、その他は実施例1に準じて、芯鞘複合構造を有しな
い単なる中実の短繊維を紡糸した。そして、この短繊維
を用いて短繊維不織布を製造した。その特性値は以下の
通りであった。
【0033】 KGSM引張強力(MD,CD ):8.4(kg/5cm幅)/4.7
(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :47.0%/59.1% 剛軟度 :4.5g 生分解性 :埋設前引張強力の95% (比較例3)融点が102℃、メルトフローレート値が
30g/10分のエチレンサクシネート重合体のみを用
い、その他は実施例1に準じて、芯鞘複合構造を有しな
い単なる中実の短繊維を紡糸した。そして、この短繊維
を用いて短繊維不織布を製造した。その特性値は以下の
通りであった。
【0034】 KGSM引張強力(MD,CD ):2.0(kg/5cm幅)/0.9
(kg/5cm幅) 引張伸度(MD,CD ) :6.2%/9.5% 剛軟度 :0.8g 生分解性 :良好(形態保持無し) 上記各実施例及び各比較例のうち、実施例1〜3の不織
布は、非常に柔らかく、しかも実用に耐え得る強力を保
持したものであった。また、生分解性については、芯部
にブチレンサクシネート重合体を用いているが、繊度が
小さくてその表面積が大きくなるため、分解が進み、使
い捨て衛生材料に必要な3カ月以内の生分解性を完全に
クリアしたものであった。
【0035】比較例1では、得られた不織布はスパンボ
ンド不織布であったため、強力や生分解性には何等問題
はなかったものの、衛生材料を考慮した場合の剛軟度が
高く、やや堅い不織布であった。
【0036】比較例2のものは、ポリマーとしてブチレ
ンサクシネートを単独で使用して芯鞘構造としなかった
ため、強力は実用に耐え得る値であったが、剛軟度がや
や高く堅い不織布であり、また生分解性が非常に劣る不
織布であった。
【0037】比較例3のものは、ポリマーとしてエチレ
ンサクシネートを単独で使用したため、辛うじて紡糸及
び不織布化は可能であったものの、実用に耐え得る強力
を保持していない不織布であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の生分解性複合短繊維からなる不
織布は、芯部が生分解性熱可塑性重合体成分からなり、
かつ鞘部が前記芯部の重合体成分よりも融点の低い生分
解性熱可塑性重合体成分からなるものであって、生分解
性を有し、非常に柔軟性に富み、しかも優れた熱接着性
を有するものとすることができる。
【0039】また、この不織布は、その使用後に微生物
が多数存在する環境、例えば土中又は水中に放置する
と、最終的には完全に分解消失するため、自然環境保護
の観点からも有益である。また例えば堆肥化して肥料と
する等の再利用を図ることも可能なため、資源の再利用
の観点からも有益である。
【0040】そしてこういった観点より、この複合短繊
維を用いてなる不織布は、前述した優れた特性を有する
ことから、特に使い捨てのおむつや生理用品等の衛生材
料用の素材として好適に利用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 長岡 孝一 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部が生分解性熱可塑性重合体成分から
    なり、鞘部が前記芯部の重合体成分よりも融点の低い生
    分解性熱可塑性重合体成分からなる生分解性芯鞘複合短
    繊維を構成繊維とし、これらの構成繊維どうしが部分的
    に熱接着されていることを特徴とする生分解性複合短繊
    維からなる不織布。
  2. 【請求項2】 剛軟度が4g以下であることを特徴とす
    る請求項1記載の生分解性複合短繊維からなる不織布。
  3. 【請求項3】 芯部及び鞘部の生分解性熱可塑性重合体
    が、脂肪族ポリエステル系重合体あるいは脂肪族ポリエ
    ステルアミド系共重合体であることを特徴とする請求項
    1または2記載の生分解性複合短繊維からなる不織布。
JP7068468A 1995-03-28 1995-03-28 生分解性複合短繊維からなる不織布 Withdrawn JPH08260320A (ja)

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Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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